JPH0768307B2 - シラン化合物変性ゴム状重合体の製造法 - Google Patents

シラン化合物変性ゴム状重合体の製造法

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JPH0768307B2
JPH0768307B2 JP656787A JP656787A JPH0768307B2 JP H0768307 B2 JPH0768307 B2 JP H0768307B2 JP 656787 A JP656787 A JP 656787A JP 656787 A JP656787 A JP 656787A JP H0768307 B2 JPH0768307 B2 JP H0768307B2
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岩和 服部
昇 嶋田
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日本合成ゴム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、リビングポリマーの活性基末端に非加水分解
性のアルコキシ基をもつシラン化合物を特定割合で反応
させることによって得られ、シリカ、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウムなどの白色充填剤との親和性が高く、
良好な引張特性および耐摩耗性、発熱特性を示すシラン
化合物変性ゴム状重合体の製造法に関する。
〔従来の技術〕
従来、不活性有機溶媒中で有機アルカリ金属触媒を使用
して、共役ジエン化合物および/またはビニル芳香族化
合物を重合して得られる(共)重合体(以下、単に「重
合体」という)は、合成ゴムあるいは合成樹脂として汎
用されている。
しかしながら、この重合体にシリカや炭酸マグネシウム
などの白色充填剤を配合した加硫物は、引張強度が低い
ため、この引張強度を向上させる目的でさらに補強助剤
として多量のシランカップリング剤やチタンカップリン
グ剤が用いられている。
このようなシランカップリング剤などの補強助剤を用い
ずに、白色充填剤を用いる加硫物でも充分に高い引張特
性を有し、かつ製造プロセスも簡単な重合体を開発する
には、重合体中にシリカなどの充填剤と親和性の良好な
官能基を導入し、しかもこの官能基が重合体の製造時や
保管時には安定で、かつ加硫物製造時にシリカやフィラ
ーなどと相互作用することが必要である。
かかる観点から、シリカと親和性の高いシラン化合物に
よって変性された重合体として、例えば次にような先行
技術が提案されている。
すなわち、特公昭49-36957号公報(以下「先行技術1」
という)には、加工性改良を目的として、有機リチウム
化合物を触媒に用い単量体を重合して得られるリチウム
末端重合体に、少なくとも3個の反応性部位を有する化
合物、例えばシリコンテトラハライド、シリコンテトラ
ブロマイド、シリコンテトラアイオダイドなどのシリコ
ンテトラハライド、あるいはトリクロロメチルシラン、
トリクロロエチルシランなどのトリハロシランなどを反
応させることにより、該シラン化合物を中心にした枝分
かれ重合体を生成する方法が提案されている。しかしな
がら、先行技術1によって得られた重合体は、該シラン
化合物に結合しているハロゲン原子末端が全てリチウム
末端重合体と反応して、ケイ素原子にはシリカと反応性
を有する官能基が残存しないため、シリカとの親和性が
低く、シリカを充填剤に用いた加硫物の引張強度は不充
分なものである。
また、特公昭52-5071号公報(以下「先行技術2」とい
う)には、有機リチウム化合物を触媒に用いて単量体を
重合する途中で、ハロゲン化アルキルシラン化合物、ア
ルコキシシラン化合物、ハロゲン化シラン化合物などの
シラン化合物よりなるカップリング剤を連続的に添加し
てシラン化合物変性重合体を製造する方法が開示されて
いる。しかしながら、この先行技術2で得られる重合体
は、重合反応終了時にはシラン化合物中のハロゲン原子
やアルコキシ基の殆どが重合体の活性末端と反応して消
失するため、この重合体を用いてシリカなどを充填剤と
して組成物を製造してもシリカとの親和性が低く、これ
を用いた加硫物の引張強度は不充分なものである。
さらに、特開昭54-94597号公報(以下「先行技術3」と
いう)には、モノアルカリ金属化合物の存在下で単量体
を重合して得られるリビングアニオンと、アルコキシシ
ラン基および他の反応基をもつシラン化合物(例えば、
γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)と
を反応させて線状および/またはラジアル重合体の製造
方法が開示されている。しかしながら、先行技術3で
は、エポキシ基とアルコキシ基を持つ特定のシラン化合
物は、カップリング効率が良好であるという特徴を有し
ているが、工業的製造方法を考えた場合、未反応のエポ
キシ基が存在するため、分子量の調節が困難になるとい
う問題がある。
さらにまた、特開昭56-104906号公報(以下「先行技術
4」という)には、アルカリ金属または有機アルカリ金
属を触媒として単量体を重合して得られるリビングポリ
マーの活性末端1個当たり1分子中に少なくとも2個の
加水分解性の官能基を有するシラン化合物を1分子以上
反応させてポリマー末端のみをシラン化合物で変性した
重合体が開示されている。しかしながら、この重合体
は、末端に加水分解性の官能基が付いており、しかもそ
の官能基量が多いため、容易に加水分解、縮合反応を生
起し、有機溶剤に不溶となる。
このため、製造工程で脱溶するときにスチーム凝固がで
きないという致命的な問題点を有する。
また、この重合体は、加水分解や、縮合反応を起こし易
いため、製造時や保存時もしくは加硫物を得るための配
合時に、既に多くのシリカとの親和性を有する官能基が
消失するため、シリカを用いた加硫物となしても充分に
高い引張強度特性を示さない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、前記従来の技術的課題を背景になされたもの
で、従来のシランカップリング剤などの補強助剤を用い
ずに、シリカなどの白色充填剤を用いる加硫物において
も、充分に高い引張強度、耐摩耗性、および良好な発熱
特性を持ち、しかも通常の操作では実質的に加水分解せ
ず、製造が容易なシラン化合物変性ゴム状重合体の製造
法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは、前記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討し
た結果、リビングポリマーに特定のシラン化合物を反応
させることによって得られるシラン化合物変性ゴム状重
合体は、シリカなどと反応可能な官能基を有するため、
シリカなどの白色充填剤との親和性が高く、この加硫物
は良好な引張特性、耐摩耗性、良好な発熱特性を示すこ
とを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、有機アルカリ金属触媒を用いて単
量体を重合して得られるリビングポリマーの活性末端1
個あたり、一般式(I) XnSi(OR)mR′4-m-n ・・・・(I) (式中、Xは塩素原子、臭素原子または沃素原子である
ハロゲン原子、Rは炭素数4〜20の炭化水素基、R′は
炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ビニル基また
はハロゲン化アルキル基を示し、mは1〜4の整数、n
は0〜2の整数であり、mとnの和は2〜4である。)
で表されるシラン化合物を0.7分子以上の割合で反応さ
せることを特徴とするシラン化合物変性ゴム状重合体の
製造法を提供するものである。
本発明で使用される不活性有機溶媒としては、例えばペ
ンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼ
ン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチ
ルエーテルなどが用いられる。
また、この際、共重合する場合には、ランダム化剤であ
り、同時に単量体として共役ジエンを使用する場合に該
共役ジエンのミクロ構造の調節剤として、必要に応じて
ルイス塩基を用いることができ、このものとしては例え
ばジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキ
シエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジ
エチレングリコールジメチルエーテル、トリエチルアミ
ン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N′,N′−
テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエ
タンなどのエーテル類および第3級アミン類などを挙げ
ることができる。
また、本発明に使用される有機アルカリ金属触媒として
は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−
ブチルリチウム、1,4−ジリチオブタン、ブチルリチウ
ムとジビニルベンゼンとの反応物などのアルキルリチウ
ム、アルキレンジリチウム、フェニルリチウム、スチル
ベンジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンジリチウ
ム、ナトリウムナフタレン、リチウムナフタレンなどを
挙げることができる。
本発明で使用される単量体としては、有機アルカリ金属
触媒を使用してリビング重合できる単量体全てが含ま
れ、例えば共役ジエン、ビニル芳香族化合物、ビニルピ
リジン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、メ
チルメタアクリレート、アクリル酸エステルなどを挙げ
ることができる。
このうち、共役ジエンおよび/またはビニル芳香族化合
物が、好ましい。
ここで、共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、2,3−
ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3
−ペンタジエン、ヘキサジエンなどが挙げられるが、他
の単量体との共重合性の容易さから1,3−ブタジエンあ
るいはイソプレンが好ましい。
かかる共役ジエンは、1種単独で使用することも、また
2種以上を併用することもできる。
共役ジエンの繰り返し単位としては、主として次のよう
になる。
(ただし、R1は水素原子、メチル基または塩素原子を示
す。) また、芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、
α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチル
スチレン、p−ブチルスチレン、ビニルナフタレンなど
が挙げられ、好ましくはスチレンである。かかる芳香族
ビニル化合物は、1種単独で使用することも、また2種
以上を併用することもできる。
芳香族ビニル化合物の繰り返し単位としては、主として
次のようになる。
(ただし、R2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、
またはハロゲン原子を示す。) なお、共役ジエンと芳香族ビニル化合物とを併用する場
合の割合は、共役ジエン/芳香族ビニル化合物(モル
比)=100/0〜40/60、好ましくは95/5〜55/45である。
本発明で使用されるリビングポリマーの重合方法は、重
合系を窒素置換した反応器内に、本発明で使用される不
活性有機溶媒、単量体および有機アルカリ金属触媒、さ
らに必要に応じてルイス塩基を一括仕込み、あるいは断
続的もしくは連続的に添加して重合を行う。
重合温度は、通常、−120〜+150℃、好ましくは−80〜
+120℃、重合時間は、通常、5分間〜24時間、好まし
くは10分間〜10時間である。
重合温度は、前記温度範囲内で一定温度で反応させて
も、また昇温もしくは断熱下で重合してもよい。また、
重合反応は、バッチ式でもあるいは連続式でもよい。
なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50重量%、好
ましくは10〜35重量%である。
また、リビングポリマーを製造するために、有機アルカ
リ金属触媒およびリビングポリマーを失活させないため
に、重合系内にハロゲン化化合物、酸素、水あるいは炭
酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくす
ような配慮が必要である。
本発明により得られる変性ゴム状重合体は、このように
して重合系内で得られるリビングポリマーの活性末端
に、特定のシラン化合物を反応させ、実質的に加水分解
しないSi-O−R結合(ここで、Rは前記に同じ。)を有
する変性ゴム状重合体である。
ここで、実質的に加水分解しないとは、120℃の熱ロー
ルのロール間隔0.5mmで成形したゴムシート60gを10lの
ステンレス製容器に3lの温水を入れ、さらにスチームを
吹き込んで温水を沸騰させながら30分間放置し、乾燥後
の重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)の上昇が未処
理の重合体に比較して10ポイント以下、好ましくは5ポ
イント以下である場合をいう。
本発明のリビングポリマーと反応させるシラン化合物
は、1分子中に非加水分解性のアルコキシ基を有するシ
ラン化合物であって、下記一般式(I)で表される。
XnSi(OR)mR′4-m-n ・・・・(I) (式中、Xは塩素原子、臭素原子または沃素原子である
ハロゲン原子、Rは炭素数4〜20の炭化水素基、すなわ
ちORは炭素数4〜20の非加水分解性のアルコキシ基など
であり、R′は炭素数1〜20のアルキル基、アリール
基、ビニル基またはハロゲン化アルキル基を示し、mは
1〜4の整数、nは0〜2の整数であり、mとnの和は
2〜4である。) すなわち、本発明のシラン化合物は、非加水分解性のア
ルコキシ基を有するアルコキシシラン化合物などであ
り、このうちRとしてはα位の炭素に炭素原子が3個結
合した炭化水素基やβ位の炭素に炭素数が1個以上の炭
化水素基の結合した炭化水素基またはフェニル基もしく
はトルイル基で示される芳香族炭化水素基が好ましい。
また、R′のうち、アルキル基としてはメチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、t−ブチル基などを、アリール
基としてはフェニル基、トルイル基、ナフチル基など
を、ハロゲン化アルキル基としてはクロロメチル基、ブ
ロムメチル基、ヨードメチル基、クロロエチル基を挙げ
ることができる。
前記一般式(I)において、nが0でmが2の場合はジ
アルキルジアルコキシシラン、nが0でmが3の場合は
モノアルキルトリアルコキシシラン、nが0でmが4の
場合はテトラアルコキシシラン、nが1でmが1の場合
はモノハロゲン化ジアルキルモノアルコキシシラン、n
が1でmが2の場合はモノハロゲン化モノアルキルジア
ルコキシシラン、nが1でmが3の場合はモノハロゲン
化トリアルコキシシラン、nが2でmが1の場合はジハ
ロゲン化モノアルキルモノアルコキシシラン、nが2で
mが2の場合はジハロゲン化ジアルコキシシランであ
り、いずれもリビングポリマーの活性末端と反応性を有
する化合物である。
特に、nが0でmが3であるモノアルキルトリアルコキ
シシラン、nが0でmが4であるテトラアルコキシシラ
ン、nが1でmが2であるモノハロゲン化モノアルキル
ジアルコキシシランは、リビングポリマーをカップリン
グさせることにより加工性を改良し、しかもシリカなど
と親和性の高い官能基を重合体に付与する観点から好ま
しい。
本発明で使用される前記一般式(I)で表されるシラン
化合物の具体例としては、例えばテトラキス(2−エチ
ルヘキシルオキシ)シラン、テトラフェノキシシラン、
メチルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、エ
チルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、エチ
ルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2−エチルヘ
キシルオキシ)シラン、ビニルトリフェノキシシラン、
メチルビニルビス(2−エチルヘキシルオキシ)シラ
ン、エチルビニルジフェノキシシラン、トリ−t−ブト
キシモノクロロシラン、トリフェノキシモノクロロシラ
ン、モノクロロメチルジフェノシシラン、モノクロロメ
チルビス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、モノブ
ロモエチルジフェノキシシラン、モノブロモビニルジフ
ェノキシシラン、モノブロモイソプロペニルビス(2−
エチルヘキシルオキシ)シラン、ジクロロ−ジ−t−ブ
トキシシラン、ジトリルジクロロシラン、ジ−t−ブト
キシジヨードシラン、ジフェノキシジヨードシラン、メ
チルトリス(2−メチルブトキシ)シラン、ビニルトリ
ス(2−メチルブトキシ)シラン、モノクロロメチルビ
ス(2−メチルブトキシ)シラン、ビニルトリス(3−
メチルブトキシ)シランなどを挙げることができる。
これらのシラン化合物のうち、nが0または1のシラン
化合物、この中でも、特にモノクロロメチルジフェノキ
シシラン、ビニルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)
シラン、モノクロロビニルビス(2−エチルヘキシルオ
キシ)シランが好ましい。これらのシラン化合物は、1
種単独で使用することも、あるいは2種以上を併用する
こともできる。
本発明は、前記リビングポリマーの活性末端に一般式
(I)で表されるシラン化合物を反応させるが、この際
のシラン化合物の使用量は、好ましくはリビングポリマ
ーの活性末端1個あたり、0.7分子以上、好ましくは0.7
〜5.0、さらに好ましくは0.7〜2.0分子反応させて得ら
れるものであり、0.7モル未満では分岐ポリマーの生成
が多く、分子量分布の変動が大きく、分子量および分子
量分布のコントロールが難しくなり、5.0モルを超える
場合、物性上の改良効果は飽和しており経済上好ましく
ない。
この際、リビングポリマーの活性末端に、まず少量のシ
ラン化合物を添加し、分岐構造を有する重合体を形成さ
せ、次いで残りの活性末端をさらに別のシラン化合物で
変性するなどの、シラン化合物の二段添加も可能であ
る。
本発明において、リビングポリマーの活性末端と官能基
を有するシラン化合物との反応は、リビングポリマーの
重合系の溶液中に該化合物を添加するか、あるいは該シ
ラン化合物を含む有機溶液中にリビングポリマーの溶液
を添加することにより実施される。
反応温度は、−120〜+150℃、好ましくは−80〜+120
℃であり、反応時間は1分〜5時間、好ましくは5分間
〜2時間である。
反応終了後、ポリマー溶液中にスチームを吹き込んで溶
媒を除去するか、あるいはメタノールなどの貧溶媒を加
えてシラン化合物変性重合体を凝固した後、熱ロールも
しくは減圧下で乾燥してシラン化合物変性ゴム状重合体
を得ることができる。
また、ポリマー溶液を直接減圧下で溶媒を除去してシラ
ン化合物変性ゴム状重合体を得ることもできる。
なお、本発明のシラン化合物変性ゴム状重合体の分子量
は、広い範囲にわたって変化させることができるが、そ
のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、通常、10〜150、
好ましくは10〜100の範囲であるとよい。
また、本発明により得られるシラン化合物変性ゴム状重
合体が共重合体である場合には、リビングポリマーの構
造に準じてブロック共重合体あるいはランダム共重合体
であってもよい。
なお、本発明により得られるシラン化合物変性ゴム状重
合体は、例えば赤外吸収スペクトルにより、Si-O−C結
合に起因する1,100cm-1付近の吸収、Si-O−φ結合に起
因する1,250cm-1付近の吸収、あるいはSi-C結合に起因
する1,160cm-1付近の吸収などにより、その構造を確認
することができる。
かくて、本発明により得られるシラン化合物変性ゴム状
重合体は、単独または他のジエン系ゴムとブレンドして
用いることもできるが、この場合本発明の重合体を20重
量%以上含むことが必要である。20重量%未満では、充
填剤の補強効果に対し改良効果が認められない。
他のジエン系ゴムとしては、天然ゴム、シス−1,4ポリ
イソプレンをはじめ、乳化重合スチレン−ブタジエン共
重合体、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体、低シ
ス−1,4ポリブタジエン、高シス−1,4ポリブタジエン、
エチレンプロピレンジエン共重合体、クロロプレン、ハ
ロゲン化ブチルゴム、NBRなどをブレンドし使用するこ
とができる。
本発明のシラン化合物変性ゴム状重合体を含むゴム成分
に配合する無機充填剤の量は、ゴム成分100重量部に対
し、10〜100重量部であり、10重量部未満では充填剤補
強効果が小さく、一方100重量部を超えると加工性と破
壊特性か劣り好ましくない。無機充填剤としては、カー
ボンブラックのほか、シリカ、炭酸マグネシウム、炭酸
カルシウム、ガラス繊維などの白色充填剤が挙げられ
る。
必要ならば芳香族系、ナフテン系、パラフィン系などの
オイルで油展し、次いでステアリン酸、亜鉛華、老化防
止剤、加硫促進剤ならびに加硫剤などの通常の加硫ゴム
配合剤を加え組成物となすことができる。
なお、前記組成物中には、シラノール縮合剤として知ら
れているジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクト
エート、ジブチル錫ラウレート、酢酸第一錫、オクタン
酸第一鉄、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、2−エチル
ヘキサン鉄、ナフテン酸コバルト、チタン酸エステル、
キレート化合物を配合することもできる。
得られる組成物は、成形加工後、加硫を行い、トレッ
ド、アンダートレッド、サイドウオール、ビート部分な
どのタイヤ用途を始め、ホース、ベルト、靴底、窓枠、
シール剤、その他の工業用品などの用途に用いることが
できる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に何
ら制約されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量
部および重量%を意味する。
また、実施例中の各種の測定は、下記の方法に拠った。
すなわち、リビングポリマーの活性末端とシラン化合物
の反応は、反応前後の共重合体のムーニー粘度の変化お
よび赤外吸収スペクトルの変化により確認した。
ムーニー粘度は、予熱1分、測定4分、温度100℃で測
定した。
ブタジエン部分のミクロ構造は、赤外吸収スペクトル法
(モレロ法)によって求めた。
スチレン含量は、699cm-1のフェニル基の吸収に基づい
た赤外吸収スペクトル法により、予め求めておいた検量
線により測定した。
ガラス転移温度(Tg)は、理学電気(株)製、低温DSC
本体;CN8208A2型、低温DSC、DTA、UNIT;CN8059L2型、プ
ログラム温度コントローラーPTC-10A型を用いて、予め
求めておいた検量線により測定した。
加硫物性は、JIS K6301に従って測定した。
耐摩耗試験であるランボーン摩耗指数は、ランボーン摩
耗法により測定した。測定条件は、負荷荷重が4.5kg、
砥石の表面速度が100m/秒、試験片速度が130m/秒、スリ
ップ率が30%、落砂量が20g/分、また測定温度は室温と
した。
第1表において、ランボーン摩耗指数は、シリコン化合
物未変性のスチレン−ブタジエン共重合体(ビニル含量
=60%、スチレン含有=20%)を100として示した。数
値の大きいほど、耐摩耗性が良好である。第2表におい
て、ランボーン摩耗量は、耐摩耗試験における単位時間
あたりに摩耗する加硫ゴムの体積で示した。数値の大き
いほど、耐摩耗性は良好である。なお、第2表では、ス
リップ率が20%、30%のデータで示した。
発熱特性の指標として、ダンロップ反撥弾性試験による
反撥弾性(%)を用いた。値が大きいほど発熱が少な
く、良好であることを示す。
実施例1 撹拌機、ジャケット付きの内容積5lのオートクレーブを
乾燥し、窒素置換した。このオートクレーブに、予め精
製、乾燥したシクロヘキサン2,500g、スチレン100g、1,
3−ブタジエン400gおよびテトラヒドロフラン25gを導入
した。次いで、オートクレーブ内の温度を10℃にした
後、毎分2回転で攪拌しながら冷却水を止めてn−ブチ
ルリチウム0.300gを添加して30分間重合した。このポリ
マー溶液を一部取り出してムーニー粘度(ML1+4、100
℃)を測定したところ12であった。
次に、残りのポリマー溶液にモノクロロメチルジフェノ
キシシランのシクロヘキサン溶液9.38ml(濃度0.50モル
/l、n−ブチルリチウムに対するモノクロロメチルジフ
ェノキシシランのモル比は、1.00に相当する。)を加え
たところ、リビングアニオンの黄赤色が消失し、溶液粘
度が高くなった。さらに、50℃で30分間反応させた。所
定時間後、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(BHT)を重
合体100g当たり0.7g加え、スチームで脱溶液、100℃の
熱ロールで乾燥した。重合体の収量は、ほぼ定量的に得
られた。以下の実施例でも重合体収量は定量的であっ
た。
この重合体は、テトラヒドロフランに溶解しても不溶分
はなかった。また、この変性重合体の赤外吸収スペクト
ルには、1250cm-1にSi-O−φ結合に基づく吸収が存在し
た。
一方、前記したように、熱ロールで成形し、前記と同じ
条件でスチーム加熱処理したところ、ムーニー粘度は、
処理前とほぼ同様に43であった。
このシラン化合物変性ゴム状重合体を下記配合処方で加
硫し、物性を評価した。
すなわち、145℃の熱ロールでポリマー、シリカ、DBTD
L、ステアリン酸、酸化亜鉛を予備混練りし、その後50
℃のロールで残りの配合剤を混練りした。
この配合物を成形して、145℃でプレス加硫した。以下
の実施例においても全て同様の方法により加硫を実施し
た。結果を第1表に示す。配合処方 (部) ポリマー 100 シリカ 40 (日本シリカ(株)製、ニプシールVN3) ステアリン酸 2 酸化亜鉛 3 老化防止剤;810NA*1 1 〃 TP*2 0.8 加硫促進剤;D*3 0.6 〃 DM*4 1.2 トリエタノールアミン 1.5 硫黄 1.5 DBTDL*5 1.0 合計 151.1 *1)N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニ
レンジアミン *2)ソジウムジブチルジチオカーバメート *3)ジフェニルグアニジン *4)ジベンゾチアジルジスルフィド *5)ジブチル錫ジラウレート 比較例1〜2 モノクロロメチルジフェノキシシランの代わりにテトラ
クロロシラン(比較例1)、メチルトリエトキシシラン
(比較例2)を使用した以外は、実施例1と同様にて重
合体を製造した。重合結果と得られた重合体の加硫物性
を第1表に示す。
実施例1と比較例1〜2とから、引張強度やランボーン
摩耗指数の改良にモノクロロメチルジフェノキシシラン
が特異的に作用することが分かる。
実施例2 実施例1のモノクロロメチルジフェノキシシラの使用量
を2倍モルにした以外は、実施例1と同様にスチレン−
ブタジエン共重合体の変性を行った。重合結果と得られ
たゴム状重合体の加硫物性の結果を第1表に示す。
実施例3〜5 実施例1のモノクロロメチルジフェノキシシランの代わ
りに、ビニルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラ
ン(実施例3)、モノクロロビニル(2−エチルヘキシ
ルオキシ)シラン(実施例4)、テトラフェノキシシラ
ンを2倍モル量(実施例5)使用した以外は、実施例1
と同様にスチレン−ブタジエン共重合体の変性を行っ
た。重合結果と得られた重合体の加硫物性を第1表に示
す。
実施例6〜7 実施例1のスチレンの仕込み量を半減した以外は、同様
にスチレン−ブタジエン共重合体の変性を行った(実施
例6)。また、実施例1のテトラヒドロフランを減量
し、スチレンを使用しない以外は実施例1と同様にスチ
レン−ブタジエン重合体の変性を行った(実施例7)。
重合結果と得られた重合体の加硫物性の結果を第1表に
示す。
比較例3 実施例1のモノクロロメチルジフェノキシシランの使用
量をn−ブチルリチウム使用量に対して0.30倍モル使用
量にした以外は実施例1と同様にスチレン−ブタジエン
共重合体の変性を行った。重合結果と得られたゴム状重
合体の加硫物性の結果を第1表に示す。
比較例4 実施例1のモノクロロメチルジフェノキシシランの代わ
りにメチルトリ−n−プロポキシシランを使用した以外
は、実施例1と同様の重合体を製造した。重合結果を第
1表に示す。
得られた重合体は、スチーム処理すると加水分解してム
ーニー粘度が高くなり、生成ゴムは加水分解性が高いこ
とが分かる。
実施例8 実施例1と同様にリビングポリマーを生成後、テトラフ
ェノキシシラン(0.188g;n−ブチルリチウムに対するテ
トラフェノキシシランのモル比は0.10に相当する。)を
徐々に添加し、さらに30分後にモノクロロメチルジフェ
ノキシシランのシクロヘキサン溶液9.38ml(濃度0.50モ
ル/l、n−ブチルリチウムに対するモノクロロジフェノ
キシシランのモル比は、1.00に相当する。)を添加して
シラン化合物変性ゴム状重合体を製造した。重合結果と
得られた重合体を加硫物性の結果を第1表に示す。
実施例9 実施例1で得られたシラン化合物変性ゴム状重合体(A
−1)80%と、シラン化合物で変性しない以外は(A−
1)と同様にして得られたゴム状重合体(B−1)20%
からなるゴム成分を用いて、実施例1と同様の配合、加
硫を行い、物性評価を行った。結果を第2表に示す。
なお、ゴム状重合体(B−1)は、ムーニー粘度(ML
1+4、100℃)32、ビニル結合含量61%、スチレン含量21
%であった。
また、シラン化合物変性ゴム状重合体と他の重合体とを
ブレンドし、評価する場合は、シラン化合物変性ゴム状
重合体とシリカだけを混練りし後、予備混練りに用い
た。以下の実施例においても同様である。
実施例10 実施例1で得られたシラン化合物変性ゴム状重合体(A
−1)20%と、市販の乳化重合スチレン−ブタジエン共
重合体(日本合成ゴム(株)製、JSR 1,500)80%から
なるゴム成分を用いて実施例1と同様の配合、加硫を行
い、物性評価を実施した。結果を第2表に示す。
実施例11 ビニル結合含量を30%、スチレン含量を0%とした以外
はゴム状重合体(A−1)に準じて得られたゴム状重合
体(A−2)50%と、市販の高シス−1,4ポリブタジエ
ン(日本合成ゴム(株)製、JSR BR01)50%からなるゴ
ム成分を用いて、実施例1と同様の配合、加硫を行い、
物性評価を実施した。結果を第2表に示す。
実施例12 シリカの配合量を40部から70部に変えた以外は、実施例
1に準じて配合、加硫を行い、物性評価を実施した。結
果を第2表に示す。
〔発明の効果〕 本発明は、有機アルカリ金属触媒を用いて単量体を重合
して得られるリビングポリマーに特定のシラン化合物を
特定量添加してカップリング反応させ、実質的に加水分
解しないSi-O−R結合を有するシラン化合物変性ゴム状
重合体を製造する方法であり、得られるシラン化合物変
性ゴム状重合体は、従来、高引張強度の得られなかった
シリカなどの白色充填剤の配合においても高引張強度を
示し、その結果、着色が可能な高引張強度で良好な耐摩
耗性、発熱特性を有する加硫物を提供することができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機アルカリ金属触媒を用いて単量体を重
    合して得られるリビングポリマーの活性末端1個あた
    り、一般式(I) XnSi(OR)mR′4-m-n・・・・(I) (式中、Xは塩素原子、臭素原子または沃素原子である
    ハロゲン原子、Rは炭素数4〜20の炭化水素基、R′は
    炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ビニル基また
    はハロゲン化アルキル基を示し、mは1〜4の整数、n
    は0〜2の整数であり、mとnの和は2〜4である)で
    表されるシラン化合物を0.7分子以上の割合で反応させ
    ることを特徴とするシラン化合物変性ゴム状重合体の製
    造法。
  2. 【請求項2】単量体が共役ジエン化合物および/または
    ビニル芳香族化合物である特許請求の範囲第1項記載の
    シラン化合物変性ゴム状重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式(I)で表されるシラン化合物のn
    が0または1である特許請求の範囲第1項または第2項
    記載のシラン化合物変性ゴム重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】一般式(I)で表されるシラン化合物のR
    がα位の炭素に炭素原子が3個結合した炭化水素基、β
    位の炭素に炭素原子が1個以上の炭化水素基が結合した
    炭化水素基、またはフェニル基もしくはトルイル基で示
    される芳香族炭化水素基である特許請求の範囲第1項、
    第2項または第3項記載のシラン化合物変性ゴム状重合
    体の製造法。
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