JPH0754965A - アジャスティングシム及びその製造方法 - Google Patents

アジャスティングシム及びその製造方法

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JPH0754965A
JPH0754965A JP22281693A JP22281693A JPH0754965A JP H0754965 A JPH0754965 A JP H0754965A JP 22281693 A JP22281693 A JP 22281693A JP 22281693 A JP22281693 A JP 22281693A JP H0754965 A JPH0754965 A JP H0754965A
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武 中小原
Yoshio Fuwa
良雄 不破
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馨 村部
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カムに対して困難で高コストの特別な超精密
仕上げ加工を行わなくても、カムの摺動面を慣らし運転
中に研磨して表面粗さを向上させ、摩擦損失を低減させ
て良好な摺動特性を得ることのできるカムフォロアのア
ジャスティングシムを提供する。 【構成】 ビッカース硬度が1000以上のSi34
結体等のセラミックスからなり、少なくともカム1との
摺動面に溶融アルカリでのエッチング処理によりセラミ
ックスの粒界相が脆化され又は一部除去された変質層を
有するカムフォロアのアジャスティングシム3。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車エンジン等の内
燃機関の動弁系機構を構成するカムフォロアのアジャス
ティングシム、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から自動車の
排気ガスが問題とされ、その対策の1つとしてエンジン
の効率化による省燃費化の要求が高まっている。自動車
燃費の低減方法として内燃機関の摩擦損失の低減が有効
とされ、特に潤滑状態の厳しい低回転域では動弁系の摩
擦損失の割合が大きいため、動弁系における摩擦損失の
低減が強く望まれている。
【0003】ところで、一般に潤滑油等の潤滑剤存在下
では、相対する摺動部品の摺動面間に形成される最小油
膜厚さと、両摺動部品の摺動面の性状が摺動特性に大き
な影響を与えるとされている。例えば「油圧と空気
圧」、第18巻、第4号、1987年、第247〜25
8頁、あるいは自動車技術会編「学術講演会前刷集92
4」、1992年、第85〜88頁に記載されているよ
うに、潤滑状態を示す値として下記式1により定義され
る油膜パラメータΛが通常よく使用されている。
【0004】
【式1】 Λ=hmin/σ=hmin/(Rrms1 2+Rrms2 2)1/2 ただし、hmin:対向する摺動部品の摺動面間の最小油
膜厚さ σ:対向する摺動部品の摺動面の合成表面粗さ Rrms1:片方の摺動部品の摺動面の自乗平均粗さ Rrms2:他方の摺動部品の摺動面の自乗平均粗さ
【0005】この油膜パラメータΛの値が3以上の場合
は流体潤滑状態、1以下の場合は境界潤滑状態、及び1
〜3の場合は流体潤滑と境界潤滑の混在した混合潤滑状
態であるとされ、Λの値が大きいほど摺動面間の接触が
緩和されて、摺動特性が良好になると言われている。従
って、同一摺動条件下では最小油膜厚さhminは一定で
あるため、2つの摺動部品の摺動面の表面粗さを小さく
することが、摩擦係数の低減に有効であることが判る。
【0006】そこで、摺動部品の摺動面に高精度な超精
密仕上げ加工を施して、表面粗さを出来るだけ低減させ
ることが一般に行われている。しかし、動弁系の部品の
1つであるカムは曲面等の複雑形状の表面を有するた
め、高精度な超精密仕上げ加工は困難であり、又加工に
多大な時間と労力を要するため加工コストも極めて高く
なることから、通常の研削加工による表面仕上げしか行
われておらず、要望される摩擦係数の低減が十分実現さ
れていない現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、内燃機関の動弁系機構を構成するカムの
摺動面を慣らし運転中に研磨して表面粗さを向上させる
ことができ、従ってカムに対して困難で高コストの特別
な超精密仕上げ加工を行わなくても、摩擦係数を低減さ
せて良好な摺動特性を得ることのできるカムフォロアの
アジャスティングシムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するカムと組み合わせて用いるアジャ
スティングシムは、ビッカース硬度が1000以上のセ
ラミックスからなり、少なくともカムとの摺動面にセラ
ミックスの粒界相が脆化され又は一部除去された変質層
を有することを特徴とする。
【0009】又、本発明のアジャスティングシムの製造
方法は、ビッカース硬度が1000以上のセラミックス
からなる母材の少なくともカムとの摺動面を、溶融アル
カリでエッチング処理することを特徴とする。尚、ここ
で溶融アルカリとは、水酸化ナトリウム(NaOH)や
水酸化カリウム(KOH)等のアルカリを加熱により融
解させた液体を言う。
【0010】アジャスティングシムの母材となるセラミ
ックスは、ビッカース硬度が1000以上のものであれ
ば良いが、中でも軽量かつ高強度で耐熱衝撃性に優れた
窒化ケイ素(Si34)焼結体が特に好ましい。又、窒
化ケイ素の複合材料、例えば炭化ケイ素等の繊維又はウ
イスカーで強化した窒化ケイ素焼結体や、窒化チタン粒
子や炭化ケイ素ナノ粒子等で強化した窒化ケイ素焼結体
も使用できる。
【0011】
【作用】本発明のアジャスティングシムでは、摺動面に
露出したセラミックス表面が溶融アルカリでのエッチン
グ処理により変質し、母材の原質部に比べ強度が低下し
ている。即ち、Si34焼結体等の粒界相が溶融アルカ
リにより脆化ないし一部除去された変質層が表面からあ
る程度の深さまで形成されている。
【0012】このため、カムとの慣らし運転による摺動
中に、アジャスティングシムの変質層から微小な硬質粒
子が容易に脱落し、この脱落した微小な硬質粒子によっ
てカムの摺動面が研磨される。従って、複雑形状のカム
の摺動面は、予め高精度な超精密仕上げ加工を行わなく
ても、本発明のアジャスティングシムとの慣らし運転に
より自動的に表面粗さが向上する。
【0013】一方、アジャスティングシムの摺動面で
は、カムとの摺動により表面の変質層が摩耗し、殆ど消
滅し尽くすと母材の原質部が表面に現れる。アジャステ
ィングシムの母材はビッカース硬度で1000以上のセ
ラミックスで構成され、現行のカムを構成する鋼等と比
較して高硬度で耐摩耗性が良好であるから、それ以降は
アジャスティングシムの摩耗の進行が殆ど停止する。
又、高硬度のアジャスティングシムはカムとの接触によ
る局部的な変形が生じがたく、局部変形に起因する偏摩
耗を生じることもない。
【0014】その結果、アジャスティングシムは摩耗の
進行が殆ど停止した状態でカムとの摺動を続けることが
できると同時に、アジャスティングシムの摺動面の表面
粗さも変質層が存在した初期状態よりも向上する。この
ときアジャスティングシムの摺動面には微小な硬質粒子
が脱落した微細な凹状の痕跡が残されるが、これらの微
細な凹部は潤滑油の油溜となり潤滑油供給源として作用
するので、摺動中の油膜形成能を向上させ、更なる摩擦
係数の低減や焼き付き防止等に役立つ。
【0015】この様に、本発明のアジャスティングシム
によれば、慣らし運転によってカムの摺動面の表面粗さ
を自動的に向上させることができると同時に、アジャス
ティングシム自身の摺動面の表面粗さも向上するので、
前記式1に示した油膜パラメータΛ(カムとアジャステ
ィングシムの摺動面間の最小油膜厚さhminと、両者の
摺動面の合成表面粗さσの比)が大きくなり、従来のカ
ムとアジャスティングシムの組み合わせの場合よりも摩
擦係数が大幅に低減される。
【0016】このようなセラミックスの変質層を得るた
めには、溶融アルカリによるエッチング処理が必要であ
り、酸やアルカリの水溶液によるエッチング処理では満
足すべき効果が得られない。その理由は明らかではない
が、溶融アルカリによるエッチングによってのみ、微小
な硬質粒子の脱落に適した表面状態が得られるものと考
えられる。
【0017】又、アジャスティングシムの変質層の深さ
は表面から0.2〜1.0μmの範囲が好ましい。変質層
の深さが0.2μm未満では脱落する微小な硬質粒子の
量が不十分であるため、カムの表面を満足すべき表面状
態まで研磨することが困難となり、逆に1.0μmを越
えるとアジャスティングシムの表面粗さ自体が劣化して
膜厚パラメータΛを小さくさせ、潤滑状態の低下及び硬
質粒子の過剰な脱落によりカムの表面に損傷を与えるか
らである。
【0018】かかるアジャスティングシムの材質として
は、高強度で耐熱衝撃性に優れたSi34焼結体が特に
好ましいが、Si34焼結体の表面に上記深さの変質層
を形成する場合には、例えば水酸化ナトリウムを80℃
程度に加熱して融解させた溶融NaOHに数分間浸漬す
る。
【0019】
【実施例】ビッカース硬度で1400の硬度を有するS
34各焼結体からなる所定の寸法の板を、80℃の溶
融NaOHに1分間浸漬することによりエッチング処理
を行った。得られたアジャスティングシムの表面には、
深さ0.5μmの変質層が形成されていた。このアジャ
スティングシムの表面の走査型電子顕微鏡写真を図1に
示した。
【0020】このアジャスティングシムを、図2に示す
内燃機関の直動式動弁系装置におけるカムフォロアのア
ジャスティングシム3として使用した。即ち、カム軸2
の回りに回転するカム1と弁バネ5の作用により、バル
ブリフター4が軸方向に移動してシリンダーヘッド7の
吸排気弁6を開閉するようになっているが、バルブリフ
ター4の上にカム1と相対して摺動するように上記アジ
ャスティングシム3を装着した。尚、カム1には合金鋳
鉄のチル硬化品を用いた。
【0021】この内燃機関の動弁系を含むシリンダーヘ
ッドについて、回転数1500rpm、油温80℃の条
件で実際にカム軸2を直接外部モーターにより駆動し、
カム1とアジャスティングシム3の当接する摺動面の合
成表面粗さσを所定の作動時間毎に測定して、その結果
を表1に示した。尚、カム1とアジャスティングシム3
の摺動面の合成面粗さσは下記式2により定義される。
【0022】
【式2】σ=(Rrms1 2+Rrms2 2)1/2 ただし、Rrms1:アジャスティングシムの表面の自乗平
均粗さ Rrms2:カムの表面の自乗平均粗さ
【0023】又、比較例のアジャスティングシムとし
て、上記と同じSi34焼結体からなるが研削仕上げの
みでエッチング処理を行っていない最大表面粗さRmax
が0.2μmのアジャスティングシムと、従来から使用
されているSCM415の浸炭焼入れ品からなるアジャ
スティングシムを使用し、上記と同様にして求めたカム
とアジャスティングシムの摺動面の合成表面粗さσを表
1に併せて示した。
【0024】
【表1】 合 成 表 面 粗 さ σ (μm) 作動時間 エッチング処理 未処理 SCM415(hr) Si34焼結体 Si34焼結体 浸炭焼入れ品 0 0.45 0.38 0.52 2 0.23 0.27 0.33 5 0.15 0.23 0.28 10 0.10 0.18 0.26 20 0.06 0.12 0.22 50 0.01 0.09 0.20
【0025】表1の結果から明らかなように、本発明の
溶融アルカリによるエッチング処理を行ったSi34
結体よりなるアジャスティングシムを使用することによ
り、通常のSi34焼結体や鋼を用いた場合よりも、相
手部材であるカムの摺動面を研磨してその表面粗さを小
さくし、同時にアジャスティングシム自身の表面粗さも
小さくなるので、タペットシムとカムの合成表面粗さが
減少する。
【0026】又、上記の装置による実際の駆動試験にお
いて、各アジャスティングシム毎に作動開始直後及び5
0時間後のカム軸トルクを測定し、従来材であるSCM
415浸炭焼入れ品からなるアジャスティングシムの作
動開始直後のカム軸トルクを基準としたカム軸トルク低
減率を求めて、表2に示した。尚、カム軸トルク低減率
は下記式3により算出した。
【0027】
【式3】カム軸トルク低減率={(1−各アジャスティン
グシム使用時のカム軸トルク)/作動開始直後のSCM
415浸炭焼入れ品アジャスティングシムのカム軸トル
ク}×100(%)
【0028】
【表2】 カ ム 軸 ト ル ク 低 減 率 (%) 作動時間 エッチング処理 未処理 SCM415(hr) Si34焼結体 Si34焼結体 浸炭焼入れ品 0 11.8 12.1 基準 50 30.2 21.5 5.1
【0029】表2の結果から、本発明のアジャスティン
グシムを使用すれば、カムとアジャスティングシムの摺
動面の合成表面粗さが向上することによって摺動特性が
改善され、カム軸トルクを著しく低減させることが可能
となるので、エネルギー効率の良い内燃機関を提供する
ことが出来る。
【0030】
【発明の効果】本発明のアジャスティングシムによれ
ば、シリンダーヘッド内にカムと組み合わせて装着した
後、カムとの慣らし運転中にカムの表面粗さを向上させ
ることが可能であるため、複雑形状のカムの表面に特別
な超精密仕上げ加工を行わなくても、摩擦損失の少ない
良好な摺動特性が得られ、従ってエネルギー効率の良い
内燃機関を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で製造したアジャスティングシムの表面
粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真(2000倍)で
ある。
【図2】実施例で使用した内燃機関の直動式動弁系装置
を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 カム 2 カム軸 3 アジャスティングシム 4 バルブリフター 5 弁バネ 6 吸排気弁 7 シリンダーヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村部 馨 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 山川 晃 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カムと組み合わせて用いるアジャスティ
    ングシムであって、ビッカース硬度が1000以上のセ
    ラミックスからなり、少なくともカムとの摺動面にセラ
    ミックスの粒界相が脆化され又は一部除去された変質層
    を有することを特徴とするアジャスティングシム。
  2. 【請求項2】 変質層の深さが0.2〜1.0μmである
    ことを特徴とする、請求項1に記載のアジャスティング
    シム。
  3. 【請求項3】 ならし運転により、相手材であるカムの
    摺動面を研磨してその表面粗さを向上させることを特徴
    とする、請求項1に記載のアジャスティングシム。
  4. 【請求項4】 カムと組み合わせて用いるアジャスティ
    ングシムの製造方法であって、ビッカース硬度が100
    0以上のセラミックスからなる母材の少なくともカムと
    の摺動面を、溶融アルカリでエッチング処理することを
    特徴とするアジャスティングシムの製造方法。
  5. 【請求項5】 エッチング処理により得られるセラミッ
    クスの変質層の深さを0.2〜1.0μmとすることを特
    徴とする、請求項4に記載のアジャスティングシムの製
    造方法。
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US6237441B1 (en) * 1998-03-19 2001-05-29 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Combination of shim and cam
JP2001254808A (ja) * 2000-03-13 2001-09-21 Nissan Motor Co Ltd バルブリフタ用シムおよびその製造方法
JP2004183682A (ja) * 2002-11-29 2004-07-02 Koyo Seiko Co Ltd 転がり摺動部品およびそれを用いたローラカムフォロア

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