JPH0824586B2 - 新規dnaおよびそれを用いるタンパク質の製造方法 - Google Patents

新規dnaおよびそれを用いるタンパク質の製造方法

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JPH0824586B2
JPH0824586B2 JP59175158A JP17515884A JPH0824586B2 JP H0824586 B2 JPH0824586 B2 JP H0824586B2 JP 59175158 A JP59175158 A JP 59175158A JP 17515884 A JP17515884 A JP 17515884A JP H0824586 B2 JPH0824586 B2 JP H0824586B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はタンパク質生産に関与するDNA塩基配列に関
するものである。本発明は特にバチルス属細菌で大量に
分泌生産される中性プロテアーゼ遺伝子を含むDNA塩基
配列および該中性プロテアーゼの生産法に関するもので
ある。
従来の技術 中性プロテアーゼは現在工業的に製造されている最も
有用な酵素の一つであり、その用途は食品製造、化粧
品、皮革なめし、ドライクリーニング用洗剤等広範な分
野にわたっている。従来中性プロテアーゼは該酵素の高
生産生の細菌例えばバチルス・アミロリキファシエン
ス、バチルス・ズブチリス、バチルス・サッカリティカ
ス、バチルス・チケニファルミスなどの培養に伴い生産
される中性プロテアーゼが含まれる培養ろ液を集め、該
酵素を精製することにより得られている。バチルス属細
菌は該酵素のほかにアミラーゼ、アルカリ性プロテアー
ゼ、レヴァンシュークラーゼ等の菌体外タンパク質を多
量に培養ろ液中に分泌蓄積するために該酵素の生産の際
不純物の除去に多大の労力を要するものであった。
発明が解決しようとする問題点 本発明によって明らかになったDNA塩基配列を利用し
た組み換えDNAの方法を用いて中性プロテアーゼの生産
を行うことによると該酵素の生産における生産性の向上
および精製の操作の簡素化を極めて容易に行うことがで
きる。すなわち遺伝子組み換えの方法でクロン化された
遺伝子によるタンパク質生産の際、菌体内に多数の遺伝
子を存在させることができるため従来の生産法に比べて
目的とするタンパク質の生産量を飛躍的に増大させるこ
とができ、更に酵素タンパク質の回収、精製を極めて容
易に行うことができるものである。
近年の分子生物学に知見により異種の生物由来の遺伝
子を適当なベクターと連結し宿主菌へ導入することによ
り異種タンパク質を宿主菌に生産させることが可能にな
った。宿主菌としてバチルス属細菌を用いた場合、該細
菌が多量のタンパク質を菌体外へ分泌する性質があり、
また病原性を有せず永い間発酵工業で用いられてきた経
験があること(Debabov,“The Molecular Biology of t
he Bacilli"1 332(1982),Dubnau,D.A.編Academic Pre
ss)から、このような微生物の分泌タンパク質の分泌に
関与する遺伝情報を用いて高い分泌能を有するベクター
系を創製することは、微生物によるタンパク質生産の観
点からみて大きな工業的意義がある。すなわち、それに
よって遺伝子を発現させ、タンパク質を菌体外すなわち
培養液中に多量に分泌させて培養ろ液から簡単な工程で
回収できるからである。
更に、中性プロテアーゼ遺伝子のクローニングに成功
したことにより、従来全く未知であったそのDNA塩基配
列を決定することができた。この結果中性プロテアーゼ
の遺伝子レベルでの解析が可能になり中性プロテアーゼ
のDNAレベルでの活性向上、安定化等の改良が可能とな
った。
後に説明の通り本発明で得られたバチルス属の中性プ
ロテアーゼ遺伝子は菌体外に分泌されるタンパク質に共
通に見られる分泌に関与する情報をもっている。バチル
ス属の中性プロテアーゼは、特に大量に分泌生産される
ため非常に強力なプロモーター領域、リボソーム結合領
域および分泌に関与する遺伝情報をもっていると考えら
れる。本発明によって得られたDNA塩基配列には当然こ
のようなプロモーター領域、リボソーム結合領域および
分泌に関与する領域の塩基配列を含むものであり、該DN
A塩基配列に存在するこれらの領域を利用して中性プロ
テアーゼのみならず異種のタンパク質を大量に分泌生産
をすることが可能である。このことは有用タンパク質を
工業的に製造する上で極めて意義深いことである。本発
明者らはこのような観点から本発明の方法によりバチル
ス属細菌の菌体外へ分泌される中性プロテアーゼ遺伝子
のDNA塩基配列とアミノ酸配列を世界で初めて決定し、
プロモーター領域、リボソーム結合領域、分泌に関与す
る領域のDNA塩基配列および中性プロテアーゼの構造遺
伝子の構造を明らかにした。また得られたDNA塩基配列
を含む組み換え体DNAを用いることにより菌体外へ中性
プロテアーゼを従来法に比べ50倍も分泌させることに成
功し、一群の本発明を完成するに至った。
本発明にいう中性プロテアーゼ遺伝子を含むDNA塩基
配列とは特許請求の範囲第三項において当業者の常識に
従い5′末端から3′末端への方向に従ってその塩基配
列の順序を特定しているものである。また中性プロテア
ーゼ遺伝子に対応するDNA断片を適当なベクターDNAある
いは宿主菌染色体DNAに組込むことによって高い該酵素
タンパク質の生産が可能となり、同時にそれらの分泌能
を有するバチルス属細菌の創製が可能になる。
以下本発明を詳細に説明する。
(本発明のDNA塩基配列) 本発明のDNA塩基配列は中性プロテアーゼの生産に関
与するものである。そしてこの配列のDNAは、バチルス
・アミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquefacien
s)F株由来で本発明のDNA塩基配列をその染色体上に有
しいるものから容易に得ることができる。中性プロテア
ーゼ遺伝子を含む本発明のDNA塩基配列は、該酵素生産
菌株の染色体DNAに由来するものであり、該遺伝子の発
現に必要な領域を含んでいる。遺伝子の発現に関する領
域としては、RNAポリメラーゼが認識し結合する領域で
ある“−35"および“−10"領域を含むプロモーター領
域、およびRNAポリメラーゼにより合成されたmRNAがリ
ボソームと結合するための塩基配列を指定するリボソー
ム結合領域がある。遺伝子の発現の効率に関してそれら
の領域の塩基配列が極めて重要であるが、それのみなら
ずそれらの間の距離すなわち塩基数も非常に重要である
ことが知られている(Moran,Jr.etal.,Mol.Gen.Genet.1
86 339(1982))。本発明のDNA塩基配列にはこれらの
すべての領域が含まれていて中性プロテアーゼ遺伝子の
発現に必須であると考えられる。
本発明のDNA塩基配列は第1図にも示す通りで、この
配列のうちプロモーター領域に見出される“−35"領域
および“−10"領域は本発明の場合それぞれTTGCAGおよ
びTATTATAで一般に共通とされる配列(堀之内末治、蛋
白質・核酸・酵素28 1468(1983))に類似している。
またリボソーム結合領域では、本発明においてAAAGGGGG
でバチルス・ズブチリスのリボソームRNAと完全に相補
的な配列であるAAAGGAGG(Mclaughlin J.R.,Biol.Chem.
256 1283(1983))と一塩基しか異ならないものであ
る。これらの結果からみて該中性プロテアーゼ遺伝子は
非常に強力なプロモーター領域とリボソーム結合領域を
持つものである。
また遺伝情報の終わりを示すターミネーター領域も遺
伝子の発現の効率の上で重要である。プロモーター領域
で始まったmRNAは遺伝子の最後部に存在するターミネー
ター領域で終了すると考えられる。本発明の場合中性プ
ロテアーゼ遺伝子の最後部にターミネーター領域と考え
られるDNAの高次構造を規定するDNA塩基配列の存在が認
められる(図1)。
本発明のDNA塩基配列は中性プロテアーゼのタンパク
質そのものを規定している構造遺伝子を含んでいる。ま
た一般に細胞外に分泌されるタンパク質はシグナル配列
として知られる特有な分泌に関与するアミノ酸配列を有
することが知られている(蛋白質・核酸・酵素26 2044
(1981))。本発明のDNA塩基配列によって指定される
中性プロテアーゼにおいても菌体外に効率的に分泌され
るものであり、従って該DNA塩基配列の場合も同じく該
酵素の菌体外への分泌に関与する遺伝情報を含む領域を
含んでいる。本発明のDNA塩基配列は図面に示す。また
構造遺伝子および分泌に関与する領域は該DNA塩基配列
により対応するアミノ酸を規定するが、このアミノ酸を
変えることなくDNAの改変を行ったDNA塩基配列は該DNA
塩基配列と全く同一のものとみなされる。本発明のDNA
塩基配列を含むDNAはバチルス属細菌の染色体DNAより得
られたが、本発明により世界で初めて中性プロテアーゼ
遺伝子のDNA塩基配列が明らかとなったことにより、本
発明のDNA塩基配列を利用して通常の方法でDNAの合成に
より該DNA塩基配列のDNAを得ることが可能となったが、
この場合も当然本発明の範囲に含まれる。
(組み換え体DNA) 本発明のDNA塩基配列を含む組み換え体DNAとは、本発
明のDNA塩基配列とベクターDNAとを結合したあらゆる組
み換え体DNAを意味する。この際細菌内で保持されうる
プラスミド、ファージ、コスミドなどの核外遺伝子のみ
ならず本発明のDNA塩基配列を含むDNAを利用して宿主菌
の染色体DNAとの菌体内の組み換え等により染色体DNAに
組み込まれた場合も本発明の組み換え体DNAの範ちゅう
に入るものである。本発明においてベクターDNAとして
細菌内で保持されるプラスミド、ファージを用いた場
合、該DNA塩基配列を含むDNAを菌体内に多数存在させる
ことが可能であり本発明の主旨に対し合目的的である。
すなわち菌体内に多数存在することにより多量の該中性
プロテアーゼの生産が可能になり、また多量のDNAを回
収することができるためDNAレベルでの中性プロテアー
ゼの改良が容易になる。本発明におけるベクターDNAと
して、通常遺伝子組み換え実験で用いられるいかなるベ
クターDNAの使用も可能であるが、例えば宿主菌として
バチルス・ズブチリスを用いる場合、プラスミドにはpU
B110やpC194などが、ファージとしてはρ11やφ105など
が、又宿主菌として大腸菌を用いる場合には、プラスミ
ドにはpBR322やpUC12、pUC13などが、ファージにはλフ
ァージなどが適している。
本発明の組み換え体DNAはベクターDNAを適当に選ぶこ
とによりバチルス属細菌のみならず大腸菌などあらゆる
細菌類、酵母、放線菌、かびなどに導入が可能である。
本発明の、中性プロテアーゼ遺伝子を含む組み換え体
DNAが導入される細菌にはこれらの菌株を含むものであ
る。バチルス属細菌に該組み換え体DNAを用いて形質転
換を行う場合、コンピテント細胞を用いる方法(Anagno
stopoulos,C.and Spizizen J.,J.Bacteriol.81 741(19
61))やプロトプラスト法がある(Chang,S.and Cohen,
S.N.,Mol.Gen.Genet.168 11(1878))。また大腸菌を
形質転換する方法としてCaCl2法が適当である(Maniati
s T.et al.“Molecular cloning"p247(1982)Cold Sp-
ring Harbor Laboratory)。
本発明の組み換え体DNAを用いて形質転換された細菌
は、培養することにより該組み換え体DNAに対応するタ
ンパク質を従来法に比べ極めて多量に生産する。この場
合タンパク質とは中性プロテアーゼを指すが、組み換え
体DNAのDNA塩基配列の一部を変えたことにより生じたDN
A塩基配列に対応するタンパク質も当然含まれるもので
ある。
本発明のタンパク質生産法には本発明の組み換え体DN
Aを用いて形質転換された細菌の菌体内および菌体外の
いずれへの該タンパク質の生産の場合も含まれる。例え
ば該組み換え体DNAのDNA塩基配列のうち分泌に関与する
領域を除いて得られた組み換え体DNAを形質転換して得
られた菌株の菌体内に該タンパク質を生産せしめる方法
も本発明の方法に含まれる。しかしながら中性プロテア
ーゼを工業生産する場合、該酵素タンパク質の回収、精
製の容易さなどにおいて該酵素が生産菌体の菌体外すな
わち培養液中に分泌されることが望ましい。本発明者ら
は本発明で得られたDNA塩基配列を含む組み換え体DNAを
用いてバチルス・ズブチリスを形質転換し得られた菌株
を培養することによって現在工業的に中性プロテアーゼ
の生産に用いられている菌株であるバチルス・アミロリ
キファシエンスに比べて培養液中に50倍も多量に該中性
プロテアーゼを分泌蓄積させることに成功した。また該
培養液中に分泌されたタンパク質の95%は中性プロテア
ーゼであったが、この値は従来の方法で60%に比べ異種
タンパク質の混入を減らす観点から極めて良好な値であ
る。この結果から本方法で得られた中性プロテアーゼの
精製が非常に容易となることが明らかとなった。
以下具体例によって本発明のバチルス・アミロリキフ
ァシエンスの中性プロテアーゼ遺伝子を含むDNA塩基配
列を得る方法、本発明のDNA塩基配列の塩基配列を決定
する方法、該DNA塩基配列を含む組み換え体DNAを得て細
菌類を形質転換する方法、および該形質転換菌株を用い
た中性プロテアーゼの生産法について説明するが、本発
明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1 (バチルス・アミロリキファシエンスからの染色体DNA
の調製および制限酵素による切断) バチルス・アミロリキファシエンスF株(ATCC2335
0)を肉汁培地(Difco社製ニュートリエントブロス)2l
を用いて37℃で15時間培養した後集菌し、Saito-Miura
の方法(Saito,H.,and Miura,K-I.,Biochem.Biophys.ac
ta72,619(1963))に従い10mgの精製染色体DNAを得
た。この染色体DNA500μgを制限酵素Sau3A(宝酒造
製)100単位を用いて37℃で5分間反応させた。反応系
の組成は10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、7mM MgC
l2、100mM NaClである。反応後1μgのDNAを供試し1
%アガロースゲル電気泳動により調べた結果、本反応物
は2kb−8kbのサイズのDNAフラグメントを主とする供与
染色体の部分切断物であることが認められた。そこで本
反応物の残り全量を0.7%低融点アガロースゲル電気泳
動により100V3時間泳動しおよそ1.5kb−9kb部分のゲル
を切り出し、フェノール抽出およびクロロホルム抽出に
より精製しエタノール沈殿によりDNAを回収した。該回
収DNAを50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)200μlに溶
解し供与染色体断片として以下の実験に供した。
実施例2 (供与染色体DNA断片とベクターとの結合および形質転
換) 実施例1で得られた供与染色体DNA断片は、制限酵素B
amHI(宝酒造製)で完全に切断して大大腸菌アルカリ性
ホスファターゼ(Worthigton社製)で末端リン酸エステ
ルを加水分解したプラスミドpUB110に結合した。
pUB110のBamHI処理は、pUB110 100μg、BamHI(宝酒
造製)50単位で37℃4時間のインキュベーションでおこ
なった。反応系の組成は10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)、7mM MgCl2、100mM NaCl、2mM 2−メルカプトエタ
ノール、0.01%ウシ血清アルブミンである。得られたBa
mHI切断pUB110はフェノール抽出を3回行いエタノール
沈殿で回収した。回収pUB110は次に大腸菌アルカリ性ホ
スファターゼ(Worthington社製BAPF)5単位、0.1Mト
リス−塩酸緩衝液(pH8.0)で65℃4時間インキュベー
ションすることで反応を行った。その後フェノール抽出
とエタノール沈殿を行いpUB110を回収した。回収pUB110
は100μlの50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で溶解し
た。
かくして得られたBamHIおよびホスファターゼで処理
したpUB110と実施例1で得られた供与染色体DNA断片と
の結合をT4リガーゼ(宝酒造製)を用いて行った。反応
系の組成は供与染色体断片50μl、pUB110 20μl、T4
リガーゼ5単位、66mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、
6.6mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、1mM ATP(アデ
ノシン3リン酸)である。反応は15℃で4時間行った。
反応後一部を用いて1%アガロースゲル電気泳動を行っ
た結果、ベクターであるpUB110と供与染色体DNAとが結
合し組み換え体DNA分子を形成していることが認められ
た。
このようにして得られた組み換え体DNA分子による形
質転換はChangのプロトプラスト法(Chang,S.and Cohe
n,S.N.,Mol.Gen.Genet.168 111 (1978))に従って実
施した。プロトプラストの再生培地には硫酸カナマイシ
ンを最終濃度100μg/mlとなるように加えた。クローニ
ングの宿主菌にはバチルス・スブチリス1A274株(オハ
イオ大学バチルスストックセンター保存株)を用いた。
形質転換によって得られたカナマイシン耐性株は、0.
8%カゼイン−40μg/mlカナマイシンを含むTBAB寒天培
地(Difco社製)に植え継ぎ37℃で14時間培養してコロ
ニーのまわりのハロー形成の有無を調べた。約1万株の
カナマイシン耐性株について調べた結果、1株(#15
0)はコロニーのまわりに顕著に大きいハローを形成し
ていた。
実施例3 (形質転換株からの組み換え体DNA分子の調製と供与株
の中性プロテアーゼ遺伝子を含むことの確認) 実施例2で得た大ハローを形成する形質転換株#150
をシングルコロニー単離して得た大ハロー形成株をペン
アッセイ培地(Difco社製)50mlを用いて37℃14時間培
養後集菌した。集菌菌体を50mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)、5mMEDTA、50mM NaClで洗浄したあとでアルカリ
法(Birnboim,H.C.and Poly,J.,Nucleicacidres.7 1513
(1979))に依りプラスミドを調製した。得られたプラ
スミドを制限酵素EcoRIおよびBglII、BamHIで処理した
後1%アガロースゲル電気泳動で調べたところEcoRI、B
glIIで該プラスミドは1ケ所切断され、サイズは6.2kb
のものであることが、およびBamHIでは切断されないこ
とが見出された。ベクターとして用いたpUB110はサイズ
は4.5kbでEcoRI、BBglIIおよびBamHIにより1ケ所切断
されるものであるから大ハロー形成形質転換株から得ら
れたプラスミドにはpUB110のBamHI部位に約1.7kbの供与
染色体プラスミドが挿入した組み換え体DNA分子である
ことがわかった。この組み換え体プラスミドをpNP150と
名付けた。
このようにして得られた組み換え体プラスミドpNP150
はコンピテント法によりバチルス・ズブチリス1A20株
(オハイオ大学バチルスストックセンター保存株)を形
質転換した。コンピテント法の形質転換はAnagnostopou
los-Spizizenの方法(Anagnostopoulos,C.,and Spizie
n,J.J.Bacteriol.81 741(1961)に従った。約5μgの
組み換え体DNA分子取り込み後の培養液(1ml)は0.8%
カゼイン−40μg/mlカナマイシン含有TBAB寒天培地に50
μlずつプレーティングした。得られたカナマイシン耐
性形質転換株の100%が大ハロー形成株であった。そこ
でこん形質転換株MT-0150(FERMBP-425)をペンアッセ
イ培地を用いて37℃で8時間培養しその培養上清のプロ
テアーゼ活性を測定した。測定の方法はカゼイン分解法
(「実験農芸化学」p284朝倉出版(1678))に依った。
測定の結果この形質転換株はバチルス・アミロリキファ
シエンスに比べて中性プロテアーゼを50倍も多量に分泌
していること(表1)が明らかになった。またこの培養
上清を抗原とし、バチルス・アミロリキファシエンスお
よびバチルス・ズブチリスの中性プロテアーゼに対する
抗血清を用いた免疫二重拡散法の結果、該形質転換株の
分泌する中性プロテアーゼはバチルス・アミロリキファ
シエンス型のものであることが判明した。さらにMT-015
0によって分泌される中性プロテアーゼおよびバチルス
・アミロリキファシエンス、バチルス・ズブチリス両者
の菌体外中性プロテアーゼをそれぞれ培養上より回収、
精製してアミノ末端のアミノ酸配列を決定した。その結
果、該形質転換株MT-0150の産生する中性プロテアーゼ
はバチルス・アミロリキファシエンスのものと完全に一
致した。それゆえにこのものがバチルス・アミロリキフ
ァシエンス遺伝子由来の中性プロテアーゼの成熟タンパ
ク質と同一であり、バチルス・アミロリキファシエンス
の中性プロテアーゼ遺伝子の分泌に関与する領域はバチ
ルス属の種を越えて正常に機能することが明らかになっ
た。
実施例4 (バチルス・アミロリキファシエンスの中性プロテアー
ゼ遺伝子の大量調製とDNA塩基配列の決定) 実施例3で得た本発明のDNA塩基配列を有するバチル
ス・ズブチリスMT-0150株を肉汁培地(Difco社製ニュウ
トリエントブロス)5lを用いて37℃で14時間培養した菌
体からGryczanの方法(Gryczan,T.J.J.Bacteriol. 134
318(1978))に従いプラスミドの調製を行った結果本
発明のDNA塩基配列を有する精製プラスミド(pNP150)2
mgを得た。得られたpNP150の中性プロテアーゼを含む挿
入DNA断片についてMaxam-Gilbertの方法(Maxam,A.,Gil
bert,W.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74 560(1977))に従
い塩基配列を決定した。
第1図はこの結果得られたDNA塩基配列とその説明で
ある。ここに示すようにバチルス・アミロリキファシエ
ンスの中性プロテアーゼの全アミノ酸配列が初めて明ら
かになった。
さらにその上流には遺伝子の発現に必要なプロモータ
ー領域、すなわちRNAポリメラーゼの認識とDNAとの結合
に必要ないわゆる−35および−10の領域を見ることがで
きる。またプロモーター領域の下流にリボソーム結合領
域がみられ、さらに数塩基下流のタンパク質合成開始点
からタンパク質をコードするオープンリーディングフレ
ームが存在する。このオープンリーディングフレームの
うち中性プロテアーゼのアミノ末端から上流の部分は分
泌の際に切り取られるものであるが、この領域はタンパ
ク質の分泌に関与する重要な部分を含むものである。
オープンリーディングフレームの終わりを示す終止コ
ドンの下流にターミネターと考えられる二次構造を形成
することのできるDNA塩基配列がみられる。このことに
よって該中性プロテアーゼ遺伝子を含む組み換え対プラ
スミドpNP150は該遺伝子を全部含むことが確認された。
実施例5 (形質転換株を用いた中性プロテアーゼの製造) 実施例3で得た本発明のDNA塩基配列を有するバチル
ス・ズブチリスMT-0150を肉汁培地(Difco社製 ニュー
トリエントブロス)5lで37℃、14時間培養した。実施例
3で示した方法で培養上清のプロテアーゼ活性を測定し
たところ高い活性を示しその95%以上は中性プロテアー
ゼであった。宿主菌であるバチルス・ズブチリスはこの
条件ではほとんどプロテアーゼの生産がないのに比べて
MT-0150はDNAの供与菌であるバチルス・アミロリキファ
シエンスよりも50倍高い値を示した(表1)。
中性プロテアーゼの精製は常法に従い培養上清を集
め、硫酸アンモニウム沈殿(75%飽和)、アセトン沈殿
(30−70%画分)を行った後CM−Sepharose(ファルマ
シアーファインケミカルズ)カラムクロマトグラフィー
で行った。CM-Sepharoseの結果均一なタンパク質が得ら
れた。従来の菌株ではアミラーゼ、レバンシュークラー
ゼなどの混入が多くこのような操作で均一な酵素タンパ
ク質として得ることは成し得なかった。また現在工業的
にはバチルス・アミロリキファシエンスを培養しその上
清より中性プロテアーゼを回収する方法で該酵素を製造
していたが、本発明の方法により生産性が一挙に50倍も
向上することが認められた。
単位:ユニット 酵素液1mlあたり1分あたりにミルク
カゼインを分解し275nmの吸光度を0.01増大させる活性
を1ユニットとする。
培養は37℃で14時間行ったもの。培地は肉汁培地。反応
は30℃で行った。中性プロテアーゼは反応液中に1mM DF
P(Difuruolopyroca-rbonate)を添加してアルカリ性プ
ロテアーゼ活性を阻害することによりもとめた。アルカ
リ性プロテアーゼは反応液中に20mM EDTA(Ethylendiam
inetetraacetate)を添加し中性プロテアーゼ活性を阻
害することによりもとめた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、バチルス・アミロリキファシエンスの中性プ
ロテアーゼ遺伝子を含むDNA塩基の配列を示す図であ
る。そのうち179番目から184番目は−35領域を、おなじ
く203番目から208番目は−10領域を、おなじく236番目
から243番目はリボソーム結合領域を、おなじく251番目
から913番目は分泌に関与する領域を含むDNA塩基配列
を、おなじく914番目から1813番目は成熟タンパク質を
コードするDNA塩基配列を、おなじく1820番目から1851
番目はターミネーター領域を含むDNA塩基配列をそれぞ
れ示すものである。 第1図中において、Aはアデニンを、Tはチミンを、G
はグアニンを、Cはシトシンをそれぞれ示し更にこれら
の配列の下側にあって、プロモーター領域で は−35領域を、======は−10領域を、+++++
+はリボソーム結合領域を、 は分泌に関与する領域を始まりを、 は成熟タンパク質コード領域を、****はタンパク質
転写終了コドンを、 はターミネーター領域を、それぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審判の合議体 審判長 平山 孝二 審判官 広田 雅紀 審判官 鵜飼 健 (56)参考文献 特開 昭59−59190(JP,A) 特開 昭60−91980(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前駆体タンパク質のアミノ酸配列が下記に
    示す通りであるバチルス・アミロリキファシエンス(Ba
    cillus amyloliquefaciens)F株の中性プロテアーゼを
    コードする遺伝子のプロモーター領域、リボソーム結合
    領域、構造遺伝子およびターミネーター領域をコードす
    るDNA塩基配列。
  2. 【請求項2】DNA塩基配列の片方の鎖が次の順序である
    特許請求の範囲第一項記載のDNA塩基配列。 (上記においてAはアデニンを、Tはチミンを、Gはグ
    アニンを、Cはシトシンをそれぞれ示す。)
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EP84116373A EP0149241B1 (en) 1983-12-28 1984-12-27 Dna base sequence containing regions involved in the production and secretion of a protein, recombinant dna including the whole or a part of the dna base sequence, and method of producing proteins by use of the recombinant dna
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