JPH0780048B2 - 金属薄板の溶接歪防止方法 - Google Patents
金属薄板の溶接歪防止方法Info
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- JPH0780048B2 JPH0780048B2 JP2163121A JP16312190A JPH0780048B2 JP H0780048 B2 JPH0780048 B2 JP H0780048B2 JP 2163121 A JP2163121 A JP 2163121A JP 16312190 A JP16312190 A JP 16312190A JP H0780048 B2 JPH0780048 B2 JP H0780048B2
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Description
本発明は金属薄板の溶接歪防止方法に係わり、特に、金
属薄板の突合せ溶接あるいは隅肉溶接に適用して好適な
金属薄板の溶接歪防止方法に関する。
属薄板の突合せ溶接あるいは隅肉溶接に適用して好適な
金属薄板の溶接歪防止方法に関する。
近年では、高速艇、漁船、車両等の構造物の多くに、例
えばアルミニウム合金等の金属薄板を溶接して構成した
構造のものが提供されている。 しかしながら、このような金属薄板の組立加工では通常
溶接歪が生じ易い。例えば、金属薄板を使用した船舶の
側板の如き大板材の板継ぎ溶接(突合せ溶接)では、第
7図に示すように板材1,2が座屈変形に起因して複雑な
波打ち歪を生じてしまうことがある。これは一つに、通
常金属薄板の突合せ連続溶接を行うと、その溶接部が第
8図に示すように溶接線方向に収縮(縦収縮)を生じる
ことが原因と考えられる。そして、この収縮により板材
1,2の溶接部周辺にも縦収縮しようとする力が働くが、
板材1,2が薄板のため容易に座屈変形を生じ、その結果
第8図に示す状態となるものと思われる。 また、第9図に示すように、板材3とフラットバー4の
如き細長部材とからT継手を隅肉溶接により形成した場
合には、板材3の上記の如き座屈変形歪に加え、溶接ヒ
ード部5を中心に板材3がフラットバー4側に向く、い
わゆる角変形歪が生じ易い。これらの波打ち状の歪や角
変形歪は、外観品質を低下させるだけでなく、例えば上
記の如く船体の構造体などとして適用する場合には航行
時の波抵抗を増加させ機能面への影響をも与えるため、
これをできる限り小さくすることが要求される。 そのため従来より、上記の如き溶接に伴う歪の対策とし
て例えば、溶接の際、前記板材1,2あるいは板材3を
機械的に拘束する、溶接組立完了後に、溶接部または
その近傍を点状あるいは線状に局部加熱・急冷を行い、
歪を除去する、T継手の隅肉溶接において、前記板材
3の裏面3b側を、隅肉溶接と対応させて同時に加熱する
(特開昭58-179765号公報)、といった手段が取られて
いる。
えばアルミニウム合金等の金属薄板を溶接して構成した
構造のものが提供されている。 しかしながら、このような金属薄板の組立加工では通常
溶接歪が生じ易い。例えば、金属薄板を使用した船舶の
側板の如き大板材の板継ぎ溶接(突合せ溶接)では、第
7図に示すように板材1,2が座屈変形に起因して複雑な
波打ち歪を生じてしまうことがある。これは一つに、通
常金属薄板の突合せ連続溶接を行うと、その溶接部が第
8図に示すように溶接線方向に収縮(縦収縮)を生じる
ことが原因と考えられる。そして、この収縮により板材
1,2の溶接部周辺にも縦収縮しようとする力が働くが、
板材1,2が薄板のため容易に座屈変形を生じ、その結果
第8図に示す状態となるものと思われる。 また、第9図に示すように、板材3とフラットバー4の
如き細長部材とからT継手を隅肉溶接により形成した場
合には、板材3の上記の如き座屈変形歪に加え、溶接ヒ
ード部5を中心に板材3がフラットバー4側に向く、い
わゆる角変形歪が生じ易い。これらの波打ち状の歪や角
変形歪は、外観品質を低下させるだけでなく、例えば上
記の如く船体の構造体などとして適用する場合には航行
時の波抵抗を増加させ機能面への影響をも与えるため、
これをできる限り小さくすることが要求される。 そのため従来より、上記の如き溶接に伴う歪の対策とし
て例えば、溶接の際、前記板材1,2あるいは板材3を
機械的に拘束する、溶接組立完了後に、溶接部または
その近傍を点状あるいは線状に局部加熱・急冷を行い、
歪を除去する、T継手の隅肉溶接において、前記板材
3の裏面3b側を、隅肉溶接と対応させて同時に加熱する
(特開昭58-179765号公報)、といった手段が取られて
いる。
しかしながら、上記従来の手段においてはそれぞれ下記
の如き不都合があった。すなわち、上記,の手段に
あっては、工数および手間がかかり極めてコスト高とな
る上に、作業の熟練も要求される。また、上記の手段
にあっては、確かに歪発生の抑制効果は望めるものの完
全に近い状態までの歪除去は困難であり、ある程度の歪
みが残留せざるを得ないという問題があった。 ところで、上記した、T継手形成の際の隅肉溶接時に発
生する角変形歪に対しては、本出願人は先にその有効な
防止方法を発明し、既に出願した(特願平2-75965号
「歪防止溶接方法および構造用パネルの製造装置」)。
この歪防止溶接方法は、上記の如く板材3の一面側にフ
ラットバー4を隅肉溶接により略垂直に立設してT継手
を形成するにあたり、前記板材3における溶接部の裏面
側を前記溶接に先行して加熱することを特徴とするもの
である。この溶接方法は、先行加熱により板材3に逆歪
(フラットバー4と反対方向に折れ曲がる角変形歪)が
発生し、その後、溶接により板材3がフラットバー4側
に角変形を生ずるため上記逆歪がある程度相殺される作
用を利用したものである。その際、先行加熱部分の冷却
が完了されないうちに逆歪の生じた部分の溶接を行うこ
とにより、先行加熱によって生じた逆歪が溶接時のフラ
ットバー4側への角変形によりほぼ完全に復元され、板
材3にほとんど残留角変形歪を生じないようにできる。 ただし、上記方法にあっても、板材3に角変形歪と共に
第9図に示した如き座屈変形が生じた場合には、角変形
歪は有効に防止することができるものの、波打ち状の座
屈変形歪の発生を防止することはなかなか困難であっ
た。 本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、薄板溶接
時に生ずる特に座屈変形歪を、簡潔な手段を以て効果的
に防止することのできる金属薄板の歪防止溶接方法を提
供することを目的とするものである。
の如き不都合があった。すなわち、上記,の手段に
あっては、工数および手間がかかり極めてコスト高とな
る上に、作業の熟練も要求される。また、上記の手段
にあっては、確かに歪発生の抑制効果は望めるものの完
全に近い状態までの歪除去は困難であり、ある程度の歪
みが残留せざるを得ないという問題があった。 ところで、上記した、T継手形成の際の隅肉溶接時に発
生する角変形歪に対しては、本出願人は先にその有効な
防止方法を発明し、既に出願した(特願平2-75965号
「歪防止溶接方法および構造用パネルの製造装置」)。
この歪防止溶接方法は、上記の如く板材3の一面側にフ
ラットバー4を隅肉溶接により略垂直に立設してT継手
を形成するにあたり、前記板材3における溶接部の裏面
側を前記溶接に先行して加熱することを特徴とするもの
である。この溶接方法は、先行加熱により板材3に逆歪
(フラットバー4と反対方向に折れ曲がる角変形歪)が
発生し、その後、溶接により板材3がフラットバー4側
に角変形を生ずるため上記逆歪がある程度相殺される作
用を利用したものである。その際、先行加熱部分の冷却
が完了されないうちに逆歪の生じた部分の溶接を行うこ
とにより、先行加熱によって生じた逆歪が溶接時のフラ
ットバー4側への角変形によりほぼ完全に復元され、板
材3にほとんど残留角変形歪を生じないようにできる。 ただし、上記方法にあっても、板材3に角変形歪と共に
第9図に示した如き座屈変形が生じた場合には、角変形
歪は有効に防止することができるものの、波打ち状の座
屈変形歪の発生を防止することはなかなか困難であっ
た。 本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、薄板溶接
時に生ずる特に座屈変形歪を、簡潔な手段を以て効果的
に防止することのできる金属薄板の歪防止溶接方法を提
供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に記載した金属薄板の溶接歪防止方法
は、金属薄板の連続突合せ溶接を行うに際し、溶接すべ
き前記金属薄板の表面および裏面の少なくとも一方であ
って溶接線と並行した縁部を線状に加熱することを特徴
とするものである。 また、本発明の請求項2に記載した金属薄板の溶接歪防
止本方法は、金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板
よりなる細長部材を隅肉溶接により略垂直に立設してT
継手を形成するにあたり、前記板材の前記隅肉溶接を行
うべき溶接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱
すると共に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一
方であって前記溶接線と並行した縁部を線状に加熱する
ことを特徴とするものである。 また、本発明の請求項3に記載した金属薄板の溶接歪防
止方法は、金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板よ
りなる複数本の細長部材を略垂直にかつ互いに並行する
ように隅肉溶接により立設して多列T継手を形成するに
あたり、前記板材における前記隅肉溶接を行うべき各溶
接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱すると共
に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一方であっ
て前記溶接線と並行した縁部および該板材の前記細長部
材間中央部を線状に加熱することを特徴とするものであ
る。
は、金属薄板の連続突合せ溶接を行うに際し、溶接すべ
き前記金属薄板の表面および裏面の少なくとも一方であ
って溶接線と並行した縁部を線状に加熱することを特徴
とするものである。 また、本発明の請求項2に記載した金属薄板の溶接歪防
止本方法は、金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板
よりなる細長部材を隅肉溶接により略垂直に立設してT
継手を形成するにあたり、前記板材の前記隅肉溶接を行
うべき溶接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱
すると共に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一
方であって前記溶接線と並行した縁部を線状に加熱する
ことを特徴とするものである。 また、本発明の請求項3に記載した金属薄板の溶接歪防
止方法は、金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板よ
りなる複数本の細長部材を略垂直にかつ互いに並行する
ように隅肉溶接により立設して多列T継手を形成するに
あたり、前記板材における前記隅肉溶接を行うべき各溶
接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱すると共
に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一方であっ
て前記溶接線と並行した縁部および該板材の前記細長部
材間中央部を線状に加熱することを特徴とするものであ
る。
金属薄板の突合せ溶接において板材が座屈変形による波
打ち歪を生じるのは、溶接部が溶接線方向に収縮を生じ
ることが原因と考えられる。そして、この収縮により溶
接部周辺の板にも縦収縮しようとする力が働き、板材が
薄板のため周辺部にも座屈変形を生じると思われる。 そこで、板材の表面および裏面の少なくとも一方であっ
て溶接線と並行した縁部を線状加熱することにより、そ
れら板端において溶接部と同様な縦収縮が生じ、これに
より溶接部の縦収縮力が緩和されて座屈変形が防止され
る。 また、板材と細長部材とを隅肉溶接することによりT継
手を形成する場合では、前記板材の溶接線に沿った裏面
側を溶接に先行して加熱することにより板材には逆歪
(細長部材と反対方向に折れ曲がる角変形歪)が発生す
る。その後、溶接により板材が細長部材側に角変形を生
ずるため上記逆歪がある程度相殺される。その際、先行
加熱部分の冷却が完了されないうちに、逆歪の生じた部
分の溶接を行うことにより、逆歪はほぼ完全に復元さ
れ、板材はほぼフラットとなる。そこで、T継手を形成
する際には、このような溶接線裏面の先行加熱と、上記
した板材縁部の線状加熱との双方を実施することによ
り、板材の角変形歪および座屈変形歪の双方を防止する
ことができ、極めて高精度なT継手を形成できる。 さらに、T継手が、細長部材が多数本配列された多列T
継手である場合には、上記手段に加え、板材における各
細長部材間の中央部も連続加熱すると効果的である。
打ち歪を生じるのは、溶接部が溶接線方向に収縮を生じ
ることが原因と考えられる。そして、この収縮により溶
接部周辺の板にも縦収縮しようとする力が働き、板材が
薄板のため周辺部にも座屈変形を生じると思われる。 そこで、板材の表面および裏面の少なくとも一方であっ
て溶接線と並行した縁部を線状加熱することにより、そ
れら板端において溶接部と同様な縦収縮が生じ、これに
より溶接部の縦収縮力が緩和されて座屈変形が防止され
る。 また、板材と細長部材とを隅肉溶接することによりT継
手を形成する場合では、前記板材の溶接線に沿った裏面
側を溶接に先行して加熱することにより板材には逆歪
(細長部材と反対方向に折れ曲がる角変形歪)が発生す
る。その後、溶接により板材が細長部材側に角変形を生
ずるため上記逆歪がある程度相殺される。その際、先行
加熱部分の冷却が完了されないうちに、逆歪の生じた部
分の溶接を行うことにより、逆歪はほぼ完全に復元さ
れ、板材はほぼフラットとなる。そこで、T継手を形成
する際には、このような溶接線裏面の先行加熱と、上記
した板材縁部の線状加熱との双方を実施することによ
り、板材の角変形歪および座屈変形歪の双方を防止する
ことができ、極めて高精度なT継手を形成できる。 さらに、T継手が、細長部材が多数本配列された多列T
継手である場合には、上記手段に加え、板材における各
細長部材間の中央部も連続加熱すると効果的である。
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照しながら説明
する。 第1図は本発明の請求項1に係る金属薄板の溶接歪防止
方法の一実施例を示したものである。本発明の請求項1
に係る金属薄板の溶接歪防止方法は、金属薄板の連続突
合せ溶接を行うに際し、溶接すべき前記金属薄板の表面
および裏面の少なくとも一方であって溶接線と並行した
縁部を線状に加熱するものである。 第1図において、図中符号1,2は突合せ溶接により互い
に接合すべき板材(金属薄板)である。本実施例におい
て、これら両板材1,2は共にアルミニウム合金よりなる
ものとしており、従ってこの場合、突合せ溶接をMIG溶
接により行うものとしている。符号10で示すものがMIG
トーチ、符号5は該MIGトーチ10により既に溶接された
部分の溶接ビード部である。また、両板材1,2における
溶接線と平行となる両縁部1c,2cを線状に加熱する際の
加熱はこの場合TIGアークにより行うものとしており、
符号20(20A,20B)がTIGトーチである。 板材1,2を突合せ溶接により接合するには、第1図の如
く両板材1,2における溶接すべき端部どうしを互いに当
接させた後、その当接された部分をMIGトーチ10により
連続溶接して行く。そして、その際さらに溶接線、すな
わちMIGトーチ10によって溶接した部分(溶接ビード部
5)あるいは溶接される部分と並行する前記両板材1,2
の縁部1c,2cを、それぞれ前記TIGトーチ20の発するTIG
アークにより線状に連続加熱する。MIGトーチ10による
連続溶接、およびTIGトーチ20による縁部加熱は、それ
ら各トーチ10,20を板材1,2に対し移動させてもよいし、
逆に各トーチ10,20を固定しておき、板材1,2を移動させ
るようにしても勿論よい。TIGトーチ20は、TIGアークに
よる加熱が目的であるから、溶加材(溶接棒)は用いな
い。また、両TIGトーチ20A,20Bの、前記MIGトーチ10の
溶接方向に対する位置関係については、該MIGトーチ10
と並ぶ位置であってもよいし、あるいはMIGトーチ10に
先行、または遅れた位置であってもよい。図示例のもの
は、両TIGトーチ20A,20BをMIGトーチ10と並ぶ位置とし
たものである。縁部1c,2cを加熱する際の加熱の程度は
特に限定されないが、通常板材1,2のごく表層部(0.1mm
程度)を溶かす程度でよく、実際には板材1,2の板厚等
に応じ適宜調整すればよい。また、板材1,2の板厚とし
ては通常10mm以下のものに適用できるが、好ましくは1
〜5mmがよい。板厚が10mm以上となると、板厚が大きい
ため座屈変形そのものが発生し難くなり、本発明の課題
が生じないためである。 上記溶接方法によれば、板材1,2が第7図に示した如き
座屈変形歪、すなわち波打ち状の歪を生ずることなく突
合せ溶接を行うことができる。 これは、溶接線に並行した前記縁部1c,2cを上記の如く
線状加熱することにより、それら縁部1c,2cにおいて溶
接部と同様な縦収縮を生じ、これにより溶接部の縦収縮
力が緩和されて座屈変形が防止されるものと思われる。
従って、図示例のものでは、前記縁部1c,2cの加熱を溶
接と同一面、すなわちそれぞれの板材1,2における表面1
a,2a側より実施した例としているが、縁部1c,2cにおけ
る加熱は、板材1,2の裏面1b,2b側より行っても構わな
い。 本実施例において、上記MIG溶接の種類は特に限定され
るものではなく、通常のスプレー移行型、細径ワイヤ、
パルス、インバータ、サイリスタ等、種々の手法および
電源方式のものが使用できる。また、板端1c,2cの加熱
に用いるTIG溶接機の種類も特に限定されるものではな
く、鉄心型、サイリスタ、インバータ等のものを使用で
きる。 さらに上記実施例では、板材1,2の突合せ溶接をMIG溶接
により行うものとしているが、この溶接手段もMIGに限
定されるものではなく、従来一般に実施されている炭酸
ガスアーク溶接、マグ溶接等その他の溶接法により行う
ものであってよい。加熱手段としてもTIGアークを用い
る例を示したが、本発明に係る加熱手段もこれに限定さ
れるものではなく、例えばガスバーナ、プラズマアー
ク、レーザ、電子ビーム等その他の高エネルギー熱源を
用いることが可能である。 上記方法において、前記板材1,2の材質としては上記の
アルミニウム合金の他、軟鋼等にも好適に適用できる。 また、本発明で言う板材の“縁部”とは、板材の端縁部
から、高エネルギー熱源の発するビーム幅の3倍以内の
範囲で内寄り(溶接線に近付く側)となる部分までを含
むものである。 次に、上記方法による実施例を下記に記す。 実施例−1 上記方法に従い、下記の条件の下で第1図に示す如く板
材1,2の連続突合せ溶接を実施した。 ・板材1: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法300mm*1000mm,厚さ4mm. ・板材2: 板材1と同じ. ・溶接条件: MIG 電流 200A. 電圧 21V. 溶接速度 1600mm/min. ・加熱条件: 加熱機素 TIG 電流 150A. 電圧 20V. 速度 1600mm/min. 上記実験の結果を、上記同一条件で、縁部1c,2cの加熱
を行わない場合と比較して下表−1に示す。なお、表中
における変形量H1は、第2図に示すように縁部1c,2cに
生じた波の高さ(平均値)を示すものである。 上記表−1からも明らかなように、上記の如く縁部1c,2
cの加熱を実施した場合には、ほとんど板材1,2に座屈変
形歪が生じない。また、縁部加熱を行わない場合と比較
しても、本発明に係る溶接方法による方がはるかに板材
1,2の歪が小さいことが解る。 また、縁部1c,2cの加熱を溶接に先行して実施しても、
また溶接に遅れて実施してもよいことは既に説明した
が、本出願人の実験によれば、先行あるいは遅らせる場
合の時期的な制約は一切ない。すなわち、縁部加熱にお
ける溶接に対する先行距離および後行距離の制限は無限
大である。 次に、第3図および第4図は本発明の請求項2に係る金
属薄板の溶接歪防止方法の一実施例を示したものであ
る。本発明の請求項2に係る金属薄板の溶接歪防止方法
は、金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板よりなる
細長部材を隅肉溶接により略垂直に立設してT継手を形
成するにあたり、前記板材の前記隅肉溶接を行うべき溶
接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱すると共
に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一方であっ
て前記溶接線と並行した縁部を線状に加熱するものであ
る。 第3図および第4図はそれぞれ、上記方法により板材3
にフラットバー(細長部材)4を隅肉溶接することによ
りT継手6を作成している様子を示す正面図と側面図で
ある。本実施例において、前記板材3およびフラットバ
ー4は共にアルミニウム合金よりなるものとしており、
したがってこの場合、前記隅肉溶接をMIG溶接により行
うものとしている。符号10(10A,10B)はMIGトーチであ
る。また、この隅肉溶接に先行して実施する溶接部裏面
側の加熱、および板材3の縁部3c,3c′の加熱は共にTIG
アークにより行うものとしており、それぞれ符号21およ
び20(20A,20B)で示すものがTIGトーチである。 上記の如きT継手6を作成するには、板材3の上面3a
に、立設すべきフラットバー4を隙間が生じないよう設
置して例えば仮付け等の手段により固定する。その後、
第4図に示す如くTIGトーチ21が前記MIGトーチ10A,10B
に対して常に所定距離を保って先行するように(MIGト
ーチ10により溶接される部分の裏面側にTIGトーチ21に
よるTIGアークが先に照射されるように)、前記板材3
およびフラットバー4を各トーチ10,20,21に対して移動
させる。その際さらに、溶接線と平行となる前記両板材
3の縁部3c,3c′を、それぞれ前記TIGトーチ20A,20Bに
より連続加熱する。 この場合も、図示例では、縁部加熱のためのTIGトーチ2
0A,20BをMIGトーチ10に対応した位置としているが、縁
部3c,3c′の加熱は溶接に先行して行っても、また後か
ら実施しても構わない。また、板材3およびフラットバ
ー4を固定しておいて各トーチ10,20,21を移動させても
無論よい。さらに、縁部3c,3c′の加熱は、板材3の上
面3a・下面3bのどちら側より行ってもよい。また、TIG
トーチ21による溶接部裏面の先行加熱の加熱程度も特に
限定されないが、上記述べた同じ理由により板材3の表
層部を溶かす程度でよく、実際には板材3の板厚等に応
じ適宜調整すればよい。 上記方法によれば、板材3が第9図に示した如く角変形
歪を生ずることがなく、かつ、板材3の座屈変形歪も除
去することができる。溶接部を先行加熱することにより
板材3の角変形歪を防止できのは、先行加熱により板材
3に逆歪(フラットバー4と反対方向に折れ曲がる角変
形歪)が発生し、その後、MIGトーチ10の溶接により板
材3にフラットバー4側に角変形を生じるためで、しか
もその際、先行加熱部分の冷却が完了されないうちにそ
の逆歪の生じた部分の溶接を行うことにより、表裏の熱
バランスにより前記逆歪が復元するためと思われる。ま
た、座屈変形歪が防止されるのは、先の実施例と同様、
縁部3c,3c′の加熱により板材3の縦収縮が阻止される
ためである。 従って、上記方法によれば金属薄板により極めて高精度
なT継手6を実現することができる。 上記において、前記TIGトーチ21による先行加熱する際
の先行位置は、溶接位置に対して10〜1000mmとすること
が好ましい。先行加熱位置が10mm未満であると、同位置
加熱(溶接部裏面を溶接と同時に加熱する方法)と同程
度の歪抑制効果しか望めず、また1000mm以上であると先
行加熱部分が溶接時に完全冷却されてしまい、溶接部表
裏の熱バランス(溶接部表裏の入熱量が等しく、あるい
は差が小さくなること)による効果が十分に得られなく
なるからである。さらに、それらの効果をより充分に得
るためには、前記先行加熱位置は50〜500mmとするのが
望ましい。 実験例−2 上記方法に従い、下記の条件の下で第3図および第4図
に示す如く板材3およびフラットバー4によりT継手6
を作成した。 ・板材3: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法300mm*500mm,厚さ4mm. ・フラットバー4: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法60mm*500mm,厚さ5mm. ・溶接条件: MIG 電流 180〜220A. 電圧 20〜23V. 溶接速度 1600m/min. ・先行加熱: 加熱機素 TIGトーチ 電流 150A. 電圧 20V. 速度 1600mm/min. 先行位置 200mm. ・縁部加熱条件: 先行加熱に同じ. 溶接部と同一進行位置. 上記実験の結果を、上記同一条件で、溶接部下面の先行
加熱および縁部3c,3c′の加熱を双方とも実施しない場
合と比較して下表−2に示す。なお、表中における座屈
変形量H1は第5図に示すように縁部3c,3c′に生じた波
の高さ(平均値)を、また角変形量H2は、図示の如く一
方の縁部3cが、他方の縁部3c′と溶接部を結んで延長し
た線lに対して離間した寸法(平均値)を計測したもの
である。 上記表−2からも明らかなように、上記の如く縁部3c,3
c′および溶接部の先行加熱を実施した場合には、板材
3の座屈変形歪および角変形歪の双方共極めて小さいこ
とが解る。 次に、第6図は本発明の請求項3に係る金属薄板の溶接
歪防止法の一実施例を示したものである。本発明の請求
項3に係る金属薄板の溶接歪防止方法は、金属薄板より
なる板材の一面側に金属薄板よりなる複数本の細長部材
を略垂直にかつ互いに並行するように隅肉溶接により立
設して多列T継手を形成するにあたり、前記板材におけ
る前記隅肉溶接を行うべき各溶接線に沿った裏面側を前
記溶接に先行して加熱すると共に、前記板材の表面およ
び裏面の少なくとも一方であって前記溶接線と並行した
縁部および該板材の前記細長部材間中央部を線状に加熱
するものである。 第6図は、上記方法により板材3に複数のフラットバー
(細長部材)4,4,…を隅肉溶接することにより並行に立
設して多列T継手7を作成している様子を示す正面図で
ある。板材3およびフラットバー4,4,…はアルミニウム
合金よりなるものとしており、この場合も、前記隅肉溶
接をMIG溶接により行うものとしている。符号10(10A〜
10F)はMIGトーチである。また、隅肉溶接に先行して実
施する溶接部裏面側の加熱、および板材3の縁部3c,3
c′の加熱、およびフラットバー4,4間の加熱は全てTIG
アークにより行うものとしており、符号21(21A,21B,21
C)が溶接部裏面の先行加熱用のTIGトーチ、符号20(20
A,20B)が縁部3c,3c′加熱用のTIGトーチ、符号22(22A
〜22D)がフラットバー4間の加熱用のTIGトーチであ
る。 上記の如き多列T継手7の作成において、各フラットバ
ー4,4,…に対応したMIGトーチ10による隅肉溶接、該隅
肉溶接に先行したTIGトーチ21による加熱、および縁部3
c,3c′の溶接線に並行した加熱については、上記実施例
で示したT継手6の作成方法に準じて行うものとしてい
る。縁部3c,3c′の加熱は上記2つの実施例同様、溶接
に先行して行っても後から実施してもよく、かつ、板材
3の上面3a・下面3bのどちら側より行ってもよい。ただ
し、板材3における各フラットバー4,4,…間の中央部の
加熱は、図示するように板材3の上面3aおよび下面3bの
両面側より実施するのが望ましい。なぜならば、フラッ
トバー4間の中央位置において板材3の片側面のみを線
状加熱した場合には、加熱膨張時に周辺部の拘束による
効果が働き、加熱面側に収縮した角変形が生じるおそれ
があるためである。これに対し、縁部では、上記の周辺
部の拘束による効果が働かず片面加熱でも加熱面が収縮
した角変形が生じることはない。 上記方法によれば、板材3の座屈変形歪および角変形歪
が共にほとんど生じない多列T継手7を形成することが
できる。 実験例−3 上記方法に従い、下記の条件の下で第6図に示す如く板
材3およびフラットバー4,4,…により多列T継手7を作
成した。 ・板材3: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法1500mm*3000mm,厚さ4mm. ・フラットバー4: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法60mm*3000mm,厚さ5mm. ・フラットバー4の配置間隔: 板端より250mmで500mmピッチ. ・溶接条件: MIG 電流 180〜220A. 電圧 20〜23V. 溶接速度 1600mm/min. ・先行加熱: 加熱機素 TIGトーチ 電流 150A. 電圧 20V. 速度 1600mm/min. 先行位置 200mm前方. ・縁部加熱条件: 先行加熱に同じ. 溶接部と同一進行位置. 上記実験の結果を、上記同一条件で、フラットバー4,4,
…間の加熱を実施しない場合と比較して下表−3に示
す。なお、表中における座屈変形量H1および角変形量H2
は、先の実施例の場合に準じて測定したものである。 上記表−3からも明らかなように、上記方法によった場
合には、極めて歪の小さい多列T継手7が得られること
が解る。
する。 第1図は本発明の請求項1に係る金属薄板の溶接歪防止
方法の一実施例を示したものである。本発明の請求項1
に係る金属薄板の溶接歪防止方法は、金属薄板の連続突
合せ溶接を行うに際し、溶接すべき前記金属薄板の表面
および裏面の少なくとも一方であって溶接線と並行した
縁部を線状に加熱するものである。 第1図において、図中符号1,2は突合せ溶接により互い
に接合すべき板材(金属薄板)である。本実施例におい
て、これら両板材1,2は共にアルミニウム合金よりなる
ものとしており、従ってこの場合、突合せ溶接をMIG溶
接により行うものとしている。符号10で示すものがMIG
トーチ、符号5は該MIGトーチ10により既に溶接された
部分の溶接ビード部である。また、両板材1,2における
溶接線と平行となる両縁部1c,2cを線状に加熱する際の
加熱はこの場合TIGアークにより行うものとしており、
符号20(20A,20B)がTIGトーチである。 板材1,2を突合せ溶接により接合するには、第1図の如
く両板材1,2における溶接すべき端部どうしを互いに当
接させた後、その当接された部分をMIGトーチ10により
連続溶接して行く。そして、その際さらに溶接線、すな
わちMIGトーチ10によって溶接した部分(溶接ビード部
5)あるいは溶接される部分と並行する前記両板材1,2
の縁部1c,2cを、それぞれ前記TIGトーチ20の発するTIG
アークにより線状に連続加熱する。MIGトーチ10による
連続溶接、およびTIGトーチ20による縁部加熱は、それ
ら各トーチ10,20を板材1,2に対し移動させてもよいし、
逆に各トーチ10,20を固定しておき、板材1,2を移動させ
るようにしても勿論よい。TIGトーチ20は、TIGアークに
よる加熱が目的であるから、溶加材(溶接棒)は用いな
い。また、両TIGトーチ20A,20Bの、前記MIGトーチ10の
溶接方向に対する位置関係については、該MIGトーチ10
と並ぶ位置であってもよいし、あるいはMIGトーチ10に
先行、または遅れた位置であってもよい。図示例のもの
は、両TIGトーチ20A,20BをMIGトーチ10と並ぶ位置とし
たものである。縁部1c,2cを加熱する際の加熱の程度は
特に限定されないが、通常板材1,2のごく表層部(0.1mm
程度)を溶かす程度でよく、実際には板材1,2の板厚等
に応じ適宜調整すればよい。また、板材1,2の板厚とし
ては通常10mm以下のものに適用できるが、好ましくは1
〜5mmがよい。板厚が10mm以上となると、板厚が大きい
ため座屈変形そのものが発生し難くなり、本発明の課題
が生じないためである。 上記溶接方法によれば、板材1,2が第7図に示した如き
座屈変形歪、すなわち波打ち状の歪を生ずることなく突
合せ溶接を行うことができる。 これは、溶接線に並行した前記縁部1c,2cを上記の如く
線状加熱することにより、それら縁部1c,2cにおいて溶
接部と同様な縦収縮を生じ、これにより溶接部の縦収縮
力が緩和されて座屈変形が防止されるものと思われる。
従って、図示例のものでは、前記縁部1c,2cの加熱を溶
接と同一面、すなわちそれぞれの板材1,2における表面1
a,2a側より実施した例としているが、縁部1c,2cにおけ
る加熱は、板材1,2の裏面1b,2b側より行っても構わな
い。 本実施例において、上記MIG溶接の種類は特に限定され
るものではなく、通常のスプレー移行型、細径ワイヤ、
パルス、インバータ、サイリスタ等、種々の手法および
電源方式のものが使用できる。また、板端1c,2cの加熱
に用いるTIG溶接機の種類も特に限定されるものではな
く、鉄心型、サイリスタ、インバータ等のものを使用で
きる。 さらに上記実施例では、板材1,2の突合せ溶接をMIG溶接
により行うものとしているが、この溶接手段もMIGに限
定されるものではなく、従来一般に実施されている炭酸
ガスアーク溶接、マグ溶接等その他の溶接法により行う
ものであってよい。加熱手段としてもTIGアークを用い
る例を示したが、本発明に係る加熱手段もこれに限定さ
れるものではなく、例えばガスバーナ、プラズマアー
ク、レーザ、電子ビーム等その他の高エネルギー熱源を
用いることが可能である。 上記方法において、前記板材1,2の材質としては上記の
アルミニウム合金の他、軟鋼等にも好適に適用できる。 また、本発明で言う板材の“縁部”とは、板材の端縁部
から、高エネルギー熱源の発するビーム幅の3倍以内の
範囲で内寄り(溶接線に近付く側)となる部分までを含
むものである。 次に、上記方法による実施例を下記に記す。 実施例−1 上記方法に従い、下記の条件の下で第1図に示す如く板
材1,2の連続突合せ溶接を実施した。 ・板材1: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法300mm*1000mm,厚さ4mm. ・板材2: 板材1と同じ. ・溶接条件: MIG 電流 200A. 電圧 21V. 溶接速度 1600mm/min. ・加熱条件: 加熱機素 TIG 電流 150A. 電圧 20V. 速度 1600mm/min. 上記実験の結果を、上記同一条件で、縁部1c,2cの加熱
を行わない場合と比較して下表−1に示す。なお、表中
における変形量H1は、第2図に示すように縁部1c,2cに
生じた波の高さ(平均値)を示すものである。 上記表−1からも明らかなように、上記の如く縁部1c,2
cの加熱を実施した場合には、ほとんど板材1,2に座屈変
形歪が生じない。また、縁部加熱を行わない場合と比較
しても、本発明に係る溶接方法による方がはるかに板材
1,2の歪が小さいことが解る。 また、縁部1c,2cの加熱を溶接に先行して実施しても、
また溶接に遅れて実施してもよいことは既に説明した
が、本出願人の実験によれば、先行あるいは遅らせる場
合の時期的な制約は一切ない。すなわち、縁部加熱にお
ける溶接に対する先行距離および後行距離の制限は無限
大である。 次に、第3図および第4図は本発明の請求項2に係る金
属薄板の溶接歪防止方法の一実施例を示したものであ
る。本発明の請求項2に係る金属薄板の溶接歪防止方法
は、金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板よりなる
細長部材を隅肉溶接により略垂直に立設してT継手を形
成するにあたり、前記板材の前記隅肉溶接を行うべき溶
接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱すると共
に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一方であっ
て前記溶接線と並行した縁部を線状に加熱するものであ
る。 第3図および第4図はそれぞれ、上記方法により板材3
にフラットバー(細長部材)4を隅肉溶接することによ
りT継手6を作成している様子を示す正面図と側面図で
ある。本実施例において、前記板材3およびフラットバ
ー4は共にアルミニウム合金よりなるものとしており、
したがってこの場合、前記隅肉溶接をMIG溶接により行
うものとしている。符号10(10A,10B)はMIGトーチであ
る。また、この隅肉溶接に先行して実施する溶接部裏面
側の加熱、および板材3の縁部3c,3c′の加熱は共にTIG
アークにより行うものとしており、それぞれ符号21およ
び20(20A,20B)で示すものがTIGトーチである。 上記の如きT継手6を作成するには、板材3の上面3a
に、立設すべきフラットバー4を隙間が生じないよう設
置して例えば仮付け等の手段により固定する。その後、
第4図に示す如くTIGトーチ21が前記MIGトーチ10A,10B
に対して常に所定距離を保って先行するように(MIGト
ーチ10により溶接される部分の裏面側にTIGトーチ21に
よるTIGアークが先に照射されるように)、前記板材3
およびフラットバー4を各トーチ10,20,21に対して移動
させる。その際さらに、溶接線と平行となる前記両板材
3の縁部3c,3c′を、それぞれ前記TIGトーチ20A,20Bに
より連続加熱する。 この場合も、図示例では、縁部加熱のためのTIGトーチ2
0A,20BをMIGトーチ10に対応した位置としているが、縁
部3c,3c′の加熱は溶接に先行して行っても、また後か
ら実施しても構わない。また、板材3およびフラットバ
ー4を固定しておいて各トーチ10,20,21を移動させても
無論よい。さらに、縁部3c,3c′の加熱は、板材3の上
面3a・下面3bのどちら側より行ってもよい。また、TIG
トーチ21による溶接部裏面の先行加熱の加熱程度も特に
限定されないが、上記述べた同じ理由により板材3の表
層部を溶かす程度でよく、実際には板材3の板厚等に応
じ適宜調整すればよい。 上記方法によれば、板材3が第9図に示した如く角変形
歪を生ずることがなく、かつ、板材3の座屈変形歪も除
去することができる。溶接部を先行加熱することにより
板材3の角変形歪を防止できのは、先行加熱により板材
3に逆歪(フラットバー4と反対方向に折れ曲がる角変
形歪)が発生し、その後、MIGトーチ10の溶接により板
材3にフラットバー4側に角変形を生じるためで、しか
もその際、先行加熱部分の冷却が完了されないうちにそ
の逆歪の生じた部分の溶接を行うことにより、表裏の熱
バランスにより前記逆歪が復元するためと思われる。ま
た、座屈変形歪が防止されるのは、先の実施例と同様、
縁部3c,3c′の加熱により板材3の縦収縮が阻止される
ためである。 従って、上記方法によれば金属薄板により極めて高精度
なT継手6を実現することができる。 上記において、前記TIGトーチ21による先行加熱する際
の先行位置は、溶接位置に対して10〜1000mmとすること
が好ましい。先行加熱位置が10mm未満であると、同位置
加熱(溶接部裏面を溶接と同時に加熱する方法)と同程
度の歪抑制効果しか望めず、また1000mm以上であると先
行加熱部分が溶接時に完全冷却されてしまい、溶接部表
裏の熱バランス(溶接部表裏の入熱量が等しく、あるい
は差が小さくなること)による効果が十分に得られなく
なるからである。さらに、それらの効果をより充分に得
るためには、前記先行加熱位置は50〜500mmとするのが
望ましい。 実験例−2 上記方法に従い、下記の条件の下で第3図および第4図
に示す如く板材3およびフラットバー4によりT継手6
を作成した。 ・板材3: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法300mm*500mm,厚さ4mm. ・フラットバー4: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法60mm*500mm,厚さ5mm. ・溶接条件: MIG 電流 180〜220A. 電圧 20〜23V. 溶接速度 1600m/min. ・先行加熱: 加熱機素 TIGトーチ 電流 150A. 電圧 20V. 速度 1600mm/min. 先行位置 200mm. ・縁部加熱条件: 先行加熱に同じ. 溶接部と同一進行位置. 上記実験の結果を、上記同一条件で、溶接部下面の先行
加熱および縁部3c,3c′の加熱を双方とも実施しない場
合と比較して下表−2に示す。なお、表中における座屈
変形量H1は第5図に示すように縁部3c,3c′に生じた波
の高さ(平均値)を、また角変形量H2は、図示の如く一
方の縁部3cが、他方の縁部3c′と溶接部を結んで延長し
た線lに対して離間した寸法(平均値)を計測したもの
である。 上記表−2からも明らかなように、上記の如く縁部3c,3
c′および溶接部の先行加熱を実施した場合には、板材
3の座屈変形歪および角変形歪の双方共極めて小さいこ
とが解る。 次に、第6図は本発明の請求項3に係る金属薄板の溶接
歪防止法の一実施例を示したものである。本発明の請求
項3に係る金属薄板の溶接歪防止方法は、金属薄板より
なる板材の一面側に金属薄板よりなる複数本の細長部材
を略垂直にかつ互いに並行するように隅肉溶接により立
設して多列T継手を形成するにあたり、前記板材におけ
る前記隅肉溶接を行うべき各溶接線に沿った裏面側を前
記溶接に先行して加熱すると共に、前記板材の表面およ
び裏面の少なくとも一方であって前記溶接線と並行した
縁部および該板材の前記細長部材間中央部を線状に加熱
するものである。 第6図は、上記方法により板材3に複数のフラットバー
(細長部材)4,4,…を隅肉溶接することにより並行に立
設して多列T継手7を作成している様子を示す正面図で
ある。板材3およびフラットバー4,4,…はアルミニウム
合金よりなるものとしており、この場合も、前記隅肉溶
接をMIG溶接により行うものとしている。符号10(10A〜
10F)はMIGトーチである。また、隅肉溶接に先行して実
施する溶接部裏面側の加熱、および板材3の縁部3c,3
c′の加熱、およびフラットバー4,4間の加熱は全てTIG
アークにより行うものとしており、符号21(21A,21B,21
C)が溶接部裏面の先行加熱用のTIGトーチ、符号20(20
A,20B)が縁部3c,3c′加熱用のTIGトーチ、符号22(22A
〜22D)がフラットバー4間の加熱用のTIGトーチであ
る。 上記の如き多列T継手7の作成において、各フラットバ
ー4,4,…に対応したMIGトーチ10による隅肉溶接、該隅
肉溶接に先行したTIGトーチ21による加熱、および縁部3
c,3c′の溶接線に並行した加熱については、上記実施例
で示したT継手6の作成方法に準じて行うものとしてい
る。縁部3c,3c′の加熱は上記2つの実施例同様、溶接
に先行して行っても後から実施してもよく、かつ、板材
3の上面3a・下面3bのどちら側より行ってもよい。ただ
し、板材3における各フラットバー4,4,…間の中央部の
加熱は、図示するように板材3の上面3aおよび下面3bの
両面側より実施するのが望ましい。なぜならば、フラッ
トバー4間の中央位置において板材3の片側面のみを線
状加熱した場合には、加熱膨張時に周辺部の拘束による
効果が働き、加熱面側に収縮した角変形が生じるおそれ
があるためである。これに対し、縁部では、上記の周辺
部の拘束による効果が働かず片面加熱でも加熱面が収縮
した角変形が生じることはない。 上記方法によれば、板材3の座屈変形歪および角変形歪
が共にほとんど生じない多列T継手7を形成することが
できる。 実験例−3 上記方法に従い、下記の条件の下で第6図に示す如く板
材3およびフラットバー4,4,…により多列T継手7を作
成した。 ・板材3: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法1500mm*3000mm,厚さ4mm. ・フラットバー4: JIS A5083-0 アルミニウム材, 寸法60mm*3000mm,厚さ5mm. ・フラットバー4の配置間隔: 板端より250mmで500mmピッチ. ・溶接条件: MIG 電流 180〜220A. 電圧 20〜23V. 溶接速度 1600mm/min. ・先行加熱: 加熱機素 TIGトーチ 電流 150A. 電圧 20V. 速度 1600mm/min. 先行位置 200mm前方. ・縁部加熱条件: 先行加熱に同じ. 溶接部と同一進行位置. 上記実験の結果を、上記同一条件で、フラットバー4,4,
…間の加熱を実施しない場合と比較して下表−3に示
す。なお、表中における座屈変形量H1および角変形量H2
は、先の実施例の場合に準じて測定したものである。 上記表−3からも明らかなように、上記方法によった場
合には、極めて歪の小さい多列T継手7が得られること
が解る。
以上説明したとおり請求項1に係る発明によれば、歪の
極めて少ない金属薄板の突合せ溶接を簡単な手段により
確実に実現することができる。そしてこれにより、金属
薄板の突合せ溶接により構成される構造体の質の向上を
図ることができる。 また、請求項2に係る発明によれば、金属薄板によりT
継手を形成するにあたり、板材の角変形歪および座屈変
形歪の双方が極めて小さい高精度なT継手を実現するこ
とができる。 さらに、請求項3に係る発明によれば、多列T継手にお
いても歪の極めて少ないものを確実かつ容易に形成でき
る。よって、複数列の縦骨材を有するパネル等の構造体
に適用することにより船舶等の建造工数、工期を削減で
き、大幅なコストダウンを図ることができる。
極めて少ない金属薄板の突合せ溶接を簡単な手段により
確実に実現することができる。そしてこれにより、金属
薄板の突合せ溶接により構成される構造体の質の向上を
図ることができる。 また、請求項2に係る発明によれば、金属薄板によりT
継手を形成するにあたり、板材の角変形歪および座屈変
形歪の双方が極めて小さい高精度なT継手を実現するこ
とができる。 さらに、請求項3に係る発明によれば、多列T継手にお
いても歪の極めて少ないものを確実かつ容易に形成でき
る。よって、複数列の縦骨材を有するパネル等の構造体
に適用することにより船舶等の建造工数、工期を削減で
き、大幅なコストダウンを図ることができる。
第1図および第2図は本発明の請求項1に係る発明の一
実施例を示すもので第1図は当実施例による板材の突合
せ溶接の実施状況を示す斜視図、第2図は当実施例によ
り溶接された金属薄板の歪測定要領を説明するためのも
ので溶接加工された板材を示す斜視図、第3図ないし第
5図は本発明の請求項2に係る発明の一実施例を示すも
ので第3図は当実施例によるT継手の作成状況を示す正
面図、第4図は第3図の側面図、第5図は当実施例によ
り溶接された金属薄板の歪測定要領を説明するためのも
ので溶接加工されたT継手を示す斜視図、第6図は本発
明の請求項3に係る発明の一実施例で当実施例による多
列T継手の作成状況を示す正面図、第7図ないし第9図
は従来技術を説明するもので第7図は突合せ溶接された
板材の斜視図、第8図は突合せ溶接された板材の平面
図、第9図は隅肉溶接により作成されたT継手の斜視図
である。 1……板材、1c……縁部、2……板材、2c……縁部、3
……板材、3b……裏面、3c,c′……板端、4……フラッ
トバー(細長部材)、6……T継手、7……多列T継
手。 (上記符号1,2,3,4は金属薄板である。)
実施例を示すもので第1図は当実施例による板材の突合
せ溶接の実施状況を示す斜視図、第2図は当実施例によ
り溶接された金属薄板の歪測定要領を説明するためのも
ので溶接加工された板材を示す斜視図、第3図ないし第
5図は本発明の請求項2に係る発明の一実施例を示すも
ので第3図は当実施例によるT継手の作成状況を示す正
面図、第4図は第3図の側面図、第5図は当実施例によ
り溶接された金属薄板の歪測定要領を説明するためのも
ので溶接加工されたT継手を示す斜視図、第6図は本発
明の請求項3に係る発明の一実施例で当実施例による多
列T継手の作成状況を示す正面図、第7図ないし第9図
は従来技術を説明するもので第7図は突合せ溶接された
板材の斜視図、第8図は突合せ溶接された板材の平面
図、第9図は隅肉溶接により作成されたT継手の斜視図
である。 1……板材、1c……縁部、2……板材、2c……縁部、3
……板材、3b……裏面、3c,c′……板端、4……フラッ
トバー(細長部材)、6……T継手、7……多列T継
手。 (上記符号1,2,3,4は金属薄板である。)
Claims (3)
- 【請求項1】金属薄板の連続突き合わせ溶接を行なうに
際し、溶接すべき前記金属薄板の表面および裏面の少な
くとも一方であって溶接線と並行した縁部を線状に加熱
することを特徴とする金属薄板の溶接歪防止方法。 - 【請求項2】金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板
よりなる細長部材を隅肉溶接により略垂直に立設してT
継手を形成するにあたり、前記板材の前記隅肉溶接を行
なうべき溶接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加
熱すると共に、前記板材の表面および裏面の少なくとも
一方であって前記溶接線と並行した縁部を線状に加熱す
ることを特徴とする金属薄板の溶接歪防止方法。 - 【請求項3】金属薄板よりなる板材の一面側に金属薄板
よりなる複数本の細長部材を略垂直にかつ互いに並行す
るように隅肉溶接により立設して多列T継手を形成する
にあたり、前記板材における前記隅肉溶接を行なうべき
各溶接線に沿った裏面側を前記溶接に先行して加熱する
と共に、前記板材の表面および裏面の少なくとも一方で
あって前記溶接線と並行した縁部および該板材の前記細
長部材間中間部を線状に加熱することを特徴とする金属
薄板の溶接歪防止方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2163121A JPH0780048B2 (ja) | 1990-06-21 | 1990-06-21 | 金属薄板の溶接歪防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2163121A JPH0780048B2 (ja) | 1990-06-21 | 1990-06-21 | 金属薄板の溶接歪防止方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0452079A JPH0452079A (ja) | 1992-02-20 |
| JPH0780048B2 true JPH0780048B2 (ja) | 1995-08-30 |
Family
ID=15767581
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2163121A Expired - Lifetime JPH0780048B2 (ja) | 1990-06-21 | 1990-06-21 | 金属薄板の溶接歪防止方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0780048B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5440099A (en) * | 1993-12-22 | 1995-08-08 | Fn Mfg Llc | Welding complicated, difficult-to-weld metal components |
| KR100567599B1 (ko) * | 1998-12-17 | 2006-10-24 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 용접판의 변형을 방지하는 용접방법 및 그러한 용접방법을 수행하기 위해 이용되는 용접장치 |
| US6861617B2 (en) * | 2003-06-03 | 2005-03-01 | Edison Welding Institute, Inc. | Method of reducing distortion by transient thermal tensioning |
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-
1990
- 1990-06-21 JP JP2163121A patent/JPH0780048B2/ja not_active Expired - Lifetime
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