JPH0788594B2 - ヘキサフルオロアセトン水和物の製造法 - Google Patents

ヘキサフルオロアセトン水和物の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ヘキサフルオロアセトン水和物の製造法に関
する。更に詳しくはヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイ
ソブタン酸類からヘキサフルオロアセトン水和物を製造
する方法に関する。
〔従来の技術〕
ヘキサフルオロアセトンは、合成樹脂、合成ゴムなどの
製造用単量体として、あるいはビスフェノールAFなどの
架橋剤の中間体、医薬、農薬などの中間原料などとして
用いられている。
このような各種の用途を有するヘキサフルオロアセトン
水和物は、従来次のような方法によって製造することが
提案されている。
しかしながら、上記の各方法には、次のような欠点がみ
られる。
(1)過マンガン酸カリウムによる酸化反応は、反応が
激しくまた副生する二酸化マンガンが容易には処置でき
ない産業廃棄物となること (2)ヘキサフルオロプロペンより合成されるそのオキ
サイドは高純度のものが得られ難く、従って生成物たる
ヘキサフルオロアセトン中にヘキサフルオロプロペンな
どが混在すること (3)ジチエタン(ヘキサフルオロチオアセトン2量
体)の硝酸酸化では、得られるヘキサフルオロアセトン
水和物中にNO2およびSO2が含まれ、それの除去に手間が
かかること (4)ヘキサクロルアセトンの使用は、合成上塩素が重
量を増加させるだけで効率的ではなく、また有毒な五塩
化アンチモンを必要とし、更に高純度の生成物が得られ
難いこと 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明者らは、かかる欠点がみられるこれらの従来技術
とは全く発想を異にし、それの有効利用が強く求められ
ているオクタフルオロイソブテンまたはそのアルコール
付加物を原料物質として用い、それを一旦ヘキサフルオ
ロ−α−ヒドロキシイソブタン酸の二量体または単量体
に変換させた後電解酸化することにより、目的とするヘ
キサフルオロアセトン水和物が得られることを見出し
た。
得られたヘキサフルオロアセトン水和物は、それ自体ポ
リエステル、ポリアミドなどの溶媒として使用できる
が、それの脱水を行う場合には、五酸化リン、濃硫酸、
無水硫酸あるいはモレキュラシーブなどを用いる方法に
よって行ことができるので(特開昭57−81,433号公報、
同59−157,045号公報)、本発明方法はヘキサフルオロ
アセトンの製造にも通ずるものである。
〔問題点を解決するための手段〕
従って、本発明はヘキサフルオロアセトン水和物の製造
法に係り、ヘキサフルオロアセトン水和物の製造は、ヘ
キサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸の二量体
〔3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2
−(3,3,3−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−
2−ヒドロキシプロピオニルオキシ)プロピオン酸〕 (CF32C(OH)COOC(CF32COOH または単量体〔3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ
−2−トリフルオロメチルプロピオン酸〕 (CF32C(OH)COOH を、(1)ニッケル塩および(2)塩酸、臭化水素酸ま
たはこれらのアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属
塩の水溶液よりなる電解液中で電解酸化することにより
行われる。
原料物質として用いられるヘキサフルオロ−α−ヒドロ
キシイソブタン酸の二量体は新規物質であり、ヘキサフ
ルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸エステルをアルカ
リ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸
塩と反応させることにより得られる。
この反応は、ヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタ
ン酸のアルキル、アリールまたはアラルキルなどの炭化
水素基のエステルに、約0.5〜5倍量程度のアセトン、
アセトニトリル、テトラヒドロフランなどの溶媒および
約10〜50%濃度の水溶液に調製された金属水酸化物また
は炭酸塩触媒の存在下で、用いられた溶媒の還流温度に
約0.5〜3時間程度加熱した後、溶媒を留去しながら約9
0〜100℃で約0.5〜5時間反応させることにより行われ
る。
触媒として用いられる金属水酸化物または炭酸塩として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸カルシウムなどがイソブタン酸エステルに対し
て約1〜3倍モル用いられる。また、これらの触媒と共
に、トリエチルアミン、ピリジン、トリエチレンジアミ
ン(1,4−アザビシクロ〔2,2,2〕オクタン)、1,8−ジ
アザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5−ジアザ
ビシクロ〔4,3,0〕−ノン−5−エン、4−(ジメチル
アミノ)ピリジンなどの有機塩基などを併用することも
できる。反応終了後は、反応混合物に塩酸などを添加
し、目的とする遊離のカルボン酸の形で反応生成物が取
得される。
やはり原料物質として用いられるヘキサフルオロ−α−
ヒドロキシイソブタン酸の単量体は、下記の如くオクタ
フルオロイソブテンのアルコール付加物をアルカリ性過
酸化水素で酸化し、その後溶媒中で加水分解することに
より合成される。
オクタフルオロイソブテンは、含フッ素共重合体の重要
な原料の一種であるヘキサフルオロプロペン製造時の副
生成物であり、この毒性の強いオクタフルオロイソブテ
ンは、一般に低級アルコール、例えばメタノール、エタ
ノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブ
タノールなどとのアルコール付加物を容易に形成する性
質を有している。
このアルコール付加物たるオクタフルオロイソブチルア
ルキルエーテルは、過マンガン酸カリウム水溶液で酸化
するとヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸エ
ステルを与え、更にそれを加水分解するとヘキサフルオ
ロ−α−ヒドロキシイソブタン酸を与える(Izx.Akad.N
auk SSSR,Ser.Khim 1974年2月号第387〜392頁)。
これらのヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸
の二量体および単量体は、いずれも本発明方法の原料物
質として使用することができるが、それらの分離、精製
のし易さの点からは二量体の方が好ましいといえる。単
量体の場合には、それらは一般に反応に用いられたアセ
トン溶媒の溶液として単量体が製造され、それからのア
セトン溶媒などの除去は概して困難である。また、これ
は水溶性に富むので、それらの単離、保存に手間を要す
る。これに対して、二量体は系を酸性にするだけで容易
に分離されるなど、後処理が容易であるという利点がみ
られる。
ただし、次式にみられるように、本発明方法による電解
酸化は二量体および単量体共同じ反応機構(推定)をと
ると考えられるので、反応条件は共通しており、また当
然に混合物として用いることができる。
〔単量体の場合〕
〔二量体の場合〕 ヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸の二量体
または単量体の電解酸化は、(1)ニッケル塩および
(2)塩酸、臭化水素酸またはこれらの金属塩の水溶液
を用いて、次のような条件下で行なわれる。
(1)ニッケル塩としては、塩化ニッケルが好ましく、
これ以外にも塩酸水溶液中で塩化ニッケルを形成し得る
硫酸ニッケル、酢酸ニッケルなどが、電解液1当り約
0.1〜20g程度の割合で用いられる。ニッケル塩が用いら
れないと、電流効率が著しく低下したりあるいは反応が
全く進行しないようになる。
塩酸、臭化水素酸またはこれらの金属塩の中では、塩酸
および臭化水素酸が好んで用いられる。これらの酸は、
電解液のpHを1以下にするような量で用いられると、電
流効率を終始低下させることなく反応を進行させる。金
属塩、具体的には塩化カリウムによって代表されるアル
カリ金属塩または塩化バリウムによって代表されるアル
カリ土類金属塩を用いた場合には、電解酸化の進行と共
にpHが上昇し、電流が次第に流れなくなって電流効率が
低下するようになる。
(2)このような電解液中に、ヘキサフルオロ−α−ヒ
ドロキシイソブタン酸の二量体または単量体を約0.1〜3
0重量%、好ましくは約1〜20重量%の濃度に溶解させ
た溶液が、電解酸化に供せられる。
(3)電解電圧2.0〜3.0V、好ましくは2.5〜2.8Vおよび
電流密度2.0〜4.0A/dm2、好ましくは2.4〜3.0A/dm2の条
件下で電解酸化が行われる。上記印加電圧以外では、電
流効率が低下する。
(4)電解温度は、約10〜90℃、好ましくは約50〜70
℃、更に好ましくは約60℃程度である。
(5)陽極としては、焼成温度1000℃で焼成された等方
性炭素電極が好んで用いられ、この炭素電極はこのまま
あるいは用いられる電解液または10%塩化ニッケル水溶
液などで前処理して使用され、これ以外は白金電極など
が用いられる。また、陰極としては、銅、鉄、ニッケ
ル、白金などの電極が一般に用いられる。これらの電極
間距離は、一般に約0.1〜10mm、好ましくは約3〜6mmに
設定される。
このような条件下で電解酸化が行われた後、反応生成物
たるヘキサフルオロアセトン水和物は、水に不溶性のエ
ーテル系溶剤、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピ
ルエーテルなどによって電解液中から抽出され、抽出溶
剤を留去することによって目的物として取得される。
〔発明の効果〕
ヘキサフルオロアセトン水和物が、ヘキサフルオロ−α
−ヒドロキシイソブタン酸の二量体または単量体の電解
酸化という全く新規な方法により得られ、これは二酸化
マンガンを副生させる過マンガン酸カリウムによる酸化
あるいは高価な過ヨウ素酸を用いる酸化などと比較して
有利な方法であり、しかも塩酸または臭化水素酸を用い
た場合には、その電流効率は約70〜80%程度と高い値を
示している。
〔実施例〕
次に、実施例について本発明を説明する。なお、電流効
率および転化率は、次式から算出される。
参考例1 ヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸メチル12
6g(0.558モル)をアセトン360mlに溶かし、これに50%
水酸化カリウム水溶液100g(KOHとして0.893モル)を加
えると温度が約40〜60℃に上昇するが、更に加熱して3
時間還流し、次いでアセトンを留去しつつ、90℃で2時
間反応させた。
反応終了後、反応混合物に35%塩酸50mlを加えで沈殿物
をロ別し、沈殿物から塩化カリウムを除去するためにエ
タノールに沈殿物を溶解し、ロ過した後エタノールを留
去し、前記式で表わされる2−置換ヘキサフルオロイソ
ブタン酸(分解点181〜183℃)を72g(収率63.6%)得
た。
元素分析値(C8H2O5F12として): 計算値 C:23.66%、H:0.50%、F:56.14% 実測値 C:23.87%、H:0.59%、F:55.82% 赤外線吸収スペクトル: OH 3380cm-1 C=O 1760cm-1 C−O 985cm-1 19 F−NMR(CF3COOH基準): CF3 −0.4ppm 参考例2 参考例1において、50水酸化カリウム水溶液の代りに、
50%炭酸カリウム水溶液125g(K2CO3として0.452モル)
を用いると、2−置換ヘキサフルオロイソブタン酸59g
(収率52.1%)が得られた。
実施例1 上記各参考例で得られた2−置換ヘキサフルオロイソブ
タン酸180gを塩化カリウム58g、塩化ニッケル・6水和
物6gおよび水950gから調製された電解液中に溶解させ、
形成された溶液中にそれぞれ有効電極面積144cm2の等方
性炭素陽極および銅陰極を電極間距離5mmで浸漬し、設
置した。
上記溶液を攪拌しながら60℃迄昇温させた後、両電極間
に2.70Vの電圧を印加し、3.50Aの平均電流が流れた状態
で14時間20分間電解を継続し、その後冷却した。この反
応液について、ビスフェノールAFを内部標準物質として
19−NMRで定量すると、反応初期は電流効率が70%と良
好に反応が進行したが、後期には電流効率が10%以下と
なり、反応が殆ど進行しなくなった。このときの電解液
のpHは約4であり、転化率は60%であった。
反応生成物の分離は、ジイソプロピルエーテルで抽出後
この抽出溶媒を留去することによって行われ、目的とす
るヘキサフルオロアセトン水和物が89g(収率55%)得
られた。
実施例2 実施例1において、塩化カリウムの代りに36%濃塩酸3
5.0%を用い、平均電流値3.65Aで、電解時間を13時間に
変更した。反応後期の電流効率は60%を維持し、反応全
体の電流効率は78%、転化率は78%であった。
この反応の結果、ヘキサフルオロアセトン水和物が149g
(収率91%)得られた。
実施例3 実施例1において、塩化カリウムの代りに臭化カリウム
92.5gを用い、平均電流値4.01Aで、電解時間を15時間に
変更した。実施例1と同様に、反応後期には電流効率が
低下した。反応全体の電流効率は45%であり、転化率は
57%であった。
この反応の結果、ヘキサフルオロアセトン水和物が62g
(収率38%)得られた。
実施例4 実施例2において、36%濃塩酸の代りに47%臭化水素酸
59.4gを用いた。平均電流値4.24Aで行われた反応全体の
電流効率は70%であり、塩化率は75%であった。
この反応の結果、ヘキサフルオロアセトン水和物が130g
(収率79%)得られた。
比較例1 実施例1において、塩化ニッケル・6水和物を用いずに
1時間電解を行ったが、ヘキサフルオロアセトン水和物
の生成は全く認められなかった。
比較例2 実施例1において、塩化カリウムを用いずに1時間電解
を行ったが、ヘキサフルオロアセトン水和物の生成は全
く認められなかった。
実施例5 実施例2において、2−置換ヘキサフルオロイソブタン
酸の代りに、ヘキサフルオロ−α−ヒドロキシイソブタ
ン酸メチルを加水分解して得られたヘキサフルオロ−α
−ヒドロキシイソブタン酸190g(0.896モル)を用い、
平均電流値3.43Aで、電解時間を14時間に変更した。反
応全体の電流効率は73%であり、転化率を73%であっ
た。
この反応の結果、ヘキサフルオロアセトン水和物が134g
(収率93%)得られた。
実施例6 実施例2において、2−置換ヘキサフルオロイソブタン
酸180gの内の60gをヘキサフルオロイソブタン酸に代え
て電解を行った。平均電流値3.60Aで行われた反応全体
の電流効率は76%であり、転化率は76%であった。
この反応の結果、ヘキサフルオロアセトン水和物が152g
(収率95%)得られた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(CF32C(OH)COOC(CF32COOHで表
    わされる2−置換ヘキサフルオロイソブタン酸を、
    (1)ニッケル塩および(2)塩酸、臭化水素酸または
    これらのアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の
    水溶液よりなる電解液中で電解酸化することを特徴とす
    るヘキサフルオロアセトン水和物の製造法。
  2. 【請求項2】電解液中に2−置換ヘキサフルオロイソブ
    タン酸を約0.1〜30重量%の濃度に溶解させた溶液につ
    いて電解酸化が行われる特許請求の範囲第1項記載のヘ
    キサフルオロアセトン水和物の製造法。
  3. 【請求項3】電解電圧2.0〜3.0Vおよび電流密度2.0〜4.
    0A/dm2の条件下で電解酸化が行われる特許請求の範囲第
    1項記載のヘキサフルオロアセトン水和物の製造法。
  4. 【請求項4】式(CF32C(OH)COOHで表わされるヘキ
    サフルオロ−α−ヒドロキシイソブタン酸を、(1)ニ
    ッケル塩および(2)塩酸、臭化水素酸またはこれらの
    アルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩の水溶液よ
    りなる電解液中で電解酸化することを特徴とするヘキサ
    フルオロアセトン水和物の製造法。
  5. 【請求項5】電解液中にヘキサフルオロ−α−ヒドロキ
    シイソブタン酸を約0.1〜30重量%の濃度に溶解させた
    溶液について電解酸化が行われる特許請求の範囲第4項
    記載のヘキサフルオロアセトン水和物の製造法。
  6. 【請求項6】電解電圧2.0〜3.0Vおよび電流密度2.0〜4.
    0A/dm2の条件下で電解酸化が行われる特許請求の範囲第
    4項記載のヘキサフルオロアセトン水和物の製造法。
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