JPH08141384A - 低ガス放出高耐食アルミニウム製真空容器並びに真空機器部品およびその製造方法 - Google Patents

低ガス放出高耐食アルミニウム製真空容器並びに真空機器部品およびその製造方法

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JPH08141384A
JPH08141384A JP28696394A JP28696394A JPH08141384A JP H08141384 A JPH08141384 A JP H08141384A JP 28696394 A JP28696394 A JP 28696394A JP 28696394 A JP28696394 A JP 28696394A JP H08141384 A JPH08141384 A JP H08141384A
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斎藤  一也
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幸恵 佐藤
Sakae Inayoshi
さかえ 稲吉
Sonoko Tsukahara
園子 塚原
Masao Yasui
正雄 保井
Taichi Mizuno
太一 水野
Akira Shoji
昭 庄司
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低ガス放出高耐食のアルミニウム製の真空容
器、或いは真空機器部品の提供。 【構成】 無電解メッキ後、真空中で加熱処理されたリ
ンの重量組成が10〜13%、膜厚が10〜50μmの無電解ニ
ッケルメッキ膜でアルミニウムまたはアルミニウム合金
の表面を被覆した。 【効果】 前記構成のアルミニウム製の真空容器、また
は真空機器部品は高い耐食性を有し、ガスの放出が非常
に少なく、表面硬度が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は低ガス放出高耐食アルミ
ニウム製真空容器並びに真空機器部品と、その製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体、集積回路部品生産等に使
用される真空容器内には反応ガス、或いはドライエッチ
ングガスが導入される。導入される反応性ガス或いはド
ライエッチングガスには塩素系ガス等の腐食性ガスが用
いられることが多く、そこで真空容器または真空機器部
品には耐食性に優れているステンレス鋼材が用いられて
いた。
【0003】ステンレス鋼材製の真空容器および真空機
器部品の内部を真空に排気する際、ステンレス鋼材の表
面から一定の深さに含有されるガス状不純物が離脱拡散
することを防止するために、本発明の出願人の一人であ
る日本真空技術株式会社は先に、特公昭58-32229号公報
で「反応蒸着により金属窒化物で表面を被覆した真空容
器及び真空機器用部品」で提案し、そして「金属窒化物
がホウ素、アルミニウム、ケイ素、チタニウム、ジルコ
ニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、
クロムの窒化物である」とした。
【0004】しかし、ステンレス鋼は重量が大きいこと
から、装置の軽量化、取り扱い性の容易化を図る点から
アルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられている
が、アルミニウムまたはアルミニウム合金は用いられる
腐食性ガスに対して腐食しやすいので、その表面に耐食
性を必要とする。
【0005】そこで、耐食性を必要とするアルミニウム
またはアルミニウム合金等のアルミウム製真空容器並び
に真空機器部品には、アルミニウムまたはアルミニウム
合金等を母材とし、その表面に主として陽極酸化処理が
行われてきた。
【0006】また、アルミニウム材の表面にイオンプレ
ーティング法により窒化チタン、窒化クロームの硬質表
層を被覆した超高真空用フランジ継手が特公昭58-21158
号公報で提案されており、また、アルミニウム材の表面
にイオンプレーティング法により窒化チタン、窒化クロ
ーム、炭化チタン、または炭化アルミニウムのCVD法
に使用される反応ガスおよびドライ・エッチングに使用
されるエッチング・ガスに対する耐食性を有する被膜を
形成したCVD装置およびドライエッチング装置におけ
る真空チャンバーが特公平5-53871号公報で提案されて
いる。
【0007】また、近年陽極酸化処理法以外の表面処理
方法としては、溶液中での電気的析出法によりアルミニ
ウム製部材の表面にセラミックス膜を生成する方法、或
いはアルミニウム製部材の表面に施した無電解ニッケル
メッキの表面をフッ素化する手法が試みられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記陽極酸化処理法に
よりアルミニウム製部材の表面に被覆された陽極酸化皮
膜は、硫酸等の溶液中で電気化学的に厚い表面酸化膜を
生成する方法であるため、細孔が多く存在する多孔性
で、かつ、皮膜中に多くの水分を含有するので、表面に
陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム製真空容器或いは
真空機器部品を用いると成膜プロセス中に水のガス放出
が非常に多く、酸素が不純物として膜中に混入するとい
う問題がある。
【0009】また、前記特公昭58-21158号公報、または
特公平5-53871号公報で提案されているアルミニウム材
の表面に窒化チタン、窒化クローム、炭化チタン、炭化
アルミニウムの皮膜を形成する場合は、大型で複雑な形
状のチャンバー表面に均一な成膜を行うことが困難であ
り、また、ピンホールを完全になくすることが難しいと
いう問題がある。
【0010】また、前記電気的析出法によりアルミニウ
ム製部材の表面に被覆されたセラミックス膜は表面の凹
凸が大きく、表面にセラミックス膜を形成したアルミニ
ウム製真空容器或いは真空機器部品を用いて、成膜を行
うための真空排気時に陽極酸化皮膜と同様、水のガス放
出が非常に多いという問題がある。
【0011】また、前記無電解ニッケルメッキ表面をフ
ッ素化する方法では、フッ素化するために処理費用が高
額になり、しかも、フッ素化処理を200℃以上という高
温で行うため母材のアルミニウム製材料の強度が低下す
るという問題がある。
【0012】本発明は、前記従来の問題点を解消し、ガ
ス放出が少なく、耐食性を有し、比較的低価格のアルミ
ニウムまたはアルミニウム合金等を母材とした低ガス放
出高耐食アルミニウム製真空容器並びに真空機器部品
と、その製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の低ガス放出高耐
食アルミニウム製真空容器並びに真空機器部品は、無電
解メッキ後、真空中で加熱処理されたリンの重量組成が
10〜13%、膜厚が10〜50μmの無電解ニッケルメッキ膜
でアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面を被覆し
たことを特徴とする。
【0014】また、低ガス放出高耐食アルミニウム製真
空容器並びに真空機器部品の製造方法は、アルミニウム
またはアルミニウム合金の表面に無電解メッキ法でリン
の重量組成が10〜13%、膜厚が10〜50μmの無電解ニッ
ケルメッキ膜を被覆した後、該メッキ膜に真空中で100
〜200℃の加熱処理を施すことを特徴とする。
【0015】
【作用】アルミニウムまたはアルミニウム合金のアルミ
ニウム製真空容器または真空機器部品の表面に被覆され
た皮膜のリンの組成並びに膜厚を制御することで、耐食
性が高く、かつ真表面積を小さくすることによる低ガス
放出の無電解ニッケル皮膜を有し、更に真空加熱処理を
施すことで膜中の溶在水素を取り除き、かつ、水の放出
源を低減することにより、ガス放出が低減するようにな
る。
【0016】
【実施例】本発明におけるアルミニウムまたはアルミニ
ウム合金の表面に被覆せる無電解ニッケル膜中のリンの
重量組成が10〜13%としたのは、リンの重量組成が10%
に満たない場合は、膜の耐食性が充分でなく、ガス放出
量が多くなり、リンの重量組成が13%を超えた場合は、
膜の析出速度が低下し、従って作製費用が高額になるか
らである。
【0017】また、無電解ニッケルメッキ膜の膜厚を10
〜50μmとしたのは、膜厚が10μmに満たない場合は、耐
食性が不充分であり、膜厚が50μmを超えた場合は、処
理費用が高額になることと、ガス放出量が多くなるから
である。
【0018】本発明でアルミニウムまたはアルミニウム
合金の表面に無電解ニッケルメッキ膜を被覆する際に用
いる無電解メッキ溶液は、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソ
ーダを主成分とする溶液であり、また、無電解メッキ法
は硫酸ニッケルを次亜リン酸ソーダで還元してニッケル
を析出させる方法であり、析出反応は触媒的な化学反応
である。また、無電解メッキにおける析出速度は無電解
ニッケルメッキ液中のニッケルイオン量、還元剤の量、
浴温、液のpH等により適宜設定すればよく、一般には
6〜20μm/hr程度とする。
【0019】また、無電解ニッケルメッキ膜に施す真空
中での加熱処理温度を100〜200℃としたのは、加熱処理
温度が100℃に満たない場合は、膜中の水素および水を
低減する効果が不充分となり、加熱処理温度が200℃を
超えた場合は、アルミニウム母材の機械的強度が低下す
るからである。尚、加熱処理時の真空度は膜表面の酸化
状態等の変質が起きない範囲で適宜設定すればよく、一
般的には10- 3〜10- 5Pa程度とする。
【0020】以下に本発明の具体的実施例を比較例と共
に説明する。
【0021】実験例1 本実験例はリン重量組成の関係について調べる実験であ
る。
【0022】先ず、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダの
混合比率を種々変えて皮膜のリン重量組成(濃度)が9
%、10%、12%、13%、14%となる無電解メッキ溶液を
作製した。
【0023】次に、作製された各無電解メッキ溶液を用
い、無電解メッキ法により、直径45mm、厚さ3mmのアル
ミニウム合金A5052板から成る真空機器部品の表面に析
出速度10μm/hrで、膜厚15μmのリン重量組成(9%、1
0%、12%、13%、14%)が種々異なる無電解ニッケル
メッキ膜を被覆した。
【0024】続いて、真空熱処理装置内で真空度10- 4
Pa台、加熱温度200℃の真空加熱処理を施して、表面
にメッキ膜の膜厚が15μmであって、リン重量組成が9%
(比較例:以下試料A1という)、10%(実施例:以下
試料A2という)、12%(実施例:以下試料A3とい
う)、13%(実施例:以下試料A4という)、14%(比
較例:以下試料A5という)の無電解ニッケルメッキ膜
を被覆したアルミニウム製の各試料を作製した。
【0025】作製された各試料毎に昇温脱離測定試験に
よりガス放出特性を測定し、その結果を図1に示した。
また、塩酸浸漬試験により耐食性を測定し、その結果を
図2に示した。昇温脱離測定試験は、各試料に室温から
母材の強度が低下しない範囲の上限温度である200℃に
昇温速度0.5℃/secで変化させながら加熱し、各温度に
おけるガス放出を測定し、ガス放出特性の指標(評価)
とした。塩酸浸漬試験は、室温の濃度35%塩酸液中に試
料を浸漬し、腐食により試料から気泡が発生するまでの
時間を調べ、耐食性の指標(評価)とした。
【0026】図1は各試料の使用時温度とガス放出速度
との関係を示すものであり、縦軸にガス放出速度(×10
- 4Pa・m・s- 1)を、横軸に試料の測定時の温度(℃)
を示した。図2は各試料と腐食により試料から気泡が発
生するまでの時間との関係を示すものであり、縦軸に時
間(分)を対数目盛りで、横軸に試料名を示した。
【0027】図1並びに図2から明らかなように、メッ
キ膜のリン重量組成が本発明の範囲内の実施例である試
料A2、試料A3、試料A4は高耐食性を有し、かつガ
ス放出が少ないのに対して、試料A1(リン重量組成が
本発明範囲より少ない)は耐食性が低く、かつガス放出
が多かった。また、試料A5(リン重量組成が本発明範
囲より多い)は良好な特性を示したが、析出速度が低下
し、生産用に不適という問題があった。
【0028】このように、無電解ニッケルメッキのリン
重量組成を組成範囲で10%未満組成、本発明の組成範囲
10〜13%、13%を超えた組成の3種類に大別することが
出来、一般的にはリン重量組成が高い程耐食性が良くな
る。
【0029】また、各試料の室温における硬度をビッカ
ース硬度計により調べたところ、リン重量組成にはあま
り依存せず、Hv=450〜550kg/mm2であった。
【0030】従って、無電解ニッケルメッキ膜中のリン
重量組成が本発明の範囲内の実施例である試料A2、試
料A3、試料A4は実用性に適していることが分かる。
【0031】実験例2 本実験例は無電解ニッケルメッキ膜の膜厚の関係につい
て調べる実験である。
【0032】先ず、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダを
混合して皮膜中のリン重量組成が12%となる無電解メッ
キ溶液を作製した。
【0033】次に、作製された無電解メッキ溶液を用
い、無電解メッキ法により、直径45mm、厚さ3mmのアル
ミニウム合金A5052板から成る真空機器部品の表面に析
出速度10μm/hrで、膜厚(5μm、10μm、15μm、20μ
m、30μm、40μm、50μm、55μm)が種々異なる無電解
ニッケルメッキ膜を被覆した。
【0034】続いて、真空熱処理装置内で真空度10- 4
Pa台で、加熱温度200℃の真空加熱処理を施して、表
面にメッキ膜のリン重量組成が12%であって、膜厚が5
μm(比較例:以下試料B1という)、10μm(実施例:
以下試料B2という)、15μm(実施例:以下試料B3
という)、20μm(実施例:以下試料B4という)、30
μm(実施例:以下試料B5という)、40μm(実施例:
以下試料B6という)、50μm(実施例:以下試料B7
という)、55μm(比較例:以下試料B8という)の無
電解ニッケルメッキ膜を被覆したアルミニウム製真空機
器部品の各試料を作製した。
【0035】作製された各試料毎にガス放出特性と、耐
食性を前記実施例1と同一条件で測定し、ガス放出特性
を図3に、耐食性を図4に示す。
【0036】図3は各試料の使用時温度とガス放出速度
との関係を示すものであり、縦軸にガス放出速度(×10
- 4Pa・m・s- 1)を、横軸に試料の測定時の温度(℃)
を示した。図4は各試料と腐食により試料から気泡が発
生するまでの時間との関係を示すものであり、縦軸に時
間(分)を対数目盛りで、横軸に試料名を示した。
【0037】図3並びに図4から明らかなように、メッ
キ膜の膜厚が大きくなるとガス放出は多くなる。この主
な原因は膜中に含まれると考えられる水素であり、膜厚
が増すと共に膜中の水素の総量も多くなるためであると
考えられる。一方、耐食性はメッキ膜の膜厚が増すと共
に向上し、実用性に耐え得る膜厚は10μm以上であり、
母材の表面に被覆する無電解ニッケルメッキ膜の成膜時
間、費用等の経済性並びに耐食性能の飽和傾向を考える
と50μmを超える膜厚は不要である。
【0038】また、各試料の室温における硬度をビッカ
ース硬度計により調べたところ、いずれもHv=450〜5
50kg/mm2であった。
【0039】従って、無電解ニッケルメッキ膜の膜厚が
本発明の範囲内の実施例である試料B2、試料B3、試
料B4、試料B5、試料B6、試料B7は実用性に適し
ていることが分かる。
【0040】実験例3 本実験例は無電解ニッケルメッキ後の真空加熱処理の有
無並びにアルミニウム合金母材とのガス放出の比較であ
る。
【0041】先ず、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダを
混合して皮膜中のリン重量組成が12%となる無電解メッ
キ溶液を作製した。
【0042】次に、作製された無電解メッキ溶液を用
い、無電解メッキ法により、直径45mm、厚3mmのアルミ
ニウム合金A5052板から成る真空機器部品の表面に析出
速度10μm/hrで、膜厚15μmの無電解ニッケルメッキ膜
を被覆した。
【0043】続いて、真空熱処理装置内で真空度10- 4
Pa台で、加熱処理温度を種々変えて真空中で加熱処理
を施して、メッキ膜のリン重量組成が12%で、膜厚15μ
mであって、加熱処理温度が70℃(比較例:以下試料C
1という)、100℃(実施例:以下試料C2という)、1
50℃(実施例:以下試料C3という)、200℃(実施
例:以下試料C4という)、250℃(比較例:以下試料
C5という)の無電解ニッケルメッキ膜を被覆したアル
ミニウム製真空機器部品の各試料を作製した。
【0044】これと比較するための試料として、無電解
ニッケルメッキを行った後、加熱処理をしない真空機器
部品(比較例:以下試料C6という)、無電解ニッケル
メッキを行わないアルミニウム合金A5052母材を200℃真
空熱処理した真空機器部品(比較例:以下試料C7とい
う)を用意した。
【0045】作製された各試料毎にガス放出特性と、耐
食性を前記実施例1と同一条件で測定し、ガス放出特性
を図5に、耐食性を図6に示す。
【0046】図5は各試料の使用時温度とガス放出速度
との関係を示すものであり、縦軸にガス放出速度(×10
- 4Pa・m・s- 1)を、横軸に試料の測定時の温度(℃)
を示した。図6は各試料と腐食により試料から気泡が発
生するまでの時間との関係を示すものであり、縦軸に時
間(分)を対数目盛りで、横軸に試料名を示した。
【0047】図5から明らかなように、無電解ニッケル
メッキ後、加熱処理を行った本発明の実施例である試料
C2、試料C3、試料C4、および本発明外の試料C5
は、加熱処理温度が本発明の範囲外の試料C1、未処理
(加熱処理無)の無電解ニッケルメッキ処理のみの試料
C6、母材のアルミニウム合金の熱処理のみの試料C7
に比してガス放出が極めて少ない。本発明外の試料C5
は放出ガスを少なく出来るが、母材の機械的強度が低下
するという問題が発生する。
【0048】図7に真空用によく用いられるアルミニウ
ム合金(A5052、A6061、A6063、A2219)の熱処理温度に対
するビッカース硬度を示す。いずれの合金でも200℃を
超える温度で急激に硬度が低下する。従って、本発明の
熱処理温度は100〜200℃となる。
【0049】熱処理試料の放出ガスの成分を調べると水
素に加え水の脱離量も少なくなっていた。このことは無
電解ニッケルメッキ後の真空加熱処理が単に水素を脱ガ
スするだけではなく、皮膜の表面に存在する水の放出源
も低減させ得ることを示している。また、無電解ニッケ
ルメッキ後の真空加熱処理温度が100℃より低い場合に
は皮膜中のガス放出を低減させる効果は少ない。また、
耐食性は温度200℃の真空加熱処理により変化せず、良
好な耐食性を示した。
【0050】図6から明らかなように、100〜200℃の真
空加熱によりガス放出特性は改善されるが、耐食性は加
熱処理のないものと変わらず良好であった。
【0051】また、各試料の室温における硬度をビッカ
ース硬度計により調べたところ、全ての試料でHv=45
0〜550kg/mm2であったが、200℃処理の試料では加熱に
より10kg/mm2程度硬度が上昇した。
【0052】従って、無電解ニッケルメッキ後の真空加
熱処理温度が本発明の範囲内の試料C2、試料C3、試
料C4は実用性に適していることが分かる。
【0053】前記実験例1、2、3では無電解ニッケル
メッキ膜を被覆する母材にアルミニウム合金A5052を用
いたが、A1050、A6061、A6063、A2219等のアルミニウム
合金であっても実験例1、2、3と同様の効果が期待出
来る。また、本発明における真空機器部品とは、真空容
器内で用いるアルミニウム製またはアルミニウム合金製
部品の他に、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースター
ポンプ等のポンプのアルミニウム製またはアルミニウム
合金製部品や、アルミニウム製フランジ、継手、バルブ
等、アルミニウム、或いはアルミニウム合金が真空に接
している部分を示す。
【0054】また、本発明の母材の表面に被覆した無電
解ニッケルメッキ膜のガス放出は、未処理のアルミニウ
ム、アルミニウム合金のガス放出よりも低く、かつ硬度
が高いため、耐食用途のみならず、単に低ガス放出、ま
たは、真空用の表面硬化を目的とした用途としても使用
することが出来る。
【0055】以上を総合するとリン重量組成が10〜13
%、かつ、メッキ膜の膜厚が10〜50μmの無電解ニッケ
ルメッキ膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金の表
面に被覆することにより、非常に耐食性が高く、かつ、
ガス放出を少なくすることが出来る。更に、無電解ニッ
ケルメッキ膜に真空中で加熱処理を施すことにより、主
に皮膜よりの水素と水の放出を母材のアルミニウムまた
はアルミニウム合金よりも低減することが可能となり、
この加熱処理は比較的低価格で実現することが出来る。
【0056】また、本発明のアルミニウム製真空機器部
品の表面への皮膜作製には高価な原料や安全設備を必要
としないために低価格で作製が可能である。
【0057】
【発明の効果】本発明の低ガス放出高耐食アルミニウム
製真空容器並びに真空機器部品によるときは、母材であ
るアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に、リン
重量組成が10〜13%、膜厚10〜50μmの無電解ニッケル
メッキ膜を被覆し、更に真空中での加熱処理を施すこと
により更にガス放出を低減しているので、高い耐食性を
有しながらも不純物となる水等のガス放出が非常に少な
く、また、表面に被覆せる無電解ニッケルメッキ膜の硬
度が高いため、アルミニウム製の真空容器、または真空
機器部品の表面を硬くすることが出来る等の効果があ
る。
【0058】本発明の製造方法によるときは、アルミニ
ウムまたはアルミニウム合金の表面に無電解ニッケルメ
ッキ膜を被覆した後、真空中で加熱処理を施すようにし
たので、ガス放出を低減させることが出来て、高い耐食
性を有し、ガスの放出が非常に少なく、表面硬度が高い
アルミニウム製の真空容器、または真空機器部品を容易
に製造することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例並びに比較例のリン重量組成
の異なる試料の測定時の温度と各温度におけるガス放出
速度との関係を示すグラフ、
【図2】 本発明の実施例並びに比較例のリン重量組成
の異なる試料と各試料の腐食時間との関係を示すグラ
フ、
【図3】 本発明の実施例並びに比較例の無電解ニッケ
ルメッキ膜の膜厚の異なる試料の測定時の温度と各温度
におけるガス放出速度との関係を示すグラフ、
【図4】 本発明の実施例並びに比較例の無電解ニッケ
ルメッキ膜の膜厚の異なる試料と各試料の腐食時間との
関係を示すグラフ、
【図5】 本発明の実施例並びに比較例の無電解ニッケ
ルメッキ膜に施す加熱温度の異なる試料の測定時の温度
と、各温度におけるガス放出速度との関係を示すグラ
フ、
【図6】 本発明の実施例並びに比較例の無電解ニッケ
ルメッキ膜に施す加熱温度の異なる試料と各試料の腐食
時間との関係を示すグラフ、
【図7】 アルミニウム合金の熱処理温度に対する熱処
理温度とビッカーズ硬度との関係を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲吉 さかえ 茨城県つくば市東光台5−9−7 日本真 空技術株式会社筑波超材料研究所内 (72)発明者 塚原 園子 茨城県つくば市東光台5−9−7 日本真 空技術株式会社筑波超材料研究所内 (72)発明者 保井 正雄 神奈川県茅ヶ崎市萩園2620 金属表面化学 株式会社内 (72)発明者 水野 太一 神奈川県茅ヶ崎市萩園2620 金属表面化学 株式会社内 (72)発明者 庄司 昭 神奈川県茅ヶ崎市萩園2620 金属表面化学 株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無電解メッキ後、真空中で加熱処理され
    たリンの重量組成が10〜13%、膜厚が10〜50μmの無電
    解ニッケルメッキ膜でアルミニウムまたはアルミニウム
    合金の表面を被覆したことを特徴とする低ガス放出高耐
    食アルミニウム製真空容器並びに真空機器部品。
  2. 【請求項2】 アルミニウムまたはアルミニウム合金の
    表面に無電解メッキ法でリンの重量組成が10〜13%、膜
    厚が10〜50μmの無電解ニッケルメッキ膜を被覆した
    後、該メッキ膜に真空中で100〜200℃の加熱処理を施す
    ことを特徴とする低ガス放出高耐食アルミニウム製真空
    容器並びに真空機器部品の製造方法。
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