JPH0779786A - リパーゼによるエステル交換法 - Google Patents

リパーゼによるエステル交換法

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JPH0779786A JP23163093A JP23163093A JPH0779786A JP H0779786 A JPH0779786 A JP H0779786A JP 23163093 A JP23163093 A JP 23163093A JP 23163093 A JP23163093 A JP 23163093A JP H0779786 A JPH0779786 A JP H0779786A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 位置特異性等を有するリパーゼの利点を有効
に活用し、かつ無溶媒下で、高融点の油脂類などを効率
的にエステル交換する方法を提供すること。 【構成】 溶融したエステル交換用有機原料に、実質的
に無溶媒かつ無水条件下で、アルカリゲネス属に属する
微生物から得られるリパーゼを、81〜130℃で作用
させることを特徴とするエステル交換法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶媒を使用しないでエ
ステル交換を行う、リパーゼを用いたエステル交換法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】エステル交換反応は、動植物油脂類の改
質をはじめ、各種脂肪酸のエステル、糖エステルやステ
ロイドの製造法として重要な技術である。このエステル
交換反応の触媒として、油脂加水分解酵素であるリパー
ゼを用いることにより、化学反応に比べ副反応の抑制や
エネルギーコストが低減でき、さらには触媒としてのリ
パーゼが天然物であることから安全性も高いという利点
が得られている。また、その基質特異性や位置特異性に
より目的物を効率よく生産することができるといった利
点もある。ところが、リパーゼを用いてエステル交換反
応を行う場合、室温ないし約70℃程度までの温和な条
件下でしか反応が進行しないため、有機溶媒等の非存在
下に例えば90℃を超えるような高融点の油脂類やワッ
クス等をリパーゼを用いてエステル交換することは事実
上不可能であった。アルカリゲネス属リパーゼについて
も同様であり、名糖産業社製リパーゼPLを用いたエス
テル合成に関する特許(特開昭62−104589号)
においても、通常は20〜60℃の温度範囲で反応を行
うとしており、実施例では40℃でエステル合成反応を
行っている。このように、従来は、高融点の油脂類やワ
ックス等をエステル交換する際には化学反応による手段
が用いられてきたため、反応がランダムに進み、所望の
目的物、たとえば基質特異性、位置特異性を必要とする
エステル交換反応物を高純度に得ることは困難であっ
た。一方、リパーゼを用いるエステル交換反応では、1
00℃前後の高温反応は実質的に不可能であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、位置特異性
等を有するリパーゼの利点を有効に活用し、かつ無溶媒
下で、高融点の油脂類などを効率的にエステル交換する
方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、特定のリパー
ゼを用い、実質的に無溶媒かつ無水条件下で、エステル
交換反応を81〜130℃で行うと、上記課題を解決で
きるとの知見に基づいてなされたものである。すなわ
ち、本発明は、溶融したエステル交換用有機原料に、実
質的に無溶媒かつ無水条件下で、アルカリゲネス属に属
する微生物から得られるリパーゼを、81〜130℃で
作用させることを特徴とするエステル交換法を提供す
る。ここで、エステル交換とは、例えば、カルボン酸と
アルコールとのエステルから選ばれる1種もしくは2種
以上のエステル、あるいはこれにカルボン酸またはアル
コールを共存させ、前記エステルのカルボン酸残基若し
くはアルコール残基を交換することである。
【0005】上記カルボン酸としては、例えば、炭素数
2〜50の飽和または不飽和、直鎖状または側鎖状の脂
肪族一塩基酸いわゆる脂肪酸、脂肪族二塩基酸および三
塩基酸が好適なものとしてあげられる。かかる脂肪族一
塩基酸としては、酢酸、酪酸、カプリル酸、イソオクチ
ル酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミ
チン酸、パルミトオレイン酸、ヘプタデカン酸、ステア
リン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、エライジン
酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシ
ステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン
酸、エルシン酸、ベヘン酸、アラキドン酸、エイコサペ
ンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、セロチン酸、モンタ
ン酸、ノナコサン酸、メリシン酸、ペンタトリアコンタ
ン酸、ヘキサトリアコンタン酸、ヘキサテトラコンタン
酸等を例示でき、脂肪族二塩基酸としてはコハク酸、リ
ンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、グルタル酸、
アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカジカルボ
ン酸等を例示でき、また脂肪族三塩基酸としてはクエン
酸等を例示できる。
【0006】また、アルコールとしては、例えば、炭素
数1〜50の飽和または不飽和、直鎖状または側鎖状の
脂肪族一価アルコール、及び二価〜六価アルコールが好
適なものとしてあげられる。これらのアルコール類の例
として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ヘキサノール、イソオクタノール、イソノナノー
ル、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアル
コール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコー
ル、ベヘニルアルコール、オクタコサノール、米国ペト
ロライト社製のユニリンアルコール425(平均分子
量:510)、同ユニリンアルコール550(平均分子
量:660)、同ユニリンアルコール700(平均分子
量:850)等の一価アルコール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジ
プロピレングリコール、1,8−オクタンジオール、
1,10−デカンジオール等の二価アルコール、グリセ
リン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリ
ン、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、
トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、キシ
リトール、ソルビトール、マンニトール等の三価以上の
アルコールを挙げることができる。さらに、アルコール
類として、キシロース、フラクトース、ガラクトース、
グルコサミン、グルコース、β−メチルグルコサイド、
マルトース、ラフィノースなどの糖類、コレステロー
ル、ラノステロール、テストステロン、アントドロスタ
ンディオール、ナンドロロン、エルゴカルシフェノー
ル、コレカルシフェノール、2,2−ジヒドロエルゴス
テロール、ジモステロールなどのステロール類やスフィ
ンゴシン、リグノセリールスフィンゴシンなどもあげら
れる。
【0007】かかるカルボン酸とアルコールのエステル
は、動物、植物、魚介類、微生物、鉱物等の天然物から
抽出し、あるいは常法によりエステル合成して得ること
ができる。本発明におけるエステルの好適例は油脂およ
びワックスである。本発明では、このうち、融点が81
〜130℃にあるものを使用するのが好ましいが、2種
以上のエステル交換用有機原料を使用する場合には、そ
れらの融点が81〜130℃の範囲内でなくとも、該エ
ステル交換用有機原料の混合物が81〜130℃で溶融
すればよい。特に好ましくは91〜120℃である。本
発明では前記のエステルを原料基質とし、これにアルカ
リゲネス属に属する微生物由来のリパーゼを添加して8
1〜130℃、好ましくは91〜120℃にてエステル
交換反応させるものであり、エステルは単独あるいは混
合して用いることができる。さらに必要に応じて前記し
たカルボン酸の1種あるいは2種以上、またはアルコー
ルの1種あるいは2種以上を原料基質として前記エステ
ルに共存させることもできる。
【0008】本発明において使用するリパーゼは、アル
カリゲネス属に属する微生物の生産するリパーゼであっ
て、実質的に無水条件下でかつ81〜130℃でエステ
ル交換活性を有するものであればいずれのものでも使用
できる。このうち好ましいリパーゼは、アルカリゲネス
エスピー(Alcaligenes sp. )菌株から得られるのリ
パーゼである。具体的には、特公昭58−36953号
公報に記載され、微工研菌寄第2985号(FERM
P−3187:FERM BP−2985)として寄託
されているリパーゼ生産菌名糖PL−266号が生産す
るリパーゼQL(名糖産業(株)製)である。このリパ
ーゼはグリセリドの1位および3位に対して位置特異性
を有し、アルカリ側に至適pHを有する胆汁賦活性リパ
ーゼであり、特公昭58−36953号公報に記載の酵
素的性質を有する。本発明では、アルカリゲネス エス
ピー(Alcaligenes sp. )菌株から得られる上記とは別
のリパーゼPL(名糖産業(株)製)も使用することが
できる。本発明の方法により、エステル交換反応を行う
には、次のようにすればよい。すなわち前記原料基質に
水分を添加することなく、上記リパーゼを加え、溶媒の
不存在下、81〜130℃、好ましくは91〜120
℃、より好ましくは91〜110℃、最も好ましくは9
5〜100℃に加熱し、静置、攪拌または振とうして所
定の時間、例えば、10分〜100時間反応を行う。反
応終了後、常法により反応物を回収、精製してエステル
交換反応物を得ることができる。
【0009】本発明では、エステル交換反応は実質的に
無水の状態で反応を行うことが重要である。従来のリパ
ーゼを用いるエステル交換反応におけるような、例えば
反応中の含水率が0.1%程度もしくはそれ以上になる
と、本発明の方法では反応性が低下し、またトリグリセ
リドからジグリセリド、モノグリセリドを生成するよう
な副反応を伴うので好ましくない。つまり、本発明で
は、もともと基質に溶解している不連続状態の水、酵素
もしくは固定化酵素に含まれる僅かな自由水もしくは結
合水を含めて水分含量を0.1%未満とするのが好まし
い。系内水分がこの条件を越える恐れのある場合は、事
前に有機原料や酵素の水分を除いて使用するのが良い。
反応は、閉鎖系、開放系のいづれでも行えるが、系内初
発水分は反応と共に蒸発もしくは一部のエステルの加水
分解により消費され、序々に減少していくが、81℃〜
130℃の範囲でエステル交換反応が進行する限りにお
いて1ppmであっても、本発明の実質的に無水条件の
範囲に含まれる。
【0010】なお本発明において用いる酵素の形態とし
ては、酵素粉末、又は珪藻土やイオン交換樹脂に固定し
た酵素があげられる。エステル交換反応を行う方法は、
カラムに充填した酵素を使用する連続反応法や反応液中
に酵素を分散させるバッチ法などを使用することができ
る。反応液中で分散状態となっているリパーゼ粒子を、
精密膜濾過、遠心分離、不活性有機溶媒による洗浄等の
方法で回収することができ、これを再び新たなエステル
交換反応に供することができる。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、リパーゼの利点を有効
に活用して高融点の油脂類などを効率的にエステル交換
することができる。そして、本発明の方法では、溶媒を
使用しないので、最終生成物の分離が良好で、簡易に高
純度の生成物を得ることができる。次に実施例により本
発明を説明する。
【0012】
【実施例】
実施例1 モンタンワックスの分解脂肪酸(ヘキスト社製、商品
名:Sワックス)のエチルエステル50g、カプリル酸
/カプリン酸=75/25の中鎖脂肪酸トリグリセリド
(日清製油(株)製、商品名:ODO)50g、および
アルカリゲネスエスピー(Alcaligenes sp. )由来のリ
パーゼ(名糖産業(株)製、商品名:リパーゼQL)1
gを、マグネチックスターラーを用い攪拌速度300rp
m で攪拌してエステル交換反応を行った。反応温度はモ
ンタンワックスの融点以上である95℃とし、7時間反
応した。反応物のガスクロマトグラフィー分析の結果か
ら、モンタンワックス脂肪酸の83%がトリグリセリド
であるODO中へ導入されたことが確認された。このこ
とから、95℃という高温でリパーゼを用い、高融点脂
質の一種であるワックスを無溶媒下に、実質的に無水状
態でエステル交換反応できることがわかる。
【0013】実施例2 炭素数14の二塩基酸(日鉱共石(株)製、商品名:テ
トラデカンジオイックアシッド)20g、グリセリンと
ブタン酸のトリエステルであるトリブチリン(和光純薬
(株)製、商品名:トリブチリン)80g、および実施
例1で使用したリパーゼQL1gをマグネチックスター
ラーを用い、攪拌速度350rpm で攪拌してエステル交
換反応を行った。反応温度は、前記二塩基酸を溶解させ
るため120℃とし、6.5時間反応した。反応物のガ
スクロマトグラフィー分析による結果から、前記長鎖二
塩基酸の93%がトリブチリン中へ導入されていること
が確認された。このことから、120℃という高温でリ
パーゼを用い、高融点脂質の一種である長鎖二塩基酸を
無溶媒下に、実質的に無水状態でエステル交換できるこ
とがわかる。
【0014】実施例3 カルナウバロウ120g、グリセリン10gおよび実施
例1で使用したリパーゼQL1gをマグネチックスター
ラーを用い攪拌速度300rpm でエステル交換反応を行
った。反応温度はカルナウバロウの融点以上である90
℃にて36時間反応した。反応物のガスクロマトグラフ
ィー分析結果から、1−モノグリセリドおよび1,3−
ジグリセリドの生成を確認した。このことから、90℃
という高温で、リパーゼを用い、高融点ワックスを無溶
媒下に、実質的に無水状態で、しかも該リパーゼの位置
特異性を維持してエステル交換できることが示された。
【0015】実施例4 実施例1で使用したリパーゼQLを常法により粒状ケイ
ソウ土に固定化したもの(凍結乾燥品)80gを内径2
cm、長さ15cmのガラス管に充填し、固定化リパーゼ充
填カラムを調製した。カルナウバロウ20g、グリセリ
ンと酢酸のトリエステルであるトリアセチン(和光純薬
(株)製、商品名:トリアセチン)80gの混合物を毎
時2.0mlカラムに流し、100℃にて連続的にエステ
ル交換反応を行った。反応物のガスクロマトグラフィー
分析の結果から、トリグリセリドであるトリアセチン中
へのカルナウバロウ脂肪酸の導入が確認された。このこ
とから、100℃という高温でリパーゼを用い、高融点
脂質の一種であるワックスを無溶媒下に、実質的に無水
状態で連続エステル交換反応できることがわかる。
【0016】比較例1 実施例1の原料に加水し、水分を1.0%とした。これ
を実施例1と同様の操作で反応を行い、反応物を分析し
た。その結果、加水分解に伴う副反応物を生成し、モン
タンワックス分解脂肪酸残基を有するグリセリドの生成
はほとんど認められず、酵素の熱安定性も低下した。 比較例2 実施例2において反応温度を50℃とした以外は同じ条
件で実施例2を繰り返した。その結果、長鎖二塩基酸の
15%しかトリブチリン中へ導入されなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 順子 神奈川県横浜市保土ヶ谷区星川3−7−37 A−202 (72)発明者 無類井 建夫 東京都大田区西蒲田5−13−7 (72)発明者 国生 純孝 東京都国立市谷保7026−3 (72)発明者 角田 昭 東京都福生市武蔵野台1−27−5 ルネ福 生A−103 (72)発明者 大島 章夫 東京都日野市多摩平6−10−4 日野寮 403号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融したエステル交換用有機原料に、実
    質的に無溶媒かつ無水条件下で、アルカリゲネス属に属
    する微生物から得られるリパーゼを、81〜130℃で
    作用させることを特徴とするエステル交換法。
  2. 【請求項2】 リパーゼに作用させる温度が91〜12
    0℃である請求項1記載のエステル交換法。
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