JPH0791785B2 - 染色合成皮革 - Google Patents

染色合成皮革

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JPH0791785B2
JPH0791785B2 JP14401490A JP14401490A JPH0791785B2 JP H0791785 B2 JPH0791785 B2 JP H0791785B2 JP 14401490 A JP14401490 A JP 14401490A JP 14401490 A JP14401490 A JP 14401490A JP H0791785 B2 JPH0791785 B2 JP H0791785B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は染色合成皮革、特に反応染料で染色された合成
皮革に関し、衣料、靴、鞄、雑貨等、各種の用途に利用
可能である。
〔背景技術〕
基布上に、ポリウレタン(以下、単にウレタンという)
系表皮層を有する湿式又は乾式染色合成皮革が知られて
いる。これに使用される染料は、染色が容易、耐候性が
良い等の理由から、現在、酸性染料である1,2酸性含金
染料(染料2分子と金属1分子とからなる金属錯塩染
料)が殆どである。
一方、綿、絹、羊毛等の天然繊維の染色には、反応染料
が多用されている。この染料の特徴は、染色対象物との
共有結合、配位結合等により強固な結合するために、染
料、即ち色の移行性が少ないこと、明るく、しかも深み
のある鮮やかな色が多いこと等である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、1,2酸性含金染料は移行し易いという性
質があるため、従来の染色合成皮革では衣料、靴、雑貨
等の商品として製造中又は製造後、重ねて置くと、色移
りが発生する。この色移りは、特に2色以上組合せた染
色品の場合は、色違い部分での積重ねが避けられないた
め、非常に目立つ。
また1,2酸性含金染料を色の面から見ると、やや暗い色
が殆どであるから色に深みがある。しかし、明るい色に
しようとして基布や接着層(基布上に表皮層を保持する
ために、接着剤を用いることが多い。)に白色顔料を添
加すると、色の深みがなくなって安っぽいものとなる。
これに対して、反応染料はこれらの欠点はないが、官能
基との反応で染色を行なうため、官能基を持たないウレ
タンでは染色できないし、また官能基を持ったウレタン
では染色できたとしても、一般に反応染料と反応するよ
うな官能基が少ないため染色濃度が不充分である上、染
色条件がPH9〜11.5と強アルカリ性なので、加水分解さ
れ易く、実用化は困難であった。
また特に衣料用染色合成皮革のように、表皮層の下に多
孔質ウレタン層があるものでは、多孔質層まで染色され
ていないと、表皮層が染色されていても引っ掻き傷等に
よって表皮層下から白い層が出ては商品にならない。従
ってこのような染色合成皮革の場合は、多孔質層まで染
色する必要があるが、多孔質層に用いられる発泡性ウレ
タンの種類によっては反応染料によって染色できない。
本発明の目的は、本来の皮革様の感触及び性能を維持し
ながら、色移行性がなく、しかも明るい色も深みのある
色も多く、染色濃度も高い染色合成皮革を提供すること
である。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明は、反応染料が、従来の1,2−酸性含金染料にお
ける欠点を全て除去できること及びある種の天然有機高
分子粉末がウレタンの見掛けの染色濃度向上に役立つこ
とに着目し、これにより前記目的を達成しようとするも
のである。
本発明の染色合成皮革は次の2種である。
一つは、基布上に、各々反応染料で染色可能な、ポリウ
レタン50〜98wtと天然有機高分子粉末50〜2wt%との混
合物よりなる表皮層を設けた合成皮革原反を、反応染料
で染色して構成される。
他の一つは、前記表皮層下に更に、反応染料で染色可能
な多孔質ポリウレタン層を設けた合成皮革原反を、反応
染料で染色して構成される。
本発明の染色合成皮革に使用される材料について説明す
る。
合成皮革原反用織布としては、織物、編物、不織布、ウ
レタン含浸不織布、及びそれらの混紡品;各々着色繊維
からなる織物、編物、不織布ウレタン含浸不織布、及び
それらの混紡品が使用される。中でも反応染料で染色さ
れ易い基布、例えば綿、絹、羊毛、キュプラ、ナイロン
等が好ましい。
合成皮革原反の表皮層に用いられるウレタンとしては、
反応染料で染色可能なもの、即ち反応染料と反応するよ
うな官能基を持つものであればいずれも使用可能であ
る。勿論、反応染料の染色条件(PH9〜11.5)下で分解
したり、変性するものは使用できない。ここで注意すべ
きことはウレタンの種類は非常に多く、たとえ反応染料
と反応するような官能基を持っていても、染色条件、即
ち高PH域では加水分解されるものも多いことである。従
って本発明で使用される表皮用ウレタンは染色条件下で
変性又は分解せずに、反応染料で染色できるものでなけ
ればならない。このようなウレタンとしては、例えばポ
リエーテル系、ポリカーボネート系(以上は有機溶剤又
は水の溶液又は分散液としてし使用される。)、ポリエ
ステル系(水溶液又は水性分散液として使用される)、
及びそれらの混合ジオール系、等のウレタンが挙げられ
る。
これら染色性ウレタンの市販品としては下記のものがあ
る。
有機溶剤性製品; 大日精化社製 レザミンME−8105LP(ポリエーテル系) 三洋化成工業社製 サンプレンSP200D(ポリエーテル系、ポリエステル系等
の混合系) DIC社製 クリスボン3116S(ポリカーボネート系) 東洋ポリマー社製 ペタル9060,7116(ポリカーボネート系) 水性製品; 第一工業製薬社製 スーパーフレックスE4000(ポリエーテル系)スーパー
フレックスE2000(ポリエステル系) なお、反応染料で染色可能なウレタンでも、一般に反応
性官能基は少ないので、染色性は不充分である。
一方、多孔質層用多孔質ウレタンの原料ウレタンも表皮
層用と同様に、反応染料で染色可能なものであればよ
い。勿論、染色染料の染色条件下で分解したり、変性す
るものは使用できない。多孔質層用として適したウレタ
ンとしてはポリエーテル系、ポリカーボネート系、ポリ
エステル系(好ましくは、へたり防止の点から架橋剤併
用型ポリエステル系)、及びそれらの混合ジオール系の
ウレタンが挙げられる。これらは水性エマルジョンで使
用することが好ましい。このような水性の市販品として
は第一工業製薬社製スーパーフレックスE4000(ポリエ
ーテル系),E2000(ポリエステル系)、大日精化社製レ
ザミンUF138(改)(ポリエステル系)等がある。
反応染料で染色するのに適しているウレタンとしては、
表皮層用ウレタンも多孔質用ウレタンも、フィルムとし
て染色前後の伸び率を見た場合に、変化が少ないものが
風合いの変化がなく、また劣化が少ないので好ましい。
この伸び率はウレタンフィルムをPH11、温度90℃の反応
染料水溶液中1時間の染色後、伸び率が染色工程前のも
のと比較して100%±20%以内(JIS−Z1702による)で
あり、前記例示した染色性ウレタンは全てこの伸び率の
範囲内である。
合成皮革原反の表皮層に用いられる天然有機高分子粉末
としては、ウレタンや多孔質ウレタンと同様、反応染料
で染色可能なものであればよい。勿論、反応染料の染色
条件下で分解したり、変性するものは使用できない。こ
の天然有機高分子粉末は、主として表皮層におけるウレ
タンの染色性を向上するために使用される。このような
天然有機高分子粉末としては皮革粉、キチン粉、シルク
粉、ゼラチン粉、カゼイン粉、羊毛粉、コラーゲン粉、
セルロース粉等、好ましくは皮革粉が挙げられる。これ
ら粉末は表皮層に添加すると、染色性の向上ばかりでな
く、タック感の減少、吸放湿性の付与、適度なざらつき
等により表皮層に良好な感触を与える。これら天然有機
高分子粉末の表皮層への添加量はウレタン50〜98wt%に
対し50〜2wt%の範囲である。2%よりも少ないと、添
加効果が充分期待できず、50%よりも多いと、脆くな
り、使用に耐えない。粉末の粒径は、コーティングによ
る表皮層の形成、即ちフィルムまたはシート化を考慮す
ると、コーティング時の湿潤塗膜の厚さと同等以下が適
当であるが、好ましくは、表皮層となる乾燥塗膜の厚さ
と同等以下、更に好ましくは1/3以下である。一般には
衣料用で表皮層の厚さは20〜50μm,靴用、家具用、又は
自動車シート用で20〜200μmであるから、粒径は200μ
m以下、好ましくは70μm以下、更に好ましくは10μm
以下である。
以上の天然有機高分子粉末のうち、皮革粉の具体例とし
しては、微細皮革粉(例えば特開昭63−156552号に記載
の方法で得られる。)を更にジェットミルで平均粒径D
50=7μm以下に再微粉砕したものが、シルク粉として
はKANEBO SPAN SILK LTD製シルクパウダーIM又はP20等
でD50が8μm以下のものが、ゼラチン粉としては特開
平1−294740号に記載のD50=6μm以下のものが、ま
たセルロース粉としては山陽国策パルプ社製KCフロック
W400,W500が挙げられる。
多孔質層には、必要に応じて、表皮層に用いられるよう
な天然有機高分子粉末やフィラーを添加することができ
る。本発明では多孔質層にも天然有機高分子粉末を添加
することが好ましく、この場合は多孔質層に染色性の向
上、吸放湿性の向上、へたり難さ等の効果を与えること
ができる。またフィラーを添加した場合は、多孔質層に
へたり防止等の効果を与えることができる。フィラーと
してはタルク、炭酸カルシウム、金属酸化物粉等の無機
フィラー等が例示できる。天然有機高分子粉末又はフィ
ラーの添加量は30%以下が適当で、多いと固くなって脆
く伸び難くなる。また、コーティングにより層を形成す
る時にコーティング液の粘度が上がりすぎて均一なコー
ティングが困難となり、商品価値の低下を招く。天然有
機高分子粉末又はフィラーの粒径は、表皮層の場合と同
程度が好ましいが、異なってもよいし、或いは異種の組
み合わせや、混合系でもよい。
以上のような材料で構成される合成皮革原反を染色する
ための反応染料は中温用及び高温用のいずれでもよい
が、用途別ではセルロース用及び羊毛用が好ましい。こ
のような反応染料としては、ピリミジン系、トリアジン
系、ビニルスルホン系、キノキサリン系、モノアゾ系、
ジスアゾ系等の単独型や、ビニルスルホン−トリアジン
系、モノアゾ−ビニルスルホン系、フタロシアニン−ビ
ニルスルホン系等の複合型が挙げられる。これら反応染
料の市販品の一例を表−1に示す。
また、各種反応染料の代表的な構造例を下記に示す。
ビニルスルホン系(反応基としてビニルスルホン基−SO
2CH=CH2またはスルファトエチルスルホニル基−SO2CH2
CH2OSO3Hを持つ): CI Reactive Blue 19 CI Reactive Black 5 トリアジン系〔反応性 トリアジン環 反応基(Cl,F等)を持つ〕: ・ジクロルトリアジン系の例 CI Reactive Orange 4 ・モノクロルトリアジン系の例 CI Reactive Orange 13 ・モノフルオロトリアジン系の例 CI Reactive Orange ・その他のトリアジン系反応染料の例 ピリミジン系〔反応性ピリミジン環 (X,Y,ZのいずれかまたはすべてがCl、F等の反応基)
を持つ〕: 代表例としては、トリアジン系でトリアジン環をピリミ
ジン環に変えたものが挙げられる。
キノキサリン系(反応基として を持つ): CI Reactive Red 41 ホスホン酸系(反応基として を持つ): CI Reactive Red 177 アクリル酸系(反応基として を持つ): CI Reactive Red 29 複合型(2種の異なる反応基を持つ): CI Reactive Red 194 次に本発明に係る染色合成皮革の製造方法について説明
する。
まず染色用合成皮革原反を作るため、基布に染色性ウレ
タン〜染色性天然有機高分子粉末混合物の表皮層を形成
する。表皮層の形成方法としては直接コーティング法、
転写コーティング法、グラビアコーティング法、スプレ
ーコーティング法等、公知の方法がいずれも採用できる
が、中でも転写コーティング法が好ましい。
直接コーティング法の場合は、第1図に示すように、基
布1上に、染色性ウレタン溶液に染色性天然有機高分子
粉末を分散したコーティング液2をドクターナイフ3等
によって所望の厚さに塗布し、乾燥機4で乾燥した後、
冷却筒6のような冷却手段で冷却して表皮層(図示せ
ず)を設けることにより、合成皮革原反7が得られる。
なお5は搬送用ゴムロールである。
転写コーティング法には、次のように種々の方法があ
る。
予め離型紙上に樹脂フィルムを形成し、これを接着剤
を用いて基布にラミネートする。
接着剤を用いないで樹脂フィルム表面が粘着性を持っ
ている間に、これを基布に圧着する。
接着剤を用いないで樹脂フィルム表面を加熱して粘着
性を与え、これを基布に圧着する。
このうちの方法を第2図に従って説明すると、この転
写コーティング法の場合は、まず前述のようなコーティ
ング液12をナイフロール11等によって離型紙10上に所望
の厚さに塗布し、乾燥機13で乾燥し、冷却ロール14等で
冷却して、離型紙上に、表皮層となる樹脂フィルム15を
形成する。次に、この樹脂フィルム上に、接着剤16をナ
イフロール17等により塗布した後、その上に、別途に供
給される基布18を、ニップロール19によって積層し、乾
燥機20で乾燥した後、冷却ロール21等で冷却することに
より、表皮層を有する合成皮革原反22が得られる。
グラビアコーティング法の場合は、第3図に示すよう
に、基布30上に、前述のようなコーティング液31をグラ
ビアコーター32で塗布し、乾燥機33で乾燥して表皮層
(図示せず)を形成することにより、合成皮革原反34が
得られる。
またスプレーコーティング法の場合は、基布40上に、前
述のようなコーティング液をスプレー42で噴霧(41は噴
霧状態を示す。)、付着させ、乾燥機43で乾燥した後、
冷却ロール44等で冷却して表皮層(図示せず)を形成す
ることにより、合成皮革原反45が得られる。
こうして作製された合成皮革原反は基布上に直接、又は
接着層を介して表皮層を設けたものであるが、表皮層の
下に多孔質ウレタン層を有する合成皮革原反を作製する
場合は、多孔質層用染色性ウレタン、発泡剤等を含む発
泡性ウレタン組成物を乾式発泡機で機械的に約1.2〜5
倍(容量)、好ましくは1.5〜4倍に空気発泡させ、こ
れを基布上に塗布し、60〜140℃、好ましくは60〜120℃
で乾燥する。発泡の程度が1.2倍より小さいと発泡によ
る柔軟性や多孔性が低下して硬く、ゴムライクになり、
また5より大きいと、多孔質の強度が低下して剥離し易
く使用に耐えなくなる。乾燥温度が140℃を越えると、
乾燥速度がコーティング層内部で大きく異なり易く、そ
の結果、安定な多孔質層とならない。乾燥温度が60℃未
満では乾燥速度が遅くなり、発泡層のへたりが生じた
り、工業的には乾燥工程がネックとなり高コストのもの
となる。
多孔質層形成用発泡性ウレタン組成物は一般に、多孔質
層用ウレタン60〜90wt%、起泡剤2〜7wt%、発泡剤0
〜10wt%、発泡安定剤0.5〜1.5wt%、増粘剤0〜5wt
%、架橋剤0〜15wt%、前記天然有機高分子粉末0〜20
wt%、及びフィラー0〜20wt%を水に溶解又は分散した
ものである。ここで、前記天然有機高分子粉末とフィラ
ーとの合計量は30wt%以下が溶液の粘度の点や均一発泡
性の点から好ましい。また、30wt%を超えると製品が硬
くて脆いものになり易いからである。
起泡剤としては第一工業製薬社製スコアミンフォーマー
RFがある。
発泡剤としては例えばフロン、水等がある。
発泡安定剤としては例えば第一工業製薬社製ファインガ
ムG270がある。
増粘剤としては例えば第一工業製薬社製スーパーフレッ
クスVFがある。
架橋剤としては例えば第一工業製薬社製F8914がある。
フィラーとしては例えば炭酸カルシウム、タルク等があ
る。
発泡後のウレタン組成物のコーティング法としては表皮
層の場合と同様なコーティング法が採用できるが、通常
は直接コーティング法が使用される。塗布量は固形分で
50〜200g/m2が適当である。こうして形成される多孔質
層の厚さは用途によって異なるが、一般に20〜1000μm
程度である。
以上のようにして基布上に多孔質ウレタン層を形成した
後、更にその上に前述のようなコーティング法で表皮層
を形成することにより、表皮層下に多孔質ウレタン層を
有する合成皮革原反が得られる。
次に合成皮革原反の染色法について説明する。
染色用原反はまず精錬される。これは表面の汚れ、糊、
油脂分等を取り除き染料が浸透し易くして、むら染めに
ならないように実施する準備工程である。この工程で
は、原反は界面活性剤(通常0.05〜0.2wt%)、浸透潤
滑剤(通常0.05〜0.5wt%)及び均染剤(通常0.1〜0.5w
t%)を溶解した水溶液中、常温〜95℃の温度範囲で約2
0分〜60分間洗浄される。
精錬後の原反は水洗され、次の染色工程により染色され
る。染色工程は、まず染色用原反を入れた染色助剤水溶
液を昇温しつつ染料及び染色助剤を加えて行なわれる。
この染色溶液が染料の固着温度に達したならば、この温
度に一定時間保持した後、冷却する。染色溶液は反応染
料(通常、0.5〜10wt%)及び染色助剤(通常、被染色
物重量に対し2.5〜10wt%)を必須成分とし、これに、
必要あれば分散均染剤(通常、染色溶液に対し0.05〜1.
0wt%)、浴中柔軟剤(通常、染色溶液に対し0.05〜0.1
5wt%)、染料固着剤(通常、染色溶液に対し0.1〜0.4w
t%)を加えて構成される。
次にこうして染色された原反はソーピング(洗浄)工程
により洗浄される。ソーピング工程はソーピング剤とし
て界面活性剤(通常、0.02〜0.05wt%)の水溶液中に、
常温〜95℃の温度範囲で約10〜30分間、染色用原反を浸
漬して、染色工程で付着した未固着の余分な染料を取り
除くことにより行なわれる。充分取り除けない場合は再
度繰り返す。
最後に、ソーピング後の湿潤染色原反は、必要あればテ
ンターにより一定の張りを与える仕上げ工程を経た後、
乾燥工程で乾燥される。乾燥工程は湿潤染色原反をマン
グルで絞って、余分な水分を除去した後、テンターに掛
け乾燥機中に通して乾燥することにより行なわれる。こ
の時の乾燥温度は130℃以下、好ましくは120℃以下であ
る。
130℃以上で乾燥すると、表皮層や多孔質層のウレタン
が分解したり、或いは乾燥機の温度むら等が生じて局部
的に高温となり、ウレタンが溶融又は変形したりする。
なお乾燥工程の前後、どちらでもよいが、もみ工程、及
び/又は表面処理工程を経てもよい。また仕上げ工程は
揆水剤揆油剤帯電防止剤、柔軟剤、風合い調整剤、防災
剤等の存在下で行なってもよい。
以上の染色法で用いられる界面活性剤、浸透湿潤剤、均
染剤、染色助剤、分散均染剤、浴中柔軟剤、染料固着剤
等はいずれも通常使用されているものでよい。
第5図に本発明に係る染色合成皮革の代表的な製造工程
を示した。
〔実施例〕
以下に本発明を実施例によって説明する。
実施例1〜2及び比較例1〜3 染色用合成皮革原反の製造 表−1に示す各コーティング液を500rpmで1時間撹拌、
混合した後、アスピレーターで吸引、脱気した。なおコ
ーティング液A,B,C,D,Eの各皮革粉含有量は夫々、ウレ
タンとの固形分換算で10wt%、20wt%、1wt%、60wt
%、0wt%である。
各コーティング液を第2図の転写コーティング装置を用
いて離型紙(大日本印刷社製 DN−TPシリーズのセミマ
ット調を使用)上に120g/m2塗布し、110℃で約90秒間乾
燥して、表皮層となる20μm厚のウレタンフィルムを形
成し、その上に接着剤(三洋化成工業社製サンプレンLQ
X5:50gとサンプレン LOS−A:50gとを混合、撹拌後、脱
気して調製)を100g/m2塗布し、更にその上に、ニップ
ロールにより無地のナイロンタフタ基布(210デニール
の繊維による平織)を重ねて接着し、100℃で約90秒間
乾燥して5種の染色用合成皮革原反(これら原反は、コ
ーティング液A,B,C,D及びEに対してそれぞれ、G−A,G
−B,G−C,G−D及びG−Bとする。)を作製した。
合成皮革原反の染色 まず染色用各原反に対し、非イオン系界面活性剤(明成
化学工業社製ゾルゲAB)2g、非イオン系界面活性剤(明
成化学工業社製浸透湿潤剤メイセリンH100)0.5g及び非
イオン系界面活性剤(明成化学工業社製脱気浸透剤マイ
ネックスTH)0.5gを水1に溶解した水溶液中、60℃で
20分間精錬処理し、更に、簡単に脱水処理した。
次に精錬後の各原反を、ピリミジン系反応染料(Sandoz
社製Drimarene Turquoise X−B)30g、無水芒硝60gお
よび染色助剤(Sandoz社製Revatol S)1gを水1に溶
解した染色溶液中、40℃で10分間染色処理し、更にソー
ダ灰15gを加えて10分間放置後、昇温し、85〜90℃で60
分間固着処理した。引き続きこの染色原反を、トリポリ
りん酸ソーダ1gを1の水に溶解した沸騰ソーピング液
(Ciba−Geigy社製Sandopur RSKLiquid)中で20分間ソ
ーピング処理し、2回水洗し、マングルで絞って余分な
水分を除去した後、100℃で乾燥した。得られた5種の
染色合成皮革は、使用した染色用合成皮革原反G−A,G
−B,G−C,G−D及びG−Eに対応して夫々、実施例1、
実施例2、比較例1、比較例2及び比較例3とする。
比較例4〜6 実施例1、実施例2及び比較例3で作製した各染色用合
成皮革原反G−A,G−B,G−Eを硫酸アンモニウム20g及
び染色助剤(Ciba−Geigy社製Albegal SW)20gを水1
に溶解した溶液中、30℃で10分間予備処理した後、1.2
酸性含金染料(Ciba−Geigy社製Lanacron BlackS−R)
30g及び酢酸5gを加えて染色溶液とし、この溶液中で30
℃で10分間染色処理し、引き続き95℃で45分間固着処理
した。得られた3種の染色合成皮革は、使用した染色用
合成皮革原反G−A,G−B,及びG−Eに対応して夫々、
比較例4、比較例5及び比較例6とする。
以上の実施例1〜2及び比較例1〜6で製造した染色合
成皮革と、使用したコーティング液及び使用した染料と
の関係を表−2に、またこれら染色合成皮革の性能を試
験した結果を表−3に示す。
試験方法は次の通りである。
染色性:比較例5の染色の程度を基準に評価した。
○は良好、△はやや薄い、×はほとんど染まらない、を
表す。
色移行性: 各合成皮革原反の染色前のものと染色後のものを表皮層
同士で接触するように直径3〜5cmのガラス管に輪ゴム
で固定し70℃〜95%RHの恒温槽中で3日間放置する。
冷却後表皮を観察し、色の移行の有無を調べる。
○は良好、△は薄く着色、×ははっきりと全面移行す
る、を表す。
タック感: 手で触った感じ、及び各染色合成皮革の表皮層同士を接
触させて表皮層の滑り易さを評価した。
○は滑りやすいドライタッチ、△は滑り難い、×は滑り
難くドライタッチでない、を示す。
吸放湿性: 130mm角のアルミ板の周縁部に15mm幅の両面テープを貼
り付け、これを、23℃〜50%RHの恒温槽中で24時間状態
調節した130mm角の染色合成皮革を基布側で貼り付け、
表皮層側の周縁部を15mm幅のビニルテープでシールして
表皮層の露出表面を約100mm角とする。
次に吸湿性測定の場合は、このサンプル(アルミ板付
き)を23℃〜30%RHの恒温槽中で24時間状態調節した時
の重量(基準重量)W0を測定し、更にこの状態調節した
同一サンプルを23℃〜80%RHの恒温槽又は同等の雰囲気
の硫酸アンモニア飽和水溶液を入れた容器中に24時間放
置した時の重量W1を測定する。
一方、放湿性測定の場合はサンプルを23℃80%RHの恒温
槽又は同等の雰囲気の硫酸アンモニア飽和溶液を入れた
容器の中で24時間状態調節した時の重量(基準重量)W0
を測定し、更にこの状態調節した同一サンプルを23℃〜
30%RHの恒温槽中に24時間放置した時の重量を測定す
る。
なお各重量は1mgの単位まで測定し、また測定は原則と
して23℃〜50%RHの雰囲気中で行なう。
以上の測定値から吸湿性(1m2当たりの吸湿速度又は吸
湿量として)及び放湿性(1m2当たりの放湿速度又は放
湿量として)は下記式から求められる。
(但しW0…基準重量、W1…24時間放置時の重量、S…サ
ンプルの露出表面積) ○は、吸湿性、放湿性とも4g/m2以上、△は、同じく3
〜4g/m2、×は、同じく3g/m2以下を示す。
実施例3〜6及び比較例7〜14 染色用合成皮革原反の製造 表−4に示す各発泡性コーティング液(粘度38000cps)
をストーク社製発泡機FP−II−Cとコーティングヘッド
CT−IVとを組み合わせた装置で3.0倍に発泡させ、これ
を第1図の直接コーティング装置を用いて無地のナイロ
ンニット基布上に乾燥重量で100g/m2になるよう塗布
し、120℃で2分間乾燥して、600μm厚の多孔質ウレタ
ン層を形成した。こうして得られた多孔質層を有する3
種の基布は、使用した発泡性コーティング液a,b及びc
に対して夫々、Ka,Kb,Kcとする。
次に、実施例1及び2と同様な染色用合成皮革原反の製
造法に従って、(1)基布Kbに対しては、前記表−1の
コーティング液A,B,C,D及びEを夫々適用して(多孔質
層上に適用、以下同様)5種の染色用合成皮革原反(こ
れら原反は、使用したコーティング液A,B,C,D及びEに
対応して夫々、Gb−A,Gb−B,Gb−C,Gb−D及びGb−Eと
する。)を作製し、(2)基布Kaに対しては、コーティ
ング液Bを適用して染色用合成皮革原反Ga−Bを作製
し、また(3)基布Kcに対しては同じくコーティング液
Bを適用して染色用合成皮革原反Gc−Bを作製した。
合成皮革原反の染色 染色用原反として、以上のようにして作製した7種の原
反Gb−A,Gb−B,Gb−C,Gb−D,Gb−E,Ga−B及びGc−Bを
用い、無水芒硝60gを80gに変え、且つソーダ灰15gを20g
に変えた他は、実施例1及び2と同じ染色法に従って7
種の染色合成皮革を作製した。
これら染色合成皮革は、使用した原反Gb−A,Gb−B,Gb−
C,Gb−D,Gb−D,Gb−E,Ga−B及びGc−Bに対応して夫
々、実施例3、実施例4、比較例7、比較例8、比較例
9、実施例5及び実施例6とする。
比較例10〜14 染色用原反として実施例3〜6で作製した原反Gb−A,Gb
−B,Gb−E,Ga−B及びGc−Bを用い、且つピリミジン系
反応染料30gを40gに変えた他は、比較例4〜6と同じ染
色法で5種の染色合成皮革を作製した。これら染色合成
皮革は、使用した原反Ga−A,Gb−B,Gb−E,Ga−B及びGc
−Bに夫々対応して比較例10、比較例11、比較例12、比
較例13及び比較例14とする。
以上の実施例3〜6及び比較例7〜14で製造した染色合
成皮革と、使用した発泡性コーティング液、使用したコ
ーティング液及び使用した染料との関係を表−5に、ま
たこれら染色合成皮革の性能を試験した結果を表−6に
示す。
染色性: 実施例3の染色の程度を基準に評価した。○、△、×の
意味は表−3に同じ。
吸放湿性: 試験方法は表−3に同じであるが、○は6g/m2以上、△
は4〜6g/m2、×は4g/m2以下、を表す。
へたり、樹脂劣化: 染色製品を70℃〜95%RH中、3週間(3年間相当)保存
し、厚さ変化を調べる。厚さ変化量が初期厚さの10%以
内は○、20%以内は△、20%以上は×とした。同様の試
験後、樹脂劣化がないときは○、あるときは×とした。
〔発明の効果〕
以上のような本発明によれば、多孔質層を持つものも、
持たないものも、本来の皮革様の感触及び性能を維持し
ながら、色移行性がなく、しかも明るい色も深みのある
色も多く、染色濃度も高い染色合成皮革を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
第1〜4図は夫々、本発明に係る染色合成皮革用合成皮
革の原反の製造に使用できる直接コーティング装置、転
写コーティング装置、グラビアコーティング装置及びス
プレーコーティング装置の概略図、第5図は本発明に係
る染色合成皮革の代表的な製造工程図である。 1,18,34,40……基布、2,12,31,41……コーティング液
(但し41は噴霧状態)、3……ドクターナイフ、4,13,2
0,33,43……乾燥機、6,14,21,44……冷却筒又は冷却ロ
ール、7,20,30,45……合成皮革原反、10……離型紙、1
1,17……ナイフロール、15……離型紙上の表皮層用樹脂
フィルム、16……接着剤、19……ニップロール、32……
グラビアコーター、42……スプレー。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基布上に、各々反応染料で染色可能な、ポ
    リウレタン50〜98wt%と天然有機高分子粉末50〜2wt%
    との混合物よりなる表皮層を設けた合成皮革原反を、反
    応染料で染色してなることを特徴とする染色合成皮革。
  2. 【請求項2】前記天然有機高分子粉末が皮革粉である請
    求項(1)の染色合成皮革。
  3. 【請求項3】基布上に、反応染料で染色可能な多孔質ポ
    リウレタン層とその上に、各々反応染料で染色可能な、
    ポリウレタン50〜98wt%と天然有機高分子粉末50〜2wt
    %との混合物よりなる表皮層とを設けた合成皮革原反
    を、反応染料で染色してなることを特徴とする染色合成
    皮革。
  4. 【請求項4】前記天然有機高分子粉末が皮革粉である請
    求項(2)の染色合成皮革。
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