JPH08266294A - フマル酸の製造方法 - Google Patents

フマル酸の製造方法

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JPH08266294A
JPH08266294A JP7097956A JP9795695A JPH08266294A JP H08266294 A JPH08266294 A JP H08266294A JP 7097956 A JP7097956 A JP 7097956A JP 9795695 A JP9795695 A JP 9795695A JP H08266294 A JPH08266294 A JP H08266294A
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maleic acid
isomerase
fumaric acid
microorganism
acid
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JP7097956A
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English (en)
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Koichi Uchida
康一 内田
Nobutake Fugono
信剛 畚野
Masato Terasawa
真人 寺沢
Hideaki Yugawa
英明 湯川
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マレイン酸異性化酵素を利用したフマル酸の
製造を、常温条件下及び高温条件下においても安定に行
うことができる方法提供する。 【構成】 50℃以上で最大活性を示すマレイン酸異性
化酵素を産生する微生物、例えば40℃を越える温度で
生育可能なバチルス属に属し、マレイン酸異性化酵素活
性を有する微生物の菌体、またはこれらの微生物の培養
物から採取したマレイン酸異性化酵素の粗酵素画分もし
くは精製酵素をマレイン酸を含有する水性溶液に加え、
マレイン酸を異性化してフマル酸を生成せしめる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フマル酸の製造方法に
関し、詳しくは、耐熱性のマレイン酸異性化酵素を産生
する好熱性(thermophilic)の微生物を利用してマレイ
ン酸を異性化することにより、アスパラギン酸、リンゴ
酸、アラニン等の各種ファインケミカルズの原料として
有用なフマル酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マレイン酸を異性化してフマル酸を製造
する方法としては、主に化学的方法が提案されているが
(米国特許第2,816,923号、同第2,955,136号、同第2,33
2,992号)、反応平衡によりフマル酸への変換率が制約
を受けること、この方法は高温反応であるためにマレイ
ン酸あるいはフマル酸の劣化が起こり、副生物を生成す
るため収率が低下するなどの問題点を有している。
【0003】一方、酵素反応によるフマル酸の製造に関
しては、マレイン酸異性化酵素(maleate cis-trans-is
omerase)がマレイン酸をフマル酸へと異性化すること
が知られている。マレイン酸異性化酵素を産生する微生
物としては、例えばシュードモナス エスピー(Pseudo
monas sp.)[K. Otsuka, Agric.Biol.Chem., vol.25,N
o.9, p.726 (1961)]、アルカリゲネス・フェカリス(Al
caligenes faecalis)IB-14 [Takamura, Agric.Biol.Ch
em., Vol.33, p.718(1969)]、シュードモナス・フルオ
レッセンス(Pseudomonas fluorescens)ATCC23728 [Sc
her, J.Biol.Chem., Vol.244, p.1878(1969)]が知られ
ているものの、これらにより産生されるマレイン酸異性
化酵素は、酵素学的性質の一部が報告されているに過ぎ
ず、該酵素の正確な分子量、サブユニット構造、全アミ
ノ酸配列、全DNA塩基配列などの詳細については未だ
明かではない。また、マレイン酸異性化酵素について、
産業上の応用的観点からの検討は本発明者らが知る限り
全くなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまでに知られてい
るマレイン酸異性化酵素は、常温下においても不安定で
あり、高温下では活性が著しく低下する傾向が報告され
ている[Takamura, Agric.Biol.Chem., Vol.33, p.718(1
969)]。マレイン酸異性化酵素を用いたフマル酸の製造
過程においては、一般には反応温度を挙げることによ
り、反応速度が向上し、フマル酸の生産性が向上する
が、温度上昇に伴い触媒となる酵素が熱により失活し、
触媒としての寿命が短くなる。従って、高温条件下にお
いても安定に活性を保持し得る酵素を用いることによ
り、高生産性のフマル酸製造プロセスを構築することが
できる。
【0005】本発明は、常温条件下はもちろんのこと、
高温条件下においても安定に活性を保持するマレイン酸
異性化酵素を利用したフマル酸の製造方法を提供するこ
とを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高温条件
下で生育し、かつ、マレイン酸異性化酵素活性を有する
微生物の分離を目的として鋭意研究を重ねた結果、高温
条件下でマレイン酸を炭素源として生育し、マレイン酸
異性化酵素活性を有する微生物の分離を試み、本発明を
完成するに至った。
【0007】かくして本発明によれば、50℃以上で最
大活性を示すマレイン酸異性化酵素を産生する微生物の
菌体、またはこの微生物の培養物から採取したマレイン
酸異性化酵素の粗酵素画分もしくは精製酵素をマレイン
酸を含有する水性溶液に加え、マレイン酸を異性化して
フマル酸を生成せしめることを特徴とするフマル酸の製
造方法が提供される。
【0008】前記微生物としては、40℃を越える温度
で生育可能なバチルス属に属する微生物が挙げられる。
ここでいう、「マレイン酸異性化酵素活性を有する微生
物」とは、それ自体自然界より分離された微生物、また
はこれらに変異処理をした誘導体株、あるいはこれらの
微生物由来のマレイン酸異性化酵素遺伝子を導入した形
質転換株をも意味する。
【0009】また、「最大活性」とは、マレイン酸異性
化酵素の活性を種々の温度条件下で、W. Scher法〔W. S
cher and W. B. Jakoby, J. Biological Chem., Vol.21
1, p.1878 (1969)〕等により測定したときの、比活性の
最大値を意味する。
【0010】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明の「マレイン酸異性化酵素(maleate cis-tr
ans-isomerase; EC5.2.1.1)」とは、マレイン酸(シス
型)を異性化してフマル酸(トランス型)を生成する反
応を触媒する酵素を意味する。
【0011】本発明のマレイン酸異性化酵素活性を有す
る微生物の取得法としては、該酵素が構成的に発現する
か、または誘導物質あるいは温度等により誘導的に産生
されるなどの如何にかかわらず、培地で培養して得られ
る菌体又は培養液が該酵素活性を有していれば特に制限
されない。その一例を挙げれば、以下のような方法によ
って自然界より分離、取得することができる。
【0012】(1)マレイン酸資化性菌の分離 自然界から採取した試料を、マレイン酸を炭素源とした
培地、例えば培地A[組成:マレイン酸二ナトリウム
5g、KH2PO4 0.7g、K2HPO4 1.4g、
NH4NO3 1g、MgSO4・7H2O 0.2g、ビ
オチン 0.2mg、チアミン・塩酸塩 0.2mg、
FeSO4・7H2O 20mg、MnSO4 20m
g、蒸留水 1L(pH7.2)]に入れ、40〜70
℃にて2〜4日間好気的に振とう培養する。培養後の培
養物を寒天2%を含む上記培地Aの組成を有する平板培
地に塗抹し、40〜70℃にて2〜4日培養する。この
平板培地上に生育したコロニーを単離し、以下のマレイ
ン酸異性化酵素活性の検出試験に供し、マレイン酸異性
化酵素活性を有する微生物を選定する。
【0013】(2)マレイン酸異性化酵素活性を有する
微生物の選定 上記(1)で単離された微生物を前記培地Aを用い、4
0〜70℃にて1〜2日間振とう培養し、遠心分離によ
り菌体を回収する。得られた菌体を反応液A[組成:マ
レイン酸 30g、25%アンモニア水 40ml、T
ritonX−100 0.5g、蒸留水 1L]に懸
濁し、40〜70℃にて一夜振とう後、遠心分離により
上清液を回収する。得られた反応液上清について、フマ
ル酸の生成を確認することにより、マレイン酸異性化酵
素活性を有する微生物を選出することができる。
【0014】フマル酸の確認方法としては特に制限はな
いが、有機酸分析カラムを用い紫外線検出機により検出
するHPLC分析、ペーパークロマトグラフィー、ある
いはフマラーゼ、リンゴ酸脱水酵素、アスパルターゼ等
の酵素を利用する酵素学的方法等により確認することが
できる。
【0015】このようにして取得できる微生物として、
本発明者により分離されたバチルス属に属する微生物、
例えば、バチルス・ステアロサーモフィラスMI−10
1株、同MI−102株、バチルス・ブレビスMI−1
03株、同MI−104株、バチルス エスピーMI−
105株等を挙げることができる。これらの微生物は、
以下に詳述するような菌学的諸性質を有しており、いず
れも新規微生物と推定される。
【0016】ア)MI−101株 1.形態学的性質 形態:桿菌 胞子 :形成する(楕円形、位置:端立〜亜端立、胞子
嚢:非膨出) グラム染色性:陽性 運動性:なし
【0017】2.生理的性質 酸素に対する態度 :好気性 嫌気下での生育 :生育せず カタラーゼ :陽性 V−P反応 :陰性 V−PブロスのpH:5.6 グルコースからの酸の生成 :陽性 グルコースからのガスの生成:陰性 ゼラチンの液化 :陽性 デンプンの分解 :陽性 クエン酸塩の利用 :陰性 プロピオン酸塩の利用:陰性 卵黄反応 :陰性 硝酸塩の還元 :陽性 pH6.8での生育(ニュートリエントフ゛ロス):陽性 pH5.7での生育 :陰性 5%NaCl存在下での生育 :陰性 7%NaCl存在下での生育 :陰性 10℃での生育 :陰性 30℃での生育 :陰性 40℃での生育 :陽性 55℃での生育 :陽性 65℃での生育 :陽性 70℃での生育 :陽性 マレイン酸異性化酵素活性 :あり 菌体内DNAのGC含量(モル%) :42 %
【0018】以上の菌学的諸性質を、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology Vol.
2,[P.H.A.Sneath, N.S.Mair, M.E.Sharpe and J.G.Hol
(1986)Williams & Wilkins])に従って調べたところ、
バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearot
hermophilus)に属する新規の菌株であることが判明し
た。本発明者らは、本菌をバチルス・サーモフィラスM
I−101株と命名した。尚、本菌は生命工学工業技術
研究所に受託番号:FERM P−14801として寄
託されている。
【0019】イ)MI−102株 1.形態学的性質 形態:桿菌 胞子 :形成する(楕円形、位置:端立〜亜端立、胞子
嚢:非膨出) グラム染色性:陽性 運動性:あり
【0020】2.生理的性質 酸素に対する態度 :好気性 嫌気下での生育 :生育せず カタラーゼ :陽性 V−P反応 :微弱 V−PブロスのpH:5.5 グルコースからの酸の生成 :陽性 グルコースからのガスの生成:陰性 ゼラチンの液化 :陽性 デンプンの分解 :陽性 クエン酸塩の利用 :陽性 プロピオン酸塩の利用:陰性 卵黄反応 :陰性 硝酸塩の還元 :陽性 pH6.8での生育(ニュートリエントフ゛ロス):陽性 pH5.7での生育 :陽性 5%NaCl存在下での生育 :陰性 7%NaCl存在下での生育 :陰性 10℃での生育 :陰性 30℃での生育 :陰性 40℃での生育 :陽性 55℃での生育 :陽性 65℃での生育 :陽性 70℃での生育 :陽性 マレイン酸異性化酵素活性 :あり 菌体内DNAのGC含量(モル%) :54 %
【0021】以上の菌学的諸性質を、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
に従って調べたところ、バチルス・ステアロサーモフィ
ラス(Bacillus stearothermophilus)に属する新規の
菌株であることが判明した。本発明者らは、本菌をバチ
ルス・サーモフィラスMI−102株と命名した。尚、
本菌は生命工学工業技術研究所に受託番号:FERM
P−14802として寄託されている。
【0022】ウ)MI−103株 1.形態学的性質 形態:桿菌 胞子 :形成する(楕円形、位置:端立〜亜端立、胞子
嚢:わずかに膨出) グラム染色性:陽性 運動性:あり
【0023】2.生理的性質 酸素に対する態度 :好気性 嫌気下での生育 :生育せず カタラーゼ :陽性 V−P反応 :陰性 V−PブロスのpH:7.2 グルコースからの酸の生成 :陽性 グルコースからのガスの生成:陰性 ゼラチンの液化 :陰性 デンプンの分解 :陰性 クエン酸塩の利用 :陽性 プロピオン酸塩の利用:陽性 卵黄反応 :陰性 硝酸塩の還元 :陽性 pH6.8での生育(ニュートリエントフ゛ロス):陽性 pH5.7での生育 :陰性 5%NaCl存在下での生育 :陰性 7%NaCl存在下での生育 :陰性 10℃での生育 :陰性 30℃での生育 :陽性 40℃での生育 :陽性 55℃での生育 :陽性 65℃での生育 :陰性 70℃での生育 :陰性 マレイン酸異性化酵素活性 :あり 菌体内DNAのGC含量(モル%) :51 %
【0024】以上の菌学的諸性質を、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
に従って調べたところ、バチルス・ブレビス(Bacillus
brevis)に属する新規の菌株であることが判明した。
本発明者らは、本菌をバチルス・ブレビスMI−103
株と命名した。尚、本菌は生命工学工業技術研究所に受
託番号:FERM P−14803として寄託されてい
る。
【0025】エ)MI−104株 1.形態学的性質 形態:桿菌 胞子 :形成する(楕円形、位置:端立〜亜端立、胞子
嚢:わずかに膨出)。
【0026】グラム染色性:陽性 運動性:あり
【0027】2.生理的性質 酸素に対する態度 :好気性 嫌気下での生育 :生育せず カタラーゼ :陽性 V−P反応 :陰性 V−PブロスのpH:7.2 グルコースからの酸の生成 :陽性 グルコースからのガスの生成:陰性 ゼラチンの液化 :陰性 デンプンの分解 :陰性 クエン酸塩の利用 :陽性 プロピオン酸塩の利用:陽性 卵黄反応 :陰性 硝酸塩の還元 :陽性 pH6.8での生育(ニュートリエントフ゛ロス):陽性 pH5.7での生育 :陰性 5%NaCl存在下での生育 :陰性 7%NaCl存在下での生育 :陰性 10℃での生育 :陰性 30℃での生育 :陽性 40℃での生育 :陽性 55℃での生育 :陽性 65℃での生育 :陰性 マレイン酸異性化酵素活性 :あり 菌体内DNAのGC含量(モル%) :50 %
【0028】以上の菌学的諸性質を、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
に従って調べたところ、バチルス・ブレビス(Bacillus
brevis)に属する新規の菌株であることが判明した。
本発明者らは、本菌をバチルス・ブレビスMI−104
株と命名した。尚、本菌は生命工学工業技術研究所に受
託寄託番号:FERM P−14804として寄託され
ている。
【0029】オ)MI−105株 1.形態学的性質 形態:桿菌 胞子 :形成する(楕円形、位置:端立〜亜端立、胞子
嚢:わずかに膨出)。
【0030】グラム染色性:陽性 運動性:あり
【0031】2.生理的性質 酸素に対する態度 :好気性 カタラーゼ :陽性 30℃での生育 :陰性 40℃での生育 :陽性 55℃での生育 :陽性 マレイン酸異性化酵素活性 :あり
【0032】以上の菌学的諸性質を、バージェイズ・マ
ニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー
に従って調べたところ、バチルス(Bacillus)属に属す
る新規の菌株であることが判明した。本発明者らは、本
菌をバチルス エスピーMI−105株と命名した。
尚、本菌は生命工学工業技術研究所に受託番号:FER
M P−14805として寄託されている。
【0033】以下に本発明の微生物を用いマレイン酸異
性化酵素を製造させ、マレイン酸を異性化しフマル酸を
生成させる方法の一例を説明する。
【0034】(3)マレイン酸異性化酵素の生産、及び
マレイン酸異性化酵素を用いたマレイン酸からのフマル
酸の製造 前記(2)のようにして分離したマレイン酸異性化酵素
活性を有する微生物菌体、またはこの微生物の培養物か
ら採取したマレイン酸異性化酵素の粗酵素画分もしくは
精製酵素をマレイン酸を含有する水性溶液に加えること
により、マレイン酸を異性化してフマル酸を生成せしめ
ることができる。ここで培養物とは、該微生物菌体又は
/及び培養後の培地(培地に液体培地を用いた場合には
その培養上清)をいう。
【0035】本発明のマレイン酸のフマル酸への異性化
反応に用いられるマレイン酸異性化酵素としては、上記
培養菌体を培養した培養液から分離した菌体はもちろん
のこと、培養液、菌体の破砕物もしくは抽出物等も用い
ることができる。また、微生物菌体より得られる粗酵素
標品を用いてもよく、更に精製した酵素標品を使用して
もよい。更に、上記微生物菌体、その破砕物もしくは抽
出物、または精製酵素を担体に固定化したものも使用す
ることができる。本発明において、「微生物菌体、また
はマレイン酸異性化酵素の粗酵素画分もしくは精製酵素
をマレイン酸を含有する水性溶液に加える」とは、微生
物菌体又はマレイン酸異性化酵素を含有する水性溶液に
マレイン酸を加えること、更には、上記のような固定化
菌体又は固定化酵素を充填したカラムにマレイン酸を含
有する水性溶液を通液することを含む概念である。
【0036】マレイン酸異性化酵素活性を有する微生物
の培養は、炭素源、窒素源、無機塩、各種ビタミン等を
含む通常の栄養培地で行うことができ、炭素源として
は、例えばマレイン酸、ブドウ糖、ショ糖、果糖、麦芽
糖等の糖類、エタノール、メタノール等のアルコール
類、クエン酸、マレイン酸等の有機酸類、廃糖蜜等、好
ましくはマレイン酸あるいはマレイン酸とその他の炭素
源を混合して用いられる。窒素源としては、例えばアン
モニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ア
ンモニウム、尿素等がそれぞれ単独もしくは混合して用
いられる。また、無機塩としては、例えばリン酸一水素
カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム等
が用いられる。この他にペプトン、肉エキス、酵母エキ
ス、コーンステイープリカー、カザミノ酸、ビオチン等
の各種ビタミン等の栄養素を培地に添加することができ
る。更に、マレイン酸、マロン酸、タートロン酸、シト
ラコン酸、メサコン酸等をマレイン酸異性化酵素の誘導
物質として培地に添加してもよい。
【0037】培養条件は、通常、通気撹拌、振とう等の
好気条件下に、マレイン酸異性化酵素活性を有する微生
物の生育し得る温度であれば特に制限はなく、また、培
養途中のpHについても該微生物が生育し得るpHであ
れば特に制限はない。培養中のpH調整は、酸またはア
ルカリを添加して行うことができる。
【0038】かくして得られる培養物から遠心分離等に
より菌体を集めることにより、マレイン酸異性化酵素を
含有する菌体を取得することができる。微生物菌体から
マレイン酸異性化酵素を抽出、精製する方法は、公知の
酵素の精製法のいずれの方法も適用できる。例えば、菌
体の破壊法としては、超音波破砕、フレンチプレス、ホ
モジナイザー等を用いた機械的破壊法、リゾチームなど
を用いた酵素的破壊法を用いることができる。このよう
にして得られた菌体破壊物の可溶性画分またはその分画
物は、マレイン酸異性化酵素の粗酵素画分として使用す
ることができる。また、この粗酵素画分をさらに精製し
て得られる精製酵素を用いてもよい。粗酵素画分からの
マレイン酸異性化酵素の精製は、通常、(イ)沈澱法に
よる分離、例えば硫安沈澱法、(ロ)クロマトグラフィ
ーによる分離、例えばイオン交換クロマトグラフィー、
アフィニティー吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロ
マトグラフィー等、(ハ)電気泳動法による分離法、及
びこれらの方法の任意の組み合わせによって、実施する
ことができる。その一例は、試験例1に詳述する。
【0039】上記の精製過程におけるマレイン酸異性化
酵素を含む画分の検出は、マレイン酸異性化酵素活性
を、大塚らの方法〔Agric. Biol. Chem., Vol.25, p.72
6 (1961)〕に従い、ブタ心臓由来フマラーゼ存在下、基
質マレイン酸の減少を240nmの吸光度減少として測
定することにより、行うことができる。また、マレイン
酸異性化酵素活性は、W. Scher法によっても測定するこ
とができる。すなわち、精製したマレイン酸異性化酵素
を、反応液〔組成:200mMリン酸カリウム緩衝液
(pH7.2)、0.5mMジチオスレイトール、10
mMマレイン酸二ナトリウム〕に加え、各温度において
フマル酸の生成速度を290nmの吸光度の増加速度と
して分光光度計を用いて10分間測定することにより、
マレイン酸異性化酵素の比活性を求めることができる。
【0040】精製されたマレイン酸異性化酵素の純度及
び分子量は、Davis法〔B. J. Davis, Ann. N. Y. Acad.
Sci., Vol.121, p.404 (1964)〕、あるいはLaemmli法
〔U.K. Laemmli, Nature, Vol.227, p.680 (1970)〕に
よるポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、このゲル
を、例えばクマシーブルー色素液〔組成:0.2%(v
/v)クマシーブリリアントブルーR250、40%
(v/v)メタノール、10%(v/v)酢酸〕、ある
いは市販の銀染色キット(例えば、和光純薬製)を用い
て染色し、タンパク質を検出することによって知ること
ができる。
【0041】前記のようにして得られるマレイン酸異性
化酵素を産生する微生物の菌体を担体に固定化する場合
には、培養物から回収されたまま、あるいは適当な緩衝
液、例えば0.02〜0.2M程度のリン酸緩衝液(p
H6〜10)等で洗浄された菌体を使用することができ
る。また、微生物菌体から上記のようにして抽出、精製
されたマレイン酸異性化酵素の粗酵素画分または精製酵
素を担体に固定化したものも、本発明のフマル酸の製造
方法に使用することができる。
【0042】これら菌体、菌体破砕物、抽出物または精
製物の固定化は、それ自体既知の通常用いられている方
法に従い、アクリルアミドモノマー、アルギン酸、また
はカラギーナン等の適当な担体に固定化させる方法によ
り行うことができる。
【0043】マレイン酸の異性化反応に用いる水性溶液
は、マレイン酸を含有する水溶液または適当な緩衝液、
例えば0.02〜0.2M程度のリン酸緩衝液(pH6
〜10)とすることができる。この水性溶液には、更に
菌体の細胞膜の物質透過性を高める目的で、トルエン、
キシレン、非イオン性界面活性剤等を0.05〜2%
(w/v)添加することもできる。
【0044】水性溶液中の反応原料となるマレイン酸濃
度は、0.1〜2M程度が適当である。マレイン酸の形
態は、酸あるいは塩の形態のみならず、その無水物物を
用いることもできる。無水マレイン酸は水溶液とするこ
とにより容易にマレイン酸に変換する。マレイン酸の塩
としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニ
ウム塩等を挙げることができる。
【0045】上記の水性溶液における酵素反応温度およ
びpHは特に限定されないが、通常10〜60℃、好ま
しくは30〜50℃が適当であり、反応液中のpHは5
〜10、好ましくは6〜9付近とすることができる。ま
た、pHの調整は、酸またはアルカリを添加して行うこ
とができる。特に本発明の方法によれば、常温はもちろ
んのこと、40℃を越える高温下でも安定したマレイン
酸の異性化反応を行うことができる。
【0046】かくして得られるフマル酸を含有する水溶
液は、そのままファインケミカルズなどの各種有用物質
の製造原料として用いることができる。例えば、マレイ
ン酸の異性化反応を行った同一反応槽あるいは別途の反
応槽において、フマル酸を基質とする各種酵素あるいは
これらを含む菌体、例えばフマラーゼ、アスパルターゼ
等あるいはこれらの酵素を含む菌体を添加することによ
り、リンゴ酸、アスパラギン酸、アラニン等を製造する
こともできる。
【0047】例えば、本発明のマレイン酸異性化酵素を
マレイン酸を含む水溶液に作用させた後、アンモニアイ
オン共存下にてアスパルターゼ(EC 4.3.1.1)を作用さ
せることによりアスパラギン酸を生成せしめることがで
きる。更に、このアスパラギン酸を含む水溶液にアスパ
ラギン酸脱炭酸酵素を作用させることによりアラニンを
生成せしめることができる。
【0048】また、本発明のマレイン酸異性化酵素によ
り生成したフマル酸を含む水溶液にフマラーゼを作用さ
せることによりリンゴ酸を生成せしめることができる。
ここでいうアスパルターゼ、アスパラギン酸脱炭酸酵
素、フマラーゼとしては、これらの酵素活性を有してい
ればいずれの生物的起源のものも用いることができ、こ
れらの酵素を含有する細胞体、またはこれらの酵素の粗
酵素画分もしくは精製酵素など、酵素反応を行うことが
できれば、これまで公知のいずれの方法によっても作用
させることができる。
【0049】上記の方法で生成したフマル酸は、限外濾
過膜分離、遠心分離等により、菌体およびその処理物と
分離した後、硫酸等電点沈澱法等の公知の方法で沈澱さ
せ、さらに水洗、乾燥することにより、結晶として採取
することができる。
【0050】次に、本発明の微生物が産生するマレイン
酸異性化酵素の性質について、試験例により説明する。
【0051】〔試験例1〕バチルス・ステγロサーモフ
ィラスMI−101株が産生するマレイン酸異性化酵素
の精製および50℃以上における酵素活性の測定 (1)マレイン酸異性化酵素の精製 5L容ジャーファーメンターに、培地A[組成:マレイ
ン酸二ナトリウム 5g、KH2PO4 0.7g、K2
HPO4 1.4g、NH4NO3 1g、MgSO4・7
2O 0.2g、ビオチン 0.2mg、チアミン・
塩酸塩 0.2mg、FeSO4・7H2O 20mg、
MnSO4 20mg、蒸留水 1L(pH7.2)]
3Lを入れ、121℃にて20分間減菌処理したものに
後記実施例1で単離されたMI−101株を植菌し、5
0℃にて24時間振とう培養した。培養後、遠心分離
(3,000×g、4℃、20分間)により培養液より
菌体を回収し、緩衝液A[組成:200mM リン酸カ
リウム緩衝液(pH7.2)、0.5mM ジチオレイ
トール(threo-1,4-dimercapto-2,3-butanediol)]で洗
浄した。
【0052】得られた菌体を再度緩衝液Aに懸濁し、約
30%(w/v)の菌体懸濁液を超音波破砕器(ブラン
ソン社)にかけ菌体を破壊した。次いで、この菌体破壊
物を遠心分離(12,000×g,4℃、30分間)に
かけ、マレイン酸異性化酵素を含有する粗酵素液として
上清を回収した。
【0053】得られた粗酵素液につき、2.2%(w/
v)となるようにストレプトマイシン硫酸塩を添加し、
除核酸した後、常法により30〜70%硫安沈澱画分を
回収し、上記緩衝液A(4℃)中にて一夜透析した。得
られた硫安画分を、緩衝液Aにて平衡化したDEAE-
Sephacel(ファルマシア社)カラム(直径2.
6cm×30cm)に吸着させ、同緩衝液Aにて十分洗
浄後、塩化カリウムの直線濃度勾配(0〜0.2M)に
よって溶出した。尚、流速は2ml/分とし、各フラク
ションは10mlずつ分取した。マレイン酸異性化酵素
画分の検出は、マレイン酸異性化酵素活性を大塚らの方
法[Agric.Biol.Chem.,vol.2
5,p.726(1961)]に従い、ブタ心臓由来フ
マラーゼ(ベーリンガーマンハイム社製)存在下で、4
5℃における基質マレイン酸の減少を、240nmの吸
光度減少として分光光度計(ベッグマン社DU750
0)を用いて測定することにより行った。
【0054】得られた活性画分を、限外濾過装置(東洋
濾紙製UHP−43K、分画分子量20,000)によ
り濃縮後、緩衝液Aで平衡化されたゲル濾過カラム(フ
ァルマシア社製Sephacryl S−200、φ
l.6×60cm)にのせ、流速0.5mlで溶出し
た。活性画分は上記と同様な方法で検出した。次に、得
られた活性画分を、緩衝液Aで平衡化された陰イオン交
換カラム(ファルマシア社製Mono-Q、φ1×10
cm)にのせ、塩化カリウムの直線濃度勾配(0〜1
M)によって溶出し、得られた活性画分をマレイン酸異
性化酵素の精製画分とした。
【0055】このマレイン酸異性化酵素の精製画分を、
前記のDavis法およびLaemmli法によるポリ
アクリルアミドゲル電気泳動にかけ、クマシーブルー色
素液[組成:0.2%(w/v)クマシーブリリアント
ブル−R250、40%(v/v)メタノール、10%
(v/v)酢酸]により染色したところ、いずれの方法
においても、ほぼ単一のバンドが検出された。
【0056】(2)マレイン酸異性化酵素の活性測定 緩衝液A 1850μlに、上記(1)で得られた精製
マレイン酸異性化酵素液50μlを加え、50℃に保温
し、200mMマレイン酸二ナトリウム溶液100μl
を添加混合することにより反応を開始した。反応速度
は、290nmの吸光度増加速度を5分間、分光光度計
(ベックマン社製DU−7500)で測定することによ
り、フマル酸生成速度とした。同様にして、40℃、6
0℃における反応速度を測定した。各温度におけるマレ
イン酸異性化酵素活性は、50℃における反応速度を1
00とした場合の相対活性として算出し、結果を表1に
示した。
【0057】
【表1】
【0058】表1の結果により、マレイン酸異性化酵素
の最大活性は、50℃以上であることが確認された。
【0059】〔試験例2〕バチルス・ステアロサーモフ
ィラスMI−102株が産生するマレイン酸異性化酵素
の精製および50℃以上における活性の測定 (1)マレイン酸異性化酵素の精製 試験例1と同様に、後記実施例1で単離されたMI−1
02株を培養し、得られた菌体により粗酵素液を調製
後、マレイン酸異性化酵素を精製し、精製画分を得た。
【0060】(2)マレイン酸異性化酵素の活性測定 試験例1と同様に、上記(1)で得られた精製マレイン
酸異性化酵素画分につき、40℃、50℃、60℃にお
けるマレイン酸異性化酵素活性を測定した。各温度にお
ける活性値は、50℃における反応速度を100とした
場合の相対活性として算出し、結果を表2に示した。
【0061】
【表2】
【0062】表2の結果により、マレイン酸異性化酵素
の最大活性は、50℃以上であることが確認された。
【0063】〔試験例3〕バチルス・ブレビスMI−1
03株が産生するマレイン酸異性化酵素の精製および5
0℃以上における活性の測定 (1)マレイン酸異性化酵素の精製 試験例1と同様に、後記実施例1で単離されたMI−1
03株を培養し、得られた菌体より粗酵素液を調製後、
マレイン酸異性化酵素を精製し、精製画分を得た。
【0064】(2)マレイン酸異性化酵素の活性測定 試験例1と同様に、上記(1)で得られた精製マレイン
酸異性化酵素画分につき、40℃、50℃、60℃にお
けるマレイン酸異性化酵素活性を測定した。各温度にお
ける活性値破、50℃における反応速度を100とした
場合の相対活性として算出し、結果を表3に示した。
【0065】
【表3】
【0066】表3の結果により、マレイン酸異性化酵素
の最大活性は、50℃以上であることが確認された。
【0067】〔試験例4〕バチルス・ブレビスMI−1
04株が産生するマレイン酸異性化酵素の精製および5
0℃以上における活性の測定 (1)マレイン酸異性化酵素の精製 試験例1と同様に、後記実施例1で単離されたMI−1
04株を培養し、得られた菌体より粗酵素液を調製後、
マレイン酸異性化酵素を精製し、精製画分を得た。
【0068】(2)マレイン酸異性化酵素の精製 試験例1と同様に、上記(1)で得られた精製マレイン
酸異性化酵素画分につき、40℃、50℃、60℃にお
けるマレイン酸異性化酵素活性を測定した。各温度にお
ける活性値は、50℃における反応速度を100とした
場合の相対活性として算出し、結果を表4に示した。
【0069】
【表4】
【0070】表4の結果により、マレイン酸異性化酵素
の最大活性は、50℃であることが確認された。
【0071】〔試験例5〕バチルス・エスピーMI−1
05株が産生するマレイン酸異性化酵素の精製および5
0℃における活性の測定 (1)マレイン酸異性化酵素の精製 試験例1と同様に、後記実施例1で単離されたMI−1
05株を培養し、得られた菌体より粗酵素液を調製後、
マレイン酸異性化酵素を精製し、精製画分を得た。
【0072】(2)マレイン酸異性化酵素の精製 試験例1と同様に、上記(1)で得られた精製マレイン
酸異性化酵素画分につき、40℃、50℃、60℃にお
けるマレイン酸異性化酵素活性を測定した。各温度にお
ける活性値は、50℃における反応速度を100とした
場合の相対活性として算出し、結果を表5に示した。
【0073】
【表5】
【0074】表5の結果により、マレイン酸異性化酵素
の最大活性は、50℃であることが確認された。以上に
本発明を説明してきたが、下記の実施例により更に具体
的に説明する。しかしながら、実施例は本発明の具体的
な認識を得る一助とみなすべきのものであり、本発明の
範囲を何等限定するものではない。
【0075】
【実施例】
〔実施例1〕マレイン酸異性化酵素活性を有する微生物
の分離 (1)マレイン酸資化性微生物の分離 自然界から採取した土壌試料を、培地A[組成:マレイ
ン酸二ナトリウム 5g、KH2PO4 0.7g、K2
HPO4 1.4g、NH4NO3 1g、MgSO4・7
2O 0.2g、ビオチン 0.2mg、チアミン・
塩酸塩 0.2mg、FeSO4・7H2O 20mg、
MnSO4 20mg、蒸留水 1L(pH7.2)]
10mlに投入し、50℃にて3日間好気的に振とう培
養し、この培養物1mlを上記培地A10mlに植え継
ぎ、更に3日間同様に振とう培養した。培養後の培養物
を寒天2%を含む上記培地Aの組成を有する平板培地に
塗抹し、50℃にて2日間培養した。この平板培地上に
生育したコロニーを単離した。
【0076】(2)マレイン酸異性化酵素活性を有する
微生物の選定 上記(1)で単離された微生物を前記培地A100ml
を用い、50℃にて1日振とう培養し、遠心分離(3,
000×g、4℃、20分間)により菌体を回収後、
0.9%(w/v)NaClで洗浄した。次いでこの洗
浄菌体を上記NaCl液1mlに懸濁し、反応液A[組
成:マレイン酸ナトリウム 84g/l、Triton X-100
1g/l]1mlを添加後、50℃にて一夜振とうし、
遠心分離により上清液を回収した。得られた反応上清液
について、有機酸分析カラム(島津製作所製SCR−1
01Hカラム)、UV検出器(210nm)を用いた高
速液体クロマトグラフィー分析(島津社製、LC-5
A)に供した。上記(1)で分離された微生物の内、マ
レイン酸異性化酵素活性を有する微生物は、原料マレイ
ン酸のピークの他にフマル酸のピークが生じている微生
物として選出した。
【0077】上記分離操作により得られたマレイン酸異
性化酵素活性を有する微生物のうちの5株について、前
期の如く更に菌学的諸性質を調べた結果、いずれも新規
菌株であることが判明し、それぞれバチルス・ステアロ
サーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)MI-
101株、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacill
us stearothermophilus)MI-102株、バチルス・ブ
レビス(Bacillus brevis)MI-103株、バチルス・
ブレビス(Bacillus brevis)MI-104株、バチルス
・エスピー(Bacillus sp.)MI-105株と命名し
た。
【0078】〔実施例2〕バチルス・ステアロサーモフ
ィラスMI-101によるフマル酸の製造 5L容ジャーファーメンターに前記培地A 3Lを入れ
121℃にて20分間滅菌処理したものに、上記実施例
1で単離されたMI-101株を植菌し、50℃にて1
日振とう培養した。培養後、遠心分離(3,000×
g、4℃、20分間)により培養液より菌体を回収し、
0.9%(w/v)NaClで洗浄した。次いでこの洗
浄菌体5g(湿重量)を0.9%(w/v)NaCl液
50mlに懸濁し、反応液A[組成:マレイン酸ナトリ
ウム 84g/l、Triton X-100 1g/l]50mlを
添加後、45℃にて24時間振とうした。反応終了後、
遠心分離により上清液を回収し、得られた反応上清液を
有機酸分析カラム(島津製作所製SCR−101Hカラ
ム)、UV検出器(210nm)を用いた高速液体クロ
マトグラフィー分析(島津社製、LC-5A)に供し
た。その結果、23g/Lのフマル酸が生成しているこ
とを確認した。尚、生成フマル酸の定量は、ピメリン酸
を内部標準物質として用いて行った。
【0079】また、上記の反応液に濃硫酸を添加して酸
性にすることにより、約2.2gのフマル酸の結晶を得
た。
【0080】〔実施例3〕バチルス・ステアロサーモフ
ィラスMI-102によるフマル酸の製造 上記実施例2と同様に、上記実施例1で単離されたMI
-102株を植菌し、50℃にて1日振とう培養し、遠
心分離により菌体を回収後、0.9%(w/v)NaC
lで洗浄した。次いでこの洗浄菌体5g(湿重量)を
0.9%(w/v)NaCl液50mlに懸濁し、上記
反応液A 50mlを添加後、45℃にて24時間振と
うした。反応終了後、得られた反応上清液について、上
記実施例2と同様に高速液体クロマトグラフィー分析
(島津社製、LC-5A)に供した。その結果、25g
/Lのフマル酸が生成していることを確認した。
【0081】また、上記の反応液に濃硫酸を添加して酸
性にすることにより、約2.3gのフマル酸の結晶を得
た。
【0082】〔実施例4〕バチルス・ブレビスMI-1
03によるフマル酸の製造 上記実施例2と同様に、上記実施例1で単離されたMI
-103株を植菌し、50℃にて1日振とう培養し、遠
心分離により菌体を回収後、0.9%(w/v)NaC
lで洗浄した。次いでこの洗浄菌体5g(湿重量)を
0.9%(w/v)NaCl液50mlに懸濁し、上記
反応液A 50mlを添加後、45℃にて24時間振と
うした。反応終了後、得られた反応上清液について、上
記実施例2と同様に高速液体クロマトグラフィー分析
(島津社製、LC-5A)に供した。その結果、20g
/Lのフマル酸が生成していることを確認した。
【0083】また、上記の反応液に濃硫酸を添加して酸
性にすることにより、約1.9gのフマル酸の結晶を得
た。
【0084】〔実施例5〕バチルス・ブレビスMI-1
04によるフマル酸の製造 上記実施例2と同様に、上記実施例1で単離されたMI
-104株を植菌し、50℃にて1日振とう培養し、遠
心分離により菌体を回収後、0.9%(w/v)NaC
lで洗浄した。次いでこの洗浄菌体5g(湿重量)を
0.9%(w/v)NaCl液50mlに懸濁し、上記
反応液A 50mlを添加後、45℃にて24時間振と
うした。反応終了後、得られた反応上清液について、上
記実施例2と同様に高速液体クロマトグラフィー分析
(島津社製、LC-5A)に供した。その結果、19g
/Lのフマル酸が生成していることを確認した。
【0085】また、上記の反応液に濃硫酸を添加して酸
性にすることにより、約2.1gのフマル酸の結晶を得
た。
【0086】〔実施例6〕バチルス・エスピーMI-1
05であるフマル酸の製造 上記実施例2と同様に、上記実施例1で単離されたMI
-105株を植菌し、50℃にて1日振とう培養し、遠
心分離により菌体を回収後、0.9%(w/v)NaC
lで洗浄した。次いでこの洗浄菌体5g(湿重量)を
0.9%(w/v)NaCl液50mlに懸濁し、上記
反応液A 50mlを添加後、45℃にて24時間振と
うした。反応終了後、得られた反応上清液について、上
記実施例2と同様に高速液体クロマトグラフィー分析
(島津社製、LC-5A)に供した。その結果、23g
/Lのフマル酸が生成していることを確認した。
【0087】また、上記の反応液に濃硫酸を添加して酸
性にすることにより、約23gのフマル酸の結晶を得
た。
【0088】〔参考例1〕バチルス・ステアロサーモフ
ィラスMI-101を用いたマレイン酸からのアスパラ
ギン酸の製造 5L容ジャーファーメンターに前記培地A 3Lを入れ
121℃にて20分間滅菌処理したものに、上記実施例
1で単離されたMI-101株を植菌し、50℃にて1
日振とう培養した。培養後、遠心分離(3,000×
g、4℃、20分間)により培養液より菌体を回収し、
0.9%(w/v)NaClで洗浄した。
【0089】一方、アスパルターゼ活性を有する微生物
であるブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium
flavum)MJ−233(FERM BP−1497)
を培地B 3L[組成:尿素 2g,(NH42SO4
g,K2HPO4 0.5g,KH2PO4 0.5g, Mg
SO4 0.5g, FeSO4・7H2O 6mg,MnS
4・4〜6H2O 6mg,酵母エキス 2.5g,カザ
ミノ酸 5g,ビオチン200μg,塩酸チアミン 20
0μg,グルコース 20g,蒸留水 1L ]を用いて
30℃にて対数増殖期後期まで同様に培養し、遠心分離
により菌体を集め、0.9%(w/v)NaClで洗浄
した。
【0090】次いで、得られた上記のMI−101株お
よびMJ−233株のそれぞれの洗浄菌体各5g(湿重
量)を0.9%(w/v)NaCl液50mlに懸濁
し、反応液[組成:マレイン酸 30g、25%アンモ
ニア水 40ml、Triton X-100 0.5g、蒸留水
1L]50mlを添加後、45℃にて24時間振とうし
た。反応終了後、遠心分離により上清液を回収し、得ら
れた反応上清液を薄層クロマトグラフィー[展開溶媒
n-ブタノール:酢酸:水=4:1:1(容量比)、発色
剤:ニンヒドリン試薬]に供した。その結果、約25g
/Lのアスパラギン酸が生成していることを確認した。
【0091】
【発明の効果】本発明により、常温条件下ではもちろん
のこと、高温条件下においてもマレイン酸からフマル酸
を効率よく、安定的に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:07) (72)発明者 湯川 英明 茨城県稲敷郡阿見町中央8−3−1三菱化 学株式会社筑波研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50℃以上で最大活性を示すマレイン酸
    異性化酵素を産生する微生物の菌体、またはこの微生物
    の培養物から採取したマレイン酸異性化酵素の粗酵素画
    分もしくは精製酵素をマレイン酸を含有する水性溶液に
    加え、マレイン酸を異性化してフマル酸を生成せしめる
    ことを特徴とするフマル酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記微生物が、40℃を越える温度で生
    育可能なバチルス属に属する微生物である請求項1記載
    のフマル酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記微生物がバチルス・ステアロサーモ
    フィラス(Bacillusstearothermophilus)である請求項
    2記載のフマル酸の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記微生物が、バチルス・ブレビス(Ba
    cillus brevis)である請求項2記載のフマル酸の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記微生物がバチルス・ステアロサーモ
    フィラス(Bacillusstearothermophilus)MI-101
    である請求項3記載のフマル酸の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記微生物が、バチルス・ステアロサー
    モフィラス(Bacillus stearothermophilus)MI-10
    2である請求項3記載のフマル酸の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記微生物が、バチルス・ブレビス(Ba
    cillus brevis)MI-103である請求項4記載のフマ
    ル酸の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記微生物が、バチルス・ブレビス(Ba
    cillus brevis)MI-104である請求項4記載のフマ
    ル酸の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記微生物が、バチルス・エスピー(Ba
    cillus sp.)MI-105である請求項2記載のフマル
    酸の製造方法。
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