JPH0825764B2 - 水素分子含有シリカガラス体の製造方法 - Google Patents

水素分子含有シリカガラス体の製造方法

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JPH0825764B2 JP29248390A JP29248390A JPH0825764B2 JP H0825764 B2 JPH0825764 B2 JP H0825764B2 JP 29248390 A JP29248390 A JP 29248390A JP 29248390 A JP29248390 A JP 29248390A JP H0825764 B2 JPH0825764 B2 JP H0825764B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は水素分子含有シリカガラス体の製造方法に係
り、特に、水素ガスを含まない雰囲気下で熱処理した場
合においても容易に所定濃度量以上の水素分子を含有さ
せ得るシリカガラス体の製造方法に関する。
<従来技術> 近年、エレキシマレーザやYAG4倍高調波をはじめとす
る波長変換紫外線レーザは、LSI製造のためのリソグラ
フィー技術、光化学反応を利用する技術、切断研削の為
の加工技術、レーザ核融合技術に利用されるものとして
注目を集めている。
そしてこの種の紫外線レーザを透過、伝送、屈折、反
射、吸収、干渉させる為のレンズ、プリズム、フィルタ
ーその他の光学系ガラス部材若しくは光ファイバーの素
材としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、
フッ化バリウム等のフッ化物もしくはシリカガラスが利
用できるが、加工性、寸法、脈理や屈折率の均質性から
シリカガラスが最も好適である。
しかしながら、前記各種オプテイクスを構成するシリ
カガラスに略360nmから略160nmの紫外波長域の光が作用
した場合においては、他の電離放射線、例えばX線やγ
線に比較して大幅に強い光学的ダメージを受け易い。
例えば、紫外線レーザが長時間照射されるとシリカガ
ラスの網目構造が切断され、いわゆるE′センターと呼
ばれる略215nmの吸収バンドと、略260nm吸収バンドが生
成し、この結果略360nmから略160nmの紫外線の透過率を
低下させ、光学特性を劣化させてしまう。従って、シリ
カガラスを前記波長域における紫外線レーザに対して耐
久性を向上させることは構造上非常にむずかしかった。
更に、特に略250nm以下の短紫外域におけるKrF若しく
はArFエキシマレーザは、他の紫外光に比較して最も強
いエネルギーを持っており、該エキシマレーザの照射に
より前記シリカガラスは一層強い光学的ダメージを受け
やすいことが確認されている。
かかる欠点を解消する為に、本出願人は全方向脈理フ
リーで複屈折率も認められず、泡及び蛍光の発生もない
高純度高均質性のSUPRASIL−P10(商品名、信越石英株
式会社製)等の合成シリカガラス体を開発したが、かか
るガラス体は耐放射線や360nm以上の近紫外線には有効
であるが、略250nm以下の短紫外域におけるKrF若しくは
ArFエキシマレーザの照射においてはダメージが大き
く、前記欠点を解決し得なかった。
そこで本出願人は更に研究を重ね、前記シリカガラス
体中に水素ガスをドープする事により特に略250nm以下
の短紫外域エキシマレーザの照射における光学的ダメー
ジを大幅に低減した商品を開発すると共に、そのシリカ
ガラス中への水素ガスドープを主要構成要件とする特許
を先に出願した。(特願平1−145226,特開平3−8874
2) そして前記水素ガスをドープする手段として前記シリ
カガラスを常圧乃至加圧水素ガス雰囲気中で200〜1200
℃5に加熱する技術を前記出願で開示している。
又このような水素ガスドープ技術は特開平1−201664
号にも開示されており、特に該公報には常圧水素ガス雰
囲気下で800〜1000℃加熱処理する事により前記ガスド
ープを可能にした技術が開示されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら前記水素ガス雰囲気下で加熱処理する事
は常に爆発の危険が伴い、安全上問題がある。
又前記ドープ方式では水素ガスと接触する表面域には
多くガスドープされるが、例え加熱雰囲気下でも短時間
にガラス固体内部に均等にガスドープをするのは中々困
難であり、而もかかる欠点はドープされるガラス固体の
厚みが大になればなるほど増幅される。
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、爆発の危険が
伴う事なく極めて安全に水素分子をシリカガラス中に含
有し得るシリカガラスの製造方法を提供する事にある。
本発明の他の目的は、シリカガラスの厚みに制限され
る異なく高純度かつほぼ均一濃度で該ガラス内部全域に
亙って前記水素分子を含有し得るシリカガラスの製造方
法を提供する事にある。
更に本発明の他の目的は、前記目的達成により耐紫外
線レーザ性と高透過率を一層向上し得るシリカガラスの
製造方法を提供する事を目的とする。
<課題を解決するための手段> 本発明は、雰囲気ガスに水素ガスを用いる事なく、含
有させるべきシリカガラス体の水分、OH基、プロトン
(H+)等の水素元素を所定の処理にて水素分子(H2)と
して生成させようとする試みにある。
その為には水分、OH基、プロトン(H+)等の水素元素
を含むガラス体を出発母材として用いる必要があり、そ
こで本発明の第一の特徴とする所は合成シリカガラス
体、特に塊状合成シリカガラスを出発母材として用いる
点にある。
けだし合成シリカガラスの製造法である酸水素炎加水
分解法のダイレクト法やCVDスート再溶融合成法におい
てはいずれも酸水素炎を用いて形成されるものである為
に、前記製法により製造されたシリカガラス体中にはプ
ロトン(H+)等の水素元素の核が含まれる事となる。
又本発明においてその出発母材を塊状の透明体に限定し
たのは、本発明が塊状体への水素ドープが極めて困難で
ある為にその解決を試みたという課題に加えて後記する
ように「塊→再溶融→塊」という工程を採る事により水
素分子の生成が容易になるものである。而も出発母材に
塊体ではなく、粉状物や層状物を用いると前記再溶融時
に高圧下で熱処理されるために気泡を含有したり又粒状
組織が残った状態で溶融固化し、光学部材若しくはファ
イバ用素体として適さない。
次に本発明の第二の特徴として前記水素元素(H+)を
水素分子(H2)として顕在化させる手段として前記塊状
合成シリカガラス体を高圧希ガス雰囲気下で加熱して再
溶融した後、該再溶融状態を所定時間維持する事にあ
る。
尚、前記処理により水素分子が生成される理由につい
てはさだかでないが、高圧力下で再溶融する事によりガ
ラス組織に緩やかに結合しているプロトン(H+)やOH基
若しくはH2Oが分離、分解され、更にその溶融体中にそ
の雰囲気ガスである希ガスが拡散されることにより該希
ガスがガラス網目構造のすき間に入り込み、OH基若しく
はH2Oの分解により生成した酸素ガスが存在する場合は
そのガスを外部へ脱ガスされつつ、前記生成水素分子が
前記ガラス組織中に生成させる事が可能となるものと推
定される。
尚、耐紫外線レーザ性を効果的に達成するには前記シ
リカガラス体中に5×1017(molecules/cm3・glass)以
上の水素分子を含有させるのがよい。
さて前記2つの要件により水素ガスをまったく含有し
ない雰囲気下でもガラス組織中に水素分子の含有が可能
であるが、前記溶融体の固化を図るために直ちに降圧を
行うと含有した水素分子がガスとして外部に拡散してし
まう恐れがある。
又、一旦前記溶融体を降圧して急冷却固化しようとす
ると歪が発生し光学部材として適さなくなる。
そこで請求項2に記載した発明においては前記2つの
構成要件に加えて、前記再溶融体を、少なくとも歪点に
至るまで加圧雰囲気下で徐冷した点にある。
これにより前記固化冷却後の歪量を5(nm/cm)以下
に維持する事が可能となり、好ましい光学部材の提供が
可能となる。
<実施例> 原料四塩化ケイ素を蒸留処理して不純物を除去させた
後弗素樹脂ライニング付ステンレス製容器に貯溜した高
純度四塩化ケイ素を用意し、該高純度の四塩化ケイ素原
料を用いて酸水素炎加水分解法の直接火炎法(以下ダイ
レクト法という)とCVDスート再溶融法(以下スート法
という)にて、高純度シリカガラスインゴットを各々複
数個合成した。
次にこれらのインゴットを一定の直径の棒状体に延伸
した後、横型浮遊帯域融解法(FZ法)により混練り均質
化し、三方向における脈理が認められず且つ光使用領域
(クリヤーアパーチャー)における屈折率変動幅(Δ
n)を2×10-6以下で且つ複屈折率を5nm/cm以下に抑え
たシリカガラス体を切断、研削加工して直径100φ×h10
0mmの試験片を数個作成した。
そしてこれらの試験片の水素ガス濃度を測定する為
に、水素分子測定用サンプルとして寸法10×10×20mmで
かつ3面を鏡面仕上したものを作成してレーザラマン散
乱測定法による水素分子濃度測定を行う。即ち該測定方
法は、前記サンプルをセットした後Arレーザ(488nm)
で照射し4135(cm-1)と800(cm-1)の散乱光の強度比
よりガス濃度を計算する。(V.S.Khotimchenko,etal.Zh
urnal Prikladnoi Spektroskopii,Vol.46,No.6,PP.987
〜991,1986)この測定結果によれば、均質化処理後のダ
イレクト法によるサンプルの水素濃度はいずれも5×10
16(molecules/cm3)未満、スート法によるサンプルの
水素濃度はいずれも5×1016(molecules/cm3)未満で
あった。そして前記サンプルのOH基を測定した所、前者
では600〜630ppm,後者では180〜200ppmであった。
次に前記ガラス体を内面に窒化ホウ素(BN)の粉末を
コーティングした高純度アルミナ(Al2O3)製坩堝に入
れ、熱間等方圧圧延法(HIP処理法)により、アルゴン
ガス100%の2000atmの高圧雰囲気で、1750℃の温度を3h
r維持して再溶融した後、第1図に基づく温度/圧力曲
線に基づいて徐冷速度をほぼ100℃/hrに維持して900℃
まで徐冷しつつ及び減圧速度を前記徐冷速度に対応させ
て50〜100atm/hrにて1300atmまで降圧する。そして1300
atmの圧力を維持した状態で前記熱処理温度が200℃に低
下するのをまち、該低下した後暫くして徐々に放圧す
る。又加熱温度においても、前記900℃まで徐冷した後
そのまま自然放冷を行なう。
そして前記の方法で熱処理した試験片についてその表
面域と内部で夫々複数のガス測定用サンプルを取り出
し、夫々について寸法10×10×20mmでかつ3面を鏡面仕
上したものを作成して前記と同様な方法で測定した所、
ダイレクト法によるサンプルの水素濃度は3〜4×1018
(molecules/cm3)、スート法によるサンプルの水素濃
度は3〜3.5×1019(molecules/cm3)で、いずれも耐紫
外線レーザ性を得るのに十分な量の水素分子が含有され
ている事が確認され、又内部のサンプルと表面域のサン
プルでも顕著なる差がみられなかった。
又前記サンプルのOH基は、前者では600〜630ppm,後者
では180〜200ppmであり、OH基については大きな低減が
みられず、この面から前記水素ガスの生成は本実施例の
場合はプロトンによるものと推定される。更に前記サン
プルの歪量はいずれも5(nm/cm)以下に維持されてい
た。(実施例1、実施例2) 尚、ひずみ測定は日本光学硝子工業会規格「JOGIS1
4」光学ガラスのひずみの測定方法に基づいて行った。
次にダイレクト法によるサンプルについて窒素ガス10
0%雰囲気下で、前記と同様な条件で熱処理を行なった
所、その水素濃度は3〜4×1018(molecules/cm3
で、又歪量はいずれも5(nm/cm)以下であった。(実
施例3)しかし、このサンプルにKrFエキシマレーザを
照射したところ透過率低下が大幅に起こりやすく、好ま
しい耐レーザ性は得られなかった。この原因としては、
ガラス中に何かのチッ素化合物が生成したためと推定さ
れる。
次に降圧速度を変化させた場合の効果を確認するため
に、ダイレクト法によるサンプルについてアルゴンガス
100%の2000atmの高圧雰囲気で、1750℃の温度を3hr維
持して再溶融した後、徐冷速度をほぼ100℃/hrに維持し
て900℃まで徐冷しつつ900℃に低下後自然放冷を行な
う。一方降圧速度においては歪点(1120℃)以上の温度
域で常圧になるように150〜200atm/hrにて降圧して熱処
理を行なった試験片について前記と同様な部位のサンプ
ルを作成し測定を行なった所、水素濃度は前記実施例1
よりは大幅に低下している事が確認された。これは歪点
域で常圧下まで降圧されたために生成した水素ガスが放
出されてしまったものと推定される。又歪量についても
10(nm/cm)以上と、この面でも問題となる。(実施例
4) これにより歪のないシリカガラス体を得るには、又十
分なる水素濃度を得るには加圧下で歪点に至るまで徐
冷、その後該加圧を保持しつつ放冷する必要がある事が
理解できる。
次に合成シリカガラスの効果を確認するために、参考
的にOH基がほとんど含まれていない(<5ppm)天然石英
ガラス(商品名:INFRASIL,信越石英(株)製造)を用い
て前記実施例1と同様な熱処理にて試験片を作成し、そ
の試験片について前記と同様なサンプルを取り出し測定
を行った所、その水素濃度は5×1016(molecules/cm3
・glass)未満で、水素が内部に生成していない事が推
定される。
「発明の効果」 従って前記実施例より理解される如く、本発明によれ
ば水素ガスを用いる事なく希ガス雰囲気下で水素分子を
シリカガラス中に含有し得る為に、その製造工程が爆発
の危険が伴う事なく極めて安全に水素ガス含有が可能で
ある。
又本発明によれば、シリカガラスの厚みに制限される
事なく短時間に高濃度かつ均一濃度で該ガラス内部全域
に亙って前記水素分子を含有し得る為に厚みのある光学
部材の製造に好適であるとともに、表面域から内部まで
水素分子が均等に含有されるために耐紫外線レーザ性と
高透過率を一層向上し得る。
又特に請求項2に記載した発明においては歪の発生も
なく前記効果が一層増幅される。等の種々の著効を有
す。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例1及び2における熱処理状態を示
す温度と圧力の時系列曲線図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塊状合成シリカガラス体を高圧希ガス雰囲
    気下で加熱して再溶融した後、該再溶融状態を所定時間
    維持することにより、前記ガラス体中に水素分子を含有
    させた事を特徴とする水素分子含有シリカガラス体の製
    造方法
  2. 【請求項2】塊状合成シリカガラス体を高圧希ガス雰囲
    気下で加熱して再溶融した後、少なくとも歪点に至るま
    で加圧雰囲気下で徐冷し、更に、少なくとも400℃、好
    ましくは200℃にいたるまで、該加圧雰囲気を保持しつ
    つ降温することにより、前記ガラス体に発生する歪を抑
    制しつつ該ガラス体中に水素分子を含有させた事を特徴
    とする水素分子含有シリカガラス体の製造方法
  3. 【請求項3】前記合成シリカガラス体がケイ素化合物の
    原料の酸水素炎加水分解法により合成されたシリカガラ
    ス体である請求項1)若しくは2)記載の水素分子含有
    ガラスの製造方法
  4. 【請求項4】前記シリカガラス体中に5×1017(molecu
    les/cm3・glass)以上の水素分子を含有させた事を特徴
    とする請求項1)記載の水素分子含有ガラス体の製造方
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