JPH076989B2 - 糖化ヘモグロビンの測定法 - Google Patents

糖化ヘモグロビンの測定法

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JPH076989B2
JPH076989B2 JP13289187A JP13289187A JPH076989B2 JP H076989 B2 JPH076989 B2 JP H076989B2 JP 13289187 A JP13289187 A JP 13289187A JP 13289187 A JP13289187 A JP 13289187A JP H076989 B2 JPH076989 B2 JP H076989B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,血液中の糖化ヘモグロビン(ヘモグロビン
A1),特にヘモグロビンA1Cの測定法に関する。
(従来の技術) 糖尿病の指標のひとつとして血液中の糖化ヘモグロビン
(ヘモグロビンA1),特にヘモグロビンA1Cが知られ,
その測定が行われている。ヘモグロビンA1Cは,下記式
に示されるように,ヘモグロビン(以下,ヘモグロビン
をHbで示す)のβ鎖N末端に存在するバリンのアミノ基
にグルコース1分子が非酵素的に結合した複合体であ
る。Hbの上記アミノ基にグルコースが結合すると,ま
ず,下記式に示すようなシッフ塩基である不安定型ヘモ
グロビンA1C(I)が形成される: 上記式(1)において,β‐A-NH2はHbを示し,そのな
かのNH2は,該Hbのβ鎖N末端のバリンのアミノ基を示
す。
この不安定型HbA1C(I)の生成反応は可逆反応であ
り,グルコース濃度に応じて平衡が不安定型HbA
1C(I)の生成方向もしくは解離方向に傾く。(I)
は,さらにアマドリ転位を経て,不可逆的に安定型HbA
1C(II)に変化する。
HbA1Cは,例えば,高速液体クロマトグラフィーによりH
bを各Hb成分に分離し,そのODを測定することにより定
量され得るが,上記安定型HbA1C(S-HbA1C)および不安
定型HbA1C(L-HbA1C)を分離して測定することができな
い。そのためHbA1Cを安定した値で得られない。なぜな
ら,L−HbA1Cは,グルコース(つまり血糖)量により,
その量が変化し,該血糖値は,食事や運動により急激か
つ大幅に変化するためである。
上記欠点を解消するため,血液検体からL-HbA1Cを除去
し,S-HbA1Cのみを測定する試みがなされている。例え
ば,Dsvid M.Nathanら,Clinical Chemistry,28 512〜515
(1982)には,セミカルバジドおよびアニリンを用い,p
H5.0,38℃にて30分間血液検体を処理する方法が開示さ
れている。セミカルバジドは,グルコースを捕捉し,か
つ求該試薬として作用し,Hbのアミノ基と競合する。ア
ニリンは触媒として作用する。その結果,L-HbA1Cは実質
的に除去される。しかし,L-HbA1Cの除去反応が酸性側
(pH5.0)にて,かつ比較的高温(38℃)でなされるた
め,Hbの変性(例えば脱ヘム)が生じる。例えば,イオ
ン交換クロマトグラフィーによる溶出パターンを観察す
ると,脱ヘムによる退色に起因するピーク強度の低下や
HbA1aとHbA1bとに起因するピークの増大が観察される。
特開昭58-210024号公報には,ジヒドロキシボリル化合
物(ホウ酸化合物)を用いることが開示されている。こ
のジヒドロキシボリル化合物はグルコースのOH基をエス
テル化するためグルコースが系内から除去され,その結
果,L−HbA1Cの解離が進行する。しかし,L-HbA1Cを除去
するためには,高濃度のジヒドロキシボリル化合物を必
要とする。例えば,溶血させた血液を含む試料液中で約
0.1〜1.0M,該ジヒドロキシボリル化合物を含む溶離液を
用いて,溶血物を溶出させる場合には,該溶離液中に0.
01〜0.15Mの割合で含有されることが必要である。この
ように高濃度のジヒドロキシボリル化合物が含有される
と,イオン交換クロマトグラフィーにかける場合にその
イオン強度が通常の場合とは異なり,その結果,分離条
件が変わり,測定が困難となったり測定条件の補正が必
要となる。さらに,最適pHが約4.5〜6.5,好ましくは5.0
〜6.0であるため,Hbの変性が生じるおそれがある。
L-HbA1Cその他の除去方法としては,血液検体を希釈し
てグルコース濃度を下げ,L-HbA1Cの解離を促進させる方
法が知られている。これを実施するには,例えば,赤血
球を大過剰の生理食塩水でインキュベートしたり,溶血
物を透析する方法が採用される。しかし,これらの方法
はいずれも長時間を必要とするため、臨床検査のための
方法としては適切ではない。
(発明が解決しようする問題点) 本発明は上記従来の欠点を解決するものであり,その目
的とするところは,血液検体中の不安定型ヘモグロビン
A1Cを除去し,安定型ヘモグロビンA1Cのみを,精度良く
簡便にかつヘモグロビンを変性させることなく測定しう
る,ヘモグロビンA1Cの測定方法を提供することにあ
る。
(問題点を解決するための手段および作用) 本発明の糖化ヘモグロビンの測定法は,血液中の少なく
とも赤血球および/またはヘモグロビンを含む試料を,
リン酸縮合体および/またはリン酸縮合体の塩を含む解
離用媒質と接触させて,該赤血球および/またはヘモグ
ロビンに含まれる不安定型ヘモグロビンA1Cをヘモグロ
ビンとグルコースとに解離させる工程,および,該解離
後の試料中のヘモグロビンをイオン交換クロマトグラフ
ィーで各ヘモグロビン成分に分離し,該試料中に存在す
る安定型ヘモグロビンA1Cを測定する工程を包含し,そ
のことにより上記目的が達成される。
本発明に用いられるリン酸縮合体は,L-HbA1Cの解離剤と
して機能する。このようなリン酸縮合体としては,(HPO
3)n(nは2以上の整数)で表されるメタリン酸,2原子
以上のリンを含みP-O-P結合を有するポリリン酸および
それらの類似体がある。メタリン酸としては,トリメタ
リン酸(III),テトラメタリン酸(IV)などが,ポリ
リン酸としては,ピロリン酸(V),テトラポリリン酸
(VI)などがある。
これらに関連する類似体としては,上記化合物が側鎖を
有する化合物やさらに複雑に縮合している化合物が挙げ
られる。例えば,下記(VII),(VIII)および(IX)
の化合物が挙げられる。
上記化合物の他,水に溶解させるとこれらのリン酸縮合
体を生成する化合物も包含される。例えば,5酸化リンも
本発明に使用され得る。5酸化リンは,水に溶解すると
加水分解によりウルトラポリリン酸(IX),テトラメタ
リン酸(IV),テトラポリリン酸(VI)などに変化す
る。しかし加水分解最終産物であるモノオルソリン酸(H
3PO4)にはその効果が認められない。
上記リン酸縮合体の縮合度はL-HbA1Cの除去効果からみ
て2〜6が最も好ましい。しかし,より重合度の高い化
合物でも水溶液中において加水分解によりP2〜P6のリン
酸縮合体を生成するので使用が可能である。
これらのリン酸縮合体は,その塩であっても同等の効果
が得られる。塩の種類は特に限定されないが,例えばア
ルカリ金属やアルカリ土類金属の塩が挙げられ,Na塩,K
塩などが好適である。
HbA1Cを測定する場合の上記リン酸縮合体および/また
はリン酸縮合体の塩(L-HbA1C解離剤)の使用量は,該
解離剤の種類や測定時の条件(血液の溶血などの前処理
の条件,pHなど)によって異なるが,通常,血液(全
血)1mlあたり1〜6000mgの割合で用いられる。例え
ば,血液検体3μlを450μlの溶血剤溶液にて溶血さ
せた試料溶液中にピロリン酸であれば約0.1〜4.0W/V%
(W/V%は、単位容量あたりの重量割合を表わすものと
する),好ましくは0.5〜2.0W/V%の割合で,テトラポ
リリン酸であれば,約0.001〜1.0W/V%,好ましくは0.0
1〜0.2W/V%の割合で含有される。クロマトグラフィー
の溶離液中に含有させる場合には,例えばテトラポリリ
ン酸であれば,0.001〜0.1W/V%の割合で含有される。過
少であるとL-HbA1Cの解離・除去効果が得られず、過剰
であるとクロマトグラフィー分離時における分離が困難
となる。
血液中のHbを測定するときには,該Hbは赤血球中に存在
するため,通常,血液をあらかじめ溶血させておく場合
が多い。溶血剤としては,界面活性剤が好適に用いられ
る。溶血剤としは,高級脂肪族アルコール,アルキルア
リールポリエーテルアルコール,スルホネート化合物の
ポリオキシエチレンエーテル,サルフェート化合物のポ
リオキシエチレンエーテル,ソルビット脂肪族エステル
のポリオキシエチレン付加体などがある。溶血剤の使用
量は,その種類などによっても異なるが,通常,血液1m
lあたり10〜2000mgである。例えば,溶血剤を0.01〜2
容量%の割合で含有する溶血用処理液を血液1mlあたり
2〜400mlの割合で添加してインキュベートすることに
より溶血させることができる。溶血剤が過剰であるクロ
マトグラフィーによるHbの分離が困難となる。
本発明方法により糖化Hbの測定を行うには,まず,血液
検体を必要に応じて溶血剤で前処理して溶血させ,少な
くとも赤血球および/またはHbを含む試料を調製する。
この試料を,上記解離剤(リン酸縮合体および/または
リン酸縮合体の塩)を含む解離用媒質と接触させる。こ
の解離剤は,試料が後述のクロマトグラフィーのカラム
中でイオン交換により分離されて溶出される以前に赤血
球および/またはHbと接触すればよい。従って,解離剤
は,血液検体を適当な濃度に希釈するための希釈液,溶
血剤を含む溶血剤溶液,クロマトグラフィーに用いられ
る溶離液などに含まれていてもよく,このような溶液や
溶離液もまた,本発明における解離用媒質と考えられ
る。その他,例えば試料の赤血球分散液,その溶血物,H
b溶液に固体のまま解離剤が添加される場合も,該解離
剤は速やかに溶解し,試料中のHbは解離用媒質と接触す
ると解離される。
本発明方法のうち,試料を解離剤で解離させた後,クロ
マトグラフィーにかけて分離・測定する方法について,
次に説明する。試料と解離剤(解離用媒質)との接触時
のpHは酸性側であるほど,L-HbA1Cの解離速度は上昇する
が,pHが低すぎるとHbの変性が生じる。さらに,極端に
高いか低いpH条件下ではクロマトグラフィーよるHbの分
離が困難になる。従って,通常,試料および解離剤を含
む混合液のpHが4.6〜7.0,好ましくは5.3〜6.5となるよ
うに調整される。試料と解離剤との接触時間は解離剤の
種類や濃度,pH条件などにより異なるが,通常,室温に
おいては10分以上,好ましくは10〜30分である。温度を
上げることによる接触時間の短縮も可能であり,例えば
37℃にて約3〜7分,50℃にて約1〜3分間インキュベ
ートすることもできる。このように処理された試料は,
イオン交換クロマトグラフィー(例えば高速液体クロマ
トグラフィー)にかけられ,Hbの各成分が分離されて溶
出され,測定される。
試料溶液を直接イオン交換クロマトグラフィーにかけ上
記解離剤が含有される溶離液を用いて溶出させる場合に
は,該溶離液のpHは,Hbを変性させず,かつクロマトグ
ラフィーにより容易にHbA1Cが分離されて測定され得る
ような範囲であればよい。通常,pH5.0〜6.5の範囲が選
択される。リン酸縮合体やその塩は緩衝作用を有するた
め溶離液に緩衝作用を持たせるためのバッファーとして
も機能する。さらにリン酸縮合体やその塩は,イオン交
換クロマトグラフィーでの分離に悪影響をおよぼす重金
属イオンの封鎖機能をも有する。試料がクロマトグラフ
ィーのカラムを通過する間に含有されるL-HbA1Cが解離
され,次いで各Hb成分に分離されて溶出され,測定され
る。解離剤は,上記試料の希釈液や溶血用前処理液など
とクロマトグラフィー用溶離液との両者に含有させるこ
とも可能で,この場合は特に効果的にL-HbA1Cの解離が
なされる。
このようなリン酸縮合体および/またはリン酸縮合体塩
によるL-HbA1Cの解離・除去作用は,Hb上の2,3−DPGポケ
ットの性質に起因すると考えられる。2,3−DPGポケット
に関しては,Beneschら,(Biochem.Biophys.Res.Commu
n.,26,162,1967);Chanutinら,(Arch.Biochem.Biophy
s.,121:96,1967)などにより詳しく報告されている。こ
の2,3−DPGポケットはHbのβ鎖のヒスチジン,リジンな
どの塩基性アミノ酸残基,およびHbA1CのHbβ鎖のN末
端バリンによって形成されており,カチオン性を帯びて
いることが知られている。本発明に用いられるリン酸縮
合体およびリン酸縮合体の塩はアニオン性を有しかつそ
の分子形状も適切であるため上記2,3−DPGポケット対し
て強力な親和性を有する。そのため,グルコースと競合
してHbのβ鎖末端に結合する。その結果,L-HbA1Cの解離
が促進される。
このようにしてリン酸縮合体および/またはリン酸縮合
体塩のL-HbA1Cの解離作用によりL-HbA1Cが試料中から除
去され,S-HbA1Cのみが試料中に残留する。この解離剤
は,Hbのイオン交換クロマトグラフィーによる溶出パタ
ーンに影響を与えない。そのため上記S-HbA1Cは,従来
と同様の方法でイオン交換クロマトグラフィーにより分
離され,精度よく測定される。
(実施例) 以下に本発明を実施例につき説明する。
測定方法 以下の実施例においてHbA1の測定は,(株)京都第一科
学製のHi-Auto A1CHA-8120を用い適切条件を選択して測
定した。このHA-8120はHPLCによるHbA1C測定専用装置で
あり,陽イオン交換により各Hb成分を4分間で分離して
溶出する。溶出用緩衝液は専用の溶離液(リン酸緩衝
液)が用いられる。この装置を用いたHbの溶出パターン
は一般に第1図に示される。第1図において,P1および
P2はHbA1a+b成分に起因するピークであり,P3およびP4
はL-HbA1CおよびS-HbA1C成分に起因するピークである。
P5は他のヘモグロビンに起因するピークである。ここ
で,HbA1C(S型とL型との合計)は次式で算出され
る。
本実施例においては同一人(健常人)の血液を使用し,
採血後直ちにヘパリンを添加したものを新鮮血液として
用いた。
リファレンス値の測定 pH6.3の0.005Mリン酸緩衝液(100ml中に溶血剤としてTr
iton X-100(和光純薬製)0.1mlを加えて溶血用試薬を
調製した。この溶血用試薬450μlに新鮮血液3μlを
加えて溶血させた後に,上記方法によりHbA1C(L型お
よびS型を含む)を測定したところ,全Hb中HbA1Cは5.0
%の割合で存在することがわかった。この値をブランク
値とした。
次に,新鮮血10mlを遠心分離して得た血球約5mlを8/32i
nchセロファンチューブ(和光純薬製)に入れ生理食塩
水1を用いて各2回,計5時間37℃にてインキュベー
トした。このようにしてL-HbA1Cを解離させた後,これ
を約1.5μl採取し,上記溶血試薬450μlを用いて溶血
させた。このサンプルについてHbA1Cを同様の方法で測
定したところ4.3%であった。この値は,血液中のS-HbA
1Cに相当すると考えられる。
実施例1 0.005Mリン酸緩衝液100ml中に溶血剤としてTritonX-100
(和光純薬製)0.1mlおよび解離剤としてテトラポリリ
ン酸(和光純薬製)約0.1gを溶解させ,塩基を加えてpH
を6.3に調整し,溶血剤を含む解離用媒質を得た。この
溶血剤含有解離用媒質450μlに新鮮血液3μlを添加
し,室温で約10分間放置して溶血ならびにL-HbA1Cの解
離を行った。このサンプルのHbA1Cを測定したところ4.4
%であった。別に,テトラポリリン酸(解離剤)を加え
ない溶血剤溶液を調製し,同様の方法でHbA1Cの測定を
行った。
次に、上記溶血剤含有解離用媒質および溶血剤溶液(解
離剤を含まない)のそれぞれについてpHを5.8,5.3,5.0
および4.6に設定し,同様にHbA1Cの測定を行った。溶血
剤を含む解離用媒質を用いたときの総Hb中のHbA1C含有
量を第2図に実線(白プロット)で,そして,溶血剤溶
液(解離剤を含まない)を用いたときのHbA1C含有量を
実線(黒プロット)で示す。さらに,溶血剤を含む解離
用媒質を用いたときの総Hb量を第2図に一点鎖線(白プ
ロット)で,そして溶血剤溶液(解離剤を含まない)を
用いたときの総Hb量を一点鎖線(黒プロット)で示す。
総Hb量は,もとの血液中の総Hb量を100%として換算し
た。
第2図から,pH条件が低くなるにつれてHbA1C値が低くな
り,L-HbA1Cが解離・除去されていることが明らかであ
る。しかし,pHが5.3を下まわると脱ヘムによる退色が認
められ,総Hb量が低下するのがわかる。特にテトラポリ
リン酸を含む本発明方法の系においてはこの傾向が顕著
であり,pH4.6における総Hb量はpH6.3の場合の約75%で
ある。本発明方法においては,pH6.3〜5.3の領域におい
て,Hbが変化することなくL-HbA1Cが解離・除去されるこ
とが明らかである。
実施例2 実施例1に準じ,テトラポリリン酸の量をそれぞれ1.0
g,0.2g,0.05g,0.005gおよび0.001g含有する溶血剤含有
解離用媒質(いずれもpH約6.0)を調製した。これを用
いて実施例1と同様の方法でHbA1Cの含有量を測定し
た。その結果を下表に示す。
表から,テトラポリリン酸が0.005%程度の低濃度であ
ってもL-HbA1Cの除去効果が得られることがわかる。テ
トラポリリン酸濃度が1.0%の場合は,クロマトグラム
のパターンがブロードに変化するため,濃度をやや低く
することが望ましい。
実施例3 実施例1に準じ,pHを6.0に調整した溶血剤含有解離用媒
質を調製した。これを用い,温度条件を37℃,50℃およ
び60℃に設定して,それぞれ所定時間インキュベートし
た後にHbA1Cの測定を行った。その結果を第3図に示
す。
第3図から反応温度を上げるにつれてより迅速にL-HbA
1Cが除去されることがわかる。しかし,60℃で3.5分間イ
ンキュベートするとHbの変性が認められ,総Hb量が約90
%に低下した。そのため,高温で長時間インキュベート
することは好ましくないと考えられる。
実施例4 新鮮血液10mlを遠心分離して得た血球約5mlを8/32inch
セロファンチューブ(和光純薬製)に入れ1000mg/dlの
D−グルコースを含有する等張液1000mlにて5時間37℃
で透析し,L-HbA1C高含量の試料を得た。実施例1に準じ
てpH6.0の溶血剤溶液(解離剤を含有しない)を調製
し,この溶血剤溶液450μlに上記試料約1.5μlを加え
て溶血させた。溶血物を用いて測定したHbA1C含有量は
6.0%であった。このときのクロマトグラムの溶出パタ
ーンを第4図(a)に示す。次に上記溶血剤溶液にテト
ラポリリン酸が0.1%となるように加えられた溶血剤含
有解離用媒質を調製し,これに同様の方法で,上記L-Hb
A1C高含量の試料を加えた。これを50℃にて2分間イン
キュベートした後に,そのHbA1C量を測定したところ,4.
4%であった。このときのクロマトグラムの溶出パター
ンを第4図(b)に示す。第4図(a)に認められるピ
ークP3は第4図(b)ではほぼ消失しているのがわか
る。このように本実施例のようなL-HbA1Cを高割合で含
有する試料においても本発明方法によりL-HbA1Cが充分
に除去されることが明らかである。
実施例5 テトラポリリン酸の代わりにピロリン酸ナトリウム(半
井化学薬品製)を1.0%の割合で含有する溶血剤含有解
離用媒質を用いたこと以外は実施例4と同様である。Hb
A1C含量は,4.5%であった。
実施例6 テトラポリリン酸の代わりにヘキサメタリン酸ナトリウ
ムを1.0%の割合で含有する溶血剤含有解離用媒質を用
いたこと以外は実施例4と同様である。HbA1C含量は,4.
5%であった。
実施例7 リン酸緩衝液からなるHbA1測定用専用溶離液A液(積水
化学工業(株)製)にテトラポリリン酸を0.005%にな
るように添加し,解離剤含有溶離液を得た。別に,実施
例1と同様の溶血剤溶液(解離剤を含有しない)を調製
し,これを用いて,新鮮血液を実施例1と同様に溶血さ
せた。この試料をすみやかに上記溶離液を用いてクロマ
トグラフィーにかけて,分離・測定したところ,溶出パ
ターンは,実施例1の解離用媒質を用いた場合と,ほぼ
同様であり,HbA1C含量は4.4%であった。本実施例の方
法で充分にL-HbA1Cが除去されることがわかる。
比較例1 実施例1のテトラポリリン酸の代わりにリン酸2水素ナ
トリウム(和光純薬製)を使用し,該リン酸2水素ナト
リウム約1.0%を含有しpHが6.0に調製された溶血用試薬
を調製した。これを新鮮血に加え,溶血後50℃にて2分
間インキュベートを行った後に実施例1と同様に,HbA
1Cの測定を行った。HbA1C値は5.0%であり,L-HbA1Cが除
去されていないことがわかる。
比較例2 実施例1と同様の溶血剤(実施例1と同濃度),セミカ
ルバジド塩酸塩(和光純薬製)0.01M,アニリン(和光純
薬製)0.004Mを含むpH5.3の0.005Mリン酸緩衝液からな
る溶血剤含有L-HbA1C除去剤溶液を調製した。これを用
いて新鮮血を実施例1と同様に溶血させ,溶血物を60℃
にて2分間インキュベートした。これを測定したところ
HbA1C含量は4.6%であった。しかし,分画パターンはか
なりブロードになり,Hbピーク総面積は当初の約70%で
あった。
比較例3 実施例1と同様の溶血剤(実施例1と同濃度)およびホ
ウ酸1.0%を含有するpH5.3の0.005Mリン酸緩衝液からな
る溶血剤含有L-HbA1C除去剤溶液を調製した。これを用
いて新鮮血を実施例1と同様に溶血させ溶血物を50℃に
て2分インキュベートした。これを測定したところ,Hb
A1C含量は4.4%であった。しかし,ホウ酸濃度を0.1%
としpHを6.0に調整して同様の測定を行ったところ,HbA
1C含量は4.8%となった。このように,ホウ酸が低濃度
である場合には,充分にL-HbA1Cを除去することができ
ない。
(発明の効果) 本発明によれば,このように,血液中のHbA1CのうちL-H
bA1Cが除去され,S-HbA1Cのみが精度良く簡便にかつヘモ
グロビンを変性させることなく短時間のうちに測定され
る。S-HbA1Cは,一時的な血糖の上昇もしくは降下に左
右されずに比較的安定して血液中に存在するため,この
測定値はより信頼度の高い糖尿病の指標とされ得る。測
定系を自動化することにより,さらに効果的な臨床検査
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は血液中のHbをイオン交換クロマトグラフィーに
より分離して測定したときの溶出パターンを示すチャー
ト,第2図は,本発明方法および従来の方法を用い,血
液を異なるpH条件下で溶血させた後に測定したときの該
pH条件とHbA1C含量との関係,および該pH条件と総Hb量
との関係を示すグラフ,第3図は本発明方法により血液
中のHbA1Cを測定したときの解離反応時間とHbA1C含量と
の関係を示すグラフ,そして第4図(a)および(b)
は,HbA1C含量を高くした血液サンプルおよび該サンプ
ルを本発明方法により処理したときのイオン交換クロマ
トグラフィーの溶出パターンをそれぞれ示すチャートで
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血液中の少なくとも赤血球および/または
    ヘモグロビンを含む試料を,リン酸縮合体および/また
    はリン酸縮合体の塩を含む解離用媒質と接触させて,該
    赤血球および/またはヘモグロビンに含まれる不安定型
    ヘモグロビンA1Cをヘモグロビンとグルコースとに解離
    させる工程,および, 該解離後の試料中のヘモグロビンをイオン交換クロマト
    グラフィーで各ヘモグロビン成分に分離し,該試料中に
    存在する安定型ヘモグロビンA1Cを測定する工程, を包含する糖化ヘモグロビンの測定法。
  2. 【請求項2】前記解離用媒質が,前記試料の調製に用い
    る希釈液,該試料の溶血用前処理液および前記クロマト
    グラフィーに使用される溶離液のうちの少なくとも1種
    である,特許請求の範囲第1項に記載の測定法。
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