JPH0747798B2 - バーリング性と延性の優れた熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

バーリング性と延性の優れた熱延鋼板およびその製造方法

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JPH0747798B2
JPH0747798B2 JP2200306A JP20030690A JPH0747798B2 JP H0747798 B2 JPH0747798 B2 JP H0747798B2 JP 2200306 A JP2200306 A JP 2200306A JP 20030690 A JP20030690 A JP 20030690A JP H0747798 B2 JPH0747798 B2 JP H0747798B2
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淳 伊丹
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、主としてプレス加工される自動車足廻り部品
などを対象とし、1.4〜6.0mm程度の板厚で、38kgf/mm2
以上の引張強度を有し、バーリング性と延性に優れた熱
延鋼板およびその製造方法に係わる。
(従来の技術) 1970年の石油機器を契機として自動車用鋼板の高張力化
は、熱延鋼板においてはホイールやメンバー類を代表と
する足廻り部品について検討されてきた。これらに用い
られる素材は、例えば特開昭58-11734号公報記載の熱延
鋼板に代表されるような、経済性、点溶接性を考慮にい
れた成分系を用い、熱延工程を有効活用することにより
組織制御を行い、強度を上げながらも加工性を劣化させ
ない熱延鋼板であることに特徴を有する。しかしなが
ら、検討されてきた鋼板は引張強度が50kgf/mm2以上が
ほとんどである。
一方、引張強度が35kgf/mm2以上50kgf/mm2未満の熱延鋼
板の特にバーリング性,延性に係わる製造技術として
は、特公平1-32293号公報記載の方法がある。これは、C
-Si-Mn系成分を用い600℃以上の巻取温度を採用するも
のであり、伸びフランジ成形性と耐縦割れ性に優れる熱
延鋼板の製造技術である。しかしながら、この製造技術
は巻取温度を600℃以上に設定しているために、パーラ
イト又は粗大セメンタイトの存在が自明であり、伸びフ
ランジ性を劣化させている。また、加工性に重要な延性
は通常レベルでしかない。
(発明が解決しようとする課題) 以上のように、38kgf/mm2以上の引張強度を有する熱延
鋼板においてバーリング性を最大限に発揮させるための
技術はこれまで開発されていないのが実情であり、さら
に本発明は、該技術開発のために徹底的に研究してきた
結果である。
(課題を解決するための手段) 本発明は、以下の通りの構成を要旨としている。
(1) 重量%で C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当
半径が0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が
0.1%以下でマルテンサイトの組織率が1%以下である
ことを特徴とするバーリング性と延性に優れた熱延鋼
板。
(2)重量%で C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% Ca:0.0005〜0.0050% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当
半径が0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が
0.1%以下でマルテンサイトの組織率が1%以下である
ことを特徴とするバーリング性と延性に優れた熱延鋼
板。
(3) 重量%で、 C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラ
ブとした後、1000〜1200℃に加熱し、熱間圧延して(Ar
3変態点+50)℃以上950℃以下の温度で仕上圧延を終了
し、仕上圧延終了から1秒以内に50℃/s以上の冷却を施
し、350〜500℃で巻取ることを特徴とする円相当半径が
0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が0.1%以
下でマルテンサイトの組織率が1%以下であり、かつバ
ーリング性と延性に優れた熱延鋼板の製造方法。
(4) 重量%で、 C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% Ca:0.0005〜0.0050% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラ
ブとした後、1000〜1200℃に加熱し、熱間圧延して(Ar
3変態点+50)℃以上950℃以下の温度で仕上圧延を終了
し、仕上圧延終了から1秒以内に50℃/s以上の冷却を施
し、350〜500℃で巻取ることを特徴とする円相当半径が
0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が0.1%以
下でマルテンサイトの組織率が1%以下であり、かつバ
ーリング性と延性に優れた熱延鋼板の製造方法。
(作用) 次に本発明の各構成要件の限定理由について詳述する。
Cは、強度確保のための元素である。そのためには、最
低0.02%以上が必要である。但し、多量のC含有は、強
度を上げすぎるばかりでなく、余分な炭化物(セメント
タイトまたはパーライト)生成にもつながるためC含有
最大量は0.07%未満に限定する。
Siは、本発明において重要な元素である。すなわち、Si
が、オーステナイトからの変態による炭化物生成を遅ら
せる元素であることと、熱延鋼板の延性を向上せしめる
元素であることを本発明において最大限に活用する。本
発明者らは、バーリング性を向上させるためのメカニズ
ムの追求に努力を惜しまなかった。バーリング性の評価
は、打ち抜き穴拡げ試験によったが、バーリング性は、
当然打ち抜き時と穴拡げ時のそれぞれの挙動が大きく影
響する。前者については、打ち抜き時のクリアランスの
影響や非金属介在物の影響などについては既に公知であ
り、後者については穴拡げ性におよぼす組織(フェライ
ト,パーライト,ベイナイト、マルテンサイト)の影響
などについて既に公知である。しかしながら、これらこ
れまでの研究は、単にC量を変更するとか、あるいは単
に巻取温度を変更することにより典型的な組織変化を与
えるなどの方法によるものがほとんどであり、例えば本
発明者らが検討したベイナイト中などの炭化物サイズを
変更させたり、打ち抜き時の穴拡げ割れの起点について
詳細な調査などはなされていない。
本発明は、本発明者らのこれらの研究により得られたも
のであるがそのひとつにSiは重要な役割を果している。
まず、Siはバーリング性向上に重要な元素である。これ
は、Siにベイナイト中の炭化物サイズを極めて微細にす
る効果があることを本発明者らが初めて明らかにしたか
らである。これは打ち抜き時の破断面形成の際にその後
の穴拡げ割れの起点の形成に対し極めて有効に影響し、
その結果としてバーリング性は飛躍的に向上する。さら
に、付随的効果としてSiは鋼板の延性を高める。それら
の効果を発揮させるためには、最低0.4%のSiの含有が
必要である。上限は本来規定しなくても良いが、経済
性,点溶接性を考慮し1.5%とした。
Mnは、強度確保のために必要な元素であり、最低0.5%
の含有が必要である。上限は、経済性,点溶接性,強度
安定性を考慮し1.5%とした。
Pは、点溶接性を劣化させると共にAr3変態点温度を上
昇させる元素であるために徹底的にその含有量を下げる
必要があり、0.02%以下とした。好ましくは、0.01%以
下に下げた方が良い。
Sは、点溶接性,バーリング性の観点からこれまた徹底
的に下げる必要があり、0.005%以下にする必要があ
る。好ましくは、0.002%以下に下げた方が良い。
さらに、硫化物系介在物の形態制御のために必要に応じ
てCaを添加する。0.0005%未満の添加では形態制御の効
果はなく、0.005%を超える添加は逆にCa系の介在物が
増加するためにバーリング性,延性を劣化させので、上
限をここに定めた。
Alは、脱酸剤として必要である。0.01%未満ではその効
果がなく、0.10%を超えるとアルミナ系介在物が増加
し、バーリング性と延性を劣化させる。
次に、熱延条件について詳述する。
スラブの加熱温度は、1200℃以下にする必要がある。本
発明にあっては、Siを添加しており加熱炉内にてSiの酸
化物と鉄の酸化物の化合物であるファイトアライトが生
成し、巻取後赤スケールになったり、酸洗後雲形模様が
鋼板表面に残り見栄えが悪くなる。これを避けるために
上限を規制する。好ましくは、1150℃以下が良い。加熱
温度の下限は1000℃とする。これより低い温度を採用す
ると圧延に負荷がかかりすぎ、圧延温度の確保も困難で
ある。
仕上温度は、(Ar3変態点+50)℃以上に規定する。こ
の温度未満では、ベイナイト中の炭化物が本発明の意図
するサイズまで微細にならない。上限は、950℃とし
た。このように定めた理由は、この温度を超えると、バ
ーリング性向上の効果が飽和するだけではなく、組織が
粗くなり延性が劣化するためである。
仕上圧延終了後直ちに冷却を施す必要がある。これは、
本発明が意図する炭化物サイズを得るために必須であ
り、遅くても仕上圧延終了後1秒以内に急速冷却を施す
必要がある。1秒を超える空冷は、バーリング性向上に
は不利である。
さらに、冷却速度は50℃/秒以上必要である。これは、
急冷による炭化物生成抑制効果が完全に発揮させるため
に必要なことである。操業技術開発により冷却終点温度
が正確に制御できるようになれば上限は特に限定する必
要はないが、現状では150℃/秒以下であることが好ま
しい。
巻取温度は、350℃未満で巻取るとマルテンサイトの組
織率が1%を超えるため、また500℃を超える温度で巻
取るとセメントタイトが凝集し、場合によってはパーラ
イトを形成してバーリング性が低下するため、350〜500
℃と規定した。
これら、成分と熱延条件の組み合わせにより得られる組
織は、いわゆるフェライト,ベイナイトであるが、フェ
ライト粒界の三重点やベイナイト中の炭化物のサイズが
極めて微細である。しかしながら、不慮の要因によりこ
れら炭化物が円相当半径で0.1μm以上のものとして組
織率が0.1%より多く存在した場合には本発明により得
られた熱延鋼板としては扱わない。
組織率の定義は、(透過電子顕微鏡写真を画像解析する
ことにより得た円相当径が0.1μm以上のセメンタイト
の面積の合計)/(全面積)×100(%)である。
(実施例) 第1表に示す成分を有する鋼を転炉にて溶製し、連続鋳
造にてスラブにした。この表には各鋼のAr3変態点も併
記した。
第1表のなかで、B鋼はSi、C鋼はMn、D鋼はP,S、E
鋼はC、F鋼はSiが本発明範囲外である(本発明範囲外
の化学成分に下線を付す)。
第2表は実施例における熱延条件を示す。第2表におい
ては、仕上圧延終了後0.8秒で60℃/秒の冷却を施し
た。巻取後0.8%の調質圧延を施し、板厚2.9mmの製品と
し材質試験に供した。
引張試験は、JIS Z 2201,5号試験片を用いた。組織率は
透過電顕写真から判断し、炭化物の円相当半径は透過電
顕写真の画像解析結果を用いた。
バーリング性は、打ち抜き穴拡げ試験で評価した。打ち
抜きは、直径20mmのパンチと、板厚の20%クリアランス
を有するダイス (=d0=〔20.0+板厚×0.2〕mmのダイス)を用いて打
ち抜いた。穴拡げは、打ち抜いた切断穴を打ち抜きによ
るバリのない(バリとは反対側の)板面から30°円錐パ
ンチで押し拡げた(この際穴拡げ部への材料流入がない
ようにフランジを60トンのしわ押さえをかけた)。バー
リング性は、割れが板厚を貫通する時点でパンチを止め
た時の穴径(d)をd0で除した比(d/d0)で示した。
点溶接試験は、散り発生直前の電流条件で単点溶接を行
ない、これを引き剥がしその破断面がもとの接合面にか
かっていないものを○、かかっているものを×で示し
た。
比較鋼については、比較鋼であるための条件を★で示
し、その理由を下線で示した。本発明鋼はNo.1,6,7,13,
14,15であり、比較鋼はNo.2,3,4,5,8,9,10,12である。
No.2は、加熱温度が高すぎたために赤スケールが発生し
た。No.3は、仕上温度が本発明範囲より低くバーリング
性が劣化した。No.4は、巻取温度が本発明範囲より高か
ったためにバーリング性が劣化した。No.5は、巻取温度
が本発明範囲より低かったためにバーリング性が劣化し
た。No.8は、Si含有量が本発明範囲より低いために所望
のバーリング性と延性が得られなかった。No.9は、Mn含
有量が本発明範囲より低かったために、所望の強度が得
られずバーリング性も悪かった。No.10は、P,Sの含有量
が本発明範囲より高かったためにバーリング性と点溶接
性が劣化した。No.11は、C含有量が本発明範囲より高
かったために、炭化物が余分に生成しバーリング性を劣
化させた。No.12はSi含有量が高すぎるためにAr3変態点
が上昇し圧延性確保が困難であった。
これらに対し、本発明鋼であるNo.1,6,7,13,14,15は、
何れも高バーリング性と高延性を示し、かつ表面美麗で
点溶接性になんら問題を起こさなかった。
第3表は、仕上直後急冷に関する実施例である。供試鋼
は、符号Aであり、加熱温度:1120℃、仕上温度:910℃
とした。
No.16は、冷却速度が本発明範囲外であり、粗大な炭化
物析出によるバーリング性低下を引き起こした。
No.17は、急冷開始までの時間が本発明範囲外でありベ
イナイト中の炭化物が大きくなりバーリング性が劣化し
た。
(発明の効果) 以上説明した通り、本発明によればバーリング性と延性
に優れ、赤スケールまたは雲形模様のない38kgf/mm2以
上の熱延鋼板が提供できる。本発明による鋼帯はそのま
ま黒皮で用いても良く、また酸洗して用いても良い。あ
るいは、せん断ラインに切板としても良い。レベラーま
たは調質圧延により形状を整えたり、巻き癖を矯正して
も良い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 正則 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 會社君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭58−11734(JP,A) 特開 昭62−180021(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当
    半径が0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が
    0.1%以下でマルテンサイトの組織率が1%以下である
    ことを特徴とするバーリング性と延性に優れた熱延鋼
    板。
  2. 【請求項2】重量%で C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% Ca:0.0005〜0.0050% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなり、円相当
    半径が0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が
    0.1%以下でマルテンサイトの組織率が1%以下である
    ことを特徴とするバーリング性と延性に優れた熱延鋼
    板。
  3. 【請求項3】重量%で、 C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラ
    ブとした後、1000〜1200℃に加熱し、熱間圧延して(Ar
    3変態点+50)℃以上950℃以下の温度で仕上圧延を終了
    し、仕上圧延終了から1秒以内に50℃/s以上の冷却を施
    し、350〜500℃で巻取ることを特徴とする円相当半径が
    0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が0.1%以
    下でマルテンサイトの組織率が1%以下であり、かつバ
    ーリング性と延性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】重量%で、 C:0.02〜0.07%未満 Si:0.4〜1.5% Mn:0.5〜1.5% P:0.02%以下 S:0.005%以下 Al:0.01〜0.10% Ca:0.0005〜0.0050% を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼をスラ
    ブとした後、1000〜1200℃に加熱し、熱間圧延して(Ar
    3変態点+50)℃以上950℃以下の温度で仕上圧延を終了
    し、仕上圧延終了から1秒以内に50℃/s以上の冷却を施
    し、350〜500℃で巻取ることを特徴とする円相当半径が
    0.1μm以上の大きさのセメンタイトの組織率が0.1%以
    下でマルテンサイトの組織率が1%以下であり、かつバ
    ーリング性と延性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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