JPH08277459A - チタン材の表面窒化処理方法および窒化処理用助剤 - Google Patents

チタン材の表面窒化処理方法および窒化処理用助剤

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JPH08277459A
JPH08277459A JP8142895A JP8142895A JPH08277459A JP H08277459 A JPH08277459 A JP H08277459A JP 8142895 A JP8142895 A JP 8142895A JP 8142895 A JP8142895 A JP 8142895A JP H08277459 A JPH08277459 A JP H08277459A
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Yasuhiro Yamada
泰弘 山田
Hirohisa Miura
宏久 三浦
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特殊装置を必要としない熱窒化処理法におい
て、簡便で、かつ、短時間で厚みの厚い窒化層を得る。 【構成】窒化すべきチタン材の表面に、所定温度の窒素
ガスと接触することにより窒化物を形成し、かつ、窒化
処理温度以上の融点をもつ金属粉末からなる窒化処理助
剤を接触させ、その状態で窒素ガスを介在させて熱処理
する。窒化処理用助剤の使用により、容易にかつ深い窒
化層を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン材の表面窒化処
理方法、およびその窒化に使用される窒化処理用助剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】チタンは、耐食性に優れ、他の構造用材
料と比べて融点が高く、密度が鉄とアルミニウムの中間
で、熱膨張係数やヤング率が鋼と比べて小さいなど、そ
の優れた化学的、物理的特性から、海水用耐食材、医療
材料、自動車、航空機等の輸送機器の構造材等に用いら
れているが、さらに過酷な条件下での用途に応えるため
の表面処理が注目されている。
【0003】チタン材の表面硬化処理法の一つとして、
ガス窒化は耐食性、耐摩耗性等の性質をも向上させる効
果があり、また窒化物はその特有の金色から装飾にも広
く用いられている。チタン材の窒化硬化層を得る方法と
しては、イオン窒化処理、プラズマ窒化処理、熱窒化処
理等が知られている。チタン材のイオン窒化処理は、例
えば、被処理用チタン材の表面を研磨により仕上げた
後、グロー放電等により窒素ガスをイオン化し、高加速
電圧で窒素イオンを処理材表面に注入することにより、
チタン材表面に窒化硬化層を形成するものである(日本
金属学会誌、第57巻第3号(1993)、第325〜
331頁参照)。
【0004】また、チタン材のプラズマ窒化処理は、例
えば、高周波誘導プラズマ発生装置を反応炉に用い、窒
素及び水素のプラズマガスを反応炉内のプラズマトーチ
部に導入し、反応炉内のホルダーに固定されたチタン材
をアフターグロー領域で窒化するものである(軽金属V
ol.42,No.11(1992)、第650〜65
6頁参照)。
【0005】しかし、上記イオン窒化処理およびプラズ
マ窒化処理は、イオン注入装置やプラズマ発生装置等の
高価で特殊な装置を必要とし、簡便でなく、また窒化処
理能力も低く厚い窒化層を形成し難いという欠点があ
る。一方、チタン材の熱窒化処理は、常圧高温の窒素ガ
ス中に処理材を数時間保持することにより、処理材表面
にTiNを生成させる簡便な方法ではあるが、一般に成
膜速度が遅いという欠点がある。
【0006】熱窒化処理法を改良したものとして、特開
平6−25825号公報には、処理材を水素雰囲気中で
加熱して特定量の水素を処理材に吸収させた後、真空中
で加熱して脱水素処理して処理材表面を均一な活性状態
とした後、熱窒化処理することにより、均一で厚みも厚
い窒化層を形成する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開平6
−25825号公報に開示された熱窒化処理法では、窒
化処理する前に、水素化および脱水素処理の各工程を必
要とし、工程が長時間化、複雑化するという問題があ
る。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、イ
オン注入装置等の特殊装置を必要としない熱窒化処理法
において、簡便で、かつ、短時間で厚みの厚い窒化層を
得ることのできるチタン材の表面窒化処理方法および窒
化処理用助剤を提供することを解決すべき技術課題とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はチタン材表面に
チタン粉末等を被覆した状態で窒素ガス雰囲気下で熱処
理したところチタン材表面部に比較的厚い窒化層が形成
された発見に基づく。そしてこの発見を手掛かりに、種
々実験、検討を重ね、本発明を完成したものである。
【0009】すなわち、本発明のチタン材の表面窒化処
理方法は、所定温度の窒素ガスと接触することにより窒
化物を形成し、かつ、窒化処理温度以上の融点をもつ金
属粉末からなる窒化処理助剤を、チタン材の少なくとも
一部表面に接触させ、その状態で該チタン材の融点以下
の温度に実質的に窒素ガスからなる雰囲気ガスによりチ
タン材の表面を窒化させることを特徴とする。
【0010】また、本発明のチタン材の窒化処理用助剤
は、チタン材の表面を覆って該チタン材の表面に窒化層
の形成を促進する窒化処理用助剤であって、所定温度の
窒素ガスと接触することにより窒化物を形成し、かつ、
窒化処理温度以上の融点をもつ比表面積が0.4m2
g以上の金属粉末であることを特徴とする。本発明の窒
化処理方法に使用する金属粉末は、所定温度の窒素ガス
と接触することにより窒化物を形成し、かつ、窒化処理
温度以上の融点をもつものである。このような金属粉末
として、例えばチタン、チタン合金、クロム、クロム合
金、モリブデン、モリブデン合金、バナジウム、バナジ
ウム合金、ホウ素、タンタル、タンタル合金、ジルコニ
ウム、ジルコニウム合金、シリコン、シリコン合金を挙
げることができる。この金属粉末は純金属粉末でも、合
金粉末でも、混合粉末でもよい。さらには、粉末のみで
なく、箔状、粒状または箔と粒との混合物も使用するこ
とができる。すなわち、箔やリボン、切削屑からスタン
ピングやボールミルなどの粉砕などで形成したものでも
あってもよい。
【0011】また、箔状すなわちフレーク状の金属粉末
は、ボールミルやアトライターミルで得ることができ
る。この場合粉砕助剤として、通常オレイン酸、ステア
リン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン
酸、ミリスチン酸などの高級脂肪酸のほか、脂肪族アミ
ン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールなどが使用でき
る。とくに、金属粉末として、粉砕したものや、箔状す
なわちフレーク状のものを用い場合、これらのものは表
面被覆力が強く、また比表面積及び加工エネルギーが大
きく反応性が高いため、被処理用チタン材の窒化をより
促進することができる。また、金属粉末として、箔状す
なわちフレーク状のものを用いた場合は、被処理用チタ
ン材表面との接触面積が大きくなるため、後述する発生
期の窒素が多量に、かつ、効率的に被処理用チタン材の
表面に送られることとなり、被処理用チタン材の窒化を
より促進することができる。
【0012】窒化処理用助剤に使用する金属粉末の粒度
は、3〜200μm程度が好ましい。粉末は粒状でも箔
状でも、また両者の混合物でもよく、その表面積が0.
1〜15m2 /g程度、好ましくは0.4〜1.0m2
/g程度のものが反応性の点から特に好ましい。窒化処
理用助剤には、金属粉末に粘結剤などを配合してもよ
い。この場合は、金属粉末を5〜70重量%、粘結剤を
1〜30重量%として形成するのが好ましい。さらにこ
の窒化処理用助剤は、被処理用チタン材の表面に塗布し
て使用する場合、適当な流動性のある塗料とするため
に、通常、塗料に使用される溶剤などの添加剤を配合す
ることができる。溶剤としては、窒化反応温度以下で分
解ないしは蒸発する有機物が好ましい。また、窒化反応
温度で生成する残留物が窒化処理反応に無害のものであ
れば使用できる。
【0013】粘結剤としては、窒化の温度、通常700
〜1500℃以下で分解する有機高分子化合物が使用で
きる。たとえば、ポリブテン、ポリビニールブチラー
ル、ポリカプロラクトンなどが挙げられる。これら粘結
剤は窒化処理中に分解し、残さ等を残さないものが好ま
しい。なお、粘結剤が分解しても通常金属粉末は飛散す
ることなく被処理用チタン材表面に保持される。
【0014】チタン材の表面と窒化処理用助剤の接触方
法は、窒化処理用助剤を構成する金属粉末中にチタン材
を埋設してもよい。また、チタン材の表面に金属粉末を
被覆してもよい。さらに上記したようにペーストまたは
塗料状とした窒化処理用助剤を使用しこれをチタン材の
表面に被覆してもよい。この塗布は5〜1000μmの
厚さの塗膜とするのが好ましい。塗布方法は刷毛塗り、
デッピング、スプレーコート、ローラー塗りなどの方法
が適用できる。
【0015】窒化されるチタン材としては純チタン材で
も、チタン合金材でもよい。チタン合金材中に通常含ま
れる他の元素も、窒化層の厚化に何らかの影響を与える
と想像されるが、現状ではその働きを確認していない。
窒化用の雰囲気ガスとしては窒素ガスが使用される。こ
の窒素ガスは水分とか酸素ガスの含有量の少ないものが
よい。アルゴンガス等の不活性ガスは混入していても問
題にならない。水分は、水蒸気として0.1体積%以
下、酸素は0.08体積%以下であるのが好ましい。
【0016】窒化処理温度は、反応性の点からは温度が
高いことが望ましい。しかしチタン材は実質的に固相状
態で処理する必要がある。また、あまり深い窒化層の形
成を望まない場合とか、熱処理歪みを少なくしたい場合
は、低い温度でおこなうのが好ましい。通常は700〜
1300℃程度の温度で2〜10時間の処理が標準であ
る。
【0017】本発明のチタン材の表面窒化処理により得
られた表面窒化チタン材は、表面から窒素ガスにより形
成された窒化層を有する。この窒化層は、被処理用のチ
タン材が純チタン材の場合、このチタンと、このチタン
の窒化物である窒化チタンとの混合相で形成される。ま
た、窒化層は、被処理用のチタン材がチタン合金材の場
合、このチタン合金材中のチタンと、このチタンの窒化
物である窒化チタンと、このチタン合金中の合金元素の
窒化物との混合相で形成される。窒化層中の窒化チタン
や合金元素の窒化物の割合が多いと、高いビッカース硬
度をもつ窒化層となる。この窒化層の硬さはビッカース
硬度(Hv)で600〜1500程度の範囲にある。
【0018】窒化層は被処理用のチタン材の全表面に形
成されていても、一部特定の表面部分に形成されていて
もよい。また、チタン材は板状、棒状等でも、所定形状
に成形されたものでもよい。
【0019】
【作用】本発明のチタン材の表面窒化処理方法の原理は
未だ不明確であるが、窒素ガスのみ表面窒化処理する従
来方法と比べて、より効果的に窒化処理できる理由は以
下のように考えることができる。本発明の窒化処理方法
では、チタン材が、窒化されやすい窒化処理用助剤で覆
われて固相状態で窒素雰囲気でおこなわれる。そして、
窒化処理用助剤の何らかの作用でチタン材の表面が活性
化され、窒化される。
【0020】すなわち、金属粉末よりなる窒化処理用助
剤は比表面積が大きく、表面エネルギーも大きいため、
被処理用のチタン材表面よりも早く窒化し始める。一
方、窒素ガスを流しながら窒化を実施すると、窒化処理
用助剤として使用される金属粉末を被覆した部分だけで
はなくその部分のわずか下流側の範囲にも窒化層が形成
される場合もあることから、発生期の窒素が窒化に寄与
しているものもあると推測している。つまり、この窒化
処理用助剤として使用される金属粉末が所定温度で窒素
ガスと接触すると、金属粉末自体が窒化され、その際一
部の窒素ガスが励起されて発生期の窒素になるものと思
われる。この発生期の窒素は化学的に非常に活性である
ため、チタン材表面と結合し易く、またチタン材の内部
への窒素拡散が促進されて、窒化層を形成するものと推
定している。また、金属粉末が窒化されて発生期の窒素
が放出される際に、窒化反応エネルギーも放出される。
この反応エネルギーは熱のかたちでチタン材表面に与え
られるため、これによってもチタン材の内部への窒素拡
散が促進されるものと考えられる。したがって、所定温
度の窒素ガスと接触すると窒化する金属粉末からなる窒
化処理用助剤を使用すると、この金属粉末が窒化する温
度近傍まで窒化開始温度を低下させることができると考
えられる。
【0021】また、一旦金属粉末の窒化が始まると、活
性な発生期の窒素がさらに発生して窒化が促進される。
そして、この金属粉末が窒化し終えるまで活性な発生期
窒素が発生するため、窒素ガスのみを用いる従来の窒化
処理方法と比べて、チタン材の窒化が非常に速く起こる
ものと考えられる。また、この金属粉末の窒化が終了し
た後も、窒素ガスが金属粉末の隙間を通ってチタン材表
面に供給され続けるため、チタン材の窒化が進行するも
のと考えられる。
【0022】以上のように、所定温度の窒素ガスと接触
すると窒化する金属粉末からなる窒化処理用助剤の使用
により、チタン材の窒化開始温度を低下させることがで
きるとともに、チタン材の窒化速度を増大させることが
できると考えられる。したがって、窒素ガスのみを使用
する従来の表面窒化処理方法と比べて、チタン材に容易
にかつ深い窒化層を形成することができ、このため窒化
層の硬度を向上させた表面窒化チタン材が容易に得られ
る。
【0023】また、窒化処理用助剤の使用に際しては、
部分的に被窒化用チタン材の表面に塗布または埋設して
窒化をおこなうとその塗布埋設部分のみを窒化すること
ができ、特定部位のみ窒化層を形成することもできる。
さらに、本発明の表面窒化処理方法では、窒化処理用助
剤としての金属粉末は、窒化処理後、完全に、かつ容易
に被処理用チタン材の窒化層表面から脱落する。これ
は、窒化処理温度を窒化処理助剤金属粉末の融点以下で
処理したためと考えられる。このため、窒化処理後に、
後加工等の表面処理が不要である。
【0024】
【実施例】以下実施例により具体的に説明する。 (実施例1)ボールミルで粉砕した燐片状の純チタン粉
末(平均厚さ1μm、平均粒径31μm、比表面積0.
64m2 /g)を窒化処理用金属粉末として使用した。
この純チタン粉末70重量部に対してポリブテン10重
量部、溶剤としてトルエンを20重量部配合し、ペース
ト状の窒化処理用助剤を調製した。
【0025】被窒化用チタン材として、厚さ1mm、長
さ10mm、幅10mmの純チタン板を使用し、この純
チタン板の表面に前記窒化処理用助剤を塗布した。そし
てこの窒化処理用助剤を塗布した純チタン板を管状炉中
に挿入し、純度99.9998%の窒素ガスを1リット
ル/分の割合で管状炉に流すとともに750℃に加熱
し、この条件で10時間熱処理した。
【0026】この後管状炉より純チタン板を取り出し
た。窒化処理用助剤が塗布された部分には金色の粉が付
着していた。この粉は容易に純チタン板表面より脱落
し、その後に金色をした表面が表れた。この金色をした
表面およびその表面に付着していた金色の粉にX線を照
射しX線回折チャートを得た。純チタン板の金色をした
表面のX線回折チャートを図1に、窒化処理用助剤の金
色の粉のX線回折チャートを図2に示す。図1より、T
2 N、TiN、Tiのピークが観察できる。また、図
2より、Ti2 N、TiNのピークが観察できる。
【0027】窒化処理用助剤が窒化してTi2 N、Ti
Nとなり、その際発生する発生期窒素が純チタン板を窒
化したものと考えられる。処理した純チタン板を切断し
た断面の金属組織を示す顕微鏡写真図を図3に示す。な
お、金色化した純チタン板の表面部は、最表面からおよ
そ10μmの厚さ部分が窒化硬質層とされており、この
窒化硬質層の硬さはHv1200であり、チタン母材よ
り硬質化していた。 (実施例2)クロム粉末(平均粒径32μm)(純度9
9.9%以上)を金属粉末として使用し、実施例1と同
様にポリブテンおよび溶剤を配合し、ペースト状の窒化
処理用助剤を調製した。
【0028】被窒化用チタン材として、厚さ2mm、長
さ20mm、幅20mmのTi−6Al−4Vチタン合
金板(6wt%Al,4wt%V,Ti合金)を使用
し、このチタン合金板の表面に前記窒化処理用助剤を塗
布した。そしてこの窒化処理用助剤を塗布したチタン合
金板を管状炉中に挿入し、純度99.9998%の窒素
ガスを2リツトル/分の割合で管状炉に流すとともに9
00℃に加熱し、この条件で5時間熱処理した。
【0029】この後管状炉よりチタン合金板を取り出し
た。窒化処理用助剤が塗布された部分には黒青色の粉が
付着していた。この粉は容易にチタン合金板表面より脱
落し、その後に金色をした表面が表れた。この金色をし
た表面およびその表面に付着していた黒青色の粉にX線
を照射しX線回折を行った。その結果、チタン合金板の
金色をした表面にはTi2 N、TiNのピークが観察さ
れ、窒化処理用助剤の黒青色の粉にはCr2 Nのピーク
が観察された。
【0030】窒化処理用助剤が窒化してCr2 Nとな
り、その際発生する発生期窒素がチタン合金板を窒化し
たものと考えられる。なお、金色化した純チタン板の表
面部は、最表面からおよそ30μmの厚さ部分が窒化硬
質層とされており、この窒化硬質層の硬さはHv780
であり、チタン母材より硬質化していた。
【0031】(実施例3)上記実施例1と同様のボール
ミルで粉砕した燐片状の純チタン粉末を金属粉末として
使用し、実施例1と同様にポリブテンおよび溶剤を配合
し、ペースト状の窒化処理用助剤を調製した。被窒化用
チタン材として、TiAl合金(Al:33.8wt
%)の鋳造インゴットから切り出した厚さ5mm、長さ
10mm、幅10mmのチタン合金板を使用し、このチ
タン合金板の表面に前記窒化処理用助剤を塗布した。そ
してこの窒化処理用助剤を塗布したチタン合金板を管状
炉中に挿入し、純度99.9998%の窒素ガスを10
リットル/分の割合で管状炉に流すとともに750℃に
加熱し、この条件で5時間熱処理した。
【0032】この後管状炉より純チタン板を取り出し
た。窒化処理用助剤が塗布された部分には金色の粉が付
着していた。この粉は容易にチタン合金板表面より脱落
し、その後に金色をした表面が表れた。この金色をした
表面およびその表面に付着していた金色の粉にX線を照
射しX線回折チャートを得た。チタン合金板の金色をし
た表面のX線回折チャートを図4に、窒化処理用助剤の
金色の粉のX線回折チャートを図5に示す。図4より、
TiN、Ti2 AlN、TiAl、Ti3 Alのピーク
が観察できる。また、図5より、Ti2 N、TiNのピ
ークが観察できる。
【0033】なお、金色化したチタン合金板の表面部
は、最表面からおよそ5μmの厚さ部分が窒化硬質層と
されており、この窒化硬質層の硬さはHv900であ
り、チタン母材より硬質化していた。 (実施例4)上記実施例3において、窒化処理用助剤を
塗布したチタン合金板を管状炉内で熱処理する際の条件
を、1000℃×10時間とすること以外は、上記実施
例3と同様の処理を行った。その結果、実施例3と同様
の現象および同一の窒化硬質層が得られた。この窒化硬
質層の厚さは50μmであり、硬さは820Hvであっ
た。
【0034】
【発明の効果】本発明のチタン材の表面窒化処理方法
は、所定温度の窒素ガスと接触することにより窒化物を
形成し、かつ、窒化処理温度以上の融点をもつ金属粉末
からなる窒化処理助剤を、チタン材の表面に接触させた
状態で窒素ガスを介在して熱処理よりすることにより厚
くかつ硬度の高い表面窒化層が形成される。このため表
面窒化されたチタン材は耐摩耗性が要求されたりする摺
動部品などに最適に使用できる。
【0035】また、本発明のチタン材の表面窒化処理方
法では、窒化処理用助剤が処理終了後に容易にチタン材
表面から脱落する。このため、処理後に後加工を行う必
要がなく、工程が簡便となる。また、チタン材表面に金
属間化合物とかチタンより高融点の金属が含まれる場
合、形成される層に含まれるTiN等に起因する耐摩耗
性に加えて耐熱性、耐腐食性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、実施例1の窒化層を形成した純チタ
ン材の表面のX線回折チャートである。
【図2】この図は、実施例1の加熱処理後の純チタン材
の表面に付着していた粉末のX線回折チャートである。
【図3】この図は、実施例1の窒化層を形成した純チタ
ン材の表面部分断面の金属組織を示す顕微鏡写真図であ
る。
【図4】この図は、実施例3の窒化層を形成したチタン
合金ム材の表面のX線回折チャートである。
【図5】この図は、実施例3の加熱処理後のチタン合金
材の表面に付着していた粉末のX線回折チャートであ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定温度の窒素ガスと接触することによ
    り窒化物を形成し、かつ、窒化処理温度以上の融点をも
    つ金属粉末からなる窒化処理助剤を、チタン材の少なく
    とも一部表面に接触させ、その状態で該チタン材の融点
    以下の温度に実質的に窒素ガスからなる雰囲気ガスによ
    りチタン材の表面を窒化させることを特徴とするチタン
    材の表面窒化処理方法。
  2. 【請求項2】 窒化処理用助剤はチタン粉末またはクロ
    ム粉末である請求項1記載のチタン材の表面窒化処理方
    法。
  3. 【請求項3】 窒化処理用助剤を粘結剤と溶剤によりペ
    ースト状に形成し、被窒化用チタン材の必要表面に塗布
    後、窒化処理をおこなう請求項1記載のチタン材の表面
    窒化処理方法。
  4. 【請求項4】 チタン材の表面を覆って該チタン材の表
    面に窒化層の形成を促進する窒化処理用助剤であって、 所定温度の窒素ガスと接触することにより窒化物を形成
    し、かつ、窒化処理温度以上の融点をもつ比表面積が
    0.4m2 /g以上の金属粉末であることを特徴とする
    チタン材の窒化処理用助剤。
  5. 【請求項5】 金属粉末5〜70重量%と、粘結剤1〜
    30重量%と、残部が溶剤および塗料用添加剤とからな
    ることを特徴とする請求項4記載のチタン材の窒化処理
    用助剤。
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