JPH08280361A - カルシウム含有食品素材及びそれを含む水産練製品 - Google Patents

カルシウム含有食品素材及びそれを含む水産練製品

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JPH08280361A
JPH08280361A JP7087879A JP8787995A JPH08280361A JP H08280361 A JPH08280361 A JP H08280361A JP 7087879 A JP7087879 A JP 7087879A JP 8787995 A JP8787995 A JP 8787995A JP H08280361 A JPH08280361 A JP H08280361A
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cellulose
fish
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Masayuki Tsuji
正之 辻
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルカリ金属水酸化物水溶液から再生された
セルロースと、ポリペプチド及び/又は食用多糖類のゲ
スト成分とを含む構造体であって、ポリペプチドをゲス
ト成分とする部分は、前記セルロースがポリペプチドの
島を取り囲む海成分を形成し、また食用多糖類をゲスト
成分とする部分は、前記セルロースが食用多糖類との均
質な連続体を形成し、該海成分または該連続体が前記構
造体中に少なくとも10%以上存在する可食体、及び、
酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化
合物を含有することを特徴とする食品素材、および該食
品素材を含む水産練製品。 【効果】 本発明の食品素材を用いると、水産練製品製
造工程で単純に魚肉と代替するだけで、当初の物性及び
食味を有する水産練製品を低価格で製造することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蒲鉾、竹輪、揚げ物、
魚肉ソーセージ等の水産練製品の製造工程で本発明品を
添加しても水産練製品製造工程上の不都合なく、水産練
製品の弾力の低下や食味への影響のない食品素材、およ
び該食品素材を含む水産練製品に関する。
【0002】
【従来の技術】水産練製品に使用する魚肉すり身は、そ
の原料たる魚種の資源の減少や、国際情勢に起因する漁
獲制限などの影響により量的に不足する傾向にあり、そ
のため近年高価になる傾向がある。そこで、従来より水
酸化カルシウムまたは、貝殻または卵殻等を焼成して得
られる「貝殻焼成カルシウム」「卵殻焼成カルシウム」
あるいは単に「焼成カルシウム」と呼ばれる水酸化カル
シウムに誘導される酸化カルシウムを水産練製品に添加
し、同時に水も加えることで水産練製品の価格を低減さ
せることが行われて来た。
【0003】また、水分を含んだセルロースはその形態
的特徴が魚肉に類似していることから、水産練製品にお
ける魚肉の代替として、やはり水産練製品価格の低減の
目的で使用されてきた。さらに本発明者らは、すでにセ
ルロースとポリペプチド及び食用多糖類とからなる可食
体を水産練製品に添加することにより、水産練製品の白
色度向上、ツヤテリの向上、離水防止等の改良効果があ
ることを見いだした(特開昭63−209567号公
報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
食品分野において、従来から使用されている水酸化カル
シウムまたは水酸化カルシウムに誘導される酸化カルシ
ウムを、水産練製品に添加する場合、水産練製品の弾力
を食するに適当なものとする為には、これらカルシウム
の添加量に応じて加水量を適宜増加する必要があり非常
に繁雑な手間を要した。また、加水量を増やす必要があ
ることから、得られた水産練り製品の旨味が低下すると
いう問題も生じた。さらには、これらカルシウムを含有
した素材の多くは粉状である為に飛散しやすく、水に接
触すると強アルカリを呈することから目に入った場合に
非常に危険であるなど、手軽には使いにくいという問題
点がある。
【0005】一方、水分を含んだセルロースや上記公報
に記載の可食体は、その形態的特徴が魚肉に類似してい
ることから、水産練製品製造工程途中で魚肉の代替とし
て単純に加えることは容易であるが、その場合、水産練
製品の弾力が低下してしまうという問題点がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の問題
点を解決するために鋭意研究の結果、魚肉よりも低価格
であって水産練製品に単純に添加しても水産練製品の弾
力を低下させず、さらには水産練製品の製造工程で本発
明品を添加しても水産練製品製造工程上の不都合を生じ
ず、いわゆる人工魚肉とでも呼ぶべき食品素材及び、該
食品素材を含有する水産練製品を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、アルカリ金属水酸化物
水溶液から再生された構造体であって、セルロースと、
ポリペプチド及び/または食用多糖類をゲスト成分とし
て含み、ポリペプチドをゲスト成分とする部分は、前記
セルロースがポリペプチドの島を取り囲む海成分を形成
し、また、食用多糖類をゲスト成分とする部分は、前記
セルロースが食用多糖類との均質な連続体を形成し、該
海成分または該連続体が前記構造体中に少なくとも10
%以上存在する可食体と、水酸化カルシウムまたは水酸
化カルシウムに誘導される化合物を含有することを特徴
とする食品素材、及び、該食品素材を含んだ蒲鉾、竹
輪、揚げ物、魚肉ソーセージ等の水産練製品である。
【0008】本発明で云う可食体とは、特開昭62−6
4841号公報及び特開昭63−2991号公報に開示
した、アルカリ金属水酸化物水溶液から再生された構造
体であって、セルロースと、ポリペプチド及び/または
食用多糖類をゲスト成分として含み、ポリペプチドをゲ
スト成分とする部分は、前記セルロースがポリペプチド
の島を取り囲む海成分を形成し、また、食用多糖類をゲ
スト成分とする部分は、前記セルロースが食用多糖類と
の均質な連続体を形成し、該海成分または該連続体が前
記構造体中に少なくとも10%以上存在する可食体を挙
げることができる。
【0009】ここで云うポリペプチドとしては、種々の
方法で精製した大豆蛋白、小麦蛋白(グルテン)、トウ
モロコシ蛋白、乳清蛋白、卵白アルブミン、カゼイン、
カゼインナトリウム、コラーゲン、ゼラチン等、または
これらを部分的に加水分解したものが挙げられる。一
方、食用多糖類としては、寒天(アガロース)、カラギ
ーナン、ファーセレラン、アルギン酸塩、グアーガム、
ローカストビーンガム、タマリンドガム、タラガム、カ
ッシァガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガ
ム、ペクチン、アラビノガラクタン、キサンタンガム、
スクレログルカン、プルラン、デキストラン、ジェラン
ガム、カードラン、ガティガム、コンニャクマンナン、
キシラン等の増粘多糖類、トウモロコシ、モチトウモロ
コシ、馬鈴薯、甘薯、小麦、米、もち米、タピオカ等由
来の澱粉、ならびにこれらに物理的または化学的な処理
を施した化工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、
グラフト化澱粉、カルボキシメチル基、ヒドロキシアル
キル基等を導入したエーテル化澱粉、酢酸、リン酸等を
反応させたエステル化澱粉、2カ所以上の澱粉の水酸基
間に多官能基を結合させた架橋澱粉、湿熱処理澱粉
等)、さらに、キチン、カルボキシメチルセルロース、
メチルセルロースを挙げることができる。
【0010】上記のポリペプチドおよび食用多糖類は生
体構造物の形態であってもよい。生体構造物とは、植
物、動物または微生物由来のポリペプチド、多糖類の両
者または一方を含有する組成物であって、水を除く全固
形分中に占める一方または両者の合計の割合が50%以
上のものが好適に利用される。植物由来の生体構造物の
代表的な例は、油かす類、穀類、豆類、植物茎葉類、藻
類、果実、塊根類であり、その具体例としては脱脂大
豆、大豆油粕、きな粉、あまに油粕、綿実油粕、落花生
油粕、サフラワー粕、胡麻油粕、ひまわり油粕、小麦、
米、大豆等が挙げられる。動物由来の生体構造物として
は、魚粉、フィッシュソリブル、肉粉、肉骨粉、分解
毛、分解皮、フェザーシール、脱脂粉乳、魚肉、畜肉
(牛肉、豚肉、羊肉等)、臓器、卵構成物(卵黄、卵
白)、オキアミ、乳構成物等が挙げられる。微生物由来
の生体構造物は、酵母、バクテリア、カビ類等である。
これらの生体構造物は、蛋白質および/または食用多糖
類を主成分とするが、脂質、核酸類、リグニン類、無機
塩類などのいわゆる夾雑物を含んでいてもよい。
【0011】夾雑物を含んでいてもセルロース溶液との
混合には全く支障がないばかりか、かえって可紡性や曳
糸性を向上するとか、紡糸された糸間の適度な融着を与
えるなどの利点を示す場合もある。セルロースと混合す
るポリペプチド、食用多糖類及び生体構造物の中から選
ばれるゲスト成分は、単一のものである必要はなく、2
種以上の組み合わせ使用も可能である。この場合のセル
ロースは、セルロースII型の結晶構造を有することが
好ましい。
【0012】ここでいう海成分とは、構造物の断面を透
過型電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて検鏡したときに、あ
る相を包み込んだ形で分布している相を海成分といい、
均質な連続体とは、空孔はあっても連続して分布してい
る相を指し、顕微鏡で見て、たとえ小さな斑点が見えて
も一つの相と見られる構成体を総称する。構造体の断面
の観察には、透過型電子顕微鏡写真、あるいは大きな領
域にわたって観察する場合、光学顕微鏡写真を用いるこ
とができる。
【0013】海成分または連続体が10%以上存在する
ことが好ましい理由は、構造体が適切な機械強度を有す
るためである。一般に、セルロースと食用多糖類からな
る可食体の場合には、両者が均質な一つの連続体となっ
て存在する。また、セルロースとポリペプチドからなる
可食体の場合には、セルロースがポリペプチドの島のま
わりを海成分となって囲んだ形として存在する。一例と
して、セルロースと大豆分離蛋白質からなる可食体を透
過型電子顕微鏡で観察した場合、蛋白質島成分の大きさ
は、その製造法によっても異なるが、断面で0.5μm
から最大100μmまで様々に観察される。島成分の大
きさとしてはこの程度のものが食感上好ましい。島成分
の形は様々であるがおおむね円形または楕円形である。
また可食体は、セルロースの紙的食感が抑圧され、人が
食し得る構造体を示す。
【0014】この可食体は、以下のようにして製造する
ことができる。木材パルプ、綿、麻等の樹木、草本、穀
類、野菜、果実由来の天然セルロースやそれらを酸加水
分解、酵素処理、機械的粉砕または摩砕、爆砕処理等を
施して得られる重合度が100〜1200のセルロース
と、ゲスト成分、すなわちポリペプチドおよび/または
食用増粘多糖類の中から選ばれた少なくとも一つの多糖
類、あるいは、天然蛋白質及びその部分加水分解物の中
から選ばれた少なくとも一つとをアルカリ金属水酸化物
水溶液中に混合溶解あるいは分散させてドープを得る。
該ドープをエクストルーダーやギアポンプ圧送等による
輸送の後に適当な紡口、スリットから、酸性浴または塩
を含む酸性浴に吐出し凝固、その後水洗する。あるいは
フィブリル状のものを得ようとする場合は、ブロー紡糸
等を行い構造体を得る。その後、前記構造体を必要に応
じて摩砕するなどしペースト状等の可食体を得ることが
できる。
【0015】可食体の製造に用いられるアルカリ金属水
酸化物とは、ナトリウム、カリウム、その他のアルカリ
金属水酸化物を指すが、水酸化ナトリウムが好ましい。
一方、酸性浴に用いる酸の種類としては、硝酸、硫酸、
塩酸、酢酸、リン酸等が挙げられ、これらは通常水溶液
として用いる。これらの酸の濃度は、限定的ではなく経
済的な見地から適宜選択すればよい。さらに、ここで用
いる塩としては、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸等の
アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好適に用いられ
る。
【0016】前記可食体の形状は、本文中に示した通
り、糸状、フィブリル状、ペースト状等いかなる形状で
も良く、特に限定されるものではない。なお前記可食体
は、本発明の食品素材を魚肉様の形態、特に魚肉冷凍す
り身様の形態に保つのに特に役立つ。すなわち、単なる
ペースト状のセルロースを凍結すると、凍結状態では魚
肉冷凍すり身様の形態はなすものの、解凍すると離水が
甚だしく冷凍すり身を解凍したときとは全く異なった状
態を呈する。一方、前記可食体を凍結すると、解凍して
も離水せず、また半解凍状態での刃物の通りが良いなど
極めて魚肉冷凍すり身と似た状態を呈する。また、前記
可食体はこれに加えて、水産練製品の白度向上、ツヤテ
リの向上、離水防止等の改良効果も有する(特開昭63
−209567号公報)。
【0017】本発明の食品素材に含有される水酸化カル
シウムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物と
は、水酸化カルシウムのほか、水と反応して水酸化カル
シウムに誘導される酸化カルシウム、例えば、食品分野
で慣用的に焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム、卵殻
焼成カルシウム等と呼ばれる物質等を挙げることができ
る。また、これら水酸化カルシウムまたは水酸化カルシ
ウムに誘導される化合物が前記可食体に添加される量の
下限は、通常、可食体100重量部に対してカルシウム
換算で0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部
以上、また上限はカルシウム換算で0.8重量部以下、
より好ましくは0.5重量部以下が例示される。
【0018】最近の研究によると、蒲鉾などの水産練製
品は坐りの工程で魚肉内在型のカルシウム依存性の架橋
酵素であるトランスグルタミナーゼ(TGase;EC
2.3.2.13)の作用により、魚肉の主要構成蛋
白である筋肉構造蛋白のミオシン間にε−(γ−グルタ
ミルリジン)架橋を形成し、強固なゲルを構築すること
が明らかになって来た。これらの研究結果は、日本水産
学会誌,56,125−132(1990)及び、日本
水産学会誌,57,1389−1396(1991)な
どに詳しく公開されている。従って、本発明の食品素材
に添加されたカルシウムは、魚肉内在型TGaseを活
性化しそのために水産練製品の弾力維持効果が発現され
たと考えられる。
【0019】また、魚肉に添加されたカルシウムイオン
はミオシンの高次構造に影響を及ぼし、ミオシン内部に
隠蔽されていた疎水領域が外部に露出し、そのために蛋
白間に疎水結合が形成されてゲルが構築されるという知
見も報告されている(ニューフードインダストリー,3
7,53〜57(1995))。これなどは、本発明の
食品素材が坐りを伴わない揚げ物や、直加熱の蒲鉾など
でも効果が認められる理由であると考えられる。
【0020】さらには、本発明の食品素材がカルシウム
を含有することによって、水産練製品製造工程上の作業
性の向上に寄与し得る。すなわち、特開昭63−209
567号公報に開示された可食体を魚肉の一部と置換し
て水産練製品を製造すると、製造工程最終段階のすり上
がり身が柔らかくなり過ぎ、身がダレるために蒲鉾型に
成型できないなどの成型性の悪化がどうしても生じる。
しかしながら、本発明の食品素材を魚肉の一部と置換し
てもすり上がり身が柔らかくなることも無く、ダレない
為に成型性が向上する。
【0021】本発明の食品素材には必要に応じて酸また
はアミノ酸が含有されていても良い。含有することので
きる酸又はアミノ酸としては、例えば、酒石酸、乳酸、
リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、クエン酸、リン
酸、フマル酸、アジピン酸、アスパラギン酸、グルタミ
ン酸、ならびにこれらのNa,K,Ca塩の中から選ば
れた少なくとも一種が例示される。これら酸またはアミ
ノ酸は、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘
導される化合物が含まれることによって上昇した該食品
素材のpHを、必要に応じて食品素材として適当なp
H、すなわちpH7〜11になるような量を適宜添加す
ることが好ましい。
【0022】本発明の食品素材は、通常、以下のように
して製造することが出来る。まず、先に詳述した製法に
より製造した可食体に対して、水酸化カルシウムまたは
水酸化カルシウムに誘導される化合物、および、必要に
応じて酸又はアミノ酸を添加し、スクリューニーダーな
どにより十分に撹拌混合する。そして、該食品素材がペ
ースト状である必要が無い場合には、これが直ちに本発
明の食品素材となる。また、ペースト状であった方が良
い場合には、これを更に摩砕機などを通して磨砕して本
発明の食品素材とする。勿論、可食体と水酸化カルシウ
ムまたは水酸化カルシウムに誘導される化合物とを予め
混合する上記の方法の他、水産練製品原料に、可食体と
水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導される
化合物を個々に適宜添加して最終的に両者を存在せしめ
る方法によっても行うことが可能である。
【0023】上記に詳述した本発明の食品素材の流通に
ついては、冷蔵(チルド)流通、殺菌後の常温流通、冷
凍後の冷凍流通等の手段がとられるが、魚肉冷凍すり身
と同様のサイズの冷板状に凍結した形で供給された方
が、冷凍すり身との単純な置き換え使用がしやすいなど
の点から好ましい。また、本発明の食品素材は、上記詳
述した様な安価でしかも安定的に供給される原料から工
業的に製造されるので、量的に不安定な漁業資源から製
造される魚肉冷凍すり身よりも安価に製造できる。従っ
て、魚肉冷凍すり身の一部を該食品素材に置き換えるこ
とで、より低価格の水産練製品が製造でき経済的な効果
を有する。
【0024】本発明の水産練製品は、蒲鉾、竹輪、揚げ
物、魚肉ソーセージなど魚肉を主として用い、そのすり
身等を成形する製品を指し、ここに列記したものに限定
されない。本発明の食品素材を添加した水産練製品は、
該食品素材を水産練製品の製造工程で加えることにより
得ることができる。すなわち、冷凍すり身あるいは魚肉
をサイレントカッターやボールカッター、擂潰機などを
用いて荒ずりする際に本発明の食品素材を加える。しば
らく混合撹拌した後に、すり身100重量部に対して、
通常2.5重量部〜4.0重量部の食塩を加える。その
まましばらく塩ずりを行い、その後は通常の蒲鉾の製法
に従って各種調味料、卵白、澱粉、氷水等を加え本ず
り、成型、坐り、加熱(蒸し)、冷却の工程を経て目的
とする蒲鉾を得ることができる。本発明の食品素材を加
える時期は限定的ではないが、均一に分散させることを
考えれば初期段階が望ましい。加える本発明の食品素材
の量は、本発明の効果が発揮される限り特に限定されな
いが、添加量が少なすぎると、水産練製品の価格を低減
させるという経済的効果が期待できないことから、通
常、水産練製品中で1重量%以上、好ましくは2重量%
以上が例示され、添加量が多すぎると、魚肉蛋白が大幅
に減少し水産練製品の弾力を維持する効果が期待できな
いが、通常は15重量%以下、好ましくは10重量%以
下が例示される。なお、本発明の水産練り製品は、可食
体と、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導
される化合物をそれぞれ個別に水産練り製品製造工程で
添加しても得ることが出来る。また、坐り工程は有って
も無くても良いが、高温坐りを行った方が弾力を維持す
る効果はより高い。
【0025】かくして得られた本発明の水産練製品は、
すり身の代替品を用いない水産練製品と同等の弾力性や
食味が保たれ、簡単な操作により、安価に提供される。
【0026】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明は、
これらの実施例により限定されるものではない。 (実施例1)重合度300のセルロースとコーンスター
チを、セルロース/コーンスターチの重量比が4/6と
なる様に水酸化ナトリウム水溶液に溶解後、本文中に示
した紡糸、水洗工程を経て繊維状の可食体を得た。次に
この可食体100重量部に対して0.42重量部(カル
シウム換算で0.30重量部)の酸化カルシウム(貝殻
焼成カルシウム;(株)エヌ・シー・コーポレーション
製)と5.0重量部のグルタミン酸ナトリウム(旭化成
工業(株)製)を加え、均一に撹拌混合した後に摩砕
し、ペースト状態にしたものをコンタクトフリーザーで
凍結して本発明の食品素材を得た。得られた食品素材の
固形分は15重量%、pHは9.9であった。
【0027】このようにして得られた食品素材を用い、
表1の配合に従ってステファンカッターを用いて定法に
より荒ずり、塩ずり、本ずりを行った。すり上がった身
をリテナーにて成型し、45℃、60分の坐り、90
℃、30分の蒸しを行い、蒲鉾を作製した。表2に蒲鉾
の物性測定結果及び外観の評価結果、さらに食感及び旨
味の官能評価結果を示す。また、すり上がり身のダレ
方、すなわち身ダレ率を図1に示す。身ダレ率はすり上
がり身を蒲鉾型に成型し、15℃で放置した時の横幅を
継時的に測定し、以下の式に従って算出した〔身ダレ率
(%)=(放置後の横幅(cm)/成型直後の横幅(c
m))×100〕。 (実施例2)実施例1において、可食体100重量部に
対して酸化カルシウムが0.13重量部(カルシウム換
算で0.09重量部)加えられた食品素材を用い、実施
例1と同様の操作で蒲鉾を作製し評価した。評価結果を
表2に示す。 (実施例3)実施例1において、可食体100重量部に
対して酸化カルシウムが1.13重量部(カルシウム換
算で0.81重量部)加えられた食品素材を用い、実施
例1と同様の操作で蒲鉾を作製し評価した。評価結果を
表2に示す。 (実施例4)実施例1に示した食品素材を用い、表1に
示した配合に従って実施例1に示したと同様の操作で蒲
鉾を作製し評価した。評価結果を表2に示す。 (比較例1)重合度300のセルロースとコーンスター
チを、セルロース/コーンスターチの重量比が4/6と
なる様に水酸化ナトリウム水溶液に溶解後、本文中に示
した紡糸、水洗工程を経て繊維状の組成物を得、それを
摩砕してペースト状態にしたものをコンタクトフリーザ
ーで凍結して可食体を得た。なお、得られた可食体の固
形分は13.5重量%であった。
【0028】このようにして得られた可食体を用い、表
1の配合に従い、実施例1と同様の方法で蒲鉾を作製し
た。蒲鉾の物性測定結果等を表2に、また、すり上がり
身を15℃で放置したときの身ダレ率を図1に示す。 (比較例2)粉状の貝殻焼成カルシウム((株)エヌ・
シー・コーポレーション製)を用い、表1の配合に従
い、実施例1と同様の方法で蒲鉾を作製した。蒲鉾の物
性測定結果等を表2に、また、すり上がり身を15℃で
放置したときの身ダレ率を図1に示す。 (比較例3)比較例2と同じ貝殻焼成カルシウムを用
い、表1の配合に従い、実施例1と同様の方法で蒲鉾を
作製した。蒲鉾の物性測定結果等を表2に示す。 (比較例4)種々のすり身代替素材を一切添加せずに、
表1の配合に従い、実施例1と同様の方法で蒲鉾を作製
した。蒲鉾の物性測定結果等を表2に、また、すり上が
り身を15℃で放置したときの身ダレ率を図1に示す。
【0029】蒲鉾の弾力を示すゼリー強度は、蒲鉾試料
を20mmの厚さにカットし、レオメーター(φ5mm
球形プランジャー使用)を用いて測定した。外観および
離水の有無は、蒲鉾の外面および断面を目視で調べた。
官能評価は16名の訓練されたパネラーにより実施し、
旨味の評価の場合には比較例4の蒲鉾の旨味を0とし
て、それよりも旨味が強い場合を+1、弱い場合を−1
として答えさせ、16名の平均値として示した。
【0030】表2の結果を見ると明らかなように、実施
例1のゼリー強度は比較例1に比べて明らかに高い値を
示し、比較例4と同等の値を示した。さらに、実施例1
は味覚的にも比較例4と同等であった。また、比較例2
は実施例1よりも高いゼリー強度を示してはいるが、硬
すぎて蒲鉾として適当な食感とは言い難い。これは貝殻
焼成カルシウムを単純に添加しているためであり、ゼリ
ー強度を蒲鉾として食するに適当な値すなわち比較例4
と同等な値にし、且つ蒲鉾のコストダウンを図るために
は繁雑な追加加水が必須である。比較例3はそのような
追加加水を行った場合であるが、確かにゼリー強度は比
較例4と同等にはなっているが、加水が多くなった分蒲
鉾の旨味が減少し、味覚的には比較例4に劣る。
【0031】また、図1を見ると実施例1は比較例1に
比べてダレにくく、蒲鉾製造時の成型性が改善されてい
る。比較例2は実施例1に比べてさらにダレにくくはな
っているが、放置約30分経過時点で既にゲル化が始ま
っており、逆に成型性は悪化している。また、実施例2
では可食体に添加される酸化カルシウムが少なすぎるた
めに蒲鉾のゼリー強度が低く、逆に実施例3では可食体
に添加される酸化カルシウムが多すぎるために蒲鉾のゼ
リー強度が低くなっている。更に、実施例4では食品素
材中の酸化カルシウムの量は適当であるが、蒲鉾への食
品素材の添加量が多すぎるためにゼリー強度が低くなっ
た。 (実施例5)実施例1で作製した食品素材を用い、表3
の配合に従ってサイレントカッターを用いて定法により
荒ずり、塩ずり、本ずりを行った。すり上がった身を1
cm×6cmの円盤状に成型し、170℃で3分間油で
揚げ、揚げ物を作製した。揚げ物の物性測定結果等を表
4に示す。 (比較例5)比較例1で作製した可食体を用い、実施例
5と同様の方法で揚げ物を作製した。結果を表4に示
す。 (比較例6)比較例2で用いた貝殻焼成カルシウムを用
い、実施例5と同様の方法で揚げ物を作製した。結果を
表4に示す。 (比較例7)種々のすり身代替素材を一切使用せずに、
実施例5と同様の方法で揚げ物を作製した。結果を表4
に示す。
【0032】揚げ物の弾力を示すゼリー強度は、揚げ物
の表皮を薄く除去し、レオメーター(φ5mm球形プラ
ンジャー使用)を用いて測定した。外観および離水の有
無は、揚げ物の外面および断面を目視で調べた。表4の
結果を見ると明らかなように、実施例5のゼリー強度は
比較例5に比べて明らかに高い値を示し、比較例7と同
等の値を示した。また、比較例6は実施例5よりも高い
ゼリー強度を示してはいるが、硬すぎて揚げ物として適
当な食感とは言い難い。これは貝殻焼成カルシウムを単
純に添加しているためであり、ゼリー強度を揚げ物とし
て食するに適当な値すなわち比較例7と同等な値にし、
且つ揚げ物のコストダウンを図るためには繁雑な追加加
水が必須である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【発明の効果】本発明の食品素材を用いると、水産練製
品製造工程で単純に魚肉と代替するだけで、当初の物性
及び食味を有する水産練製品を低価格で製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】すり上がり身を15℃で放置したときの、すり
上がり身の身ダレ率を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属水酸化物水溶液から再生さ
    れた構造体であって、セルロースと、ポリペプチド及び
    /又は食用多糖類のゲスト成分とを含み、ポリペプチド
    をゲスト成分とする部分は、前記セルロースがポリペプ
    チドの島を取り囲む海成分を形成し、また食用多糖類を
    ゲスト成分とする部分は、前記セルロースが食用多糖類
    との均質な連続体を形成し、該海成分または該連続体が
    前記構造体中に少なくとも10%以上存在する可食体
    と、水酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムに誘導さ
    れる化合物を含有することを特徴とする食品素材。
  2. 【請求項2】 水酸化カルシウム又は水酸化カルシウム
    に誘導される化合物が、可食体100重量部に対してカ
    ルシウム換算で0.1〜0.8重量部である請求項1記
    載の食品素材。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載された食
    品素材を含む水産練製品。
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