JPH10263783A - 耐磨耗性部品とその製造方法、鋳造機用部品、およびそれを用いたダイカスト機 - Google Patents
耐磨耗性部品とその製造方法、鋳造機用部品、およびそれを用いたダイカスト機Info
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- JPH10263783A JPH10263783A JP7608197A JP7608197A JPH10263783A JP H10263783 A JPH10263783 A JP H10263783A JP 7608197 A JP7608197 A JP 7608197A JP 7608197 A JP7608197 A JP 7608197A JP H10263783 A JPH10263783 A JP H10263783A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 例えば金属溶湯と接触するような過酷な条件
下で使用される場合においても、耐磨耗性や耐溶損性を
長期間にわたって安定して維持することが可能な耐磨耗
性部品および鋳造機用部品が求められている。 【解決手段】 耐磨耗性が要求される耐磨耗面1a、も
しくは金属溶湯との接触面を有し、金属窒化物、金属酸
化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれらの複合化合
物から選ばれた少なくとも 1種の化合物粒子を、金属マ
トリックス中に分散させた複合材料からなる部品1であ
る。化合物粒子は、耐磨耗面もしくは金属溶湯との接触
面から部品の肉厚方向に、金属マトリックス中の化合物
粒子の体積率が減少するように、組成傾斜されている。
下で使用される場合においても、耐磨耗性や耐溶損性を
長期間にわたって安定して維持することが可能な耐磨耗
性部品および鋳造機用部品が求められている。 【解決手段】 耐磨耗性が要求される耐磨耗面1a、も
しくは金属溶湯との接触面を有し、金属窒化物、金属酸
化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれらの複合化合
物から選ばれた少なくとも 1種の化合物粒子を、金属マ
トリックス中に分散させた複合材料からなる部品1であ
る。化合物粒子は、耐磨耗面もしくは金属溶湯との接触
面から部品の肉厚方向に、金属マトリックス中の化合物
粒子の体積率が減少するように、組成傾斜されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐磨耗性部品とそ
の製造方法、鋳造機用部品およびそれを用いたダイカス
ト機に関する。
の製造方法、鋳造機用部品およびそれを用いたダイカス
ト機に関する。
【0002】
【従来の技術】Al等の軽金属材料からなるダイカスト
製品は、一対の金型により形成されたキャビティ内に、
射出スリーブに設けられた注湯口から注湯された金属溶
湯をプランジャで圧力充填することにより作製される。
このようなダイカスト製品の作製に用いられるコールド
チャンバ方式のダイカスト機においては、軽金属溶湯と
接触する射出スリーブや金型等の構成材料として、一般
的にSKD61工具鋼が用いられている。
製品は、一対の金型により形成されたキャビティ内に、
射出スリーブに設けられた注湯口から注湯された金属溶
湯をプランジャで圧力充填することにより作製される。
このようなダイカスト製品の作製に用いられるコールド
チャンバ方式のダイカスト機においては、軽金属溶湯と
接触する射出スリーブや金型等の構成材料として、一般
的にSKD61工具鋼が用いられている。
【0003】ところで、上述したSKD61工具鋼から
なるダイカスト部品は、そのままではAl系金属溶湯等
の金属溶湯と接触する面、例えばおおよそ円筒形状を有
する射出スリーブでは内周面(内径側表面)が、金属溶
湯により比較的短時間で浸食されてしまうため、金属溶
湯との接触面に窒化処理を施すことが一般的に行われて
いる。この窒化処理によって、SKD61工具鋼の表層
部分には厚さ約50〜200μm 程度の鉄やクロム等の窒化
物を含む窒化層が形成され、金属溶湯との反応が抑えら
れる。
なるダイカスト部品は、そのままではAl系金属溶湯等
の金属溶湯と接触する面、例えばおおよそ円筒形状を有
する射出スリーブでは内周面(内径側表面)が、金属溶
湯により比較的短時間で浸食されてしまうため、金属溶
湯との接触面に窒化処理を施すことが一般的に行われて
いる。この窒化処理によって、SKD61工具鋼の表層
部分には厚さ約50〜200μm 程度の鉄やクロム等の窒化
物を含む窒化層が形成され、金属溶湯との反応が抑えら
れる。
【0004】しかしながら、射出スリーブや金型等のダ
イカスト機部品は、例えば923K以上というような金属溶
湯と接触するため、窒素拡散が促進されて窒化層が分解
し、使用中に基材であるSKD61工具鋼が徐々に浸食
されるという問題がある。このように、従来の窒化処理
では使用中に窒化層の分解が進行するため、耐溶損性を
長期間にわたって安定に維持することができない。
イカスト機部品は、例えば923K以上というような金属溶
湯と接触するため、窒素拡散が促進されて窒化層が分解
し、使用中に基材であるSKD61工具鋼が徐々に浸食
されるという問題がある。このように、従来の窒化処理
では使用中に窒化層の分解が進行するため、耐溶損性を
長期間にわたって安定に維持することができない。
【0005】上述した窒化処理に代えて浸炭処理を施す
ことも検討されているが、通常の浸炭処理では基材全体
に炭素が拡散してしまい、金属溶湯との反応を抑えられ
るような炭化物層を形成することはできない。このよう
なことから、ダイカスト機の射出スリーブや金型等の鋳
造機用部品には、Al系金属溶湯等の金属溶湯に対する
耐溶損性を向上させると共に、この耐溶損性の長期信頼
性を高めることが求められている。
ことも検討されているが、通常の浸炭処理では基材全体
に炭素が拡散してしまい、金属溶湯との反応を抑えられ
るような炭化物層を形成することはできない。このよう
なことから、ダイカスト機の射出スリーブや金型等の鋳
造機用部品には、Al系金属溶湯等の金属溶湯に対する
耐溶損性を向上させると共に、この耐溶損性の長期信頼
性を高めることが求められている。
【0006】ここで、上記したような要望に対して、耐
溶損性や耐磨耗性に優れるセラミックス材料で射出スリ
ーブ等を作製したり、あるいは耐溶損性に優れるセラミ
ックス粉末とTi合金等の金属材料との複合材料、具体
的には粉末焼結を適用した複合材料で射出スリーブ等を
作製することが試みられている(1994年日本ダイカスト
会議論文集p121-125)。しかし、セラミックス材料から
なる射出スリーブ等は機械的強度や靭性が低く、これら
に起因して取扱いが困難とあると共に、信頼性の点でも
不十分であるという問題を有している。一方、セラミッ
クス粉末と金属材料との複合材料からなる射出スリーブ
等は、セラミックス単独のものよりは破壊靭性値等が向
上するものの、従来の粉末焼結を適用した複合材料はセ
ラミックス粉末が全体に分散されるため、通常の金属材
料に比べて脆くなることは避けられず、信頼性の低下を
招いてしまう。
溶損性や耐磨耗性に優れるセラミックス材料で射出スリ
ーブ等を作製したり、あるいは耐溶損性に優れるセラミ
ックス粉末とTi合金等の金属材料との複合材料、具体
的には粉末焼結を適用した複合材料で射出スリーブ等を
作製することが試みられている(1994年日本ダイカスト
会議論文集p121-125)。しかし、セラミックス材料から
なる射出スリーブ等は機械的強度や靭性が低く、これら
に起因して取扱いが困難とあると共に、信頼性の点でも
不十分であるという問題を有している。一方、セラミッ
クス粉末と金属材料との複合材料からなる射出スリーブ
等は、セラミックス単独のものよりは破壊靭性値等が向
上するものの、従来の粉末焼結を適用した複合材料はセ
ラミックス粉末が全体に分散されるため、通常の金属材
料に比べて脆くなることは避けられず、信頼性の低下を
招いてしまう。
【0007】一方、特にダイカスト機の射出スリーブに
は、プランジャチップの摺動に対する耐磨耗性が要求さ
れるが、従来の窒化処理を施したSKD61工具鋼では
表層部分に窒化層が存在する初期段階においては良好な
耐磨耗性を有するものの、窒化層の分解により硬度が低
下すると、磨耗が急激に進行してしまうという問題があ
る。このように、金属材料に対する表面窒化処理は、基
本的には耐磨耗性の向上に寄与するものの、窒化層の分
解が進行するような過酷な条件下では急激に磨耗が進行
してしまうというような問題を有している。
は、プランジャチップの摺動に対する耐磨耗性が要求さ
れるが、従来の窒化処理を施したSKD61工具鋼では
表層部分に窒化層が存在する初期段階においては良好な
耐磨耗性を有するものの、窒化層の分解により硬度が低
下すると、磨耗が急激に進行してしまうという問題があ
る。このように、金属材料に対する表面窒化処理は、基
本的には耐磨耗性の向上に寄与するものの、窒化層の分
解が進行するような過酷な条件下では急激に磨耗が進行
してしまうというような問題を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、表面
窒化処理等により耐摩耗性を付与した従来の耐摩耗性部
品においては、窒化層の分解が進行するような過酷な条
件下では急激に磨耗が進行してしまうというような問題
があった。特に、ダイカスト機の射出スリーブのよう
に、金属溶湯と直接接する鋳造機用部品においては、A
l系金属溶湯等との接触面の溶損が問題となっており、
金属溶湯に対する良好な耐溶損性を長期間にわたって維
持することが可能な鋳造機用部品が求められている。
窒化処理等により耐摩耗性を付与した従来の耐摩耗性部
品においては、窒化層の分解が進行するような過酷な条
件下では急激に磨耗が進行してしまうというような問題
があった。特に、ダイカスト機の射出スリーブのよう
に、金属溶湯と直接接する鋳造機用部品においては、A
l系金属溶湯等との接触面の溶損が問題となっており、
金属溶湯に対する良好な耐溶損性を長期間にわたって維
持することが可能な鋳造機用部品が求められている。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、例えば金属溶湯と接触するような過
酷な条件下で使用される場合においても、耐磨耗性を長
期間にわたって安定して維持することが可能な耐磨耗性
部品およびその製造方法を提供することを目的としてお
り、またAl系金属溶湯等の金属溶湯に対する耐溶損性
に優れ、かつこの優れた耐溶損性を長期間にわたって維
持することが可能な鋳造機用部品、およひそれを用いた
信頼性に優れるダイカスト機を提供することを目的とし
ている。
になされたもので、例えば金属溶湯と接触するような過
酷な条件下で使用される場合においても、耐磨耗性を長
期間にわたって安定して維持することが可能な耐磨耗性
部品およびその製造方法を提供することを目的としてお
り、またAl系金属溶湯等の金属溶湯に対する耐溶損性
に優れ、かつこの優れた耐溶損性を長期間にわたって維
持することが可能な鋳造機用部品、およひそれを用いた
信頼性に優れるダイカスト機を提供することを目的とし
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の耐磨耗性部品
は、請求項1に記載したように、耐磨耗性が要求される
耐磨耗面を有し、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化
物、金属炭化物およびこれらの複合化合物から選ばれた
少なくとも 1種の化合物粒子を、金属マトリックス中に
分散させた複合材料からなる耐磨耗性部品であって、前
記化合物粒子は、前記耐磨耗面から前記部品の肉厚方向
に、前記金属マトリックス中の前記化合物粒子の体積率
が減少するように、組成傾斜されていることを特徴とし
ている。本発明の耐磨耗性部品は、請求項2に記載した
ように、前記部品が筒状形状を有し、かつ前記筒状形状
の部品の内周面が前記耐磨耗面とされている場合に、特
に有効である。
は、請求項1に記載したように、耐磨耗性が要求される
耐磨耗面を有し、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化
物、金属炭化物およびこれらの複合化合物から選ばれた
少なくとも 1種の化合物粒子を、金属マトリックス中に
分散させた複合材料からなる耐磨耗性部品であって、前
記化合物粒子は、前記耐磨耗面から前記部品の肉厚方向
に、前記金属マトリックス中の前記化合物粒子の体積率
が減少するように、組成傾斜されていることを特徴とし
ている。本発明の耐磨耗性部品は、請求項2に記載した
ように、前記部品が筒状形状を有し、かつ前記筒状形状
の部品の内周面が前記耐磨耗面とされている場合に、特
に有効である。
【0011】本発明の耐磨耗性部品の製造方法は、請求
項3に記載したように、筒状形状を有し、その内周面側
に耐磨耗性が要求される耐磨耗面を有する耐磨耗性部品
を製造するにあたり、前記部品を主として構成する金属
マトリックス材料の溶湯中に、金属窒化物、金属酸化
物、金属硼化物、金属炭化物およびこれらの複合化合物
から選ばれる少なくとも 1種の化合物粒子を投入して、
複合材料溶湯を調整する工程と、前記複合材料溶湯を用
いて、遠心鋳造法により前記筒状形状の部品を作製する
工程とを有することを特徴としている。
項3に記載したように、筒状形状を有し、その内周面側
に耐磨耗性が要求される耐磨耗面を有する耐磨耗性部品
を製造するにあたり、前記部品を主として構成する金属
マトリックス材料の溶湯中に、金属窒化物、金属酸化
物、金属硼化物、金属炭化物およびこれらの複合化合物
から選ばれる少なくとも 1種の化合物粒子を投入して、
複合材料溶湯を調整する工程と、前記複合材料溶湯を用
いて、遠心鋳造法により前記筒状形状の部品を作製する
工程とを有することを特徴としている。
【0012】本発明の鋳造機用部品は、請求項4に記載
したように、金属溶湯との接触面を有し、金属窒化物、
金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれらの複
合化合物から選ばれた少なくとも 1種の化合物粒子を、
金属マトリックス中に分散させた複合材料かなる鋳造機
用部品であって、前記化合物粒子は、前記金属溶湯との
接触面から前記部品の肉厚方向に、前記金属マトリック
ス中の前記化合物粒子の体積率が減少するように、組成
傾斜されていることを特徴としている。本発明の鋳造機
用部品は、請求項5に記載したように、前記部品は筒状
形状を有し、前記筒状形状の部品の内周面が前記金属溶
湯との接触面とされている場合に、特に有効である。
したように、金属溶湯との接触面を有し、金属窒化物、
金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれらの複
合化合物から選ばれた少なくとも 1種の化合物粒子を、
金属マトリックス中に分散させた複合材料かなる鋳造機
用部品であって、前記化合物粒子は、前記金属溶湯との
接触面から前記部品の肉厚方向に、前記金属マトリック
ス中の前記化合物粒子の体積率が減少するように、組成
傾斜されていることを特徴としている。本発明の鋳造機
用部品は、請求項5に記載したように、前記部品は筒状
形状を有し、前記筒状形状の部品の内周面が前記金属溶
湯との接触面とされている場合に、特に有効である。
【0013】また、本発明のダイカスト機は、請求項8
に記載したように、一方を移動可能とした一対の金型
と、前記一対の金型のうちの固定金型に接続され、注湯
受けおよび加圧シリンダを兼ねる射出スリーブと、前記
射出スリーブ内に注湯された金属溶湯を前記一対の金型
内に圧力充填するプランジャと、前記プランジャの駆動
機構とを具備するダイカスト機において、前記一対の金
型および射出スリーブから選ばれる少なくとも 1種は、
上記した本発明の鋳造機用部品からなることを特徴とし
ている。
に記載したように、一方を移動可能とした一対の金型
と、前記一対の金型のうちの固定金型に接続され、注湯
受けおよび加圧シリンダを兼ねる射出スリーブと、前記
射出スリーブ内に注湯された金属溶湯を前記一対の金型
内に圧力充填するプランジャと、前記プランジャの駆動
機構とを具備するダイカスト機において、前記一対の金
型および射出スリーブから選ばれる少なくとも 1種は、
上記した本発明の鋳造機用部品からなることを特徴とし
ている。
【0014】本発明の耐摩耗性部品および鋳造機用部品
においては、高硬度を有することから優れた耐磨耗性を
示し、さらには耐溶損性等にも優れる化合物粒子を、金
属マトリックス中に肉厚方向に組成傾斜させて分散させ
た複合材料を用いている。このような複合材料によれ
ば、耐摩耗面や金属溶湯との接触面側に集中して存在す
る化合物粒子によって、部品の耐摩耗性や耐溶損性等を
十分に高めることができると共に、金属溶湯と接するよ
うな過酷な条件下で使用した場合においても、化合物粒
子の消失等による耐摩耗性や耐溶損性等の経時的な劣化
を抑制することができ、さらには金属マトリックスが本
来有する機械的強度や信頼性の低下を抑えることができ
る。
においては、高硬度を有することから優れた耐磨耗性を
示し、さらには耐溶損性等にも優れる化合物粒子を、金
属マトリックス中に肉厚方向に組成傾斜させて分散させ
た複合材料を用いている。このような複合材料によれ
ば、耐摩耗面や金属溶湯との接触面側に集中して存在す
る化合物粒子によって、部品の耐摩耗性や耐溶損性等を
十分に高めることができると共に、金属溶湯と接するよ
うな過酷な条件下で使用した場合においても、化合物粒
子の消失等による耐摩耗性や耐溶損性等の経時的な劣化
を抑制することができ、さらには金属マトリックスが本
来有する機械的強度や信頼性の低下を抑えることができ
る。
【0015】例えば、化合物粒子は通常金属マトリック
スに比べて熱膨張係数が低く、一般的なコーティグ層と
して化合物を形成した場合、上記した熱膨張差に基いて
容易に剥離してしまうが、本発明では化合物粒子を金属
マトリックス中に分散させ、さらに肉厚方向に組成傾斜
させているため、化合物粒子が集中して存在する耐摩耗
面や溶湯接触面近傍と内部との熱膨張差による割れや変
形等を防止することができる。また、化合物粒子を肉厚
方向に組成傾斜させているため、金属マトリックスの本
来の特性を十分に活かすことができる。
スに比べて熱膨張係数が低く、一般的なコーティグ層と
して化合物を形成した場合、上記した熱膨張差に基いて
容易に剥離してしまうが、本発明では化合物粒子を金属
マトリックス中に分散させ、さらに肉厚方向に組成傾斜
させているため、化合物粒子が集中して存在する耐摩耗
面や溶湯接触面近傍と内部との熱膨張差による割れや変
形等を防止することができる。また、化合物粒子を肉厚
方向に組成傾斜させているため、金属マトリックスの本
来の特性を十分に活かすことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
態について説明する。
【0017】まず、本発明の耐磨耗性部品の実施形態に
ついて図1を参照して説明する。図1に示す耐磨耗性部
品1は円筒形状を有しており、その内周面(内径側表
面)1aが耐磨耗面とされている。この耐磨耗性部品1
は、硬度が高く耐磨耗性に優れ、かつ軽量で、さらには
耐溶損性等に優れる、金属窒化物、金属酸化物、金属硼
化物、金属炭化物およびこれらの複合化合物から選ばれ
た少なくとも 1種の化合物粒子を、組成傾斜させて金属
マトリックス中に分散させた複合材料により構成されて
いる。
ついて図1を参照して説明する。図1に示す耐磨耗性部
品1は円筒形状を有しており、その内周面(内径側表
面)1aが耐磨耗面とされている。この耐磨耗性部品1
は、硬度が高く耐磨耗性に優れ、かつ軽量で、さらには
耐溶損性等に優れる、金属窒化物、金属酸化物、金属硼
化物、金属炭化物およびこれらの複合化合物から選ばれ
た少なくとも 1種の化合物粒子を、組成傾斜させて金属
マトリックス中に分散させた複合材料により構成されて
いる。
【0018】すなわち、内周面1aの耐磨耗性や耐溶損
性等の向上に寄与する化合物粒子は、図2に示すよう
に、内周面1aから耐磨耗性部品1の肉厚t方向に、言
い換えると内周面1aから外周面1bに向けて金属マト
リックス中の化合物粒子の体積率が減少するように組成
傾斜されている。化合物粒子は内周面1aおよびその近
傍部分に集中して存在しており、内周面1aを含む表層
部分に化合物を高濃度に含有する領域(高濃度化合物領
域)2を形成している。
性等の向上に寄与する化合物粒子は、図2に示すよう
に、内周面1aから耐磨耗性部品1の肉厚t方向に、言
い換えると内周面1aから外周面1bに向けて金属マト
リックス中の化合物粒子の体積率が減少するように組成
傾斜されている。化合物粒子は内周面1aおよびその近
傍部分に集中して存在しており、内周面1aを含む表層
部分に化合物を高濃度に含有する領域(高濃度化合物領
域)2を形成している。
【0019】上述したように、耐摩耗面としての内周面
1aを含む表層部分に高濃度化合物領域2が形成される
ように、耐磨耗性部品1内に化合物粒子を組成傾斜させ
て分散(存在)させることにより、化合物粒子が有する
硬度や耐磨耗性等に基いて、内周面1aに優れた耐磨耗
性や耐溶損性等を付与することができる。その上で、化
合物粒子を肉厚t方向に組成傾斜させているため、耐磨
耗性部品1を主として構成する金属マトリックスの脆化
等を抑制することができると共に、化合物粒子が集中し
て存在する高濃度化合物領域2と金属マトリックスが支
配的な領域(内部領域)との熱膨張差による割れや変形
等を防止することができる。
1aを含む表層部分に高濃度化合物領域2が形成される
ように、耐磨耗性部品1内に化合物粒子を組成傾斜させ
て分散(存在)させることにより、化合物粒子が有する
硬度や耐磨耗性等に基いて、内周面1aに優れた耐磨耗
性や耐溶損性等を付与することができる。その上で、化
合物粒子を肉厚t方向に組成傾斜させているため、耐磨
耗性部品1を主として構成する金属マトリックスの脆化
等を抑制することができると共に、化合物粒子が集中し
て存在する高濃度化合物領域2と金属マトリックスが支
配的な領域(内部領域)との熱膨張差による割れや変形
等を防止することができる。
【0020】すなわち、化合物粒子を金属マトリックス
全体に分散させた場合には、化合物粒子により金属マト
リックスが脆くなることが避けられないが、この実施形
態のように化合物粒子を組成傾斜させることによって、
外周面1bに近い領域では化合物粒子の体積率が低い、
もしくは化合物粒子がほとんど存在しないため、このよ
うな領域で金属マトリックスが本来有する特性を十分に
得ることができる。従って、耐磨耗性部品1全体として
は金属マトリックスによる機械的強度等を十分に維持す
ることができ、信頼性の低下等を防止することが可能と
なる。
全体に分散させた場合には、化合物粒子により金属マト
リックスが脆くなることが避けられないが、この実施形
態のように化合物粒子を組成傾斜させることによって、
外周面1bに近い領域では化合物粒子の体積率が低い、
もしくは化合物粒子がほとんど存在しないため、このよ
うな領域で金属マトリックスが本来有する特性を十分に
得ることができる。従って、耐磨耗性部品1全体として
は金属マトリックスによる機械的強度等を十分に維持す
ることができ、信頼性の低下等を防止することが可能と
なる。
【0021】また、化合物粒子を例えばコーティング層
として存在させた場合には、上記した脆さの問題は解決
できるものの、通常化合物粒子は金属マトリックスに比
べて熱膨張係数が大きいため、化合物コーティング層と
金属マトリックスとの熱膨張差に起因して、例えば金属
溶湯と接するような温度変化が大きい条件下では、化合
物コーティング層が容易に剥離してしまう。一方、この
実施形態のように化合物粒子を金属マトリックス中に分
散させ、さらには化合物粒子の分散量を組成傾斜させる
ことによって、内周面1aを含む表層部分に存在する高
濃度化合物領域2と金属マトリックスが支配的な領域
(内部領域)との熱膨張差を緩和することができる。従
って、高濃度化合物領域2に起因する割れや変形等が防
止でき、高濃度化合物領域2による耐摩耗性や耐溶損性
等を長期間にわたって安定して得ることが可能となる。
として存在させた場合には、上記した脆さの問題は解決
できるものの、通常化合物粒子は金属マトリックスに比
べて熱膨張係数が大きいため、化合物コーティング層と
金属マトリックスとの熱膨張差に起因して、例えば金属
溶湯と接するような温度変化が大きい条件下では、化合
物コーティング層が容易に剥離してしまう。一方、この
実施形態のように化合物粒子を金属マトリックス中に分
散させ、さらには化合物粒子の分散量を組成傾斜させる
ことによって、内周面1aを含む表層部分に存在する高
濃度化合物領域2と金属マトリックスが支配的な領域
(内部領域)との熱膨張差を緩和することができる。従
って、高濃度化合物領域2に起因する割れや変形等が防
止でき、高濃度化合物領域2による耐摩耗性や耐溶損性
等を長期間にわたって安定して得ることが可能となる。
【0022】上述したような化合物粒子には、金属窒化
物粒子、金属酸化物粒子、金属硼化物粒子、金属炭化物
粒子、およびこれらの複合化合物粒子から選ばれる少な
くとも 1種が用いられる。金属窒化物としては、窒化ケ
イ素(Si3 N4 )、窒化アルミニウム(AlN)、窒
化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)等が例示さ
れる。金属酸化物としては、アルミナ(Al2 O3 )、
酸化クロム(Cr2 O3 )、酸化セリウム(Ce
2 O3 )、マグネシア(MgO)等が、金属硼化物とし
ては硼化鉄(FeB)、硼化クロム(CrB)、硼化ジ
ルコニウム(ZrB)等が、金属炭化物としては炭化ク
ロム(Cr2 O7 )、炭化チタン(TiC)、炭化ジル
コニウム(ZrV)、炭化バナジウム(VC)等が挙げ
られる。
物粒子、金属酸化物粒子、金属硼化物粒子、金属炭化物
粒子、およびこれらの複合化合物粒子から選ばれる少な
くとも 1種が用いられる。金属窒化物としては、窒化ケ
イ素(Si3 N4 )、窒化アルミニウム(AlN)、窒
化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)等が例示さ
れる。金属酸化物としては、アルミナ(Al2 O3 )、
酸化クロム(Cr2 O3 )、酸化セリウム(Ce
2 O3 )、マグネシア(MgO)等が、金属硼化物とし
ては硼化鉄(FeB)、硼化クロム(CrB)、硼化ジ
ルコニウム(ZrB)等が、金属炭化物としては炭化ク
ロム(Cr2 O7 )、炭化チタン(TiC)、炭化ジル
コニウム(ZrV)、炭化バナジウム(VC)等が挙げ
られる。
【0023】これら金属化合物粒子はいずれも高硬度を
有し、優れた耐磨耗性を示すものであり、さらには耐溶
損性等にも優れるものである。さらに、いずれも比重が
7以下とFe基合金等に比べて軽量であるという特徴を
有している。このように、化合物粒子は軽量であるた
め、後に詳述する遠心鋳造法を適用することによって、
上述したような組成傾斜させた分散状態を容易に得るこ
とができる。
有し、優れた耐磨耗性を示すものであり、さらには耐溶
損性等にも優れるものである。さらに、いずれも比重が
7以下とFe基合金等に比べて軽量であるという特徴を
有している。このように、化合物粒子は軽量であるた
め、後に詳述する遠心鋳造法を適用することによって、
上述したような組成傾斜させた分散状態を容易に得るこ
とができる。
【0024】上述した化合物粒子としては、平均粒子径
が30〜 500μm の範囲のものが好ましく用いられる。化
合物粒子の平均粒子径が30μm 未満であると、耐磨耗性
等の向上効果を十分に得ることができないおそれがある
と共に、後述する遠心鋳造法での集中化が困難となる。
一方、化合物粒子の平均粒子径が 500μm を超えると、
脱落等が生じやすくなると共に、遠心鋳造法を適用する
際に溶湯中に投入しても浮上してしまい、均一に分散さ
せることが困難となる。特に、遠心鋳造法で化合物粒子
を内周面1a側に集中して存在させるためには、化合物
粒子の平均粒子径は 100μm 以上とすることが望まし
い。
が30〜 500μm の範囲のものが好ましく用いられる。化
合物粒子の平均粒子径が30μm 未満であると、耐磨耗性
等の向上効果を十分に得ることができないおそれがある
と共に、後述する遠心鋳造法での集中化が困難となる。
一方、化合物粒子の平均粒子径が 500μm を超えると、
脱落等が生じやすくなると共に、遠心鋳造法を適用する
際に溶湯中に投入しても浮上してしまい、均一に分散さ
せることが困難となる。特に、遠心鋳造法で化合物粒子
を内周面1a側に集中して存在させるためには、化合物
粒子の平均粒子径は 100μm 以上とすることが望まし
い。
【0025】また、化合物粒子は金属マトリックス中
に、全体量として 2〜10体積% の範囲で分散させること
が好ましい。全体量としての化合物粒子の体積率が 2体
積% 未満であると、組成傾斜させた場合においても、耐
磨耗面の特性向上効果を十分に得ることができないおそ
れがあり、一方10体積% を超えると金属マトリックスが
脆くなりやすくなる。
に、全体量として 2〜10体積% の範囲で分散させること
が好ましい。全体量としての化合物粒子の体積率が 2体
積% 未満であると、組成傾斜させた場合においても、耐
磨耗面の特性向上効果を十分に得ることができないおそ
れがあり、一方10体積% を超えると金属マトリックスが
脆くなりやすくなる。
【0026】さらに、化合物粒子の組成傾斜の度合いと
しては、耐磨耗面(この実施形態では内周面1a)から
肉厚tの 1/4〜 1/2程度の範囲に高濃度化合物領域2が
形成されるようにすることが好ましい。高濃度化合物領
域2の厚さが厚すぎると、上記した熱膨張差を十分に緩
和することができないおそれがあり、一方あまり薄いと
耐磨耗面の耐摩耗性や対溶存性等の特性を十分に向上さ
せることができない場合がある。このような高濃度化合
物領域2における化合物粒子の体積率は 5〜30体積% 程
度とすることによって、耐磨耗面の特性を十分に高め、
かつそのような特性を長期間にわたって安定して維持す
ることが可能となる。
しては、耐磨耗面(この実施形態では内周面1a)から
肉厚tの 1/4〜 1/2程度の範囲に高濃度化合物領域2が
形成されるようにすることが好ましい。高濃度化合物領
域2の厚さが厚すぎると、上記した熱膨張差を十分に緩
和することができないおそれがあり、一方あまり薄いと
耐磨耗面の耐摩耗性や対溶存性等の特性を十分に向上さ
せることができない場合がある。このような高濃度化合
物領域2における化合物粒子の体積率は 5〜30体積% 程
度とすることによって、耐磨耗面の特性を十分に高め、
かつそのような特性を長期間にわたって安定して維持す
ることが可能となる。
【0027】耐磨耗性部品1を主として構成する金属マ
トリックスは、耐磨耗性部品1の用途等に応じて適宜選
択されるものであるが、特に鋳鉄や鋳鋼等のFe基合金
が機械的強度や耐磨耗性等の点から好ましく用いられ
る。特に、耐磨耗性部品1の作製に遠心鋳造法を適用す
る場合には、鋳鉄や鋳鋼系の組成を満足するFe基合金
が好ましく用いられる。
トリックスは、耐磨耗性部品1の用途等に応じて適宜選
択されるものであるが、特に鋳鉄や鋳鋼等のFe基合金
が機械的強度や耐磨耗性等の点から好ましく用いられ
る。特に、耐磨耗性部品1の作製に遠心鋳造法を適用す
る場合には、鋳鉄や鋳鋼系の組成を満足するFe基合金
が好ましく用いられる。
【0028】上述した耐磨耗性部品1は遠心鋳造法を適
用することによって、容易にかつ再現性よく得ることが
できる。上述したように、化合物粒子は金属マトリック
スを構成する例えばFe基合金等に比べて比重が小さい
ため、遠心鋳造法で凝固させると化合物粒子が回転中心
側に集まり、回転中心側に傾斜的に化合物粒子が高濃度
に存在する領域(高濃度化合物領域2)を形成すること
ができる。
用することによって、容易にかつ再現性よく得ることが
できる。上述したように、化合物粒子は金属マトリック
スを構成する例えばFe基合金等に比べて比重が小さい
ため、遠心鋳造法で凝固させると化合物粒子が回転中心
側に集まり、回転中心側に傾斜的に化合物粒子が高濃度
に存在する領域(高濃度化合物領域2)を形成すること
ができる。
【0029】すなわち、まずFe基合金等の金属マトリ
ックス材料の溶湯(金属溶融)中に、上述した金属窒化
物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれら
の複合化合物から選ばれる少なくとも 1種の化合物粒子
を投入して、複合材料溶湯(混濁溶湯)を調整する。化
合物粒子の形状や投入量(分散量)等は前述した通りで
ある。
ックス材料の溶湯(金属溶融)中に、上述した金属窒化
物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれら
の複合化合物から選ばれる少なくとも 1種の化合物粒子
を投入して、複合材料溶湯(混濁溶湯)を調整する。化
合物粒子の形状や投入量(分散量)等は前述した通りで
ある。
【0030】このような複合材料溶湯を用いて、例えば
図3に示すような横型の遠心鋳造装置で耐磨耗性部品1
を作製する。図3に示す遠心鋳造装置11は、ローラ1
2上に鋳枠13に保持された所望形状の鋳型14が配置
される。そして、鋳型14の側面に配置された溶湯受け
15から、ローラ12で回転されている鋳型14内に、
複合材料溶湯(混濁溶湯)16が注入される。ここで、
鋳型14としては化合物粒子を組成傾斜させるのに適度
な凝固速度が得られる砂型を用いることが好ましく、ま
た鋳型14の回転数はその直径等にもよるが、 600〜 1
500rpm程度とすることが好ましい。すなわち、砂型を用
いた場合には、重力倍数が60〜 75G程度となるように条
件を設定することが好ましい。
図3に示すような横型の遠心鋳造装置で耐磨耗性部品1
を作製する。図3に示す遠心鋳造装置11は、ローラ1
2上に鋳枠13に保持された所望形状の鋳型14が配置
される。そして、鋳型14の側面に配置された溶湯受け
15から、ローラ12で回転されている鋳型14内に、
複合材料溶湯(混濁溶湯)16が注入される。ここで、
鋳型14としては化合物粒子を組成傾斜させるのに適度
な凝固速度が得られる砂型を用いることが好ましく、ま
た鋳型14の回転数はその直径等にもよるが、 600〜 1
500rpm程度とすることが好ましい。すなわち、砂型を用
いた場合には、重力倍数が60〜 75G程度となるように条
件を設定することが好ましい。
【0031】上記したような遠心鋳造装置11において
は、回転している鋳型14内に複合材料溶湯(混濁溶
湯)16を注入し、回転させながら複合材料溶湯16を
凝固させることによって、耐磨耗性部品が作製させる。
この凝固の際に、比重が大きい金属成分から凝固し、比
重が小さい化合物粒子は回転中心側、すなわち円筒状の
耐磨耗性部品1の場合には内周面1a側に集中し、内周
面1aを含む表層部分の化合物粒子の体積率が大きくな
る。このようにして、内周面1aを含む表層部分に高濃
度化合物領域2が形成され、この領域から肉厚方向に化
合物粒子の体積率が傾斜した複合材料が得られる。
は、回転している鋳型14内に複合材料溶湯(混濁溶
湯)16を注入し、回転させながら複合材料溶湯16を
凝固させることによって、耐磨耗性部品が作製させる。
この凝固の際に、比重が大きい金属成分から凝固し、比
重が小さい化合物粒子は回転中心側、すなわち円筒状の
耐磨耗性部品1の場合には内周面1a側に集中し、内周
面1aを含む表層部分の化合物粒子の体積率が大きくな
る。このようにして、内周面1aを含む表層部分に高濃
度化合物領域2が形成され、この領域から肉厚方向に化
合物粒子の体積率が傾斜した複合材料が得られる。
【0032】上述した遠心鋳造に際して、粒子径が異な
る 2種以上の化合物粒子を用いることも有効である。粒
子径が比較的大きな化合物粒子は回転中心側に集中しや
すく、また粒子径が比較的小さな化合物粒子は肉厚部分
に分散しやすいため、化合物粒子の組成傾斜程度を調整
することができる。
る 2種以上の化合物粒子を用いることも有効である。粒
子径が比較的大きな化合物粒子は回転中心側に集中しや
すく、また粒子径が比較的小さな化合物粒子は肉厚部分
に分散しやすいため、化合物粒子の組成傾斜程度を調整
することができる。
【0033】耐摩耗性部品1の形状は、上記したような
遠心鋳造法を適用する上で円筒のような筒状形状を有し
ていることが好ましいが、これに限られるものではな
く、例えば円筒状の鋳造品の外周形状を加工したり、あ
るいは円筒状の鋳造品を切断加工する等によって、各種
形状の耐摩耗性部品を得ることができる。このように、
本発明は各種形状の耐摩耗性部品に対して適用可能であ
る。
遠心鋳造法を適用する上で円筒のような筒状形状を有し
ていることが好ましいが、これに限られるものではな
く、例えば円筒状の鋳造品の外周形状を加工したり、あ
るいは円筒状の鋳造品を切断加工する等によって、各種
形状の耐摩耗性部品を得ることができる。このように、
本発明は各種形状の耐摩耗性部品に対して適用可能であ
る。
【0034】次に、本発明の鋳造機用部品およびダイカ
スト機の実施形態について、図4および図5を参照して
説明する。図4は本発明の一実施形態によるダイカスト
機の概略構成を示す図であり、図5はその要部を拡大し
て示す図である。これらの図において、21は可動型2
2と固定型23とで一対の金型であり、この一対の金型
21によりキャビティ24が形成される。固定型23内
には、金型の一種として鋳込み口ブッシュ25がキャビ
ティ24と接続するように設けられている。また、鋳込
み口ブッシュ25には、射出スリーブ26が接続されて
おり、この射出スリーブ26はプラテン27によって支
持されている。
スト機の実施形態について、図4および図5を参照して
説明する。図4は本発明の一実施形態によるダイカスト
機の概略構成を示す図であり、図5はその要部を拡大し
て示す図である。これらの図において、21は可動型2
2と固定型23とで一対の金型であり、この一対の金型
21によりキャビティ24が形成される。固定型23内
には、金型の一種として鋳込み口ブッシュ25がキャビ
ティ24と接続するように設けられている。また、鋳込
み口ブッシュ25には、射出スリーブ26が接続されて
おり、この射出スリーブ26はプラテン27によって支
持されている。
【0035】射出スリーブ26には注湯口28が設けら
れており、この注湯口28からAl系金属溶湯等の軽金
属溶湯が注湯される。射出スリーブ26内には、プラン
ジャチップ29が移動可能に配置されており、プランジ
ャチップ29には油圧シリンダ30等のプランジャ駆動
機構により駆動されるプランジャロッド31が連結され
ている。注湯口28から注湯された軽金属溶湯は、油圧
シリンダ30を動作させることによって、プランジャチ
ップ29によりキャビティ24内に加圧充填される。
れており、この注湯口28からAl系金属溶湯等の軽金
属溶湯が注湯される。射出スリーブ26内には、プラン
ジャチップ29が移動可能に配置されており、プランジ
ャチップ29には油圧シリンダ30等のプランジャ駆動
機構により駆動されるプランジャロッド31が連結され
ている。注湯口28から注湯された軽金属溶湯は、油圧
シリンダ30を動作させることによって、プランジャチ
ップ29によりキャビティ24内に加圧充填される。
【0036】可動型22は油圧シリンダ32等の型移動
機構により移動可能とされている。この可動型22が所
定方向に移動する際に、キャビティ24内に作製された
ダイカスト製品は固定された押出しロッド33により型
から排出される。
機構により移動可能とされている。この可動型22が所
定方向に移動する際に、キャビティ24内に作製された
ダイカスト製品は固定された押出しロッド33により型
から排出される。
【0037】上述したようなダイカスト機において、射
出スリーブ26の内周面26aには軽金属溶湯との接触
面となるために耐溶損性が求められると共に、プランジ
ャチップ29と摺動するために耐磨耗性を有することが
必要である。このように、射出スリーブ26の内周面2
6aは、軽金属溶湯との接触面であると共に、耐磨耗性
が要求される耐磨耗面でもあり、またその形状もおおよ
そ円筒形状を有しているため、本発明の鋳造機用部品お
よび耐磨耗性部品として好適である。
出スリーブ26の内周面26aには軽金属溶湯との接触
面となるために耐溶損性が求められると共に、プランジ
ャチップ29と摺動するために耐磨耗性を有することが
必要である。このように、射出スリーブ26の内周面2
6aは、軽金属溶湯との接触面であると共に、耐磨耗性
が要求される耐磨耗面でもあり、またその形状もおおよ
そ円筒形状を有しているため、本発明の鋳造機用部品お
よび耐磨耗性部品として好適である。
【0038】この実施形態においては、内周面26aを
含む表層部分に高濃度化合物領域が形成されるように、
金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およ
びこれらの複合化合物から選ばれた少なくとも 1種の化
合物粒子を組成傾斜させて金属マトリックス中に分散さ
せた複合材料で、射出スリーブ26を構成している。こ
の複合材料の具体的な構成については、前述した耐磨耗
性部品の実施形態と同様である。
含む表層部分に高濃度化合物領域が形成されるように、
金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およ
びこれらの複合化合物から選ばれた少なくとも 1種の化
合物粒子を組成傾斜させて金属マトリックス中に分散さ
せた複合材料で、射出スリーブ26を構成している。こ
の複合材料の具体的な構成については、前述した耐磨耗
性部品の実施形態と同様である。
【0039】射出スリーブ26の内周面26aおよびそ
の近傍部分に集中して存在する化合物粒子は、前述した
ように硬度が高く耐磨耗性に優れ、かつ耐溶損性に優れ
るため、射出スリーブ26の内周面26aに優れた耐磨
耗性や耐溶損性等を付与することができる。さらに、化
合物粒子は一般的な金属材料に比べて熱伝導率が低いた
め、射出スリーブ26の内周面26aの保温性を高める
こともできる。
の近傍部分に集中して存在する化合物粒子は、前述した
ように硬度が高く耐磨耗性に優れ、かつ耐溶損性に優れ
るため、射出スリーブ26の内周面26aに優れた耐磨
耗性や耐溶損性等を付与することができる。さらに、化
合物粒子は一般的な金属材料に比べて熱伝導率が低いた
め、射出スリーブ26の内周面26aの保温性を高める
こともできる。
【0040】すなわち、射出スリーブ26の内周面26
aを含む表層部分に形成された高濃度化合物領域は、軽
金属溶湯に対して溶損バリヤ層として機能し、プランジ
ャチップ29に対しては耐磨耗層として機能し、さらに
は保温層としての機能をも有するものである。
aを含む表層部分に形成された高濃度化合物領域は、軽
金属溶湯に対して溶損バリヤ層として機能し、プランジ
ャチップ29に対しては耐磨耗層として機能し、さらに
は保温層としての機能をも有するものである。
【0041】そして、前述したように化合物粒子を肉厚
方向に組成傾斜させていることに基いて、化合物粒子が
集中して存在する高濃度化合物領域2と金属マトリック
スが支配的な領域(内部領域)との熱膨張差による割れ
や変形等を防止することができると共に、射出スリーブ
26を主として構成する金属マトリックスの脆化等を抑
制することができるため、射出スリーブ26の機械的信
頼性を向上させた上で、軽金属溶湯による射出スリーブ
26の溶損およびプランジャチップ29との摺動等によ
り損耗を長期間にわたって安定して抑制することができ
る。これらによって、射出スリーブ26の寿命を大幅に
向上させることができ、さらにはそれを用いたダイカス
ト機の長期信頼性を高めることが可能となる。
方向に組成傾斜させていることに基いて、化合物粒子が
集中して存在する高濃度化合物領域2と金属マトリック
スが支配的な領域(内部領域)との熱膨張差による割れ
や変形等を防止することができると共に、射出スリーブ
26を主として構成する金属マトリックスの脆化等を抑
制することができるため、射出スリーブ26の機械的信
頼性を向上させた上で、軽金属溶湯による射出スリーブ
26の溶損およびプランジャチップ29との摺動等によ
り損耗を長期間にわたって安定して抑制することができ
る。これらによって、射出スリーブ26の寿命を大幅に
向上させることができ、さらにはそれを用いたダイカス
ト機の長期信頼性を高めることが可能となる。
【0042】なお、射出スリーブ26の内周面26aに
は、従来のSKD61材と同様に窒化処理を施してもよ
い。化合物粒子の分散と窒化処理を併用することによっ
て、さらに耐溶損性を高めることができる。
は、従来のSKD61材と同様に窒化処理を施してもよ
い。化合物粒子の分散と窒化処理を併用することによっ
て、さらに耐溶損性を高めることができる。
【0043】ここで、射出スリーブ26の保温性は高濃
度化合物領域の形成のみならず、射出スリーブ26全体
として高めることが好ましい。これは射出スリーブ26
の保温性を高めることによって、軽金属溶湯の凝固等に
伴う凝固相の巻込みや湯流れの阻害等といった不具合の
発生を防止するためである。このようなことから、射出
スリーブ26を構成する金属マトリックスには、熱伝導
率が30W/m K 以下の金属材料を用いることが好ましい。
さらに、射出スリーブ26の熱変形による割れやプラン
ジャチップ29とのかじり等を防止する上で、金属マト
リックスには室温から623Kの範囲の熱膨張係数が15×10
-6/K以下の金属材料を用いることが好ましい。金属マト
リックスの熱膨張係数は10〜15×10-6/Kの範囲であるこ
とがさらに好ましい。
度化合物領域の形成のみならず、射出スリーブ26全体
として高めることが好ましい。これは射出スリーブ26
の保温性を高めることによって、軽金属溶湯の凝固等に
伴う凝固相の巻込みや湯流れの阻害等といった不具合の
発生を防止するためである。このようなことから、射出
スリーブ26を構成する金属マトリックスには、熱伝導
率が30W/m K 以下の金属材料を用いることが好ましい。
さらに、射出スリーブ26の熱変形による割れやプラン
ジャチップ29とのかじり等を防止する上で、金属マト
リックスには室温から623Kの範囲の熱膨張係数が15×10
-6/K以下の金属材料を用いることが好ましい。金属マト
リックスの熱膨張係数は10〜15×10-6/Kの範囲であるこ
とがさらに好ましい。
【0044】上記した熱伝導率が30W/m K 以下の金属材
料としては、オーステナイト系ステンレス鋼が知られて
いるが、これは熱膨張係数が18×10-6/Kと高いため、例
えばNiおよびCoから選ばれる少なくとも 1種を25〜
45重量% 程度の範囲で含有する低膨張Fe基合金を用い
ることが好ましい。このような低膨張Fe基合金として
は、インバー合金(Fe− 36wt%Ni)、スーパーイン
バー合金(Fe− 31wt%Ni−5wt%Co)、コバール合
金(Fe− 29wt%Ni− 17wt%Co)、42アロイ(Fe
− 42wt%Ni)等も知られているが、前述した遠心鋳造
を適用する上で低膨張鋳鉄が特に好ましく用いられる。
料としては、オーステナイト系ステンレス鋼が知られて
いるが、これは熱膨張係数が18×10-6/Kと高いため、例
えばNiおよびCoから選ばれる少なくとも 1種を25〜
45重量% 程度の範囲で含有する低膨張Fe基合金を用い
ることが好ましい。このような低膨張Fe基合金として
は、インバー合金(Fe− 36wt%Ni)、スーパーイン
バー合金(Fe− 31wt%Ni−5wt%Co)、コバール合
金(Fe− 29wt%Ni− 17wt%Co)、42アロイ(Fe
− 42wt%Ni)等も知られているが、前述した遠心鋳造
を適用する上で低膨張鋳鉄が特に好ましく用いられる。
【0045】上記低膨張鋳鉄の具体例としては、 0.1〜
1.0重量% のC、 3.0〜 7.0重量%のSi、 0.1〜 1.0
重量% のMn、 1.0重量% 以下のMgおよび 5.0〜40重
量%のNiを含み、残部がFeおよび不可避不純物から
なる低膨張鋳鉄が挙げられる。また必要に応じて、C
r、Mo、W、V、Nb、Τa、Τi、Zr等から選ば
れる少なくとも 1種を 4重量% 以下程度添加してもよ
い。
1.0重量% のC、 3.0〜 7.0重量%のSi、 0.1〜 1.0
重量% のMn、 1.0重量% 以下のMgおよび 5.0〜40重
量%のNiを含み、残部がFeおよび不可避不純物から
なる低膨張鋳鉄が挙げられる。また必要に応じて、C
r、Mo、W、V、Nb、Τa、Τi、Zr等から選ば
れる少なくとも 1種を 4重量% 以下程度添加してもよ
い。
【0046】Niは低熱膨張性および低熱伝導性を付与
する成分であり、Ni含有量が 5.0重量% 未満あるいは
40重量% を超えると、いずれも熱膨張係数や熱伝導率の
低減効果を十分に得ることができない。Siは酸素濃度
の低減と流動性の改善に寄与すると共に、Fe基合金に
低熱膨張性や低熱伝導性を付与する成分である。Siの
含有量が 7.0重量% を超えるとSi化合物を多量に形成
して、これらの特性を低下させるため、Si含有量は 7
重量% 以下とすることが好ましい。
する成分であり、Ni含有量が 5.0重量% 未満あるいは
40重量% を超えると、いずれも熱膨張係数や熱伝導率の
低減効果を十分に得ることができない。Siは酸素濃度
の低減と流動性の改善に寄与すると共に、Fe基合金に
低熱膨張性や低熱伝導性を付与する成分である。Siの
含有量が 7.0重量% を超えるとSi化合物を多量に形成
して、これらの特性を低下させるため、Si含有量は 7
重量% 以下とすることが好ましい。
【0047】C、Mn、Mgは鋳鉄の基礎成分である。
Cは一般鋳鉄並みの鋳造性と切削加工性を付与する成分
であり、Cの含有量が 1.0重量% を超えると強度の低下
を招く。Mnは脱酸剤や耐食性向上成分として機能する
が、Mnの含有量が 1.0重量% を超えると熱膨張係数が
増大するため、Mnの含有量は 1.0重量% 以下とするこ
とが好ましい。Mgは黒鉛を球状化する成分であり、M
gの含有量が 1.0重量% を超えると低熱膨張性と加工性
の低下を招くことになる。
Cは一般鋳鉄並みの鋳造性と切削加工性を付与する成分
であり、Cの含有量が 1.0重量% を超えると強度の低下
を招く。Mnは脱酸剤や耐食性向上成分として機能する
が、Mnの含有量が 1.0重量% を超えると熱膨張係数が
増大するため、Mnの含有量は 1.0重量% 以下とするこ
とが好ましい。Mgは黒鉛を球状化する成分であり、M
gの含有量が 1.0重量% を超えると低熱膨張性と加工性
の低下を招くことになる。
【0048】化合物粒子を組成傾斜させて金属マトリッ
クス中に分散させた複合材料で構成するダイカスト機部
品としては、上述した射出スリーブ26に限らず、同様
に軽金属溶湯との接触面を有する鋳込み口ブッシュ2
5、金型21に対しても有効である。さらに、本発明の
鋳造機用部品は上述したようなダイカスト機部品に限ら
ず、例えば低圧鋳造用のストーク等に適用することも可
能である。特に、円筒状の内周面が金属溶湯との接触面
となる鋳造機用部品に対して好適である。
クス中に分散させた複合材料で構成するダイカスト機部
品としては、上述した射出スリーブ26に限らず、同様
に軽金属溶湯との接触面を有する鋳込み口ブッシュ2
5、金型21に対しても有効である。さらに、本発明の
鋳造機用部品は上述したようなダイカスト機部品に限ら
ず、例えば低圧鋳造用のストーク等に適用することも可
能である。特に、円筒状の内周面が金属溶湯との接触面
となる鋳造機用部品に対して好適である。
【0049】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
する。
【0050】実施例1 表1に示す組成を有するFe基合金(低膨張鋳鉄)を、
高周波溶解炉で溶解した。このFe基合金の熱伝導率K
は約25W/m K であり、室温から623Kの範囲の熱膨張係数
は11×10-6/Kである。
高周波溶解炉で溶解した。このFe基合金の熱伝導率K
は約25W/m K であり、室温から623Kの範囲の熱膨張係数
は11×10-6/Kである。
【0051】
【表1】 上記したようなFe基合金の溶湯に体積率で5%のアルミ
ナ粒子を投入して複合材料溶湯とし、図3に示した遠心
鋳造装置を用いて、図5に示したような形状を有する射
出スリーブを作製した。射出スリーブの鋳物寸法は、外
径 105mm、内径45mm、長さ 360mmであり、加工後寸法は
外径 100mm、内径60mm、長さ 350mmとした。アルミナ粒
子としては、平均粒子径が 100μm と 240μm の 2種類
の粒子を50%ずつ混合したものを用いた。遠心鋳造装置
には射出スリーブ形状に応じた砂型を装着した。
ナ粒子を投入して複合材料溶湯とし、図3に示した遠心
鋳造装置を用いて、図5に示したような形状を有する射
出スリーブを作製した。射出スリーブの鋳物寸法は、外
径 105mm、内径45mm、長さ 360mmであり、加工後寸法は
外径 100mm、内径60mm、長さ 350mmとした。アルミナ粒
子としては、平均粒子径が 100μm と 240μm の 2種類
の粒子を50%ずつ混合したものを用いた。遠心鋳造装置
には射出スリーブ形状に応じた砂型を装着した。
【0052】具体的には、まず溶湯量に対して 5体積%
のアルミナ粒子を、約 1823KのFe基合金溶湯を入れた
トリベ中に投入して撹拌し、直ちにトリベから 1000rpm
で回転している遠心鋳造装置の注湯受けを通して鋳込ん
だ。約10分間回転させた後、砂型から鋳物を取り出し
た。鋳物の内径を約15mm研削除去した後、923Kで応力除
去焼鈍熱処理を施し、最終形状に仕上げた。
のアルミナ粒子を、約 1823KのFe基合金溶湯を入れた
トリベ中に投入して撹拌し、直ちにトリベから 1000rpm
で回転している遠心鋳造装置の注湯受けを通して鋳込ん
だ。約10分間回転させた後、砂型から鋳物を取り出し
た。鋳物の内径を約15mm研削除去した後、923Kで応力除
去焼鈍熱処理を施し、最終形状に仕上げた。
【0053】このようにして得た射出スリーブの内周面
から肉厚方向へのアルミナ粒子の体積率変化を図6に示
す。この射出スリーブをダイカスト機に組込んで実装試
験を(Al合金溶湯のダイカストテスト)行い、注湯口
直下の肉厚変化を調べることによって、射出スリーブの
耐溶損性を評価した。具体的な評価は注湯口直下の肉厚
が 1mm減じたショット数を測定した。さらに、射出スリ
ーブの両端開口部をレンガで塞ぎ、これに953KのAl合
金(ADC12)の溶湯を充填率 20%で流し込んで、この時の
Al合金の凝固時間を測定した。これらの結果を表2に
示す。
から肉厚方向へのアルミナ粒子の体積率変化を図6に示
す。この射出スリーブをダイカスト機に組込んで実装試
験を(Al合金溶湯のダイカストテスト)行い、注湯口
直下の肉厚変化を調べることによって、射出スリーブの
耐溶損性を評価した。具体的な評価は注湯口直下の肉厚
が 1mm減じたショット数を測定した。さらに、射出スリ
ーブの両端開口部をレンガで塞ぎ、これに953KのAl合
金(ADC12)の溶湯を充填率 20%で流し込んで、この時の
Al合金の凝固時間を測定した。これらの結果を表2に
示す。
【0054】実施例2〜5 上記実施例1において、金属マトリックスとなるFe基
合金溶湯に投入する化合物粒子を、表2に示す各化合物
粒子に代える以外は、それぞれ実施例1と同様に射出ス
リーブを作製した。各化合物粒子は粒子径 100μm と 2
50〜 320μm を50%ずつ混合したものであり、溶湯に対
して 5〜 7体積% で添加した。これら各射出スリーブを
用いて、実施例1と同様に耐溶損性および保温性を測
定、評価した。これらの結果を併せて表2に示す。
合金溶湯に投入する化合物粒子を、表2に示す各化合物
粒子に代える以外は、それぞれ実施例1と同様に射出ス
リーブを作製した。各化合物粒子は粒子径 100μm と 2
50〜 320μm を50%ずつ混合したものであり、溶湯に対
して 5〜 7体積% で添加した。これら各射出スリーブを
用いて、実施例1と同様に耐溶損性および保温性を測
定、評価した。これらの結果を併せて表2に示す。
【0055】なお、実施例5は実施例1の射出スリーブ
の内周面に対し、さらに窒化処理を併用したものであ
る。窒化処理は823K×40時間の条件でガス窒化処理を行
った。
の内周面に対し、さらに窒化処理を併用したものであ
る。窒化処理は823K×40時間の条件でガス窒化処理を行
った。
【表2】 表2から明らかなように、各実施例による射出スリーブ
はいずれも耐溶損性および保温性に優れていることが分
かる。また、各実施例の射出スリーブにおいては、上記
Al合金の実装試験中にプランジャチップによるかじり
等は発生せず、耐磨耗性に優れていることが確認され
た。
はいずれも耐溶損性および保温性に優れていることが分
かる。また、各実施例の射出スリーブにおいては、上記
Al合金の実装試験中にプランジャチップによるかじり
等は発生せず、耐磨耗性に優れていることが確認され
た。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐磨耗性
部品および鋳造機用部品によれば、金属溶湯と接触する
ような過酷な条件下で使用される場合においても、耐磨
耗性や耐溶損性を長期間にわたって安定して維持するこ
とができる。従って、それを用いたダイカスト機等の信
頼性を大幅に高めることが可能となる。また、本発明の
耐磨耗性部品の製造方法によれば、そのような部品を容
易にかつ再現性よく作製することができる。
部品および鋳造機用部品によれば、金属溶湯と接触する
ような過酷な条件下で使用される場合においても、耐磨
耗性や耐溶損性を長期間にわたって安定して維持するこ
とができる。従って、それを用いたダイカスト機等の信
頼性を大幅に高めることが可能となる。また、本発明の
耐磨耗性部品の製造方法によれば、そのような部品を容
易にかつ再現性よく作製することができる。
【図1】 本発明の耐磨耗性部品の一実施形態の構成を
示す模式図である。
示す模式図である。
【図2】 図1に示す耐磨耗性部品の化合物粒子の分散
状態を説明するための図である。
状態を説明するための図である。
【図3】 本発明の耐磨耗性部品の製造に使用する遠心
鋳造装置の一構成例を示す断面図である。
鋳造装置の一構成例を示す断面図である。
【図4】 本発明のダイカスト機の一実施形態の概略構
成を一部断面で示す図である。
成を一部断面で示す図である。
【図5】 図4に示すダイカスト機の要部を拡大して示
す図である。
す図である。
【図6】 本発明の実施例1による射出スリーブの化合
物粒子の分散状態を測定した結果を示す図である。
物粒子の分散状態を測定した結果を示す図である。
1………耐磨耗性部品 1a……内周面 2………高濃度化合物領域 11……遠心鋳造装置 21……一対の金型 26……射出スリーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢田 雅人 三重県三重郡朝日町縄生2121 株式会社東 芝三重工場内
Claims (8)
- 【請求項1】 耐磨耗性が要求される耐磨耗面を有し、
金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およ
びこれらの複合化合物から選ばれた少なくとも 1種の化
合物粒子を、金属マトリックス中に分散させた複合材料
からなる耐磨耗性部品であって、 前記化合物粒子は、前記耐磨耗面から前記部品の肉厚方
向に、前記金属マトリックス中の前記化合物粒子の体積
率が減少するように、組成傾斜されていることを特徴と
する耐磨耗性部品。 - 【請求項2】 請求項1記載の耐磨耗性部品において、 前記部品は筒状形状を有し、前記筒状形状の部品の内周
面が前記耐磨耗面とされていることを特徴とする耐磨耗
性部品。 - 【請求項3】 筒状形状を有し、その内周面側に耐磨耗
性が要求される耐磨耗面を有する耐磨耗性部品を製造す
るにあたり、 前記部品を主として構成する金属マトリックス材料の溶
湯中に、金属窒化物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭
化物およびこれらの複合化合物から選ばれる少なくとも
1種の化合物粒子を投入して、複合材料溶湯を調整する
工程と、 前記複合材料溶湯を用いて、遠心鋳造法により前記筒状
形状の部品を作製する工程とを有することを特徴とする
耐磨耗性部品の製造方法。 - 【請求項4】 金属溶湯との接触面を有し、金属窒化
物、金属酸化物、金属硼化物、金属炭化物およびこれら
の複合化合物から選ばれた少なくとも 1種の化合物粒子
を、金属マトリックス中に分散させた複合材料かなる鋳
造機用部品であって、 前記化合物粒子は、前記金属溶湯との接触面から前記部
品の肉厚方向に、前記金属マトリックス中の前記化合物
粒子の体積率が減少するように、組成傾斜されているこ
とを特徴とする鋳造機用部品。 - 【請求項5】 請求項4記載の鋳造機用部品において、 前記部品は筒状形状を有し、前記筒状形状の部品の内周
面が前記金属溶湯との接触面とされていることを特徴と
する耐磨耗性部品。 - 【請求項6】 請求項4記載の鋳造機用部品において、 前記金属マトリックスは、熱伝導率が30W/m K 以下の金
属材料からなることを特徴とする鋳造機用部品。 - 【請求項7】 請求項4記載の鋳造機用部品において、 前記金属マトリックスは、熱膨張係数が15×10-6/K以下
の金属材料からなることを特徴とする鋳造機用部品。 - 【請求項8】 一方を移動可能とした一対の金型と、前
記一対の金型のうちの固定金型に接続され、注湯受けお
よび加圧シリンダを兼ねる射出スリーブと、前記射出ス
リーブ内に注湯された金属溶湯を前記一対の金型内に圧
力充填するプランジャと、前記プランジャの駆動機構と
を具備するダイカスト機において、 前記一対の金型および射出スリーブから選ばれる少なく
とも 1種は、請求項4記載の鋳造機用部品からなること
を特徴とするダイカスト機。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7608197A JPH10263783A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 耐磨耗性部品とその製造方法、鋳造機用部品、およびそれを用いたダイカスト機 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7608197A JPH10263783A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 耐磨耗性部品とその製造方法、鋳造機用部品、およびそれを用いたダイカスト機 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10263783A true JPH10263783A (ja) | 1998-10-06 |
Family
ID=13594883
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7608197A Withdrawn JPH10263783A (ja) | 1997-03-27 | 1997-03-27 | 耐磨耗性部品とその製造方法、鋳造機用部品、およびそれを用いたダイカスト機 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10263783A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| USRE41824E1 (en) | 2001-08-08 | 2010-10-19 | Pleiatech Corporation | Process for producing a thin die-cast molded article of an aluminum material |
| JP2012219340A (ja) * | 2011-04-11 | 2012-11-12 | Iwate Industrial Research Center | 鋳鉄材料の製造方法,鋳鉄材料及びダイカストマシン用スリーブ |
| CN106077584A (zh) * | 2016-06-23 | 2016-11-09 | 奇男子五金制品(浙江)有限公司 | 超硬耐磨复合刀片的制备方法 |
-
1997
- 1997-03-27 JP JP7608197A patent/JPH10263783A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| USRE41824E1 (en) | 2001-08-08 | 2010-10-19 | Pleiatech Corporation | Process for producing a thin die-cast molded article of an aluminum material |
| JP2012219340A (ja) * | 2011-04-11 | 2012-11-12 | Iwate Industrial Research Center | 鋳鉄材料の製造方法,鋳鉄材料及びダイカストマシン用スリーブ |
| CN106077584A (zh) * | 2016-06-23 | 2016-11-09 | 奇男子五金制品(浙江)有限公司 | 超硬耐磨复合刀片的制备方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040601 |