JPH08295486A - クレーン等のロープ振れ止め制御方法及び装置 - Google Patents

クレーン等のロープ振れ止め制御方法及び装置

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JPH08295486A
JPH08295486A JP7102643A JP10264395A JPH08295486A JP H08295486 A JPH08295486 A JP H08295486A JP 7102643 A JP7102643 A JP 7102643A JP 10264395 A JP10264395 A JP 10264395A JP H08295486 A JPH08295486 A JP H08295486A
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孝之 山川
Tetsuo Kono
哲雄 河野
Eru Puratsuto Richiyaado
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    • B66C13/04Auxiliary devices for controlling movements of suspended loads, or preventing cable slack
    • B66C13/06Auxiliary devices for controlling movements of suspended loads, or preventing cable slack for minimising or preventing longitudinal or transverse swinging of loads
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Abstract

(57)【要約】 【目的】機械的または光学的振れ角検出手段を必要しな
い、高性能且つ低価格の振れ止め制御方法及び装置を提
供する。 【構成】クレーン等の、ロープで懸垂された負荷を走行
させるトロリー駆動装置を備えたクレーン等の振れ止め
制御方法において、ロープの振れに基づく負荷トルク変
動を含まない電動機トルクの推定信号τM *を、制御系及
び駆動系のゲイン定数、等価時定数によって演算推定
し、この推定信号τM *と、実際の負荷トルクτM とを比
較することにより、ロープ振れ角及び荷重に比例した振
れ負荷信号I2W * を演算し、この振れ負荷信号に比例し
た振れ角検出推定値θ1 *と振れ角設定値θS との偏差に
位相進み・遅れ補償を行った信号NW をトロリー駆動装
置のトロリー速度指令NS にネガティブフィードバック
することにより、ロープで吊り下げられた負荷の振れを
制止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロープに吊り下げられ
た負荷、例えば天井走行クレーンのトロリー等に吊り下
げられた吊り荷、あるいはコンテナクレーン、コンテナ
キャリアのトロリーに吊り下げられたコンテナ、あるい
はバラ物荷役用のグラブバケットクレーンやアンローダ
等のグラブバケット等の走行時の振れを抑制する制御方
法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、加速時、減速時、あるい
は走行中の吊り荷の振れを抑制する方法としては、機械
的振れ止め方法と電気的振れ止め方法の2つに大別でき
る。機械的振れ止め方法には、トロリー自体に、例えば
ガイドマストを設け、ロープの振れを制止する方法や、
コンテナクレーン等コンテナ自体の構造に着目して、荷
振れを抑制できる特殊なロープ掛けと油圧シリンダによ
るロープ緊張装置を併用した振れ止め方法等がある。ま
た、電気的振れ止め方法には、吊り荷の振れ角、あるい
は振れ速度を検出して、これを駆動系にフィードバック
して、あるいは、加減速終了時に振れをなくし得るよう
な速度パターンを演算指令して、振れ止め制御を行う方
法がある(例えば、特公昭45−4020号の起重機の
ロープ振れ止め制御方式)。この電気的振れ止め制御に
は、吊り荷の振れ角を検出し、これを適当な補償要素を
通して駆動系にフィードバックして、振れ止めを行うク
ローズドループ式と吊り荷に関する運動方程式の解によ
り、加速時、減速時の振れ角、振れ速度を予測し、振れ
止めが可能な加減速度、加減速時間を指令するオープン
ループ式がある(例えば、実開昭57−158670号
の懸垂式クレーンのロープ振れ止め制御装置)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来方法では、特公昭
45−4020号公報に開示したように、原理的に振れ
角の検出手段が必要である。この方法では、ロープの振
れ角を機械的に検出しているが、ロープが巻上げ、巻下
げ時に運動するため、その連結装置の構造は、ロープへ
の確実な連結と摺動可能という相反する要求を満たす必
要があり、どうしても、取り付け構造が複雑になり、ま
た、信頼性に欠けるという欠点があった。これを解決す
るために、最近、光源とカメラ、画像処理装置による光
学式振れ角検出装置が提案されている。これは確かに、
運動するロープとの機械的連結はないが、光学式である
点から、塵埃による性能劣化が懸念されるのみならず、
特に、光源とカメラの正確な位置合わせ、画像から振れ
角の演算処理のために、振れ角検出装置としては、あま
りにも高価になってしまう欠点がある。また、クレーン
の構造上から、トロリーの巻き上げウインチ付近にカメ
ラを設置するのが一般的であるが、その設置スペースを
必要とする。また、今、トロリー加速度を0.5m/s
ec2 と仮定すると、最大振れ角を考えても、その値
は、0.102radとかなり小さくなるので、振れ角
検出の精度の点から、カメラと光源の正確な位置合わせ
が必要になる。それだけ、正確なカメラコントロールを
必要とする。即ち、複雑、デリケートな検出装置となる
ことは避けられない。
【0004】このような問題点を解決するために、振れ
角検出装置を使用しないで、電動機速度、トロリー速
度、ロープ長等から、振れ角を演算推定する振れ角モデ
ルや、振れ角オブザーバ等も検討されたが、複雑になる
こと、誤差が大きいこと、また、初期振れや外乱がある
場合に対応できない等の理由によって、実用化されるに
いたっていない。本発明が解決すべき課題は、機械的ま
たは光学的振れ角検出手段を必要とせず、また従来の振
れ角モデルや振れ角オブザーバと全く異なる原理に基づ
く負荷トルクオブザーバを開発し、高性能且つ低価格の
振れ止め制御方法及び装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明のクレーン等のロープ振れ止め制御方法は、
クレーン等の、ロープで懸垂された負荷を走行させるト
ロリー駆動装置を備えたクレーン等の振れ止め制御方法
において、ロープの振れに基づく負荷トルク変動を含ま
ない電動機トルクの推定信号τM *を、制御系及び駆動系
のゲイン定数、等価時定数によって演算推定し、この推
定信号τM *と、実際の負荷トルクτM とを比較すること
により、ロープ振れ角及び荷重に比例した振れ負荷信号
2W * を演算し、この振れ負荷信号に比例した振れ角検
出推定値θ1 *と振れ角設定値θS との偏差に位相進み・
遅れ補償を行った信号NW をトロリー駆動装置のトロリ
ー速度指令NS にネガティブフィードバックすることに
より、ロープで吊り下げられた負荷の振れを制止するも
のである。また、本発明のクレーン等のロープ振れ止め
制御装置は、速度指令に基づいて同駆動装置の発生トル
クを制御するトルク制御装置と、前記駆動装置の速度を
自動的に制御する速度制御装置とを有する、クレーン等
の、ロープで懸垂された負荷を走行させるトロリー駆動
装置と、トロリーの速度及び位置を制御する制御装置と
を備えたクレーン等のロープ振れ止め制御装置におい
て、ロープの振れに基づく負荷トルク変動を含まない電
動機トルクの推定信号を制御系及び駆動系のゲイン定
数、等価時定数によって演算推定するトルクモデルと、
前記駆動装置のトルク制御装置の出力に基づいてトルク
信号τM に変換する手段と、前記トルクモデルの出力信
号τM *と前記トルク信号τM とを比較することにより、
ロープ振れ角と荷重に比例した振れ負荷信号に対応する
信号I2W * を検出する手段と、前記信号I2W * を振れ角
推定信号θ1 *に変換する手段と、振れ角推定信号θ1 *
振れ角設定値θS との偏差に位相進み・遅れ補償を行っ
て生成された速度信号NW を速度指令NS にネガティブ
フィードバックする位相進み・遅れ回路とを設けたもの
である。前記方法及び装置において、ロープ長の変動に
よって振れ止め性能が低下することを改善するために、
振れ止め制御のループゲインをロープ長の1/2乗に比
例した値に調整する。また、吊り荷の低下につれて振れ
止め性能が低下することを改善するために、振れ止め制
御のループゲインを負荷の低下に逆比例して増加させ
る。
【0006】
【作用】本発明は、特に、トロリー負荷の中に占める負
荷の振れトルク成分が十分大きく、しかもその大きさが
負荷の振れ角に正比例することに着目し、この成分を駆
動装置の電気的信号処理によって駆動系にフィードバッ
クして、振れ止め制御を構成する。これにより、複雑な
機械式あるいは高価な光学式の振れ角検出装置を必要と
せず、また、従来の振れ角オブザーバに比較して、直接
的に振れ角に比例する振れ負荷を検出し、振れ角を求め
るという原理に基づくので、本質的に精度と信頼性に優
れ、初期振れや外乱に対しても対応できる。
【0007】
【実施例】以下、本発明を具体的実施例を示す図1〜6
及び表1によって説明する。図1は本発明の原理を示す
ブロック図である。図において、破線で囲まれた1はト
ロリー駆動装置で、1−1はそのトルク制御装置、1−
2は電動機とトロリー駆動系を表している。トロリー駆
動系1−2の出力である速度Nはトルク制御装置1−1
の入力側にフィードバックされ、公知の自動速度制御装
置を構成している。また、後述のように、1−3は負荷
の振れによって生じるトルク(これを以下「振れ負荷ト
ルク」と呼ぶ)をトロリー駆動系1−2へ伝えるトルク
伝達係数を示している。同様に、図1の2は本発明の負
荷トルクオブザーバ2−1と振れ止め制御コントローラ
2−2で構成された、本発明の振れ止め制御装置を示し
ている。3は速度指令ハンドルに取り付けられた速度指
令器で、加速度調整器4(例えば直線指令器)に速度指
令を与え、加速度調整器4は、調整された速度指令NS
を出力する。5は、電動機回転速度Nをトロリー速度v
に変換する要素である。6は、トロリー速度vを入力と
し、トロリーの振れ角度θを出力とする、トロリー振れ
力学系モデルを示している。なお、各ブロック図中のG
1(s)〜G7(s)は、各装置または要素の伝達特性を表す伝
達関数を示すものとする。
【0008】一般にトロリーの振れの力学モデルは、図
2によって表すことができる。図中11はトロリー、1
2は負荷である。図2から、次の関係式が得られる。 m・d2y/dt2 =m・g−T・cosθ ・・・・(1) m・d2x/dt2 =T・cosθ ・・・・(2) y=h・cosθ ・・・・(3) x=d−h・sinθ ・・・・(4) 但し、d :定点からのトロリーの水平位
置変位 d2x/dt2, d2y/dt2:トロリーの加速度 F :トロリーの加速力 g :重力による加速度 h :巻き上げロープの長さ m :負荷の質量 M :トロリーの質量 T :巻き上げロープ張力 x :負荷の水平位置変位 y :トロリーからの負荷の垂直位置変位 θ :垂直線からの負荷の振れ角度 である。式(3)と(4)を式(1)と(2)に代入
し、整理すると次式が得られる。 d2θ/dt2=(1/h)・((d2(d)/dt2)cosθ−g・sinθ−2・(dh/dt)・(dθ/dt)) ・・・・(5) d2h/dt2 =g・cosθ+(d2(d)/dt2)・sinθ+h・(dθ/dt)2−T/m ・・・・(6) 他方、トロリーの加速については、次式が成立する。 M・d2(d)/dt2=F−T・sinθ ・・・・(7) ここで、フック高さが一定の場合を考えると、(5)式
は次のようになる。 d2θ/dt2=(1/h)・(fcosθ−g・sinθ) ・・・・(8) ここに、f:トロリー加速度=d2(d)/dt2 さらに、(8)式にて、振れ角θが非常に小さく、その
結果、cosθ≒1.0、sinθ≒0と見なせる場合を考える
と、次式が得られる。 d2θ/dt2= (1/h)・(f-g・θ) ・・・・(9) これをラプラス変換して、(10)式が得られる。 θ(s)/v(s) =(1/h)・(τ2s/(1+τ2s2)) ・・・・(10) ここに、v(s) :トロリー速度=d(d)/dt τ=(h/g)1/2 ここで、巻き上げロープの長さhを、改めてLで表し、 ω=(g/L)1/2 (sec-1) ・・・・(11) と置けば、(10)式は次の(12)式のように表すことができ
る。 θ(s)/v(s) = (L/g)・{ω2s/(s2+ω2)} ・・・・(12) 但し、L:巻き上げロープ長さ (m) g:重力の加速度= 9.8m/sec2 v:トロリー速度 (m/sec) θ:振れ角(rad) 即ち、図1のG4 は、(12)式によって与えることができ
る。
【0009】次に、振れによって生じるトロリーの加速
力を求める。この加速力は、(7)式のT・sinθの
項である。この項のロープ張力Tは、重力成分と負荷の
円運動による求心力の和になるが、後者は、前者に比べ
て十分小さいので、前者の成分によって近似することが
できる。したがって、 T≒m・g・cosθ ・・・・(13) 即ち、負荷の振れによって生ずる加速力fS は、振れ角
が小さいとして、 fs =m・g・cosθ・sinθ≒m・g・θ ・・・・(14) で表される。したがって、この部分の伝達関数は、 fs(s)/θ(s) =m・g ・・・・(15) 但し、fs :トロリーの振動加速力(N) m :負荷の質量(Kg) したがって、G5 は、(15)式の振動加速力fs に、
電動機軸に換算するトルク係数を乗じた次式によって与
えることができる。 τW(s)/θ(s) =KW・m・g ・・・・(16) 但し、Kw :トルク換算係数(Kg・m/N) τw :電動機軸換算の振れ負荷トルク(Kg・m) 図1において1−2のブロックで表される電動機とトロ
リー駆動系の伝達関数G2 は、電動機トルクτM と〔ト
ロリー摩擦トルクτt +振れ負荷トルクτw 〕の代数和
による加速トルクτa を入力とし、電動機回転速度を出
力とする伝達関数であり、公知の次式によって表すこと
ができる。 N(s)/τa(s) =375/(GD2・s) ・・・・(17) 但し、N(s) :電動機回転速度 (rpm) τa :加速トルク(Kg・m) τt :トロリー摩擦トルク(Kg・m) GD2 :電動機GD2 +電動機軸換算トロリーGD
2 (Kg・m2 ) s :ラプラス演算子(=d/dt)
【0010】次に、トルク制御装置1−1の伝達関数G
1 は、例えば、ベクトル制御インバータ等を適用した場
合、小さな遅れ時定数を有する一次遅れ系で近似でき
る。即ち、 τM(s)/ΔN(s) =KP/(1+Ta's) ・・・・(18) 但し、τM(s):電動機トルク(Kg・m) ΔN :速度偏差(rpm)=Ns'(s)−NsP :速度制御ゲイン(Kg・m/rpm) Ta' :等価トルク時定数(sec)
【0011】ここで、本発明の自動振れ止め制御装置の
有用性を明らかにするために、以上の説明で明らかとな
ったトロリー駆動系の伝達関数を用いて、本発明の自動
振れ止め制御を使用しない場合の加速時のトロリーの振
れについて説明する。図3は、図1に示した本発明の実
施例の構成より、振れ止め制御装置2を除いて、電動機
を4.5secで加速した場合の負荷の振れ角の応答を
シミュレーションによって求めたものである。図に示す
ように、加速終了後にも大きな残留振れがあり、殆ど減
衰していないことが分かる。従って、振れを小さくして
走行することが要求されるような場合や吊り荷の位置決
めが要求される場合には、運転者が手動にて振れ止め操
作をしなければならない。しかるに、この操作は、かな
りの熟練を必要とし、多くの場合、荷役能率を大きく低
下させる結果となっている。
【0012】次に、本発明の振れ止め制御装置2の詳細
を図4により説明する。図1の負荷トルクオブザーバ2
−1は、図4の2−1のブロックにその詳細を示してい
る。即ち、図示のような振れ負荷トルクを含まない電動
機トルクを推定するトルクモデル2−1−2を作り、そ
の出力τM *と図1のトルク制御装置1−1の出力τM
を比較することにより、振れ負荷を推定するように構成
したものである。ベクトル制御インバータ駆動のよう
に、トルク指令と発生トルクが線形化された駆動装置で
は、前述のように速度偏差から電動機の発生トルク迄の
伝達関数は、非常に小さい時定数の一次遅れ系で近似で
きる。したがって、振れ負荷トルクを含まない電動機ト
ルクの推定値をτM *とすれば、この値は式(17)、
(18)を使用して、図4の一次遅れ要素2−1−1と
トルクモデル2−1−2のようなブロック線図とその構
成で表すことができる。即ち、 τM *(s)=Ns'(s)×[KP/(1+Ta's)]・(1-G6'(s))−Tt(s)×(G6'(s)) ・・(19) 但し、Tm' :補償された機械的時定数(sec) =(Ta'+
Tm)/(1+KP) Tm :機械的時定数(sec) =GD2/375 Tt :トロリー摩擦トルク(Kg・m) G6'(S) :=1/(1+Tm's)(1+Ta's) 電動機トルクの推定値τM *は、2−1−3で示すトルク
定数KT の逆数を乗じることによって、トルク電流の推
定値I2 *に変換できる。同様に、図1のトロリー駆動装
置におけるトルク制御装置1−1の出力τM もKT の逆
数を乗じることによって、実際のトルク電流I2sに変換
できる。したがって、振れ負荷電流の推定値I2W * は、
図4の2−1に示すように、 I2W * =I2 −I2 *=(1/KT)(τM−τM *) ・・・・(20) で表される。 但し、KT :トルク定数(A/Kg・m) I2W * :振れ負荷電流の推定値(A) I2 :実際のトルク電流(A) このようにして、機械的または光学的な振れ角検出手段
を使用しないで、吊り荷の振れ角と、吊り荷に比例した
振れ負荷電流を検出することができる。
【0013】次に、本発明の振れ止め制御コントローラ
について説明する。図4の2−2は、図1の2−2のブ
ロックの実施例の詳細を示すもので、2−2−1は振れ
角設定器、2−2−2は振れ角誤差増幅器、2−2−3
は位相進み・遅れ補償器、2−2−4は〔振れ角/振れ
電流〕変換器である。吊り荷の振れ角は、振れ電流推定
値I2W * として検出され、係数KD を乗じて、振れ角検
出推定値θ1 *に変換される。θ1 *は、振れ角設定器2−
2−1の設定値θs と比較され、その誤差Δθは、Kth
倍されて、位相進み・遅れ補償器2−2−3を通じて、
図示のようにトロリーの自動速度制御回路の外側の振れ
止め制御回路のフィードバック信号NW となっている。
すなわち、実際のトロリー速度指令は、図1の加速度調
整器4の出力Ns と前記フィードバック信号NW との差
のNS'となるように構成されている。従って、振れ角設
定器の設定値をゼロに設定し、Kth、KD 、TD1、TD2
を適切に設定すれば、振れ角検出推定値θ1 *をゼロにす
る制御、すなわち振れ止め制御が可能になる。この場
合、この系の安定化手法としては、公知の例えばボード
線図による解析法が適用でき、所定の応答を得るKth
D 、TD1、TD2の設定ができる。図4で説明した振れ
止め制御装置における等価トルク時定数Ta'は、補償さ
れた機械的時定数Tm'に比べて小さいので、近似的には
6'は一次式に近似して、実際の系を簡単化できる。
【0014】以上は、本発明の原理について、実施例を
基にした詳細な説明である。但し、この発明では、実施
化にあたって、次の三つの問題点の解決が必要である。
第一に、ロープ長が変化した場合でも優れた振れ止め性
能を発揮させるための、振れ止め制御ゲインとロープ長
の関係を求める問題である。第二に、吊り荷の減少によ
って、振れ止め制御ループゲインが低下し、制御性能が
劣化することに対する対策である。第三に、振れ負荷を
含まない電動機トルクモデルと実際のトルク電流を比較
することで負荷トルクオブザーバが構成されているが、
モデルと実機に誤差がある場合の性能劣化に関する問題
である。
【0015】第一の問題は、(12)式のωの値が、ロ
ープ長によって変わることに起因する。例えは、ロープ
長19.6m、9.8m、4.9mの場合、ωは(1
1)式によって0.707sec-1、1.0sec-1
1.414sec-1となり、(12)式の特性根がロー
プ長の平方根の逆数で変わることになる。従って、もし
ロープ長4.9mで良い応答を得るように、KD ×Kth
を設定できたと仮定した場合、ロープ長9.8mでは、
この値をほぼ√2倍に、19.8mでは2倍にしなけれ
ばならない。図5は、ロープ長と最適な制御利得の関係
をシミュレーションによって求めた例である。図では、
D を一定に保ち、最適なKthの値を示している。図示
のように、この値は、ロープ長の1/2乗にほぼ比例し
た値になっていることが分かる。この問題は、このよう
に、ロープ長に対応して制御利得を調整することによ
り、良い振れ止め性能が保証される。
【0016】第二の問題は、吊り荷が小さい場合、それ
だけI2W * が減少し、結果として、振れ角が減少した場
合と同じ信号を、振れ止め制御系に与えるためである。
しかし、巻き上げ操作で吊り上げられた負荷は、普通、
走行中には変化することはない。即ち、巻き上げ運転中
に負荷の大きさを測定することにより、KD を補償する
ことができる。KD は、全体システムの安定度を考慮し
て、負荷の減少に反比例して増加することが必要であ
る。ところで、本発明の方法では、図4に示したよう
に、振れ負荷オブザーバを構成するために、実際の電動
機の発生トルクを使用しているため、この振れ止め制御
ループの追加によって、速度制御装置の内部にあるトル
クまたは電流制御マイナループが発振しないようにしな
ければならないという制約がある。この問題は、公知の
ボード線図によって、ループゲインに対する必要な遅れ
補償時定数TD2、進み時定数TD1を計算で求めることが
できる。実施例では、このボード線図による解析と吊り
荷の変動に伴う電動機負荷の変化を計算し、振れ止めの
最適ゲインを求め、シミュレーションによってこれを確
認した。表1は、実施例におけるそのような定数の計算
例である。
【表1】 このようにして、ロープ長と吊り荷の変動に対して、最
適なTD2、Kthを設定できる。
【0017】第三の問題では、制御ゲイン等の定数は、
実機の設計値を適用できること、また、各時定数は、実
際の運転に先立って、実際値が測定可能であること、あ
るいは無負荷運転の試行によっても確認ができることな
どの点から、モデルと実機の設定値の誤差は、実用上は
ほとんど問題になることはない。必要であれば、公知の
定数オートチューニング技術も適用できる。ただ、考慮
すべき問題は、摩擦トルクの設定値Tf の値の変動であ
るが、同様に、無負荷試行によりオートチューニングが
可能である。また、この設定誤差は、振れ止め終了後の
速度指令誤差とはなるが、振れ止めの性能には影響しな
いという特性がある。また、位置決め制御では、通常、
速度ループの外側に位置の制御ループが置かれるため
に、この摩擦トルク設定の設定誤差による速度指令の変
動が、即、位置決めの誤差となることはない。図6は、
本発明の実施例のシミュレーションによる振れ止め性能
を示したものである。図より、加速終了時、減速終了時
に、吊り荷の振れが、ほとんどゼロに制御されているこ
とが分かる。また、図3の特性と比較することにより、
本発明の振れ止め制御を採用しない場合に比べ、加速時
の最大振れ角も、約52%(1.15/2.2=0.5
23)に抑制されていることが理解できる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、従来方法のように、複
雑な機械式あるいは高価な光学式の振れ角検出装置を必
要とせず、また、従来の振れ角オブザーバに比較して、
直接的に振れ角に比例する振れ負荷を検出し、振れ角を
求めるという原理に基づくので、本質的に精度と信頼性
に優れ、初期振れや外乱に対しても対応できる。したが
って、安価で高性能の振れ止め制御装置を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の具体的実施例の全体構成を示すブロ
ック図である。
【図2】 一般的なトロリーの振れの力学モデルを示す
説明図である。
【図3】 本発明の実施例の構成における負荷の振れ角
の応答をシミュレーションによって求めた説明図であ
る。
【図4】 本発明の振れ止め制御装置の詳細を示すブロ
ック図である。
【図5】 ロープ長と最適な制御利得の関係をシミュレ
ーションによって求めた例を示す説明図である。
【図6】 本発明の実施例のシミュレーションによる振
れ止め性能を示した説明図である。
【符号の説明】
1 トロリー駆動装置、1−1 トルク制御装置、1−
2 トロリー駆動系、2振れ止め制御装置、2−1 負
荷トルクオブザーバ、2−1−1 一次遅れ要素、2−
1−2 トルクモデル、2−2 振れ止め制御コントロ
ーラ、2−2−1 振れ角設定器、2−2−2 振れ角
誤差増幅器、2−2−3 位相進み・遅れ補償器、2−
2−4 振れ角/振れ電流変換器、3 速度指令器、4
加速度調整器、5 回転速度/トロリー速度変換要
素、6 トロリー振れ力学系モデル、11 トロリー、
12 負荷
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 リチャード・エル・プラット アメリカ合衆国 オハイオ州 45014 フ ェアフィールド ハーウッドコート 9823 ピー・オー・ボックス9039 エレクトリ ック・モータ・システムズ・インコーポレ イテッド内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレーン等の、ロープで懸垂された負荷
    を走行させるトロリー駆動装置を備えたクレーン等の振
    れ止め制御方法において、ロープの振れに基づく負荷ト
    ルク変動を含まない電動機トルクの推定信号τM *を、制
    御系及び駆動系のゲイン定数、等価時定数によって演算
    推定し、この推定信号τM *と、実際の負荷トルクτM
    を比較することにより、ロープ振れ角及び荷重に比例し
    た振れ負荷信号I2W * を演算し、この振れ負荷信号に比
    例した振れ角検出推定値θ1 *と振れ角設定値θS との偏
    差に位相進み・遅れ補償を行った信号NW をトロリー駆
    動装置のトロリー速度指令NS にネガティブフィードバ
    ックすることにより、ロープで吊り下げられた負荷の振
    れを制止することを特徴とするクレーン等のロープ振れ
    止め制御方法。
  2. 【請求項2】 振れ止め制御のループゲインをロープ長
    の1/2乗に比例した値に調整することを特徴とする請
    求項1記載のクレーン等のロープ振れ止め制御方法。
  3. 【請求項3】 振れ止め制御のループゲインを負荷の低
    下に逆比例して増加することを特徴とする請求項1また
    は2記載のクレーン等のロープ振れ止め制御方法。
  4. 【請求項4】 速度指令に基づいて同駆動装置の発生ト
    ルクを制御するトルク制御装置(1−1)と、前記駆動
    装置の速度を自動的に制御する速度制御装置(1−2)
    とを有する、クレーン等の、ロープで懸垂された負荷を
    走行させるトロリー駆動装置(1)と、トロリーの速度
    及び位置を制御する制御装置(5),(6)とを備えた
    クレーン等のロープ振れ止め制御装置において、ロープ
    の振れに基づく負荷トルク変動を含まない電動機トルク
    の推定信号を制御系及び駆動系のゲイン定数、等価時定
    数によって演算推定するトルクモデル(2−1−2)
    と、前記駆動装置のトルク制御装置(1−1)の出力に
    基づいてトルク信号τM に変換する手段(2−1)と、
    前記トルクモデル(2−1−2)の出力信号τM *と前記
    トルク信号τM とを比較することにより、ロープ振れ角
    と荷重に比例した振れ負荷信号に対応する信号I2W *
    検出する手段(2−1)と、前記信号I2W *を振れ角推
    定信号θ1 *に変換する手段(2−2−4)と、振れ角推
    定信号θ1 *と振れ角設定値θSとの偏差に位相進み・遅
    れ補償を行って生成された速度信号NWを速度指令NS
    にネガティブフィードバックする位相進み・遅れ回路
    (2−2−3)とを設けたことを特徴とするクレーン等
    のロープ振れ止め制御装置。
  5. 【請求項5】 振れ止め制御のループゲインをロープ長
    の1/2乗に比例した値に調整する手段を設けたことを
    特徴とする請求項4記載のクレーン等のロープ振れ止め
    制御装置。
  6. 【請求項6】 振れ止め制御のループゲインを負荷の低
    下に逆比例して増加させる手段を設けたことを特徴とす
    る請求項4または5記載のクレーン等のロープ振れ止め
    制御装置。
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