JPH08191002A - チタン酸バリウム系半導体磁器およびその製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム系半導体磁器およびその製造方法

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JPH08191002A
JPH08191002A JP6036508A JP3650894A JPH08191002A JP H08191002 A JPH08191002 A JP H08191002A JP 6036508 A JP6036508 A JP 6036508A JP 3650894 A JP3650894 A JP 3650894A JP H08191002 A JPH08191002 A JP H08191002A
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atomic ratio
yttrium
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barium titanate
voltage strength
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JP6036508A
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Inventor
Minoru Ishihara
実 石原
Kozo Kusaka
孝三 草加
Takeshi Deguchi
剛 出口
Masahiro Egami
賢洋 江上
Naoto Tsubomoto
直人 坪本
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Tayca Corp
Original Assignee
Tayca Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湿式反応法により作成した特定金属成分比の
イットリウム含有チタン酸バリウム粉末原料を用いるこ
とにより、平均グレイン径や最大グレイン径が制御さ
れ、耐電圧強度や室温における比抵抗値の優れた半導体
磁器を提供する。 【構成】 Y/Ti原子比とBa/Ti原子比とが、図
1のABCD好ましくはabcdで囲まれた範囲内であ
り、かつ平均グレイン径が1〜2μmであり、かつ最大
グレイン径が5μm以下であることを特徴とする半導体
磁器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン酸バリウム系半
導体磁器、および該磁器の製造方法に関する。上記チタ
ン酸バリウム系半導体磁器は、常温では比抵抗が小さ
く、ある温度(以降”Tc”と記す)を越えると急激に
抵抗が上昇するという、正の抵抗温度特性(以降”PT
C特性”と記す)を有しており、温度制御、電流制限、
定温度発熱などの用途に素子として広く使用されてい
る。
【0002】
【従来の技術】上記用途において、高い電圧でも使用可
能な耐電圧の高い素子、すなわち耐電圧強度の高いPT
C特性を有する半導体磁器が要望されている。一方、電
気製品の小型軽量化に伴い、小型で低抵抗の素子、すな
わち室温における比抵抗の低いPTC特性を有する半導
体磁器も要望されている。したがって、PTC特性を有
する半導体磁器の特性として、耐電圧強度をより高くす
ること、および室温における比抵抗(以下、特に明記し
ない限り、室温における比抵抗のことを”比抵抗”と略
す)をより低くすることが重要な課題とされている。
【0003】PTC特性を有するチタン酸バリウム系の
半導体磁器は、一般的に、主成分となるバリウムの炭酸
塩またはシュウ酸塩と、チタンの酸化物またはシュウ酸
塩とを、Tcのシフトの目的やグレイン制御の目的で、
必要に応じてストロンチウムや鉛、またはカルシウムの
炭酸塩またはシュウ酸塩を添加したり、半導化剤となる
微量のY,Ceなどの希土類元素やNb,Ta,Sbの
酸化物、および、PTC特性の抵抗変化桁数を大きくす
る特性改善剤となるMn,Fe,Cr,Cuなどの酸化
物、液相焼結助剤となるSi,Alなどの酸化物を種々
添加混合し、仮焼、粉砕、成形、焼成して得られる。
【0004】しかしながら、上記従来方法で得られるP
TC特性を有するチタン酸バリウム系半導体磁器は、通
常、1300℃以上の焼成を必要とし、このためグレイ
ン分布が広くなってしまい、しかも、5μm以上の径を
有する大きなグレインが生成してしまう。その結果、耐
電圧強度の高いPTC特性を有するチタン酸バリウム系
の半導体磁器を得ることは困難であった。
【0005】しかも、PTC特性を有するチタン酸バリ
ウム系半導体磁器を製造する上で、耐電圧強度の高い磁
器を得ようとすると比抵抗も高くなる傾向にあるため、
耐電圧強度が高いにもかかわらず比抵抗の低い磁器を得
ることは非常に困難であった。
【0006】耐電圧強度/(室温)比抵抗で表した場
合、その値は耐電圧強度が高ければ高いほど下がる傾向
にあり、耐電圧強度が100〜200V/mm程度のと
きは耐電圧強度/比抵抗が10以上のものも得られる場
合があるが、耐電圧強度が200V/mmを越える場合
は10以上のものを得ることは非常に困難であった。特
に、耐電圧強度が500V/mm以上の磁器を得ようと
する場合には、比抵抗が非常に高くなってしまい、耐電
圧強度/比抵抗が5以上のものを得ることは不可能であ
った。
【0007】たとえば、特開平4−26101号公報で
は、TiO2 ,SiO2 ,Al2 3 およびMnO2
含有させたBaTiO3 とSrTiO3 とからなる半導
体磁器において、DyおよびSbを配合させることによ
り、耐電圧強度が高く、かつ比抵抗の低い磁器を得よう
としているが、その比抵抗は50Ωcm前後、耐電圧強
度は200V/mm前後であり、耐電圧強度としてはま
だ満足できるものではなく、平均グレイン径も6〜15
μmと大きい。
【0008】また、特公昭60−25004号公報で
は、出発原料として、バリウムとチタンの複合シュウ酸
塩と半導化剤となるSbの酸化物とを粉砕混合して仮焼
した粉体を用い、その仮焼条件や成形圧などを制御し、
1350℃で焼成することにより、相対密度が60〜9
5%で、平均グレイン径が1〜5μmの、比較的高耐電
圧強度の磁器を得ており、最高で500V/mm付近の
ものもある。
【0009】しかしながら、最高の耐電圧強度を有して
いる磁器の相対密度が78%と低いので、磁器の強度と
いう面で問題である。また、比抵抗が100Ωcm以上
で全体的に高く、さらに、用いる原料の半導化剤が不均
一なためか、1350℃という高温での焼成が必要とさ
れており、グレイン分布が1〜10μmと広い。その結
果、耐電圧強度/比抵抗の比の値が5未満と、あまり良
特性のものは得られていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、高耐圧
強度を有し、かつ比抵抗の低いPTC特性を有するチタ
ン酸バリウム系の半導体磁器は得られていない。したが
って、本発明の目的は、高耐電圧強度を有し、かつ比抵
抗の低いPTC特性を有するチタン酸バリウム系の半導
体磁器とその製造方法を提供することにある。
【0011】より具体的には、耐電圧強度が500V/
mm以上で、かつ耐電圧強度/比抵抗が5以上の、従来
にない優れたPTC特性を有するチタン酸バリウム系の
半導体磁器、さらには、耐電圧強度が500V/mm以
上で、かつ耐電圧強度/比抵抗が10以上の、従来にな
い優れたPTC特性を有するチタン酸バリウム系の半導
体磁器、と該磁器の製造方法とを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねたところ、半導化剤元
素としてイットリウムを選定し、Yが均一に存在するよ
うに主成分であるチタン酸バリウムを湿式反応により合
成する過程中でイットリウム化合物を添加して生成させ
た、平均粒子径が0.3μm以下のチタン酸バリウム粉
体を原料として用い、さらにBa/Ti原子比とY/T
i原子比とを厳密に限定した時に、本発明の目的とする
特性を有する、グレイン径が小さく、しかもグレイン分
布がそろったチタン酸バリウム系半導体磁器が、125
0℃以下という従来より低い焼成温度で得られることを
見いだし、本発明に到達した。
【0013】すなわち本発明は、半導化剤としてイット
リウムを含有し、ペロブスカイト型結晶構造を有するチ
タン酸バリウム系半導体磁器において、Ba/Ti原子
比とY/Ti原子比とが図1のABCDで囲まれた範囲
内にあり、かつ、その平均グレイン径が1〜2μmであ
り、かつ、最大グレイン径が5μm以下であることを特
徴とする、耐電圧強度が500V/mm以上で、かつ耐
電圧強度/比抵抗が5以上の特性を有するチタン酸バリ
ウム系半導体磁器である。
【0014】本発明はまた、半導化剤としてイットリウ
ムを含有し、ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン
酸バリウム系半導体磁器において、Ba/Ti原子比と
Y/Ti原子比とが図1のabcdで囲まれた範囲にあ
り、かつ、その平均グレイン径が1〜2μmであり、か
つ、最大グレイン径が5μm以下であることを特徴とす
る、耐電圧強度が500V/mm以上で、かつ、耐電圧
強度/比抵抗が10以上の特性を有するチタン酸バリウ
ム系半導体磁器である。
【0015】さらに本発明は、アンチモンをY/Ti原
子比としてY/Ti=0.10〜0.45%含有するチ
タン化合物の溶液またはスラリーと、バリウム化合物と
を湿式反応させ、必要に応じて仮焼することにより、平
均粒子径が0.3μm以下で、かつ、Y/Ti原子比お
よびBa/Ti原子比が、図1のABCD好ましくはa
bcdで囲まれた範囲にある、イットリウムを均一に含
有したペロブスカイト結晶構造を有したチタン酸バリウ
ム粉体を得、該粉体を成形した後、成形体を1150〜
1250℃で焼成することを特徴とする半導体磁器の製
造方法に関する。
【0016】本発明において、各条件を限定した理由に
ついては、以下の通りである。Y/Ti原子比とBa/
Ti原子比とを図1のABCDで囲まれた範囲内に限定
すると、耐電圧強度が500V/mm以上で、しかも耐
電圧強度/比抵抗が5以上の特性を有する磁器が得られ
る。
【0017】たとえイットリウムを均一に添加し、Ba
/Ti原子比を制御しても、Y/Ti原子比が0.10
%未満の場合には、1250℃以下の焼成では2μm以
下の小さいグレイン径の磁器は得られるものの、半導化
が不十分となり、比抵抗が高くなる。また、1250℃
を越える温度で焼成すると、グレイン径が大きくなり、
結果として高耐電圧強度のものが得られない。すなわ
ち、耐電圧強度が500V/mm以下となってしまう。
【0018】また、上記Ba/Ti原子比の条件で、Y
/Ti原子比が0.45%を越える場合も同様で、12
50℃以下の焼成では、結果的に耐電圧強度/比抵抗の
比が5未満と小さくなり、1250℃を越える温度で焼
成すると、グレイン径が大きくなって、500V/mm
以上の高耐電圧強度のものが得られなくなってしまう。
【0019】Ba/Ti原子比が、図1中のBC間の直
線境界以上にTiの比率が多いと、上記Y/Ti原子比
が0.45%を越えた場合と同様な問題が生じる。ま
た、Ba/Ti原子比が、図1中のAD間の直線境界以
上にBaの比率が多い場合においても、1250℃以下
の焼成で、グレイン径が小さくて500v/mm以上の
耐圧強度を有するものも得られるが、半導化が不十分で
あり、比抵抗が高くなって、耐圧強度/比抵抗が5未満
となってしまう。
【0020】Y/Ti原子比とBa/Ti原子比とを図
1のabcdで囲まれた範囲内にさらに限定したのは、
図1のABCDで囲まれた範囲内に限定した場合より
も、より優れた特性を有する磁器が得られるためであ
る。すなわち、耐電圧強度が500V/mm以上であ
り、かつ、耐電圧強度/比抵抗が10以上である特性を
満足する磁器が得られる。
【0021】次に、本発明の半導体磁器、特に、本発明
の優れた半導体磁器を得るために必要であるイットリウ
ム含有チタン酸バリウム粉体の製造方法、について詳細
に説明する。
【0022】本発明の製造方法において、イットリウム
を含有するチタン化合物の溶液とは、イオンまたは分子
単位で混合された溶液を意味し、たとえば、チタンの塩
化物とイットリウムの水溶性化合物との水溶液や、チタ
ンのアルコキシドとイットリウムのアルコキシドとの有
機溶媒混合溶液などが適用できる。具体的には、四塩化
チタンもしくは一部水酸基で置換された塩化チタン溶液
と硝酸イットリウムとの水溶液、チタニウムイソプロポ
キシドとイットリウムイソプロポキシドとのイソプロピ
ルアルコール溶液などである。
【0023】また、イットリウムを含有するチタン化合
物のスラリーとは、たとえば、上記イットリウムを含有
するチタン化合物の溶液を加水分解して得られる水酸化
物または酸化物のスラリーを意味する。具体的には、四
塩化チタンもしくは一部水酸基で置換された塩化チタン
溶液と硝酸イットリウムとの水溶液を、アンモニアなど
で中和加水分解して得られるイットリウム含有含水水酸
化チタンスラリー、チタニウムイソプロポキシドとイッ
トリウムイソプロポキシドとのイソプロピルアルコール
溶液に水を加えて加水分解して得られるスラリーなどで
ある。
【0024】本発明におけるバリウム化合物とは、バリ
ウムの水酸化物、酸化物、無機塩、アルコキシドなどの
有機バリウム化合物、などを意味する。
【0025】上記イットリウムを含有するチタン化合物
の溶液またはスラリーと、上記バリウム化合物とを湿式
反応させる場合、たとえば、水熱反応法、アルコキシド
法、共沈仮焼法などが適用可能である。
【0026】水熱反応法とは、上述したチタンとイット
リウムとバリウムの各化合物の混合物を熱加水分解反応
して、イットリウム含有チタン酸バリウムを得る方法で
ある。この際、チタン塩化物とイットリウムの水溶性化
合物との水溶液に、あらかじめ塩化バリウムなどの水溶
性バリウム化合物を溶解させた溶液を、水酸化ナトリウ
ムなどの強アルカリ中で熱加水分解反応しても構わな
い。
【0027】アルコキシド法とは、チタン、イットリウ
ム、バリウムの各アルコキシドを混合溶解した有機溶媒
溶液に加水して、熱を加え反応させる方法である。
【0028】共沈仮焼法とは、たとえば、チタンの塩化
物やイットリウムの水溶性化合物の水溶液に、あらかじ
め塩化バリウムなど水溶性バリウム化合物を溶解した溶
液を、シュウ酸によって共沈させ、得られる複合シュウ
酸塩を仮焼してイットリウム含有チタン酸バリウムを得
る方法である。
【0029】本発明の製造方法において、上記湿式反応
で得た粉体をさらに均一にする目的で、粒子成長のため
に平均粒子径が0.3μmを越えてしまわない程度の温
度範囲で、仮焼してもよい。具体的には、仮焼温度範囲
としては600〜950℃が好ましい。
【0030】また、通常Tcシフトの目的で添加される
Pb,Sr,Ca,Zr,Snなどの元素(シフター剤
と呼ばれる)や、Mn,Cu,B,Si,Li,Na,
K,Zn,Ni,Al,Mgなどの特性改質助剤となる
元素を添加することも、本発明の特性を損なわない範囲
で可能である。
【0031】以上説明したように、湿式反応工程を用
い、さらにY/Ti原子比とBa/Ti原子比とを図1
のABCD好ましくはabcdで示した範囲内に制御し
て得られた、イットリウムを均一に含有するペロブスカ
イト結晶構造を有した平均粒子径0.3μm以下のチタ
ン酸バリウム粉体を用いると、1250℃以下という従
来にない低温焼成で半導化し、しかも平均グレイン径が
1〜2μmでかつ最大グレイン径が5μm以下という、
グレインが小さくてしかも良くそろった、本発明の特性
を有する磁器が得られる。
【0032】
【作用】本発明に係る半導体磁器がなぜ、耐電圧強度が
500v/mm以上と高いにもかかわらず、比抵抗が低
く、しかも耐電圧強度/比抵抗が5以上さらには10以
上と、従来にない非常に優れた特性を有しているか明確
でないが、半導化剤であるイットリウムをも湿式合成用
試剤として用いて湿式反応中に添加し、しかも、Y/T
i原子比とBa/Ti原子比とを厳密に制御することに
より、粉体中に均一にイットリウムを分布させた平均粒
子径が0.3μm以下のペロブスカイト型結晶構造を有
するチタン酸バリウムを得ることができたので、上記粉
体を原料として用いることで、1150〜1250℃と
いう従来にない低温焼成でも、YがABO3 ペロブスカ
イト型結晶構造BaTiO3 (A;Ba、B;Ti)中
のAサイトに均一に置換固溶して半導化し、しかも、平
均径が1〜2μmと小さくかつ非常に分布の狭いグレイ
ンを形成させることができたためである、と推測され
る。
【0033】
【実施例】
実施例1−17 住友シチックス社製の塩化チタン水溶液(Tiとして1
6.5重量%含有)に、あらかじめ硝酸により溶解させ
た硝酸イットリウム溶液を、Y/Ti原子比が表1の含
有量になるようにそれぞれ添加し、攪拌溶解した。攪拌
中、さらに純水を加え、10倍に希釈した後、5%アン
モニア水をpH8となるまで3時間かけて添加混合し、
中和加水分解反応を行った。
【0034】得られたイットリウム含有含水水酸化チタ
ンスラリーを、ブフナーロートを用いて吸引濾過、水洗
を行い、イットリウム含有含水水酸化チタンケーキを得
た後、該ケーキをTiO2 換算で0.7mol/lの濃
度になるように、純水を加えてスラリー化した。上記ス
ラリーを攪拌しながら、反応系を窒素雰囲気にして、B
a(OH)2 ・8H2 O(林純薬工業社製、試薬特級)
をBa/Ti原子比が1.4になるよう添加混合したの
ち、沸騰温度まで約1時間かけて昇温し、105℃の温
度で約4時間水熱反応を行った。
【0035】その後、室温まで自然冷却したのち、デカ
ンテーションを繰り返し、ブフナーロートを用いて吸引
濾過、水洗を行った。反応後得られたケーキは、TiO
2 換算で0.7mol/lの濃度になるように純水に再
分散し、スラリー化した。このスラリーを攪拌しながら
60℃に加温してその温度に保持しながら、Ba/Ti
原子比調整の目的で、10%酢酸溶液を加えて各スラリ
ーをpH8〜10に調整し、その状態を1時間保持し
た。各々のスラリーは、ブフナーロートを用いて吸引濾
過、水洗を行い、乾燥した。
【0036】得られた粉体は、その粒子径を走査型電子
顕微鏡(日立製作所製 S−900)で、結晶形をX線
回折装置(リガク電子工業社製 RV−300)で、そ
れぞれ測定したところ、いずれの場合においても、平均
粒子径が0.07μmの立方晶ペロブスカイト型結晶構
造を有するチタン酸バリウム粉体であった。また、上記
粉体は、蛍光X線分析装置(日本フィリップス社製 P
W1480)を用いて組成分析し、Ba/Ti原子比と
Y/Ti原子比とをそれぞれ定量した。得られた結果を
表1に示す。
【0037】上記粉体はさらに、各々800℃で2時間
仮焼し、平均粒子径が0.1μmのイットリウム含有チ
タン酸バリウムペロブスカイト結晶微粉体とした。この
際、上記微粉体を蛍光X線分析装置を用いて再度組成分
析したが、Ba/Ti原子比およびY/Ti原子比は、
いずれも表1に示した値から変化しなかった。
【0038】上記微粉体は、樹脂製のボールとポットか
らなるボールミルを用いてそれぞれ湿式粉砕混合し、バ
インダーとしてポリビニルアルコールを粉体に対して
1.0%添加して、スプレードライヤーを用いて造粒
し、造粒粉を得た。
【0039】造粒粉は、1トン/cm2 の圧力で、直径
15mm、厚み1mmのペレット状に成形した。この
際、成形体を蛍光X線分析装置を用いて再度組成分析し
たが、Ba/Ti原子比およびY/Ti原子比は、いず
れも表1に示した値から変化していなかった。
【0040】上記成形体は、大気中で1100〜125
0℃の間でそれぞれ25℃刻みの温度幅で焼成温度を設
定して焼成を行った。焼成温度における保持時間は2時
間、昇温は+300℃/hr.、降温は−200℃/h
r.という条件で、焼成磁器を各々得た。
【0041】上記の方法で得た各種組成(Ba/Ti原
子比、Y/Ti原子比)の焼成磁器の特性を測定し、表
2に示した。
【0042】表2における、平均グレイン径や最大グレ
イン径は、走査型電子顕微鏡(以下SEMと略す)によ
る観察から測定した。平均グレイン径は、SEM写真に
一定間隔で直線を引き、該直線にヒットしたグレインの
大きさを0.1μm単位で計測し、その個数を計数し
(ただし、グレインが大きく、2度以上ヒットしたもの
はその都度計数する)、全合計個数を約3000個とし
て、以下の式で計算した。 (グレインの大きさの測定値の合計)/(全合計個数)
【0043】比抵抗ρおよび耐電圧強度Eは、磁器の両
面にオーミック性銀ペーストを焼き付けて電極とし、こ
れを測定用試料として、25℃で測定した。耐電圧強度
については、試料に破壊が起こる寸前の最高印加電圧値
を測定し、試料の電極間(厚み:mm)で割って表した
ものである。
【0044】焼成温度については、1100〜1250
℃の間で焼成した各磁器の中で、最も良好な耐電圧強度
/比抵抗(E/ρ)の特性が得られた磁器の焼成温度を
示している。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】比較例1−11 実施例と同じ方法を用いて、図1のABCDで囲まれた
範囲外であり、Ba/Ti原子比およびY/Ti原子比
が表3に示した値である焼成磁器を作成し、各磁器の特
性を測定して表4に示した。
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】表1および図1から、実施例2、3、5〜
7、9〜11、14は図1のabcdで囲まれた範囲内
にあり、実施例1、4、8、12、13、15〜17は
図1のabcdで囲まれた範囲内にはないが、ABCD
で囲まれた範囲内にあることがわかる。また、表3およ
び図1から、比較例1〜11は、図1のABCDで囲ま
れた範囲内にはないことがわかる。
【0051】表2から明らかなように、各実施例の平均
グレイン径はいずれにおいても1〜2μmであり、最大
グレイン径についても5μmを越えるものは全く見られ
ないことから、本発明の磁器組織においては、グレイン
分布が非常に揃っていることがわかる。
【0052】また、表2の実施例と、比較例である表4
とを比較してみると明らかなように、図1のABCDで
囲まれた範囲内にある磁器は、比抵抗が低く耐電圧強度
が高いという特性を有し、さらに、図1のabcdで囲
まれた範囲内にある磁器は、耐電圧強度E/比抵抗ρが
10以上と、その中でも非常に優れた特性を有している
ことがわかる。
【0053】比較例1〜7は、本発明である図1のAB
CDで囲まれた範囲に対し、Ba/Ti原子比が範囲外
のものであるが、1250℃以下の焼成では十分な特性
を有する磁器が得られず、半導化が不十分となるため比
抵抗が高くなり、本発明の目的とする特性が得られな
い。
【0054】比較例8〜11は、本発明である図1のA
BCDで囲まれた範囲に対し、Y/Ti原子比が本発明
の範囲外(比較例8,9はイットリウムの含有量が少な
く、比較例10、11はイットリウムの含有量が多い場
合)のものであるが、いずれの場合においても、表中の
焼成温度未満の焼成では半導化が不十分となるため比抵
抗が高くなり、表中の焼成温度を越える焼成では耐電圧
強度が低くなってしまい、また、表中に示した最も良い
特性が得られる焼成温度においても、結果としてE/ρ
が5未満となるので、本発明の目的とする特性が得られ
ない。
【0055】
【発明の効果】以上のように、湿式反応によって半導化
剤であるイットリウムを均一に含有した微粒の原料粉を
用い、しかも、Y/Ti原子比、Ba/Ti原子比を厳
密に制御することによって、耐電圧強度が500V/m
m以上でかつ耐電圧強度/比抵抗が5以上である従来に
ない特性のPTC半導体磁器が、さらに、耐電圧強度が
500V/mm以上、耐電圧強度/比抵抗が10以上と
いう非常に優れたPTC半導体磁器が得られる。
【0056】従って、本発明によれば、従来にまして実
用性に優れたPTC半導体磁器を提供することが可能で
あり、利用可能範囲の拡大を図ることができる。また、
従来のPTC半導体磁器を得るためには、通常1300
℃以上の高温焼成が必要であり、そのため、使用できる
炉体構造としては1400℃耐用のものが必要となるの
で設備コストが高くなり、しかも、用いるコウバチ、セ
ッタなどの治具の消耗が激しくて維持コストも高くなっ
ていたが、本発明の半導体磁器の製造方法を適用すれ
ば、1250℃以下の低温で焼成が可能であるため、上
記コストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチタン酸バリウム系半導体磁器におけ
る、Y/Ti原子比およびBa/Ti原子比の範囲を示
した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江上 賢洋 大阪府大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ株式会社内 (72)発明者 坪本 直人 大阪府大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導化剤としてイットリウムを含有した
    ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム系
    半導体磁器において、Y/Ti原子比およびBa/Ti
    原子比とが、図1のABCDで囲まれた範囲内にあり、
    かつ半導体磁器の平均グレイン径が1〜2μmであり、
    かつ最大グレイン径が5μm以下であることを特徴と
    し、上記半導体磁器の特性として、耐電圧強度が500
    V/mm以上で、かつ耐電圧強度/室温における比抵抗
    が5以上であるチタン酸バリウム系半導体磁器。
  2. 【請求項2】 半導化剤としてイットリウムを含有した
    ペロブスカイト型結晶構造を有するチタン酸バリウム系
    半導体磁器において、Y/Ti原子比およびBa/Ti
    原子比とが、図1のabcdで囲まれた範囲内にあり、
    かつ半導体磁器の平均グレイン径が1〜2μmであり、
    かつ最大グレイン径が5μm以下であることを特徴と
    し、上記半導体磁器の特性として耐電圧強度が500V
    /mm以上で、かつ耐電圧強度/室温における比抵抗が
    10以上であるチタン酸バリウム系半導体磁器。
  3. 【請求項3】 イットリウムをY/Ti原子比としてY
    /Ti=0.10〜0.45%含有するチタン化合物の
    溶液またはスラリーと、バリウム化合物とを湿式反応さ
    せ、必要に応じて仮焼することにより、平均粒子径が
    0.3μ以下で、かつY/Ti原子比およびBa/Ti
    原子比が図1のABCDで囲まれた範囲にある、イット
    リウムを均一に含有したペロブスカイト結晶構造を有し
    たチタン酸バリウム粉体を得、上記粉体を成形したの
    ち、該成形体を1150〜1250℃で焼成することを
    特徴とする請求項1記載の半導体磁器の製造方法。
  4. 【請求項4】 イットリウムを含有するチタン化合物
    が、チタンの塩化物とイットリウムの水溶性化合物との
    水溶液を加水分解して得られた、イットリウムを均一に
    含有したチタンの含水水酸化物または酸化物であり、バ
    リウム化合物がバリウムの水酸化物であり、湿式反応が
    水熱反応であることを特徴とする請求項3記載の半導体
    磁器の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3202748A1 (en) * 2016-02-08 2017-08-09 TDK Corporation Semiconductor ceramic composition and ptc thermistor
CN109928746A (zh) * 2017-12-19 2019-06-25 三星电子株式会社 陶瓷电介质、其制造方法、陶瓷电子组件和电子设备

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