JPH0796394A - 低水素系被覆アーク溶接棒 - Google Patents

低水素系被覆アーク溶接棒

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JPH0796394A
JPH0796394A JP26562893A JP26562893A JPH0796394A JP H0796394 A JPH0796394 A JP H0796394A JP 26562893 A JP26562893 A JP 26562893A JP 26562893 A JP26562893 A JP 26562893A JP H0796394 A JPH0796394 A JP H0796394A
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阿部知之
Noboru Kasai
登 笠井
Shozo Naruse
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ウィービング施工による1層1パス溶接でも
スラグの垂れ等を防止し得る結果、少ないパス数による
溶接施工が可能な低水素系被覆アーク溶接棒を提供す
る。 【構成】 粒径0.3μm以下である超微粒Ti酸化物を
40%以上含むTi酸化物:1〜6%を含有した被覆剤
を、鋼心線外周に被覆率20〜35%の範囲で塗布して
なり、且つ溶接棒全体の下記式による炭素量を0.08
〜0.25%に規制した低水素系被覆アーク溶接棒であ
る。 炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被
覆率/心線率)} ここで、被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×
100%、心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×
100%。 【効果】 特にパイプの円周突合せ継手の下進溶接に適
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低水素系被覆アーク溶
接棒に関し、特にパイプの円周突合せ継手の下進溶接に
適用して優れた効果を発揮するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、パイプラインの現場における
円周突合せ溶接は、国内では低水素系被覆アーク溶接棒
やイルミナイト系被覆アーク溶接棒を用いた上進溶接が
行われており、一方、外国ではハイセルロース系被覆ア
ーク溶接棒を用いた下進溶接が行われている。しかし、
高張力鋼管の溶接、特に寒冷地における現場溶接では水
素による割れが大きな問題となることから、低水素系被
覆アーク溶接棒の使用が望ましいものの、従来は、低水
素系被覆アーク溶接棒では下進で溶接することが非常に
困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この問題を解決するた
め、本件出願人は先に特開平4−367393号を提案
した。しかし、上記提案の低水素系被覆アーク溶接棒
は、それ以前のものに比較すると格段に優れた性能を有
するものであるが、最近、より高能率化、苛酷な性能が
求められるようになり、必ずしも満足し得るものではな
く、改善が求められていた。
【0004】すなわち、高能率化を図るために、パス数
をできる限り少なくした1層1パス溶接が望まれてい
る。つまり、1層2パス溶接の場合は、第1ビードを溶
接した後、第2ビードを溶接する前に開先内の第1ビー
ド止端部をグラインダー等で研削して、開先を広げて溶
込み不足などを防止していた。しかし、その作業に時間
がかかるため、1層1パスで溶接すれば、上記の工程が
不要なことから、1層1パスが可能な低水素系被覆アー
ク溶接棒が望まれていた。
【0005】しかしながら、従来の低水素系被覆アーク
溶接棒では、1層1パス溶接をするためにウィービング
施工を行うと、スラグが垂れやすく、溶接金属の垂れが
発生しやすい欠点があった。
【0006】また、従来の低水素系被覆アーク溶接棒で
は、裏波溶接を高能率に施工しようとして高電流、高溶
接速度の条件で行うと、スラグが垂れやすく、溶接金属
が凹形の裏波ビードになる欠点があった。
【0007】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し
て、ウィービング施工による1層1パス溶接でもスラグ
の垂れ等を防止し得る結果、少ないパス数による溶接施
工が可能となる低水素系被覆アーク溶接棒を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の状況において、本
発明者らは、まず、スラグの垂れを防止する方法を検討
した。従来の溶接棒はアークの広がりが少なく、また溶
滴移行も安定性に欠け、その結果、ウィービングを行っ
た時、クレータの広がりが不充分でスラグが垂れやすい
ことが判明した。したがって、クレータの広がりを充分
確保し、かつアークをスプレー化し、溶滴移行を安定に
させる手段について種々検討した。その結果、超微粒の
Ti酸化物を添加することにより、保護筒が安定し、つ
まり保護筒が均一に溶融して、アークの方向性が安定
し、クレータの広がりを制御しやすいことが判明した。
【0009】従来の溶接棒ではストレートに近い施工で
且つコンタクト溶接であるため、保護筒の安定性はそれ
ほど問題にはならなかったが、ウィービング施工におい
ては、若干溶接棒を母材から離して施工するため、より
保護筒の均一な溶融性が必要となり、これが、従来の溶
接棒ではウィービング施工に適さなかった理由と考えら
れた。
【0010】しかしながら、超微粒のTi酸化物は、上
記の効果が得られるものの、一方では、スパッタ量は充
分少なくならず、後工程でのスパッタ除去や溶接中の安
全面でより一層の改善が必要であることが判明した。
【0011】そこで、本発明者らは種々の成分を検討し
た結果、従来の低水素系被覆剤では耐割れ性の点で低い
のが望ましいとされていた炭素量を逆に増加させること
で、アークを安定化させ、かつスパッタの発生量も減少
できることを見い出し、ここに本発明を完成したもので
ある。
【0012】すなわち、本発明は、被覆剤全重量%で、
金属炭酸塩:30〜50%、金属フッ化物:1.5〜4
%、SiO2:5〜12%、Ti酸化物:1〜6%(但し、
粒径0.3μm以下である超微粒Ti酸化物を40%以上
含有すること。)、Si:3〜9%、Mn:1〜6%、F
e:25〜50%、を含有した被覆剤を、鋼心線外周に
被覆率20〜35%の範囲で塗布してなり、且つ溶接棒
全体の下記(1)式による炭素量を0.08〜0.25%に
規制してなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶接
棒を要旨としている。 記 炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}…(1) ここで、 被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100% 心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%
【0013】また、他の本発明は、被覆剤が更に、N
i:0.5〜4.5%、Mo:0.1〜4.5%、Ti:0.1
〜3%のうちの1種又は2種以上、及び/又は、B:
0.05〜0.2%を含有していることを特徴としてい
る。
【0014】
【作用】まず、本発明における各成分並びに被覆率の限
定理由は以下のとおりである。
【0015】金属炭酸塩:30〜50% 金属炭酸塩はガス発生剤として添加するが、30%未満
ではガス発生量が少なくシールド不足になると共にスラ
グの粘性が小さくなってビード表面にピットが発生す
る。一方、50%を超えるとスラグの粘性が著しく増大
してビードのなじみが悪くなり、またガス発生量が多く
なってスパッタの発生が多くなる。したがって、金属炭
酸塩量は30〜50%の範囲とする。なお、金属炭酸塩
は例えばCaCO3、BaCO3、MgCO3などが使われ
る。
【0016】金属フッ化物:1.5〜4% 金属フッ化物はスラグの粘性と流動性を調整する作用が
ある。しかし、1.5%未満ではその効果がなく、これ
より多くすると2〜4時の位置で良好なビードが形成さ
せるが、4%を超えるとスラグの粘性が比較的小さくな
り、スラグの流動性が増して、4.5〜6時及び7.5〜
6時の位置(図1参照)においてビードと母材のなじみが
悪くなる。したがって、金属フッ化物量は1.5〜4%
の範囲とする。なお、金属フッ化物としては例えばCa
2等々が使われる。
【0017】SiO2:5〜12% SiO2はアークを強くして溶込みを確保する作用があ
る。しかし、5%未満ではアークが弱く、クレータの広
がりが小さい。またビードのなじみも劣化する。一方、
12%を超えると2〜4時の位置において、スラグが邪
魔し巻き込み易くなり、良好なビードが得られなくな
る。したがって、SiO2量は5〜12%の範囲とする。
【0018】Ti酸化物:1〜6%(但し、粒径0.3μm
以下の超微粒Ti酸化物を40%以上含むこと) Ti酸化物は保護筒の溶融を均一化することにより、ア
ークの方向性が一定になり、ウィービング施工において
も溶接金属の垂れを防止する効果がある。そのために
は、粒径0.3μm以下の超微粒Ti酸化物を40%以上
含んだTi酸化物を1〜6%含有させることが必要であ
る。1%未満ではその効果が得られず、更にビードのな
じみも劣化する。また6%を超えるとスラグの流動性が
増し、2〜4時の位置でスラグ邪魔が生じやすい。
【0019】Si:3〜9%、Mn:1〜6% Si、Mnは脱酸剤として添加されるが、それぞれ下限値
未満ではその効果がなく、また上限値を超えると脱酸過
剰となってビード表面にピットが発生するようになる。
なお、Siは単体或いはFe−Si、Si−Mn、Ca−Si
等の形で添加でき、Mnは金属Mn或いはFe−Mn、Si
−Mn等の形で添加できる。
【0020】Fe:25〜50% Feは溶着効率を向上させるために添加するが、25%
未満ではその効果が少なく、また50%を超えると相対
的にスラグ形成剤の量が少なくなり、スラグの被包性が
悪くなる。したがって、Fe量は25〜50%の範囲と
する。なお、Feは鉄粉として、又はFe−Mn、Fe−S
i等のFe分として添加できる。
【0021】被覆率:20〜35% 被覆率が20%未満ではスラグ形成剤が少なくなり、シ
ールド不足によるピットが発生する。また35%を超え
るとスラグ形成剤が多くなりすぎ、スラグの邪魔が発生
し、良好なビードが得られない。したがって、被覆率は
20〜35%の範囲とする。
【0022】炭素量(式(1)の値):0.08〜0.25% 下記の(1)式で定義される炭素量が0.08%未満では
溶滴が大粒になり、スパッタが増し、また、0.25%
を超えるとアークが強くなりすぎて、クレータを掘り下
げ溶接金属が垂れやすくなったり、またスパッタ量もや
や増すことが判明した。したがって、本発明では下記の
(1)式で定義される炭素量を0.08〜0.25%の範囲
に規制する。より好ましくは0.12〜0.20%であ
る。
【0023】 炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}…(1) ここで、 被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100% 心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%
【0024】なお、上記成分のほか、必要に応じて、以
下の成分の1種又は2種以上を適量にて被覆剤中に添加
することができる。
【0025】Ni:0.5〜4.5% Niはフェライト組織の強靱化を図るのに有効である
が、0.5%未満ではその効果が得られず、一方、4.5
%を超えるとアークが弱くなり溶滴移行性が悪くなって
溶込み不良が発生する。したがって、Ni量は0.5〜
4.5%の範囲とする。
【0026】Mo:0.1〜4.5% Moは強度の調整のために有効であるが、0.1%未満で
はその効果が得られず、一方、4.5%を超えると衝撃
値が劣化する。したがって、Mo量は0.1〜4.5%と
する。
【0027】Ti:0.1〜3% Tiの溶接作業性に与える作用としては、アークの集中
性を改善し、かつアークをソフトにすることができる点
である。しかし、0.1%未満ではアークの集中性が劣
るので融合不良の発生原因となり運棒操作に熟練を要す
る。また3%を超えるとアークが弱くなりすぎて溶込み
不良が発生する。したがって、Ti量は0.1〜3%の範
囲とする。なお、Tiは例えばFe−Ti等の形態で添加
する。
【0028】B:0.05〜0.2% Bは母材とのなじみを改善するために有効であるが、
0.05%未満では母材とのなじみが劣るので、運棒操
作に熟練を要する。また0.2%を超えるとアークが弱
くなりすぎ、溶込み不良が発生する。したがって、B量
は0.05〜0.2%の範囲とする。なお、BはB合金若
しくはB酸化物の形態で添加することができる。
【0029】なお、溶着金属の機械的性質を調整するた
めにCr、Cu、Nb等の合金成分の1種類以上を被覆剤
又は心線中に添加してもよい。鋼心線の他の成分組成は
特に限定されない。
【0030】また、本発明では通常粘性剤として水ガラ
スを使用するが、水ガラスにはNa2O、K2O等の成分
が若干量含まれているので、スラグ形成剤、アーク安定
剤としても作用する。なお、直流電源を使用する場合に
は水ガラスとしてK2Oを含まないものの方が保護筒が
より安定して好ましい。
【0031】次に本発明の実施例を示す。
【実施例】
【0032】鋼心線に、表1及び表3に示す成分組成の
被覆剤を被覆率20〜35%の範囲で塗布して、試験溶
接棒を試作した。これらの試験溶接棒を使用し、水平固
定管(10.3mmt×1016mmφ)の突合せ継手(60°
V開先)を1層1パス溶接にて溶接条件:電流80〜2
20A、電圧18〜28V、溶接速度10〜25cm/mi
nで下進で溶接し、各溶接位置における作業性を調査し
た。その結果を表2に併記する。
【0033】表中、No.1〜No.10はいずれも本発明
例であり、良好な結果を示した。溶接金属の垂れ、スラ
グの垂れもなく、スパッタ発性量も少ない。
【0034】これに対し、比較例のNo.11は、金属炭
酸塩が多すぎ、スパッタ発生量が増し、かつスラグの安
定性に欠けた。またTi酸化物中の超微粒Ti酸化物量が
40%未満であり、溶接金属の安定性(垂れ)に欠けた。
【0035】比較例No.12は、Ti酸化物が多すぎス
ラグの邪魔が生じている。また(1)式の炭素量も低いた
めスパッタが多発した。また金属フッ化物が多く、スラ
グの流動性が増し、母材とのなじみが劣化した。
【0036】比較例No.13は、SiO2量が多く、スラ
グの邪魔が生じている。また(1)式の炭素量が高すぎて
溶接金属の安定性が劣化した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の低水素系
被覆アーク溶接棒によれば、ウィービング施工による1
層1パス溶接でも、スラグの垂れ等を防止することがで
き、少ないパス数による施工が達成できる。また裏波施
工も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】パイプの円周突合せ継手の下進溶接における溶
接位置を時計式に表わした説明図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆剤全重量%で(以下、同じ)、 金属炭酸塩:30〜50%、 金属フッ化物:1.5〜4%、 SiO2:5〜12%、 Ti酸化物:1〜6%(但し、粒径0.3μm以下である超
    微粒Ti酸化物を40%以上含有すること。)、 Si:3〜9%、 Mn:1〜6%、 Fe:25〜50%、を含有した被覆剤を、鋼心線外周
    に被覆率20〜35%の範囲で塗布してなり、且つ溶接
    棒全体の下記(1)式による炭素量を0.08〜0.25%
    に規制してなることを特徴とする低水素系被覆アーク溶
    接棒。 記 炭素量=(心線中の炭素量)+{(被覆剤中の炭素量)×(被覆率/心線率)}…(1) ここで、 被覆率=(被覆剤の重量/溶接棒全体の重量)×100% 心線率=(心線の重量/溶接棒全体の重量)×100%
  2. 【請求項2】 被覆剤が更に、Ni:0.5〜4.5%、
    Mo:0.1〜4.5%、Ti:0.1〜3%のうちの1種
    又は2種以上を含有していることを特徴とする請求項1
    に記載の低水素系被覆アーク溶接棒。
  3. 【請求項3】 被覆剤が更に、B:0.05〜0.2%を
    含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    低水素系被覆アーク溶接棒。
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