JPH078543B2 - 芳香族ポリスルホン成型物の親水化処理方法 - Google Patents

芳香族ポリスルホン成型物の親水化処理方法

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JPH078543B2
JPH078543B2 JP19287186A JP19287186A JPH078543B2 JP H078543 B2 JPH078543 B2 JP H078543B2 JP 19287186 A JP19287186 A JP 19287186A JP 19287186 A JP19287186 A JP 19287186A JP H078543 B2 JPH078543 B2 JP H078543B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、芳香族ポリスルホン成型物の親水化処理方法
に関するものであり、更に詳しくは、疎水部と親水部を
有するポリマーを含有した芳香族ポリスルホン成型物
を、そのまま、望ましくは親水性物質と該成型物表面が
接した状態で、芳香族ポリスルホンのガラス転移温度未
満の温度の熱処理を行なうことにより、各種部品、フィ
ルム、各種プラスチック製品、分離膜等として成形され
た該成型物の表面の親水性を向上させる処理方法に関す
るものである。
(従来技術) 芳香族ポリスルホンは、化学的及び熱的に耐久性の優れ
たエンジニアリング樹脂として広く使用されている。芳
香族ポリスルホンとしては多くの芳香族ポリアリールエ
ーテルスルホンポリマーが知られ、一般にこれらの樹脂
は、式 で示される繰り返し単位を含む構造によって特徴づけら
れる。この構造から予想される様に、芳香族ホリスルホ
ンは優れた耐久性、安定性を持つ反面、疎水的な性質を
示す。代表的な芳香族ポリスルホンとして、インペリア
ルケミカルインダストリーズ社よりVictrex,ユニオンカ
ーバイド社よりUdelの商品名で、それぞれ市販されてい
るが、吸水率は前者が0.4%、後者が0.3%(いずれもAS
TM D570)であり、親水性樹脂として知られている酢酸
セルロース等の10分の1以下の吸水率である。この疎水
的な性質のため、芳香族ポリスルホンは、「表面が水で
ねれにくく乾燥しやすい」、「汚れやすい」、「帯電し
やすい」、「接着しにくい」など数多くの問題点があっ
た。
この様な問題点を効果的に解決する方法として、本発明
者らは先に芳香族ポリスルホン樹脂に疎水部と親水部を
有するポリマーを含有せしめることにより、効果的に芳
香族ポリスルホン樹脂に親水性を付与する方法を提案し
た。例えば、特願昭61-041992では疎水部と親水部を有
するポリマーとして、芳香族ポリスルホンポリマーと親
水性化合物のブロックポリマーを用いる方法を提案し
た。
上記の方法から得られた芳香族ポリスルホンから成型加
工された成型物は、芳香族ポリスルホン自身の有する優
れた物性をほとんど損なわずに良好な親水性を示し、成
型物表面の帯電防止や汚染防止などを行なうことができ
た。また、芳香族ポリスルホンに添加する疎水部と親水
部を有するポリマーの種類や含有量を適切に選択するこ
とで、目的とする成型物の物性や表面の親水性を調節す
ることができた。
しかし、得られた成型物表面の親水性が、成型加工の方
法や条件によって影響を受けたり、加工法の特殊性によ
って加工条件が制限を受ける場合があるなどの問題点が
あった。
各種プラスチック製品に添加された帯電防止剤などの低
分子添加剤では、成型物を主として構成する高分子のガ
ラス転移温度以上で、成型加工後も成型物表面へ添加剤
が移行し効力を発現することが知られている。しかし、
芳香族ポリスルホンのガラス転移温度は、一般に200℃
前後と非常に高く、この様な温度では成型物の変形、着
色、性能劣化といった問題があった。
(発明の目的) 本発明者らは、上記の方法をさらに詳細に研究した結
果、疎水部と親水部を有するポリマーを含有した芳香族
ポリスルホン成型物を、芳香族ポリスルホンのガラス転
移温度未満の温度で熱処理すると、該成型物を劣化させ
ることなく表面の親水化が行なえることを見い出すとと
もに、親水性物質と該成型物表面が接した状態で熱処理
すると、より親水化が効果的に行なえることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
本発明の目的とするところは、疎水部と親水部を有する
ポリマーを含有した芳香族ポリスルホン成型物におい
て、各種成型法によって付与された形状や性能といった
成型物の特性を損うことなしに、該成型物表面の親水性
をさらに向上させることにある。
(発明の構成) 本発明は、「芳香族ポリスルホン成型物が、疎水部と親
水部を有するポリマーを含有した芳香族ポリスルホンか
ら成り、親水化処理が、芳香族ポリスルホンのガラス転
移温度未満の温度において行なわれる熱処置であること
を特徴とする芳香族ポリスルホン成型物表面の親水化処
理方法。」である。
ここで、芳香族ポリスルホンとは、次の一般式(1)又
は(2)で表わされる繰り返し単位を有する重合体であ
る。
M-Rm-Mn-OlM-SO2-M-O- (1) −M-SO2-M-SO2-M-O- (2) (ただし、Mはそれぞれ同一、又は、異なる芳香族基を
示し、Rは二価の有機基を示し、m,n,およびlはそれぞ
れ0又は1を示す。) 具体例としては、次のいずれかの繰り返し単位 又は を有する芳香族ポリスルホンが成型物材料として好適に
用いられる。
また、水に不溶な物質から成る疎水部と水に可溶な物質
から成る親水部を有するポリマーとは、疎水部として主
鎖又は/かつ側鎖にアルキル,アリル又は芳香環などを
含む水に不溶な物質から成り、親水部として主鎖又は側
鎖がアルコール,カルボン酸,スルホン酸,エーテル、
又はピロリドン環などを含む水に可溶な物質から成り、
疎水部と親水部が共有結合で結合した水に不溶なポリマ
ーである。このポリマーは、疎水部を構成すべきモノマ
ーと、親水部を構成すべきモノマーから、ブロック重
合,グラフト重合、又は共重合といった公知の手段で合
成することもできるし、反応性基を有する高分子を用い
る高分子反応により、疎水部のみから成る高分子又はオ
リゴマーと親水部のみから成る高分子又はオリゴマーか
ら、ブロック又はグラフト型のポリマーとして合成する
こともできる。さらに、疎水部と親水部を有するポリマ
ーと芳香族ポリスルホンの相溶性や、成型物の耐熱性の
点で、疎水部として芳香族ポリスルホンのポリマー又は
オリゴマーを用いるのが望ましく、特願昭61-41992や特
願昭61-7961に記載されたポリマー類が例示される。た
だし、疎水部が水に不溶な物質から成り、親水部が水に
可溶な物質から成り、かつ水に不溶なポリマーであれ
ば、上記に例示した主鎖及び/又は側鎖を含むポリマー
以外のポリマーの使用を阻げるものではない。
本発明に用いられる成型物は、芳香族ポリスルホンと疎
水部と親水部を有するポリマーが任意の割合、望ましく
は芳香族ポリスルホンが50wt%以上で混合された樹脂を
用い、射出成型など樹脂の溶融を伴う加工法や、キャス
ト法によるフィルム化など溶剤溶解を伴う加工法や、湿
式製膜法、など種々の加工法により得られる各種部品,
フィルム,各種プラスチック製品,分離膜等である。
疎水部と親水部を有するポリマーを含有した芳香族ポリ
スルホンでは、均一な溶融物や溶液が固化される際に、
芳香族ポリスルホンポリマーの疎水部に対し、親水部が
ミクロ的に分離されてしまうことが予想される。しか
し、成型加工法によっては、この様な分離が不十分のま
ま固化、すなわち成型物となる。これは、特に該成型物
表面において著しい。従って、本発明の熱処理温度は、
主として成型物を構成する芳香族ポリスルホンのガラス
転移温度未満で常温以上とすることで、成形物の劣化を
防ぎ、かつ表面における分子運動を促すことにより、疎
水部と親水部を有するポリマーのうち、親水部がより有
効に成型物表面を被うことを行なっていると考えられ
る。
さらに、望ましくは熱処理を該成型物の表面に親水物質
が接した状態で行なう。このために、該成型物の表面層
においては、成型物に含有された疎水部と親水部を有す
るポリマーの親水部が、該親水性物質と強い親和力を示
すとともに、親水性部が成型物の表面層のみを可塑化す
ることが予想され、表面の親水化がより効果的に行なわ
れると考えられる。
本発明の熱処理は、該成型物を芳香族ポリスルホンのガ
ラス転移温度未満の雰囲気下に、所定時間放置すること
により達成されるが、該成型物表面が親水性物質と接し
た状態で熱処理されることが望ましい。
本発明の親水性物質とは、該成型物を溶解しない物質で
あって水に可溶な物質であり、水,食塩など各種塩類の
水溶液、メタノール,エタノールなどのアルコール類、
エチレングリコール,グリセリンなどのグリコール類、
ポリエチレングリコールなどのエーテル類が好適に用い
られる。工業的には水が最も適しているが、目的に応じ
て上記物質の水溶液や蒸気又は蒸気混合物を用いること
もできる。
通常熱処理は、そのまま又は望ましくは親水性物質に該
成型物を浸漬あるいは雰囲気下に置き、芳香族ポリスル
ホンのガラス転移温度未満、望ましくは60℃〜170℃、
の温度に必要時間、望ましくは10秒間〜6時間、放置す
ることで達成される。熱処理後、必要に応じて洗浄、乾
燥を行なうこともできる。
(発明の効果) 本発明によって処理された該成型物は、各種の成型法に
よって付与された形状や性能といった成型物の特性を損
うことなしに、未処理の該成型物表面に比べて、大きな
表面の親水性を示す。
従って、本発明の親水化処理法は、電気・電子分野の各
種部品,液晶表示体用等のフィルム,ハウジング類,自
動車部品,航空機用内装材,ギヤ,歯科用材料,医療材
料,蒸気殺菌容器など広範な分野に用いるため、最も適
した加工法により作られた疎水部と親水部を有するポリ
マーを含有する芳香族ポリスルホン成型物を、歪み,曲
り,ひび割り,しわといった変形や劣化を起すことな
く、それらの表面の親水性を向上させ、帯電防止性,接
着性,メッキ性,塗工性,耐汚染性,抗血栓性などに優
れたものとして提供することができる。また本発明は特
に、作成方法に制限の多い逆浸透膜,限外過膜,メン
ブレンフィルターなどの分離膜そのものに、又は分離膜
の構成要素として該成型物が用いられる場合には、一度
作成された分離膜の微細な構造を破壊せず、本来の性能
を保持させたまま、膜表面の親水性を向上させる手段と
して非常に優れた方法である。
(実施例) 以下本発明の実施例について説明する。
参考例1 1の三ッロフラスコにジメチルスルホキシド(以下DM
SOと略す)700mlを入れ、窒素気流下、親水部としてポ
リビニルアルコール(和光純薬工業製、重合度約500)
を加え、70℃まで加熱撹拌して溶解した。次いで、塩基
として1N水酸化カリウム水溶液3mlを加えて1時間撹拌
を続けた。その後、疎水部として芳香族ポリスルホン
(Victrex4800P,インペリアルケミカルインダストリー
ズ製)32gを加えて、反応液を80℃に保ち4時間撹拌を
行なった。反応液を室温まで下げた後、2lの分液ロート
に移した。蒸留水を激しく撹拌している中へ、反応液を
滴下し白色フレーク状の沈澱物を得た。吸引過により
回収した沈澱物を、水を抽出液として2時間ソックスレ
ー抽出処理を行なった後、真空乾燥器に入れ80℃で1昼
夜真空乾燥した。白色の粉末が28.1g得られ、仕込んだ
芳香族ポリスルホンに対する回収率は88%であった。
得られた疎水部と親水部を有するポリマーは、DMSO,ジ
メチルホルムアミド,N−メチル−2−ピロリドンなど極
性有機溶剤に可溶であった。
270MHz FT-NMRスペクトル分析では、7.6%がポリビニル
アルコール成分であった。
参考例2,3,4 参考例1における塩基、疎水部、親水部に代えて、表I
に示す塩基、疎水部、親水部を用いて同様に反応を行な
いポリマーを得た。表Iに、結果を示す。
参考例5,6,7 特願昭61-7961の実施例1に示されるグラフトポリマー
合成法に従って、表IIに示す疎水部と親水部を構成する
ポリマーから、疎水部と親水部を有するポリマーを得
た。
実施例1〜8 参考例1から7までのポリマーを、それぞれ15wt%の濃
度でDMSOに溶解した溶液から、キャスト法によりフィル
ムを作成した。これらのフィルムを水に浸漬したまま熱
処理を行なった後、再度乾燥した。処理前及び処理後の
フィルム表面における水の接触角を、ゴニオメータ式接
触角測定器(エルマ光学社製G-I型)を用いて測定し
た。結果を、熱処理条件と伴わせて表IIIに示す。
比較例1,2 実施例1及び実施例6において、使用したポリマーを参
考例1及び参考例5に代えて、それぞれVictrex4800P及
び5003Pを用いた以外は同様に行なった。結果を表IIIに
示す。
実施例9,10,11,12 実施例1において、使用したポリマー、処理法及び熱処
理法を表IVの如くに代えた以外は同様に行なった。結果
を表IVに示す。
実施例13,14,15,16 参考例1及び2のポリマーを、それぞれ20重量%の濃度
でDMSOに溶解後、静置脱泡して製膜用ポリマー溶液を得
た。それぞれのポリマー溶液からポリエステル不織布
(MF-80K,日本バイリーン製)上に、ドクターブレード
を用いて150μmの厚みでポリマー溶液を流延し、30秒
間水平に保った。次いで、不織布ごと10℃の水浴に浸
漬、ゲル化を行なって分離膜を得た。
これらの分離膜を、水に浸漬したまま90℃で30分間又は
130℃で15分間の熱処理を行なった。
処理後の性能評価は、蒸留水及び卵白アルブミン(MW45
000,和光純薬工業製)100ppm1/15Mリン酸緩衝液を試験
液に用い、3kg/cm2の加圧過試験を行ない、それぞれ
純水透水係数(Lp)及び卵白アルブミンの排除率(Ro)
を測定した。Lp及びRoは下式で定義される。
さらに、それぞれの膜をチトクロム−C(シグマ社製)
2000ppmのリン酸緩衝液に室温で、5時間浸漬し、次い
で十分水洗した後風乾した。これらの膜表面に対するチ
トクロム−Cの吸着量を目視で評価した。
それぞれの結果を表Vに示す。また、それぞれの膜に熱
処理による変形は認められなかった。
比較例3,4 実施例13,15において、熱処理を行なわなかった膜を同
様に評価した。結果を表Vに示す。
比較例5,6,7 実施例13,14及び比較例3において、参考例1のポリマ
ーに代えて、Victrex4800Pを用いた以外は同様に製膜及
び膜の評価を行なった。結果を表Vに示す。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に不溶な物質から成る疎水部と、水に可
    溶な物質から成る親水部が、共有結合で結合された水に
    不溶なポリマーを含有した芳香族ポリスルホン成型物
    を、芳香族ポリスルホンのガラス転移温度未満の温度で
    熱処理することを特徴とする芳香族ポリスルホン成型物
    の親水化処理方法。
  2. 【請求項2】芳香族ポリスルホンが、 又は で表わされる繰り返し単位を有するポリマーである特許
    請求の範囲第1項記載の芳香族ポリスルホン成型物の親
    水化処理方法。
  3. 【請求項3】水に不溶な物質から成る疎水部と、水に可
    溶な物質から成る親水部が、それぞれ疎水部が芳香族ポ
    リスルホンポリマー又はオリゴマーであり、親水部が水
    溶性がポリマー又はオリゴマーである特許請求の範囲第
    1項記載の芳香族ポリスルホン成型物の親水化処理方
    法。
  4. 【請求項4】熱処理が、親水性物質と該成型物表面が接
    した状態で行なわれる特許請求の範囲第1項記載の芳香
    族ポリスルホン成型物の親水化処理方法。
  5. 【請求項5】該成型物表面を水又は水蒸気と接触させて
    熱処理する特許請求の範囲第1項記載の芳香族ポリスル
    ホン成型物の親水化処理方法。
  6. 【請求項6】該成型物表面を、芳香族ポリスルホンの非
    溶剤である水溶性物質、その水溶液、該水溶性物質の蒸
    気、又は該水溶液の蒸気と接触させて熱処理する特許請
    求の範囲第1項記載の芳香族ポリスルホン成型物の親水
    化処理方法。
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