JPH075672B2 - 高配向性超長共役ポリマーの製造方法 - Google Patents

高配向性超長共役ポリマーの製造方法

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JPH075672B2
JPH075672B2 JP4491090A JP4491090A JPH075672B2 JP H075672 B2 JPH075672 B2 JP H075672B2 JP 4491090 A JP4491090 A JP 4491090A JP 4491090 A JP4491090 A JP 4491090A JP H075672 B2 JPH075672 B2 JP H075672B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は電気材料に関し、更に詳しくは、導電性や非線
形光学効果を示すポリアセチレン結合などの共役結合を
有する高配向性超長共役ポリマーの製造方法に関するも
のである。
従来の技術 アセチレンやその誘導体などのポリマーは、π電子共役
系を持つ一次元の主鎖を分子内に保有しているために、
導電性や非線形光学効果を持つことから、光、電子機能
材料として広く研究されている。
また、従来アセチレンやその誘導体などのポリマーの製
造方法としては、チーグラー・ナッタ触媒を用いた白川
らの重合方法がよく知られている。
発明が解決しようとする課題 ところが、現在知られているアセチレンやその誘導体の
ポリマーは、酸素を含む雰囲気中では、熱や圧力あるい
は紫外線などに対して不安定であるため、安定化させる
研究が進められている。
しかしながら、未だにアセチレンやその誘導体のポリマ
ーを安定化する方法は見いだされていない。
また、アセチレンやその誘導体のポリマーにおいて、そ
の配向性を制御する技術も開発されていない。
本発明は上記問題点に鑑み、安定性が高く、かつ高配向
な超長共役ポリマーの製造方法を提供するものである。
課題を解決するための手段 本願発明では、上記問題点を解決するために、共役不飽
和結合性不飽和基と、(モノ,ジもしくはトリ)クロル
シラン基とを含むクロルシラン系物質を溶解させた非水
系の有機溶媒中に、少なくとも表面が親水性の基板を浸
漬し、前記基板上に前記物質の単分子膜を形成する単分
子膜形成工程と、前記単分子膜中の前記不飽和基を選択
的に失活させる失活工程と、前記失活工程を経た基板を
不活性ガス中で前記単分子膜中の失活されないで残った
不飽和基を重合させる重合工程とを含む、高配向性超長
共役ポリマーの製造方法をとるものである。
作用 一端にクロルシラン基(-SiClx)を持つ直鎖状炭化水素の
誘導体を用いれば、有機溶媒中で化学吸着法により親水
性基板表面に前記誘導体の単分子膜を形成でき、さらに
前記単分子膜を酸素を含むガス中で高エネルギーの放射
線照射して表面を親水性化することにより前記単分子膜
の累積膜を形成できることが知られている。
従って、一端にクロルシラン基を持つ直鎖状炭化水素の
誘導体の一部に共役不飽和結合性不飽和基(例えばアセ
チレン基,ジアセチレン基,チオフェン基,ピロール基
等)を含むような物質を用いて化学吸着法を行なえば、
数十Aオーダーの前記不飽和基誘導体の単分子膜を形成
でき、さらに多層の累積膜も容易に得ることができる。
このように基板上に化学吸着した単分子膜中の不飽和基
を特定の方向に選択的に線状に失活させておき、不活性
ガス雰囲気中で前記単分子膜中の残存した共役不飽和結
合性不飽和基の部分を重合させると、配向性が極めて高
く、超高分子量で共役系が非常に長いポリマーが製造で
きる。
実施例 本発明の共役不飽和結合性不飽和基としては、アセチレ
ン基(−C≡C−)やジアセチレン基(−C≡C−C≡
C−)等の三重結合を有する直鎖状の炭素化合物、チオ
フェン環,ピロール環,フラン環,シクロペンタジエン
等の環状化合物等が挙げられる。
しかも本発明の製造方法に依ればポリアセチレン系もし
くはポリジアセチレン系であっても、酸素を含む雰囲気
中でも安定なポリマーが形成されるため、三重結合を有
する直鎖状の炭化水素化合物を有する場合が特に有効で
ある。
本発明のクロルシラン系物質は、上記共役不飽和結合性
不飽和基とクロルシラン基とを含む。
このクロルシラン基には、珪素に塩素原子が一つ結合し
たモノクロルシラン,塩素が二つ結合したジクロルシラ
ンもしくは塩素が三つ結合したトリクロルシランの何れ
であってもよい。
このクロルシランは、水等と反応して容易にシロキシ基
を形成し失活するため、クロルシラン系物質を化学吸着
させるときには、非水系の有機溶媒を用いる必要があ
る。
またクロルシラン系物質の一端にトリメチルシラン基が
結合した場合には、重合工程後末端のトリメチルシラン
基を高エネルギの放射線を照射して容易に親水化でき、
単分子膜をさらに累積でき3次元構造の超長共役ポリマ
ーが形成できるため好ましい。
不飽和基がアセチレン基である場合には、ω−ノナデシ
ルイノイックトリクロルシランは、化学吸着と重合とが
共にし易く好ましい。さらに1−(トリメチルシリル)
−ω−ノナデシルイノイックトリクロルシランの場合に
は、化学吸着,重合及び累積の観点で好ましい。
本発明の失活工程には、使用する不飽和基の活性度によ
って異なるが、電子線,X線,γ線等の放射線照射,走査
トンネル顕微鏡での描画,もしくはクロルシラン系物質
が例えばジアセチレン誘導体等高活性の場合には紫外線
照射等が挙げられる。
本発明の重合工程には、上記の失活工程で述べたドライ
プロセスの他、少なくともMoCl5,WCl6,NbCl5,TaCl5等の
ハロゲン化金属触媒、もしくはMo(CO)5,W(CO)6,Nb(C
O)5,Ta(CO)5等の金属カルボニル触媒の何れかを含む有
機溶媒中に浸漬するウエットプロセスである浸漬重合法
も適応できる。
クロルシラン系物質がアセチレン誘導体であり、重合工
程で浸漬法を用いると、配向性が極めて高く、超高分子
量で共役系が非常に長くしかも酸素を含む雰囲気中でも
安定なポリアセチレン誘導体が形成されるため好まし
い。
この浸漬重合法に供される有機溶媒としては、トルエ
ン,ジオキサン,アニソール等が挙げられる。
また浸漬重合法の場合には、これら触媒に有機スズ化合
物もしくは有機ビスマス化合物の共触媒を含有すると、
さらにポリマーの品質が向上し好ましい。
さらにクロルシラン系物質にアセチレン誘導体を用い、
浸漬重合に用いる有機溶媒に例えばアニソール,ジオキ
サン等のような酸素原子を有する有機溶媒を用い、ハロ
ゲン化金属触媒に五塩化モリブデンを用いると、重合後
のポリマーがシス(cis)型ポリアセチレンが得られ
る。
このようにして重合した単分子膜は、一定の方向性を保
った状態で重合することにより、共役系が連続した直鎖
状で超高分子量のポリマー(超長共役ポリマー)を作
れ、数十Aオーダーの前記誘導体の単分子膜を形成で
き、さらに多層の累積膜も容易に得ることを見いだし
た。
即ち、共役不飽和結合性不飽和基と、クロルシラン基(-
SiClx)とを含むクロルシラン系物質を溶解させた非水系
有機溶媒中に、表面が親水性の基板を浸漬し、化学吸着
法により前記基板上にクロルシラン系物質の単分子膜を
形成してから、前記単分子膜中の不飽和基を選択的に線
状に失活させておいてから重合すると、前記基板上に前
記物質の単分子膜を分子の重合方向がきれいに配向した
状態で線状に保持することができる。
さらに単分子膜形成工程と重合工程との間に、化学吸着
した単分子膜をラビングするラビング工程を導入する
と、単分子膜の配向性がより整うことでより高配向性ポ
リマーが形成されるため好ましい。
またクロルシラン系物質がジアセチレン誘導体の場合、
重合工程を経た単分子膜にさらに高エネルギの放射線を
照射すると、重合に供さないで残存してアセチレン基が
重合し、ポリアセン結合が形成されるため好ましい。
以下、実施例を用いて本発明の詳細を説明する。
本実施例で使用した単分子膜を形成させる物質は数々あ
るが、アセチレン誘導体の一種であり末端にアセチレン
基を1個含むω−ノナデシルイノイックトリクロルシラ
ン HC≡C−(CH2)n-SiCl3 (以下NCSと略す。以下述べる実施例では主にnは17で
あるが、14から24の範囲で良好な結果が得られた。)の
場合を用いて説明する。
実施例1 第1図(a)に示したように、直径3インチで表面にSi
O2膜の形成されたSi基板11上に、クロルシラン系物質と
してシラン系界面活性剤(以下NCSと略す) HC≡C−(CH2)17-SiCl3 を化学吸着させて、基板11の表面に単分子膜12を形成す
る。
この時、NCSのクロルシラン基(-SiCl3)と、基板11の表
面のSiO2膜の表面に存在する−OH基とが反応して、基板
11の表面に という構造の単分子膜12が形成される。
例えば1.0×10-3〜4.0×10-3mol/lの濃度で前記NCSを溶
かした85%n−ヘキサン、8%四塩化炭素、7%クロロ
ホルム溶液中に、室温で8分間、表面にSiO2膜の形成さ
れたSi基板11を浸漬すると、SiO2膜表面で−Si−O−の
結合を形成できる。
ここで、基板11の表面に という構造の単分子膜12が形成されていることは、FT−
IRにて確認された。
なお、このとき単分子膜12の形成は、湿気を含まない窒
素雰囲気中で行った。
次に、第1図(b)に示したように、前記単分子膜12中
の不飽和基を露光量約5mJ/cm2の条件の電子ビーム露光
で特定の方向に線状に不飽和基に失活(但しこの失活工
程は電子ビーム露光の他、走査トンネル顕微鏡による描
画(即ちライティング)もしくはX線露光でも可能で、
何れも露光量は5mJ/cm2程度でよい)させた後、ヘリウ
ムガス等の不活性ガス雰囲気中で全面に放射線(例えば
X線,電子線,ガンマ線)を5〜10mJ/cm2程度照射する
と、第1図(c)に示すように失活されないで残存して
いたアセチレン基が線状に重合して、trans−ポリアセ
チレン結合13が形成されたことがFT−IRにより明らかと
なった。
なお、X線,電子線もしくはガンマ線はエネルギーレベ
ルは異なるが、同様に重合した単分子膜が得られた。
実施例2 第2図(a)に示したように、基板11上にクロルシラン
系物質として1−トリメチルシリル−ω−ノナデシルイ
ノイックトリクロルシラン Me3Si−C≡C−(CH2)n-SiCl3 (以下TMS−NCSと略す。本実施例ではnは17であるが、
14から24の範囲で良好な結果が得られた。)の単分子膜
14を1層形成し、基板11上の単分子膜14中のアセチレン
基を選択的に失活後、不活性ガス雰囲気中で全面に放射
線を照射すると、第2図(b)に示すように、トリメチ
ルシラン基(-SiMe3)を含んだ線状で配向性の高いtrans
−ポリアセチレン結合13が形成された。
実施例3 ジアセチレン基を1個もつトリコサジイノイックトリク
ロルシラン HC≡C−C≡C−(CH2)19-SiCl3 を用い、第3図(a)に示したように基板11上に単分子
膜15を形成後、単分子膜15中のジアセチレン基を選択的
に線状に失活させ、不活性ガス中で紫外線(5〜10mJ/c
m2)を用いて重合すると、第3図(b)に示したように
線状のポリジアセチレン結合16(ポリ1,4−ジアセチレ
ン)を有する高配向性超長共役ポリマーが得られた。
なお、この場合紫外線の代わりにX線,電子線もしくは
ガンマ線照射(5mJ/cm2)を用いれば、第3図(c)の
ごとき線状のポリアセチレン結合17(ランダムポリジア
セチレン)を有する高配向性超長共役ポリマーが得られ
た。
実施例4 実施例1と同様にして単分子膜12を基板11上に吸着し、
単分子膜12中の不飽和基を特定の方向に線状に線状に不
飽和基に失活させた後、触媒として五塩化モリブデン(M
oCl5)を溶かしたトルエン中に、単分子膜12が1層形成
された基板11を浸漬し、30〜70℃程度に溶液を昇温する
と、第4図に示すように失活されないで残存していたア
セチレン基が線状に重合して、trans−ポリアセチレン
結合13が形成されたことが、FT−IRにより明らかとなっ
た。
なお触媒としては他に、WCl6,NbCl5,TaCl5等を用いて
も、分子量は異なるが同様の重合反応したtrans−ポリ
アセチレン結合13を有する単分子膜が得られた。
さらにまたこの浸漬重合工程で、触媒としてMo(CO)6
たはW(CO)6を四塩化炭素に溶かした溶液に基板を浸漬し
紫外線を照射しても、分子量は異なるが赤褐色の重合反
応したtrans−ポリアセチレン結合13を有する単分子膜
が得られた。
実施例5 実施例2と同様にして単分子膜14を基板11上に吸着し、
アセチレン基を選択的に失活後、触媒として六塩化タン
グステン(WCl6)と、共触媒としてテトラブチルスズ(Bu4
Sn)とを1:1で溶かしたトルエン中に浸漬し、30〜70℃程
度に溶液を昇温すると第5図に示すように、トリメチル
シラン基(-SiMe3)を含んだ線状で配向性の高いtrans−
ポリアセチレン結合13が形成された。
実施例6 実施例2と同様にして単分子膜14を基板11上に形成し、
アセチレン基を選択的に失活後、触媒として五塩化モリ
ブデン(MoCl5)を溶かした分子中に、酸素原子を含有す
る有機溶媒であるアニソール中に浸漬し、30〜70℃程度
に溶液を昇温すると、第6図に示すように線状の配向性
の高いcis−ポリアセチレン結合18が形成された。
実施例7 実施例2と同様にTMS−NCSを基板11上に化学吸着し、単
分子膜14中のアセチレン基を選択的に失活した後、触媒
として五塩化モリブデン(MoCl5)と、共触媒としてトリ
フェニルビスマス(Ph3Bi)とを1:1の混合比で、分子中に
酸素原子を含有する有機溶媒であるアニソールに溶かし
た溶液中に浸漬し、30〜70℃程度に溶液を昇温すると、
第7図に示すようにトリメチルシラン基(-SiMe3)を含ん
だ高い配向性のcis−ポリアセチレン結合18が形成され
た。
実施例8 第8図(a)に示したように、実施例3と同様にジアセ
チレン基を1個もつトリコサジイノイックトリクロルシ
ランを用い、単分子膜15を基板11上に作成後、単分子膜
15中のジアセチレン基を選択的に線状に失活させ、実施
例7と同じ触媒を用いて重合すると、第8図(b)に示
したようにtrans−ポリアセチレン結合19(ポリ1,2−ジ
アセチレン)が得られた。
更に第8図(c)に示したように、このtrans−ポリア
セチレン結合19を有する単分子膜に、電子線を露光量5m
J/cm2程度照射すると、(電子線の代わりにX線やガン
マ線等の放射線でもよい)、線状のポリアセチレン結合
20を有する高配向性超長共役ポリマーが得られた。
実施例9 実施例1と同様にして第1図(a)に示したように、基
板11上に実施例1と同じNCSの単分子膜12を一層吸着し
た。
次に、第9図に示した基板11の単分子膜12が吸着してい
ない面にローダー21を載せ、ラビングクロス22を用いて
ラピングを行ない、単分子膜12を特定の方向に配向させ
た後、実施例1と同様な手法で単分子膜12中の不飽和基
を失活し、不活性ガス雰囲気(例えばヘリウムガス)中
で放射線(例えばX線を50mJ/cm2)を照射すると、第1
図(c)と構造は同様であるが実施例1よりも配向方向
の揃ったtrans−ポリアセチレン結合13が形成されたこ
とが、FT−IRにより明らかとなった。
なお、放射線としては、X線以外に電子線やγ線を用い
ても同様の重合した単分子膜が得られた。
しかし、紫外線(波長365nm)では重合は全く起こらな
かった。
実施例10 実施例2と同様にして第2図(a)に示したように、TM
S−NCSを基板11上に単分子膜14を1層形成し、これを第
9図と同様のラビングの後、不活性ガス雰囲気(例えば
ヘリウムガス)中で放射線(例えばX線を50mJ/cm2)を
照射すると、第2図(b)と構造は同様であるが実施例
2よりも配向方向の揃った、トリメチルシラン基(-SiMe
3)を含んだtrans−ポリアセチレン結合13が形成され
た。
実施例11 実施例3と同様にジアセチレン基を1個もつトリコサジ
イノイックトリクロルシランを用い、第3図(a)に示
したように単分子膜15を形成し、第9図と同様のラビン
グを行った後、単分子膜15中のジアセチレン基を選択的
に線状に失活させ、紫外線を用いて重合すると、第3図
(b)と構造は同様であるが実施例3よりも配向方向の
揃った、ポリジアセチレン型結合16を有する高配向性超
長共役ポリマーが得られた。
また、電子線やX線を用いると、第3図(c)と構造は
同様であるが実施例3よりも配向方向の揃った。ポリジ
アセン結合17を有するポリジアセチレン型高配向性超長
共役ポリマーが得られた。
実施例12 実施例1と同じNCSを化学吸着させて、第1図(a)と
同様の単分子膜12が吸着した基板11を得た。
次に、第9図に示した方法を用いてラビングを行ない、
単分子膜12を特定の方向に配向させ、単分子膜12中の不
飽和基を実施例1と同様な手法で選択的に失活した後、
触媒として五塩化モリブデン(MoCl5)を溶かしたトルエ
ン中に、単分子膜12が1層形成された基板11を浸漬し、
30〜70℃程度に溶液を昇温すると、第4図と構造は同じ
であるが、実施例4よりも配向方向の揃ったtrans−ポ
リアセチレン結合13が形成されたことが、FT−IRにより
明らかとなった。
なお触媒としては他に、WCl6,NbCl5,TaCl5等を用いて
も、分子量は異なるが同様の重合反応した単分子膜が得
られた。
さらにまた触媒としてMo(CO)6あるいはW(CO)6を四塩化
炭素に溶かした溶液に基板を浸漬し、紫外線を照射して
も、分子量は異なるが赤褐色の重合反応した単分子膜が
得られた。
実施例13 実施例2と同じTMS−NCSを用い、第2図(a)と同様に
基板11上に単分子膜14を1層形成し、第9図と同様なラ
ビングし、実施例2と同様な手法で単分子膜14中の不飽
和基を失活した後、触媒として六塩化タングステン(WCl
6)と、共触媒としてテトラブチルスズ(Bu4Sn)とを1:1で
トルエン中に溶かした溶液に浸漬し、30〜70℃程度に溶
液を昇温すると、第5図と構造は同じであるが配向方向
の揃った、トリメチルシラン基(-SiMe3)を含んだtrans
−ポリアセチレン結合13が形成された。
実施例14 実施例9と同様に単分子膜を吸着後ラビングし、実施例
9と同様な手法で単分子膜中の不飽和基を失活させた
後、触媒として五塩化モリブデン(MoCl5)を、分子中に
酸素原子を含有する有機溶媒であるアニソールに溶かし
た溶液中に浸漬し、30〜70℃程度に溶液を昇温すると、
第6図と構造は同じであるが配向方向は実施例6よりも
揃った、cis−ポリアセチレン結合18が形成された。
実施例15 実施例14と同様のTMS−NCSの単分子膜を1層形成後ラビ
ングし、実施例14と同様に失活させた基板を、触媒とし
て五塩化モリブデン(MoCl5)と、共触媒してトリフェニ
ルビスマス(Ph3Bi)とを1:1で、分子中に酸素原子を含有
する有機溶媒であるアニソールに溶かした溶液中に浸漬
し、30〜70℃程度に溶液を昇温すると、第7図と構造は
同じであるが実施例7よりも配向方向が揃った、トリメ
チルシラン基(-SiMe3)を含んだcis−ポリアセチレン結
合18が形成された。
上述の方法で累積されたcis−ポリアセチレン結合18を
有する単分子膜は、アルコールには不溶性であることが
確認された。
実施例16 実施例8と同じジアセチレン基を1個もつトリコサジイ
ノイックトリクロルシランを用い、第8図(a)と同様
な単分子膜15を基板11上に吸着し、ラビングを行い実施
例8と同様に単分子膜15中の不飽和結合基を選択的に失
活した後、実施例15と同じ触媒を用いて重合すると、第
8図(b)と構造は同じであるが実施例8よりも高配向
したtrans−ポリアセチレン結合19を有する単分子膜が
得られた。
このtrans−ポリアセチレン結合19を有する単分子膜
に、さらに電子線(X線やγ線等の放射線でもよい)を
照射すると、第8図(c)と構造は同じであるが実施例
8よりも配向方向の揃ったポリアセン結合20を有する高
配向性超長共役ポリマーが得られた。
なお実施例9〜16では、単分子膜を1層だけ形成し重合
を行う方法について述べたが、単分子膜を多層累積した
後でラビングを行った後、重合を行っても良く、あるい
は単分子膜の形成−ラビング−重合の工程を連続して交
互に行っても、高配向性超長共役ポリマーの多層累積膜
の作製が可能である。
さらに実施例9〜16では、ラビングを行ってから失活工
程を行う場合について述べたが、ラビング工程は失活工
程の後に行っても良いことは勿論である。
実施例9〜16で説明したように、本発明の製造方法の単
分子膜吸着工程と重合工程との間に、吸着した単分子膜
をラビングするラビング工程を導入することで、より配
向方向が揃った超長共役ポリマーが製造できる効果があ
る。
なお上述した実施例で得られた単分子膜を重合した膜
は、すべてアルコールには不溶であった。
さらに以上述べたことから明らかなように、本発明の製
造方法によると、構造が規制されたポリマー、即ちtran
s型とcis型のポリアセチレン誘導体を自由に選択できる
効果がある。
なお上記実施例で製造された高配向性超長共役ポリマー
は、何れも従来のチーグラー・ナッタ系触媒法で製造さ
れたものに比べ、酸素を含む雰囲気中でも、熱,圧力あ
るいは紫外線などに対して著しく安定であった。
また上述した実施例では、単分子膜を1層だけ形成し重
合を行なう方法について述べたが、単分子膜を多層累積
した後で不飽和基を選択的に線状に失活した後重合を行
っても良く、あるいは単分子膜の形成−線状失活−重合
の各工程を交互に行っても高配向性超長共役ポリマーの
多層累積膜の作成が可能である。
また上述した実施例では、クロルシラン系物質の共役不
飽和結合性不飽和基が、すべてアセチレン系もしくはジ
アセチレン系であったが、本発明はこのアセチレン系に
限定されるものではなく、チオフェン環,ピロール環,
フラン環等であっても適応される技術であることも勿論
である。ただし上述した環構造を有する基を用いる場合
には、重合工程では高エネルギの放射線等を用いる必要
がある。
以上の実施例で述べた本発明の高配向性超長共役ポリマ
ーは、極微細加工が可能であり、優れた導電性を示すた
め、例えば分子素子等の配線に適応できる可能性があ
る。また非常に長い共役不飽和結合を有するため、非線
形光学特性も大きく、従って例えば微細加工可能な非線
形光学特性を利用したスイッチ素子等にも応用できる。
さらに本発明は単分子膜の形成方法としてクロルシラン
系の化学吸着法であるが、他に例えばLB法等によって単
分子膜を形成し、この単分子膜中に含有される共役不飽
和結合性不飽和基を重合する手法でも、当然本発明と同
様な効果が得られること勿論である。
即ち本発明は、共役不飽和結合可能な不飽和基を含む単
分子膜を製造し、この単分子膜中の不飽和基を選択的に
線状に反応性を有しない飽和結合に不活性化すること
で、不飽和結合の反応方向を規定し、しかる後重合する
ことにより高配向性の超長共役ポリマーを製造するもの
である。
発明の効果 以上述べたように本発明は、共役不飽和結合性不飽和基
を含む物質の単分子膜形成工程と、この単分子膜中の不
飽和結合を非反応性に選択的に失活させる失活工程と、
失活工程で失活されなかった不飽和基を重合する重合工
程とを含む製造方法であるため、導電性や非線形光学効
果が非常に優れ、かつ分子量が数百以上で安定な高配向
性超長共役ポリマーを高能率に製造できる効果がある。
なお本発明の製造方法によると、連続した共役系が数mm
或は数cm以上の長さを持つ、直鎖状で1本の超高分子量
の高配向性超長共役ポリマーの製造も可能であるため、
非線形光学効果を利用したデバイスの製作には極めて有
効である。
また、今後さらに原料となる共役不飽和結合性モノマー
の種類や製造条件を適正化することにより、共役系が連
続して数十cm或は数m以上の長さを持つ安定で直鎖状で
あり超高分子量の高配向性超長共役ポリマーの製造も可
能になると思われ、この方法で冷却を必要としない有機
超電導物質の製造が可能となるかもしれない。
【図面の簡単な説明】 第1図はNCS単分子膜よりなりtrans−ポリアセチレン結
合を有する高配向性超長共役ポリマーの製造方法を示
し、第1図(a)は単分子膜形成工程後の単分子が吸着
した様子を示す概念図、第1図(b)は電子線露光(EB
照射)を用いて単分子膜中の不飽和基を選択的に線状に
失活させる工程の概念図、第1図(c)は失活工程を経
た後単分子膜中で残存した不飽和結合を放射線により重
合する工程の概念図、第2図(a),(b)はTMS−NCS
単分子膜よりなりtrans−ポリアセチレン結合を有する
高配向性超長共役ポリマーの製造方法を示す工程図、第
2図(a)は単分子膜形成工程後の単分子が吸着した様
子を示す概念図、第2図(b)は失活工程を経た後単分
子膜中で残存した不飽和結合を放射線により重合する工
程の概念図、第3図(a),(b),(c)はポリジア
セチレン結合を有する高配向性超長共役ポリマーの製造
方法を示す工程図、第3図(a)は単分子膜形成工程後
の単分子が吸着した様子を示す概念図、第3図(b)は
失活工程を経た後単分子膜中で残存した不飽和結合を触
媒溶液に浸漬することにより重合する工程の概念図、第
3図(c)は失活工程を経た後単分子膜中で残存した不
飽和結合を放射線により重合する工程の概念図、第4図
はNCS単分子膜よりなり触媒溶液に浸漬することにより
重合したtrans−ポリアセチレン結合を有する高配向性
超長共役ポリマーの製造方法を示す工程図、第5図はTM
S−NCS単分子膜よりなり触媒溶液に浸漬することにより
重合したtrans−ポリアセチレン結合を有する高配向性
超長共役ポリマーの製造方法を示す工程図、第6図はNC
S単分子膜よりなり触媒溶液に浸漬することにより重合
したcis−ポリアセチレン結合を有する高配向性超長共
役ポリマーの製造方法を示す工程図、第7図はTMS−NCS
単分子膜よりなり触媒溶液に浸漬することにより重合し
たcis−ポリアセチレン結合を有する高配向性超長共役
ポリマーの製造方法を示す工程図、第8図(a),
(b),(c)はジアセチレンの他の実施例の高配向性
超長共役ポリマーの製造方法を示す工程図、第8図
(a)は単分子膜形成工程後の単分子が吸着した様子を
示す概念図、第8図(b)は失活工程を経た後単分子膜
中で残存した不飽和結合を触媒溶液に浸漬することによ
り重合する工程の概念図、第8図(c)は重合工程を経
た後電子線照射によりポリアセン結合を有する高配向性
超長共役ポリマーの重合工程を示す概念図、第9図は単
分子膜をラピングする工程の概念図である。 11……基板、12,14,15……単分子膜、13,19……trans−
ポリアセチレン結合、16,17……ポリ路アセチレン結
合、8……cis−ポリアセチレン結合、20……ポリアセ
ン結合
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 5/18 CER 9267−4F H01B 1/12 C 7244−5G

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】共役不飽和結合性不飽和基と、(モノ,ジ
    もしくはトリ)クロルシラン基とを含むクロルシラン系
    物質を溶解させた非水系の有機溶媒中に、少なくとも表
    面が親水性の基板を浸漬し、前記基板上に前記物質の単
    分子膜を形成する単分子膜形成工程と、前記単分子膜中
    の前記不飽和基を選択的に失活させる失活工程と、前記
    失活工程を経た基板を不活性ガス中で前記単分子膜中の
    失活されないで残った不飽和基を重合させる重合工程と
    を含むことを特徴とする、高配向性超長共役ポリマーの
    製造方法。
  2. 【請求項2】単分子膜形成工程と重合工程との間に、単
    分子膜をラビングするラビング工程を行うことを特徴と
    する、請求項1記載の高配向性超長共役ポリマーの製造
    方法。
  3. 【請求項3】クロルシラン系物質に含有される不飽和基
    が、アセチレン基もしくはジアセチレン基であることを
    特徴とする、請求項1記載の高配向性超長共役ポリマー
    の製造方法。
  4. 【請求項4】クロルシラン系物質に含有される不飽和基
    が、ジアセチレン基であることを特徴とする、請求項3
    記載の高配向性超長共役ポリマーの製造方法。
  5. 【請求項5】クロルシラン系物質が、ω−ノナデシルイ
    ノイックトリクロルシランであることを特徴とする、請
    求項1,3もしくは4何れかに記載の高配向性超長共役ポ
    リマーの製造方法。
  6. 【請求項6】クロルシラン系物質の一端に、トリメチル
    シラン基が結合していることを特徴とする、請求項1,3
    もしくは4何れかに記載の高配向性超長共役ポリマーの
    製造方法。
  7. 【請求項7】クロルシラン系化合物が、1−(トリメチ
    ルシリル)−ω−ノナデシルイノイックトリクロルシラ
    ンであることを特徴とする、請求項6記載の高配向性超
    長共役ポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】失活工程が、走査トンネル顕微鏡での描
    画,電子線露光もしくは放射線露光の何れかであること
    を特徴とする、請求項1記載の高配向性超長共役ポリマ
    ーの製造方法。
  9. 【請求項9】重合工程が、電子線照射もしくは放射線照
    射の何れかであることを特徴とする、請求項1もしくは
    2何れかに記載の高配向性超長共役ポリマーの製造方
    法。
  10. 【請求項10】重合工程が、少なくともハロゲン化金属
    触媒もしくは金属カルボニル触媒の何れかを含む有機溶
    媒中に、失活工程を経た基板上の単分子膜を浸漬する浸
    漬重合工程であることを特徴とする、請求項1もしくは
    2何れかに記載の高配向性超長共役ポリマーの製造方
    法。
  11. 【請求項11】ハロゲン化金属触媒もしくは金属カルボ
    ニル触媒の金属が、Mo,W,NbもしくはTaであることを特
    徴とする、請求項10記載の高配向性超長共役ポリマーの
    製造方法。
  12. 【請求項12】浸漬重合に使用するハロゲン化金属触媒
    もしくは金属カルボニル触媒の少なくとも何れかに加
    え、有機スズ化合物もしくは有機ビスマス化合物の少な
    くとも何れかを含むことを特徴とする、請求項10もしく
    は11何れかに記載の高配向性超長共役ポリマーの製造方
    法。
  13. 【請求項13】浸漬重合で使用する有機溶媒が分子中に
    酸素原子を含み、かつハロゲン化金属触媒が五塩化モリ
    ブデンであることを特徴とする、請求項10〜12何れかに
    記載の高配向性超長共役ポリマーの製造方法。
  14. 【請求項14】クロルシラン系物質が少なくともジアセ
    チレン基を含有し、失活工程もしくは重合工程の少なく
    とも何れかに紫外線を用いることを特徴とする、請求項
    1,2もしくは4何れかに記載の高配向性超長共役ポリマ
    ーの製造方法。
  15. 【請求項15】クロルシラン系物質が少なくともジアセ
    チレン基を含有し、重合工程を経た基板に高エネルギの
    放射線を照射することを特徴とする、請求項1,2,9,10も
    しくは14何れかに記載の高配向性超長共役ポリマーの製
    造方法。
  16. 【請求項16】放射線が、X線,電子線もしくはγ線の
    何れかであることを特徴とする、請求項15記載の高配向
    性超長共役ポリマーの製造方法。
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