JPH0763629B2 - 流動層反応に適する鉄・アンチモン・リン含有触媒の製法 - Google Patents

流動層反応に適する鉄・アンチモン・リン含有触媒の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は鉄・アンチモン・リン含有流動層用触媒の製法
に関し、さらに詳しくは有機化合物の酸化、酸化脱水
素、アンモ酸化などの反応に適した活性と、流動層用触
媒として相応しい物性を備えた鉄・アンチモン・リン含
有触媒の製法に係る。
[従来の技術] 有機化合物の酸化によるアンデヒド類の製造、有機化合
物の酸化脱水素によるジエン類、アルケニルベンゼン
類、不飽和アルデヒド類または不飽和酸類の製造、さら
には有機化合物のアンモ酸化によるニトリル類の製造
に、鉄・アンチモン・リン含有触媒が有用であることは
公知である。例えば、特公昭38−19111号公報、特公昭4
5−32685号公報、特公昭46−2805号公報、特公昭46−28
06号公報、特公昭53−18014号公報などには、プロピレ
ンのアンモ酸化の例が記載され、特公昭54−39839号公
報には、メタノールのアンモ酸化の例が記載されてい
る。
一方、上記のような反応に使用されるアンチモン含有酸
化物触媒ものものについて言えば、製造時の再現性およ
び操業性が悪く、強度の高い触媒を得難いなどの問題が
あるため、触媒の製造法についても幾つかの改良が提案
されている。特公昭42−22476号公報、特公昭46−3456
号公報、特公昭46−3457号公報、特公昭47−18722号公
報、特公昭47−18723号公報などはその例である。
しかし、従来提案されている方法も、触媒の活性と物性
を両立させる点で必ずしも満足できるものではなく、ま
た再現性の点でも問題があった。特に、本発明の触媒の
如く、リン含量を多くした触媒にあっては、従来公知の
アンチモン含有触媒の製法をそのまま適用しても、好結
果を得ることができない。例えば、特公昭47−18722号
公報や特公昭47−18723号公報に教示されている方法
は、流動層反応に適する鉄・アンチモン含有触媒の製法
として、優れたものであるが、触媒成分に比較的多量の
リンを含ませた場合には、後述する通り、流動層反応に
適した活性および物性を備えた触媒を製造し難い。これ
はリン成分が多量に共存すると、アンチモンの酸化が抑
制されるほか、スラリーの性状が大きく変化してその安
定性が低下するためであると推定される。
[本発明が解決しようとする問題点] 本発明の目的は、上述した従来技術の欠陥を克服し、活
性および物性が共に優れた鉄・アンチモン・リン含有流
動層用触媒を再現性よく、技術的にも経済的にも有利に
製造できる方法を確立することにある。
[問題点を解決するための手段] 特公昭47−18722号公報や特公昭47−18723号公報に記載
されている方法は、流動層反応に適したアンチモン含有
固体触媒の製法として推奨できるものではあるが、記述
した通り、この方法はリン成分を多量に含む場合には良
好な活性、物性を有する触媒が得られない。また原料に
使用するアンチモン化合物に制約があり、また噴射乾燥
に先立ってスラリーを特定なpH条件下に熱処理しなけれ
ばならないと言う制約もある。本発明者らは比較的多量
のリン成分を触媒原料の一部として使用する場合には、
スラリーのpHを噴霧乾燥前に調整すれば、上記のような
制約を取り除くことができ、しかも良好な活性および物
性を具備した触媒が得られることを見出した。従来法で
もリン化合物は触媒の物性ないしは活性を改善する任意
成分の一つとして使用された例があるが、アンチモンに
対するリンの比率は僅かであって、そのような量では上
に述べたような制約を取り除くことができない。
従って、本発明の方法は、有機化合物の酸化、酸化脱水
素またはアンモ酸化反応に使用する鉄、アンチモン、リ
ン及びケイ素を必須成分として含有する流動層用金属酸
化物触媒を製造する方法において、鉄化合物、アンチモ
ン化合物、リン化合物及びシリカ担体原料を含み、リン
/アンチモンの原子比が0.1以上である水性スラリーのp
Hを噴霧乾燥前に3以下に調整し、次いでこのスラリー
を噴霧乾燥して焼成することを特徴とする。
本発明の方法で製造される触媒の組成は、必須四成分以
外に任意成分として使用するものの種類および使用量に
もよるが、一般に次の実験式で示すことができる。
FeaSbbPcXdQeRfOg(SiO2 但し、上式中 XはV,MoおよびWからなる群から選ばれた少なくとも一
種の元素を、 QはLi,Na,K,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,
Th,U,Ti,Zr,Hf,Nd,Ta,Cr,Mn,Re,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,
Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Hg,Al,Ga,In,Tl,Ge,SnおよびPbから
なる群から選ばれた少なくとも一種の元素を、 RはB,As,Bi,SeおよびTeからなる群から選ばれた少なく
とも一種の元素を示し、 添字a,b,c,d,e,f,g及びhは原子比を示し、それぞれ次
の範囲にある。
a=5〜15 b=5〜100、好ましくは10〜60 c=1〜30、好ましくは3〜20 d=0〜10 e=0〜15 f=0〜10 g=上記各成分が結合して生成する酸化物に対応する数 h=10〜200 鉄、アンチモン、リンおよびシリカ以外の任意成分は、
反応生成物の選択率、反応速度、触媒物性などの調整の
ために適宜選択して添加することができる。たとえば、
X成分の添加は反応速度の増大に、Q成分の添加は物性
の改善、副生成物の調整に、R成分の添加は選択率の改
善に各々寄与する。
触媒の出発原料について言えば、本発明では鉄成分とし
て硝酸第二鉄、鉄を硝酸に溶解したもの、有機酸の鉄塩
などを任意に用いることができる。また、アンチモン成
分としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五
酸化アンチモン、アンチモン酸、ポリアンチモン酸など
を使用することができ、リン成分としては、オルトリン
酸、縮合リン酸、五酸化リン、リン酸一水素二アンモニ
ウム、リン酸二水素一アンモニウム、リン酸アンモニウ
ムなどが使用可能である。また、シリカ担体原料には、
シリカゾルの使用が有利であるが、その一部をホワイト
カーボン、ヒュームド・シリカ、シリカヒロドゲルなど
で置き換えることもできる。
前記実験式のX,Q,Rなどで示される元素を任意成分とし
て触媒に含ませる場合は、それら任意成分が硝酸塩、炭
酸塩、硫酸塩、水酸化物、酸化物またはその他の化合物
の形で、触媒の出発原料に使用される。
本発明によれば、鉄化合物、アンチモン化合物、リン化
合物およびシリカ担体原料を必須成分として含み、リン
/アンチモン原子比が0.1以上、好ましくは0.15〜3、
さらに好ましくは0.2〜2である水性スラリーは、そのp
Hを3以下に調製し、しかる後、噴霧乾燥し、次いで焼
成することにより目的の触媒を得る。
pHが高過ぎると、スラリーの粘度が高く、噴霧乾燥に支
障を来すので、これを噴霧乾燥するためにはスラリー濃
度を低下させねばならないなどの操作上の問題が生ずる
ばかりでなく、最終的に得られる触媒の性能、特に物性
が悪化するので、噴霧乾燥前のスラリーをpHは3以下で
あることを可とする。
本発明の方法においては、スラリーの加熱処理は必ずし
も必要ではないが、スラリーのpHを3以下、好ましくは
2以下、さらに好ましくは1以下に調整した後、温度40
℃以上、好ましくは60℃以上で加熱処理することは、ス
ラリーの性状を安定化する上で望ましいことである。但
し、スラリーのpHが高い場合は、加熱処理によって最終
的に得られる触媒の物性が、特に強度が一層低下する。
従って、加熱処理を行なう場合は、低いpHで、例えば0
以下のpHで熱処理を行ない、その後スラリーをpHを0〜
3、好ましくは0〜2に調整して噴霧乾燥を行なう方法
は、噴霧乾燥時に多量の酸性ガスが発生するなどの操業
上の不都合を避ける上で好ましい方法である。
スラリーの噴霧乾燥には、回転円盤式、高圧ノズル式、
二流体ノズル式など通常の噴霧乾燥装置が任意に使用す
ることができる。そして、噴霧乾燥後は、乾燥粒子を20
0〜600℃で焼成後、500〜900℃の温度で0.1〜50時間焼
成することにより、本発明の触媒を得ることができる。
本発明の方法で製造された触媒は、前記した如く有機化
合物の酸化、酸化脱水素、アンモ酸化などに使用するこ
とがことができ、触媒使用条件にも公知の使用条件を適
宜選定することが可能である。本発明の触媒は、とくに
メタノールのアンモ酸による青酸製造用触媒として好適
である。
[実 施 例] 以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体
的に説明するが、それに先立ち、鉄−アンチモン−ケイ
素の系と、本発明で対象とする鉄−アンチモン−リン−
ケイ素の系とでは、種々状況が異なることを示すために
実験A〜Dを行なった。
実験A 後記する実施例3全く同じ方法でスラリーを調製し、こ
れを噴霧乾燥して触媒を得た。
実験B 噴霧乾燥前にスラリーの熱処理した以外は実験Aと同様
にして触媒を得た。
実験C リン成分を添加しなかった以外は実験Aと同様にして触
媒を得た。
実験D リン成分を添加しなかった以外は実験Bと同様にして触
媒を得た。この触媒調製法は特公昭47−18722号の方法
に準ずるものである。
上記の実験A〜Dにおける触媒組成、スラリー調製条
件、スラリーのX線回折結果、触媒の耐摩耗性などをま
とめて表1に示す。
実施例1 実験式がFe10Sb25P3O72.5(SiO230である触媒を次の
ようにして調製した。
(I)三酸化アンチモン粉末547gをとる。
(ii)硝酸(比重1.38)0.65と水0.81を混合して加
温し、この中に電解鉄粉83.8gを少しずつ加えて溶解さ
せる。
(III)シリカゾル(SiO220重量%)を1354gとる。
(IV)リン酸(含量85重量%)52.0gをとる。
上記の(III)をよく撹拌しながらこれに(II),(I
V),(I)の順に加え、さらに15%アンモニア水を少
しずつ加えてpH2とする。こうして得られたスラリーを
回転円盤式の噴霧乾燥装置で常法に従い噴霧乾燥した。
得られた微細な球状粒子を200℃で4時間、400℃で4時
間焼成し、さらに800℃で3時間の最終焼成を行なっ
た。
実施例2 実験式がFe10Sb25P7O82.5(SiO230である触媒を実施
例1と同様な方法で調製した。但し、原料を混合して得
たスラリーを噴霧乾燥前に80℃で1時間加熱処理し、次
いでそのpHを1とした。また、噴霧乾燥粒子の最終焼成
は、750℃で3時間行なった。
実施例3 実験式がFe10Sb25P10O90(SiO260である触媒を実施例
1と同様な方法で調製した。但し、スラリーのpHを1と
し、最終焼成は750℃で3時間行なった。
実施例4 Fe10Sb20P10Mo0.581.5(SiO260の実験式で示される
触媒を実施例1と同様な方法で調製した。但し、スラリ
ーのpHを0.2とし、最終焼成は800℃で3時間行なった。
実施例5 Fe10Sb20P9V0.375.75(SiO260の実験式で示される
触媒を実施例1と同様な方法で調製した。但し、スラリ
ーのpHを最終的に0.5とし、最終焼成は800℃で3時間行
なった。
実施例6 Fe12Sb25P10W0.594.5(SiO260の実験式で示される
触媒を実施例1と同様な方法で調製した。但し、スラリ
ーのpHを0.5とした後、100℃で1時間加熱処理を行な
い、最終焼成は850℃で3時間行なった。
実施例7 下記の実験式で示される触媒を実施例1と同 Fe10Sb20P10V0.3Mo0.2Cu2 Ni2Ti0.185.55(SiO260 様な方法で調製した。但し、原料を混合して得たスラリ
ーを95℃で2時間加熱処理し、次いでそのpHを1とし
た。また、最終焼成は700℃で3時間行なった。
実施例8 下記の実験式で示される触媒を実施例1と同 Fe10Sb20P5V0.2Co1Mn1Mg0.5 Bi0.20.271.1(SiO260 様な方法で調製した。但し、スラリーのpHを0とし、最
終焼成は850℃で3時間行なった。
実施例9 下記の実験式で示される触媒を実施例1と同 Fe10Sb20P15V0.30.2Ce0.5 Ti1Cr0.5Zr0.597.6(SiO260 様な方法で調製した。但し、スラリーのpHを0以下と
し、最終焼成は750℃で3時間行なった。
実施例10 下記の実験式で示される触媒を実施例1と同 Fe10Sb20P10Mo0.5Zr2Al0.5 Ag0.1Sn2O90.35(SiO260 様な方法で調製した。但し、スラリーのpHを0.5とし、
最終焼成は700℃で3時間行なった。
実施例11 下記の実験式で示される触媒を実施例1と同 Fe8Sb15P20W1Pb2 La0.295.3(SiO270 様な方法で調製した。但し、最終焼成は650℃で3時間
行なった。
比較例1 Fe10Sb20P10Mo0.581.5(SiO260の実験式で示される
触媒(実施例4と同一組成)を実施例1と同様な方法で
調製した。但し、スラリーのpHは4とし、最終焼成は80
0℃で3時間行なった。
比較例2 Fe12Sb25P10W0.594.5(SiO260の実験式で示される
触媒(実施例6と同一組成)を実施例1と同様な方法で
調製した。但し、原料を混合して得たスラリーのpHを0.
5とした後、100℃で1時間加熱処理し、次いでそのpHを
3.5とした。また最終焼成は850℃で3時間行なった。
上記の実施例および比較例で調製された各触媒の活性お
よび物性を、触媒組成、調製条件などと共に表2に示
す。
尚、触媒の活性試験および耐摩耗性試験は次の方法で行
なった (1)活性試験 触媒流動部の内径2.5cm、高さが40cmの流動層反応器に
触媒を充填し、所定の条件でメタノールのアンモ酸化反
応を行なわせ、下記の式で求められる収率、転化率およ
び選択率から各触媒の活性を評価した。反応条件は次の
通りとした。
圧力:常圧、温度および接触時間:表1参照O2(空気と
して供給)/CH3OH=4.3(モル比) NH3/CH3OH1.1(モル比) (2)耐摩耗性試験 流動接触分解触媒の強度試験法として知られている“テ
スト・メソード・フォ・シンセティク・クラッキング・
キャタリスツ(Test Methods for Synthetic Cracking
Catalysts)"American Cyanamid Co.Ltd.6/31−4m−1/5
7記載の方法に準じて行なった。
摩耗損失(%)は次式により求めたものである。
但し、A=0〜5時間に摩耗損失した触媒の重量(g) B=5〜25時間に摩耗損失した触媒の重量(g) C=試験に供した触媒の重量(g) 尚、この試験はC=50で行なった。耐摩耗性の大きい触
媒ほど、この摩耗損失(%)R値は小となる。
[発明の効果] 鉄化合物、アンチモン化合物、リン化合物およびシリカ
担体原料を含有する水性スラリーから噴霧乾燥によっ
て、有機化合物の酸化反応、酸化脱水素反応ないしはア
ンモ酸化反応等に好適な触媒を、それも流動層反応に好
適な触媒を製造する場合、従来知られている方法ではリ
ン成分が多量に共存すると製造しにくかった。しかし、
本発明の方法によれば、従来公知のアンチモン含有流動
層触媒の製法が持つ、出発原料として特定なアンチモン
化合物を選定しなければならないとか、噴霧乾燥前にス
ラリーを特定なpH条件下で加熱処理しなければならない
とかの制約を排除することができ、しかも良好な活性と
物性を備えた流動層反応用触媒を製造することができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機化合物の酸化、酸化脱水素またはアン
    モ酸化反応に使用する鉄、アンチモン、リン及びケイ素
    を必須成分として含有する流動層用金属酸化物触媒を製
    造する方法において、鉄化合物、アンチモン化合物、リ
    ン化合物及びシリカ担体原料を含み、リン/アンチモン
    の原子比が0.1以上である水性スラリーのpHを噴霧乾燥
    前に3以下に調整し、次いでこのスラリーを噴霧乾燥し
    て焼成することを特徴とする鉄・アンチモン・リン含有
    流動層用触媒の製法。
  2. 【請求項2】鉄・アンチモン・リン含有流動層用触媒が
    下記の実験式で示される組成を有する特許請求の範囲第
    1項記載の方法。 FeaSbbPcXdQeRfOg(SiO2 但し、上式中 XはV,MoおよびWからなる群から選ばれた少なくとも一
    種の元素を、 QはLi,Na,K,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,
    Th,U,Ti,Zr,Hf,Nd,Ta,Cr,Mn,Re,Co,Ni,Ru,Rh,Pd,Os,Ir,
    Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Hg,Al,Ga,In,Tl,Ge,SnおよびPbから
    なる群から選ばれた少なくとも一種の元素を、 RはB,As,Bi,SeおよびTeからなる群から選ばれた少なく
    とも一種の元素を示し、 添字a,b,c,d,e,f,g及びhは原子比を示し、それぞれ次
    の範囲にある。 a=5〜15 b=5〜100 c=1〜30 d=0〜10 e=0〜15 f=0〜10 g=上記各成分が結合して生成する酸化物に対応する数 h=10〜200
  3. 【請求項3】pHが0以下に調整されたスラリーを温度40
    ℃以上で加熱した後、そのスラリーのpHを0〜3に調整
    し、しかる後にこれを噴霧乾燥することを特徴とする特
    許請求の範囲第1項または第2項記載の方法。
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