JPH0769036B2 - 配水管等の防食被覆構造及び防食被覆工法 - Google Patents

配水管等の防食被覆構造及び防食被覆工法

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JPH0769036B2
JPH0769036B2 JP34707292A JP34707292A JPH0769036B2 JP H0769036 B2 JPH0769036 B2 JP H0769036B2 JP 34707292 A JP34707292 A JP 34707292A JP 34707292 A JP34707292 A JP 34707292A JP H0769036 B2 JPH0769036 B2 JP H0769036B2
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cement
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L58/00Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation
    • F16L58/02Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation by means of internal or external coatings
    • F16L58/04Coatings characterised by the materials used

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、上水道、下水道等の
配水管の特に大気中に露出する水管橋及びその付属構造
材等の防食被覆構造、及び同防食被覆工法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】配水管等の防食は、一般にその表面にサ
ビ止め塗料あるいはペトロラタム系防食被覆材等を塗覆
装することにより、金属表面を外気から遮断するものと
している。
【0003】従来、このような被覆材料として最も一般
的に使用されているサビ止め塗料は、塗料中に酸化鉄顔
料、鉛系顔料、クロム酸塩顔料等の重金属系顔料を配合
することによって防錆性を付与したものであるが、耐久
性に問題があり、5〜7年程度で塗り替えを必要とする
難点があった。一方ペトラタム系等の防食被覆材におい
ては、その塗覆層の厚さが相当程度に厚いものとなり、
殊に水管橋等に適用した場合にその外観的な美感が著し
く損われるのみならず、大きな重量負荷を与えるという
ような難点があった。更には、配水管の局部腐食によっ
て漏水を生じたような場合、防食被覆内部を水が走って
漏水個所から離れた部位で外部に流出するため、漏水個
所の特定、早期発見が困難なものとなり、保守管理が行
いにくいという問題点もあった。
【0004】一方、従来のサビ止め塗料を更に一歩改善
した防食塗料として、特公昭56−43267号公報に
記載されているように、溶剤型塗料に添加剤としてポル
トランドセメント粉末またはその化学組成の主成分であ
る酸化カルシウム粉末等を配合し、これらの添加剤によ
る塗料のアルカリ化を利用して、防食性を向上し、保護
性能を改善したいわゆるセラミックス系の防食塗料が開
発され、近時多く使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の防食塗料は、そ
のベース塗料のバインダー成分による接着効果と添加剤
による無機結合効果の相乗によって優れた接着力を発揮
し、かつアルカリ性成分による防錆特性、耐候性、耐水
性にも優れているものであるが、該塗料単独による防食
被覆においては、なお次のような問題点が残るものであ
った。
【0006】即ち、溶剤型塗料中に比較的多量のセメン
ト系粉末を添加剤として配合するため、一般塗料に較べ
て塗膜に微小ピンホールを発生し易く、殊に薄塗り塗膜
にあっては環境遮断のためバリヤー性の不完全により点
錆発生の可能性が高い。そこで、対応策として、重ね塗
りあるいは厚塗りにより塗膜厚さを増大して、バリヤー
性を向上することが考慮されるが、セメント系粉末の含
有により一般塗料に較べて所謂伸びが悪いため、ハケ塗
り、ローラ塗り等で塗工する場合に塗りむらを生じ易
く、外観上の美感が損われ易い欠点があった。
【0007】上記のような技術的背景に鑑み、この発明
は、添加剤としてセメント系粉末を配合した上記防食塗
料の諸特性を利用しながら、更にその欠点を改善した防
食被覆構造及び該防食被覆を形成する被覆工法を提供す
ることを目的とする。
【0008】従って、この発明において、「セメント系
粉末」というのは、特公昭56−43267号公報に記
載の添加剤、即ちポルトランドセメント粉末のほか、そ
の化学組成における主たる成分である酸化カルシウム粉
末、及び酸化カルシウム粉末と他の化学組成粉末(二酸
化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第2鉄、酸化マグネ
シウム等)との混合物を包含する意味において用いるも
のとする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、溶剤型塗料
にセメント系粉末を配合した防食塗料と、ガラスクロス
等の抗張性繊維クロスとの複合化により、上記防食塗料
の優れた保護性能、即ち防食性、耐塩水性、耐水性、耐
候性等をそのまま保有しながら、耐衝撃性、被覆強度を
向上し、一段と耐久性に優れたものとなしうること、ま
た防食塗料による下塗り、中塗り、上塗りの各コート層
におけるセメント系粉末成分の含有量を漸次低減させた
ものとすることにより、上記保護性能を十分に保有しな
がら、塗工作業性を向上し、かつ外観上の美感に優れた
ものとなしうることの新たな知見に基づき完成するに至
ったものである。
【0010】すなわち、この発明の1つは、配水管等の
防食被覆構造に関し、溶剤型塗料に添加剤としてセメン
ト系粉末を配合してなる防食塗料からなる下塗りコート
層と、その外面に捲回被覆された抗張性繊維クロス層
と、該繊維クロス層に含浸被覆された前記同様の防食塗
料からなる中塗りコート層と、更に該中塗りコート層上
に塗着形成された前記同様の防食塗料またはセメント系
粉末を配合しない溶剤型塗料からなる上塗りコート層と
をもっ構成され、かつ前記中塗りコート層及び上塗り
コート層がそれぞれの下位の下塗りコート層及び中塗り
コート層に対してセメント系粉末の含有量において相対
的に少なく設定されてなることを特徴とするものであ
る。
【0011】また、他のもう1つの発明は、上記防食被
覆構造を形成するための防食被覆工法に関し、配水管等
の防食被覆対象物の表面を清浄化する前処理工程と、溶
剤型塗料に添加剤としてセメント系粉末を配合してなる
下塗り防食塗料を塗装して所定厚みの下塗りコート層を
形成する下塗り工程と、次いで、上記下塗りコート層上
に、前記同様の防食塗料であって下塗り防食塗料よりも
セメント系粉末の配合量を相対的に小とした中塗り防食
塗料を複数回に亘って塗装すると共に、該塗装工程中に
抗張性繊維クロステープを所定の張力を付与しながら螺
旋状に重ね巻きすることにより、上記繊維クロス層に中
塗り防食塗料が含浸被覆された中塗りコート層を形成す
る中塗り工程と、次いで更に、上記中塗りコート層上に
セメント系粉末の配合量を中塗り防食塗料よりも更に小
とした上塗り防食塗料またはセメント系粉末を含有しな
い上塗り塗料を塗装して上塗りコート層を形成する上塗
り工程とよりなることを特徴とするものである。
【0012】
【構成の具体的な説明】この発明の防食塗料のベースと
なる溶剤型塗料は、市販されている溶剤型合成樹脂塗
料、たとえば塩化ビニル系塗料、アクリル系塗料、シリ
コーン系塗料、フッ素樹脂系塗料等を広く適用可能であ
り、また油性塗料の使用も可能である。好適には後述す
るように下塗り用としては塩化ビニル系塗料が、中塗り
及び上塗り用としてはアクリル系塗料が適用される。こ
れらの塗料は、市販のまま使用しても良いが、塗装作業
性等の面から、シンナー等の溶剤で10〜30%程度に
稀釈して使用するのが好ましい。
【0013】また、防食塗料に添加剤として用いるセメ
ント系粉末は、前述のようにポルトランドセメント粉
末、酸化カルシウム粉末等を含むが、なかでも白色ポル
トランドセメント粉末を用いるのが好適である。即ち、
白色ポルトランドセメント粉末を用いる場合、発錆抑制
効果に優れ、保護性能を改善しながら、塗料の調色の自
由性を確保しうる点で有利である。
【0014】また中塗り防食塗料が含浸される抗張性繊
維クロスは、高ヤング率の繊維からなるものであれば適
用可能であり、ガラス繊維クロス、金属繊維クロス、炭
素繊維クロス等の無機繊維クロスのほか、芳香族ポリア
ミド繊維クロス、ポリイミド繊維クロス等の有機繊維ク
ロスを使用することも可能である。しかしながら、該繊
維クロスは、防食被覆の厚さの均一性を阻害することな
く被覆表面を平滑に仕上げうるものであること、防食塗
料の含浸が良好に行われるものであること、強度に優
れ、なるべく安価に入手しうるものであること等の諸要
請に鑑み、薄手のガラス繊維クロスを用いるのが最も好
適である。即ち、厚さ0.01〜1.0mm、好ましく
は0.1〜0.2mm、経緯糸密度15〜25本/25
mmの平織り組織によるガラス繊維クロスを用いるのが
好適である。該クロスは、ヒートクリーニングあるいは
シランカップリング剤による表面処理を施して、接着性
を向上させたものとして用いられる。
【0015】添附図面に示す防食被覆構造において、
(1)は防食被覆対象物とする配水管、(2)は下塗り
コート層、(3)は抗張性繊維クロス層、(4)は中塗
りコート層、(5)は上塗りコート層を示す。
【0016】上記防食構造の更に具体的な構成を、その
被覆工法と共に詳しく説明すれば、次のとおりである。
【0017】〔前処理工程〕配水管等の防食被覆対象物
(1)は、先ず前処理工程によりその表面を清浄化す
る。該前処理工程は、スクレーパ、ケレンハンマー等で
表面の錆、付着物等を十分に掻き落としたのち、ワイヤ
ーバフサンダー等により表面を研磨し、更にシンナー等
の溶剤を用いて、表面に付着している油分、水分、付着
物等を完全に、取除く。更に要すれば、錆の露出面につ
いては錆固定処理し、溶接部、孔食部等については漏水
防止の局部処理を行う。
【0018】〔下塗り工程〕次いで、下塗り防食塗料を
もって1ないし複数回の塗装を行い、所定厚みの下塗り
コート層(2)を形成する。この下塗り工程に用いる下
塗り防食塗料は、そのベース塗料として塩化ビニル系塗
料を用いるのが好適である。即ち、アクリル系塗料、塩
化ゴム系塗料等を用いる場合に較べ、ハケ塗りあるいは
ローラー塗り等による塗装作業において、塩化ビニル系
塗料は液だれ、塗りムラを生じることなく所要厚みの塗
膜を形成し易く、かつ乾燥も短時間で行うことができる
など、作業性の点で有利である。
【0019】下塗り防食塗料中へのセメント系粉末の配
合量は、そのベースとなる溶剤型塗料の固形成分すなわ
ち不揮発性成分100重量部に対し、20〜300重量
部、好ましくは60〜150重量部程度に設定する。こ
の配合量が20重量部未満と少なすぎるときは、セメン
ト系粉末の配合効果、即ち防食性能の十分な向上効果、
接着性及び耐衝撃性を含む被覆強度の向上効果を十分に
達成することができない。一方、300重量部をこえて
過多に配合するときは、塗料を稀釈しても塗装作業性の
悪いものとなると共に、被覆のバリヤー特性の低下をも
たらし、望ましい保護性能を達成することができない。
セメント系粉末として、白色ポルトランドセメントを好
適に用いうることは前述したとおりであり、これを配合
した下塗り防食塗料は好ましくは白色に着色されたもの
となされる。
【0020】下塗り工程による下塗り防食塗料の塗布量
は、1回の単位塗装工程で250〜400g/m2 程度
とし、この単位塗装工程を2〜3回繰返すことによって
500〜1000g/m2 、特に700〜800g/m
2 程度とするのが好ましい。これによって形成される下
塗りコート層(2)の厚さは、100〜300μm程
度、好ましくは150〜200μm程度となされる。
【0021】下塗りコート層(2)は、このように溶剤
型塗料セメント系粉末を比較的多量に含有せしめた防食
塗料をもって形成されるものであることにより、ベース
塗料の有する接着力と、セメント系粉末による無機結合
効果とにより、防食被覆対象物(1)の表面に対して強
固な接着力を発現すると共に、セメント系粉末の含有に
よるアルカリ性化傾向により、優れた防食保護効果を発
現する。
【0022】〔中塗り工程〕次いで、上記下塗りコート
層(2)上に、中塗り防食塗料を塗布すると共に、その
前または複数回の中塗り単位塗装工程の中間に、抗張性
繊維クロスの捲回被覆を行うことによって、抗張性繊維
クロス層(3)に中塗り防食塗料が均一に含浸被覆され
た中塗りコート層(4)を形成する。
【0023】中塗り防食塗料は、前記の下塗り防食塗料
に対し、セメント系粉末の配合量を相対的に小とした同
質の防食塗料が用いられる。ここに、セメント系粉末の
含有量を相対的に少ないものとするのは、抗張性繊維ク
ロス層(3)に対する防食塗料の含浸を行わせ易いもの
として十分に強固なコート層を形成せしめると共に、中
塗りコート層(3)にピンホールが発生するのを防止し
て被覆のバリヤー性能を向上し、更には塗装作業を一層
行い易くするためである。従って、中塗り防食塗料にお
けるセメント系粉末の配合量は、その溶剤型塗料の不揮
発成分100重量部に対し、20〜80重量部程度、好
ましくは40〜60重量部程度となされる。セメント系
粉末の配合量においてこれが20重量部未満と少なすぎ
るときは、その配合効果の享受に不十分であり、80重
量部をこえて過多であるときは、前記の諸要請に対して
十分な満足を得ることができない。
【0024】中塗り防食塗料のベース塗料としての溶剤
型塗料には、市販のアクリル系塗料を10〜30%程度
の稀釈率で稀釈して用いるのが好適である。即ち、下塗
り防食塗料と同様の塩化ビニル系塗料を用いることも可
能であり、その場合も本発明の範囲に包含されるが、塩
化ビニル系塗料を用いる場合に較べて、アクリル系塗料
の方が、抗張性繊維クロスに対する含浸が良好に行わ
れ、ピンホールの発生のおそれも少なく、塗りムラのな
い塗装を行い易い点で有利である。
【0025】また、中塗り防食塗料は、下塗り防食塗料
とは異色のもの、例えば灰色に着色したものを用いるこ
とが好ましい。これにより、防食被覆が外部からの衝撃
等で局部破損した場合、その破損の発生状況とその程
度、深さを、下塗りコート層(2)の白色と、中塗りコ
ート層()の灰色との色違いにより、外部から容易に
発見判定でき、メンテナンス上有利なものとすることが
できる。
【0026】中塗り工程は、下塗りコート層(2)上に
予め抗張性繊維クロス層(3)を捲回形成したのち、そ
の上に中塗り防食塗料を好ましくは複数回の単位塗装工
程に分けて重ね塗りの態様で実施するものとしても良い
が、繊維クロスに対する塗料の含浸を十分に行わせるた
めに、予め下塗りコート層(2)上に中塗り防食塗料に
よる第1回目の単位塗装工程を実施し、しかる後、これ
が未だ乾燥硬化しない間に、すぐさま繊維クロスの捲回
被覆を行ったのち、更に該クロス層(3)上に1ないし
複数回の中塗り単位塗装工程を実施するものとすること
が好ましい。
【0027】また、中塗り工程は、下塗りコート層
(2)の少なくとも表面部分が未だ十分に乾燥硬化して
いない指触乾燥状態の間に実施することが推奨される。
即ち、下塗りコート層(2)が指触乾燥状態時に、繊維
クロスの張力捲回を行うことにより、下塗りコート層
(2)を繊維クロスで締め付け、その表面の凹凸を解消
して厚みを平均化し、防食被覆の外観の向上に役立つと
共に、下塗りコート層(2)の有するピンホールを解消
してそのバリヤー性能を向上しうる点で有益である。中
塗り工程で使用する抗張性繊維クロスは、前述したよう
にガラスクロスを用いるのが最も好適である。該ガラス
クロスは、例えば幅150〜200mm程度のテープを
用い、50〜60%程度のラップ率で一側縁部が重なり
合うように螺旋状に捲回する。このとき、なるべく均一
にテンションをかけながら巻き付けるものとすることが
必要である。
【0028】中塗り工程による中塗り防食塗料の塗布量
は、1回の単位塗装工程につき250〜500g/m2
程度とし、これを2〜3回繰返すことによって全体とし
て800〜1500g/m2 、特に900〜1200g
/m2 程度とするのが好ましい。これによって形成され
る中塗りコート層(4)の厚さは、抗張性繊維クロス層
(3)の厚さを含んで300〜800μm、特に400
〜500μm程度となされる。
【0029】中塗りコート層(4)は、セメント系粉末
を含む防食塗料によって形成されたものであることによ
り、前記同様の優れた防食効果を発現すると共に、抗張
性繊維クロス層(3)が内在し、これに上記塗料が含浸
されたものとなっていることにより、被覆の強度、特に
耐衝撃性、応力吸収特性を向上し、外部からの衝撃によ
る被覆の破壊を防止し耐久性を向上する。併せて、後述
するように配水管からの漏水個所の特定を容易化し保守
管理上の有利性を付与する。
【0030】〔上塗り工程〕次いで、上記中塗りコート
層(4)上に、更に上塗り塗装を施し、上塗りコート層
(5)を形成する。
【0031】この上塗り工程に用いる塗料は、前記同様
のセメント系粉末を配合した防食塗料を用いても良い
が、防食被覆に高度な外観上の美感を要求されるような
場合には、セメント系粉末を配合しない溶剤型塗料を適
当な稀釈率(10〜20%)で稀釈して用いても良い。
セメント系粉末を配合する場合にあっても、それが多く
含有されると、外塗りコート層(5)の表面美感に悪影
響を及ぼすところから、その配合量はベース塗料である
溶剤型塗料の不揮発性成分100重量部に対し30重量
部以下、好ましくは10重量部以下の範囲とするのが良
い。
【0032】また、上塗り防食塗料のベース塗料または
セメント系粉末を配合しない上塗り塗料は、アクリル系
塗料を用いるのが好適である。即ち、アクリル系塗料
は、塩化ビニル系塗料に較べ、塗装作業性において良好
であるのはもとより、それ自体が耐候性に優れ、塗膜強
度に優れていること、及び他に考えられるシリコン系塗
料やフッ素樹脂系塗料に較べ、塗膜美感、耐汚染性等の
点ではやや劣るものの、価格において格段に安価である
ことから、相対的に優位性が認められることに基づく。
【0033】上塗り工程で用いる塗料の塗布量は、20
0〜800g/m2 、好ましくは300〜500g/m
2 程度とし、これによって形成される上塗りコート層
(5)の厚みにおいて30〜100μm、好ましくは4
0〜70μm程度とするのが良い。
【0034】上塗りコート層(5)は、上記のように防
食被覆に外観上の美感を付与する作用を担うものである
から、周辺の環境に調和した任意の色彩に着色されたも
のとする。もとよりこの着色は、中塗りコート層(4)
とは異色のものを選択することにより、上塗りコート層
(5)の破損状況を容易に目視検査可能なものとするこ
とが望ましい。
【0035】なお、この発明による防食被覆は、下塗り
コート層(2)、中塗りコート層(4)及び上塗りコー
ト層(5)を含めた全体の総厚みにおいて0.5mm以
上、特に好ましくは0.6〜1.0mmの範囲に設定す
るのが良い。0.5mm未満では防食被覆対象物の保護
効果に不十分なものとなることが懸念される一方、1.
0mmをこえて厚く形成しても、保護効果が格別増大せ
ず、むしろ材料費、施工作業費の増大とともに配水管等
への重量負荷の増大を招く不利益の方が優先する。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、従来の各種の防食被
覆に較べ、配水管等の防食被覆対象物に対する防食効
果、接着力、被覆自体の耐衝撃性等の保護効果、及び耐
久性能において一段と優れた防食被覆を提供しうる。こ
れらの効果は、少なくとも下塗りコート層及び中塗りコ
ート層にセメント系粉末を配合した防食塗料が用いられ
ていること、及び中塗りコート層に上記塗料が含浸被覆
された抗張性繊維クロス層が設けられ、外部からの衝撃
や内側の被覆対象物の伸縮に基づく応力を吸収緩和しう
るものとなされて、被覆の全層破壊を防止しうるものと
なされていることにより実現される。
【0037】加えて、少なくとも下塗りコート層より中
塗りコート層の方がセメント系粉末の含有量において小
なるものとなされていることにより、下塗りコート層に
よって防食効果、接着力を十分に確保しながら、中塗り
コート層において繊維クロス層に塗料を十分に含浸させ
て、被覆の強度向上を実現し、上記効果を一層助長しう
ると共に、上塗りコート層によって外観上の美感も良好
なものとなしうる。
【0038】更にまた、漏水とか被覆対象物の局部発錆
の発生部位の目視観察による特定が可能なものとするこ
とができる。即ち、この発明に係る防食被覆において
は、配水管等から漏水を生じた場合、その漏水個所の近
傍部位において防食被覆上に水が流出するため、漏水個
所の部位特定とその早期発見ができ、保守管理面で有利
である。このような漏水個所の近傍部位で水が外部流出
する理由については、未だ十分に解明し得ないところで
あるが、抗張性繊維クロス層の内在により、その繊維の
存在する部分において被覆の厚さ方向の耐破壊強度が織
目内の部位より小さく、ミクロ的に強度の強弱部分が混
在するため、その強度の相対的に弱い部分において水圧
により被覆の微小破壊を生じ、短絡的に外部に水が流出
することによるものと推測される。
【0039】従って、この発明においては、防食、美
感、保守管理の諸特性ともに優れた防食被覆を提供でき
るものである。
【0040】
【実施例】
実施例1 防食被覆の構成材料として下記のものを用いた。
【0041】(1)下塗り防食塗料 塩化ビニル系塗料(不揮発性成分約45重量%)に、白
色ポルトランドセメント粉末を40重量%(上記不揮発
性成分に対して約88重量%)の割合に配合し、溶剤
(シンナー)で約10〜30%に稀釈した白色の防食塗
料。
【0042】(2)中塗り防食塗料 アクリル系塗料(不揮発性成分約45重量%)に、白色
ポルトランドセメント粉末を20重量%(上記不揮発性
成分に対して約44重量%)の割合で配合し、溶剤で1
0〜20%稀釈した灰色の防食塗料。
【0043】(3)上塗り防食塗料 アクリル系塗料(不揮発性成分約45重量%)に、白色
ポルトランドセメント粉末を5重量%(上記不揮発性成
分に対して約11重量%)の割合に配合し、溶剤で10
〜20%に稀釈したアイボリー色の防食塗料。
【0044】(4)抗張性繊維クロス 厚さ0.14mm、幅160mm、経緯糸密度19本×
22本/25mmの平織りガラスクロステープ。
【0045】防食被覆対象物として鋼板を用い、研磨処
理及びシンナーによる払拭処理により表面を清浄化した
のち、上記下塗り塗料を2回に分けて総塗布量700g
/m2 の割合にハケ塗りによって塗布し、下塗りコート
層を形成した。
【0046】そして、この下塗りコート層の表面部分が
未だ指触乾燥状態である間に、中塗り塗料(稀釈率10
%)を塗布量300g/m2 の割合で均一にハケ塗りに
より塗布したのち、すぐさまその上に前記ガラスクロス
テープをラップ率55%で螺旋状にかつ所定の張力を付
与しながら重ね巻きした。
【0047】次いで、更にこのガラス繊維クロス層上
に、前記中塗り塗料を2回に分けて塗布量700g/m
2 に塗布し、最終の中塗り単位塗装工程後4時間放置
し、ガラス繊維クロス層を内在する中塗りコート層を形
成した。
【0048】そして更に、上記中塗りコート層上に、前
記上塗り防食塗料を2回に分けて総塗布量360g/m
2 の割合にハケ塗りによって塗布し、上塗りコート層を
形成し、これを乾燥して防食被覆を完成した。
【0049】これによる防食被覆は、各コート層の厚み
において下塗りコート層150〜200μm、中塗りコ
ート層(ガラス繊維クロス層を含む)400〜500μ
m、上塗りコート層50μmであり、被覆全体の総厚み
において平均約700μm(0.7mm)のものであっ
た。
【0050】実施例2 上塗り塗料に、セメント系粉末を全く含有しないアクリ
ル系塗料(稀釈率10%)を用いたほかは、前記実施例
1と同様にして防食被覆を形成した。
【0051】比較例1 実施例1の下塗り防食塗料(ポルトランドセメント40
重量%含有の塩化ビニル系塗料)を単独で使用し、鋼板
上に3回の重ね塗りにより厚さ170μmの防食被覆を
形成した。
【0052】比較例2 アクリル系塗料に白色ポルトランドセメント粉末を20
重量%配合した防食塗料を用い、これを鋼板上に3回重
ね塗りし、厚さ180μmの主コート層を形成し、次い
でその上にアクリル系塗料(稀釈率10%)を単独で2
回塗布し、総厚み230μmの防食被覆を形成した。
【0053】〔比較評価〕上記実施例1〜2及び比較例
1〜2の各防食被覆について、それらの性能を比較する
ため、JIS K−5400に準じる試験方法で耐衝撃
性試験、塩水噴霧試験、接着性試験(建研式接着試験)
を実施し、その結果を表1に示した。また各被覆の外観
上の美麗さを目視観察により対比し、相対的に美感の優
劣を ◎ : 特に優れているもの、 ○ : 優れているもの、 △ : やや劣るもの、 で評価し表1に併記した。
【0054】
【表1】 上記表1の結果に鑑み、この発明による防食被覆は、優
れた保護性能と耐久性を有し、比較例1に示した従来の
防食塗料の耐久性の実績から判断して、少なくとも15
年以上の耐用年数を有するものと推定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による防食被覆の実施例を示す破砕側
面図である。
【図2】上記防食被覆の構造の詳細を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
(1)…防食被覆対象物 (2)…下塗りコート層 (3)…抗張性繊維クロス層 (4)…中塗りコート層 (5)…上塗りコート層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶剤型塗料に添加剤としてセメント系粉
    末を配合してなる防食塗料からなる下塗りコート層と、
    その外面に捲回被覆された抗張性繊維クロス層と、該繊
    維クロス層に含浸被覆された前記同様の防食塗料からな
    る中塗りコート層と、更に該中塗りコート層上に塗着形
    成された前記同様の防食塗料またはセメント系粉末を配
    合しない溶剤型塗料からなる上塗りコート層とをもっ
    構成され、 かつ前記中塗りコート層及び上塗りコート層がそれぞれ
    の下位の下塗りコート層及び中塗りコート層に対してセ
    メント系粉末の含有量において相対的に少なく設定され
    てなることを特徴とする配水管の防食被覆構造。
  2. 【請求項2】 下塗りコート層は、そのベースの溶剤型
    塗料が塩化ビニル系塗料からなり、かつ中塗りコート層
    及び上塗りコート層はそのベース塗料がアクリル系塗料
    からなる請求項1記載の配水管等の防食被覆構造。
  3. 【請求項3】 抗張性繊維クロス層がガラスクロスから
    なる請求項1または2に記載の配水管等の防食被覆構
    造。
  4. 【請求項4】 下塗りコート層は、その溶剤型塗料の不
    揮発成分100重量部に対しセメント系粉末20〜30
    0重量部を含有し、中塗りコート層は同じくセメント系
    粉末20〜80重量部含有し、上塗りコート層は同じく
    セメント系粉末0〜30重量部含有する請求項1〜3の
    いずれか1に記載の配水管等の防食被覆構造。
  5. 【請求項5】 少なくとも下塗りコート層が、中塗りコ
    ート層及び上塗りコート層に対して、相互に異色に着色
    されてなる請求項1〜4のいずれか1に記載の配水管等
    の防食被覆構造。
  6. 【請求項6】 各コート層の厚さにおいて、下塗りコー
    ト層は100〜300μm、繊維クロス層を含む中塗り
    コート層は300〜800μm、上塗りコート層は30
    〜100μmの範囲に形成されてなる請求項1〜5のい
    ずれか1に記載の配水管等の防食被覆構造。
  7. 【請求項7】 配水管等の防食被覆対象物の表面を清浄
    化する前処理工程と、 溶剤型塗料に添加剤としてセメント系粉末を配合してな
    る下塗り防食塗料を塗装して所定厚みの下塗りコート層
    を形成する下塗り工程と、 次いで、上記下塗りコート層上に、前記同様の防食塗料
    であって下塗り防食塗料よりもセメント系粉末の配合量
    を相対的に小とした中塗り防食塗料を複数回に亘って塗
    装すると共に、該塗装工程中に抗張性繊維クロステープ
    を所定の張力を付与しながら螺旋状に重ね巻きすること
    により、上記繊維クロス層に中塗り防食塗料が含浸被覆
    された中塗りコート層を形成する中塗り工程と、 次いで更に、上記中塗りコート層上にセメント系粉末の
    配合量を中塗り防食塗料よりも更に小とした上塗り防食
    塗料またはセメント系粉末を含有しない上塗り塗料を塗
    装して上塗りコート層を形成する上塗り工程とよりなる
    配水管等の防食被覆工法。
  8. 【請求項8】 中塗り工程は、下塗りコート層の少なく
    とも表面部が指触乾燥状態に至った時点において行うも
    のとする請求項7に記載の配水管等の防食被覆工法。
  9. 【請求項9】 下塗り防食塗料は、500〜1000g
    /m2 の割合に塗装し、中塗り防食塗料は800〜15
    00g/m2 の割合に塗装し、上塗り防食塗料または上
    塗り塗料は200〜800g/m2 の割合に塗装する請
    求項7または8に記載の配水管等の防食被覆工法。
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