JPH077121B2 - 合成樹脂製フオトクロミツクレンズ - Google Patents

合成樹脂製フオトクロミツクレンズ

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JPH077121B2
JPH077121B2 JP60015859A JP1585985A JPH077121B2 JP H077121 B2 JPH077121 B2 JP H077121B2 JP 60015859 A JP60015859 A JP 60015859A JP 1585985 A JP1585985 A JP 1585985A JP H077121 B2 JPH077121 B2 JP H077121B2
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隆夫 最上
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は無機物からなるフオトクロミツク薄膜を有する
合成樹脂製フオトクロミツクレンズの製法に関する。
〔従来の技術〕
現在、眼鏡レンズ材料として、無機ガラスと合成樹脂が
広く用いられている。視力矯正とフアシヨン性の両者を
兼ね備えたフオトクロミツクレンズに対する消費者の要
望は強く、たとえば無機ガラスにハロゲン化銀を用いた
フオトクロミツクレンズが市販されている。従来無機ガ
ラスにフオトクロミツク機能を付与させる場合、材料に
ハロゲン化銀を練り込む方法が用いられてきた。この方
法を視力矯正用の凹レンズ、凸レンズに適用すると、レ
ンズの中心部と外周部の厚みの違いにより暗化時の着色
の濃度勾配が生じ、レンズとして外観上好ましくない結
果を生じる。
合成樹脂製レンズにハロゲン化銀を練り込む方法は前述
の濃度勾配の不具合点の他に、現在レンズの最も一般的
製造法であるキヤステイングに於いて、フオトクロミツ
ク性能が一般的に使用されている重合開始剤としてのパ
ーオキシドにより失活させられてしまうという問題を有
している。
これまでに、ハロゲン化銀によりフオトクロミツク機能
を合成樹脂に付与させる技術、あるいはハロゲン化銀に
よるフオトクロミツク薄膜に関する技術がいくつか開示
されている。
例えば特公昭45−12716にはフオトトロピーガラスを合
成樹脂に混入する方法が開示されているが、前述の濃度
勾配の問題と、この方法を用いた場合、キヤステイング
中にガラスを核としてクラツクが入りやすいという問題
を有しており実用的ではない。特公昭54−33238におい
て、真空蒸着法によりハロゲン化銀と二酸化スズとで薄
膜を作成しているが、この場合は減光率が低いばかりで
なく、繰返しの耐久性も悪く、合成樹脂レンズに適用し
た場合レンズ基材との密着性が全く得られない。また別
に特開昭51−45541ではハロゲン化銀粒子を無機物で被
覆、特開昭52−152887では銀イオンとハロゲンイオン含
有の溶液への交互浸漬法などの技術が開示されている
が、外観上の問題、着消色反応の応答速度の問題繰返し
による耐久性の問題等で眼鏡としてのレベルにはまだ到
達していない。さらに特公昭54−34770にはAg−Cu−X
(XはCl,Br)共融混合物を用いたホトトロープ薄層に
ついての技術が開示されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
特公昭54−34770に示されている様にAg−Cu−X共融混
合物を抵抗加熱蒸着法により蒸着した場合、光に対する
反応性は優れているものの、膜強度が不十分であるばか
りでなく、合成樹脂基材との密着性が悪く、合成樹脂レ
ンズに適用できないという問題点を有している。そこで
本発明はこのような問題点を解決するもので、その目的
とするところは、合成樹脂レンズ表面に優れた着消色性
および耐久性を有し、かつレンズ基材との間の密着性に
優れた無機物より成るフオトクロミツク薄膜を設けた日
常の使用に耐え得る合成樹脂製フオトクロミツクレンズ
を提供するものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の合成樹脂製フオトクロミツクレンズは合成樹脂
製レンズ表面に、下記に示す三成分系固溶体を主成分と
して含む層と無機物質からなる層を交互に積層し多層膜
とし、最上層に無機物質からなるハードコート層、又は
反射防止層を設けたことを特徴とする。
Ag−Cu−X (ただし、XはCl,Br,Iである。) さらに、前記に示した三成分系固溶体を主成分として含
む層が粒径400Å以下の島を持つ島状構造から成ること
を特徴とする。
本発明で用いる三成分系固溶体は、AgBr,AgCl,AgI,CuBr
2,CuBr,CuCl2,CuCl,CuI2,CuI,Ag単体、Cu単体等の中か
ら必要な三成分を含む化合物、あるいは単体を選び、そ
れらを混合して、溶解、冷却することによつて得られ
る。この場合、Xとしハロゲンを二種以上含むことは可
能であり、混合により波長による暗化の応答速度を変え
たり、暗化時の色調を変えたりすることができる。十分
なフオトクロミツク特性を得る為には、ハロゲン原子
(Cl,Br,I)が50±10モル%、AgとCuを合わせて50±10
モル%であることが望ましい。また、溶解により三成分
系固溶体を得る時は、ArやN2等の不活性ガスの雰囲気、
あるいは真空中で行い酸化銀や酸化銅等の酸化物の生成
を押えることが必要である。
上記の方法によつて得られる三成分系固溶体を抵抗加熱
あるいは電子銃加熱による蒸着法で合成樹脂レンズ表面
に蒸着するとフオトクロミツク性能を示す薄膜が得られ
る。ただし実用上必要な着色を得る為には膜厚が600Å
以上必要である。
さらに、この様なAg−Cu−X単層は時間と共に白濁する
など耐久性に乏しい。耐久性向上の為、保護膜としてSi
O2,Al2O3等の膜を被覆した場合に於いても、600Å以上
の膜厚を持つAg−Cu−X単層の強度が弱く、Ag−Cu−X
層で破壊が起こり実用に耐えない。本発明者らは、Ag−
Cu−X層の強度向上とレンズ基材、保護膜等との密着性
向上の為、SiO2,ZrO2,TiO2,SnO2等とAg−Cu−Xと同時
蒸着を行い薄膜を形成した。しかしこの方法も、同時蒸
着された金属酸化物の影響などにより本来のフオトクロ
ミツク性能が減じる、あるいは、期待どうりの強度が得
られないなど、実用的でなかつた。
本発明ではAg−Cu−Xを主成分として含む層の厚さを一
般に知られている島状構造を持つ程度の厚さとする。こ
の場合、蒸着物質は基材一面に広がらず、薄膜を形成す
るまで至つていない。
本発明者らが透過型電子顕観察を行うたところ、Ag−Cu
−Xを主成分として含む物質に於いて島状構造をとり得
る島の粒径はおよそ400Å以下であつた。この様な層の
場合、単層では光照射による着色は微々たるものであ
る。本発明では、図1に示す様に、膜強度が強く基材等
との密着性に勝れたSiO2,Al2O3,ZrO2等無機物質とAg−C
u−Xを主成分として含む上記層を交互に多層蒸着し、
十分なフオトクロミツク性能を持つ多層膜を得た。合成
樹脂製レンズ基材に多層膜を形成する場合、基材にまづ
無機物質を蒸着し、多層膜を形成するのが、基材との密
着性向上の為、望ましい。無機物質の膜厚は、Ag−Cu−
X層より厚ければ任意でよいが、十分なフオトクロミツ
ク性能を得る為には数十層程度の積層が必要であり、全
体としての膜厚を押える為に個々の膜厚は最小限に押え
るのが望ましい。さらに本発明では最上層にSiO2,Al2O3
等の無機物質からなるハードコート層又は反射防止層を
設けている。反射防止層は低屈折率物質として、二酸化
硅素、フツ化マグネシウム等を用い、高屈折率物質とし
て、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、五酸化タンタ
リウム、中程度の屈折率物質としては、酸化アルミニウ
ム等を用いることができる。
Ag−Cu−Xを主成分として含む層、ハードコート層、反
射防止層は、真空蒸着法、スパツタリング法、イオンプ
レーテイング法等で形成することができる。
合成樹脂基材とフオトクロミツク層あるいは無機物より
成る層との密着性を向上させるために、合成樹脂基材表
面を、アルカリや酸で化学処理したり、プラズマ処理し
たりすることは有効である。
本発明に使用しうる基材レンズは、ジエチレングリコー
ルビス(アリルカーボネート)、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリカーボネート、ポリスチレン、核ハロゲン置
換芳香環を有するジメタクリレート又はジアクリレート
と芳香環を有するラジカル重合可能な単量体との共重合
体、核ハロゲン置換芳香環を有するジアリルカーボネー
トと芳香環を有するラジカル重合可能な共重合体等の樹
脂何れでも可能である。又、有機ハードコートを有する
合成樹脂製レンズも使用可能である。これらの基材レン
ズは密着性を向上させるため、予めアルコール等の溶剤
で洗浄することが好ましい。
〔作用〕
一般にハロゲン化銀は次式に従つて可逆的フオトクロミ
ツク性を示すと考えられている。
(Xはフツ素を除くハロゲン) また、銅は一般に次式のように銀の酸化還元反応に寄与
し、フオトクロミツク挙動の増感剤としての役割を果す
と考えられている。そしてこの二つ の反応が、光照射あるいは光の照射を中止した時に固溶
体中で起つていると考えられる。
光照射により、フオトクロミツクレンズとして機能する
為には、遊離した銀原子が集まり粒径が数十Å〜数百Å
の集団を形成することが必要と考えられている。本発明
の構成ではAg−Cu−Xを含む固溶体が粒径400Å以下の
島からなる島状構造をとつており、フオトクロミツク機
能を示すに十分な粒径となつている。しかし一層では十
分な着色が得られない為、本発明の構成では、無機物質
と交互に積層することにより全体としてのAg−Cu−X層
の膜厚を増し、使用に耐えうる着色度を得ている。さら
に無機物質は、島状構造をとつているAg−Cu−Xの回り
を埋め、強度のないAg−Cu−Xの強度向上に非常に役立
つ。
よつて、本発明の構成によれば、膜強度、密着性が飛躍
的に向上したフオトクロミツク膜を得ることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳しく説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕 AgBr5.7gとCuBr2.3gを混合し、磁製ボート中で500℃ま
で加熱、溶解させた。加熱は、酸化物等の生成を抑える
為に、N2ガス中で行ない、溶解後は、徐冷して固溶体と
し、蒸着用試料とした。
基板はジエチレングリコールビス(アリルカーボネート
製レンズをイソプロピルアルコールで洗浄したものを用
い、電子ビーム蒸発源を持つ、質空蒸着機の回転可能な
ドームにセツトした。蒸発源には、上記固溶体試料、Si
O2,Al2O2がセツトされている。
第1層としてSiO2を電子ビームにより溶解させ回転して
いるドームにセツトされた基板レンズに500Å蒸着し
た。次に同様の方法でAl2O3を200Å蒸着し第2層とし
た。第3層目にはAg−Cu−Br固溶体試料を、平均300Å
程度の粒径を持つ島状構造を形成する様に電子銃による
溶解により蒸着した。以下隅数層にはAl2O3を500Å奇数
層にはAg−Cu−Br固溶体を上記に示した島状構造を持つ
様に交互に蒸着し第50層までの多層膜とした。最後に51
層目としてSiO2を1000Å蒸着して終わりとした。蒸着中
の基板温度は50℃であり真空度10-5Torrであつた。
以上の膜構成を図1に示した。同様の方法でレンズの反
対側の面にも多層膜を形成した。得られたレンズの特性
を調べ表1に示した。尚、それぞれ特性についての評価
は次の方法に従つて行つた。
(イ) 減光率:フオトクロミツクレンズ調光テスタ
ー:HE−233(ハセガワピコー社製)を用いて行い、一回
の照射テストでの平均減光率(400〜750nmの平均)を示
した。
(ロ) 消色速度:前記フオトクロミツクレンズ調光テ
スターで一回照射後20℃でレンズを暗所に放置し、減光
率が試験前の減光率に回復するまでの時間を測定した。
(ハ) 耐久性(減光率):キセノンランプによるフエ
ードメーターに200時間暴露したのち、(イ)の減光率
試験を行い、平均減光率を示した。
(ニ) 耐久性(消色速度):キセノンランプによるフ
エードメーターに200時間暴露した後(ロ)の消泡速度
試験を行い時間を表示した。
(ホ) 耐久性(着色度):キセノンランプによるフエ
ードメーターに200時間暴露した後、20℃の暗室に24時
間放置し、測定した平均透過率400〜750nm)の値を、フ
エードメーターに暴露する前に20℃の暗室に24時間放置
した時の平均透過率より減じた値を示した。
(ヘ) 密着性:密着性は、JISD−0202に準じクロスカ
ツトテープ試験によつて行なつた。
即ち、ナイフを用いてレンズ表面に1mm間隔に切れ目を
入れ、1mm2のマス目を100個形成させる。次にその上へ
セロフアン粘着テープ(日東化学(株)製“セロテー
プ”)を強くおしつけた後、表面から90゜方向へ急に引
つぱり剥離したのち、コート被膜の残つているマス目を
もつて密着性指標とした。
(ト) 耐摩耗性:#0000スチールウールで1Kgの荷重
をかけ、10往復表面を摩擦し傷のついた程度をガラスを
1ポリメチルメタクリレート板を10とし、10段階に分
け、目視により評価した。
〔実施例2〕 第1層目つまり基板上に実施例1で用いたAg−Cu−Br固
溶体試料を300Å程度の粒径を待つ島状構造を形成する
様に蒸着し、2層目以下は実施例1の4層目以降と同様
に蒸着した。他の条件は実施例1と同様であつた。
〔実施例3〕 AgI3.76gとCuI1.27gを乳鉢ですり潰し混合した。次に混
合物をArガス雰囲気中で610℃に加熱し、溶解させ、そ
の後徐冷してAg−Cu−I固溶体とした。
基板としてエチルアルコールで洗浄したポリカーボネー
ト製レンズを用い、Ag−Cu−I固溶体を用いた以外は実
施例1と同様に行なつた。
〔実施例4〕 実施例1のAg−Cu−Br固溶体とAl2O3交互積層を20層ま
でとし、あとは実施例1と同様に行なつた。
〔実施例5〕 実施例1の51層目の表面にYb2O3,Tu2O5,SiO2を順次真空
蒸着でコートし、反射防止層を構成した以外はすべて実
施例1と同様に行なつた。
〔比較例〕
実施例1に於いてAg−Cu−Br固溶体試料を700Åの厚さ
に蒸着した以外はすべて実施例1と同様に行なつた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、粒径400Å以下の島を持つ島状構造か
らなるAg−Cu−X個溶体の層と無機の誘導体物質からな
る層を交互に積層し多層膜を形成している。よつて強
度、密着性に劣るAg−Cu−X個溶体が、強度、密着性に
優れた無機物質にとり囲まれる様にして補強され、全体
として、強度、基材との密着性に優れたフオトクロミツ
ク多層膜を得ることができた。
尚、本発明は他の光学材料、例えば窓ガラス、自動車の
窓ガラス等にも十分適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す図。 1……SiO2(1000Å)からなる層 2……Al2O3とAg−Cu−Br固溶体(島状構造)からなる
多層 3……Al2O3(300Å)からなる層 4……SiO2(500Å)からなる層 5……基材レンズ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成樹脂製レンズの表面に、下記に示す三
    成分系固溶体を粒子径400Å以下の島状構造として含む
    無機物質層を積層し多層膜とし、最上層に無機物質から
    なるハードコート層または反射防止層を設けたことを特
    徴とする合成樹脂製フォトクロミックレンズ。 Ag−Cu−X(ただし、XはCl、Br、Iである)
JP60015859A 1985-01-30 1985-01-30 合成樹脂製フオトクロミツクレンズ Expired - Lifetime JPH077121B2 (ja)

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