JPH08224057A - 食品練り込み用油脂組成物 - Google Patents

食品練り込み用油脂組成物

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JPH08224057A
JPH08224057A JP7031196A JP3119695A JPH08224057A JP H08224057 A JPH08224057 A JP H08224057A JP 7031196 A JP7031196 A JP 7031196A JP 3119695 A JP3119695 A JP 3119695A JP H08224057 A JPH08224057 A JP H08224057A
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周 遠藤
Mitsuharu Tanaka
光治 田中
Shinobu Sugiyama
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造工程中における粉体成分の沈降や製造機
内部の磨耗等の問題を解消し、容易に製造され得る食品
練り込み用油脂組成物を提供すること。 【構成】 水で膨潤した化工デンプンのデンプン粒子が
油脂中に分散していることを特徴とする食品練り込み用
油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食パンや菓子パン、パ
イ、ケーキ等に代表されるベーカリー食品の穀物生地に
練り込むことによって、該生地により製造したベーカリ
ー食品の老化を抑制し、更にその食感を良好な状態に保
つことのできる食品練り込み用油脂組成物に関する。
【従来の技術】
【0002】従来から、穀物生地より得られるベーカリ
ー食品の品質・食感・耐老化性を向上させる方法は様々
に研究・検討され、すでに食品製造業界では、穀物生地
に、乳化剤、酵素又はデンプン等を添加する方法が実用
的な技術として活用されている。
【0003】従来技術を開示する公報等として、次のよ
うな事例、文献、公報等が挙げられる。 1)穀物生地からなるベーカリー食品の品質改良には、乳
化剤の使用が広く行われており、完成した食品の食感を
ソフトに保つための「ソフナー」としての使用法や、生
地の機械耐性や完成品のボリューム等を改善するための
「ドウ・コンディショナー」としての使用法など、ごく
一般的に使用されている。
【0004】2)Cereal chemistry, 24, 231,(1947)に
は、モノグリセライドを含有するスーパーショートニン
グをパン生地に添加する方法が記載されており、モノグ
リセライドがデンプン粒子中のアミロースの直鎖部分と
安定な複合体を形成することにより、パンの老化を防止
する効果が奏されることが記載されている。
【0005】3)Cereal chemistry, 58, 180,(1981)に
は、ジアセチル酒石酸モノグリセライド(DATE
M)、ステアロイル乳酸Ca(CSL)、ステアロイル
乳酸Na(SSL)、コハク酸モノグリセライド(SM
G)、モノグリセライド(MG)、シュガーエステル
(SE)、ポリソルベート60(Poly60)、エト
キシ化モノグリセライド(EMG)をパン生地に添加し
た場合の生地の物性の比較が記載されており、生地の安
定性にはDATEM、CSL、SSLが有効であること
が記載されている。
【0006】4)Advances in Cereal Science and Techn
ology, p.243,(1984) には、各種の乳化剤を使用した場
合のパンの体積増大を比較した結果が記載されており、
DATEM、SMGに体積増大効果があることが記載さ
れている。
【0007】5)パンの製造時や製粉工程において、原料
にモルトエキスを添加することは、かなり古くから実施
されていたことである。モルトエキスとは麦芽の抽出物
であり、アミラーゼやプロテアーゼ等の酵素を主成分と
した酵素の混合物である。品質の悪い(酵素力価の変動
の大きい)小麦粉を有効利用する場合や、アメリカで考
案された連続製パン法の急激な発展には、適当な酵素剤
の使用は必然であった。酵素剤の添加によるパンの品質
改良効果は、ミキシングタイムの短縮、発酵時間中の生
地のデベロップ時間の短縮、ホイロでの発酵時間の短
縮、釜伸びの増大及びパン老化防止効果などに現れると
言われている。
【0008】6)Bakers'Digest, August,1952には、モル
ト、カビやバクテリアのα−アミラーゼ又はβ−アミラ
ーゼをベーカリー食品の生地に添加することによるベー
カリー食品の品質改良効果の比較が記載されている。
【0009】7)また、製パン、製菓、製粉業界はもとよ
り、広く食品業界においては、穀類を使用した食品に各
種の酵素剤を添加し、その食品の品質を向上させること
が、一般的な方法として実施されている。
【0010】8)特開平3−87135号公報には、パン
類の製造の際、原料に用いる小麦粉の一部を「化工デン
プンと活性グルテン」に置換する方法が記載されてい
る。化工デンプンとは、エーテル化、エステル化、架橋
エーテル化、架橋エステル化等されたデンプンであり、
この方法によってパンの体積が充分に増大し、パン類の
品質の劣化を防止できることが記載されている。
【0011】9)特開平4−91744号公報には、パン
類の製造の際に、生地に膨潤度4〜35、エーテル化度
0.01〜0.25、エステル化度0.01〜0.25
のアルファ化架橋デンプンを0.5〜10%添加する方
法が記載されており、このような方法によれば、パン類
の食感が改良され、劣化の防止等が実現できることが記
載されている。
【0012】10) 特開平5−15296号公報には、あ
る種のアルファ化架橋エーテル化デンプンを使用したベ
ーカリー食品の食感の改良法及び劣化防止法について記
載されており、これらの方法によれば、パンの成型性改
善や食感改良、経時的劣化防止が実現できることが記載
されている。
【0013】11) 特開平4−99435号公報には、パ
ン生地にゲル化能力をもつデンプン糊、化工デンプン、
穀粉糊などを混入させ、吸水性を向上させる方法が記載
されており、このような方法によれば、パンの老化の遅
延及び食感の改良を図れることが記載されている。
【0014】12) 特開平6−73101号公報には、一
定条件の加熱及びスプレードライによって、生デンプン
の表面構造を保持した改質デンプンを製造する方法並び
にそれを用いて製造されたパン及び麺が記載されてい
る。
【0015】13) 特開平4−207143号公報には、
乳化剤とデンプン類及び/又は酵素を含有する油脂組成
物が記載されており、この組成物は無水系のものであっ
て、菓子、パン、麺等の原料穀物生地に添加することに
より、菓子、パン、麺等の老化を防止し、食感を改良で
きることが記載されている。
【0016】14) 特開平5−153897号公報には、
CMC及び/又は化工デンプン0.01〜5%、乳化剤
1〜30%から成るW/O、O/W又は二重乳化型のパ
ン品質改良剤が記載されており、この改良剤をパン生地
に添加することによって、パンのキメ・マク、食感が改
良され、パンをスライスする時の屑の発生を減少できる
ことが記載されている。
【0017】15) 特開平5−161446号公報には、
油脂2〜20%、化工デンプン2〜20%、乳化剤2〜
20%からなるO/W型の製パン用生地改良剤が記載さ
れており、この製パン用生地改良剤をパン生地に添加す
ることによって、生地の機械耐性及び吸水性が向上し、
柔らかな食感を有するパンが得られると共に、体積増大
及び食感改良等の効果が奏されることが記載されてい
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記に示した
ような従来の技術においては、種々の問題点があった。
即ち、Cereal chemistry, 24,231(1947)、Cereal chemi
stry,58,180(1981) 及びAdvances in Cereal Science a
nd Technology,p.243(1984) 等に記載された方法では、
ベーカリー食品の柔らかな食感を維持しその食品の老化
を防止するためには、乳化剤を多量に使用しなければな
らず、そのように多量に使用した場合、食品に乳化剤由
来の臭いが生じたり、また、独特のネチャ付く食感を有
する食品となり、最終製品の品質をかえって低下させて
しまうこともある。つまり、パンに代表されるベーカリ
ー食品の老化防止効果を実現するため乳化剤使用に偏重
してしまった場合、その改良効果にも増して、逆に風味
や食感等の悪影響が生じてしまうという問題があった。
【0019】また、パンの製造時や製粉工程において原
料にモルトエキスを添加する方法や、Bakers'Digest, A
ugust,1952に記載された方法等では、目的とする生地の
配合、生地温度、発酵させる生地については発酵温度と
時間等の、変動する要素が非常に大きいため、添加でき
る酵素剤の量(力価)には限界がある。つまり、例え
ば、パンの老化防止を実現するための手段として、デン
プン中の比較的老化しやすい成分である損傷デンプンの
アミロースをアミラーゼによって分解させる方法がある
が、アミラーゼを大量に添加した場合、生地がベタつ
き、作業性・機械耐性の悪い生地となってしまう。その
ため、添加できる酵素製剤の最大量(力価)は必然的に
決まってしまい、酵素剤のみの添加によって最終製品の
品質を向上させるには限界があった。
【0020】また、特開平3−87135号公報、特開
平4−91744号公報、特開平5−15296号公
報、特開平6−73101号公報に記載された方法にお
いては、吸水力の大きいデンプン類を粉体のままパン生
地に添加するため、デンプンの吸水が急激に起こり、グ
ルテンが十分に吸水されず、生地のデベロップも不十分
で、生地物性にも焼き上がったパンの食感にも悪影響を
及ぼしてしまうという問題があった。
【0021】また、特開平4−99435号公報に記載
された方法は、デンプン糊の製造及びその安定性等を考
慮すると、平易な方法とは言えない。
【0022】また、特開平4−207143号公報の油
脂組成物は、油相中に直接デンプン類や酵素類等の粉体
成分を添加したものであり、配合物を混入させる配合槽
内や、それを移液する配管内での粉体の沈降、冷却可塑
化工程での製造機内部の磨耗等、製造上の問題が生じや
すいという問題があった。
【0023】また、特開平5−153897号公報のパ
ン品質改良剤を用いる場合においては、組成物に添加で
きる化工デンプンの量が最大5%程度であり、化工デン
プンの添加効果が、焼成されるパン等の製品の食感に現
れにくく、食感改良効果のほとんどを乳化剤の効果に依
存しており、従って、上述した、乳化剤を食品に添加す
る場合と同様の欠点があった。
【0024】更に、特開平5−161446号公報の製
パン用生地改良剤は、前記特開平5−153897号公
報の乳化油脂組成物に比べ、化工デンプンの添加できる
最大量が20%と多いが、該製パン用生地改良剤はO/
W型乳化物であり、外相がデンプンを含有する水相であ
るため、細菌やカビに対する安定性が低く、長期にわた
る保存性や常温での安定性に劣るという大きな欠点があ
った。
【0025】従って、本発明の目的は、製造工程中にお
ける粉体成分の沈降や製造機内部の磨耗等の上記問題点
を解消し、容易に製造され得る食品練り込み用油脂組成
物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、
ベーカリー食品中に練り込むことによって、該食品中に
化工デンプンを十分量配合でき、有効な食感改良効果の
乳化剤に依存する割合が低く、従って、最終製品に乳化
剤の臭いや独特のネチャ付く食感が生じないように食感
を改良し、耐老化性を得ることができるベーカリー食品
練り込み用油脂組成物を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
を行った結果、特定の化工デンプン粒子を油脂中に分散
させることにより上記目的を達成し得ることを知見し
た。
【0027】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、水で膨潤した化工デンプンのデンプン粒子が油脂
中に分散していることを特徴とする食品練り込み用油脂
組成物を提供するものである。
【0028】以下、本発明の油脂組成物について詳述す
る。本発明に用いられる油脂としては特に限定されない
が、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン
油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サ
フラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油
等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、
分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処
理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、
これらの油脂を単独で用いることもでき、又は二種以上
を組み合わせて用いることもできる。
【0029】本発明に用いられる化工デンプンとして
は、特に限定されないが、生デンプンの表面構造を保持
しており、その結果、酵素による分解を受けにくく、耐
老化性を有し、しかも水膨潤力を有する化工デンプンで
あることが好ましい。上記性質を有するものであれば、
市販のものも使用することができる。
【0030】上記化工デンプンとしては、更に、プロピ
レンオキサイドによるヒドロキシプロピルエーテル化処
理及び酸架橋処理を施したデンプンを、生デンプンの表
面構造を保持した状態になるようにアルファ化し、乾燥
させたアルファ化変性デンプン及び/又は部分アルファ
化デンプンであることが好ましい。デンプンをプロピレ
ンオキサイドによるヒドロキシプロピルエーテル化処理
及び酸架橋処理を施す方法としては、特に限定されず、
従来公知のいかなる方法によっても実施することができ
る。
【0031】上記化工デンプンの配合量は、本発明の食
品練り込み用油脂組成物中、好ましくは0.3〜80
%、更に好ましくは3〜50%である。化工デンプンの
配合量が0.3%未満では、本発明の食品練り込み用油
脂組成物をベーカリー食品の生地に練り込んで食品を製
造する場合に化工デンプンの添加による改良効果が期待
できず、一方、80%超では、化工デンプンが目的生地
中のグルテンを希釈しすぎてしまい、良質の穀粉生地が
製造できず、ひいては良質な最終製品ができなくなって
しまう場合があるので、上記範囲内とするのが好まし
い。
【0032】本発明において、油脂組成物中に分散させ
る化工デンプンとしては、水で膨潤した化工デンプンを
用いる。化工デンプンを水で膨潤させるためには、例え
ば、粉体混合機中に化工デンプンの粉末を投入し、攪拌
しながら水を噴霧すれば良く、また、本発明の食品練り
込み用油脂組成物を製造する際、油脂中に化工デンプン
を粉末のまま添加し、分散させ、該油脂に水を添加する
ことにより、油脂中の化工デンプンを水で膨潤させても
良い。
【0033】本発明において化工デンプンを膨潤させる
のに用いる水としては特に限定されず、通常の水道水
(市水)、ミネラルウォーター、イオン交換処理水、蒸
留水等のいずれを主成分としても用いることができる。
また、水分についてはそのpHや、塩濃度、糖濃度等の
水分活性を調整したり、各種保存料を添加することによ
って、細菌やカビに対する安定性を向上させることも可
能である。
【0034】上記水の配合量は、化工デンプン100重
量部に対し、好ましくは20〜500重量部、更に好ま
しくは22〜300重量部、最も好ましくは25〜20
0重量部である。水の配合量が20重量部未満では、化
工デンプンが油脂組成物中で吸水膨潤せずデンプンの粉
体成分が配合槽内や配管内に沈降し易く不都合が生じた
り、油脂中に硬い粉体成分が含まれるため、冷却可塑化
工程での製造機内部の磨耗を早めてしまう等、種々の問
題を生じる。一方、500重量部超では、油脂組成物中
の水分含量が高くなりすぎ、上記化工デンプンに保持で
きる水分量の限界を超えるため、いわゆる乳化物になっ
てしまい外相を油相とした油脂組成物の安定性が低下し
たり、水分離等の弊害が生じ易いので、上記範囲内とす
るのが好ましい。
【0035】上記水の最大配合量は、本発明に使用する
化工デンプンが有する最大保水力(吸水力)である。通
常のデンプン粉体には5〜15%程度の既存の水分が含
まれるが、本発明を実施するにはそれだけの水分では不
十分である。また、水分の配合量は、その既存の水分を
加味して良い。
【0036】本発明を実施するには、上記化工デンプン
がデンプン粒子を保持したまま吸水膨潤した状態で外相
となる油脂中に分散していることが必要である。これ
は、適度に膨潤した化工デンプンのデンプン粒子が外相
となる油脂によってコーティングされるため、生地に添
加し混捏した場合にも化工デンプンの急激な吸水が起こ
らず、通常の混捏条件によってグルテンが十分に吸水す
ることができ、良好な生地が形成されるためである。
【0037】本発明の油脂組成物は、上記したように、
水によって膨潤した化工デンプンのデンプン粒子を、外
相となる油相中に包含させることによって、目的生地の
急激な吸水を制御している。しかし、最終製品における
化工デンプンの改良効果を発現させるため、組成物中の
化工デンプンの添加量や生地中の油脂組成物の添加量を
増加させた場合、生地中のタンパク質(グルテン)の濃
度を薄くしてしまい、生地混捏による正常なグルテン膜
形成を阻害してしまう場合がある。
【0038】上記影響を防止するために、本発明の食品
練り込み用油脂組成物には、タンパク質改良効果を有す
ることによってグルテンを強化する乳化剤、グルテンを
酸化することによって強固なグルテン膜を形成する酸化
剤及び適度にタンパク質を分解することによってグルテ
ン膜の伸びを改良する酵素からなる群より選ばれる1種
以上を添加することができる。
【0039】上記乳化剤としては特に限定されないが、
例えば、グリセリン脂肪酸エステル(MG)、シュガー
エステル(SE)、ソルビタンエステル(SOE)、プ
ロピレングリコール脂肪酸エステル(PGME)、レシ
チン(LC)、モノグリセリド有機酸エステル (有機酸
MG) 、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PGE)、ポ
リグリセリン縮合リシノレイン酸エステル(PGP
R)、ステアロイル乳酸カルシウム(CSL)、ステア
ロイル乳酸ナトリウム(SSL)等が挙げられる。本発
明においては、これら乳化剤を単独で用いることもで
き、又は二種以上を組み合わせて用いることもでき、S
OE、PGE、CSL、SSL、有機酸MGを用いるこ
とが好ましく、特に有機酸MGを用いることが好まし
い。上記有機酸MGの中では、特にコハク酸モノグリセ
リド(SMG)、乳酸モノグリセリド(LMG)、クエ
ン酸モノグリセリド(CMG)、ジアセチル酒石酸モノ
グリセライド(DATEM)等が有効である。
【0040】上記乳化剤の配合量は、本発明の食品練り
込み用油脂組成物中、好ましくは0〜30%、更に好ま
しくは0〜20%、最も好ましくは0〜8%である。乳
化剤を配合しないと、本発明の食品練り込み用油脂組成
物をベーカリー食品の生地に練り込んで食品を製造する
場合に、乳化剤の添加による改良効果の影響が現れず、
一方、30%超では、最終製品における風味の劣化や食
感悪化など乳化剤の悪影響が現れやすくなる場合がある
ので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0041】上記酸化剤としては特に限定されないが、
例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、
アスコルビン酸カリウム、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カ
リウム等が挙げられる。これら酸化剤は単独で用いるこ
ともでき、又は二種以上を組み合わせて用いることもで
きる。本発明においては、上記酸化剤の中では、特にア
スコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビ
ン酸カリウムを用いることが好ましい。
【0042】上記酸化剤の配合量は、本発明の食品練り
込み用油脂組成物中、好ましくは0.001〜1%、更
に好ましくは0.01〜0.5%である。酸化剤の添加
量が0.001%未満では、本発明の食品練り込み用油
脂組成物をベーカリー食品の生地に練り込んで食品を製
造する場合に、酸化剤の添加による生地改良効果が現れ
ず、一方、1%超では、酸化剤が過度に作用し、締まり
すぎて硬くなった作業性・品質の悪い生地となる場合が
あるので、上記範囲内とするのが好ましい。
【0043】上記酵素としては特に限定されないが、例
えば、α−アミラーゼ等のデンプン分解酵素類、ペプシ
ン、パパイン等のタンパク質分解酵素類、セルラーゼ、
ヘミセルラーゼ、ペントサナーゼ等の繊維質分解酵素類
が挙げられる。これら酵素は単独で用いることもでき、
又は二種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0044】上記酵素の配合量は、本発明の食品練り込
み用油脂組成物中、好ましくは0.0005〜0.2
%、更に好ましくは0.001〜0.1%である。酵素
の配合量が0.0005%未満では、本発明の食品練り
込み用油脂組成物をベーカリー食品の生地に練り込んで
食品を製造する場合に、酵素の添加による生地改良効果
が現れず、一方、0.2%超では、酵素が過剰反応を起
こし生地のハンドリング及び最終製品の品質に悪影響を
及ぼしてしまう場合があるので上記範囲内とするのが好
ましい。
【0045】本発明の食品練り込み用油脂組成物には、
酵素活性を安定化する等のため、必要に応じて糖類、乳
製品、香料、調味料等の呈味成分、色素類、酸化防止
剤、pH調整剤等を添加することも可能である。
【0046】本発明の食品練り込み用油脂組成物の形態
は、常温で固体、可塑性若しくは流動状の状態を呈する
ように急冷混捏されたもの、又は常温で固体、可塑性若
しくは流動状の状態を呈するように、容器、タンクロー
リー若しくはタンクに流し込まれたもの等いずれの形態
でも良い。本発明の食品練り込み用油脂組成物は、主と
してベーカリー食品の原料穀粉に練り込んで使用するも
のである。尚、ここで言う原料穀粉とは、パン等のベー
カリー食品の生地を製造するときに用いられる製粉され
た小麦粉やデンプン等のことを言う。
【0047】次に、本発明の食品練り込み用油脂組成物
を用いてベーカリー食品を製造する場合について詳述す
る。本発明の食品練り込み用油脂組成物は、得られるベ
ーカリー食品用の生地中に、各成分が下記の割合で存在
するように原料穀粉中に練り込まれる。
【0048】上記化工デンプンは、原料穀粉100重量
部に対して、好ましくは0.1〜80重量部、更に好ま
しくは0.5〜50重量部、最も好ましくは1〜30重
量部となるように使用される。
【0049】上記乳化剤は、原料穀粉100重量部に対
して、好ましくは0.01〜5重量部、更に好ましくは
0.5〜3重量部、最も好ましくは0.1〜2重量部と
なるように使用される。
【0050】上記酸化剤は、原料穀粉100重量部に対
して、好ましくは0.00005〜0.1重量部更に好
ましくは0.0005〜0.05重量部、最も好ましく
は0.001〜0.02重量部となるように使用され
る。ただし、冷凍生地のように冷凍工程によってグルテ
ンの劣化、酵母の死滅によるグルタチオン(強力な還元
剤)生成等が起こる可能性のある生地に添加する場合
は、原料穀粉100重量部に対して、好ましくは0.0
0015〜0.3重量部、更に好ましくは0.0015
〜0.15重量部、最も好ましくは0.003〜0.0
6重量部となるように使用される。
【0051】上記デンプン分解酵素は、原料穀粉100
重量部当たり、好ましくは0.001〜15単位、更に
好ましくは0.005〜3単位、最も好ましくは0.0
2〜0.6単位となるように使用される。上記デンプン
分解酵素類の活性力価を表す単位「単位」は、以下のよ
うに定義される。即ち、メルク社製可溶性デンプンを基
質とし、pH4.7、温度37℃にて1時間反応させた
ときに、5.26gの基質を分解する酵素活性の量を1
単位と定義する。
【0052】上記タンパク質分解酵素は、原料穀粉10
0重量部当たり、好ましくは0.08〜1500単位、
更に好ましくは0.4〜250単位、最も好ましくは2
〜50単位となるように使用される。上記タンパク質分
解酵素類の活性力価を表す単位「単位」は、以下のよう
に定義される。即ち、pH7.5のM/25リン酸緩衝
液にて0.6%の濃度に希釈したミルクカゼイン5ml
を基質とし、酵素溶液を1ml加えて30℃の温度にて
10分間反応させたとき、1分間に1μgのチロシンに
相当する275nmの吸光度をTCA可溶性成分として
遊離する活性量を1単位と定義する。
【0053】上記繊維質分解酵素は、原料穀粉100重
量部当たり、好ましくは0.002〜30単位、更に好
ましくは0.01〜6単位、最も好ましくは0.05〜
2単位となるように使用される。上記繊維質分解酵素類
の活性力価を表す単位「単位」は、以下のように定義さ
れる。即ち、CMCを基質とし、pH4.8、温度40
℃にて20分間反応させたときに、1分間当たり1μm
olのグルコースに相当する還元糖を生成させる酵素活
性量を1単位と定義する。
【0054】上述の本発明の食品練り込み用油脂組成物
における各成分の原料穀粉への好ましい添加量を考慮す
ると、本発明の食品練り込み用油脂組成物の原料穀粉へ
の添加量は、原料穀粉100重量部に対し、好ましくは
2〜40重量部、更に好ましくは5〜15重量部であ
る。
【0055】次いで、本発明の食品練り込み用油脂組成
物を練り込んだ生地を用いて常法によりベーカリー食品
を製造する。
【0056】
【実施例】以下、試験例(実施例及び比較例)を挙げて
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例
により何ら制限を受けるものではない。尚、下記試験例
1−1〜1−10及び比較試験例1−1〜1−7は、実
施例及び比較例の食品練り込み用油脂組成物の物性につ
いて評価を行なったものである。また、下記試験例2−
1〜2−10及び比較試験例2−1〜2−7は、上記食
品練り込み用油脂組成物をパン生地に練り込み、該生地
を用いて製造したパンの食感等について評価を行なった
ものである。
【0057】〔試験例1−1〜1−10及び比較試験例
1−1〜1−7〕表1(実施例1〜4)、表2(実施例
5〜10)及び表3(比較例1〜7)に示す配合の食品
練り込み用油脂組成物を製造し、60℃での組成物の粘
度、60℃静置時の粉体沈降の有無、ストレーナー通過
性(40メッシュ)、組成物の状態及び外観について評
価を行った。尚、実施例1〜4の食品練り込み用油脂組
成物は、下記製造方法により製造したものであり、実
施例5〜10の食品練り込み用油脂組成物は下記製造方
法により製造したものである。製造方法及び製造方
法による食品練り込用油脂組成物の違いは見られなか
った。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】〔製造方法〕約60℃に加熱した各原料
油脂を混合槽にて混合し油相を得た。乳化剤を添加する
場合は、上記加熱混合した配合油中に添加し、攪拌溶解
した。別に、粉体混合機中に化工デンプンを投入し、攪
拌を継続しつつ、食塩、糖類等を水に溶解した水相をス
プレーすることにより膨潤デンプンを得た。得られた膨
潤デンプンを、先に調製した油相中に添加分散し、膨潤
デンプンの油脂分散物を得た。その後、上記油脂分散物
を、掻き取り式殺菌機にて加熱殺菌し、チューブ式冷却
可塑化機等にて分散物を急冷可塑化し、食品練り込み用
油脂組成物を得た。酸化剤、酵素類等の熱安定性に欠け
るものを添加する場合は、組成物が冷却した後に添加混
合を行った。これらの処理の後も、化工デンプンの粒子
は消失していなかった。
【0062】〔製造方法〕約60℃に加熱した各原料
油脂を混合し、そこに化工デンプンを粉末のまま添加分
散させ、分散油相を得た。乳化剤を添加する場合は、上
記加熱混合した配合油中に添加し、攪拌溶解させておい
た。別に、食塩、糖類等を水に溶解した水相を製造し
た。上記分散油相を攪拌し、そこに上記水相を徐々に添
加した。デンプンは徐々に吸水膨潤し、膨潤デンプンの
油脂分散物となった。その後、上記油脂分散物を用い、
製造方法と同様の方法で食品練り込み用油脂組成物を
製造した。これらの処理の後も、化工デンプンの粒子は
消失していなかった。
【0063】比較例1及び3の食品練り込み用油脂組成
物は上記製造方法にて製造したものである。
【0064】比較例2及び4の食品練り込み用油脂組成
物は、以下の製造方法により製造したものである。混合
油に乳化剤を加え、加熱溶解した後、化工デンプンを加
え、均一に分散させ、食品練り込み用油脂組成物を得
た。
【0065】比較例5の食品練り込み用油脂組成物は、
以下の製造方法により製造したものである。混合油に乳
化剤を加え加熱溶解したものを油相とした。別に、化工
デンプンを水に溶解した水相に、上記油相を加熱しつ
つ、攪拌しながら、徐々に添加し、乳化した。これを急
冷可塑化し、食品練り込み用油脂組成物を得た。
【0066】比較例6及び7の食品練り込み用油脂組成
物は、以下の製造方法により製造したものである。ナタ
ネ油にデンプンを加え、加熱混合したものを油相とし
た。又、別に、水に乳化剤、ソルビットを加え、加熱混
合し水相を得た。上記油相に上記水相を徐々に添加し、
乳化したのち急冷可塑化し、食品練り込み用油脂組成物
を得た。
【0067】尚、本発明に用いるアルファ化変性デンプ
ン及び部分アルファ化デンプンは以下の製造方法により
製造したものである。即ち、バレイショデンプンを原料
とし、常法によりプロピレンオキシドを用いてヒドロキ
シプロピルエーテル化処理を行なった。更にオキシ塩化
リン及び/又はトリメタリン酸ナトリウムを用いて、リ
ン酸ジエステル架橋化を行なった。得られた処理デンプ
ンはスプレードライ法によってアルファ化処理を行い、
化工デンプンを得た。但し、上記方法は製造方法の一例
であり本発明はこれに限定されるものではない。上記ア
ルファ化変性デンプン及び部分アルファ化デンプンは、
いずれも、生デンプンの表面構造を保持しているもので
あった。
【0068】表4(試験例1−1〜1−10)及び表5
(比較試験例1−1〜1─7)に、得られた組成物の6
0℃での組成物の粘度、60℃静置時の粉体沈降の有
無、ストレーナー通過性(40メッシュ)、組成物の状
態、外観の評価及び総合評価を示した。尚、総合評価
は、下記の基準により減点法で行い、その合計点が0点
のものを優、−1点のものを良、−2点のものを可、−
3点以下のものを不可とした。 粘度が1500cp以上である。 −1 沈降がある。 −1 ストレーナー通過性が不良である。 −1 デンプン粒子が油脂に分散していない。 −1 ザラつきがある。 −1 外相が水相である。 −1
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】〔試験例2−1〜2−10及び比較試験例
2−1〜2−7〕表6に示す配合により製造したパン生
地を用いてパンを製造し、生地状態、パンの比容積、パ
ンの硬さ、内相のキメ及びパンの食感について評価を行
った。表中、油脂組成物としては、実施例1〜10及び
比較例1〜7の食品練り込み用油脂組成物を用いた。
尚、パンは下記の製造工程により製造した。 (1)中種ミキシング(低速2分、中高速2分) (2)中種発酵(30℃、4時間) (3)本捏ミキシング(低速2分、中高速2分、油脂組
成物添加後低速2分、中高速2分、高速2分) (4)フロアタイム(20分) (5)分割、丸め(生地重400gに分割して、丸め
る) (6)ベンチ(20分) (7)成型(モルダーにて) (8)ホイロ(38℃、50分) (9)焼成(210℃、30分)
【0072】
【表6】
【0073】パン硬さは、厚さ3cmにスライスしたパ
ンを、常温又は5℃にて1日静置した後、フドー(株)
製レオメーターにて測定した。
【0074】表7(試験例2−1〜2−10)及び表8
(比較試験例2−1〜2─7)に、使用した油脂組成物
の種類、得られたパンの生地状態、比容積、硬さ、内相
のキメの評価、食感の評価及び総合評価を示した。尚、
総合評価は、下記の基準により減点法で行い、その合計
点が0点のものを優、−1〜−3点のものを良、−4〜
−6点のものを可、−7〜−9点のものを不可とした。 パン生地の伸びが悪い。 −1 パン生地がベタつく。 −1 比容積が5.3以下である。 −1 常温1日後の10%圧縮時のパンの硬さが30g/cm3 以上である。 −1 常温1日後の20%圧縮時のパンの硬さが50g/cm3 以上である。 −1 5℃1日後の10%圧縮時のパンの硬さが40g/cm3 以上である。 −1 5℃1日後の20%圧縮時のパンの硬さが60g/cm3 以上である。 −1 内相のキメが粗い。 −1 食感がネチャつく。 −1
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【発明の効果】本発明の食品練り込み用油脂組成物は、
製造工程中における粉体成分の沈降や製造機内部の磨耗
等の問題点を解消し、容易に製造され得るものである。
また、本発明の食品練り込み用油脂組成物は、ベーカリ
ー食品中に練り込むことによって、該食品中に化工デン
プンを十分量配合でき、有効な食感改良効果の乳化剤に
依存する割合が低く、従って、最終製品に乳化剤の臭い
や独特にネチャ付く食感が生じないように食感を改良
し、耐老化性を得ることができるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水で膨潤した化工デンプンのデンプン粒子
    が油脂中に分散していることを特徴とする食品練り込み
    用油脂組成物。
  2. 【請求項2】上記化工デンプンが、プロピレンオキサイ
    ドによるヒドロキシプロピルエーテル化処理及びリン酸
    架橋処理を施したデンプンを、生デンプンの表面構造を
    保持した状態になるようにアルファ化し、乾燥させたア
    ルファ化変性デンプン及び/又は部分アルファ化デンプ
    ンである請求項1記載の食品練り込み用油脂組成物。
  3. 【請求項3】水で膨潤した上記化工デンプンが、水で膨
    潤する前の上記化工デンプン100重量部に対し、水2
    0〜500重量部を配合させて膨潤させたものである請
    求項1又は2記載の食品練り込み用油脂組成物。
  4. 【請求項4】乳化剤、酸化剤及び酵素からなる群より選
    ばれた1種以上を含有する請求項1〜3の何れかに記載
    の食品練り込み用油脂組成物。
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