JPH0783872A - バイオセンサおよびその製造方法 - Google Patents

バイオセンサおよびその製造方法

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JPH0783872A
JPH0783872A JP6169168A JP16916894A JPH0783872A JP H0783872 A JPH0783872 A JP H0783872A JP 6169168 A JP6169168 A JP 6169168A JP 16916894 A JP16916894 A JP 16916894A JP H0783872 A JPH0783872 A JP H0783872A
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智浩 山本
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Toshihiko Yoshioka
俊彦 吉岡
Satoko Fujisawa
里子 藤澤
Shiro Nankai
史朗 南海
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料液のpH調整を要することなく、生体試
料中の特定成分を迅速かつ簡易操作で高精度に定量で
き、かつ酵素と緩衝剤との混合による酵素活性の低下の
ないバイオセンサを提供する。 【構成】 絶縁性の基板、基板上に設けた測定極と対極
を有する電極系、および電極系上にこれと接して形成し
た反応層からなり、反応層が、少なくとも親水性高分子
と酵素と緩衝剤を含み、かつ酵素が緩衝剤と分離されて
いるバイオセンサ。基板上に電極系に接して水を媒体と
して酵素と親水性高分子からなる第1の層を形成する工
程、前記親水性高分子を溶解しない有機溶媒を媒体とし
て第1の層上に緩衝剤を含む第2の層を形成する工程を
有するバイオセンサの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体試料中の特定成分
について、酵素反応を利用して迅速かつ高精度な定量を
簡便に実施するためのバイオセンサ、およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、試料中の特定成分について、試料
液の希釈や攪拌などを行うことなく簡易に定量する方式
として、様々なバイオセンサが提案されている。バイオ
センサの一例として、まずグルコースセンサを説明す
る。酵素電極を用いたグルコースの定量方法としては、
グルコースオキシダーゼと酵素電極あるいは過酸化水素
電極とを組み合わせた方式が一般に知られている。グル
コースオキシダーゼは、酸素を電子受容体として基質で
あるβーD−グルコースをD−グルコノーδーラクトン
に選択的に酸化する。この反応にともない、酸素は過酸
化水素に還元される。このときの酸素消費量を酸素電極
によって測定するか、もしくは過酸化水素の生成量を白
金電極等を用いた過酸化水素電極によって測定すること
によりグルコースの定量が行われる。
【0003】しかし、上記の方法では、測定対象によっ
ては溶存酸素濃度の影響を大きく受け、また酸素のない
条件下では測定が不可能となる。そこで、酸素を電子受
容体として用いず、フェリシアン化カリウム、フェロセ
ン誘導体、キノン誘導体等の金属錯体や有機化合物を電
子受容体として用いるタイプのグルコースセンサが開発
されている。このタイプのセンサでは、酵素反応の結果
生じた電子受容体の還元体を電極で酸化することによ
り、その酸化電流からグルコース濃度が求められる。こ
の手法は、グルコースにかぎらず他の基質の定量にも広
く応用されている。この種のバイオセンサの一例として
次のようなグルコースセンサが知られている(特開平1
−114747号公報)。
【0004】このセンサは、測定極と対極からなる電極
系を設けた絶縁性基板上に、電極系と間隔を隔てて、ポ
リカーボネート多孔体膜からなる濾過層、電子受容体担
持層、酵素担持層、緩衝剤担持層およびセルロース織布
からなる展開層を順次積層した構成を有する。なお、前
記の担持層は、それぞれ電子受容体、酵素、緩衝剤の水
溶液をセルロース多孔体に含浸し、乾燥したものであ
る。このグルコースセンサの動作は、以下のとおりであ
る。展開層上に滴下された試料液は、緩衝剤担持層にお
いて緩衝剤の緩衝作用により最も高い酵素活性の得られ
るpHに調整される。次に、試料液中のグルコースは、
酵素担持層のグルコースオキシダーゼと特異的に反応す
る。同時に、電子受容体担持層の電子受容体、例えばフ
ェリシアン化カリウムは上記の反応で生成する電子によ
り還元されてフェロシアン化カリウムを生成する。この
フェロシアン化カリウムの量は試料液中のグルコース濃
度に比例する。次に、電極における反応を妨害するタン
パク質などの分子量の大きな物質が濾過層で濾過された
後、試料液は、絶縁性基板上に設けた電極系に到達す
る。誤測定を防ぐために、一部が絶縁層でおおわれた電
極系によって試料液中のフェロシアン化カリウムの酸化
電流値を測定することにより、グルコース濃度を検知す
ることができる。
【0005】この様な従来の構成では、電極系を含む基
板面の濡れが必ずしも一様とならないため、濾過層の多
孔体と基板との間に気泡が残り、応答電流に影響を与え
る場合があった。また、試料液中に、電極に吸着しやす
い物質や電極活性な物質が存在すると、センサの応答に
影響がみられる場合があった。上記課題を解決する方法
として、次のようなバイオセンサが提案されている(特
開平2−062952号公報)。すなわち、絶縁性の基
板上にスクリーン印刷等の方法で測定極、対極および参
照極からなる電極系を形成し、この電極系上に、電極系
に接して親水性高分子と酸化還元酵素と電子受容体、必
要に応じて加えた緩衝剤を含む酵素反応層を形成したも
のである。基質を含む試料液を酵素反応層上へ滴下する
と、酵素反応層が溶解し、緩衝剤の緩衝作用により最も
高い酵素活性の得られるpHに調整され、酵素と基質が
反応し、さらに電子受容体が還元される。酵素反応終了
後、この還元された電子受容体を電気化学的に酸化し、
このとき得られる酸化電流値から試料液中の基質濃度を
求めるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の構成
においては、バイオセンサは吸湿すると、緩衝剤と酵素
が部分的に混合され、化学的相互作用によって酵素活性
が低下し、バイオセンサの保存性が劣化する不都合があ
った。本発明は、上記のような課題を解決するもので、
生体試料に含まれる特定成分について、迅速かつ簡易操
作で高精度の定量ができるバイオセンサを提供すること
を目的とする。本発明は、また長期の保存に耐え、食品
の品質管理や臨床検査に利用できるバイオセンサを提供
することを目的とする。さらに、本発明は、製造時にお
いても酵素と緩衝剤との混合のないバイオセンサを製造
する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明バイオセンサは、
絶縁性の基板、前記基板上に設けられた測定極と対極を
有する電極系、および前記電極系上に電極系と接して形
成された反応層からなり、前記反応層が、少なくとも親
水性高分子と酵素と緩衝剤を含み、かつ酵素が緩衝剤と
分離されている構成を有する。本発明の好ましい一態様
において、前記反応層は少なくとも二層からなり、一つ
の層が前記電極系に接し、かつ酵素と親水性高分子から
なり、他の一層が緩衝剤を含んでいる。他の一層は、脂
質からなることが好ましい。本発明の好ましい他の態様
において、前記反応層は少なくとも二層からなり、一つ
の層が前記電極系に接し、かつ緩衝剤と親水性高分子か
らなり、他の一層が酵素を担持している。他の一層は、
前記親水性高分子を溶解しない有機溶媒に可溶な親水性
高分子からなることが好ましい。本発明のバイオセンサ
は、反応層が電子受容体を含むことが好ましい。
【0008】本発明は、また反応層が少なくとも三層か
らなり、一つの層が緩衝剤と親水性高分子からなり、他
の一層が酵素と親水性高分子からなるバイオセンサを提
供する。酵素を含む層は、さらに電子受容体を含むこと
が好ましい。さらに、本発明の好ましい態様において、
緩衝剤を含む層および酵素を含む層より外側に位置し、
脂質、特に両親媒性脂質からなる層を有する。また、他
の態様において、電極系に接し、本質的に親水性高分子
からなる層を有する。さらに他の態様において、緩衝剤
と親水性高分子からなる層と、酵素と親水性高分子から
なる層とが互いに接しており、両層の親水性高分子は互
いに異なる物質であり、かつ上側に形成される層の高分
子は、その下側に形成される高分子を溶解しない有機溶
媒に可溶性である。
【0009】本発明バイオセンサの製造方法は、また絶
縁性の基板上に設けられた測定極と対極を有する電極
系、および前記電極系上に電極系と接して形成された反
応層からなり、前記反応層が、酵素と親水性高分子から
なる層と、緩衝剤を含む層との少なくとも二層からなる
バイオセンサの製造方法であって、前記基板上に前記電
極系に接して水を媒体として酵素と親水性高分子からな
る第1の層を形成する工程、前記親水性高分子を溶解し
ない有機溶媒を媒体として第1の層上に緩衝剤を含む第
2の層を形成する工程を有する。ここにおいて、好まし
い一態様においては、第1の層を形成する工程が、酵素
および親水性高分子を溶解した水溶液を基板上に展開
し、乾燥することからなり、第2の層を形成する工程
が、脂質の有機溶媒溶液に緩衝剤を分散した液を第1の
層上に展開し、乾燥することからなる。また、他の態様
においては、第1の層を形成する工程が、酵素および親
水性高分子を溶解した水溶液を基板上に展開し、乾燥す
ることからなり、第2の層を形成する工程が、親水性高
分子の有機溶媒溶液に緩衝剤を分散した液を第1の層上
に展開し、乾燥することからなる。
【0010】さらに、本発明は、絶縁性の基板上に設け
られた測定極と対極を有する電極系、および前記電極系
上に電極系と接して形成された反応層からなり、前記反
応層が、酵素と親水性高分子からなる層と、緩衝剤を含
む層との少なくとも二層からなるバイオセンサの製造方
法であって、前記基板上に前記電極系に接して水を媒体
として緩衝剤と親水性高分子からなる第1の層を形成す
る工程、前記親水性高分子を溶解しない有機溶媒を媒体
として第1の層上に酵素と親水性高分子からなる第2の
層を形成する工程を有するバイオセンサの製造方法を提
供する。ここで、前記酵素および親水性高分子を溶解し
た水溶液がさらに電子受容体を溶解していることが好ま
しい。また、前記第2の層上に、さらに脂質の有機溶媒
溶液を展開し、乾燥することにより第3の層を形成する
工程を有することが好ましい。
【0011】
【作用】本発明のバイオセンサは、前記のように、基板
の電極系上に電極系と接して形成された反応層が、少な
くとも親水性高分子と酵素と緩衝剤を含み、かつ酵素が
緩衝剤と分離されている構成を有する。そして、反応層
中に緩衝剤を含むことから、試料液のpHが最も高い酵
素活性が得られるpHと一致しない場合でも、センサに
供給された試料液が反応層中の緩衝剤に達することによ
って、試料液のpHを最も高い酵素活性の得られる値に
自動的に調整される。従って、試料液をあらかじめ緩衝
液などでpH調整する必要がなく、簡易な操作で測定が
可能となる。さらに、酵素層と緩衝剤を分離することに
より、バイオセンサの吸湿による緩衝剤と酵素の部分的
な混合、およびそれによる化学的相互作用による酵素活
性の低下を防ぐことができ、バイオセンサの保存時にお
いては酵素を安定な条件下に保つことができる。
【0012】本発明のバイオセンサにおいて、緩衝剤を
含む層と酵素を含む層とが互いに接している構成におい
ても、両層の親水性高分子は互いに異なるものとし、か
つ上側に形成される層の高分子は、その下側に形成され
る高分子を溶解しない有機溶媒に可溶性の高分子とする
ことにより、バイオセンサの製造時における緩衝剤と酵
素との直接的な接触をなくすことができる。このような
構成のバイオセンサは、以下の製造方法によって得るこ
とができる。その1つは、絶縁性基板上に電極系に接し
て、水を媒体として酵素と親水性高分子からなる第1の
層を形成する工程、前記親水性高分子を溶解しない有機
溶媒を媒体として第1の層上に緩衝剤を含む第2の層を
形成する工程を有する製造方法である。また、他の1つ
は、絶縁性基板上に電極系に接して、水を媒体として緩
衝剤と親水性高分子からなる第1の層を形成する工程、
前記親水性高分子を溶解しない有機溶媒を媒体として第
1の層上に酵素と親水性高分子からなる第2の層を形成
する工程を有する製造方法である。
【0013】本発明のバイオセンサは、反応層の表面
に、試料溶液の反応層への侵入を容易にする脂質を含む
層を有することが好ましい。脂質としては、以下の実施
例に用いるレシチンの他、ホスファチジルセリン、ホス
ファチジルエタノールアミン等のリン脂質で、両親媒性
脂質が好ましい。さらに、反応層を形成するための親水
性高分子としては、以下の実施例に用いるカルボキシメ
チルセルロース、ポリビニルピロリドンの他、ポリビニ
ルアルコール、水溶性セルロース誘導体、特にエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース;ゼラチン、
ポリアクリル酸およびその塩、デンプンおよびその誘導
体、無水マレイン酸およびその塩、ポリアクリルアミ
ド、メタクリレート樹脂、ポリ2ーヒドロキシエチルメ
タクリレートなどを用いることができる。
【0014】また、以下の実施例では、測定極と対極の
みの二極電極系について述べるが、参照極を加えた三電
極方式にすれば、より正確な測定が可能である。さら
に、電子受容体としては、以下の実施例に示すフェリシ
アン化カリウム以外に、p−ベンゾキノン、フェナジン
メトサルフェート、フェロセンなども使用できる。一
方、緩衝剤としては、リン酸塩のほか、クエン酸塩を用
いた緩衝剤など、酵素の最も高い酵素活性が得られるp
Hを得る緩衝剤を自由に用いることができる。
【0015】さらに、本発明は、フルクトースセンサ、
乳酸センサおよびグルコースセンサの他アルコールセン
サ、スクロールセンサ、コレステロールセンサなど酵素
の関与する反応系に広く用いることができ、この場合、
酵素としてはフルクトースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキ
シダーゼ、グルコースオキシダーゼ以外に、定量しよう
とする特定物質に応じて、アルコールオキシダーゼ、乳
酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、コ
レステロールデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダー
ゼ、アミノ酸オキシダーゼ等を用いることができる。本
発明のバイオセンサは、種々の生体試料中の特定成分に
ついて、迅速かつ高精度な定量を簡便に実施することが
でき、また長期の保存にも耐えうるので、食品の品質管
理や臨床検査においてその利用価値はきわめて大きい。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。 [実施例1]バイオセンサの一例として、フルクトース
センサについて説明する。図1は本発明のバイオセンサ
ーの一実施例として作製したフルクトースセンサのうち
カバーおよびスペーサを除いた縦断面図であり、図2は
反応層を除いたフルクトースセンサの分解斜視図であ
る。1はポリエチレンテレフタレートからなる絶縁性の
基板を示す。この基板1上に、スクリーン印刷により銀
ペーストを印刷してリード2、3を形成してある。基板
1上には、さらに樹脂バインダーを含む導電性カーボン
ペーストを印刷することにより、測定極4と対極5を含
む検出電極系、および絶縁性ペーストを印刷することに
より絶縁層6を形成してある。絶縁層6は、測定極4お
よび対極5の露出部分の面積を一定とし、かつリードを
部分的に覆っている。
【0017】このようにして電極部分を作製した後、電
極系上には、酵素フルクトースデヒドロゲナーゼ(EC
1.1.99.11;以下FDHと略す)および電子受
容体であるフェリシアン化カリウムを親水性高分子カル
ボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下CMCと
略す)の0.5wt%水溶液に溶解させた混合水溶液を滴
下し、40℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させること
により、FDH−フェリシアン化カリウム−CMC層7
を形成してある。このFDH−フェリシアン化カリウム
−CMC層7上へ、分散剤としてレシチンの0.5wt%
トルエン溶液中に、緩衝剤であるリン酸−カリウム、リ
ン酸二カリウムの微結晶を分散させたものを滴下し、乾
燥させることによって緩衝剤−レシチン層8が形成され
る。層8の形成に用いた溶媒トルエンは、下層のCMC
を溶解しないから、層8の緩衝剤と層7の酵素との直接
的な接触はない。また、レシチンのような両親媒性脂質
の層を反応層表面に形成することにより、反応層への外
部からの試料溶液の侵入を容易にさせることができる。
以上のようにしてフルクトースセンサの反応層が形成さ
れる。このように親水性高分子、酵素および電子受容体
の混合溶液を一度に滴下し、乾燥させることによって製
造工程を簡略化させることができる。また、乾燥時の温
度範囲としては、酸素の失活がみられず、かつ短時間で
乾燥可能な温度である20℃から80℃の範囲が適して
いる。
【0018】上記のようにして反応層を形成した後、カ
バー14およびスペーサー13を図2中、一点鎖線で示
すような位置関係をもって接着することにより、フルク
トースセンサが完成する。このバイオセンサは、試料液
をセンサ先端の試料供給孔15に接触させるだけの簡易
操作で、試料液は容易に反応層部分へ導入される。試料
液の供給量はカバー14とスペーサー13によって生じ
る空間容積に依存するため、あらかじめ定量する必要は
ない。さらに、測定中の試料液の蒸発を最小限に抑える
ことができ、精度の高い測定が可能となる。なお、図2
中、16はカバー14に設けた空気孔である。ここで、
カバー14およびスペーサー13に透明な高分子材料を
用いると、反応層の状態や試料液の導入状況を外部から
容易に観察することができる。
【0019】こうして作製したフルクトースセンサに、
試料液としてフルクトース標準液3μlを試料供給孔よ
り供給し、2分後に対極を基準にして測定極にアノード
方向へ+0.5Vのパルス電圧を印加し、5秒後の電流
値を測定した。試料液が反応層へ到達すると、緩衝剤−
レシチン層8を溶解して望ましいpHとなり、引続きF
DH−フェリシアン化カリウム−CMC層7を溶解し
た。試料液中のフルクトースは、FDHによって酸化さ
れ、そこで移動した電子によってフェリシアン化カリウ
ムがフェロシアン化カリウムに還元される。次に、上記
のパルス電圧の印加により、生成したフェロシアン化カ
リウムの酸化電流が得られ、この電流値は基質であるフ
ルクトースの濃度に対応する。このフルクトースセンサ
に用いた酵素は、pH=4.5で酵素活性がほぼ最大値
を示す(37℃)が、フルクトース標準液はほぼ中性で
あるから、試料液が緩衝剤−レシチン層8に達し、試料
液のpHが4.5になることで、酵素活性を最大限に引
き出すことが可能となる。また、緩衝剤と酵素を分離す
ることでセンサの保存特性を向上させることができる。
【0020】このようにして作製したフルクトースセン
サによって得られたフルクトース標準溶液に対する応答
は、フルクトース濃度に対して直線性を示し、長期の保
存後も前記の特性を維持することができた。なお、上記
実施例において、緩衝剤−レシチン層8の代りに、下層
のCMCを溶解しない有機溶媒に可溶な親水性高分子、
例えばポリビニルピロリドンのエタノール溶液に緩衝剤
を分散させた液を展開し、乾燥することにより緩衝剤ー
親水性高分子層を形成してもよい。
【0021】[実施例2]ポリエチレンテレフタレート
からなる絶縁性基板上に、実施例1と同様にしてスクリ
ーン印刷により測定極4と対極5からなる電極系を形成
する。この電極系上へ、CMCの0.5wt%水溶液を滴
下し、乾燥させてCMC層を形成する。次に、このCM
C層を覆うように、酵素FDHと電子受容体フェリシア
ン化カリウムの水溶液を展開し、乾燥させてFDH−フ
ェリシアン化カリウム−CMC層7を形成する。この場
合、CMCとFDH並びにフェリシアン化カリウムは部
分的に混合された状態で厚さ数ミクロンの薄膜状となっ
ている。すなわち、CMC層上に前記水溶液を滴下する
と、最初に形成したCMC層は一度溶解し、その後の乾
燥過程で酵素などと混合された形で層7を形成する。し
かし、攪拌等をともなわないため完全な混合状態とはな
らず、電極系表面はCMCのみによって被覆された状態
となる。こうして、酵素および電子受容体などが電極系
表面に接触しないために、電極系表面へのタンパク質の
吸着や、フェリシアン化カリウムのような酸化能を有す
る物質の化学的作用による電極系の特性変化が起こり難
くなるもの考えられ、その結果、高精度なセンサ応答を
有するセンサ得ることができる。
【0022】さらに、このFDH−フェリシアン化カリ
ウム−CMC層7を完全に覆うようにして、親水性高分
子ポリビニルピロリドン(以下PVPと略す)の0.5
wt%エタノール溶液に緩衝剤であるリン酸−カリウム、
リン酸二カリウムの微結晶を分散させたものを滴下し、
乾燥させることにより、緩衝剤−PVP層10を形成す
る。層10の形成に用いたエタノールは、下層のCMC
を溶解しないから、層7の酵素と層10の緩衝剤との直
接的接触はない。この緩衝剤−PVP層10上へ、レシ
チンの0.5wt%トルエン溶液を滴下し、乾燥させるこ
とによってレシチン層9を形成する。以上のようにして
フルクトースセンサの反応層が形成される。このように
して得られたフルクトースセンサの構造を図3に示す。
【0023】上記の反応層を形成した基板に、実施例1
と同様に、スペーサー11およびカバー12を組み合わ
せることによりフルクトースセンサが完成する。緩衝剤
−PVP層10を設けることによって、果肉などの固形
成分を含む果汁などの液体を試料液とした場合には、緩
衝剤−PVP層によって、前記固形成分が電極表面へ吸
着するなどによりセンサの応答に影響を与えるのを防ぐ
ことができ、同時に試料液のpHを酵素活性が最大にな
るpHにすることができる。このようにして作製された
フルクトースセンサは、迅速かつ高精度な応答を示し、
また実施例1同様、緩衝剤と酵素が分離されていること
によりすぐれた保持特性を有する。
【0024】[実施例3]バイオセンサの一例として、
グルコースセンサについて説明する。ポリエチレンテレ
フタレートからなる絶縁性基板上に、実施例1と同様に
してスクリーン印刷により図1に示した電極部分と同じ
電極系を形成する。このようにして電極部分を作製した
後、CMCの0.5wt%水溶液に緩衝剤であるリン酸
一カリウム、リン酸二カリウムを溶解させたものを滴下
し、乾燥させ、緩衝剤−CMC層を形成する。次に、こ
の緩衝剤−CMC層を覆うように、酵素として脂質修飾
グルコースオキシダーゼ(以下脂質修飾GODと略す)
と電子受容体のフェリシアン化カリウムとをエタノール
中に分散した溶液を展開し、乾燥させて脂質修飾GOD
−フェリシアン化カリウム層を形成する。前記のように
して反応層を形成した後、実施例1と同様にスペーサー
13およびカバー14と一体化しグルコースセンサを構
成する。上記の脂質修飾GODは、両親媒性脂質DC−
3−12Lを水中に分散した溶液にグルコースオキシダ
ーゼ(東洋紡製)を添加し、4℃で1.5日放置後、凍
結乾燥して得られたものである。この脂質修飾GOD
は、有機溶媒中に凝集することなく容易に分散可能で、
しかも水に対しても可溶である。
【0025】[実施例4]バイオセンサの一例として、
グルコースセンサについて説明する。ポリエチレンテレ
フタレートからなる絶縁性基板上に、実施例1と同様に
してスクリーン印刷により図1に示した電極部分と同じ
電極系を形成する。このようにして電極部分を作製した
後、CMC0.5wt%水溶液に緩衝剤であるリン酸一
カリウム、リン酸二カリウムと、電子受容体としてフェ
リシアン化カリウムを溶解させたものを滴下し、乾燥さ
せ、緩衝剤−フェリシアン化カリウム−CMC層を形成
する。次に、この緩衝剤−フェリシアン化カリウム−C
MC層を覆うようにして、酵素として、脂質修飾GOD
のベンゼン溶液を展開し、乾燥させて脂質修飾GOD層
を形成する。前記のようにして反応層を形成した後、実
施例1と同様にスペーサー13およびカバー14と一体
化しグルコースセンサを構成する。
【0026】なお、上記実施例における電極部分を、ス
パッタ等を用いて白金で形成した場合、電子受容体とし
て用いたフェリシアン化カリウムは必要ではなく、この
場合酵素反応によって基質溶液中の酸素が乳酸(または
グルコース)濃度に比例して還元されて生成した過酸化
水素を、前記白金電極で検出、乳酸(またはグルコー
ス)濃度を定量することができる。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、試料液の
水素イオン濃度をあらかじめ調整することなく、酵素の
特性に応じた最適な水素イオン濃度を自動的に設定する
ことができる。その結果、より短時間で高精度な測定の
できるバイオセンサが得られる。また、酵素と緩衝剤を
分離することにより、バイオセンサの吸湿による緩衝剤
と酵素の部分的な混合とそれによる化学的相互作用によ
る酵素活性の低下を防ぐことができ、その結果、長期の
保存後も初期活性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるバイオセンサの要部
構成を示す縦断面図である。
【図2】同バイオセンサの反応層を除いた分解斜視図で
ある。
【図3】本発明の実施例2におけるバイオセンサの要部
構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁性の基板 2、3 リード 4 測定極 5 対極 6 絶縁層 7 FDHーフェリシアン化カリウムーCMC層 8 緩衝剤ーレシチン層 9 レシチン層 10 緩衝剤ーPVP層 13 スペーサ 14 カバー 15 試料供給孔 16 空気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤澤 里子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 南海 史朗 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性の基板、前記基板上に設けられた
    測定極と対極を有する電極系、および前記電極系上に電
    極系と接して形成された反応層からなり、前記反応層
    が、少なくとも親水性高分子と酵素と緩衝剤を含み、か
    つ酵素が緩衝剤と分離されているバイオセンサ。
  2. 【請求項2】 前記反応層が少なくとも二層からなり、
    一つの層が前記電極系に接し、かつ酵素と親水性高分子
    からなり、他の一層が緩衝剤を含む請求項1記載のバイ
    オセンサ。
  3. 【請求項3】 他の一層が両親媒性脂質からなる請求項
    2記載のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 前記反応層が少なくとも三層からなり、
    一つの層が緩衝剤と親水性高分子からなり、他の一層が
    酵素と親水性高分子からなり、さらに他の一層が前記二
    層の外側に位置し、脂質からなる請求項1記載のバイオ
    センサ。
  5. 【請求項5】 一つの層が電子受容体を含む請求項2ま
    たは4記載のバイオセンサ。
  6. 【請求項6】 前記緩衝剤と親水性高分子からなる層
    と、酵素と親水性高分子からなる層とが互いに接してお
    り、両層の親水性高分子は互いに異なる物質であり、か
    つ上側に形成される層の高分子は、その下側に形成され
    る高分子を溶解しない有機溶媒に可溶性である請求項4
    記載のバイオセンサ。
  7. 【請求項7】 絶縁性の基板上に設けられた測定極と対
    極を有する電極系、および前記電極系上に電極系と接し
    て形成された反応層からなり、前記反応層が、酵素と親
    水性高分子からなる層と、緩衝剤を含む層との少なくと
    も二層からなるバイオセンサの製造方法であって、前記
    基板上に前記電極系に接して水を媒体として酵素と親水
    性高分子からなる第1の層を形成する工程、前記親水性
    高分子を溶解しない有機溶媒を媒体として第1の層上に
    緩衝剤を含む第2の層を形成する工程を有するバイオセ
    ンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 絶縁性の基板上に設けられた測定極と対
    極を有する電極系、および前記電極系上に電極系と接し
    て形成された反応層からなり、前記反応層が、酵素と親
    水性高分子からなる層と、緩衝剤を含む層との少なくと
    も二層からなるバイオセンサの製造方法であって、前記
    基板上に前記電極系に接して水を媒体として緩衝剤と親
    水性高分子からなる第1の層を形成する工程、前記親水
    性高分子を溶解しない有機溶媒を媒体として第1の層上
    に酵素を担持した親水性高分子からなる第2の層を形成
    する工程を有するバイオセンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第2の層上に、さらに脂質の有機溶
    媒溶液を展開し、乾燥することにより第3の層を形成す
    る工程を有する請求項7または8記載のバイオセンサの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 絶縁性の基板上に設けられた測定極と
    対極を有する電極系、および前記電極系上に電極系と接
    して形成された反応層からなり、前記反応層が酵素と親
    水性高分子と緩衝剤からなるバイオセンサの製造法であ
    って、前記基板上に親水性高分子と緩衝剤を含む水溶液
    を展開し、乾燥する第1の工程、次に少なくとも酵素を
    含む有機溶媒を展開し、乾燥する第2の工程を有するバ
    イオセンサの製造方法。
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