JPH0767716B2 - 熱可塑性樹脂成形品の射出成形法及び射出成形用金型 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品の射出成形法及び射出成形用金型

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JPH0767716B2
JPH0767716B2 JP3123035A JP12303591A JPH0767716B2 JP H0767716 B2 JPH0767716 B2 JP H0767716B2 JP 3123035 A JP3123035 A JP 3123035A JP 12303591 A JP12303591 A JP 12303591A JP H0767716 B2 JPH0767716 B2 JP H0767716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、収縮に起因したヒケ等
の欠陥を表面に形成することなく、肉厚が異なる熱可塑
性樹脂成形品を射出成形する方法及び射出成形用金型に
関する。
【0002】厚肉部及び薄肉部を持つ熱可塑性樹脂成形
品を射出成形法で製造するとき、金型に充填された樹脂
が冷却・固化する過程では厚肉部が最終的に凝固する。
そのため、樹脂の体積収縮が厚肉部に集中し、厚肉部の
表面にヒケ等が発生しがちになる。成形品の商品価値
は、ヒケ,変形等(以下、これをヒケで代表させて説明
する)の発生により著しく低下する。従来の射出成形法
では前記体積収縮を補うため、樹脂の射出充填完了直後
に保圧工程を設け、キャビティ内の溶融樹脂にヒケを防
止するための圧力を作用させている。しかし、製品形状
が複雑になるとゲートシールが先行し、十分な保圧がか
けられず、満足な外観を持った製品を得ることが出来な
い。
【0003】ヒケの発生を抑制する手段として、たとえ
ば特公昭61−53208号公報、特開昭63−268
611号公報、特開昭64−63122号公報等で、樹
脂流路を通じて高圧ガスをキャビティに送り込み、中空
化したガス流路を介して保圧をかけ、表面欠陥の発生を
抑制することが紹介されている。しかし、複雑な形状を
持つ成形品を製造する場合、必要な中空化が十分出来ず
ヒケを生じたり、ガス流路が溶融樹脂のフローリーダー
となって、エアートラップや激しいフローマーク等の表
面欠陥を生じ易い。極端な場合には、高圧ガスが表層の
樹脂層を突き破り、成形が困難になることもある。その
ため、適用可能な形状に制約が加わり、実用的な対策で
はない。また、高圧ガス自体の取り扱いも容易ではな
い。
【0004】また、樹脂を充填した後で成形品の裏面側
から厚肉部を加圧することも知られている。加圧手段と
しては、金型の一部を可動にし、油圧又は空圧で加圧し
たり、或いは特公昭61−126号公報のように厚肉
部背面をガス体で加圧したりする方法がある。しかし前
者の場合、金型構造が複雑になったり、成形機が特殊に
なる等、汎用性が乏しくなる。後者の場合は、成形品の
裏面に不定形のヒケが生じてしまい、商品価値を著しく
損なう等の別の欠陥が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、セットアッ
プ性が高いポリカーボネイト、PMMA等の樹脂では、
表面層の冷却・固化が速い条件下で射出成形するとき、
表面層に発現した強度が樹脂の体積収縮力を上回る。そ
のため、表面層の変形が生ぜず、厚肉部の内部にボイド
と呼ばれる空洞が生じる。この場合、厚肉部の表面には
ヒケ等の欠陥が発生しない。
【0006】このボイド現象は、成形品の強度を低下さ
せる欠陥とされている。しかし、ボイド現象を積極的に
ヒケ発生防止に活用することが、特公平2−13886
号公報に紹介されている。すなわち、成形品のヒケの発
生し易い個所の裏面側に相当する型キャビティ面からキ
ャビティに達するヒケ制御部材を設け、その先端部周辺
にボイドを発生させることにより、ヒケの発生を防止し
ている。
【0007】 この方法は、簡単な手段でヒケを防止で
きることから有効な方法である。しかし、Plasti
c Year Book(1974) P.115,
「プラスチツクガイド/成形加工編」等の文献で報告さ
れているように、ボイドを発生させるためには、金型が
冷却困難な部分をもっていること、すなわちヒケ制御部
材が熱容量の大きい材質で作られ且つより高温に保持さ
れることが要求される。そのため、ヒケ制御部材の小型
化が難しく、ヒケ制御部材の組込み個所に制約が生じ、
高温に安定保持出来ない等の問題が生じる。その結果、
成形品全体の厚肉部を確実にヒケ防止することが困難で
ある。また、ヒケの発生し易い個所は、成形条件に大き
く影響され、同一成形品でもヒケ発生個所が一定せず、
成形サイクル毎に変動するので、その位置を特定するの
が困難である。しかも、厚肉部の形状やサイズによって
も変動を受け易い。また、ポリアセタール等の樹脂では
成形収縮分を補填する程に十分ボイドが発達せず、成形
品表面のヒケを充分に防ぐことが出来ない。又特公昭4
8−41264号公報には、金型キャビティ内にノズル
が往復移動機構で突出され樹脂の固化する前に、ガスを
ノズルの軸芯に形成された通路を通り、ノズルの先端よ
り高圧でキャビティ内の樹脂の中に圧入する射出成型法
を開示している。しかしながらこの方法は、高圧ガスを
使用しているので好ましいボイドを形成するように圧力
を制御するのは困難である。更には、ノズルは固化した
樹脂の収縮力により把持されている。従って、ノズルは
機械的に往復移動機構を利用しない限り樹脂成型品を金
型キャビティから円滑に抜き出すことが出来ない。従っ
て、その設置位置や数量も制限を受けることとなる。
【0008】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、金型の適切な位置に設けられたボ
イド挿入ピンを介して加圧ガスを作用させることによ
り、ボイド挿入ピンの先端部近傍にある溶融樹脂中にボ
イドを確実に且つ強制的に誘発させ、肉厚が著しく異な
るものにあっても優れた表面性状をもつ熱可塑性樹脂成
形品を得ることを目的とする。
【0009】本発明の射出成形方法は、その目的を達成
するため、異なる肉厚をもつ熱可塑性樹脂成形品を射出
成形する際、ヒケ現象が起きる厚肉部に相当する金型キ
ャビティの任意の位置にボイド挿入ピンを設けて、前記
キャビティにキャビティを満たすに十分な溶融樹脂を射
出充填し、保圧工程完了後前記ボイド挿入ピンを介して
そのピン先端に、該ピンの先端近傍に生じている樹脂ス
キン層を突き破る圧力の加圧ガスを作用させ、前記ボイ
ド挿入ピンの先端部の溶融樹脂中にボイドを誘起せしめ
た後、前記溶融樹脂の冷却・固化に伴う収縮力で収縮に
見合った大きさに前記ボイドを成長させて成形品のヒケ
を防止することを特徴とする。
【0010】 なお、成形品の形状によっては溶融樹脂
を射出充填し、保圧工程完了後、又は保圧工程を省略
し、直ちに加圧ガスを作用させても成形品のヒケを防止
することができる。保圧工程とは、金型のキャビティを
熱可塑性樹脂で充填した後、たとえば5秒以内の所定時
間の間そのままの状態で射出圧力を保持する工程をい
う。この保圧工程で、キャビティの隅々まで溶融樹脂が
充填されると共に、キャビティからの溶融樹脂の逆流に
起因した充填圧力の低下が防止される。
【0011】また、ボイド挿入ピンの周面或いはスリッ
ト等を介してピン先端から加圧ガスを作用させ、前記ボ
イド挿入ピンの先端部の溶融樹脂中にボイドを誘起せし
めた後、引続き加圧ガスの作用を冷却工程終了まで継続
させ、前記ボイドが溶融樹脂の冷却・固化に伴う収縮力
で収縮量に十分見合った大きさにまで成長を促進させる
ことも有効である。この際、作用させる加圧ガスの圧力
を、溶融樹脂の冷却・固化に伴う体積収縮に応じて変化
させても、ボイドの成長はより促進される。
【0012】この方法で使用される成形用金型は、製造
される樹脂成形品の形状に対応して厚肉部及び薄肉部か
らなるキャビィティを備え、該キャビティの厚肉部に先
端が突出するボイド挿入ピンと、該ボイド挿入ピンの長
手方向に沿って周面に形成された加圧ガス導入路を備え
ており、前記ボイド挿入ピンの先端が尖っていることを
特徴とする。なお、ボイド挿入ピンとして、スリーブ突
出し部を兼ねたものを使用することもできる。
【0013】
【作用】金型キャビティに溶融樹脂を射出充填し、保圧
工程完了後、又は保圧工程を省略した場合には射出充填
直後に、金型内面からキャビティに突出するボイド挿入
ピンを介して加圧ガスを作用させると、加圧ガスはボイ
ド挿入ピン先端に形成されつつある樹脂スキン層を突き
破り、溶融樹脂中に微小気泡を挿入してボイド成長の核
となるボイド核を形成する。一旦ボイド核が形成された
後では加圧ガスの作用を停止しても、ボイド核には周囲
の樹脂の冷却・固化に伴う体積収縮力が集中する。その
ため、ボイド核を種として発生したボイドは、体積収縮
力を次々と吸収しながら、ヒケを防止するのに充分な大
きさにまで成長し続ける。これにより、ボイド挿入ピン
周囲のみならず厚肉部全体にまでヒケ抑制作用が及んで
行く。このとき、加圧ガスの作用を継続すると、樹脂の
体積収縮力と加圧ガスの圧力が相乗し、ボイドの成長を
助長し、厚肉部ばかりでなく周辺の薄肉部や隣接する厚
肉部のヒケまでも抑制することが可能となる。
【0014】ボイド挿入ピンとして先端を尖らせたもの
を使用するとき、加圧ガスの作用が先端に集中してボイ
ド核の形成が容易となり、任意の箇所にボイドが発生す
る再現性も高くなる。また、加圧ガスがボイド挿入ピン
先端に形成されつつある樹脂スキン層を突き破る際に生
じる貫通孔は、直径0.5mm前後のものが多く、外観
上ほとんど判別できない。そのため、製品の外観が損な
われることはない。ボイド挿入ピンの直径は、特に制限
されるものではないが、強度を考慮すると1mm以上が
必要であり、好ましくは1〜10mm、より好ましくは
1〜5mmが望ましい。また、ボイド挿入ピンの先端位
置は、キャビテイ内の厚肉部に入り込んでいれば良く、
必ずしも中心部にある必要はない。更に、ボイド挿入ピ
ンの設置位置も特に制限されるものではなく、製品設計
上、都合の良い箇所に設けることができ、厚肉部の端部
に設置しても十分な効果が得られる。このように、特公
平2−13886号公報記載のヒケ制御部材のように熱
容量を大きくしたり、ヒケの発生し易い箇所を限定して
設置する必要もないので、製品設計上の自由度が比較に
ならないほど大きくなる。また、ボイド挿入ピンは、効
果的に加圧ガスの作用を先端部に集中する限り、特に円
柱である必要はなく、形状に関する自由度も比較的大き
い。
【0015】 使用する加圧ガスの圧力は、特公昭61
−53208号公報等で厚肉部の中空化に用いられてい
る高圧ガスの押圧力よりも遥かに低圧の5〜15kg/
cm2 と比較的低圧ですむ。ほとんどの場合、10kg
/cm2 以下の空気圧で充分であり、容易に加圧ガス源
を得ることができる。すなわち、特公昭57−1496
8号,特公昭61−53208号公報等に述べられてい
る厚肉部の中空化に必要な150kg/cm2 にまで及
ぶ高圧窒素ガスを使用する必要が生じないので、特殊な
設備構成や操業条件は要求されず、一般の操業条件下で
もヒケ発生がなく優れた表面性状を持つ成形品を容易に
得られ、その優位性は計り知れない。しかも、加圧ガス
は、低い圧力であってもボイドの成長を助長する効果が
あり、特に成形収縮力の強い樹脂のヒケ防止に有効であ
る。その点、樹脂の冷却中に加圧ガスの作用を継続させ
てボイドの成長を促進させて樹脂の収縮分を充分に吸収
するとき、ヒケの発生が一層確実に防止される。ガスは
ボイド挿入ピンの外周に沿って樹脂内に送られる。従っ
てそのガスは、ボイド挿入ピンと樹脂中に僅かな空隙を
形成する。その結果、特公昭48−41264号公報に
開示された方法とは異なりボイド挿入ピンから成型品は
容易に抜き取ることができる。
【0016】次いで、本発明を詳細に説明する。本発明
に従って射出成形される樹脂は、特段その種類が限定さ
れるものではなく、ポリスチレン,ポリプロピレン,A
BS,ポリカーボネイト樹脂等のほとんどの熱可塑性樹
脂、或いは充填強化材を混入した樹脂等がある。なかで
も、ポリプロピレン,ABS等の成形収縮率の大きな樹
脂等に本発明を適用するとき、その作用が顕著に現れ
る。また、使用する加圧ガスとしては、たとえば窒素、
空気等のガスが常温で用いられる。加圧ガスは、低圧で
作用させるので、ガス温度が常温であることと相俟つ
て、酸化作用等の悪影響を樹脂に与えることがない。こ
の点から、コスト,取り扱い等の面で有利な圧縮空気の
使用が可能である。
【0017】ボイド挿入ピンは、対象となる厚肉部の任
意の位置に設置される。厚肉部のサイズが大きく一箇所
のボイド発生だけでは厚肉部全体の収縮量を吸収しきれ
ない場合、適切な距離毎に複数のボイド挿入ピンを設置
する。ボイド挿入ピン間の設置距離は、一つのボイド挿
入ピンがその収縮力を補填する厚肉部の体積との相関で
定められるが、成形条件,特に樹脂温度によっても影響
されるので余裕をもって設置するほうが好ましい。
【0018】 熱可塑性樹脂は、射出成形機からゲート
を介して溶融状態で金型のキャビティに注入され、キャ
ビティを満たす。樹脂の充填が完了すると、図1に示す
ようにキャビティ厚肉部に設けたボイド挿入ピン1に直
ちに加圧ガスを作用させる。加圧ガスは、金型20外部
の供給源から加圧ガス導入路2を介してボイド挿入ピン
1の周面から先端に向かい、ボイド挿入ピン1の周面と
溶融樹脂5の表面スキン層3とを剥離しながら、ボイド
挿入ピン1の先端に集中する。溶融樹脂5が冷却されて
体積収縮が始まると、ボイド挿入ピン1の先端にある樹
脂スキン層3は、加圧ガスの圧力で突き破られる。この
とき、ボイド挿入ピン1が尖った先端部をもっている
と、先端に近いほど樹脂スキン層3の形成が遅れて薄く
なるので、ピン先端部の薄い樹脂スキン層3が加圧ガス
によって容易に突き破られ、貫通孔4が形成される。溶
融樹脂5の内部に加圧ガスが微小気泡として送り込ま
れ、ボイド成長の種となるボイド核6が形成される。
【0019】加圧ガスによる加圧は、この時点で直ちに
止めることができる。このとき、残留したガス圧力は、
加圧ガス導入路2を大気に連通させることにより開放さ
れる。しかし、加圧ガスの開放は、敢えて行なう必要は
ない。むしろ、ボイドの成長を促進させ、且つボイド挿
入ピン1の離型性を向上させる効果がある。更に、加圧
ガスの作用を積極的に継続すると、樹脂の体積収縮力と
加圧ガスの圧力が相乗してボイドの成長が促進され、樹
脂成形品の厚肉部ばかりでなく厚肉部周辺の薄肉部や隣
接する厚肉部のヒケまでも抑制することが可能となる。
この点で、樹脂の冷却・固化が完了する時点まで加圧を
続けることも有効である。
【0020】ボイド核6は、冷却工程の進行に従って、
周囲の溶融樹脂5の冷却・固化に伴う体積収縮力で吸引
され、図2に示すようにボイド7に成長していく。この
とき、ボイド7は、冷却・固化が遅れている溶融樹脂
5’の方向に、形状Iから形状IIのように成長し続け
る。冷却工程が完了したとき、金型を開いて成形品を取
り出す。
【0021】得られた成形品は、表面にヒケが全く生じ
ておらず、キャビティ形状を完全に転写した外観の優れ
た表面性状をもつものとなる。また、自由に設計された
厚肉部で成形品自体の骨格を形成することができるた
め、従来の一般的な射出成形品では実現できなかった強
度、剛性をもつ成形品を得ることができる。
【0022】
【実施例】以下、図面を参照しながら、実施例を説明す
る。 実施例1 本実施例においては、図3に示すように平板部8の背面
に厚肉のリブ9を持つ射出成形体10を製造する。な
お、平板部8の側面には、溶融状態の熱可塑性樹脂を注
入するためのゲート11が形成されている。ゲート11
は切り落とされ、製品となる。リブ9は、長さ230m
m,高さ17mmで、平板部8の厚み3mmに比較して
10mmの厚みとなっている。この厚みのため、通常の
射出成形法によるとき、リブ9に対応する平板部8の表
面12〜14にヒケが著しく発生する。
【0023】そこで、図4に示すように、射出成形体1
0の形状に対応したキャビティ21を形成する射出成形
用金型20の可動型26に100mmのピッチで、直径
2mmのボイド挿入ピン22〜24を3本取りつけた。
ボイド挿入ピン22〜24は、キャビティ21内に突出
するように可動型26に組み込まれ、キャビティ21に
突出する先端部を円錐状に尖らせた。
【0024】ボイド挿入ピン1が嵌挿される可動型26
には、図5に示すように嵌挿孔30が形成されている。
嵌挿孔30は、大径部31とキャビティ21側に位置す
る小径部33とを備えている。大径部31は、ボイド挿
入ピン1の断面よりも大きな径をもっており、ボイド挿
入ピン1の側面との間に環状の空間部32が形成され
る。空間部32は、加圧ガス導入路として働き、加圧ガ
ス供給路27を経て加圧ガス供給源29に接続している
(図4参照)。小径部33は、ボイド挿入ピン1の断面
よりも若干大きな径をもっており、ボイド挿入ピン1と
の間に狭間隙の環状空間部34を形成する。
【0025】キャビティ21に溶融状態のポリスチレン
樹脂(新日鐵化学製エスチレンH−65)を射出し、3
秒間の保圧工程を完了した後、直ちに加圧ガス供給源2
9の9.5kg/cm2 に加圧された常温の圧縮空気
を、弁28を開き加圧ガス供給路27からボイド挿入ピ
ン22〜24の環状空間部32及び34を経てボイド挿
入ピン22〜24の周面35に沿って送り込み、ボイド
挿入ピン22〜24の先端に作用させた。8秒後に加圧
ガスの供給を止め、弁28を介して加圧ガスを大気に開
放し、そのまま加圧ガス導入路2,32と大気とを連通
させた状態で、ポリスチレン樹脂を冷却・固化した。6
0秒間の冷却工程を経た後、得られた射出成形体10を
金型20から取り出した。このとき、ボイド挿入ピン2
2〜24の先端に直径0.5mm前後の貫通孔が形成さ
れ、貫通孔の先にボイド7が成長していることが確認さ
れた。得られた射出成形体10の表面状態を調査したと
ころ、ヒケ等の表面欠陥は何ら検出されなかった。
【0026】比較例1 加圧ガスを作用させることによる効果を確認するため
に、次の比較実験を行った。 (1) 加圧ガスを作用させず、他は実施例1と同様な条件
下で成形した射出成形体10にあっては、リブ設置部に
対応する表面部12〜14及びリブ自体の側面に著しい
ヒケが発生し、製品としての表面性状に劣るものであっ
た。また、得られた射出成形体10には、ボイド挿入ピ
ン1の先端に対応する位置でボイドの発生がみられなか
った。 (2) 次に、ボイド挿入ピン1に代え直径6mmの円筒状
のピンを鋼材SK−4で作り、特公平2−13886に
述べられているヒケ制御部材として使用した。そして、
同様な条件で射出成形したところ、ボイドの発生がみら
れず、著しいヒケが発生し、同様に製品としての表面性
状に劣るものであった。この際、射出成形用の材料をA
BS樹脂,ポリカーボネイト樹脂,PMMA樹脂等に替
えてみたが、結果は同じであった。 (3) 実施例1と同様な条件下で、保圧工程中の3秒間に
加圧ガスを作用させ、冷却工程に移ると同時に加圧ガス
の供給を止め、弁28を介して加圧ガスを大気に開放
し、そのまま加圧ガス導入路2と大気とを連通させた状
態でポリスチレン樹脂を冷却・固化した。この場合、ボ
イドの発生がみられず、著しいヒケが発生し、同様に製
品としての表面性状に劣るものであった。また、射出充
填完了前から保圧工程中にかけ、実施例1と同様な条件
下で加圧ガスを作用させ、冷却工程に移ると同時に加圧
ガスの供給を止めた状態でポリスチレン樹脂を冷却・固
化した場合も、ヒケが発生して表面性状に劣る成形品と
なった。
【0027】実施例2 実施例1と同様な条件下で、冷却工程中に作用させる加
圧ガスの作用時間を変え、作用時間と射出成形体10に
生成したボイドの大きさとを比較した。その結果を、図
6に示す。この結果と比較例1(2)の結果から、ボイ
ド核の生成は、加圧ガスの作用開始後5秒以内に起きて
いると判断できる。また、ボイド核の生成後も引き続き
加圧ガスの作用を継続すると、ボイドの成長が助長され
ていることも判る。更に、樹脂成形体10の表面状態を
詳細に観察することにより、ボイドの大きさと樹脂成形
体10の表面性状の改善との間に比例関係にあることが
観察された。
【0028】そこで、より早い段階でボイドを発生さ
せ、樹脂固化層の成長速度とボイドの成長が同期するよ
うに、キャビティ21に溶融状態のポリスチレン樹脂が
完全に射出充填された直後に、保圧工程を省略して加圧
ガスを作用させた。これにより、ボイドの成長がより促
進されると共に、表面性状も一層改善され、保圧工程を
必ずしも必要としないことが確認された。この結果を、
図6に示した。成形品の重量は、保圧工程を入れた場合
に133.9g、保圧工程を経ない場合に131.2g
であった。また、加圧ガス作用の有無による重量差は生
じなかった。
【0029】実施例3 本実施例においては、実施例1と同様に平板部8の中央
背面部に厚肉のリブ9を持つ射出成形体10を製造す
る。平板部8の肉厚を2mm及び3mmとし、リブ9を
厚み6mm,高さ7mm以上,長さ230mmとした。
このリブ9は、実施例1のリブに比較して厚肉部の断面
が格段に小さくなっている。しかし、通常の射出成形法
によるとき、リブ9に対応する平板部8の表面12〜1
4にやはり顕著なヒケが発生する。そこで、実施例1と
同じように、射出成形体10の形状に対応したキャビテ
ィ21を形成する射出成形用金型20の可動型26に、
100mmのピッチで直径2mmのボイド挿入ピン22
〜24を3本取りつけた。
【0030】この金型を用い、冷却工程を40秒間に設
定し、他は実施例1と同様な条件下で射出成形を行っ
た。得られた射出成形体10にあっては、ボイド挿入ピ
ン1の先端に当る位置に直径0.5mm前後の貫通孔が
形成されており、貫通孔の先にボイド7が成長している
ことが確認された。この射出成形体10の表面状態を調
査した結果、実施例1と同様にヒケ等の表面欠陥は何ら
検出されなかった。
【0031】次に、金型のボイド挿入ピン22の先端だ
けに加圧ガスを作用させ、他は同様な条件下で成形した
射出成形体10にあっては、射出成形体10の表面12
及び13にヒケ等の表面欠陥は何ら検出されなかった。
しかし、表面14に多少のヒケが観察された。また、ボ
イド挿入ピン23の先端だけに加圧ガスを作用させた場
合にも、表面12及び14の先端部に僅かのヒケが観察
された。そこで、上記2例の場合において、何れも保圧
工程を省略し、加圧ガスの作用を冷却工程の終了まで継
続させたところ、表面12及び14にもヒケ等の表面欠
陥は何ら検出されなくなった。
【0032】実施例4 以上の各実施例では、冷却工程に入った後、直ちに加圧
ガスをボイド挿入ピンの先端に作用させている。この加
圧ガスを作用させるタイミングを遅らせた場合における
遅延時間と生成するボイドの大きさ及び表面性状との関
係を、実施例2と同じ条件下で比較した。その結果を図
7に示す。この結果から、樹脂固化層の成長がボイドの
成長よりも先行して行われると、ヒケの原因となる樹脂
の体積収縮をボイドによって充分吸収することができ
ず、表面性状の改善が不十分になることがわかる。
【0033】以上に述べた実施例1〜4及び比較例1の
結果をまとめると、図8のように表すことができる。
【0034】実施例5 形状及び肉厚が複雑に変わる射出成形体の製造に本発明
を適用するとき、その作用及び効果が顕著なものとな
る。たとえば、図9に示すように、薄肉部15及び厚肉
部16をもち、しかも厚肉部16の厚みが種々異なる形
状の射出成形体10を製造するとき、それぞれの厚肉部
16に対して〇及び●で示す位置に対応する金型キャビ
ティ内にボイド挿入ピンを設置した。そして、金型キャ
ビティに溶融樹脂を射出充填した後、直ちに加圧ガスを
作用させたところ、冷却完了後には複雑な製品形状にも
拘らず、ヒケ等の表面欠陥を発生させることなく、外観
性に優れた製品を得ることが可能となった。
【0035】〇で示すA部には、図10に示したスリー
ブ突出部を兼ねたボイド挿入ピン1を設置した。加圧ガ
スは、配管46を介してエジェクタースリーブ41に直
接取り付けられた加圧ガス導入口45に導かれ、ボイド
挿入ピン1及びエジェクタースリーブ41で形成される
環状の加圧ガス導入路2を通って、キャビティ21に突
出したボイド挿入ピン1の先端に作用する。エジェクタ
ースリーブ41は、エジェクタープレート42に固定さ
れ、末端ではボイド挿入ピン1との環状空間をOリング
47でシールされている。また、ボイド挿入ピン1は取
付板43に固定されている。この形式のボイド挿入ピン
1は、他形式のボイド挿入ピンでは設置が困難な個所に
対しても容易に設けることが出来、しかも機構が簡単で
製作が容易なうえ、スリーブ突出し機構をも兼ねる。そ
のため、金型製作時のコスト増を抑えることが出来る。
【0036】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、肉厚が異なる製品を射出成形するとき、金型キャビ
ティの厚肉部に対応する任意の位置にそれぞれボイド挿
入ピンを設置し、射出した樹脂で金型のキャビティを充
填した後、ボイド挿入ピンを介してピン先端に加圧ガス
を作用させる。加圧ガスは、ピン先端の樹脂スキン層を
貫通して溶融樹脂中にボイド形成の核となる気泡を形成
する。この気泡を種として樹脂冷却の進行に伴いボイド
が成長し、樹脂の体積収縮を吸収する。その結果、得ら
れた射出成形体は、極端な厚肉部と薄肉部とを併せ持っ
た複雑な形状であっても、ヒケ等の表面欠陥がなく、優
れた表面性状をもつ商品価値の高いものとなる。しか
も、溶融樹脂の充填・保圧力を高く保持してヒケの防止
を図る従来の射出成形法に比べて、保圧工程を省略する
こともできるので、型閉め力のより小さい成形機の使用
が可能となり、成形歪みも低く抑えられる等の利点があ
る。また、厚肉部を中空化する成形法と比べても、厚肉
部中心の未冷却樹脂を押し出して中空化する等の無理な
樹脂の流動を伴うことがないので、成形が極めて容易で
あり、且つ取扱いが困難な特殊高圧ガスを必要としない
等、実用上極めて有利な射出成形法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った加圧ガスの作用によるボイド
核の生成を示す。
【図2】 本発明に従った樹脂冷却の進行に伴うボイド
の成長を示す。
【図3】 本発明の実施例1で製造する射出成形体を示
す。
【図4】 同射出成形体に対応したキャビティを形成す
る金型の断面図。
【図5】 ボイド挿入ピンを介した加圧ガスの作用を説
明するための図。
【図6】 冷却工程中に作用させる加圧ガスの作用時間
と生成するボイドの大きさ及び外観性との関係を説明す
るためのグラフ。
【図7】 加圧ガスを作用させるタイミングの遅延時間
と生成するボイドの大きさ及び外観性との関係を説明す
るためのグラフ。
【図8】 実施例1〜4の結果をまとめて説明するため
の表。
【図9】 実施例5において製造する射出成形体の他の
例を示す。
【図10】 実施例5で使用したスリーブ突出部を兼ね
たボイド挿入ピンを取り付けた金型の部分断面図。
【符号の説明】
1:ボイド挿入ピン, 2:加圧ガス導入路, 3:樹
脂スキン層,4:貫通孔, 5及び5’:溶融樹脂,
6:ボイド核, 7:ボイド,8:平板部, 9:リ
ブ, 10:射出成形体, 11:ゲート,12〜1
4:平板部8の表面,15:薄肉部, 16:厚肉部,
20:射出成形用金型, 21:キャビティ,22〜2
4:ボイド挿入ピン, 25:固定型, 26:可動
型,27:加圧ガス供給路, 28:弁, 29:加圧
ガス供給源,30:嵌挿孔, 31:大径部, 32:
空間部, 33:小径部,34:環状空間部, 35:
周面, 41:エジェクタースリーブ,42:エジェク
タープレート, 43:固定板, 44:エジェクター
枠,45:加圧ガス導入口, 46:配管, 47:O
リング,

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる肉厚をもつ熱可塑性樹脂成形品を
    射出成形する際、ヒケ現象が起きる厚肉部に相当する金
    型キャビティの任意の位置にボイド挿入ピンを設けて、
    前記キャビティにキャビティを満たすに十分な溶融樹脂
    を射出充填し、保圧工程完了後前記ボイド挿入ピンを介
    してそのピン先端に、該ピンの先端近傍に生じている樹
    脂スキン層を突き破る圧力の加圧ガスを作用させ、前記
    ボイド挿入ピンの先端部の溶融樹脂中にボイドを誘起せ
    しめた後、前記溶融樹脂の冷却・固化に伴う収縮力で収
    縮に見合った大きさに前記ボイドを成長させて成形品の
    ヒケを防止することを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の
    射出成形法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のキャビティを溶融樹脂で
    充填した後、ただちにボイド挿入ピンを介して該ピンの
    先端近傍に生じている樹脂スキン層を突き破る圧力の
    圧ガスを作用させ、前記ボイド挿入ピンの先端部近傍に
    ある前記溶融樹脂中にボイドを誘起させることを特徴と
    する熱可塑性樹脂成形品の射出成形法。
  3. 【請求項3】 ボイド挿入ピンを介して該ピンの先端近
    傍に生じている樹脂スキン層を突き破る圧力の加圧ガス
    を作用させて前記ボイド挿入ピンの先端部近傍にある溶
    融樹脂中にボイドを誘起させた後、引き続き加圧ガスの
    作用を冷却工程終了まで継続させ、前記溶融樹脂の冷却
    ・固化に伴う収縮力で収縮量に十分見合った大きさにボ
    イドの成長を促進させることを特徴とする請求項1又は
    請求項2記載の射出成形法。
  4. 【請求項4】 製造される樹脂成形品の形状に対応して
    厚肉部及び薄肉部からなるキャビィティを備え、該キャ
    ビティの厚肉部に先端が突出するボイド挿入ピンと、該
    ボイド挿入ピンの長手方向に沿って周面に形成され、該
    ピンの先端近傍に生じている樹脂スキン層を突き破る圧
    力で加圧ガスを送り込む加圧ガス導入路を備えており、
    前記ボイド挿入ピンの先端が尖っていることを特徴とす
    る射出成形用金型。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のボイド挿入ピンがスリー
    ブ突出し部を兼ねることを特徴とする射出成形用金型。
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