JPH08217691A - 徐放性製剤 - Google Patents

徐放性製剤

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JPH08217691A
JPH08217691A JP7230841A JP23084195A JPH08217691A JP H08217691 A JPH08217691 A JP H08217691A JP 7230841 A JP7230841 A JP 7230841A JP 23084195 A JP23084195 A JP 23084195A JP H08217691 A JPH08217691 A JP H08217691A
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康孝 猪狩
Yutaka Yamagata
豐 山縣
Satoshi Iinuma
智 飯沼
Hiroaki Okada
弘晃 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エンドセリン拮抗物質を除く水溶性ペプチド性
生理活性物質の封入効率を高め、投与後初期の漏出を抑
制した徐放性製剤の提供。 【解決手段】エンドセリン拮抗物質を除く水溶性ペプチ
ド性生理活性物質の水不溶性または水難溶性多価金属塩
と生体内分解性ポリマーとを含有してなる徐放性製剤。 【効果】本発明によれば、エンドセリン拮抗物質を除く
水溶性ペプチド性生理活性物質の封入効率を高め、投与
後初期の漏出を抑制した徐放性製剤が得られる。また、
本発明の徐放性製剤は、生体内投与後に該生理活性物質
の生物活性を保持したまま徐放できる。さらに、徐放性
製剤中の該生理活性物質が長期間にわたって安定に保た
れ、生物活性の損失が少ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドセリン拮抗
物質を除く水溶性ペプチド性生理活性物質の水不溶性ま
たは水難溶性多価金属塩と生体内分解性ポリマーとを含
有してなる徐放性製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】生理活性物質、特にペプチドまたはその
誘導体は生体において種々の薬理作用を示すことが知ら
れており、この内いくつかについては化学合成あるいは
遺伝子工学、細胞工学の手法の発達により大腸菌、酵
母、動物細胞、あるいはハムスターなどの生体を用いて
大量に生産させ、医薬品としての応用が図られている。
しかしながら、これらのペプチドは一般的に生体内での
半減期が短いために、頻回投与が必要であり注射に伴う
患者の肉体的負担は無視できないものがある。この問題
を解決するために徐放性製剤を開発する種々の試みがな
されている。水溶性生理活性物質、特に水溶性ペプチド
(以下単にペプチドと称することもある)の徐放性製剤
を開発するときの第1の問題点はペプチドの溶解性をい
かにしてコントロールするかにある。即ち、ペプチドの
放出速度を抑制することである。特表平3−50028
6号には不溶性亜鉛−プロタミン−α−インターフェロ
ン複合体が開示されている。また、特開昭63−293
0号には、ポリラクチドに巨大分子ポリペプチドを分散
させたシステムが開示されている。特開平5−2218
55号および特開平6−172208号には水溶性ペプ
チドを水不溶性のペプチド塩に変換し、生体内分解性高
分子重合物を含有する有機媒体に懸濁することにより水
溶性ペプチドを効率良く微小球に取り込ませる技術が開
示されている。該公報において用いられる水不溶性ペプ
チドは水溶性ペプチド分子内部の塩基性部に対する有機
酸塩であり、パモエート、タンニン酸、ステアリン酸、
またはパルミチン酸塩である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように水溶性生
理活性物質の徐放性製剤を製造する種々の試みがなされ
ているものの、まだ満足できるものはなく、水溶性生理
活性物質の封入効率が高く、投与後初期の水溶性生理活
性物質の漏出が抑制され、水溶性生理活性物質放出速度
が一定で、しかも水溶性生理活性物質が安定である徐放
性製剤の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点を解決するため鋭意研究をおこなったところ、エンド
セリン拮抗物質を除く酸性基を持つ水溶性ペプチド性生
理活性物質またはその水溶性塩(以下、単に生理活性物
質と称することもある)と水溶性多価金属塩とから生成
する生理活性物質の水不溶または水難溶性多価金属塩
(以下、単に複合体と称することもある)を製造し、こ
れを生体内分解性ポリマーに分散させることにより、生
理活性物質の生体内分解性ポリマー中への取り込み効率
が飛躍的に上昇し、生体に投与直後の薬物の漏出も少な
い徐放性製剤が得られることを見いだした。この知見に
基づいてさらに研究した結果、本発明を完成した。すな
わち本発明は、(1)エンドセリン拮抗物質を除く水溶
性ペプチド性生理活性物質の水不溶性または水難溶性多
価金属塩と生体内分解性ポリマーとを含有してなる徐放
性製剤、(2)生理活性物質が水溶性ペプチドまたはそ
の誘導体である前記(1)記載の徐放性製剤、(3)ペ
プチドがホルモン、サイトカイン、増血因子、増殖因
子、酵素、可溶性または可溶化受容体、抗体、ペプチド
性抗原、血液凝固因子または接着因子である前記(2)
記載の徐放性製剤、(4)生理活性物質がホルモンであ
る前記(1)記載の徐放性製剤、(5)ホルモンが成長
ホルモンである前記(4)記載の徐放性製剤、(6)ホ
ルモンがインスリンである前記(4)記載の徐放性製
剤、(7)生理活性物質がサイトカインである前記
(1)記載の徐放性製剤、(8)サイトカインがインタ
ーフェロンである前記(7)記載の徐放性製剤、(9)
生理活性物質が増殖因子である前記(1)記載の徐放性
製剤、(10)多価金属塩が遷移金属塩である前記
(1)記載の徐放性製剤、(11)多価金属塩が亜鉛塩
である前記(1)記載の徐放性製剤、(12)多価金属
塩の水に対する溶解度が20℃で約0ないし約0.1%
(w/w)である前記(1)記載の徐放性製剤、(1
3)多価金属塩の水に対する溶解度が約0ないし約0.
01%(w/w)である前記(1)記載の徐放性製剤、
(14)多価金属塩を約0.1ないし約50%(w/
w)含有してなる前記(1)記載の徐放性製剤、(1
5)多価金属塩を約0.1ないし約30%(w/w)含
有してなる前記(1)記載の徐放性製剤、(16)生体
内分解性ポリマーが脂肪族ポリエステルである前記
(1)記載の徐放性製剤、(17)脂肪族ポリエステル
が乳酸及びグリコール酸の重合体である前記(16)記
載の徐放性製剤、(18)乳酸及びグリコール酸の組成
比(モル/モル%)が100/0ないし約40/60で
ある前記(17)記載の徐放性製剤、(19)組成比
(モル/モル%)が約90/10ないし約45/55で
ある前記(18)記載の徐放性製剤、(20)重合体の
重量平均分子量が約3,000ないし約20,000で
ある前記(17)記載の徐放性製剤、(21)重合体の
重量平均分子量が約3,000ないし約14,000で
ある前記(17)記載の徐放性製剤、(22)脂肪族ポ
リエステルが乳酸の単独重合物である前記(16)記載
の徐放性製剤、(23)単独重合物の重量平均分子量が
約3,000ないし約20,000である前記(22)
記載の徐放性製剤、(24)単独重合物の重量平均分子
量が約3,000ないし約14,000である前記(2
2)記載の徐放性製剤、(25)マイクロカプセルであ
る前記(1)記載の徐放性製剤、(26)マイクロカプ
セルが注射用である前記(25)記載の徐放性製剤、
(27)注射用である前記(1)記載の徐放性製剤、
(28)徐放性製剤の製造のためのエンドセリン拮抗物
質を除く水溶性ペプチド性生理活性物質の水不溶性また
は水難溶性多価金属塩および生体内分解性ポリマーの使
用、及び(29)エンドセリン拮抗物質を除く水溶性ペ
プチド性生理活性物質の水不溶性または水難溶性多価金
属塩を生体内分解性ポリマーを含む油相に分散しs/o
型エマルションを調製し、s/o型エマルションを水相
に添加しs/o/w型エマルションを調製し、次いでs
/o/w型エマルションを水中乾燥に付すことを特徴と
する徐放性製剤の製造法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本明細書において、アミノ酸,ペ
プチド等に関し、略号で表示する場合、IUPAC−I
UB コミッション・オン・バイオケミカル・ノーメン
クレーチャー(Commission on Biochemical Nomenclatu
re)による略号あるいは当該分野における慣用略号に基
づくものとし、また、アミノ酸に光学異性体があり得る
場合、特に明示しなければL体を示すものとする。生理
活性物質の水不溶性または水難溶性多価金属塩における
生理活性物質は、酸性基を持つ生理活性物質である。こ
こにおいて、酸性基としては、例えばカルボキシル基、
スルホ基などが挙げられる。生理活性物質は、好ましく
は分子内にペプチド結合を持つか、あるいはアミノ酸を
含有し酸性基を持つ生理活性物質である。該酸性基はア
ミノ酸に由来してもよい。生理活性物質は、さらに好ま
しくは酸性基を持つペプチドまたはその誘導体である。
生理活性物質は、生理活性物質の25℃で水に対する溶
解度は1%(w/w)以上である。
【0006】生理活性物質は、二個以上のカルボキシル
基を有していることが好ましい。生理活性物質の分子量
は、約200ないし約200,000、好ましくは約2
00ないし約50,000、さらに好ましくは分子量約
500ないし約40,000である。生理活性物質の活
性として代表的なものとしては、ホルモン作用が挙げら
れる。また、該生理活性物質は天然物、合成物、半合成
物、遺伝子工学の産物のいずれでもよいし、さらにこれ
らの誘導体でもよい。これらの生理活性物質の作用機作
は、作動性あるいは拮抗性のいづれでもよい。本発明の
生理活性物質、特に水溶性ペプチドまたはその誘導体と
しては、例えばホルモン、サイトカイン、造血因子、増
殖因子、酵素、可溶性または可溶化受容体、抗体または
そのフラグメント、ペプチド性抗原、血液凝固因子、接
着因子あるいは該生理活性物質の受容体に結合しうる作
動薬あるいは拮抗薬などが挙げられる。
【0007】ホルモンとしては、例えばインスリン,成
長ホルモン,ナトリウム利尿ペプチド,ガストリン,プ
ロラクチン,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),甲状
腺刺激ホルモン(TSH),黄体形成ホルモン(L
H),卵胞刺激ホルモン(FSH),ヒト絨毛ゴナドト
ロピン(HCG),モチリン,カリクレインなどが挙げ
られる。ホルモンは、好ましくはインスリン、成長ホル
モンである。
【0008】サイトカインとしては、例えばリンホカイ
ン,モノカインなどが挙げられる。リンホカインとして
は、例えばインターフェロン(アルファ,ベータ,ガン
マ),インターロイキン(IL−2ないしIL−12)
などが挙げられる。モノカインとしては、例えばインタ
ーロイキン1(IL−1),腫瘍壊死因子などが挙げら
れる。サイトカインは、好ましくはリンホカインであ
り、さらに好ましくはインターフェロン(アルファ,ベ
ータ,ガンマ)である。造血因子としては、例えばエリ
スロポエチン,顆粒球コロニー刺激因子(G−CS
F),マクロファージコロニー刺激因子(M−CS
F),トロンボポエチン,血小板増殖刺激因子,メガカ
リオサイトポテンシエーターなどが挙げられる。増殖因
子としては、例えば塩基性あるいは酸性の繊維芽細胞増
殖因子(FGF)あるいはこれらのファミリー(例、F
GF−9など),神経細胞増殖因子(NGF)あるいは
これらのファミリー,インスリン様成長因子(例、IG
F−1,IGF−2など),骨増殖に関与する因子(B
MP)あるいはこれらのファミリーなどが挙げられる。
酵素としては、例えばスーパーオキシドディスミュター
ゼ(SOD),ティシュープラスミノーゲンアクティベ
ーター(TPA)などが挙げられる。可溶性受容体とし
ては、可溶性インターロイキン6(IL−6)受容体,
インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP),
可溶性腫瘍壊死因子受容体,可溶性上皮成長因子受容
体,可溶性インターロイキン1受容体などが挙げられ
る。可溶化受容体としては、公知の受容体、例えばイン
ターロイキン1受容体,インターロイキン6受容体,腫
瘍壊死因子受容体,ファス(Fas)リガンド等を遺伝
子工学的手法で可溶化したもの等が挙げられる。抗体と
しては、例えばヒトモノクーナル抗体,マウス由来の可
変部とヒト由来の定常部とからなるヒト−マウスキメラ
モノクローナル抗体などが挙げられる。抗体のタイプと
しては、例えばIgM,IgG,IgEなどが挙げられ
る。抗原としては、例えば前記抗体によって認識される
ものなどが挙げられ、さらに血小板、ウイルスなども挙
げられる。血液凝固因子としては、例えば第VIII因子な
どが挙げられる。接着因子としては、フィブロネクチ
ン,ICAM−1などが挙げられる。生理活性物質とし
ては、さらにエンドセリン,Arg-Gly-Asp-Ser (RGDS)、
脳下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ポリペプチド
(PACAP)なども挙げられる。
【0009】生理活性物質は、水溶性多価金属塩と接触
させることにより、生理活性物質の水不溶性または水難
溶性多価金属塩に変換される。水溶性多価金属塩におけ
る多価金属としては、例えばII価、III価あるいはIV価
の金属が挙げられ、具体的にはアルカリ土類金属(例、
カルシウム、マグネシウム等)、遷移金属〔鉄(II価、
III価)、銅(II価)、亜鉛(II価)等〕、IIIb属金属
〔アルミニウム(II価、III価)等〕、IVb属金属〔スズ
(II価、IV価)等〕等が挙げられる。多価金属は、好ま
しくはアルカリ土類金属または遷移金属、更に好ましく
は亜鉛またはカルシウム、特に好ましくは亜鉛である。
水溶性多価金属塩としては、多価金属と酸との塩、例え
ば多価金属と無機酸との塩または多価金属と有機酸との
塩が挙げられる。多価金属と酸との塩は、好ましくは常
温(20℃)で水に対する溶解度が約20mg/ml以上の
塩、さらに好ましくは溶解度が約100mg/ml以上の
塩、特に好ましくは溶解度が約200mg/ml以上の塩で
ある。多価金属と無機酸との塩における無機酸として
は、例えば塩酸,硫酸,硝酸,チオシアン酸が挙げられ
る。多価金属と有機酸との塩における有機酸としては、
例えば脂肪族カルボン酸,芳香族酸が挙げられる。脂肪
族カルボン酸は、好ましくは炭素数2ないし9の脂肪族
カルボン酸である。脂肪族カルボン酸としては、例えば
脂肪族モノカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ト
リカルボン酸等が挙げられる。これらの脂肪族カルボン
酸は、飽和あるいは不飽和のいずれであってもよい。
【0010】脂肪族モノカルボン酸としては、例えば炭
素数2ないし9の飽和脂肪族モノカルボン酸(例、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナン
ト酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸等)およ
び炭素数2ないし9の不飽和脂肪族モノカルボン酸
(例、アクリル酸、プロピオール酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸等)が挙げられる。脂肪族ジ
カルボン酸としては、例えば炭素数2ないし9の飽和脂
肪族ジカルボン酸(例、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸等)および炭素数2ないし
9の不飽和脂肪族ジカルボン酸(例、マレイン酸、フマ
ル酸、シトラコン酸、メサコン酸等)が挙げられる。脂
肪族トリカルボン酸としては、例えば炭素数2ないし9
の飽和脂肪族トリカルボン酸(例、トリカルバリル酸、
1、2、3−ブタントリカルボン酸等)が挙げられる。
上記した脂肪族カルボン酸は、水酸基を1ないし2個有
していてもよく、このような例としては、例えばグリコ
ール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。脂肪族カルボン
酸は、好ましくは脂肪族モノカルボン酸である。脂肪族
カルボン酸は、さらに好ましくは炭素数2ないし9の脂
肪族モノカルボン酸、特に好ましくは炭素数2ないし3
の飽和脂肪族モノカルボン酸である。脂肪族カルボン酸
の特に好ましい具体例としては、例えば酢酸等が挙げら
れる。芳香族酸としては、例えば安息香酸、サリチル酸
等が挙げられ、好ましくは安息香酸である。
【0011】多価金属と無機酸との塩、すなわち無機酸
多価金属塩の具体例を挙げれば、例えばハロゲン化塩
(例、塩化亜鉛、塩化カルシウム)、硫酸塩、硝酸塩、
チオシアン酸塩等である。多価金属と脂肪族カルボン酸
との塩、すなわち脂肪族カルボン酸多価金属塩の具体例
を挙げれば、例えば酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、プロピ
オン酸カルシウム、グリコール酸亜鉛、乳酸カルシウ
ム、乳酸亜鉛、酒石酸亜鉛である。脂肪族カルボン酸多
価金属塩の好ましい例を挙げれば、例えば酢酸カルシウ
ム、酢酸亜鉛である。特に好ましい具体例を挙げれば酢
酸亜鉛等である。多価金属と芳香族酸との塩、すなわち
芳香族酸多価金属塩の具体例を挙げれば、例えば安息香
酸塩、サリチル酸塩等である。特に好ましい具体例を挙
げれば安息香酸亜鉛である。
【0012】生理活性物質の水不溶性または水難溶性多
価金属塩は、生理活性物質と水溶性多価金属塩とを溶媒
中で混合することにより製造される。混合操作は、好ま
しくは水中で行われる。生理活性物質と水溶性多価金属
塩とを水中で混合する際の量比(モル比)は、例えば
1:1ないし1:1000、好ましくは1:1ないし
1:100、より好ましくは1:1ないし1:50、特
に好ましくは1:1ないし1:10である。また、両者
の水中における濃度は、それぞれ単独の溶解度範囲内
で、生成する複合体の溶解度以上の濃度であればよい。
上記混合時の水溶液のpHは、生理活性物質の生理活性を
損なわず、また、生理活性物質および水溶性多価金属塩
それぞれの溶解性を極端に下げないpHが採用される。混
合操作は、通常蒸留水中で行われるが、必要に応じて弱
酸性、中性または弱アルカリ性に調整した水中で行って
もよい。本発明における水不溶性または水難溶性とは不
可逆的なものではなく、可逆的であり、水に対する溶解
度が非常に低いことを意味する。水に対する溶解度とし
ては通常の温度(20℃)において約0ないし約0.1
%(w/w)、さらに好ましくは約0ないし約0.01
%(w/w)である。このようにして得られた生理活性
物質の水不溶性または水難溶性多価金属塩は、必要に応
じて真空乾燥あるいは凍結乾燥した後用いられる。本発
明の徐放性製剤中、生理活性物質の水難溶性多価金属塩
の含量は、一般的に約0.1%(w/w)ないし約50
%(w/w)、好ましくは約1%(w/w)ないし約3
0%(w/w)である。
【0013】生体内分解性ポリマーとしては、水に難溶
または不溶である高分子重合物、例えば脂肪族ポリエス
テル〔例、α−ヒドロキシカルボン酸類(例、グリコー
ル酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸等)、ヒドロキシジカルボ
ン酸類(例、リンゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸
(例、クエン酸等)等の1種以上から合成された単独重
合体、共重合体、あるいはこれらの混合物〕、ポリ−α
−シアノアクリル酸エステル、ポリアミノ酸(例、ポリ
−γ−ベンジル−L−グルタミン酸等)が挙げられる。
これらは、適宜の割合で混合して用いてもよい。重合の
形式はランダム、ブロック、グラフトの何れでもよい。
生体内分解性ポリマーは、好ましくは脂肪族ポリエステ
ル〔例、α−ヒドロキシカルボン酸類(例、グリコール
酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸等)、ヒドロキシジカルボン
酸類(例、リンゴ酸等)、ヒドロキシトリカルボン酸
(例、クエン酸等)等の1種以上から合成された単独重
合体、共重合体、あるいはこれらの混合物〕である。上
記した脂肪族ポリエステル中、α−ヒドロキシカルボン
酸類(例、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸等)の
1種以上から合成された単独重合体、共重合体が確実な
生体内分解性および生体適合性の観点から好ましい。脂
肪族ポリエステルは、特に好ましくはα−ヒドロキシカ
ルボン酸類(例、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸
等)の1種以上から合成された共重合体である。また、
これらの共重合体は混合して使用されてもよい。本発明
における生体内分解性ポリマーは、自体公知の方法によ
り製造される。
【0014】上記α−ヒドロキシカルボン酸類はD−
体、L−体、およびD、L−体の何れでもよいが、D−
体/L−体(モル/モル%)が約75/25ないし約2
5/75の範囲のものが好ましい。D−体/L−体(モ
ル/モル%)は、さらに好ましくは約60/40ないし
約30/70である。上記α−ヒドロキシカルボン酸類
の共重合体の例としてはグリコール酸と他のα−ヒドロ
キシ酸類との共重合体が挙げられ、該α−ヒドロキシ酸
類としては乳酸、2−ヒドロキシ酪酸が好ましい。α−
ヒドロキシカルボン酸類の共重合体は、好ましくは乳酸
−グリコール酸共重合体または2−ヒドロキシ酪酸−グ
リコール酸共重合体である。α−ヒドロキシカルボン酸
類の共重合体は、特に好ましくは乳酸−グリコール酸共
重合体である。
【0015】乳酸−グリコール酸共重合体において、そ
の組成比(乳酸/グリコール酸)(モル/モル%)は約
100/0ないし約40/60が好ましい。該組成比
は、さらに好ましくは約90/10ないし約45/55
である。組成比は、特に好ましくは約80/40ないし
約45/55である。乳酸−グリコール酸共重合体の重
量平均分子量は約3,000ないし約20,000、好
ましくは約3,000ないし約14,000、さらに好
ましくは約3,000ないし12,000である。ま
た、乳酸−グリコール酸共重合体の分散度(重量平均分
子量/数平均分子量)は約1.2から約4.0が好まし
い。さらに好ましくは、約1.5から約3.5である。
乳酸−グリコール酸共重合体は、自体公知の製造法、例
えば特開昭61−28521号公報に記載の方法に従っ
て合成できる。該共重合体は無触媒脱水重縮合で合成さ
れたものが好ましい。2−ヒドロキシ酪酸−グリコール
酸共重合体において、グリコール酸が約10ないし約7
5モル%、残りが2−ヒドロキシ酪酸である場合が好ま
しい。さらに好ましくは、グリコール酸が約20ないし
約75モル%の場合である。特に好ましくは、グリコー
ル酸が約30ないし約70モル%の場合である。2−ヒ
ドロキシ酪酸−グリコール酸共重合体の重量平均分子量
は、約2,000ないし約20,000が好ましい。2
−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重合体の分散度(重
量平均分子量/数平均分子量)は約1.2ないし4.0
が好ましい。分散度は、特に好ましくは約1.5ないし
3.5である。2−ヒドロキシ酪酸−グリコール酸共重
合体は公知の製造法、例えば特開昭61−28521号
公報に記載の方法に従って合成できる。該共重合体は無
触媒脱水重縮合で合成されたものが好ましい。上記α−
ヒドロキシカルボン酸類の単独重合体の好ましい例とし
ては乳酸の単独重合体が挙げられる。乳酸単独重合体の
重量平均分子量は約3,000ないし約20,000、
好ましくは約3,000ないし約14,000である。
乳酸単独重合体は、自体公知の製造法、例えば特開昭6
1−28521号公報に記載の方法に従って合成でき
る。該単独重合体は無触媒脱水重縮合で合成されたもの
が好ましい。
【0016】上記した2−ヒドロキシ酪酸−グリコール
酸共重合体は、さらにポリ乳酸と混合して使用してもよ
い。該ポリ乳酸としては、D−体、L−体およびこれら
の混合物の何れでもよいが、D−体/L−体(モル/モ
ル%)が約75/25ないし約20/80の範囲のもの
が好ましい。D−体/L−体(モル/モル%)は、さら
に好ましくは約60/40ないし約25/75である。
D−体/L−体(モル/モル%)は、特に好ましくは約
55/45ないし約25/75である。該ポリ乳酸の重
量平均分子量は、約1,500ないし約20,000、
好ましくは約1,500ないし約10,000である。
また、ポリ乳酸の分散度は約1.2ないし約4.0が好
ましい。分散度は、特に好ましくは約1.5ないし約
3.5である。ポリ乳酸の製造法については、乳酸の二
量体であるラクタイドを開環重合する方法と乳酸を脱水
重縮合する方法が知られている。本発明で使用する比較
的低分子のポリ乳酸を得るためには、乳酸を直接脱水重
縮合する方法が好ましい。該方法は、例えば特開昭61
−28521号公報に記載されている。2−ヒドロキシ
酪酸−グリコール酸共重合体とポリ乳酸とを混合して使
用する場合、その混合比は例えば約10/90ないし約
90/10(重量%)である。混合比は、好ましくは約
20/80ないし約80/20である。混合比は、さら
に好ましくは約30/70ないし70/30である。
【0017】本明細書中、重量平均分子量とは、重量平
均分子量が120,000、52,000、22,00
0、9,200、5,050、2,950、1,05
0、580、162の9種類のポリスチレンを基準物質
としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定したポリスチレン換算の分子量をいう。GP
C測定により数平均分子量も計算される。分散度は重量
平均分子量と数平均分子量とから計算される。GPC測
定はGPCカラムKF804L x 2(昭和電工製)、
RIモニターL−3300(日立製作所製)を使用し、
移動相としてクロロホルムを用いた。
【0018】上記した無触媒脱水重縮合で合成される共
重合体は、一般的に末端に遊離のカルボキシル基を有す
る。本発明において、生体内分解性ポリマーは、好まし
くは末端に遊離のカルボキシル基を有する。末端に遊離
のカルボキシル基を有する生体内分解性ポリマーとは、
GPC測定による数平均分子量と末端基定量による数平
均分子量とがほぼ一致する生体内分解性ポリマーであ
る。末端基定量による数平均分子量は、以下のようにし
て算出される。約1gないし3gの生体内分解性ポリマ
ーをアセトン(25 ml)とメタノール(5ml)との混合溶媒に
溶解し、フェノールフタレインを指示薬としてこの溶液
中のカルボキシル基を0.05 N アルコール性水酸化カリ
ウム溶液で室温での撹拌下、速やかに滴定して末端基定
量による数平均分子量を次式で算出した。 末端基定量による数平均分子量 = 20,000 A/B A:生体内分解性ポリマーの質量 (g) B:滴定終点までに添加した 0.05 N アルコール性水酸
化カリウム溶液 (ml) 例えば、1種類以上のα-ヒドロキシ酸類から無触媒脱
水重縮合法で合成され、末端に遊離のカルボキシル基を
有する重合体では、GPC測定による数平均分子量と末
端基定量による数平均分子量とがほぼ一致する。これに
対し、環状二量体から触媒を用いて開環重合法で合成さ
れ、末端に遊離カルボキシル基を本質的には有しない重
合体では、末端基定量による数平均分子量がGPC測定
による数平均分子量を大きく上回る。この相違によって
末端に遊離のカルボキシル基を有する重合体は末端に遊
離カルボキシル基を有しない重合体と明確に区別するこ
とができる。
【0019】末端基定量による数平均分子量が絶対値で
あるのに対してGPC測定による数平均分子量は各種分
析、解析条件(例えば移動相の種類、カラムの種類、基
準物質、スライス幅の選択、ベースラインの選択等)に
よって変動する相対値であるため、一義的な数値化は困
難であるが、例えばGPC測定による数平均分子量と末
端基定量による数平均分子量とがほぼ一致するとは、末
端基定量による数平均分子量がGPC測定による数平均
分子量の約0.5倍ないし約2倍の範囲内であることを
いう。好ましくは、約0.8倍ないし約1.5倍の範囲
内であることをいう。また、末端基定量による数平均分
子量がGPC測定による数平均分子量を大きく上回ると
は、末端基定量による数平均分子量がGPC測定による
数平均分子量の約2倍を越える場合をいう。
【0020】本発明の徐放性製剤は、生理活性物質と水
溶性多価金属塩とを混合して得られる生理活性物質の水
不溶性または水難溶性多価金属塩を生体内分解性ポリマ
ーに分散または溶解させることによって製造される。徐
放性製剤の製造法としては、例えば水中乾燥法、相分離
法、噴霧乾燥法あるいはこれらに準ずる方法などが挙げ
られる。以下に、徐放性製剤として、例えばマイクロカ
プセルを製造する場合の製造方法について記述する。
【0021】(イ)水中乾燥法(o/w法) 本方法においては、まず生体内分解性ポリマーの有機溶
媒溶液を作製する。本発明の徐放性製剤の製造の際に使
用する有機溶媒は、沸点が120℃以下であることが好
ましい。該有機溶媒としては、例えばハロゲン化炭化水
素(例、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素
等)、アルコール類(エタノール、メタノール)、アセ
トニトリル等が挙げられる。これらは適宜の割合で混合
して用いてもよい。有機溶媒は、好ましくはジクロロメ
タン、アセトニトリルである。有機溶媒は、特に好まし
くはジクロロメタンである。生体内分解性ポリマーの有
機溶媒溶液中の濃度は、生体内分解性ポリマーの分子
量、有機溶媒の種類などによって異なるが、一般的には
約0.01ないし約80%(w/w)から選ばれる。さ
らに好ましくは約0.1ないし約70%(w/w)、特
に好ましくは約1ないし約60%である。このようにし
て得られた生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液中に、
生理活性物質の水不溶性または水難溶性多価金属塩を、
必要により凍結乾燥あるいは真空乾燥した後、添加し、
溶解させる。この際、複合体の添加量は、複合体:生体
内分解性ポリマーの重量比の上限が約1:2まで、好ま
しくは約1:3までとなるようにする。ついで、このよ
うにして調製された有機溶媒溶液をさらに水相中に加え
て、タービン型攪拌機などを用いてo/wエマルション
を形成させた後、油相溶媒を蒸発させ、マイクロカプセ
ルを製造する。この際の水相体積は一般的には油相体積
の約1倍ないし約10,000倍から選ばれる。さらに
好ましくは、約2倍ないし約5,000倍から選ばれ
る。特に好ましくは、約5倍ないし約2,000倍から
選ばれる。上記外水相中に乳化剤を加えてもよい。該乳
化剤は、一般的に安定なo/wエマルションを形成でき
るものであれば何れでもよい。乳化剤としては、例えば
アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオ
キシエチレンヒマシ油誘導体、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、
レシチン、ゼラチン、ヒアルロン酸などが挙げられる。
これらは適宜組み合わせて使用してもよい。外水相中の
乳化剤の濃度は、好ましくは約0.001%ないし20
%(w/w)である。さらに好ましくは約0.01%な
いし10%(w/w)、特に好ましくは約0.05%な
いし5%(w/w)である。上記したo/w法において
は、複合体を生体内分解性ポリマーの有機溶媒溶液中に
分散させる方法、すなわちs/o/w法によりマイクロ
カプセルを製造してもよい。
【0022】(ロ)水中乾燥法(w/o/w法) 本方法においては、まず生体内分解性ポリマーの有機溶
媒溶液を製造する。この際、生体内分解性ポリマーの有
機溶媒溶液中の濃度は、生体内分解性ポリマーの分子
量、有機溶媒の種類などによって異なるが、一般的には
約0.01ないし約80%(w/w)から選ばれる。さ
らに好ましくは約0.1ないし約70%(w/w)、特
に好ましくは約1ないし約60%である。内水相として
複合体の水分散液を使用する。複合体の水分散液中の濃
度は、例えば約10%(w/v)ないし約90%(w/
v)である。上記した複合体の水分散液を生体内分解性
ポリマーの有機溶媒溶液に乳化,分散し、w/oエマル
ションを製造する。乳化操作は、公知の分散方法により
行われる。乳化操作は、例えばタービン型撹拌機、ホモ
ジナイザー等を用いて行われる。この際、内水相と生体
内分解性ポリマーの重量比の上限が約1:2まで、好ま
しくは約1:3までとなるようにする。内水相と生体内
分解性ポリマーの有機溶媒溶液との比率は1:1,00
0(v/v)ないし1:1(v/v)、好ましくは1:
100(v/v)ないし1:5(v/v)、特に好まし
くは1:50(v/v)ないし1:5(v/v)であ
る。ついでこのようにして製造されたw/oエマルショ
ンをさらに水相中に加えて、w/o/wエマルションを
製造し、油相溶媒を蒸発させマイクロカプセルを製造す
る。具体的操作は上記(イ)に準ずる。
【0023】本発明で用いられる徐放性製剤は微粒子状
であることが好ましい。なぜならば徐放性製剤は、通常
の皮下あるいは筋肉内注射に使用される注射針を通して
投与される方が、患者に対し過度の苦痛を与えることが
ないからである。該徐放性製剤の粒子径は、例えば平均
粒子径として約0.1ないし300μm、好ましくは約
1ないし150μm、特に好ましくは約2ないし100
μmである。本明細書中、微粒子状の徐放性製剤を、マ
イクロカプセルと称することもある。マイクロカプセル
はマイクロスフィアと称することもある。
【0024】本発明の徐放性製剤は、例えばマイクロカ
プセルとして、あるいはマイクロカプセルを原料物質と
して種々の剤形に製剤化し、非経口剤(例、筋肉内、皮
下、臓器などへの注射剤または埋め込み剤、鼻腔、直
腸、子宮などへの経粘膜剤等)、経口剤(例、カプセル
剤(例、硬カプセル剤、軟カプセル剤等)、顆粒剤、散
剤等の固形製剤、懸濁剤等の液剤等)などとして投与す
ることができる。本発明において、徐放性製剤は特に注
射用であることが好ましい。例えば、徐放性製剤がマイ
クロカプセルである場合、マイクロカプセルを分散剤
(例、Tween 80、HCO-60 等の界面活性剤、カルボキシ
メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン
酸等の多糖類など)、保存剤(例、メチルパラベン、プ
ロピルパラベンなど)、等張化剤(例、塩化ナトリウ
ム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖など)等と
共に水性懸濁剤とすることにより実用的な注射用徐放製
剤が得られる。また、ゴマ油、コーン油などの植物油あ
るいはこれにレシチンなどのりん脂質を混合したもの、
あるいは中鎖脂肪酸トリグリセリド(例、ミグリオール
812)と共に分散して油性懸濁剤として実際に使用で
きる徐放性注射剤とする。
【0025】徐放性製剤が例えばマイクロカプセルであ
る場合、マイクロカプセルの粒子径は、懸濁注射剤とし
て使用する場合にはその分散度、通針性を満足する範囲
であればよく、例えば平均粒子径として約0.1ないし
約300μmの範囲が挙げられる。粒子径は、好ましく
は約1ないし約150μm、特に好ましくは約2ないし
約100μmの範囲である。上記したマイクロカプセル
を無菌製剤にするには、製造全工程を無菌にする方法、
ガンマ線で滅菌する方法、防腐剤を添加する方法等が挙
げられるが、特に限定されない。
【0026】本発明の徐放性製剤は、低毒性で哺乳動物
(例、ヒト、牛、豚、犬、ネコ、マウス、ラット、ウサ
ギ等)に対して安全に用いることができる。本発明の徐
放性製剤の適応は、使用する生理活性物質により異な
る。本発明の徐放性製剤は、生理活性物質が例えばイン
スリンである場合には糖尿病などの治療または予防に、
インターフェロンアルファである場合には腎癌,C型肝
炎などの治療または予防に、エリスロポエチンである場
合には貧血などの治療または予防に、成長ホルモンであ
る場合には発育不全などの治療または予防に、顆粒球コ
ロニー刺激因子である場合には癌化学療法後の好中球減
少症などの治療または予防に有効である。また、生理活
性物質がエリスロポエチンである場合、本発明の徐放性
製剤は、自己血輸血のための造血促進にも有効である。
徐放性製剤の投与量は、生理活性物質の種類と含量、放
出の持続時間、対象疾病、対象動物などによって種々異
なるが、生理活性物質の有効量であればよい。該生理活
性物質の1回当たりの投与量としては、例えば徐放性製
剤が1週間型製剤である場合、好ましくは、成人1人、
約 0.0001 ないし10mg/kg体重の範囲から適宜選ぶこと
ができる。さらに好ましくは約 0.0005 ないし1mg/kg
体重の範囲から適宜選ぶことができる。徐放性製剤の投
与量は、成人1人、1回当たり好ましくは、約 0.0005
ないし50 mg/kg体重の範囲から適宜選ぶことができ
る。さらに好ましくは約 0.0025ないし10mg/kg体重の
範囲から適宜選ぶことができる。投与回数は、1週間に
1回、2週間に1回,4週間に1回等、生理活性物質の
種類と含量、剤型、放出の持続時間、対象疾病、対象動
物などによって適宜選ぶことができる。本発明の製剤の
保存は常温あるいは冷所に保存されるが、好ましくは冷
所である。ここでいう常温あるいは冷所とは日本薬局方
において定義されるものである。すなわち、常温とは1
5ないし25℃を、冷所とは15℃以下を意味する。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、これらは本発明を限定するものではな
い。 参考例1 0.5gの豚インスリン(27.3U/mg、ディオシ
ンス社、オランダ))を100mM水酸化ナトリウム水
溶液22mlに溶解させた溶液と、1gの酢酸亜鉛(2
水和物)を10mlの蒸留水に溶解させた溶液を混合
し、室温で1時間放置した。約3,000 rpm で遠心
分離操作を行ない(05PR-22、日立製作所)上清を捨て
た。これを再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行っ
た。上清を捨てた後、少量の蒸留水を加えて凍結乾燥
し、約1gの粗豚インスリン亜鉛塩を乾燥粉末として得
た。得られた粉末中のインスリン含量を調べるため、3
0%アセトニトリルを含有する50mMのEDTA溶液
で3時間振とうして抽出し、高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)で定量した。その結果、乾燥粉末100
mgあたり豚インスリンを47.6mg含有していた。
【0028】参考例2 40%水酸化カリウム水溶液168mlとエチルエーテ
ル1,000mlの混液に氷冷撹拌下、ニトロソエチル
尿素104gを少しずつ加えた。生じた黄色のエーテル
層を分液し、粒状の水酸化カリウムを加え乾燥した。つ
いで水酸化カリウムを除去し、ジアゾエタン溶液約90
0mlを得た。重量平均分子量約5,800の乳酸−グリコ
ール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50(モ
ル/モル%))、130gを塩化メチレン1,900m
lに溶解し、撹拌冷却した。氷冷下、上記したジアゾエ
タン溶液を滴下し、その後室温下2時間撹拌した。一夜
放置後、溶媒を減圧留去し、残留物を室温で真空乾燥す
ることにより、乳酸−グリコール酸共重合体のエチルエ
ステル131gを得た。
【0029】参考例3 1mgのヒト成長ホルモン(バイオテクノロジー・ジェ
ネラル社、米国)を0.9mlの蒸留水に溶解した溶液
に、9.98、29.43、49.88、69.84、
79.81または99.77μgの酢酸亜鉛(二水和
物)を100μlの蒸留水に溶解した水溶液を混合し
た。亜鉛/成長ホルモンのモル比はそれぞれ1、3、
5、7、8、10である。このモル比が5の時には成長
ホルモンの約60%が沈殿し、7以上ではほぼ100%
の成長ホルモンが沈殿した。
【0030】実施例1 インターフェロンアルファ水溶液200ml(400億
国際単位を含有)に酢酸亜鉛(2水和物)水溶液1ml
(200mg/ml)と1規定水酸化ナトリウム1ml
を加えて、混合後4℃にて一晩静置した。3,000rp
mで遠心分離後、不溶性の複合体を回収し、凍結乾燥し
て、約200mgの粗インターフェロンアルファ亜鉛塩
を得た。乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー
ル酸比=50/50、分子量5800、和光純薬製)1.5
gと参考例2で得られた乳酸−グリコール酸共重合体の
エチルエステル1.5gをジクロロメタン4mlに溶解
した溶液に、前記した粗インターフェロンアルファ亜鉛
塩200mgを添加し、ホモジナイザー(ポリトロン)
で約30秒間攪拌し、s/oエマルションを得た。得ら
れたs/oエマルションを予め18℃に調節しておいた
0.1% (w/w) ポリビニルアルコール(EG-40、日本合
成化学製)水溶液700ml 中に注入し、タービン型
ホモミキサーを用い、6,000 rpm でs/o/wエ
マルションとした。このs/o/wエマルションを室温
で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させ、油相を固
化させた。ついで、約2,000 rpm で遠心分離操作
を行ない(05PR-22、日立製作所)上清を捨てた。得ら
れる残渣を再び蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行っ
た。捕集されたマイクロカプセルにD−マンニトール5
0mgを加え、さらに少量の蒸留水を加えて再分散した
後、この分散液を凍結乾燥して粉末状のマイクロカプセ
ルを得た。
【0031】実施例2 乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=7
5/25(モル/モル%)、重量平均分子量13,58
5、数平均分子量 4,413、和光純薬工業製)3.
6gにジクロロメタン6.6g(5ml) を加えて溶解
した。また参考例1で得られた粗豚インスリン亜鉛塩4
20mg(豚インスリンを200mg含有)をジクロロ
メタン6.6g(5ml) に分散し、両者を混合した
後、ホモジナイザー(ポリトロン)で約10秒間攪拌
し、s/oエマルションを得た。得られたs/oエマル
ションを予め18℃に調節しておいた0.1% (w/w)
ポリビニルアルコール(EG-40、日本合成化学製)水溶
液800ml中に注入し、タービン型ホモミキサーを用
い、6,000 rpm でs/o/wエマルションとし
た。このs/o/wエマルションを室温で3時間撹拌し
てジクロロメタンを揮散させ、油相を固化させた。つい
で、約2,000 rpm で遠心分離操作を行ない(05PR-
22、日立製作所)上清を捨てた 。得られる残渣を再び
蒸留水に分散後、さらに遠心分離を行った。捕集された
マイクロカプセルにD−マンニトール50mgを加え、
さらに少量の蒸留水を加えて再分散した後、この分散液
を凍結乾燥して粉末状のマイクロカプセルを得た(約3
グラム回収)。得られたマイクロカプセル中のインスリ
ン含量を調べるため、30%アセトニトリルを含有する
50mMのEDTA溶液で3時間振とうして抽出し、高
速液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。そ
の結果、マイクロカプセル100mgあたりインスリン
を6.2mg含有していた。
【0032】実施例3 エリスロポエチン注射液(エスポーTM 注射液300
0、三共株式会社製)8ml(12000国際単位を含
有)に塩化亜鉛1gを少量づつ加え、室温で1時間放置
した。得られる混合液を3,000rpmで遠心分離
し、沈殿物を蒸留水に再度分散したのち、さらに遠心分
離により沈殿物を得た。該沈殿物に少量の蒸留水を加え
て凍結乾燥し、粗エリスロポエチン亜鉛塩と粗アルブミ
ン亜鉛塩との混合物60mgを粉末として得た。乳酸−
グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸比=50/5
0、分子量14000、和光純薬製)0.5gをジクロ
ロメタン1.5mlに溶解した溶液に、前記した粗エリ
スロポエチン亜鉛塩と粗アルブミン亜鉛塩との混合物6
0mgを添加し、ホモジナイザー(ポリトロン)で約3
0秒間攪拌しs/oエマルションを得た。ついで、実施
例1と同様にして粉末状のマイクロカプセル152mg
を得た。
【0033】実施例4 ヒト成長ホルモン(ジェノトロピンTM 16IU、住友
製薬株式会社製)を蒸留水1mlに溶解し、さらに塩化
亜鉛水溶液(10mg/ml)100μlを加え、室温
で1時間放置した。得られる混合液を遠心分離し、沈殿
物を蒸留水に再度分散したのち、さらに遠心分離により
沈殿物を得た。該沈殿物に少量の蒸留水を加えて凍結乾
燥し、粗ヒト成長ホルモン亜鉛塩5.6mgを粉末とし
て得た。乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコー
ル酸比=75/25、分子量9,800、和光純薬製)0.
5gをジクロロメタン1.5mlに溶解した溶液に、前
記した粗ヒト成長ホルモン亜鉛塩5.6mgを添加し、
ホモジナイザー(ポリトロン)で約30秒間攪拌しs/
oエマルションを得た。ついで、実施例1と同様にして
粉末状のマイクロカプセル121mgを得た。
【0034】実施例5 顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)注射液〔フィル
グラスチンノイポージェン(Filgrastin Neupogen)
(商品名)、アムジェン社,米国〕10ml(3×10
8国際単位を含有)を希水酸化ナトリウム水溶液で中性
にしたのち、塩化亜鉛水溶液(10mg/ml)1ml
を加え、室温で1時間放置した。得られる混合液を遠心
分離し、沈殿物を蒸留水に再度分散したのち、さらに遠
心分離により沈殿物を得た。該沈殿物に少量の蒸留水を
加えて凍結乾燥し、粗顆粒球コロニー刺激因子亜鉛塩4
mgを粉末として得た。乳酸−グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸比=50/50、分子量8,000、
和光純薬製)0.5gをジクロロメタン1.5mlに溶
解した溶液に、前記した粗顆粒球コロニー刺激因子亜鉛
塩4mgを添加し、ホモジナイザー(ポリトロン)で約
30秒間攪拌しs/oエマルションを得た。ついで、実
施例1と同様にして粉末状のマイクロカプセル110m
gを得た。
【0035】実施例6 ヒトインスリン(ヒト組換え体インスリン、和光純薬
製)5.21mg(26U/mg)を57mM塩酸水溶
液0.63mlに溶解した後、0.05N水酸化ナトリ
ウム水溶液0.35mlを加えて、pHが中性付近のヒ
トインスリン溶液を得た。該ヒトインスリン溶液に酢酸
亜鉛水溶液(20mg/ml)0.2mlを加え、4℃
で1晩放置した。得られる混合液を約3,000rpm
で遠心分離し、沈殿物を蒸留水に再度分散したのち、さ
らに遠心分離により沈殿物を得た。該沈殿物に少量の蒸
留水を加えて凍結乾燥し、粗ヒトインスリン亜鉛塩11
mgを粉末として得た。乳酸−グリコール酸共重合体
(乳酸/グリコール酸比=50/50、分子量6,000、
和光純薬製)0.5gをジクロロメタン1.5mlに溶
解した溶液に、前記した粗ヒトインスリン亜鉛塩11m
gを添加し、ホモジナイザー(ポリトロン)で約30秒
間攪拌しs/oエマルションを得た。ついで、実施例1
と同様にして粉末状のマイクロカプセル105mgを得
た。
【0036】比較例 乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸比=
50/50、分子量6,000、和光純薬製)0.9gをジ
クロロメタン1.5mlに溶解した。この溶液に亜鉛を
ほとんど含まないヒトインスリン100mg(亜鉛含量
0.0001%(w/w)以下)を添加し、ボルテックス
ミキサーにて混合後、ホモジナイザー(ポリトロン)で
約10秒間撹拌しs/oエマルションを得た。ついで、
実施例1と同様にして粉末状のマイクロカプセル470
mgを得た。得られたマイクロカプセル中のインスリン
含量を調べるため、30%アセトニトリルを含有する5
0mMのEDTA溶液で3時間振とうして抽出し、高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)で定量した。その
結果、マイクロカプセル100mgあたりインスリンを
8.7mg含有していた。
【0037】実験例1 実施例2で得られた粉末状のマイクロカプセル323m
gを注射用分散媒(蒸留水1mlあたり5mgのカルボ
キシメチルセルロース、1mgのポリソルベート80、
50mgのマンニトールを溶解したもの)1mlに分散
し、6週令の雄性SD系ラットの背部に皮下投与した
(インスリン投与量:一匹あたり約20mg)。投与
後、経時的に尾部より採血し、血清中の豚インスリン濃
度を酵素免疫学的手法(EIA)(三光純薬製)で測定
した。その結果、投与後1週間以上、血清中に活性を持
つ豚インスリンが検出された。
【0038】実験例2 実施例4で得られたマイクロカプセル70mgを注射用
分散媒(5gのカルボキシメチルセルロース、2gのポ
リソルベート80および50gのマンニトールを蒸留水
1Lに溶解した溶液)0.5mlに分散して、6週齢雄
性SDラットの背部に皮下投与した(成長ホルモン投与
量:一匹あたり約3mg)。投与後、経時的に尾部より
採血し、血清中の成長ホルモン濃度をラジオイムノアッ
セイ(RIA)で測定した。その結果、投与後1週間以
上、血清中に活性を持つ成長ホルモンが検出された。
【0039】比較実験例 比較例で得られた粉末状のマイクロカプセル154.7
mgを注射用分散媒(蒸留水1mlあたり5mgのカル
ボキシメチルセルロース、1mgのポリソルベート8
0、50mgのマンニトールを溶解したもの)1.75
mlに分散し、6週令の雄性SD系ラットの背部皮下投
与した(インスリン投与量:一匹あたり約44mg)。
投与後、経時的に尾部より採血し、血清中のヒトインス
リン濃度を酵素免疫学的手法(EIA)で測定した。そ
の結果、投与後1日目以降は、血清中にインスリンは、
ほとんど検出されなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、生理活性物質の封入効
率を高め、投与後初期の漏出を抑制した徐放性製剤が得
られる。また、本発明の徐放性製剤は、生体内投与後に
生理活性物質の生物活性を保持したまま徐放できる。さ
らに、徐放性製剤中の生理活性物質が長期間にわたって
安定に保たれ、生物活性の損失が少ない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 39/395 A61K 37/24 47/02 37/465 37/48 (72)発明者 岡田 弘晃 大阪府吹田市山田南44番11−704号

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンドセリン拮抗物質を除く水溶性ペプチ
    ド性生理活性物質の水不溶性または水難溶性多価金属塩
    と生体内分解性ポリマーとを含有してなる徐放性製剤。
  2. 【請求項2】生理活性物質が水溶性ペプチドまたはその
    誘導体である請求項1記載の徐放性製剤。
  3. 【請求項3】ペプチドがホルモン、サイトカイン、増血
    因子、増殖因子、酵素、可溶性または可溶化受容体、抗
    体、ペプチド性抗原、血液凝固因子または接着因子であ
    る請求項2記載の徐放性製剤。
  4. 【請求項4】生理活性物質がホルモンである請求項1記
    載の徐放性製剤。
  5. 【請求項5】ホルモンが成長ホルモンである請求項4記
    載の徐放性製剤。
  6. 【請求項6】ホルモンがインスリンである請求項4記載
    の徐放性製剤。
  7. 【請求項7】生理活性物質がサイトカインである請求項
    1記載の徐放性製剤。
  8. 【請求項8】サイトカインがインターフェロンである請
    求項7記載の徐放性製剤。
  9. 【請求項9】生理活性物質が増殖因子である請求項1記
    載の徐放性製剤。
  10. 【請求項10】多価金属塩が遷移金属塩である請求項1
    記載の徐放性製剤。
  11. 【請求項11】多価金属塩が亜鉛塩である請求項1記載
    の徐放性製剤。
  12. 【請求項12】多価金属塩の水に対する溶解度が約0な
    いし約0.1%(w/w)である請求項1記載の徐放性
    製剤。
  13. 【請求項13】多価金属塩を約0.1ないし約50%
    (w/w)含有してなる請求項1記載の徐放性製剤。
  14. 【請求項14】生体内分解性ポリマーが脂肪族ポリエス
    テルである請求項1記載の徐放性製剤。
  15. 【請求項15】脂肪族ポリエステルが乳酸及びグリコー
    ル酸の重合体である請求項14記載の徐放性製剤。
  16. 【請求項16】乳酸及びグリコール酸の組成比(モル/
    モル%)が100/0ないし約40/60である請求項
    15記載の徐放性製剤。
  17. 【請求項17】重合体の重量平均分子量が約3,000
    ないし約20,000である請求項15記載の徐放性製
    剤。
  18. 【請求項18】脂肪族ポリエステルが乳酸の単独重合物
    である請求項14記載の徐放性製剤。
  19. 【請求項19】単独重合物の重量平均分子量が約3,0
    00ないし約20,000である請求項18記載の徐放
    性製剤。
  20. 【請求項20】マイクロカプセルである請求項1記載の
    徐放性製剤。
  21. 【請求項21】マイクロカプセルが注射用である請求項
    20記載の徐放性製剤。
  22. 【請求項22】注射用である請求項1記載の徐放性製
    剤。
  23. 【請求項23】徐放性製剤の製造のためのエンドセリン
    拮抗物質を除く水溶性ペプチド性生理活性物質の水不溶
    性または水難溶性多価金属塩および生体内分解性ポリマ
    ーの使用。
  24. 【請求項24】エンドセリン拮抗物質を除く水溶性ペプ
    チド性生理活性物質の水不溶性または水難溶性多価金属
    塩を生体内分解性ポリマーを含む油相に分散しs/o型
    エマルションを調製し、得られたs/o型エマルション
    を水相に添加しs/o/w型エマルションを調製し、次
    いで得られたs/o/w型エマルションを水中乾燥に付
    すことを特徴とする徐放性製剤の製造法。
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