JPH0826170B2 - 多層材の製造方法 - Google Patents

多層材の製造方法

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JPH0826170B2
JPH0826170B2 JP1208418A JP20841889A JPH0826170B2 JP H0826170 B2 JPH0826170 B2 JP H0826170B2 JP 1208418 A JP1208418 A JP 1208418A JP 20841889 A JP20841889 A JP 20841889A JP H0826170 B2 JPH0826170 B2 JP H0826170B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は比重に差がある多層材の製造方法に関する
ものである。
〔従来の技術〕
従来より吸音材,断熱材としては,グラスウール,ロ
ックウール,ウレタンフォームなどの多孔質材が用いら
れている。又ウレタンフォーム,スチールウールなどの
多孔質材は,空気浄化用フィルタとしても用いられてい
る。これらの多孔質材は,電気掃除機,冷暖房空調機
器,空気清浄器などの消音,断熱,空気浄化処理用に多
量に使用されるようになり,多孔質材を低コストで高性
能且つ使用に際して形状等の制約条件の少ないものにす
ることが,機器製造者側から強く望まれている。
一般に吸音材や断熱材は,非通気材である構造体に内
張りして用いられる。この構造体は遮音避としてあるい
は空気流の流路の一部を形成する機能を有する。又フィ
ルタは非通気材の枠に多孔質材を組込んで,フィルタユ
ニットを形成している。フィルタユニットの多孔質材の
周囲から流れが漏れないよう,上記の枠が流れのシール
効果を果たしている。しかるに多孔質材と非通気材は別
部材を組合わせて構成したり,発泡性素材を利用して多
孔質材を成形した後に一部の面を不通気性に加工する等
して製作している。例えば,特開昭53−113172号公報
「電気掃除機」,特公昭58−52132「空気調和機の室内
ユニット」,特開昭46−1045号公報「多胞質熱可塑性材
料及びこれに融着された熱可塑性シート材層から成る複
合物品並びにその製造法」,特開昭48−19654号公報
「軟質積層外皮の成形方法」などに示されている。
さらに特開昭59−204626号公報「無孔層を有する合成
樹脂微多孔膜」には、予め成形した微多孔膜(平均孔経
0.4μ〜1μ)を、一方が加熱ローラーとなった一組の
ローラー間に通し、加熱ローラーによって微多孔膜の片
面を溶融させたものが示されていす。微多孔膜の材料と
しては、無機粉末と有機液状体(可塑剤)を用いてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし,以上の従来の製造方法では,多孔質層とこれ
より比重の大きい層(例えば,非通気層)の組合わせに
コストがかかり,また発泡材利用の方法においても片面
不通気性にする為に加工コストを必要とすると共に,複
雑な形状はできにくい等の課題があった。
さらに、予め成形した微多孔膜を、再加工して片面を
溶融させるものにおいても、再加工コストを必要とする
と共に、複雑な形状にできにくい等の課題があった。
この発明は上記のような課題を解消するためになされ
たもので,樹脂粒を含む素材を原料として比重の大きい
層(例えば非通気層)と比重の小さい多孔質層を同時に
一体成形する多層材の製造方法を得ることを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
この発明による多層材の製造方法は、第1の型と第2
の型とで形成される空間内に溶融素材を入れる工程、及
び上記両型のうち一方を上記素材の軟化する温度以上で
かつ熱分解温度以下に、他方を上記素材の軟化する温度
付近に加熱し、上記両型で上記素材を加圧する工程を施
すことにより、上記型の高温側に比重の大きい層を、上
記型の低温側に比重の小さい多孔質層を一体的に成形す
るものである。
また、第1の型と第2の型とで形成される空間内に溶
融素材を入れる工程、上記両型のうち一方を上記素材の
軟化する温度以上でかつ熱分解温度以下に、他方を上記
素材の軟化する温度付近に加熱し、上記両型で上記素材
を加圧する工程、及び加熱後に圧縮する又はせん断応力
を加える工程を施すことにより、上記型の高温側に比重
の大きい層を、上記型の低温側に比重の小さい多孔質層
を一体的に成形するものである。
また、第1の型と第2の型を所定温度に設定した後、
上記第1の型と第2の型とで形成される空間内に溶融素
材を入れ、上記第1の型または第2の型を加圧するもの
である。
また、第1の型と第2の型とで形成される空間内に溶
融素材を入れた後、上記第1の型と第2の型を所定温度
に設定し、上記上記第1の型または第2の型を加圧する
ものである。
また、第1の型と第2の型とを異なる熱容量にしたも
のである。
また、第1の型と第2の型のうち一方の型を熱伝導性
の高い材質で構成された円筒とし、他方の型を上記円筒
に挿入され、熱伝導性の高い材質で構成された2つの異
なる直径を有する丸棒としたものである。
さらに、溶融素材にバインダーを混合させるものであ
る。
〔作用〕
この発明における多層材の製造方法は,温度差を有す
る第1の型と第2の型とで,樹脂粒を含む素材(例え
ば,樹脂粒状素材)を加圧ならびに加熱することによ
り,高温側の素材は溶融又は軟化し,比重の大きい層
(例えば融合層)が形成され,低温側の素材は,半流動
状態で素材各々が溶着又は接着し,比重の小さい多孔層
が形成され、同時に両層が一体的に溶着又は接着され
て,多層材が成形される。
さらに,素材の加熱後に圧縮したり又はせん断応力を
加えることによって,高温側の素材表面では圧縮変形し
たり融合が促進されて比重が高められる。
素材にバインダーを混合させることによって,多孔質
層などの粒状素材各々の固着力を強化させ得る。
第1の型と第2の型の温度差,素材への加圧力を変化
させることによって,多孔質層の比重を,多孔質層の厚
さ方向又は多孔質層面の面方向に変化させることができ
る。厚さ方向又は面方向に変化させた多層材は,例えば
吸音特性を制御することができる。
〔実施例〕
以下この発明の多層材の製造方法の実施例を説明す
る。
第1図(イ)(ロ)は,それぞれこの発明の実施例に
よって製造した多層材(1)の厚さ方向に切断した断面
図である。(2)は比重の大きい層,例えば融合層で通
気性又は非通気性のいずれにも製造できる。(3)は比
重の小さい多孔質層で,通常は通気性であり空孔率は,
厚さ方向に連続的に変化している。(4)は通常比重が
層(2)と層(3)の中間にあるスキン層で例えば100
μm厚以下の融合層である。第1図(ハ)は第1図
(ロ)と同様の断面を模式的に示した図であるが、より
具体的に詳細に示したものである。多層材(1)は融合
層(2)と多孔質層(3)とが一体化している。同様に
融合層(2)と多孔質層(3)とスキン層(4)は一体
化している。
多層材(1)を吸音材として使用するときは,多孔質
層(3)を騒音源側に対面させて,音のエネルギーを吸
収減衰させかつ,融合層(2)で音波が透過するのを防
ぐ。
第2図は多層材(1)すなわち吸音材を電気掃除機に
利用した例を示す要部断面図である。同図において,
(5)は外枠,(6)は騒音源の一つであるブロワーモ
ーターである。吸音材(1)はブロワーモーター(6)
の排気側を包むような形状に形成され,多孔質層(3)
がブロワーモーター(6)側に,融合層(2)が外側に
なっている。矢印は電気掃除機運転中の風の流れを示
す。
以上の構成においては,ブロワーモーター(6)から
発生する騒音は吸音材(1)によって吸音,遮音され
る。
第3図は第2図に示す多層材の製造方法を説明する金
型構成断面図である。(7)は凹側金型で,例えばアル
ミニウム等の熱伝導性の良い材質で構成されている。
(8)は凸側金型で,同様にアルミニウムで構成されて
いる。(9)(10)は各々金型の温度を上げるヒーター
で,凹側金型(7)の方が凸側金型(8)よりも高温に
される。
実施例1−1 原料として,熱可塑性樹脂の粒状素材を用いて多層材
を成形する場合について説明する。
凹側金型(7)の壁部(11)の温度は,凹側金型
(7)と凸側金型(8)によって形成される閉空間(1
2)内に入れられる原料である粒状素材の軟化する温度
以上で熱分解温度以下,通常150〜240℃にセットされ,
凸側金型(8)の壁部(13)の温度は,凹側金型(7)
の壁部(11)の温度よりも低い温度,例えば原料となる
粒状素材の軟化する温度付近,通常70〜180℃にセット
される。ここにおいて金型(7)(8)内に例えばABS
(acrylonitrile−butadiene−styreneresin)樹脂(軟
化する温度80〜90℃)等の熱可塑性樹脂の粒状素材(直
径0.2〜3mm程度)を投入し,金型を加圧しながら閉じ,
数10秒〜数時間加熱する。この加熱は上述した金型
(7)(8)のセット温度で行われ,加圧力は加熱状態
で1Kg/cm2〜数ton/cm2である。
すると,凹側金型(7)の高温壁部(11)に接触した
粒状素材は溶融し,最終的には比重の大きい層,換言す
れば融合層(2)になり,融合の程度により通気性から
非通気性に変化する。凸側金型(8)の壁部(13)は高
温壁部(11)より低温のため,壁部(13)から上記融合
層(2)までの粒状素材は,完全流動までには到らない
が,半流動状態で,粒状素材各々が接触部分で溶着し,
最終的には上記融合層(2)に溶着した多孔質層(3)
が形成される。この多孔質層(3)は通常は通気性であ
るが,バインダーなどの素材の混合材によって非通気性
になる。
このようにして比重の大きい層と比重の小さい多孔質
層を一体的に同時に成形することができる 以上のように凹側金型(7)の壁部(11)と凸側金型
(8)の壁部(13)の温度を一定温度にセットして完全
溶融,半流動状態を得るには,実験によれば10℃以上の
温度差が望ましかった。
凹側金型(7)の壁部(11)の温度が150℃以下にな
ると,粒状素材が融合しにくくなり,240℃以上になる
と,完全溶融が進み過ぎて多層化が困難となる。凹側金
型(8)の壁部(13)の温度が70℃以下になると,粒状
素材各々が接触部分で溶着が起らず接着しにくくなり,1
80℃以上になると粒状素材の溶融が進んで,多孔質層に
することが困難になる。
粒状素材の直径が0.2mm以下になると,空孔径が小さ
くなって,多層材の機能,例えば吸音特性,断熱特性が
低下し,直径が3mm以上になると,断熱特性が良いが吸
音特性が低下する。
金型による圧力が1Kg/cm2以下になると,粒状素材各
々の融着が不安定になり,圧力が数ton/cm2以上になる
と,温度制御の精度が厳しくなって生産性が低下する。
金型による加熱時間は,数10秒以下になると溶着が不
充分になり,数時間以上になると,溶融が進み過ぎて,
融合層と多孔質層の境界が不明瞭となり,特性が悪くな
る。
金型の高温側に形成される比重の大きい融合層は,加
熱温度,加熱時間などを変えると,形成される融合層の
厚さ,通気性の度合(通気性から非通気性まで)が変化
するので,種々変化させて,希望特性の多層材を得るこ
とができる。
実施例1−2 実施例1−1において,凹側金型(7)の壁部(11)
の温度を150℃にセットし,凸側金型(8)の壁部(1
3)の温度を100℃にセットし,ABS樹脂として,電気化学
工業株式会社製GTR−40(グレード),軟化する温度86
℃の熱可塑性樹脂の粒状素材,直径1mmの粒状粒子を金
型に入れ,金型(7)(8)を閉じた。壁面(11)(1
3)間の距離は10mmであった。この状態で20分間経過
(つまり加熱状態を持続)させて金型(7)(8)を開
放した。なお加熱状態のときの加圧力は100Kg/cm2であ
った。このようにして成形した多層材(1)を第4図に
示す。この多層材(1)は厚さが10mmで,その中の融合
層(2)の厚さは約1mm多孔質層(3)の厚さは約9mmで
あった。
実施例1−3 実施例1−1において,凹側金型(7)の壁部(11)
の温度を180℃にセットし,凸側金型(8)の壁部(1
3)の温度を130℃にセットし,ABS樹脂として電気化学工
業株式会社製GTR−40(グレード),軟化する温度86℃
の熱可塑性樹脂の粒状素材,直径1mmの球状粒子を金型
に入れ,金型(7)(8)を閉じた。壁面(11)(13)
間の距離は10mmであった。この状態で15分間経過させて
金型(7)(8)を開放したなお加熱状態のときの加圧
力は100Kg/cm2であった。このとき成形した多層材
(1)は厚さが10mm,その中の融合層(2)の厚さは約1
mm,多孔層(3)の厚さは約9mmであったが,実施例1−
2の成形多層材(1)に比べ,多孔層(3)の表面部の
融合化が一部分進み,30μm程度のスキン層が形成され
た。
なお熱可塑性樹脂の粒状素材原料としては,代表的な
ものとして,PP(ポリプロピレン),AS(アクリルスチロ
ール),スチロールなどを用いることができる。又熱可
塑性樹脂の粒状素材にバインダーとして,メチルエチル
ケトン(MEK),セルロース,ワニス,アセトンを吹付
けたり,混ぜたりすると,多層材の粒状素材各々の固着
力が増し,機械的強度が向上して,取扱い性が良くな
る。
上記実施例1−1〜実施例1−3では高温側,低温側
金型(7)(8)の壁部(11)(13)の温度を一定に保
つた上で,原料を投入する例であるが,例えば,両金型
が常温の状態で,原料を投入し,その後金型温度を所定
の温度に向かって昇温させる過程で成形体を取り出す方
法でも,同様の多層材を形成させ得る。この場合の成形
体を取り出すときの高温側,低温側金型の温度差は,実
験の結果,極めてわずかな温度差例えば2℃でも可能で
あった。この温度差は,素材の材質,大きさ,形状など
の性状,金型の昇温速度,加圧力などによって変わるも
のである。
凹型金型(7)の壁部(11)と凸側金型(8)の壁部
(13)とに温度差を設ける方法として,第5図に示すよ
うに凸側金型(8)の壁部(13)を,例えばPBT(ポリ
ブチレンテレフタレート)樹脂,FRP(fiber reinforced
plastics)樹脂等の熱伝導性の悪い材質(14)で構成
してもよい。又金型(7)(8)を同材質で大きさを変
えてもよい。要は,材質と大きさに基因する熱容量,及
びヒーターの発熱量の大きさの組合わせにより,金型
(7)(8)に所望の温度差を,過渡的に又定温的に設
定すればよい。
実施例2−1 原料として,熱硬化性樹脂の粒状素材を用いて多層材
を成形する場合について説明する。
実施例1−1と同様にして,凹側金型(7)の壁部
(11)の温度は,粒状素材の軟化する温度以上で熱分解
温度以下にセットされ,凹側金型(8)の壁部(13)の
温度は,凹側金型(7)の壁部(11)の温度よりも低い
粒状素材の軟化する温度付近にセットされる。ここにお
いて金型(7)(8)内に熱硬化性樹脂,例えばフェノ
ール,PBT(ポリブチレンテレフタレート),PET(ポリエ
チレンテレフタレート)などの粒状素材で直径0.2〜3mm
程度の粒子を,バインダーとなる例えばセルロース,ワ
ニス,各種接着剤などと混合して投入し,金型(7)
(8)を加圧しながら閉じ,数分〜数時間加熱する。こ
の加熱は上述した金型(7)(8)のセット温度で行わ
れ,加圧力は加熱状態で1Kg/cm2〜数ton/cm2である。
このようにすると,凹側金型(7)の高温壁部(11)
に接触した粒状素材は,軟化し,バインダーで接着され
て比重の大きい層となり,軟化の程度により通気性から
非通気性に変化する。凹側金型(8)の壁部(13)は高
温壁部(11)より低温のため,壁部(13)から上記の比
重の大きい層(2)までの粒状素材は,完全流動までに
は到らないが,半流動状態で,粒状素材各々が接触部分
でバインダーで接着されて,最終的には,上記の比重の
大きい層(2)に接着した多孔質層(3)が一体的に形
成される。この多孔質層(3)は通常は通気性である
が,バインダーの混合量が多くなると,非通気性にな
る。
実施例2−2 実施例2−1において,凹凸金型(7)の壁(11)の
温度を200℃にセットし,凹側金型(8)の壁部(13)
の温度150℃にセットし,熱硬化性樹脂として,フエノ
ール樹脂{明和化成株式会社製,MW−752(グレード),
軟化する温度190℃}で直径1mmの粒状素材を,バインダ
ーとなる粉末状セルロース15重量%と共に金型に入れ,
金型(7)(8)を閉じた,壁面(11)(13)間の距離
は10mmであった。この状態で25分間経過(つまり加熱状
態を持続)させて金型(7)(8)を開放した。なお加
熱状態のときの加圧力は150Kg/cm2であった。このよう
に成形した多層材(1)は厚さが10mmで,その中の比重
の大きい層(2)の厚さは約1mm,多孔質層(3)の厚さ
は約9mmであった。
なお熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂でコートした粒状素
材を原料として用いてもよい。
実施例3−1 原料として,樹脂粒以外の粒を含う素材を用いて,多
層材を成形する場合について説明する。
第6図は金型(7)(8)の空間(12)に2種類の粒
を含む素材を入れ金型(7)(8)を閉じたところを示
す断面図である。凹側金型(7)内に,最初に長径が約
0.2mmの鉄粒(15)を積み厚さが約1mmになるように充填
し,その後,長径が約1mmのABS樹脂粒(16)(実施例1
−2に使用したものと同じもの)を閉空間(12)の高さ
(10mm)より約2mmほど高くなるように充填する。充填
後凸側金型(8)(第6図では板状金型)を凹側金型
(7)に密着接合させることにより,上記鉄粒(15)と
ABS樹脂粒(16)の充填層を圧縮し,閉空間(12)内に
異種粒の充填層を形成する。以上の条件下で,ABS樹脂粒
の軟化する温度86℃より高い温度,つまり凹側金型温度
を150℃,凸側金型温度を100℃に昇温し,約20分加熱す
る。鉄粒(15)の融点は約1500℃であることからその鉄
粒の粒形状は保持された状態となる。一方ABS樹脂粒
は,特に凹側金型(7)の壁部(11)は高温であること
から,それに接触する鉄粒も高温となり,鉄粒(15)と
接触するABS樹脂粒(16)は溶融し,溶融したABS樹脂粒
が鉄粒(15)を取り巻くように流動する。加熱後,冷却
され成形された多層体(1)は,厚さが10mmで,その中
鉄粒(15)が混入された融合層(2)は厚さが約1mm,多
孔質層(3)は厚さが約9mmの一体化した積層体となっ
た。融合層(2)の比重は鉄粒を含まない場合は,ABS樹
脂の比重そのものとなり,1.05gr/ccであるが,鉄粒を入
れた場合は,融合層のみを切断し,その比重を測定した
結果,44gr/ccであった。多層材の多孔質層を吸音材と
し,融合層を遮音材として利用する場合,遮音材として
はその比重が大きいほど遮音特性が向上するので,この
多層材は遮音特性に優れる。従来は,ABS樹脂のような比
重の軽い材料の遮音度を上げるには,その材料の厚さを
厚くするか,鉄板などの金属を貼りつけることが必要で
あったが,この発明の方法では,溶融する部分に比重の
大きい材料を混入させることにより,多孔質層と比重の
さらに大きい融合層を持つ多層体を容易に実現できる。
以上では樹脂粒に混合する粒を鉄粒としたが,他の金
属,ガラスや比重の大きい材料でも同様の効果を発揮す
る。又遮音特性の向上のみ説明したが,電磁シールドや
熱伝導用にアルミニウムなど電磁シールドに効果のある
材料を混入させてもよく,又融合層や多孔質層の強度向
上にグラスファイバなどを,樹脂粒に混入して成形して
もよい。
以上説明した実施例1−1から実施例3−1において
は,粒城素材の成型は加圧状態で加熱し,型温度差で多
孔質層と融合層あるいはスキン層を形成していたが,加
熱後に加圧しても多層材を形成することができる。以
下,説明する。
初期の加圧は粒子間が密着する程度の微力の加圧力
(1Kg/cm2以下)とし,その状態で加熱すると,型温度
差があっても融合層あるいはスキン層が形成されにく
く,多孔質層のみとなる。多孔質層の温度を成型完了時
の温度に近いホット状態下で多孔質体を加圧(圧縮)す
ると,温度の高い部分の多孔質層は圧縮変形あるいは融
合が促進され,非通気性あるいは高比重層となる。一
方,温度の低い部分の多孔質層は多孔質層の形態を保持
し低比重層となる。なお,加圧以外に,型の回転や往復
運動によるせん断応力を利用しても同様に成型すること
ができる。
実施例4−1 原料として,熱可塑性樹脂の粒状素材を用いて円筒状
の多層材を成型する場合について説明する 第7図(イ)は,円筒形状の多層材の製造方法を説明
する金型構成断面図である。(31)はアルミニウム製の
円筒金型,(32)はアルミニウム製の丸棒形状の芯金型
で,同図(ロ)に示すように,2つの直径を持つ2段直径
丸棒である。(33),(34)は,円筒金型(31)の両端
に装着され,中心に芯金型(32)が挿入できる穴を有す
るアルミニウム製の蓋である。円筒金型(31),芯金型
(32)及び蓋(33),(34)により,樹脂粒(35)を充
填する閉空間を形成している。このように構成された金
型において,芯金型(32)の直径の小さいほうで閉空間
が形成されるように芯金型を挿入する。蓋B(34)をは
ずし,蓋B側から樹脂粒(35)を円筒金型(31),芯金
型(32),蓋A(33)で形成される閉空間に充填し,そ
の後,蓋B(34)を閉じる。その際,樹脂粒(35)に働
く圧縮力は,樹脂粒(35)を閉空間体積より多目に充填
し蓋B(34)を閉じても均一に増大できないことが発明
者等の実験的検討により見いだされた。すなわち,圧縮
方向の距離が長い場合には,樹脂同志のブリッジ作用に
より,蓋B(34)近傍の樹脂は圧縮されるが,それより
離れるほど圧縮力は伝達されにくいためである。実施例
のような長尺状の場合には,軸方向からの圧縮力は,1Kg
/cm2以下程度しか期待できず,また長手方向の圧縮力分
布は急激に変化し,その制御も困難になる。従って,実
施例では,蓋B(34)を閉じた際の圧縮力が1Kg/cm2
下となるように樹脂粒を充填した。
金型としては,円筒金型の内径及び外径をそれぞれφ
40mm,φ60mmとし,芯金型の外直径の小部および大部を
それぞれφ29mm,φ31mmで,その内径をφ23mmとし,蓋
A,Bの内端面間距離を200mmとしたものを用いた。この金
型に,直径1.7mmのABS樹脂粒を,前述した状態で充填
し,雰囲気温度220℃の電気炉内で,約1時間加熱し
た。このとき芯金型の熱容量を円筒金型のそれより小さ
くなるようにして,芯金型に接する樹脂の方を円筒金型
に接する方よりも高温にしている。加熱されて樹脂粒が
多孔質層を形成した後,金型を電気炉より取り出し,そ
の温度が低下していない状態で,芯金型を図7(イ)に
示す矢印方向に押し出す。この時,芯金型の直径が拡大
するので,多孔質層が径方向に圧縮され,高温状態にあ
る芯金型に接する多孔質層が高比重化され,前述した実
施例(1−1〜3−1)と同様に,厚さ方向に比重分布
を持つ多層材が形成されることが確認できた。
また,芯金型を長手方向に往復運動させることによ
り,芯金型と多孔質層の間の摩擦力で多孔質層の表面に
せん断応力が加わり,圧縮だけの場合よりも,さらに容
易に表面を高比重化できることが確認できた。
なお,芯金型の直径をテーパ状に変化させれば軸方向
にも比重分布が形成されることは,言うまでもない。
以上説明した実施例1−1〜実施例4−1において,
樹脂粒は形状が球状のほか,円筒状,円柱状立方体など
でもよい。ひげ付きの熱可塑性樹脂粒は,ひげの部分が
溶融しやすいので,原料として好適である。又多層材の
軽量化を図る目的で例えば発泡した中空粒状素材や発泡
性粒状素材を原料として利用することもできる。又補強
用として原料に短繊維を混入させてもよいし,バインダ
ーとして糸状の熱可塑性樹脂を原料に混入させてもよ
い。
多層材の多孔質層の比重を,多孔質層の層面方向に変
化させようとするには,低温側の金型の温度を上記層面
方向に沿って変化させればよい。すると低温側の金型の
中でも,より高温部に対向する多孔質層部分は,比重が
大きくなり,より低温部に対向する多孔質層部分は比重
が小さくなる。
一方,上述の製法においては,多層材が一体的に成形
できるので,金型を変えることにより,種々の形状,特
に複雑な形状の多層材にも容易に対応できる。
空孔率 第8図は成形された多層材の空孔率を示す曲線図で曲
線実1−2,実1−3はそれぞれ実施例1−2,実施例1−
3によって製造された多層材の厚さ〔mm〕に対する空孔
率〔%〕を示す。融合層(2)はいずれも非通気性で,
実1−2の多孔質層(3)は厚さ方向に空孔率が連続的
に変化し,表面(低温側)で空孔率が最大となる。実1
−3の多孔質層(3)は厚さ方向に空孔率か連続的に変
化するが,多孔質層(3)の中央で空孔率が最大にな
り,表面部(低温側)で空孔率が低下し,部分的に融合
したスキン層(4)が形成されていることを示してい
る。なお比重は材質が同じであれば,当然ながら空孔率
が小さいほど大きい。
特性 製造した多層材を吸音材として使用する場合にはその
吸音特性が問題になる。第9図は垂直入射吸音率を比較
する曲線図で,垂直入射吸音率をJIS A 1405「管内
法による建築材料の垂直入射吸音率の測定法」により測
定した結果を示す。曲線実1−2は実施例1−2で製造
した多層材で厚さ10mmのもの,曲線従は従来の吸音材で
あるウレタンフォームで厚さ10mmのものの特性をそれぞ
れ示す。図からも判るようにこの発明による多層材の垂
直入射吸音率は,従来の吸音材(ウレタンフォーム)の
それと同等以上の特性を有することを確認した。
第10図は同様な垂直入射吸音率の特性曲線図でいずれ
も曲線もこの発明の方法で製造した多層材の特性で,実
1−2,実1−3はそれぞれ実施例1−2実施例1−3で
製造した厚さ10mmの多層材の特性を示す。実施例1−3
のものの特性が良好な理由は,表面部に形成されたスキ
ン層(4)の影響と思われる。
第11図はこの発明のものの遮音度特性を示す曲線図で
ある。曲線実1−2,曲線実3−1はそれぞれ実施例1−
2で製造した多層材(鉄粒なし)の厚さ10mmのもの,実
3−1で製造した多層材(鉄粒入り)の厚さ10mmのもの
の遮音特性を示す。この遮音特性は第12図の特性測定図
を用いて測定した。パイプ(17)(100mmφ)の中に,
測定する多層材(1)を挿入し,その前後にマイクロホ
ンNO1,NO2,(18)(19)を設置する。パイプ(17)の一
方端よりスピーカ(20)で音を入射させる。パイプ(1
7)の他端は閉じており,その閉端には,長さ約1000mm
のグラスウール(21)を充填しており,閉端で音が反射
しないように処理されている。スピーカ(20)で反射さ
れ多層材に入射する入射波の音圧レベルはマイクロホン
NO1(18)で測定し,多層材を透過する透過波の音圧レ
ベルは,マイクロホンNO2(19)で測定される多層材の
遮音度(dB)は,入射波の音圧レベルから透過波の音圧
レベルを差引いた値で評価した。第11図に示すように。
鉄粒入りのもの(実3−1)が,鉄粒なしのもの(実1
−2)より約10dB遮音度が向上している。
以上説明したように製造される多層材は,吸音材と優
れた特性を有する。吸音材のほかに,この多層材は断熱
材としても使用でき,又多孔質層に油を含浸させればす
べり軸受としても利用できるさらに多層材は,その多孔
質層をフィルタとしても利用できるものであり,融合層
を枠体などの構造体として利用すれば,フィルタユニッ
トが一体成形できる。
〔発明の効果〕
以上のようにこの発明によれば,第1の型と第2の型
とで形成される空間内に溶融素材を入れる工程、及び上
記両型のうち一方を上記素材の軟化する温度以上でかつ
熱分解温度以下に、他方を上記素材の軟化する温度付近
に加熱し、上記両型で上記素材を加圧する工程を施すこ
とにより,上記型の高温側に比重の大きい層を,上記型
の低温側に比重の小さい多孔質層を一体的に同時に成形
することができるため,比重の異なる多層材を低コスト
で,且つ複雑な形状のものも作ることができる。
又,この発明によれば,樹脂粒を含む素材を加熱した
後に圧縮したり又はせん断力を加えるため高温側の素材
表面の高比重化をより容易に達成できる。
さらにこのようにして成形された多層材は,比重の大
きい層を機体の外枠等の構造体としても利用でき,部品
点数の削減,組立工数の削減等,その利用価値は極めて
高く,例えば,吸音材,断熱材,すべり軸受,フィルタ
ユニットに適用して好適である。
又この発明によれば,第1型と第2の型とを異なる熱
容量にすることにより,両型の温度差を効果的に発生さ
せることができる。
設定温度の高い第1の型側では、樹脂素材が、完全流
動までには到らないが、半流動状態を得ることができる
ので、第1の型側に比重の大きい層を形成し、第2の型
側では、第1の型側よりも比重の小さい層を形成し、第
1と第2の型の中間付近では、多孔質層を形成すること
ができる。
また、第1または第2の型の温度を樹脂素材を入れた
後に設定すれば、樹脂を入れる前に型を所定の温度に設
定する工程を必要としない。
又この発明によれば,樹脂粒を含む素材にバインダー
を混合させることにより,粒状素材各々の固着力を増
し,機械的強度を向上させることができる。
さらに多孔質層の比重を,多孔質の厚さ方向又は多孔
質層面の面方向に変化させることができるので,多層材
の特性,例えば吸音特性を一層向上させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)(ロ)(ハ)は,それぞれこの発明の実施
例によって製造された多層材の断面図,第2図は第1図
に示す多層材を吸音材として用いた電気掃除機の要部断
面図,第3図はこの発明の実施例を説明する金型構成断
面図,第4図は第3図の金型構成を用いて製造した多層
材を一部断面で示す図,第5図はこの発明の他の実施例
に用いる金型構成断面図,第6図はこの発明による鉄粒
入り多層材の製造を説明する金型構成断面図,第7図
(イ)(ロ)は,この発明のさらに他の実施例に用いる
金型構成断面および芯金型断面をそれぞれ示す図,第8
図はこの発明による多層材の厚さ(mm)に対する空孔率
(%)を示す曲線図,第9図は従来のものとこの発明に
よる多層材とを比較する垂直入射吸音率の特性曲線図,
第10図はこの発明による2種類の多層材の垂直入射吸音
率の特性曲線図,第11図は,この発明による2種類の多
層材の遮音度特性曲線図,第12図は遮音特性測定図であ
る。 図中,(1)は多層材,(2)は融合層,(3)は多孔
質層(4)はスキン層,(7)は凹側金型,(8)は凸
側金型(9)(10)はヒーター,(11)は凹側金型の壁
部,(13)は凸側金型の壁部,(14)は熱伝導性の悪い
材質(12)は閉空間,(16)は樹脂粒,(31)は円筒金
型(32)は2段直径を持つ丸棒である。 なお図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 豊 埼玉県大里郡花園町大字小前田1728番地1 三菱電機ホーム機器株式会社内 (72)発明者 田中 英晴 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三 菱電機株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−188130(JP,A) 特開 昭61−127314(JP,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の型と第2の型とで形成される空間内
    に溶融素材を入れる工程、及び上記両型のうち一方を上
    記素材の軟化する温度以上でかつ熱分解温度以下に、他
    方を上記素材の軟化する温度付近に加熱し、上記両型で
    上記素材を加圧する工程を施すことにより、上記型の高
    温側に比重の大きい層を、上記型の低温側に比重の小さ
    い多孔質層を一体的に成形する多層材の製造方法。
  2. 【請求項2】第1の型と第2の型とで形成される空間内
    に溶融素材を入れる工程、上記両型のうち一方を上記素
    材の軟化する温度以上でかつ熱分解温度以下に、他方を
    上記素材の軟化する温度付近に加熱し、上記両型で上記
    素材を加圧する工程、及び加熱後に圧縮する又はせん断
    応力を加える工程を施すことにより、上記型の高温側に
    比重の大きい層を、上記型の低温側に比重の小さい多孔
    質層を一体的に成形する多層材の製造方法。
  3. 【請求項3】第1の型と第2の型を上記所定温度に設定
    した後、上記第1の型と第2の型とで形成される空間内
    に溶融素材を入れ、上記第1の型または第2の型を加圧
    することを特徴とする請求項第1項又は第2項記載の多
    層材の製造方法。
  4. 【請求項4】第1の型と第2の型とで形成される空間内
    に溶融素材を入れた後、上記第1の型と第2の型を上記
    所定温度に設定し、上記第1の型または第2の型を加圧
    することを特徴とする請求項第1項又は第2項記載の多
    層材の製造方法。
  5. 【請求項5】第1の型と第2の型とを異なる熱容量にし
    たことを特徴とする請求項第1項又は第2項に記載の多
    層材の製造方法。
  6. 【請求項6】第1の型と第2の型のうち一方の型を熱伝
    導性の高い材質で構成された円筒とし、他方の型を熱伝
    導性の高い材質で構成され、上記円筒に挿入される2つ
    の異なる直径を有する丸棒としたことを特徴とする請求
    項1ないし第5項のいずれかに記載の多層材の製造方
    法。
  7. 【請求項7】溶融素材にバインダーを混合させることを
    特徴とする請求項第1項又は第2項記載の多層材の製造
    方法。
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