JPH08257731A - ダイカストマシン用射出スリーブおよびそれを用いたダイカストマシン - Google Patents

ダイカストマシン用射出スリーブおよびそれを用いたダイカストマシン

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JPH08257731A
JPH08257731A JP6570895A JP6570895A JPH08257731A JP H08257731 A JPH08257731 A JP H08257731A JP 6570895 A JP6570895 A JP 6570895A JP 6570895 A JP6570895 A JP 6570895A JP H08257731 A JPH08257731 A JP H08257731A
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injection sleeve
die casting
casting machine
less
machine according
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JP6570895A
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Takanobu Nishimura
隆宣 西村
Masahito Yada
雅人 矢田
Masanori Kihata
正法 木畑
Masahiko Iwai
昌彦 岩井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スリーブ温度の必要以上の低下を招くことな
く、熱変形を有効に低減することができ、さらには周辺
部品との整合性を有するダイカストマシン用射出スリー
ブ、および信頼性、耐久性等に優れるダイカストマシン
を提供する。 【構成】 ダイカストマシンの注湯受けおよび加圧シリ
ンダを兼ねる射出スリーブを、室温から673Kの温度範囲
の熱膨張係数が10×10-6/K以下の金属材料で構成する。
本発明のダイカストマシンは、上述したような低膨張の
金属材料で構成した射出スリーブ6を具備するものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミ合金をはじめと
する各種軽合金のダイカストに使用されるダイカストマ
シン用の射出スリーブ、およびそれを用いたダイカスト
マシンに関する。
【0002】
【従来の技術】軽合金のダイカスト製品は、一対の金型
により形成されたキャビティ内に、射出スリーブに設け
られた注湯口から注湯された金属溶湯を、ブランジャで
圧力充填することにより作製される。このようなダイカ
スト製品の作製に用いられるダイカストマシンにおい
て、射出スリーブの形成材料としては一般に SKD61工具
鋼が用いられている。
【0003】ところで、上述したような SKD61工具鋼か
らなる射出スリーブを用いた場合、アルミニウム合金溶
湯等の金属溶湯は射出スリーブ内に20〜 30%程度の充填
率で注湯されるため、スリーブの下部が上部より加熱さ
れ、下部と上部との間で 100〜150K程度の温度が生じ、
この温度差に起因して射出スリーブが下方に凸状に反
る、「バナナ現象」と呼ばれる変形が起こる。その結
果、プランジャの動作中に射出スリーブの内壁とプラン
ジャとの間にかじりが生じ、さらにはダイカストマシン
の使用が不可能になるというような問題を招いていた。
【0004】また、射出スリーブは固定金型に設けられ
た鋳込み口ブッシュと連結されており、この鋳込み口ブ
ッシュも金属溶湯の注湯、充填によって、射出スリーブ
と同様に変形しやすいため、金型や射出スリーブとの連
結部に隙間が生じるという問題があった。この連結部の
隙間に金属溶湯が差し込むと、バリの発生、製品取出し
の際の引っ掛かり、溶湯温度の低下等が発生する。
【0005】そこで、上述したような射出スリーブや鋳
込み口ブッシュの変形を防止するために、 SKD61工具鋼
からなる射出スリーブの下方を強制冷却することが試み
られている。しかし、強制冷却により上記変形自体は低
減することができても、注湯された金属溶湯の温度低下
が大きくなることから、金属溶湯の一部がスリーブ内で
凝固相をつくり、それがダイカスト製品内に巻込まれた
り、あるいは湯流れを阻害する等して、不具合の発生頻
度を増加させるという問題を招いていた。このようなこ
とから、実用的な対策とは見られていない。
【0006】また、射出スリーブの構成材料としてサイ
アロン等のセラミックス材料を使用することも検討され
ている。サイアロン等からなる射出スリーブを用いるこ
とによって、上述した「バナナ現象」のような変形は防
止できるものの、セラミックス材料は靭性が低く破壊し
やすいと共に、コストが鉄系合金の10倍以上と高価であ
り、さらには金属との接合が困難であったり、薄肉にで
きない等、設計上の制約が多いことから、一般的なダイ
カストマシンへの普及には問題が多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ダイ
カストマシンに用いられる射出スリーブの変形に伴うプ
ランジャとのかじり等を防止するためには、射出スリー
ブの熱変形を低減しなくてはならないが、従来の射出ス
リーブの冷却やサイアロン等のセラミックス材料の使用
等という対策では、金属溶湯の凝固に伴う不具合の発生
が増加したり、また信頼性の低下、コストや設計上の制
約の増加等という問題を招いていた。このようなことか
ら、スリーブ温度の必要以上の低下や信頼性の低下、コ
ストおよび設計上の制約の増加等を招くことなく、射出
スリーブの熱変形を低減することが求められている。ま
た、鋳込み口ブッシュについても同様である。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、スリーブ温度の必要以上の低下を招
くことなく、熱変形を有効に低減することができ、さら
には周辺部品との整合性を有するダイカストマシン用射
出スリーブを提供することを目的としており、またその
ようなダイカストマシン用射出スリーブを用いることに
よって、射出スリーブとプランジャとのかじり等を防止
した、耐久性や信頼性に優れるダイカストマシンを提供
することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のダイカストマシ
ン用射出スリーブは、請求項1に記載したように、ダイ
カストマシンの注湯受けおよび加圧シリンダを兼ねる射
出スリーブであって、室温から673Kの温度範囲の熱膨張
係数が10×10-6/K以下の金属材料で構成されていること
を特徴としている。
【0010】また、本発明のダイカストマシンは、請求
項6に記載したように、一方を移動可能とした一対の金
型と、前記一対の金型のうち固定金型に設けられた鋳込
み口ブッシュと、前記鋳込み口ブッシュに接続され、注
湯受けおよび加圧シリンダを兼ねる射出スリーブと、前
記射出スリーブ内に注湯された金属溶湯を前記一対の金
型内に加圧充填するプランジャと、前記プランジャの駆
動系とを具備するダイカストマシンにおいて、前記射出
スリーブとして、上記本発明のダイカストマシン用射出
スリーブを用いたことを特徴としている。
【0011】本発明のダイカストマシンは、さらに前記
プランジャは前記射出スリーブと同程度の熱膨張係数を
有する金属材料で構成されている(請求項7)こと、ま
た前記鋳込み口ブッシュは前記射出スリーブと同程度の
熱膨張係数を有する金属材料で構成されている(請求項
8)ことを特徴としている。
【0012】
【作用】本発明のダイカストマシン用射出スリーブは、
室温から673Kの温度範囲の熱膨張係数が10×10-6/K以下
の金属材料で構成している。このような熱膨張係数を有
する金属材料で射出スリーブを構成することによって、
射出スリーブ内に金属溶湯を注湯した際に、射出スリー
ブの上部と下部との間に温度差が生じても、強制冷却等
を行うことなく、熱変形の発生を防止することができ
る。従って、金属溶湯の凝固等に伴う凝固相の巻込みや
湯流れの阻害等といった不具合の発生を招くこともな
い。さらに、射出スリーブは金属材料で構成されている
ため、従来の金属製射出スリーブと同等の信頼性や耐久
性、さらには周辺部品との整合性を得ることができる。
【0013】また、請求項6記載のダイカストマシンに
おいては、上述したような熱変形を有効に防止し得る射
出スリーブを用いているため、射出スリーブの熱変形に
伴うプランジャのかじりを防止することができる。従っ
て、耐久性および信頼性の向上を図ることが可能とな
る。請求項7記載ダイカストマシンは、さらにプランジ
ャも射出スリーブと同程度の熱膨張係数を有する金属材
料で構成しているため、かじりの発生をより一層有効に
防止することができる。さらに、請求項8記載のダイカ
ストマシンにおいては、鋳込み口ブッシュを射出スリー
ブと同程度の熱膨張係数を有する金属材料で構成してい
るため、鋳込み口ブッシュの熱変形も有効に防止するこ
とができる。これによって、金型や射出スリーブとの連
結部からの金属溶湯の漏れを防ぐことが可能となる。
【0014】
【実施例】以下に、本発明の実施例について説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施例によるダイカス
トマシンの構造を示す図であり、図2はその要部を拡大
して示す図である。これらの図において、1は可動型2
と固定型3とで一対の金型であり、この一対の金型1に
よりキャビティ4が形成される。固定型3内には、鋳込
み口ブッシュ5がキャビティ4と接続するように設けら
れている。また、鋳込み口ブッシュ5には、射出スリー
ブ6が接続されており、この射出スリーブ6はプラテン
7によって支持されている。
【0016】射出スリーブ6には注湯口6aが設けられ
ており、この注湯口6aから金属溶湯が注湯される。射
出スリーブ6内には、プランジャチップ8が移動可能に
配置されており、プランジャチップ8には油圧シリンダ
9等のプランジャ駆動機構により駆動されるプランジャ
ロッド10が連結されている。注湯口6aから注湯され
た金属溶湯は、油圧シリンダ9を動作させることによっ
て、プランジャチップ8によりキャビティ4内に加圧充
填される。
【0017】可動型2は、油圧シリンダ11等の型移動
機構により移動可能とされている。この可動型2が所定
方向に移動する際に、キャビティ4内に作製されたダイ
カスト製品は固定された押出しロッド12によって型か
ら排出される。
【0018】上述したようなダイカストマシンにおい
て、まず射出スリーブ6は室温から673Kの温度範囲の熱
膨張係数が10×10-6/K以下の金属材料で構成されてい
る。このような熱膨張係数を有する金属材料で射出スリ
ーブ6を構成することによって、射出スリーブ6内に金
属溶湯を注湯した際に、射出スリーブ6の上部と下部と
の間に温度差が生じても、強制冷却等を行うことなく、
熱変形の発生を防止することができる。従って、射出ス
リーブ6とプランジャチップ8とのかじりを有効に防止
することが可能となる。
【0019】また、射出スリーブ6を必要以上に温度低
下させることもないため、金属溶湯の凝固等に伴う凝固
相の巻込みや湯流れの阻害等といった不具合の発生を招
くこともない。さらに、射出スリーブ6は金属材料で構
成されているため、従来の金属製射出スリーブと同等の
信頼性や耐久性、さらには周辺部品との整合性を得るこ
とができる。
【0020】射出スリーブ6を構成する金属材料のより
好ましい室温から673Kの温度範囲の熱膨張係数は 7×10
-6/K以下であり、このような熱膨張係数を有する金属材
料を用いることによって、従来技術で示した「バナナ現
象」と呼ばれる熱変形をより一層良好に防止することが
できる。
【0021】ここで、従来の SKD61工具鋼からなる射出
スリーブでは、スリーブの下方温度が約673Kまで上昇
し、上方との温度差が 100〜150K程度になる場合があ
る。 SKD61工具鋼の上記温度範囲の熱膨張係数は約12×
10-6/Kであり、例えばスリーブ寸法が内径80mm、長さ 3
40mmである350ton級ダイカストマシンのプランジャ入口
での熱変形量は約0.25mm程度になる。射出スリーブとプ
ランジャチップとのクリアランスの許容量は多くとって
も 0.2mm程度であるため、上記熱変形量では当然かじり
が生じてしまう。
【0022】そこで、 0.2mm程度の射出スリーブとプラ
ンジャチップとのクリアランスの許容量の範囲内に射出
スリーブの熱変形を抑えるためには、室温から673Kの温
度範囲の熱膨張係数を10×10-6/K以下とする必要があ
る。さらに、より良好なプランジャ駆動を得るために
は、上記クリアランスを0.15mm以下とすることが望まし
く、このような範囲内に射出スリーブの熱変形を抑える
ためには、室温から673Kの温度範囲の熱膨張係数を 7×
10-6/K以下の金属材料を用いることが望ましい。
【0023】上述したような室温から673Kの温度範囲の
熱膨張係数が10×10-6/K以下の金属材料としては、Niお
よびCoから選ばれる少なくとも 1種を含有する低膨張性
鉄合金が挙げられる。また、Mo、 W、Ptおよびこれらを
主成分とする合金等も、本発明の射出スリーブ6を構成
する金属材料として用いることができる。上記した低膨
張性鉄合金としては、インバー合金(Fe-36%Ni)、スーパ
ーインバー合金(Fe-31%Ni-5%Co)、コバール合金(Fe-29
%Ni-17%Co)、42アロイ(Fe-42%Ni)、低膨張鋳鉄等が知ら
れている。これらの合金は室温付近でキュリー温度を示
し、磁気的体積歪み現象により室温付近での結晶格子の
熱膨張を吸収することで低膨張性が発現する。
【0024】ここで、インバー合金やスーパーインバー
合金は、室温付近では熱膨張係数が1.5×10-6/Kおよび
0.5×10-6/Kであるが、室温から673Kの温度範囲の熱膨
張係数は 8〜 9×10-6/Kとなる。このようなインバー合
金やスーパーインバー合金を上記射出スリーブ6の構成
材料として用いることも可能であるが、上記鉄合金中の
NiおよびCoの含有量を高めると、低熱膨張性の温度範囲
が高温側に拡大する傾向があり、Ni単独またはNiとCoの
合計量を34〜56重量% の範囲とした鉄合金は、射出スリ
ーブ6の構成金属材料として、より好ましい熱膨張係数
である 7×10-6/K以下を満足するものとなる。Ni単独ま
たはNiとCoの合計量が34重量% 未満であると、低熱膨張
性の温度範囲の高温側への移行を十分に果たすことがで
きず、また56重量% を超えると低熱膨張性が損われる。
【0025】従って、射出スリーブ6の構成金属材料と
しては、Ni単独またはNiとCoの合計量が34〜56重量% の
範囲の低膨張性鉄合金を用いることが望ましく、コバー
ル合金(Fe-29%Ni-17%Co)、42アロイ(Fe-42%Ni)、Ni単独
またはNiとCoの合計量が34〜56重量% の範囲の低膨張鋳
鉄等は、上記したような熱膨張係数が 7×10-6/K以下で
ある低膨張性鉄合金に当てはまるものである。これらの
内でも、形状付与が容易であると共に、安価であること
等から、特にNi単独またはNiとCoの合計量が34〜56重量
% の範囲の低膨張鋳鉄が好ましく用いられる。
【0026】上記低膨張鋳鉄の具体例としては、 Cを
2.5重量% 以下、Siを 1.0重量% 以下、Mnを 1.0重量%
以下、Niを25〜56重量% 、Coを20重量% 以下(ただし、
Ni単独またはNiとCoの合計量が34〜56重量% の範囲であ
る)、4A族元素および5A族元素から選ばれる少なくとも
1種の金属元素を 6重量% 以下、Mgを 0.1重量% 以下含
有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる低膨張鋳鉄
が挙げられる。NiおよびCoの含有範囲は上述した通りで
あり、また個々の含有範囲を超えてもそれぞれ熱膨張係
数の増大を招くことになる。
【0027】NiおよびCo以外の C、Si、Mn、Mgは鋳鉄の
基礎成分である。 Cは一般鋳鉄並みの鋳造性と切削加工
性を付与する成分であり、 Cの含有量が 2.5重量% を超
えると強度の低下を招く。Siは酸素濃度の低減と流動性
を改善する成分であり、Siの含有量が 1.0重量% を超え
ると熱膨張係数が増大する。Mnは脱酸剤や耐食性向上成
分として機能するが、Mnの含有量が 1.0重量% を超える
と熱膨張係数が増大するため、Mnの含有量は 1.0重量%
以下とすることが好ましい。Mgは黒鉛を球状化する成分
であり、Mgの含有量が 0.1重量% を超えると低熱膨張性
と加工性の低下を招くことになる。
【0028】また、4A族元素および5A族元素から選ばれ
る少なくとも 1種の金属元素は、粒状炭化物の形成によ
り低熱膨張性の向上および硬さと強度の増大に寄与する
成分であり、特にNbやTi等が好ましく用いられる。これ
ら金属元素の含有量が 6重量% を超えると基地中に固溶
して熱膨張係数を増大させることとなる。
【0029】上述したような金属材料により構成された
射出スリーブ6には、金属溶湯の固着や金属溶湯による
溶損劣化等を防止する上で、その内壁面に金属溶湯に対
して濡れ性が低く、かつ耐溶損性を有する表面処理層を
設けることが好ましい。このような表面処理層として
は、セラミックス層、金属層、金属間化合物層、窒化
層、炭化層、ホウ化層等が挙げられる。
【0030】具体的な表面処理法としては、射出スリー
ブ6の内壁面を直接窒化処理、浸炭処理、ホウ化処理す
る方法や、PVD法、CVD法、TRD(熱反応析出・
拡散)法、溶射法、肉盛り溶接法、鋳込み法等の被膜形
成法等が例示される。例えば、耐溶損性被覆膜として
は、 TiN、 TiC、WC、 TiB、Si3 N 4 、Cr2 O 3 、Al2O
3 、 ZrO2 等の窒化物、炭化物、ホウ化物、酸化物、お
よびこれらと金属との複合材等が好ましい。このような
表面処理層は、溶射スリーブ6の寸法や使用条件等に応
じて適宜選択して使用することができる。
【0031】以上射出スリーブ6について詳述したが、
鋳込み口ブッシュ5も金属溶湯の注湯により熱変形が生
じる場合があることから、上述した射出スリーブ6と同
程度の熱膨張係数を有する金属材料で構成することが好
ましい。このような熱膨張係数を有する金属材料で鋳込
み口ブッシュ5を構成することによって、その熱変形を
防止することができることから、鋳込み口ブッシュ5の
変形に伴う連結部からの溶湯漏れや鋳込み口ブッシュ5
自体のクラック等を防止することができる。具体的な構
成金属材料は前述した通りである。また、上述した射出
スリーブ6と同様な金属溶湯に対して濡れ性が低く、か
つ耐溶損性を有する表面処理層を設けることが好まし
い。
【0032】さらに、プランジャチップ8は、金属溶湯
が注湯された射出スリーブ6内を金属溶湯と接しながら
移動するため、射出スリーブと同程度の熱膨張係数を有
する金属材料で構成することが好ましい。これによっ
て、金属溶湯を注湯した際に温度上昇が起こっても、当
初のクリアランスを維持することができ、かじり等の発
生をより有効に防止することができる。
【0033】次に、上記実施例の具体例とその評価結果
について述べる。
【0034】実施例1、比較例1 まず、組成成分が C 2.0重量% 、Si 0.4重量% 、Mn 0.4
重量% 、Ni28重量% 、Co12重量% 、Nb 1.0重量% 、Mg0.
04重量% 、残部Feおよび不可避不純物である合金鋳鉄を
高周波誘導炉で溶解し、フラン砂鋳型を用いて、図2に
構造を示した外形 100mm、内径65mm、長さ 350mmの射出
スリーブ6を鋳造した。加工後、内壁面にイオン窒化処
理を施して厚さ約 100μm の窒化層を形成した。鋳造材
での熱膨張係数は、373Kで 4.0×10-6/K、673Kで 5.0×
10-6/Kであった。
【0035】また、図2に構造を示した鋳込み口ブッシ
ュ5およびプランジャチップ8を、射出スリーブ6と同
一材料にて鋳造した。これらについても同様に窒化処理
を施した。
【0036】このような射出スリーブ6、鋳込み口ブッ
シュ5およびプランジャチップ8を、図1に示したダイ
カストマシンに組込んで、 ADC12アルミニウム合金のダ
イカスト試験を実施した。ダイカスト試験は、溶湯温度
を 1033Kと高めに設定し、また充填率は 30%で行った。
【0037】また、本発明との比較例として、従来材の
SKD61工具鋼で同一形状の射出スリーブを作製すると共
に、その内壁面に上記実施例と同様な窒化層を形成し
た。また、鋳込み口ブッシュ5およびプランジャチップ
8を焼入れ熱処理した SKD61工具鋼(窒化処理せず)で
作製した。これらを上記実施例と同様に、図1に示した
ダイカストマシンに組込んで、実施例と同一条件で ADC
12アルミニウム合金のダイカスト試験を実施した。
【0038】上記実施例および比較例によるダイカスト
試験において、実施例によるダイカストマシンでは 200
00ショット後においても射出スリーブの内面に大きな損
傷は観察されず、また射出スリーブと鋳込み口ブッシュ
との連結部からの溶湯漏れ等も認められなかった。さら
に、得られたダイカスト製品においては、凝固相の巻込
みや湯じわ等はほとんど発生していなかった。これに対
して、比較例によるダイカストマシンでは5000ショット
で射出スリーブの内面にかなり大きな傷やクラックが発
生しており、また約 20000ショットで射出スリーブと鋳
込み口ブッシュとの連結部から溶湯漏れが発生した。
【0039】実施例2〜4 表1に成分組成および熱膨張係数を示す各種材料を用い
て、実施例1と同一形状の射出スリーブ6をそれぞれ作
製した。これら各射出スリーブの内壁面には、表1に示
す表面処理層を形成した。また、鋳込み口ブッシュ5お
よびプランジャチップ8についても、表1に示す各種材
料を用いて実施例1と同様に作製した。これら射出スリ
ーブ、鋳込み口ブッシュおよびプランジャチップを図1
に示したダイカストマシンに組込み、実施例1と同一条
件で ADC12アルミニウム合金のダイカスト試験を実施し
た。その結果を併せて表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のダイカス
トマシン用射出スリーブは、低熱膨張性を有すると共に
信頼性等に優れる金属材料で構成しているため、スリー
ブ温度の必要以上の低下を招くことなく、熱変形を有効
に低減することができる。そして、本発明のダイカスト
マシンは、上述したような射出スリーブを用いているた
め、射出スリーブとプランジャとのかじり等の発生を防
止することができ、優れた信頼性および耐久性を得るこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるダイカストマシンの
構造を示す図である。
【図2】 図1に示すダイカストマシンの要部を拡大し
て示す断面図である。
【符号の説明】
1……金型 5……鋳込み口ブッシュ 6……射出スリーブ 8……プランジャチップ 9……油圧シリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩井 昌彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイカストマシンの注湯受けおよび加圧
    シリンダを兼ねる射出スリーブであって、室温から673K
    の温度範囲の熱膨張係数が10×10-6/K以下の金属材料で
    構成されていることを特徴とするダイカストマシン用射
    出スリーブ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のダイカストマシン用射出
    スリーブにおいて、 前記金属材料は、NiおよびCoから選ばれる少なくとも 1
    種を含有する低膨張性鉄合金であることを特徴とするダ
    イカストマシン用射出スリーブ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のダイカストマシン用射出
    スリーブにおいて、 前記射出スリーブはその内壁面に、金属溶湯に対して濡
    れ性が低く、かつ耐溶損性を有する表面処理層が設けら
    れていることを特徴とするダイカストマシン用射出スリ
    ーブ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のダイカストマシン用射出
    スリーブにおいて、 前記表面処理層は、セラミックス層、金属層、金属間化
    合物層、窒化層、炭化層およびホウ化層から選ばれる少
    なくとも 1種からなることを特徴とするダイカストマシ
    ン用射出スリーブ。
  5. 【請求項5】 請求項2記載のダイカストマシン用射出
    スリーブにおいて、 前記低膨張性鉄合金は、 Cを 2.5重量% 以下、Siを 1.0
    重量% 以下、Mnを 1.0重量% 以下、Niを25〜56重量% 、
    Coを20重量% 以下(ただし、Ni単独またはNiとCoの合計
    量が34〜56重量% の範囲である)、4A族元素および5A族
    元素から選ばれる少なくとも 1種の金属元素を 6重量%
    以下、Mgを 0.1重量% 以下含有し、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなる低膨張鋳鉄であることを特徴とする
    ダイカストマシン用射出スリーブ。
  6. 【請求項6】 一方を移動可能とした一対の金型と、前
    記一対の金型のうち固定金型に設けられた鋳込み口ブッ
    シュと、前記鋳込み口ブッシュに接続され、注湯受けお
    よび加圧シリンダを兼ねる射出スリーブと、前記射出ス
    リーブ内に注湯された金属溶湯を前記一対の金型内に圧
    力充填するプランジャと、前記プランジャの駆動機構と
    を具備するダイカストマシンにおいて、 前記射出スリーブとして、請求項1記載のダイカストマ
    シン用射出スリーブを用いたことを特徴とするダイカス
    トマシン。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のダイカストマシンにおい
    て、 前記プランジャは、前記射出スリーブと同程度の熱膨張
    係数を有する金属材料で構成されていることを特徴とす
    るダイカストマシン。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7記載のダイカス
    トマシンにおいて、 前記鋳込み口ブッシュは、前記射出スリーブと同程度の
    熱膨張係数を有する金属材料で構成されていることを特
    徴とするダイカストマシン。
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