JPH08277879A - 液体封入式マウント - Google Patents

液体封入式マウント

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JPH08277879A
JPH08277879A JP29053195A JP29053195A JPH08277879A JP H08277879 A JPH08277879 A JP H08277879A JP 29053195 A JP29053195 A JP 29053195A JP 29053195 A JP29053195 A JP 29053195A JP H08277879 A JPH08277879 A JP H08277879A
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case
hole
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Kazuto Daino
一登 大能
Masaya Omoto
真哉 尾本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 継続的な機関振動の入力に対する優れた振動
絶縁性及び大振幅の振動入力に対する優れた制振性を備
えた液体封入式マウントを安価に提供する。 【解決手段】 弾性体13側の第一液室Aとダイアフラ
ム14側の第二液室Bとを互いに連通する流動抵抗の大
きいオリフィスCが、マウントケース11の内側ケース
部材112の内周部112aと、両液室A,B間を仕切
る仕切板15との間を円周方向に延びるように形成さ
れ、両液室A,B間を互いに連通する流動抵抗の小さい
通孔Dが仕切板15に形成されている。コイルスプリン
グ24の付勢力によって通孔Dを閉塞する弁部141が
エラストマからなるダイアフラム14に一体に形成さ
れ、この弁部141の内周に、高周波小振幅振動を吸収
するサブダイアフラム141bが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のエ
ンジンマウントとして用いられ、振動減衰にオリフィス
内での液体の流動抵抗を利用した液体封入式マウントに
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジンを防振支持するマウン
トには、アイドリング時や走行中の継続的な機関振動の
伝達に対する絶縁性のほか、エンジン始動時の低周波大
振幅の振動や走行中の車体のバウンド等による衝撃振動
を速やかに減衰させるための優れた制振性が要求されて
いる。そしてこのような機能を実現するものとしては、
典型的には特開昭59−117930号公報に開示され
た液体封入式マウント(液封入防振装置)がある。
【0003】この液体封入式マウントは、振動入力に伴
う弾性体の変形によって容積変化を受ける第一の流体室
と第二の流体室との間が、流動抵抗の大きい絞り孔(オ
リフィス)と流動抵抗の小さい通孔を介して連絡され、
前記通孔は電磁弁構造により開閉できるようになってい
る。
【0004】すなわち、エンジン始動時は通孔を電磁弁
で閉塞することによって、前記両流体室間で封入液がオ
リフィスを通じて流通するので、その流動抵抗によって
エンジンのクランキングによる大振幅の振動を早期に減
衰することができる。また、アイドル運転時は通孔を開
放することによって、前記両流体室間での封入液の移動
が短絡して動ばね定数が低下するので、アイドル振動の
伝達を有効に吸収絶縁することができる。更に、車両走
行中は再び通孔を閉塞することによって、エンジンの高
速回転による継続的な小振幅の高周波振動の入力による
第一の流体室の液圧変化が、第二の流体室との間に介在
された可動仕切板の振動的動作によって吸収され、動ば
ね定数が低下するので、前記高周波小振幅振動の伝達を
有効に吸収絶縁することができると共に、走行中のシェ
イク等による大振幅の振動が入力された場合は、前記可
動仕切板の可動範囲が制限されているので、前記両流体
室間で封入液がオリフィスを通じて流通し、その流動抵
抗によって走行中の衝撃振動を早期に制止することがで
きる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の液体封入式
マウントにおいては、可動仕切板やこれを収容するため
の円盤部材等が必要であるため、部品数が多くなってそ
の形状も複雑にならざるを得ない。また、通孔を開閉す
る弁部がこの通孔の内周面と軸方向に摺動する円筒面を
なしており、その動作を円滑に行うためには摺動部を高
精度に加工しなければならない。したがって、製造コス
トが高くなってしまう問題がある。
【0006】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その技術的課題とするところは、継続的な
機関振動の入力に対する優れた振動絶縁性及び大振幅の
振動入力に対する優れた制振性を備えた液体封入式マウ
ントを安価に提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明に係る液体封入
式マウントは、弾性体側の第一液室とダイアフラム側の
第二液室との間を仕切る仕切板に流動抵抗を発生するオ
リフィス及びこのオリフィスよりも流動抵抗の小さい通
孔が前記両液室を互いに連通して形成され、前記ダイア
フラムに、前記通孔の第二液室側の端部外周縁にコイル
スプリングの付勢力により密接される弁部が一体に形成
されたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施形態におい
ては、前記弁部の内周に、前記通孔の内周空間に臨むサ
ブダイアフラムが形成される。すなわち、前記弁部によ
る通孔の閉塞状態において高周波小振幅の振動が入力さ
れた場合に、その振動変位に対応する第一液室の液圧変
化を、前記サブダイアフラムの反復変形によって吸収す
るものである。
【0009】また、マウントケースに、通孔を開閉する
弁部を流体圧の印加によってコイルスプリングの付勢力
に抗して動作する駆動ダイアフラムを内蔵した流体圧ア
クチュエータを設けることによって、この駆動ダイアフ
ラムで前記弁部を開閉動作させるようにすることができ
る。
【0010】すなわちこの場合、ダイアフラムに形成さ
れた弁部は、通常、コイルスプリングの付勢力によって
通孔を閉塞した状態にあり、例えばエンジン始動時の大
振幅の振動入力に対しては、封入液がオリフィスを流通
する時の流動抵抗による振動減衰力を発揮する。また、
アイドル振動入力に対しては、流体圧アクチュエータに
よって、弁部をコイルスプリングの付勢力に抗して通孔
の端部外周縁から強制的に離間させ、すなわち前記通孔
を開放することによって、動ばね定数の低下による振動
絶縁作用を発揮する。また、エンジンが高速駆動される
車両走行時は再び通孔を閉塞し、機関振動による高周波
小振幅振動の入力に対して、第一液室の液圧変化を弾性
体の拡張弾性又は弁部に形成したサブダイアフラムの反
復変形によって吸収して、動ばね定数の低下による振動
絶縁作用を発揮すると共に、走行中のシェイク等による
大荷重・大振幅の振動入力に対しては、前記エンジン始
動時と同様、弾性体の変形量の増大により封入液がオリ
フィスを通じて流通し、振動減衰力を得るものである。
【0011】なお、弁部に高周波小振幅振動を吸収する
ためのサブダイアフラムを形成した場合、このサブダイ
アフラムは、例えば上述した走行中のシェイク等による
大荷重が入力された時に、通孔を介して第一液室からの
過大な液圧を受けることによって破損してしまうことが
懸念される。しかし、弁部を通孔の第二液室側の端部外
周縁に押し付けて通孔を閉塞する力は、コイルスプリン
グの付勢力に依存されているため、このコイルスプリン
グの付勢力を適宜に設定すれば、第一液室の液圧が所定
値を超えた場合には弁部がコイルスプリングの付勢力に
抗して前記通孔を開放するので、前記サブダイアフラム
の破損を防止することができる。
【0012】また、上述のように、通孔を開閉する弁部
がこの流体圧アクチュエータの駆動ダイアフラムによっ
て動作されるため、このアクチュエータの駆動ダイアフ
ラムも弁部と共にマウントのダイアフラムに一体に形成
することによって、構造を簡素化できる。
【0013】この場合、流体圧アクチュエータの駆動ダ
イアフラムを、マウントケースと一体のアクチュエータ
ケースに定着された外周部よりも内周部が高位置となる
略テーパ状とし、ダイアフラムと駆動ダイアフラムの間
の大気開放室に臨んで前記アクチュエータケースに開設
した大気開放用窓の下端縁の高さを、前記外周部の上面
と略一致させることによって、前記大気開放用窓から前
記大気開放室に侵入した泥水や砂が駆動ダイアフラムの
上面に溜ることなく、外部へ容易に排出される。また、
ダイアフラム及びこれと一体の駆動ダイアフラムのそれ
ぞれの外周縁をマウントケースに連結されたアクチュエ
ータケースに一体に加硫接着することによって、構造を
一層簡素化することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明に係る液体封入式マウントのい
くつかの具体的な実施例を、それぞれ図面を参照しなが
らその作用と共に説明する。
【0015】まず図1に示す第一実施例の液体封入式マ
ウントは、マウント本体10が金属製の略円筒状のマウ
ントケース11と、その上部中央に配置された金属製ボ
ス12とを弾性的に連結する傘状の厚肉エラストマから
なる弾性体13と、マウントケース11の下側に配置さ
れた薄肉シート状のエラストマからなるダイアフラム1
4とを備え、マウントケース11の内周には、前記弾性
体13とダイアフラム14との間の密閉空間を、弾性体
13側(上側)の第一液室Aとダイアフラム14側(下
側)の第二液室Bとに仕切る仕切板15が固定され、前
記第一液室Aと第二液室Bは、オリフィスC及び通孔D
を介して互いに連通されている。第一液室A、第二液室
B、オリフィスC及び通孔Dからなる前記密閉空間に
は、液体(以下、封入液という)が封入されている。
【0016】マウントケース11は、略円筒状の上側ケ
ース部材111と、この上側ケース部材111の内周に
配置された内側ケース部材112と、下側ケース部材1
13が互いにかしめられ組み立てられたものであり、こ
のうち下側ケース部材113の延長部113aが車体
(図示省略)側に固定され、ボス12は、ボルト121
を介してエンジン(図示省略)側に固定されるようにな
っている。弾性体13は、外径部及び内径部がマウント
ケース11のうちの内側ケース部材112及びボス12
に一体化された状態に成形されている。マウントケース
11における上側ケース部材111の上部には弾性体1
3の上方を取り囲むようにボス12の上側の位置へ延在
されたストッパ部111aが形成される一方、ボス12
には、弾性体13の外径部(内側ケース部材112)と
前記ストッパ部111aとの間に位置する外周部にエラ
ストマからなる緩衝体123が形成されたストッパプレ
ート122が設けられており、これによって、振動入力
時のマウントケース11とボス12の相対変位量を制限
し、振動入力時の弾性体13の過大な圧縮変形及び引張
変形を防止している。
【0017】マウントケース11における各ケース部材
111〜113の互いのかしめ部には、仕切板15の外
周縁部と、その下側に配置されたダイアフラム14の外
周縁部と、更にその下側に配置されたスプリングケース
114の上部フランジが共に挟着されている。仕切板1
5の外周縁部の上面と密接衝合された内側ケース部材1
12は、その内周部112aが一旦上方へ延びて更に下
側へ折り返された逆U字形の断面形状を呈しており、オ
リフィスCは、弾性体13の一部が回り込んで被着され
たこの内側ケース部材112の内周部112aと、仕切
板15の外周縁部との間を、図1におけるII−II線で切
断した図2に示すように、円周方向にほぼ一周するC字
状に延在されている。このオリフィスCは、円周方向一
端が前記内側ケース部材112の内周部112aに形成
された切欠部112bを通じて第一液室Aに開放され、
他端が仕切板15に開設された小孔15aを通じて第二
液室Bに開放されている。
【0018】仕切板15の中央部には、第二液室B側
(下側)へ突出した筒状部151が形成され、通孔Dは
この筒状部151によって形成されている。オリフィス
Cは円周方向に長くかつ狭い流路であるため、このオリ
フィスCを封入液が流れる際には大きな流動抵抗を発生
するのに対し、前記通孔Dは、オリフィスCに比較して
流路長さが十分に短くしかも流路断面が大きいため、こ
こを封入液が流れる時の流動抵抗は小さなものとなる。
【0019】ダイアフラム14の中央部には、上方へ環
状に突出したエラストマからなる弁部141が一体形成
されており、通孔Dにおける筒状部151の下端に形成
された鍔部152と接離自在に対向している。金属環1
41aで補強されたこの弁部141と、底部中央が開口
されたスプリングケース114との間には、コイルスプ
リング24がその自由長よりも適宜圧縮された状態で介
在されており、弁部141は、このコイルスプリング2
4の付勢力によって、前記鍔部152に密接されてい
る。また、弁部141の内周には、容易に変形可能なサ
ブダイアフラム141bが形成されている。
【0020】上記第一実施例の液体封入式マウントによ
ると、ダイアフラム14に形成された弁部141は、通
常、コイルスプリング24の付勢力によって筒状部15
1の下端鍔部152に押し付けられて、通孔Dを閉塞し
た状態にある。このため、エンジン始動時のクランキン
グによる大振幅の低周波振動が入力され、マウントケー
ス11とボス12との間で弾性体13が反復変形される
のに伴って第一液室Aが容積変化を受けると、通孔Dは
閉塞されているから、封入液はオリフィスCを介して第
一液室Aと第二液室Bの間を流動し、その時の流動抵抗
による大きな減衰力を得て、前記クランキング振動を早
期に減衰させる。
【0021】また、車両走行中のエンジンの高速回転に
よる高周波数域の継続的な機関振動が入力されると、こ
の振動は振幅が小さいため、第一液室Aの液圧の反復変
化は、通孔Dを通じてこの液圧変化が作用するサブダイ
アフラム141bの反復変位によって吸収されるため、
封入液はオリフィスCを殆ど流通せず、動ばね定数が低
く維持される。振動変位が入力された時にボス12とマ
ウントケース11及び仕切板15との間で封入液を介し
て伝達される力は、第一液室Aが容積変化を受けること
による封入液の圧力に比例するため、サブダイアフラム
141bの反復変形による第一液室Aの液圧変化の吸収
によって、機関振動に対する優れた振動絶縁性を発揮す
る。このとき、サブダイアフラム141bの反復変位と
共に封入液が通孔Dを小刻みに反復移動するため、通孔
DでもオリフィスCとは異なる適当な減衰を発生する。
【0022】また、走行中の車体のバウンドによる衝撃
等、サブダイアフラム141bの反復変形による液圧吸
収能力を超えるような、第一液室Aの大きな液圧変化を
発生させる大振幅の振動が入力されると、通孔Dが閉塞
されていることによって、先に述べたクランキング入力
の場合と同様に封入液がオリフィスCを通じて第一液室
1と第二液室2の間を流通し、この時の流動抵抗によっ
て、衝撃入力に対する良好な緩衝性を得ると共に、その
振動を短時間で制止する。
【0023】この液体封入式マウントによれば、第一液
室Aと第二液室Bとを画成している仕切板15が、単一
の金属板のプレス成形品によって通孔D(筒状部15
1)と共に形成され、また、オリフィスCはこの仕切板
15とマウントケース11における内側ケース部材11
2を互いにかしめて組み立てる際に形成され、弁部14
1もダイアフラム14の一部として成形される。しか
も、小振幅の高周波振動を従来のような可動仕切板によ
らず、前記弁部141に形成したサブダイアフラム14
1bによって吸収するようにしたため、部品数が少な
く、構造も簡素になって、安価に製作することができ
る。しかも、弁部141がエラストマからなるため、通
孔Dの閉塞状態における密封性が良い。
【0024】また、衝撃による大荷重の振動変位が入力
された場合、その最初の半周期における弾性体13の圧
縮変形に伴って第一液室Aの液圧が極端に上昇した場合
は、サブダイアフラム141bに作用するこの液圧によ
って、図3(a)に示すように、弁部141がコイルス
プリング24の付勢力に抗して筒状部151の下端鍔部
152から離間し、前記第一液室Aの液圧を通孔Dを通
じて第二液室Bに開放する。そして、次の半周期におけ
る弾性体13の復元動作に伴って第一液室Aが拡張され
るリバウンド過程では、弁部141がコイルスプリング
24の付勢力によって再び通孔Dを塞ぐが、このとき、
負圧となる第一液室Aの液圧と、大気圧との圧力差によ
るサブダイアフラム141bの通孔D側への変位が、図
3(b)に示すように、筒状部151の下端鍔部152
との当接によって規制される。このため、前記大荷重の
振動変位入力時におけるサブダイアフラム141bの過
大変形による破損が防止される。
【0025】なお、発明者が行った実験によると、車体
のバウンド等の衝撃入力によって上昇する第一液室Aの
液圧は、通常1〜1.5気圧であることが判明してい
る。したがって、弁部141の開弁圧が例えば1.5〜
2気圧となるようにコイルスプリング24の荷重を設定
しておくことによって、通常の衝撃入力では弁部141
が開放動作されることなく、オリフィスCによる良好な
減衰が発揮される。
【0026】図4は、本発明に係る液体封入式マウント
の第二実施例を示すものである。この実施例による液体
封入式マウントは、マウント本体10の下側に、弁部1
41を開閉させるための負圧アクチュエータ20を一体
に設けることによって、後述のように、アイドル振動に
対する吸収機能を付加したものである。
【0027】負圧アクチュエータ20は、略円筒状の上
側部材211と、その内周下部に配置された内側部材2
12と、前記上側部材211の下側に配置されたカップ
状の下側部材213が互いにかしめられ組み立てられた
アクチュエータケース21を有し、このアクチュエータ
ケース21内に移動自在に配置され前記弁部141の芯
材141と連結されたリテーナ22と、外周縁部及び内
周部が前記内側部材212及びリテーナ22に一体化さ
れた状態に成形された駆動ダイアフラム23と、前記リ
テーナ22と下側部材213との間に適宜圧縮状態に介
在されたコイルスプリング24とを有する。アクチュエ
ータケース21の上側部材211の上部フランジは、マ
ウントケース11のかしめ部に、仕切板15の外周縁部
及びダイアフラム14の外周縁部と共に一体にかしめら
れており、下側部材213には図示されていない負圧発
生源(例えばエンジンのピストンによる吸気圧又はポン
プが利用される)から前記駆動ダイアフラム23と下側
部材213との間の負圧室Eに負圧を導入するためのノ
ズル25が開設されている。
【0028】すなわち、負圧アクチュエータ20は、負
圧室Eに負圧を印加することによって、リテーナ22が
コイルスプリング24を圧縮しながら駆動ダイアフラム
23と共に前記負圧室Eを縮小させるように下側へ変位
し、前記負圧を解除すると、コイルスプリング24の付
勢力によってリテーナ22が上方へ変位するものであ
る。マウント本体10のダイアフラム14に形成された
弁部141は、その芯材142が負圧アクチュエータ2
0におけるリテーナ22と連結されているため、このリ
テーナ22と一体に上下に変位し、筒状部151の下端
外周縁152と接離して、通孔Dを開閉する。
【0029】次に、この第二実施例による液体封入式マ
ウントの作動について説明すると、負圧アクチュエータ
20の負圧室Eに負圧を導入していない通常の状態で
は、先の第一実施例と同様、弁部141はコイルスプリ
ング24の付勢力によって下端外周縁152と密接し通
孔Dが閉塞されている。したがって、この状態でエンジ
ン始動時のクランキングによる大振幅の低周波振動が入
力され、マウントケース11とボス12との間で弾性体
13が反復変形されるのに伴って第一液室Aが容積変化
を受けると、先に述べたように、封入液はオリフィスC
を介して第一液室Aと第二液室Bの間を流動し、その時
の流動抵抗による大きな減衰力を得て、前記クランキン
グ振動を早期に減衰させる。
【0030】また、エンジンのアイドリング時には、負
圧アクチュエータ20の負圧室Eに負圧を印加すること
によって、弁部141を筒状部151の下端外周縁15
2から下方へ離間させ、通孔Dを開放する。この状態で
アイドル振動が入力されると、両液室A,B間での封入
液の移動が通孔Dを介して短絡され、流動抵抗が少なく
なるので、第一液室Aの液圧変化が有効に吸収され、動
ばね定数が低下するため、アイドル振動に対して優れた
振動絶縁性を発揮する。
【0031】また、車両走行中は負圧室Eの負圧を解除
することによって、弁部141を再び筒状部151の下
端外周縁152に密接させ、通孔Dを閉塞する。そして
この状態でエンジンの高速回転による高周波数域の継続
的な機関振動が入力されると、この振動は振幅が極めて
小さいため、第一液室Aの液圧変化は弾性体13の僅か
な拡張弾性変形の範囲でも十分に吸収される。したがっ
て、通孔Dが閉塞されているにも拘らず、封入液はオリ
フィスCを殆ど流通せず、動ばね定数が低く維持され
て、優れた振動絶縁性を発揮する。また、この走行中の
車体のバウンドによる衝撃等、弾性体13の拡張弾性変
形による液圧吸収能力を超えるような、第一液室Aの大
きな液圧変化を発生させる大振幅の振動が入力される
と、通孔Dが閉塞されていることによって、先に述べた
クランキング入力の場合と同様に封入液がオリフィスC
を通じて第一液室1と第二液室2の間を流通し、この時
の流動抵抗によって、衝撃入力に対する良好な緩衝性を
得ると共に、その振動を短時間で制止する。
【0032】図5は本発明に係る液体封入式マウントの
第三実施例を示す断面図である。この液体封入式マウン
トは、高周波・小振幅の継続的な機関振動に対する振動
伝達率低減効果を高める目的で、上記第二実施例におけ
る弁部141の内周に、第一実施例と同様のサブダイア
フラム141bが形成されている。また、前記ダイアフ
ラム14と、負圧アクチュエータ20における駆動ダイ
アフラム23は、前記弁部141と共に、エラストマに
よって互いに連続して形成されており、前記駆動ダイア
フラム23に一体的に埋設されたリテーナ22の内周部
22aが弁部141の外周部内へ延在されている。他の
部分の構成は、第二実施例とほぼ同一である。
【0033】この第三実施例によれば、マウント本体1
0におけるダイアフラム14と、負圧アクチュエータ2
0における駆動ダイアフラム23が、弁部141を介し
て一体的に形成されているので、別個に成形したダイア
フラム14と駆動ダイアフラム23を芯材142を介し
て連結した第二実施例に比較して部品数や工程数が削減
される。
【0034】図4及び図5に示す上述の第二及び第三実
施例の液体封入式マウントにおいて、ダイアフラム14
と駆動ダイアフラム23の間は大気開放室Fとなってお
り、これによって負圧アクチュエータ20の負圧室Eに
対する負圧の印加あるいは解除による駆動ダイアフラム
23の円滑な動作を許容すると共に、第二液室Bと負圧
室Eの間での圧力伝播を絶縁している。ところが、図4
あるいは図5に示す駆動ダイアフラム23の屈曲形状に
よれば、車両走行中などに、アクチュエータケース21
における上側部材211に開設された大気開放用窓(図
示省略)から大気開放室Fに侵入した泥水や砂等が、駆
動ダイアフラム23の谷部空間23Sに溜り、この駆動
ダイアフラム23の耐久性を著しく低下させる恐れがあ
る。
【0035】そこで本発明に係る液体封入式マウントの
第四実施例は、図6に示すように、負圧アクチュエータ
20の駆動ダイアフラム23を、リテーナ22と一体の
内周部23aが、アクチュエータケース21に定着され
た外周部23bに対して相対的に高位置となる略テーパ
状とし、アクチュエータケース21の上側部材211に
開設した大気開放用窓21aの下端縁を、前記外周部2
3bの上面位置と略一致させたものである。この構成に
よれば、大気開放用窓21aから大気開放室F泥水や砂
等がいったん侵入しても、このような異物は駆動ダイア
フラム23による斜面上を流れ落ちて、大気開放用窓2
1aから外部へ容易に排出されるため、駆動ダイアフラ
ム23上へ溜ることはない。
【0036】図7は本発明に係る液体封入式マウントの
第五実施例を示す断面図、図8はその負圧アクチュエー
タ部分を分離して示す正面図である。この液体封入式マ
ウントは、アクチュエータケース21における上側部材
211が、マウントケース11にかしめられた環状の上
部フランジ211aと、アクチュエータケース21にお
ける下側部材213にかしめられた環状の下部フランジ
211bと、この上部フランジ211aと下部フランジ
211bを円周方向180°対象位置で橋絡する一対の
橋絡部211cとからなり、マウント本体10における
ダイアフラム14及び負圧アクチュエータ20における
駆動ダイアフラム23のそれぞれの外周縁が、前記上部
フランジ211a及び下部フランジ211bに一体に加
硫接着されている。前記ダイアフラム14と駆動ダイア
フラム23は、図6に示す第三実施例と同様、弁部14
1と共にエラストマによって互いに連続して形成されて
いる。
【0037】弁部141に埋設されたリテーナ22の下
面中央、すなわち弁部141と反対側の部分には、エラ
ストマによる厚肉部143が突出形成されている。この
厚肉部143は、負圧室E内への負圧の導入によって駆
動ダイアフラム23及び弁部141を所定量だけ下方変
位した時点で負圧導入ノズル25を閉塞するので、開弁
状態において駆動ダイアフラム23に過大な差圧が作用
するのを有効に防止すると共に、緩衝体としての機能を
有する。
【0038】アクチュエータケース21の上側部材21
1は、橋絡部211cの円周方向両側に位置する一対の
窓部211d,211eを有し、この窓部211d,2
11eの存在によって、ダイアフラム14及び駆動ダイ
アフラム23の外周縁を成形と同時に前記上側部材21
1に焼き付ける(加硫接着する)ことが可能となってい
る。すなわち、ダイアフラム14、弁部141及び駆動
ダイアフラム23からなる連続した成形体を、上側部材
211と一体に加硫成形するに際しては、図9に示すよ
うに、ダイアフラム14の上面及び弁部141を成形す
る上型31と、駆動ダイアフラム23の下面を成形する
下型32と、ダイアフラム14の下面及び駆動ダイアフ
ラム23の上面を成形する円周方向二分割された中間型
33とを備える金型30が用いられる。そして、下型3
2上に予め上側部材211及びリテーナ22をセット
し、前記中間型33(33a,33b)を、上側部材2
11内にその窓部211d,211eから進入させて互
いの分割面を衝合させ、上型31及び下型32と共に型
締めすることによって、外周縁が上側部材211の上部
フランジ211a及び下部フランジ211bに臨んで連
続したキャビティ34が形成されるのである。
【0039】したがって、この第五実施例の液体封入式
マウントによれば、マウント本体10におけるダイアフ
ラム14と、負圧アクチュエータ20における駆動ダイ
アフラム23が、弁部141を介して一体的に形成され
ていることによるコスト低減効果ばかりでなく、アクチ
ュエータケース21に、第二乃至第四実施例の場合のよ
うな内側部材212が不要となるので、更なる構造の構
造の簡素化によって低価格化が実現される。また、ダイ
アフラム14の外周縁がアクチュエータケース21の上
側部材211の上部フランジ211aに加硫接着されて
いるため、マウントケース11や仕切板15とのかしめ
作業が容易になり、駆動ダイアフラム23の外周縁がア
クチュエータケース21に加硫接着されているため、負
圧アクチュエータ20における負圧室Eのシール性も向
上し、その作動の信頼性が一層高められる。
【0040】なお、図6の第四実施例あるいは図7の第
五実施例においても、第一あるいは第三実施例と同様、
弁部141の内周に、通孔Dの内周空間に臨むサブダイ
アフラム141bを形成して、高周波数域の継続的な機
関振動に対する振動絶縁性の向上を図ることができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の液体封入式マウントによれば、
従来のように電磁弁によって封入液の流路を切り換えた
り、仕切板の内部に設けた可動仕切板によって高周波小
振幅振動を吸収するものに比較して、構造が簡素化され
るので、優れた防振性能を安価な製造コストで実現可能
であると共に、耐久性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液体封入式マウントの第一実施例
を示す断面図である。
【図2】図1におけるII−II線で切断した断面図であ
る。
【図3】上記第一実施例における作動説明図である。
【図4】本発明に係る液体封入式マウントの第二実施例
を示す断面図である。
【図5】本発明に係る液体封入式マウントの第三実施例
を示す断面図である。
【図6】本発明に係る液体封入式マウントの第四実施例
を示す断面図である。
【図7】本発明に係る液体封入式マウントの第五実施例
を示す断面図である。
【図8】上記第五実施例における負圧アクチュエータ部
分をマウント本体から分離して示す正面図である。
【図9】上記第五実施例におけるダイアフラム、弁部及
び駆動ダイアフラムからなる連続した成形体の加硫成形
工程を示す説明図である。
【符号の説明】
10 マウント本体 11 マウントケース 111 上側ケース部材 111a ストッパ部 112 内側ケース部材 112a 内周部 112b 切欠部 113 下側ケース部材 114 スプリングケース 12 ボス 121 ボルト 122 ストッパプレート 123 緩衝体 13 弾性体 14 ダイアフラム 141 弁部 141a サブダイアフラム 142 芯材 143 厚肉部 15 仕切板 15a 小孔 151 筒状部 152 下端鍔部 20 負圧アクチュエータ(流体圧アクチュエータ) 21 アクチュエータケース 21a 大気開放用窓部 211 上側部材 211a 上部フランジ 211b 下部フランジ 211c 橋絡部 211d,211e 窓部 212 内側部材 213 下側部材 22 リテーナ 23 駆動ダイアフラム 23a 内周部 23b 外周部 24 コイルスプリング 25 ノズル 30 金型 31 上型 32 下型 33 中間型 34 キャビティ A 第一液室 B 第二液室 C オリフィス D 通孔 E 負圧室 F 大気開放室

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マウントケース(11)とボス(12)
    との間に一体的に設けられ円周方向に連続したエラスト
    マからなる弾性体(13)と、 前記マウントケース(11)に前記弾性体(13)と反
    対側で一体的に設けられたシート状のエラストマからな
    るダイアフラム(14)と、 前記マウントケース(11)の内周に設けられて前記弾
    性体(13)側の第一液室(A)と前記ダイアフラム
    (14)側の第二液室(B)との間を仕切る仕切板(1
    5)と、を備え、 前記仕切板(15)には流動抵抗を発生するオリフィス
    (C)及びこのオリフィス(C)よりも流動抵抗の小さ
    い通孔(D)が前記両液室(A,B)を互いに連通して
    形成され、 前記ダイアフラム(14)には前記通孔(D)の第二液
    室(B)側の端部外周縁(152)にコイルスプリング
    (24)の付勢力により密接される弁部(141)が一
    体に形成されたことを特徴とする液体封入式マウント。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載において、 弁部(141)の内周に、通孔(D)の内周空間に臨む
    サブダイアフラム(141b)が形成されたことを特徴
    とする液体封入式マウント。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の記載において、 マウントケース(11)に、弁部(141)を流体圧の
    印加によってコイルスプリング(24)の付勢力に抗し
    て動作する駆動ダイアフラム(23)で開閉させる流体
    圧アクチュエータ(20)が取り付けられたことを特徴
    とする液体封入式マウント。
  4. 【請求項4】 請求項3の記載において、 ダイアフラム(14)と駆動ダイアフラム(23)が弁
    部(141)と共に一体に形成されたことを特徴とする
    液体封入式マウント。
  5. 【請求項5】 請求項3の記載において、 駆動ダイアフラム(23)を、マウントケース(11)
    と一体のアクチュエータケース(21)に定着された外
    周部(23b)よりも内周部(23a)が高位置となる
    略テーパ状とし、ダイアフラム(14)と駆動ダイアフ
    ラム(23)の間の大気開放室(F)に臨んで前記アク
    チュエータケース(21)に開設した大気開放用窓(2
    1a)の下端縁の高さを前記外周部(23b)の上面と
    略一致させたことを特徴とする液体封入式マウント。
  6. 【請求項6】 請求項4の記載において、 ダイアフラム(14)及びこれと一体の駆動ダイアフラ
    ム(23)のそれぞれの外周縁がマウントケース(1
    1)と一体のアクチュエータケース(21)に加硫接着
    されたことを特徴とする液体封入式マウント。
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