JPH08245331A - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents

歯科用硬化性組成物

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JPH08245331A
JPH08245331A JP7081708A JP8170895A JPH08245331A JP H08245331 A JPH08245331 A JP H08245331A JP 7081708 A JP7081708 A JP 7081708A JP 8170895 A JP8170895 A JP 8170895A JP H08245331 A JPH08245331 A JP H08245331A
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acid
root canal
calcium phosphate
unsaturated carboxylic
slurry
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JP7081708A
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Fumio Osato
文夫 大里
Koichi Saito
浩一 斉藤
Yoshihito Ochiai
良仁 落合
Takao Tanaka
隆夫 田中
Hiroko Wachi
和知  浩子
Tatsuma Morokuma
辰馬 諸隈
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Lion Corp
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Lion Corp
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた糊材根管充填材及び根管充填シーラー
として使用することができる歯科用硬化性組成物を提供
する。 【構成】 リン酸カルシウム化合物、酸及び水を含有し
てなり、重量平均分子量が50万〜1000万である不
飽和カルボン酸類、特にアクリル酸の架橋型重合体を組
成物全体に対して0.005〜5重量%配合してなる歯
科用硬化性組成物を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に糊材根管充填材或
いは根管充填シーラーとして使用される歯科用硬化性組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】根管充
填は歯科保存領域における根管治療の最終処置であり、
その目的は抜髄後、或いは感染根管治療後の根管腔に根
管充填材を気密に充填して根管を封鎖することにより、
口腔内及び歯根膜と根管とを遮断し、再感染防止、根尖
部治癒促進及び根尖創傷部を保護することであり、その
予後を左右する重要な治療行為である。
【0003】根管充填材は大きく固形根管充填材と糊材
根管充填材とに大別される。前者は物理的な根管腔の閉
鎖を目的とし、ガッタパーチャポイントや金属ポイント
等が使用されているが、固形根管充填材だけでは封鎖性
が十分ではないため、糊材根管充填材を根管充填シーラ
ーとして併用している根管充填法が現在一般的な治療法
である。一方、糊材根管充填材は、そのペースト(スラ
リー)のみを充填する材料である。このような糊材根管
充填材或いは根管充填シーラーとしては酸化亜鉛−ユー
ジノール系が代表的な製剤であるが、この製剤には以下
の問題点がある。
【0004】即ち、根管充填材や根管充填シーラーは歯
根膜組織に接するため組織刺激性は絶対あってはならな
いが、酸化亜鉛−ユージノール系製剤に配合されている
ユージノールが歯根膜組織に溶出し、刺激性を示すこと
が問題となっている。しかも、生体に適応する以上、生
体親和性は必要であるが、上記製剤は生体成分とは全く
かけ離れた材料であり、全く生体親和性はない。
【0005】このような問題を解決するため近年、生体
親和性に優れるリン酸カルシウムを主成分とする糊材根
管充填材或いは根管充填シーラーが提案されている。こ
れらは、歯や骨の無機成分であるハイドロキシアパタイ
ト或いはハイドロキシアパタイト前駆体であるα−リン
酸3カルシウムを配合した製剤である。
【0006】しかしながら、例えば前者では、ハイドロ
キシアパタイトそのものには生体親和性があるが、これ
にグアヤコール、ロジン等の生体親和性のない非生体成
分を多量に配合するため、ハイドロキシアパタイト使用
の特性を減じ、実質的に生体親和性をなくしてしまうも
のである。一方、α−リン酸3カルシウムを配合した製
剤は、その操作性や硬化性を向上させるためにポリアク
リル酸等の不飽和カルボン酸の直鎖型重合体を高濃度含
有する酸性練和液を使用しており、pHが低いために刺
激性がある。また、pHが中性のものであっても、不飽
和カルボン酸の直鎖型重合体が高濃度で配合されている
ので、生体への溶出による組織為害性が問題となる上、
リン酸カルシウムが生体内で唯一安定なアパタイトに転
換することを阻害するといった問題を生じさせる。
【0007】それとは別に、糊材根管充填材に限定され
ない歯科用又は医科用組成物として用いられる生体親和
性に優れたリン酸カルシウム系水硬化性組成物が、いく
つか提案されている(特公昭61−9265号、特公平
3−41423号及び特開平5−839号公報等)。例
えば特開平5−839号公報には、特定の水和自己硬化
性リン酸カルシウムと水と水難溶性のフッ化物とからな
る系に対し、水溶性のフッ化物と中和剤と酸と水とを特
定範囲で含有させることを特徴とし、適度な硬化時間を
有し、且つ適度な硬度を有する硬化体となり、しかも非
生体成分である高分子化合物を含まず、練和したスラリ
ーのpHが中性であるため、生体親和性に優れ、組織刺
激性もない硬化性組成物が開示されている。
【0008】このような組成物を糊材根管充填材に応用
する場合は、そのスラリーの流動性を向上させて根管に
充填することを可能とするために、上記組成物の各成分
により調製される液剤及び粉剤を練和する際に、その液
剤/粉剤比を大きくする必要がある。しかしながら、練
和板又は練和紙上のスラリーを付着させ、そのスラリー
を根管位置まで輸送し、根管内に緊密充填することを目
的として一般的に用いられている糊材充填器(レンツ
ロ)に、上記組成物の流動性を向上させたスラリーは水
様状であることから付着し難く、一回の輸送で十分量充
填することができず、数回繰り返して輸送、充填操作を
しなければならない。実際、臨床現場において、上記の
輸送、充填操作は一回で済むことが望まれている。従っ
て、上記スラリーの糊材充填器への付着性を向上させる
必要がある。
【0009】一方、上記組成物のスラリーの糊材充填器
への付着性を向上させる手段として、該組成物中に水溶
性高分子化合物を配合する方法が挙げられるが、上記の
特開平5−839号公報等で提案されたリン酸カルシウ
ム系水硬性組成物は、その組成物の硬化を促進するた
め、一般的に酸、ハロゲン化物、中和剤等が配合されて
いる。従って、このような組成物に配合できる水溶性高
分子化合物は、これらの電解質共存下でスラリー化した
場合であっても十分に溶解し得る水溶性高分子化合物で
あることが必要である。
【0010】しかし、リン酸カルシウム系水硬性組成物
中に配合される添加剤として公知である水溶性高分子化
合物の中でも、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース及びポリビニルピロリドン等のノニオン系
の水溶性高分子化合物は、分子中酸素原子のローンペア
電子により水和溶解するのであるが、他に電解質が存在
すると、これらの高分子化合物の溶解よりも電解質中の
電離基の水和が優先されるため、高分子化合物の溶解が
抑制されることが予想される。事実、上記の電解質が配
合されたリン酸カルシウム系水硬性組成物中に上記ノニ
オン系の水溶性高分子化合物を配合した場合、スラリー
中で高分子化合物が不溶化してしまい、糊材充填器への
付着性向上効果を得ることができず、しかも、その不溶
化物によって、きめが粗く、肌荒れのあるスラリーとな
ってしまう。
【0011】一方、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、カラギーナン、キサンタンガム及びアルギン酸等
の天然、或い半合成多糖類のアニオン系の水溶性高分子
化合物は、電離基(カルボキシル基)を有するため、他
の電解質存在下の水和溶解性は、上記ノニオン系の高分
子化合物と比較すれば高い。しかしながら、これらを上
記と同様に実際にリン酸カルシウム系水硬性組成物に配
合した場合、これらの高分子化合物はスラリー中で若干
溶解し、僅かに付着性は向上するが、操作上十分な糊材
充填器への付着性は得られない。このことは、上記リン
酸カルシウム系水硬性組成物中でこれらのアニオン系の
高分子化合物が水和溶解するには、高分子化合物中に占
める電離基の数が不十分であることによるといえる。
【0012】また、従来よりリン酸カルシウム系水硬化
性化合物に配合されているアクリル酸、メタクリル酸、
イタコン酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット
酸、シトラコン酸及びメサコン酸等の不飽和カルボン酸
類の直鎖単重合体或いは直鎖共重合体は、分子中に占め
る電離基の数が多いことから、上記リン酸カルシウム系
水硬化性組成物に上記と同様に配合した場合でも、スラ
リー中で十分水和溶解し、スラリーの糊材充填器への付
着性は顕著に向上する。しかしながら、スラリー中で、
例えば硬化剤である酸により、リン酸カルシウム化合物
中のCaイオンの溶解が進行すると、上記高分子中のカ
ルボキシル基とCaイオンとが反応、結合し、不溶性の
沈殿物となる。そのため、スラリー中に肉眼でもはっき
りと認知し得るダマが発生し、糊材充填器への付着が不
均一になる。しかも、根管充填シーラーとしてガッタパ
ーチャポイントに代表される固形根管充填材と併用する
場合、シーラー部分が薄い被膜となって根管径と同サイ
ズの固形根管充填材が根尖まで到達することが必要であ
るが、上記の場合はスラリー中のダマが薄い被膜状にな
ることを阻害してしまうため、固形根管充填材を根尖ま
で十分に到達させることができなくなる。
【0013】即ち、糊材根管充填材或いは根管充填シー
ラーの要求特性としては、生体刺激性がなく、生体親和
性に優れ、適度な時間で硬化することに加えて、操作性
の面からは、流動性が高いのみならず、糊材充填器に十
分量付着すること等が挙げられるが、従来提案されてい
る糊材根管充填材或いは根管充填シーラーは、これらの
性能をいずれも兼備したものはなく、このためかかる性
能を兼備した糊材根管充填材或いは根管充填シーラーが
望まれている。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、リン酸カルシウム化合物及び酸を含有してなる水硬
化性組成物に、不飽和カルボン酸類の架橋型重合体を配
合することにより、上記糊材根管充填材或いは根管充填
シーラーの要求特性を全て兼備した歯科用硬化性組成物
を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を行った結果、リン酸カル
シウム化合物を主成分とし、酸及び水を配合するリン酸
カルシウム系の歯科用硬化性組成物に、ある所定範囲の
分子量を有する不飽和カルボン酸類の架橋型重合体を付
着性向上剤として配合することにより、上記歯科用硬化
性組成物のスラリーが高い流動性を保持しながら、糊材
充填器には十分均一に付着するという特性を満たし得る
ことを見い出した。
【0016】即ち、上述したように、リン酸カルシウム
化合物を主成分とする歯科用硬化性組成物に硬化促進を
目的として不飽和カルボン酸類の直鎖単重合体又は直鎖
共重合体を配合すると、非生体成分であるこのような高
分子を高濃度で含有させることが必要となる。一方、上
記重合体の配合量を減じるために硬化促進剤として更に
酸を配合すると、Caイオンの遊離が促進されて上記重
合体と結合して不溶化する場合がある。
【0017】ところが、本発明者は、上記組成物におい
て、直鎖型の不飽和カルボン酸類の重合体に代えて架橋
型のものを使用することにより、酸を硬化促進剤として
配合しても不溶性の沈殿物が生じず、非生体成分である
高分子化合物(不飽和カルボン酸類の重合体)の配合量
を低減させることができるのみならず、操作性上十分な
糊材充填器への付着性が付与されることを知見し、本発
明をなすに至った。なお、上記の現象は、重合体が架橋
構造である場合と直鎖構造である場合の不飽和カルボン
酸類の重合体中のカルボキシル基の反応性を比較する
と、架橋構造である場合の方がその立体障害のために反
応性が低くなり、そのためにリン酸カルシウム化合物中
のCaイオンの溶解が進行してもカルボキシル基とCa
イオンとの反応、結合が起こり難くなって新たな不溶性
の沈殿物が生じることがないためと考えられる。
【0018】従って、本発明は、リン酸カルシウム化合
物、酸及び水を含有してなり、重量平均分子量が50万
〜1000万である不飽和カルボン酸類の架橋型重合体
を配合してなることを特徴とする歯科用硬化性組成物を
提供する。
【0019】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明の歯科用硬化性組成物は、リン酸カルシウム化合物、
酸、水及び不飽和カルボン酸類の架橋型重合体を必須成
分として含有するものである。この場合、非生体成分の
高分子化合物(不飽和カルボン酸類の架橋型重合体)を
硬化促進の目的で高濃度に配合するのではなく、スラリ
ーの付着性向上を目的として配合すると共に、硬化促進
のための必須成分として酸を含むことを特徴とするもの
である。ここで、本発明の組成物は、使用時にこれらの
成分を混合して水スラリーとすることができるが、予め
粉剤と液剤とを調製しておき、使用時にこれら粉剤と液
剤とを混合する態様が使用性等の点から好適である。こ
の場合、粉剤としては、上記リン酸カルシウム化合物、
その他の水不溶性又は難溶性成分を混合することによっ
て調製し得、液剤としては、水に上記酸、その他の水溶
性成分を溶解することによって調製し得る。なお、微量
成分は粉剤又は液剤に適宜混合される。
【0020】本発明で用いるリン酸カルシウム化合物
は、水もしくは無機酸、有機酸又有機酸塩等の硬化促進
剤と水とでスラリー化することにより、水和によって硬
化性を示すものであり、このようなリン酸カルシウム化
合物としては、公知のものを使用することができ、例え
ばα−リン酸3カルシウム(α−TCP)、リン酸4カ
ルシウム(4CP)、第2リン酸カルシウム・2水和物
(DCPD)、第2リン酸カルシウム・無水物(DCP
A)、リン酸8カルシウム(OCP)、第1リン酸カル
シウム・1水和物(MCPM)又は第1リン酸カルシウ
ム・無水塩(MCPA)等を挙げることができ、これら
はその1種を単独で又は2種以上を併用して用いること
ができる。
【0021】上記リン酸カルシウム化合物の製造方法は
特に制限されるものではなく、公知の方法を採用するこ
とができる。例えばα−TCPの場合、第2リン酸カル
シウムからγピロリン酸カルシウムを製造し、このγピ
ロリン酸カルシウムと炭酸カルシウムとからα−TCP
を製造しても良く、又は上記反応を1段階で行っても良
い。また、その粒径も特に制限されるものではなく、組
成物の使用目的等により適宜選択することができるが、
例えばガッタパーチャポイント等の固形根管充填材と併
用する根管充填シーラーとして使用する場合、上記組成
物をスラリー化した時の被膜厚さは、上述したように根
管径と同サイズの固形根管充填材が根尖まで到達するた
めに、より薄い厚さであることが望まれるので、必然的
にリン酸カルシウム化合物の粒径は小さいことが要求さ
れる。従って、根管充填シーラーとして使用する場合、
平均粒径は0.5〜10μm、特に1〜6μmであるこ
とが好ましく、最大粒径は50μm以下、特に20μm
以下であることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満
であると表面積が大きくなるため、溶解反応が速すぎて
硬化時間が短くなりすぎる場合があり、10μmを超え
ると表面積が小さくなるため、溶解反応が遅すぎて硬化
時間が必要以上に長くなり、被膜厚さが厚くなってしま
う場合がある。また、最大粒径が50μmを超えるとス
ラリー化した時の被膜厚さが厚くなってしまう場合があ
る。
【0022】本発明の歯科用硬化性組成物における上記
リン酸カルシウム化合物の配合量は特に制限されない
が、上記粉剤全体の20〜95%(重量%、以下同
様)、特に50〜80%であることが好ましい。20%
未満であるとリン酸カルシウムから生成するアパタイト
の連続層が少なすぎて硬化しない場合があり、95%を
超えると十分な造影力を付与するだけの造影剤が配合で
きない場合がある。
【0023】本発明の歯科用硬化性組成物に配合される
酸は、硬化促進剤として配合されるものであり、このよ
うな酸としては有機酸類や無機酸類等の公知の酸を使用
することができ、例えば有機酸類としてギ酸、酢酸及び
プロピオン酸等の一塩基酸;クエン酸、リンゴ酸、グリ
コール酸、糖酸、アスコルビン酸及び乳酸等のヒドロキ
シカルボン酸;グルタミン酸及びアスパラギン酸等の酸
性アミノ酸;蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸及びイタコン酸等の二塩基酸;ピルビン酸、
アセト酢酸及びレブリン酸等のケト酸;芳香族カルボン
酸及びポリカルボン酸類などの有機酸やそれらの誘導体
などが挙げられ、無機酸としてリン酸、塩酸、硫酸及び
硝酸などが挙げられるが、これらの中では有機酸を用い
るのが好ましく、また、特に生体親和性を考慮すると有
機酸の中でも生体成分中に含まれるものが好ましいの
で、有機酸の中でも特にクエン酸を用いるのがより好ま
しい。これら酸はその1種を単独で又は2種以上を併用
して用いることができる。
【0024】本発明の歯科用硬化性組成物における上記
酸の配合量は特に制限されるものではないが、例えば上
記液剤中に配合する場合は、液剤中の濃度として3〜6
0重量/容量%、特に25〜45重量/容量%であるこ
とが好ましい。3重量/容量%未満であるとスラリー中
でリン酸カルシウム化合物が十分溶解せず、硬化が著し
く遅くなる場合があり、60重量/容量%を超えるとス
ラリーの硬化が速すぎて十分な流動性が得られない場合
がある。
【0025】本発明に用いる不飽和カルボン酸類の架橋
型重合体としては公知のものを使用することができ、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸及びメ
サコン酸等の不飽和カルボン酸の1種を単独で又は2種
以上を含む架橋型重合体が挙げられるが、これらの中で
もアクリル酸の架橋型重合体を単独で又はアクリル酸を
主体として上記他の不飽和カルボン酸を含むものが特に
好ましく、他の不飽和カルボン酸と組み合わせる場合に
は特にアクリル酸/他の不飽和カルボン酸(モル比)≧
2とするとより好適である。
【0026】本発明に用いる不飽和カルボン酸類の架橋
型重合体として低分子量のものを使用する場合、スラリ
ーに付着性を付与するためにスラリー粘度を高める必要
が生じるので比較的高濃度に配合する必要があり、それ
だけ不溶分も多く生じる。従って、本発明の不飽和カル
ボン酸類の架橋型重合体としては、重量平均分子量が5
0万〜1000万であることが必要であり、特に100
万〜500万であるとより好適である。50万未満であ
ると十分な付着性を付与するための必要配合量が組成物
全体に対して5重量%を超えてしまい、カルボキシル基
とCaイオンの反応、結合、不溶化のためのはっきりと
認知し得るダマが発生して厚さが薄い被膜の確保が困難
となり、1000万を超えるとスラリー粘度が著しく高
くなり、使用可能な流動性が維持できなくなる。
【0027】上記不飽和カルボン酸類の架橋型重合体の
製造方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を
採用することができ、例えば上記不飽和カルボン酸類の
単量体にアルケニル基を2個以上有する架橋剤を加えて
重合させる方法が挙げられる。
【0028】上記不飽和カルボン酸類の架橋型重合体の
配合方法は、特に制限されず、上記粉剤、液剤のいずれ
に配合しても良く、両方に配合しても良い。
【0029】本発明の歯科用硬化性組成物における上記
不飽和カルボン酸類の架橋型重合体の配合量は特に制限
されないが、組成物全体に対して0.005〜5%、特
に0.05〜2%であることが好ましい。0.005%
未満では組成物の付着性向上の効果が不十分となること
があり、5%を超えると非生体成分の配合量の低減効果
が不十分となることがある。
【0030】本発明の歯科用硬化性組成物には、更に上
記成分に加えて、以下の成分を本発明の効果を損なわな
い範囲で配合することができる。
【0031】即ち、ハイドロキシアパタイト(HA
P)、フッ素アパタイト(FAP)、フッ素化アパタイ
ト等;フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム等のアル
カリ土類フッ化物;フッ化リチウム、フッ化鉄等の金属
フッ化物;ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム
等のケイフッ化物;CaCO3、MgO、CaO、Ca
(OH)2等;次炭酸ビスマス、硫酸バリウム、ヨード
ホルム等のX線造影剤などの水難溶性の成分を1種単独
で又は2種以上を併用して上記粉剤中の配合成分とする
こと、リン酸カルシウムの水硬性反応促進を目的として
KF、NaF、KFHF、NaFHF、モノフルオロリ
ン酸塩等の水溶性フッ化物を1種単独で又は2種以上を
併用して適宜配合すること、根管充填シーラーとして用
いる場合の固形根管充填材のガッタパーチャポイントへ
のぬれ性を付与することを目的としてグリセリン、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ソルビトー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリビニルアルコール等の多価アルコール1種を単
独で又は2種以上を併用して配合すること、及び水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、塩
酸、硝酸等のpH調整剤を1種単独で又は2種以上を併
用して上記液剤又は粉剤中の成分として配合すること等
が挙げられる。なお、上記成分を粉剤中に配合する場
合、それらの粒径は上記リン酸カルシウム化合物の場合
と同様の理由により、平均粒径は0.5〜5μm、最大
粒径は20μm以下であることが好ましい。
【0032】本発明の歯科用硬化性組成物は、上記各成
分を別々に準備しておき、使用時に全成分を混合、練和
しても良く、或いは上述したように、上記各成分中の水
難溶性又は水不溶性の成分は予め混合撹拌した粉剤とし
て、また水溶性の成分は予め水に溶解した液剤としてそ
れぞれ調製しておき、使用時にこれら粉剤と液剤とを練
和しても良い。ここで、上記液剤は、上記pH調整剤に
よりpH5〜中性付近、特にpH=5.5〜6.5に調
整しておくことが好ましい。pHが低いと硬化が早すぎ
るため操作時間に余裕がなくなる場合がある。一方、p
Hが高い場合についてはスラリー中でのpH緩衝作用が
低下し、好適な流動性や硬化時間を維持することが困難
となり、特に有機酸を用いた場合、顕著になる。
【0033】本発明の歯科用硬化性組成物の使用方法は
公知の方法に準じて行うことができ、得られたスラリー
はレンツロ等の糊材充填器で、或いは固形根管充填材と
共に、根管に充填されるが、所定範囲の分子量の不飽和
カルボン酸の架橋型重合体を配合することにより、その
スラリーは、ダマもなく、糊材充填器に十分均一に付着
し、根管への充填性にも優れると共に、酸を硬化剤とし
て配合しているので、該スラリーは生体に充填後、適度
な時間で水硬性反応により完全に硬化し、硬化と共にリ
ン酸カルシウムがアパタイトに転換するため生体中で極
めて安定であるのみならず、特に非生体成分である高分
子化合物の配合量が低減化されているので、生体親和性
に優れ、組織刺激性もない。この優れた生体親和性は、
根尖部において創傷治癒を阻害することもなく、石灰化
を促し、生物学的組織封鎖がなされるものである。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。 (1)α−TCPの製造 γ−Ca227とCaCO3とを混合し、1250℃で
4時間加熱した後、冷却し、α−TCPを得た。このα
−TCPを粉砕、分級して平均粒径を5μm、最大粒径
を20μmとした。 (2)粉剤の調製 上記α−TCPを基材とし、表1に示す通りX線造影剤
やその他の添加物を加え、更に表1に示す不飽和カルボ
ン酸類の架橋型重合体又は他の水溶性高分子化合物を加
え、これらを撹拌混合して粉剤を得た。なお、上記X線
造影剤やその他の添加物及び上記高分子化合物もα−T
CPと同様に予め粉砕、分級を行った。また、表1の各
成分の配合量は粉剤全体に対する割合を重量%で示した
ものである。 (3)液剤の調製 表2に示す酸及びその他の添加物を水に溶解し、表2に
示す通りpH調整して液剤を得た。なお、表2のグリセ
リン、エチレングリコールの配合量は液剤全体に対する
割合を重量/容量%で示したものである。 (4)歯科用硬化性組成物の調製 上記粉剤と液剤とを表3に示す液剤/粉剤比(ml/
g)となるように練和し、実施例1〜8及び比較例1〜
6の歯科用硬化性組成物(練和スラリー)を得た。
【0035】(5)評価 上記各練和スラリーの性能を下記試験法に従って評価し
た。その結果を表4に示す。 <流動性(フロー)試験法:根管充填材に関するADA
規格 No.57>練和スラリーを0.5ml取り、約
20gのガラス板上に乗せた。練和開始3分後に該スラ
リーの上にもう1枚の上記と同じガラス板を乗せ、更に
すぐに静かに100gの分銅を乗せた。練和開始10分
後に重りを外し、スラリーの広がりを最大、最小直径の
平均値(mm)として算出し、これをフロー値とした。
このフロー値は、規格では25mm以上と規定されてい
る。
【0036】<糊材充填器ヘの付着性試験法>練和スラ
リーをレンツロで輸送する際の付着しやすさを下記の評
価基準により官能評価した。 [評価基準] ○:十分量均一に付着する △:付着するが不均一である ×:全く付着しない
【0037】<硬化時間:ISO 6876−1986
(E) Dental root canal sea
ling material>練和スラリーを直径が1
0mm、高さが2mmのリングに満たし、練和開始2分
後に温度が37℃、相対湿度が95%以上の環境下で荷
重が100g、直径が2mmのギルモア針の圧痕がつか
なくなるまでの時間を測定し、その時間を硬化時間とし
た。なお、ISOの規格には、特に適切な硬化時間は指
定されていないが、例えば、Endodontics,
3rd edition(Ingle,J.I.and
Taintor,J.F. Lea & Febig
er,1985.226−231)には、ゆっくりと硬
化すること、のみ表現されている。実際の臨床現場の状
況を考慮にいれると、根管充填終了後に補綴物等を根管
充填部位に直接埋込、合着する操作が通常行われること
から、根管充填後24時間後には完全硬化している必要
があると考えられる。
【0038】<被膜厚さ:根管充填材に関するADA規
格 No.57>練和スラリーを面積が200mm2
2枚のガラス板の間に挟み、練和開始3分後に15kg
の荷重をかけ、練和開始10分後に該スラリーの厚さを
マイクロメーターで測定した。本試験は根管充填シーラ
ー(タイプII)の規格試験であり、該規格では被膜厚
さは50μm以下と規定されている。
【0039】<スラリー性状確認試験法>練和スラリー
の表面性状の滑らかさの度合いを下記の評価基準により
官能評価した。 [評価基準] ○:滑沢で滑らか △:滑沢であるがダマが観察される ×:きめが粗く肌荒れがある
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】表4の結果より、本発明の歯科用硬化性組
成物は、その練和スラリーの表面性状が滑沢で滑らかで
あり、糊材根管充填材や根管充填シーラーとして良好な
流動性、硬化時間、付着性及び被膜厚さを有するので、
特に糊材根管充填材や根管充填シーラーの材料として有
用であることが認められた。
【0045】それに対し、不飽和カルボン酸類の重合体
として直鎖型重合体を用いた場合(比較例1)及び不飽
和カルボン酸類の直鎖型重合体とその他の水溶性高分子
化合物を併用した場合(比較例4)は、その練和スラリ
ーにダマが発生し、根管充填シーラーとして良好な被膜
厚さを得ることができないことが認められた。また、不
飽和カルボン酸類の架橋型重合体に代えてその他の水溶
性高分子化合物を用いた場合(比較例2、3)は、その
練和スラリーのきめが粗く肌荒れがあり、付着性に劣る
のみならず、根管充填シーラーとして良好な被膜厚さを
得ることもできないことが認められ、更に、高分子化合
物を配合しない場合(比較例5)は、その練和スラリー
の表面性状は良好であるが、付着性に劣ることが認めら
れた。
【0046】また、不飽和カルボン酸類の架橋型重合体
であっても、その分子量が本発明の範囲外(低分子量)
であるものを用いた場合(比較例6)は、その練和スラ
リーにダマが発生して十分均一な付着性を得ることがで
きず、根管充填シーラーとして良好な被膜厚さも得るこ
とができないことが認められた。
【0047】
【発明の効果】本発明の歯科用硬化性組成物は、表面性
状が滑沢でダマもない滑らかなスラリーになり、充填器
具に均一に付着すると共に、厚さが薄い被膜を確保する
ことが可能であり、且つ生体中で適度な時間で水硬性反
応により完全に硬化し、更に硬化と共にリン酸カルシウ
ムがアパタイトに転換するため生体中で極めて安定であ
るのみならず、特に生体刺激性も全くなく、生体親和性
に優れた糊材根管充填材及び根管充填シーラーである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 落合 良仁 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 田中 隆夫 山口県下関市彦島迫町七丁目1番1号 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 和知 浩子 山口県下関市彦島迫町七丁目1番1号 三 井東圧化学株式会社内 (72)発明者 諸隈 辰馬 山口県下関市彦島迫町七丁目1番1号 三 井東圧化学株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウム化合物、酸及び水を含
    有してなり、重量平均分子量が50万〜1000万であ
    る不飽和カルボン酸類の架橋型重合体を配合してなるこ
    とを特徴とする歯科用硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 上記不飽和カルボン酸類の架橋型重合体
    の配合量が組成物全体に対して0.005〜5重量%で
    ある請求項1記載の歯科用硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 上記不飽和カルボン酸類の架橋型重合体
    がアクリル酸の架橋型重合体を含有する請求項1又は2
    記載の歯科用硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 上記酸が有機酸である請求項1、2又は
    3記載の歯科用硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 上記酸がクエン酸である請求項4記載の
    歯科用硬化性組成物。
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