JPH08295565A - 炭化珪素材料の製造方法 - Google Patents

炭化珪素材料の製造方法

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JPH08295565A
JPH08295565A JP7102319A JP10231995A JPH08295565A JP H08295565 A JPH08295565 A JP H08295565A JP 7102319 A JP7102319 A JP 7102319A JP 10231995 A JP10231995 A JP 10231995A JP H08295565 A JPH08295565 A JP H08295565A
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silicon carbide
fiber
metal
temperature
porous carbon
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JP7102319A
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Kaoru Okada
薫 岡田
Keihachirou Nakajima
慶八郎 中嶋
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複合材料の強化繊維或いは断熱材、フィルタ
−材料などとして好適な優れた強度を有する炭化珪素材
料、とりわけ繊維状、シート状及び三次元構造体を有す
る炭化珪素材料の製造方法の提供。 【構成】 比表面積が100〜3000m2 /gの繊維
状、シート状或いは三次元構造体からなり、かつボロ
ン、アルミニウム、シリコン、チタン、イットリウム、
マグネシウムの各金属或いは前記金属の酸化物、水素化
物、水酸化物、アルコキシド、窒化物、ハロゲン化物か
らなる金属化合物のうち、少なくとも1つをその内部に
予め含有した多孔質炭素材料と、一酸化珪素ガスとを、
800〜2000℃の温度で反応させる。更に、得られ
た金属或いは金属化合物を含有する炭化珪素材料を80
0〜2200℃の温度で、酸素を実質的に含まない雰囲
気或いはガス雰囲気中で加熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複合材料の強化繊維、
断熱材、フィルタ−材料等として好適な、優れた強度を
有する炭化珪素材料、とりわけ繊維状、シート状及び三
次元構造体を有する強度の優れた炭化珪素材料の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平1−131016号公報には、極
微粒子の集合体から成り、比表面積が少なくとも100
2/gである炭化珪素の細粒を、特に石油化学用触媒
の担体及び1000℃にも達し得る高温触媒反応用の担
体として製造する目的で、一酸化珪素SiOの気体を炭
素と反応させる工程を含み、第1反応域においてSiO
2+Siの混合物を0.1〜1.5hPaの圧力下で1
100〜1400℃に加熱することによりSiO気体を
生成し、第2反応域において、比表面積が少なくとも2
00m2/gである分割状態の反応性炭素と前記SiO
気体を温度1100〜1400℃で接触させることから
なる炭化珪素の製造方法が開示されている。このような
炭化珪素は、化学反応の触媒のための担体として用いら
れるため、できるだけ比表面積を大きくし、それを長時
間持続しようとするものである。
【0003】更に、特開昭60−231820号公報に
は、炭素繊維を一酸化珪素(SiO)ガスと加熱反応さ
せて炭素繊維の表面を炭化珪素で被覆する方法が開示さ
れている。しかしながら、この方法では炭素繊維のごく
表面にしか炭化珪素が付着せず、従って内部まで完全に
炭化珪素化された繊維が得られず、高温度において耐酸
化性に劣るという問題があった。この問題を解決するた
めに本発明者等は、細孔径が数オングストロームから数
百オングストロームの均一な細孔を繊維内部に含む、比
表面積が100〜2500m2 /gで繊維径が5〜10
0μmの多孔質炭素繊維と一酸化珪素ガスとを800〜
2000℃の温度で反応させる方法を提案した(特開平
6−192917号公報)。
【0004】前記の多孔質炭素繊維の一つに活性炭繊維
があるが、この活性炭繊維を製造する方法としては、レ
ーヨンのようなセルロース系繊維を原料とする方法(特
公昭61−58567号公報)、アクリル系繊維を原料
とする方法(特開昭61−282430号公報)、石油
ピッチを紡糸して得られた繊維を原料とする方法(特開
昭60−199922号公報)、フェノール系樹脂繊維
を原料とする方法(特公昭57−43647号公報等)
等を挙げることができ、これらはともに不活性ガス雰囲
気中で脱水炭化温度200〜400℃に加熱して得られ
る炭素繊維を、水蒸気、酸素、炭酸ガス、その他の酸化
性ガスと接触させながら、前記脱水炭化温度より高い4
50〜1000℃で加熱するという賦活処理を施して活
性炭繊維とされている。しかしながら、前記多孔質炭素
繊維と一酸化珪素ガスとの反応により得られる繊維は、
実質的に炭化珪素からなる炭化珪素繊維であるものの、
強度が低く実用に際して支障をきたしていた。
【0005】そのため本発明者等は、この問題を解決す
べく鋭意努力を重ね、前記の方法で得られた炭化珪素繊
維を酸素ガス、窒素ガス等のガス雰囲気中で加熱処理を
行うことにより強度が向上することを見い出したものの
(特開平7ー18520号公報、特願平6ー73425
号)、実用に供するには強度が十分ではなかった。一
方、従来より、炭化珪素粉末をホットプレスで焼結する
ときにFe、Al、Cr、B等の金属を、特にB(ボロ
ン)とC(炭素)を助剤として微量添加すると、炭化珪
素粒子の焼結性が高まり、高温で強度の高い焼結体が得
られることが知られている(炭化珪素セラミックス、1
55〜173、1988年、内田老鶴圃社発行)。しか
しながら、この方法では分散性に問題があり、繊細状材
料に適用できないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、炭化珪素材料、とりわけ繊維状、シ−ト状
および三次元構造体を有する炭化珪素材料の強度を改善
する方法について鋭意検討した結果、炭化珪素材料の原
料として用いる多孔質炭素材料に予め金属或いは金属化
合物を含有させておいて炭化珪素化を行うと、そして得
られた炭化珪素材料を更に酸素を実質的に含まない雰囲
気、不活性ガス、或いは窒素ガス雰囲気中で加熱する
と、繊維状、シート状および三次元構造体において、従
来の炭化珪素材料が有する強度に関する上記問題点を解
決し、従来の水準よりさらに優れた引張り強度が発現す
ることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明
の目的は、多孔質炭素材料を用いて炭化珪素材料を製造
する方法において、従来にはない更に優れた強度を有す
る炭化珪素材料を製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、比表面
積が100〜3000m2 /gの多孔質炭素材料と、一
酸化珪素ガスとを、800〜2000℃の温度で反応さ
せて得られる炭化珪素材料の製造方法において、前記多
孔質炭素材料に、金属或いは金属化合物を予め含有させ
ることを特徴とする炭化珪素材料の製造方法であり、本
発明の第二は、該炭化珪素材料を、酸素を実質的に含ま
ない雰囲気或いはガス雰囲気中で800〜2200℃の
温度で加熱を行うことを特徴とする本発明第一に記載の
炭化珪素材料の製造方法である。本発明の第三は、前記
多孔質炭素材料が、多孔質炭素繊維、多孔質炭素繊維か
らなるシート、前記シートからなる三次元構造体、多孔
質炭素繊維からなる三次元構造体から選ばれた1種であ
ることを特徴とする本発明第一或いは第二に記載の炭化
珪素材料の製造方法である。本発明の第四は、前記金属
が、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、シリコン
(Si)、チタン(Ti)、イットリウム(Y)、マグ
ネシウム(Mg)から選ばれた少なくとも1つであるこ
とを特徴とする本発明の第一、第二或いは第三に記載の
炭化珪素材料の製造方法である。本発明の第五は、前記
金属化合物が、本発明第四に記載の金属の酸化物、水素
化物、水酸化物、アルコキシド、窒化物、ハロゲン化物
から選ばれた少なくとも1つであることを特徴とする本
発明第一、第二或いは第三に記載の炭化珪素材料の製造
方法である。
【0008】本発明における繊維或いは繊維状物質と
は、繊維径が5〜100μmの連続長繊維(フィラメン
ト、ヤーン)或いは1〜100mmの短繊維を意味し、
繊維径としては前記以外のものでも使用可能であるが、
繊維径が0.5〜1μmでアスペクト比が20〜100
で特徴づけられるウィスカーのような微小な繊維状物質
は含まれない。本発明におけるシートとは、前記繊維状
物質からなる平面的な広がりを持つものを意味し、これ
には、例えば、連続長繊維(フィラメント、ヤ−ン)を
縦横に配して織ることによって得られる布状のもの、或
いは適当な長さの短繊維を乾式法や湿式法によってシー
ト化したもの(フェルト、シ−ト、マット等)が含まれ
る。更に、それらをシ−ト化する際に、粒状及び粉末状
のものを加えることも差し支えない。又、特公平2−2
3505号公報に開示されているように、炭素繊維を製
造するための有機繊維とパルプを混合し、抄紙して得ら
れるシ−トに、炭素質粉末を懸濁した有機高分子溶液を
含浸させ、乾燥後不活性ガス雰囲気中で800℃以上の
温度で焼成して炭化させて得られる多孔質炭素板も本発
明で用いることができる。
【0009】更に、本発明における三次元構造体とは、
粒状及び粉末状物質、繊維状物質或いは繊維状物質から
なるシートから構成され、立体的な形状を有するものを
意味し、これには、例えば、前記シ−ト状のものを貼り
付け加工して立体化したものおよび粒状、粉末状及び繊
維状物質のものを三次元的に立体加工したものが含まれ
る。本発明に用いるシート状或いは三次元構造体を有す
る多孔質炭素材料は、該材料が活性炭繊維から構成され
る場合、前記活性炭繊維をシート或いは三次元構造体重
量の少なくとも10%含むことが望ましい。前記活性炭
繊維の含有率が10%よりも少ないと、炭化珪素化した
際に、得られる炭化珪素材料中に含まれる炭化珪素繊維
の量が十分ではなくなり、期待された性能が得られなく
なる。本発明に用いられる多孔質炭素繊維、シート及び
三次元構造体は、特開平6ー192917号公報に開示
されている公知の方法をそのまま応用して得ることがで
きる。
【0010】本発明の炭化珪素材料は、その原料である
多孔質炭素材料に、予め金属或いは金属化合物を含有さ
せておき、次いで一酸化珪素(SiO)と反応させて得
られる。更に、得られた金属或いは金属化合物を含有す
る炭化珪素材料は、任意に酸素を実質的に含有しない雰
囲気、不活性ガス或いは窒素ガス雰囲気中で加熱され
る。即ち、本発明では出発原料である多孔質の活性炭素
材料に予め第三成分として金属或いは金属化合物を均一
に含有させておき、該多孔質炭素材料を一酸化珪素と反
応させることにより炭化珪素化する際に金属或いは金属
酸化物が炭化珪素と結合し、それによって炭化珪素材料
の強度が向上する。更に、任意に得られた炭化珪素材料
に、実質的に酸素を含有しない減圧雰囲気、酸素と窒素
を含有しないガス雰囲気或いは酸素を含まない窒素ガス
雰囲気において加熱処理を施すことにより、炭化珪素の
焼結を補助し、或いは更に促進することで、最終的に得
られる炭化珪素材料の強度がより一層向上する。
【0011】本発明で、金属或いは金属化合物を含有す
る多孔質炭素材料は、100〜3000m2 /gの比表
面積を有し、かつその多孔質炭素の内部に金属或いは金
属化合物を含有している材料である。多孔質炭素材料
は、前記の比表面積を有していれば、公知の賦活処理に
よる如何なる製造方法による活性炭素材料でも、賦活処
理によらない他の方法で製造されたものでも差し支えな
いが、繊維状のもの又は繊維を含むシート或いは三次元
構造体は、アクリル系繊維を原料とするもの又はフェノ
−ル系樹脂繊維を原料とするものが好適である。又、前
記多孔質炭素材料は、前記の金属或いは金属化合物を含
有しておれば、金属或いは金属化合物が多孔質炭素の表
面、細孔の内部或いは細孔壁の内部のいずれか或いはそ
の2つ以上の部分にまたがって含有されていても差し支
えない。即ち、本発明では金属或いは金属化合物が多孔
質炭素のどの部位に含有されていてもよく、特に限定さ
れない。
【0012】本発明に用いる繊維状、シート状或いは三
次元構造体を有する多孔質炭素材料に含まれる金属或い
は金属化合物の含有量は、金属単体の場合、その金属が
全炭素材料重量の10重量%以下、又金属化合物の場
合、その金属化合物が全炭素材料重量の20重量%以下
である。金属或いは金属化合物は、前記の範囲を越えて
多く含まれると、得られる炭化珪素材料が炭化珪素とし
ての性質を失うとか、炭化珪素の著しい粒成長が起こ
り、得られる炭化珪素材料の強度が逆に低下する場合が
ある。又、このような金属或いは金属化合物の含有量の
下限は、金属の形態、種類によって異なるが、0.01
重量%にある。本発明に用いる多孔質炭素材料に含有さ
れる金属としては、ボロン(B)、アルミニウム(A
l)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、イットリウ
ム(Y)、マグネシウム(Mg)を挙げることができ、
これらの中から少なくとも1種が選ばれて用いられる。
又、本発明に用いる多孔質炭素材料に含有される金属化
合物としては、前記金属の酸化物、水素化物、水酸化
物、アルコキシド、窒化物、ハロゲン化物を挙げること
ができ、前記金属の場合と同様これらの金属化合物から
選ばれた少なくとも1種が用いられる。更に、前記金属
と金属化合物を組合わせて一緒に用いることも差し支え
ない。
【0013】本発明に用いる多孔質炭素材料の多孔質の
細孔内や材料表面に金属或いは金属化合物を含有させる
場合、例えば多孔質炭素材料を目的の金属或いは金属化
合物を含む水溶液に浸漬した後、余分な溶液を脱液して
除去し、乾燥する方法、目的の金属或いは金属化合物を
含むガスと多孔質炭素材料とを接触させて、多孔質炭素
材料の細孔内に吸着させる方法等があるが、金属或いは
金属化合物を含有させる方法には特に前記の方法に限定
されるものではない。多孔質炭素材料に含有させた金属
或いは金属化合物は、含有させた後に加水分解、酸化、
還元等の化学変化を受けさせてもよい。特に、多孔質炭
素材料の細孔の内部にのみ金属或いは金属化合物を含有
させる方法として、多孔質炭素(活性炭)と金属アルコ
キシドを、密閉した容器内或いは乾燥気流中に別々に置
き、金属アルコキシドの蒸気を発生させ、次いで該蒸気
を多孔質炭素に吸着させた後、更に水蒸気と接触させ
て、吸着された金属アルコキシドを加水分解することに
より金属酸化物とし、金属酸化物を含有した多孔質炭素
を製造する方法(特願平7−49716号)が好適に使
用できる。
【0014】また、多孔質炭素材料の細孔壁の内部に金
属或いは金属化合物を含有させる方法は、例えば、炭化
する前の有機化合物からなるポリマーの段階で、そのポ
リマー中に目的とする金属を単体で含有させる、或いは
金属化合物の形で混入させた後加水分解、中和、熱分
解、酸化、還元等により目的の金属単体或いは別の金属
化合物に変化させる、或いは有機化合物のポリマーを繊
維状、シート状或いは三次元構造体に成型した状態で、
目的の金属を含む金属化合物を液体状或いは気体状でそ
の成形物に作用させて含有させた後、炭素化、賦活とい
う工程を経て多孔質炭素中に金属化合物を含有させても
よい。或いはこのようにして金属化合物を含有させた
後、更に前記のような化学反応を施すことにより、前記
炭素の中に目的の金属或いは金属化合物を含有する方法
であってもよい。例えば、ノボラック樹脂に金属ボロン
を添加し、よく混ぜておき、紡糸した後、炭化と賦活を
行えば、細孔壁の内部にボロンを含有する多孔質炭素繊
維を得ることができる。本発明のための多孔質炭素材料
の細孔の内部、材料表面或いは細孔壁の内部に、金属或
いは金属化合物を含有させる方法は、勿論前記の方法に
限定されるものではない。
【0015】前記した金属或いは金属化合物を含有する
多孔質炭素材料は、特開平6ー192917号公報に開
示されている公知の方法によって炭化珪素化される。即
ち、前記多孔質炭素材料は、一酸化珪素ガスと温度80
0〜2000℃で反応させて炭化珪素材料が得られる。
この場合に用いられる一酸化珪素ガスとしては、一酸化
珪素や二酸化珪素の塊或いは粉末、或いは珪素と一酸化
珪素や珪素と二酸化珪素の微粒子をよく混合したものを
供給源として10-6〜10Pa(パスカル)の減圧下、
ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)
等の不活性ガス雰囲気中で、或いは窒素(N2)ガス気
流中で、500〜2000℃に加熱して発生させたもの
が反応炉中に導かれて、反応のために用いられる。一
方、一酸化珪素ガスの供給源となる前記混合物と多孔質
炭素材料の特定量を同じ加熱炉内に置き、加熱すること
によってガスの発生と炭化珪素化を同時に行っても良
い。その場合、一酸化珪素を発生する前記物質の重量は
多孔質炭素材料の質量に対して1.5〜30倍量で用い
られ、加熱炉内での双方の距離をなるべく小さくするこ
とが望ましい。
【0016】つまり、同じ炉内に一酸化珪素ガスの供給
源と多孔質炭素材料を置いて加熱する場合、発生する一
酸化珪素ガスの濃度を高く維持しながら前記炭素と反応
させるためには、双方を近接させ、しかも一緒に覆うこ
とができる何らかの覆いをかぶせて、発生した一酸化珪
素ガスが逃げることなくなるべく多く多孔質炭素材料に
接触するようにすることが反応率を高める上で有効であ
る。この場合、覆いの材質はアルミナのように耐熱性が
あり、緻密で通気性のないものが好適である。本発明法
においては、珪素化反応は、内加熱式、外加熱式、又は
誘導加熱式の減圧下や常圧下のガス雰囲気或いはガス気
流中で焼成が可能な加熱炉で、炉材はアルミナ、マグネ
シア、ジルコニア、ムライト、炭素、高融点金属等の材
質が用いられたものが好適に使用できる。炭化珪素化反
応は、前記炉内をガスを用いない減圧下、又はHe、N
e、Ar等の不活性ガスを用いた減圧下、或いはN2
スを用いた減圧下に維持して行い、ここでいう減圧とは
10-3〜102Pa、好ましくは10ー2〜10Paの圧
力である。
【0017】炭化珪素化を行わせる時の炉の温度は80
0〜2000℃、好ましくは1000〜1800℃であ
る。炉の温度が800℃未満のように低いと多孔質炭素
材料の炭素と一酸化珪素との反応が不十分で多孔質炭素
材料の内部まで完全に炭化珪素化されず、温度が200
0℃を超えて高くなると、生成した炭化珪素が粒成長
し、強度が低下して炭化珪素材料が破損し易くなるので
適さない。加熱炉における昇温速度は、特に限定されな
いが、50〜1500℃/時間で行われ、最高温度にお
ける保持時間は、1分〜20時間、好ましくは30分〜
10時間の範囲で適宜選択して用いられる。保持時間が
1分未満のように短いと反応が不十分となり、炭素材料
内部まで完全に炭化珪素化されず、保持時間が20時間
より長いと、高い温度の場合と同様に、生成した炭化珪
素が粒成長し、強度が低下して炭化珪素材料が壊れ易く
なるので適さない。又、不必要に反応時間を長くするこ
とは、エネルギ−を無駄に消費することになり不経済で
もある。又、より強度の高い炭化珪素材料を得るために
は、多孔質炭素材料と一酸化珪素を反応させる際に、材
料を緊張状態にしておくことが望ましい。特に材料が繊
維や繊維を含むシート或いは三次元構造体の場合、緊張
させることによる強度向上の効果が高い。例えば長繊維
の場合、多孔質炭素繊維を緊張させて両端を接着剤やお
もりで固定したり、一端を固定し、もう一端におもりを
つけて繊維を緊張させるのが好ましい。
【0018】以上説明したようにして金属或いは金属化
合物を含有する多孔質炭素材料と一酸化珪素を反応させ
て得られた炭化珪素材料は、金属或いは金属化合物を含
有しない炭化珪素材料に比べて高い強度を有するが、更
に金属或いは金属化合物を含有する前記炭化珪素材料
を、実質的に酸素を含まない雰囲気中で加熱処理を行う
ことにより、より一層高い強度を発現させることができ
る。この加熱処理のための温度は、800〜2200
℃、好ましくは1000〜2100℃である。温度が8
00℃未満では、金属或いは金属化合物と炭化珪素との
焼結が進まず、炭化珪素材料の強度が向上せず、温度が
2200℃を超えて高くなると炭化珪素材料を構成する
結晶或いは粒子が粗大に粒成長し、又炭化珪素が熱分解
し重量減少が起こるため、炭化珪素材料の強度の著しい
低下を招き適さない。加熱処理に用いられる炉は、前記
珪素化を行う場合と同様の炉を用いることができる。
【0019】加熱処理時の実質的に酸素を含まない雰囲
気としては、真空ポンプで102Pa以下の極めて低い
圧力まで減圧した雰囲気、He、Ne、Ar等の大気圧
或いは加圧下の不活性ガス気流中或いはN2ガス気流中
を挙げることができ、その場合の酸素の含有量は0.1
容量%以下である。金属或いは金属化合物を含有しない
炭化珪素材料に、酸素と窒素を実質的に含まない雰囲気
或いはガス雰囲気中で加熱処理を施すと炭化珪素の結晶
や微粒子が成長して、かえって強度が顕著に低下する
が、本発明の場合、酸素と窒素を実質的に含まない雰囲
気においても加熱によって結晶や微粒子は成長せず、強
度の顕著な向上が得られる。前記ガスは、加熱温度を維
持した加熱炉内に金属或いは金属化合物を含有する炭化
珪素材料を置き、大気圧下或いは加圧下で炉内に導入
し、炭化珪素材料中を通過させられる。大気圧下或いは
加圧下で前記ガスを炉内に流入させる場合は、炉の体積
によって使用するガス流量は変わるが、炉内のガスが一
時間当り数回から数百回入れ替わるような流量で流入さ
せることが好ましい。このガスの流量が少なすぎると、
金属或いは金属化合物による炭化珪素の焼結が進まず、
加熱処理による効果が十分に発現しなくなり、ガスの流
量が多すぎても、処理効果は頭打ちとなり、不経済であ
る。前記雰囲気中或いはガス気流中で加熱処理を行う時
間は、処理温度、ガス流量、圧力等の条件の組合せによ
って異なり一概に限定できないが、処理温度に到達後、
数秒から数十時間、好ましくは5〜600分である。処
理時間が短いと、炭化珪素材料に十分熱が伝わらず、炭
化珪素材料の温度が十分上昇しないため、熱処理の効果
が十分発現しないし、長い処理時間は、生産性を低下さ
せ、或いは得られる炭化珪素の結晶や微粒子を成長さ
せ、逆に炭化珪素材料の強度が低下するため適さない。
【0020】又、前記加熱炉における昇温速度は、特に
限定されないが、10〜12000℃/時間の範囲から
選択して用いられる。加熱処理は、前記の温度範囲内で
2段階に分けて行うと効果的である。即ち、温度が10
00〜1500℃の範囲においては、昇温速度を遅くす
るか、或いは前記温度範囲内でやや長めの処理時間と
し、反応の後半に1500〜2200℃の処理温度を適
用すると、金属或いは金属化合物のより少ない含有量で
炭化珪素の焼結が効率よく行える。加熱処理温度が10
00℃未満と1500℃を越える場合では、加熱炉に用
いられている炉材の熱膨張による衝撃が生じない範囲内
で速い方が好ましく、昇温速度があまりに遅い場合は、
温度が1000℃未満の場合、効率が悪く生産性が上が
らないし、温度が1500℃の場合は、所定の温度に到
達するまでに時間がかかり、炭化珪素材料が長い時間所
定の温度に近い高温に曝されるため、所望の効果が得ら
れなくなるし、効率も悪くなるので避ける必要がある。
更に、別の方法としては、予め1000〜1500℃の
範囲の所望の温度に加熱された炉と1500〜2200
℃の範囲の所望の温度に加熱された炉の2種類の加熱炉
を用意しておき、それぞれの温度において必要な時間だ
け加熱してもよい。又、より強度の高い炭化珪素材料を
得るためには、加熱処理を行う場合にも、多孔質炭素材
料と一酸化珪素を反応させる際と同様、炭化珪素材料を
緊張状態にしておくことが望ましい。特に材料が炭化珪
素繊維やそれから構成されるシート或いは三次元構造体
の場合、緊張させることによる強度向上の効果が高い。
【0021】以上詳細に説明した如く、本発明によれ
ば、金属単体或いは金属化合物を多孔質炭素材料に予め
含有させることにより、炭化珪素化の間に、或いは実質
的に酸素を含有しない雰囲気下で加熱する間に、炭化珪
素と金属或いは金属化合物の間である種の結合が均一に
生じ、この結合により強度がより一層高くなり、実用的
に優れた炭化珪素材料を製造することができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものでは
ない。なお、実施例及び比較例において%とあるのは、
特に断らない限り重量%を表す。
【0023】実施例1 比表面積が1000m2 /gのフェノール系活性炭繊維
(繊維径10μm、長さ100mm、商品名:カイノー
ル活性炭繊維、日本カイノール社製)の長繊維束0.5
gを、熱風循環式乾燥器中で温度105℃で12時間乾
燥させた。次に、200ml容のガラス製の蓋の開閉が
可能なセパラブルフラスコの底部から20mmの位置
に、150メッシュの支柱を有する金網を置き、フラス
コ底部に金属アルコキシドとしてトリエトキシボラン
(B(OC253)(アルドリッチ社製)5gを入
れ、別のガラス容器に入れた前記の乾燥済み活性炭繊維
をそのガラス容器ごと蓋をしないで金網の上にのせ、ト
リエトキシボランと直接接触しないようにし、直ちにセ
パラブルフラスコの蓋をした。その後、アスピレーター
で、セパラブルフラスコ内部をトリエトキシボランが沸
騰しない程度に減圧し、20℃の恒温室で3時間静置し
た。
【0024】その後、前記と同様内部に金網を備えた別
の200ml容セパラブルフラスコの底部に純水10m
lを入れたものを用意し、前記のトリエトキシボランを
吸着させた活性炭繊維をガラス容器ごと前記のセパラブ
ルフラスコから取り出して、用意したセパラブルフラス
コの金網の上に水と直接接触しないように置いた。その
後直ちに蓋をして、このセパラブルフラスコを20℃の
恒温室で2時間静置して、加水分解を行った。反応終了
後の繊維は、反応を行う前と外観上の変化はなく、繊維
同士の融着も見られなかったが、この繊維を電気炉で温
度350℃にて3時間加熱させた後重量を測定したとこ
ろ、反応前の乾燥重量に比べて、3%増加していた。こ
の繊維を空気中900℃で1時間加熱して灰化したもの
を、臭化カリウム錠剤法により赤外吸収スペクトル(I
R)を測定した結果、繊維に担持されていた物質はボロ
ンの酸化物であることがわかった。重量増加から、ボロ
ン酸化物の全活性炭重量当りの含有量は、3.0%に相
当することが分かった。
【0025】次に、このボロン酸化物を含有する活性炭
繊維0.1gを、アルミナ製の板の上にのせ両端にそれ
ぞれ5gのおもりをのせることにより固定した。アルミ
ナ製のタンマン管の底部に粒状の一酸化ケイ素(試薬、
純度99.9%、和光純薬工業社製)1gを、開口部に
近いところに前記活性炭繊維を入れ、モリブデンからな
るシートを開口部にかぶせた。このタンマン管を60φ
のアルミナ製の炉心管を備えた管状炉中に入れて1Pa
まで減圧し、400℃/hrの昇温速度で1300℃ま
で昇温し、その温度を2時間保持して炭化珪素化を行っ
た後、室温まで自然冷却した。得られた繊維を臭化カリ
ウム錠剤法によって赤外吸収スペクトルを調べたとこ
ろ、900cm-1付近に炭化珪素の吸収がみられ、また
X線回折装置を用いて結晶の回折角度を調べたところ、
CuKα2θ=35.7度にピークが見られたことか
ら、この繊維は結晶質の炭化珪素からなることがわかっ
た。
【0026】更に、得られた繊維を、空気中で1000
℃、1時間加熱したが、重量減少は全く見られなかった
ので未反応の炭素は無いことが判明した。得られた繊維
の引張り強度を測定したところ、1500MPaであっ
た。得られた炭化珪素化された繊維の一部を、グラファ
イトの板の上にのせ両端にそれぞれ5gのおもりをのせ
て固定したものを、50φの炉心管を持つグラファイト
炉に入れ、500ml/分の流量でアルゴンガス(純度
99.999容量%)を流しながら、1200℃まで3
0分で昇温し(2400℃/時間)、その温度を300
分間保持した後、1800℃まで30分で昇温し(12
00℃/時間)、その温度を60分間保持した後、室温
まで冷却した。使用したアルゴンガスの総流量は、加熱
炉の容積の200倍であった。得られた繊維の引張り強
度を測定したところ、2000MPaであった。
【0027】本発明で用いた比表面積及び引張り強度を
測定するための試験法は、次の通りである。 試験法 (1)多孔質炭素材料の比表面積 低温窒素吸着法にてBET多点法を用いて測定した。 (2)引張り強度 JIS R−7601の方法に従い、室温にて引張り試
験機(テンシロン;東洋ボールドウィン社製)を用いて
測定した。
【0028】比較例1 実施例1で用いたのと同じ比表面積が1000m2 /g
の乾燥済みフェノール系活性炭繊維の長繊維束0.1g
を用い、トリエトキシボランを用いないこと以外は、実
施例1と同様にして炭化珪素化を行った。得られた繊維
を臭化カリウム錠剤法によって赤外吸収スペクトルを調
べたところ、900cm-1付近に炭化珪素の吸収がみら
れ、またX線回折装置を用いて結晶の回折角度を調べた
ところ、CuKα2θ=35.7度にピークが見られた
ことから、この繊維は結晶質の炭化珪素からなることが
わかった。更に、得られた繊維を、空気中で1000
℃、1時間加熱したが、重量減少は全く見られなかった
ので未反応の炭素は存在しないことが判明した。得られ
た繊維の引張り強度を測定したところ、800MPaで
あった。その後、炭化珪素繊維を、実施例1と同様にし
てアルゴンガス(純度99.999容量%)中で加熱し
たところ、得られた繊維は、加熱処理前の繊維と比べて
若干結晶の粗大化が生じているのが観察され、繊維の引
張り強度は400MPaに低下していた。
【0029】実施例2 比表面積が700m2 /gのポリアクリロニトリル樹脂
を原料とする活性炭繊維を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして熱風循環式乾燥器に入れ、温度105℃で
12時間乾燥させた。この活性炭繊維0.1gを用いた
こと以外は、実施例1と同様にして活性炭繊維にトリエ
トキシボランを吸着、加水分解を行った。反応後の繊維
は、反応を行う前と比べて外観上の変化はなく、繊維相
互の融着も見られなかった。この繊維を電気炉中350
℃で3時間加熱した後の重量を測定したところ反応前の
乾燥重量に比べて2.5%増加していた。この繊維を空
気中900℃で1時間加熱して灰化したものを、臭化カ
リウム錠剤法により赤外吸収スペクトル(IR)を測定
した結果、このフェルトに担持されていた物質はボロン
の酸化物であることがわかった。ボロン酸化物の全活性
炭重量当りの含有量は2.5%であった。次に、このボ
ロン酸化物を含有する活性炭繊維0.1gと一酸化ケイ
素1gを用いた以外は、実施例1と同様にして炭化珪素
化を行った。
【0030】得られた繊維を臭化カリウム錠剤法によっ
て赤外吸収スペクトルを調べたところ、900cm-1
近に炭化珪素の吸収がみられ、またX線回折装置を用い
て結晶の回折角度を調べたところ、CuKα2θ=3
5.7度にピークが見られたことから、この繊維は結晶
質の炭化珪素からなることがわかった。更に、得られた
繊維を、空気中で1000℃、1時間加熱したが、重量
減少は全く見られなかった。又、得られた繊維の引張り
強度を測定したところ、1600MPaであった。更
に、この炭化珪素化された繊維を用いた以外は、実施例
1と同様にして、加熱処理を行った。得られた繊維のX
線回折分析を実施例1と同様に測定したところ、この繊
維は炭化珪素からなることがわかった。又、この繊維の
引張り強度を測定したところ、2100MPaであっ
た。
【0031】比較例2 比表面積が700m2 /gのポリアクリロニトリル樹脂
を原料とする活性炭繊維を用いたこと及びトリエトキシ
ボランを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にし
て活性炭繊維を炭化珪素化した。得られた繊維は炭化珪
素からなり、また引張強度は、1000MPaであっ
た。更に、この炭化珪素化された繊維の一部を、グラフ
ァイトの板の上にのせ、両端にそれぞれ5gのおもりを
のせて固定したものを、50φの炉心管を有するグラフ
ァイト炉に入れ、500ml/分の流量で窒素ガス(純
度99.999容量%)を流しながら、1200℃まで
30分で昇温し(2400℃/時間)、その温度を30
0分間保持した後1600℃まで20分で昇温し(12
00℃/時間)、その温度を60分間保持し、その後室
温まで冷却した。使用した窒素ガスの総流量は、加熱炉
の容積の200倍であった。得られた繊維の引張り強度
を測定したところ、1300MPaであった。
【0032】実施例3 金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン(和光純
薬工業社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て、活性炭繊維に金属アルコキシドを吸着させ、加水分
解を行い、シリコン金属の酸化物を活性炭繊維に含有さ
せた。 反応終了後の繊維は、反応を行う前と外観上の
変化はなく、繊維同士の融着も見られなかったが、この
繊維を熱風循環式乾燥器で温度105℃にて12時間乾
燥させた後重量を測定したところ、最初に乾燥させた時
の重量に比べて、30%増加していた。この繊維の一部
を空気中900℃で1時間加熱して灰化したものを、臭
化カリウム錠剤法により赤外吸収スペクトル(IR)を
測定した結果、繊維に担持されていた物質はシリコンの
酸化物であることがわかった。灰化した残りの物質の重
量から、シリコン酸化物の全活性炭重量当りの含有量
は、4.0%に相当することが分かった。次に、このシ
リコンの酸化物を担持した活性炭繊維を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして、繊維の炭化珪素化を行っ
た。
【0033】得られた繊維を臭化カリウム錠剤法によっ
て赤外吸収スペクトルを調べたところ、900cm-1
近に炭化珪素の吸収がみられ、またX線回折装置を用い
て結晶の回折角度を調べたところ、CuKα2θ=3
5.7度にピークが見られたことから、この繊維は結晶
質の炭化珪素からなることがわかった。更に、得られた
繊維を、空気中で1000℃、1時間加熱したが、重量
減少は全く見られなかった。又、得られた繊維の引張り
強度を測定したところ、1600MPaであった。続い
て、得られた繊維の0.07gをグラファイトの板の上
にのせ両端にそれぞれ5gのおもりをのせて固定したも
のを、50φの炉心管を持つグラファイト炉に入れ、5
00ml/分の流量の窒素ガス(純度99.999容量
%)を流しながら、1200℃まで30分で昇温し(2
400℃/時間)、その温度を300分間保持した後、
1600℃まで20分(1200℃/時間)で昇温し
(1200℃/時間)、その温度を3時間保持した後、
室温まで冷却した。用いた窒素ガスの総流量は、グラフ
ァイト炉の容積の250倍であった。この熱処理後の繊
維の引張強度を測定したところ、2000MPaであっ
た。
【0034】実施例4 金属アルコキシドとしてチタンイソプロポキシド(和光
純薬工業社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して、活性炭繊維に金属アルコキシドを吸着させ、加水
分解を行い、チタン金属の酸化物を活性炭繊維に含有さ
せた。反応終了後の繊維は、反応を行う前と外観上の変
化はなく、繊維同士の融着も見られなかったが、この繊
維を電気炉で温度500℃にて1時間加熱した後重量を
測定したところ、反応前の乾燥重量に比べて、3.5%
増加していた。この繊維を空気中900℃で1時間加熱
して灰化したものを、蛍光X線法およびX線回折法によ
り分析した結果、繊維に含有されていた物質はチタンの
酸化物であることが分かった。重量増加から、チタン酸
化物の全活性炭重量当りの含有量は、3.5%に相当す
ることが分かった。次に、このチタンの酸化物を含有す
る活性炭繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て、繊維の炭化珪素化を行った。
【0035】得られた繊維を臭化カリウム錠剤法によっ
て赤外吸収スペクトルを調べたところ、900cm-1
近に炭化珪素の吸収がみられ、またX線回折装置を用い
て結晶の回折角度を調べたところ、CuKα2θ=3
5.7度にピークが見られたことから、この繊維は結晶
質の炭化珪素からなることが分かった。更に、得られた
繊維を、空気中で1000℃、1時間加熱したが、重量
減少は全く見られなかった。また、得られた繊維の引張
り強度を測定したところ、1600MPaであった。更
に、チタンの酸化物を含有する炭化珪素繊維を用いたこ
と及び加熱処理条件を1200℃で300分、1900
℃で60分とした以外は、実施例1と同様にして加熱処
理を行った。得られた繊維の引張強度を測定したとこ
ろ、2100MPaであった。
【0036】実施例5 横型の筒状反応容器に、実施例1で用いた活性炭繊維
0.5gと、金属アルコキシドとして固形のアルミニウ
ムイソプロポキシド(和光純薬工業社製)5gとを、乾
燥窒素(純度99.9容量%)を前記反応容器内に導入
して流す際に、アルミニウムイソプロポキシドが上流、
活性炭繊維が下流になるように、又両者が混合しないよ
うに載置した。筒状反応容器内に前記乾燥窒素を50m
l/分の流量で流しながら、前記反応容器の外側に巻い
たヒーターにより、アルミニウムイソプロポキシドと活
性炭繊維を150℃に加熱、3時間保持し、発生したア
ルミニウムイソプロポキシドの蒸気を、乾燥窒素の気流
で運び下流の活性炭に吸着させた。冷却後この活性炭繊
維を取り出し、実施例1と同様にして活性炭繊維に吸着
された金属アルコキシドの加水分解を行い、アルミニウ
ムの酸化物を活性炭に含有させた。反応終了後の繊維
は、反応を行う前と外観上の変化はなく、繊維同士の融
着も見られなかったが、この繊維を熱風循環式乾燥器で
温度105℃にて12時間加熱した後重量を測定したと
ころ、反応前の乾燥重量に比べて、20%増加してい
た。この繊維の一部を空気中1200℃で1時間加熱し
て灰化したものを、臭化カリウム錠剤法により赤外吸収
スペクトルを測定した結果及びX線回折法による分析の
結果から、繊維に担持されていた物質はアルミニウムの
酸化物であることが判明した。灰化した残りの物質の重
量から、アルミニウム酸化物の全活性炭重量当りの含有
量は、3.0%に相当することが分かった。
【0037】次に、このアルミニウムの酸化物を担持し
た活性炭繊維を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て、繊維の炭化珪素化を行った。得られた繊維を臭化カ
リウム錠剤法によって赤外吸収スペクトルを調べたとこ
ろ、900cm-1付近に炭化珪素の吸収がみられ、また
X線回折装置を用いて結晶の回折角度を調べたところ、
CuKα2θ=35.7度にピークが見られたことか
ら、この繊維は結晶質の炭化珪素からなることがわかっ
た。更に、得られた繊維を、空気中で1000℃、1時
間加熱したが、重量減少は全く見られなかった。また、
得られた繊維の引張り強度を測定したところ、1700
MPaであった。更に、アルミニウムの酸化物を含有す
る炭化珪素繊維を用いたこと以外は、実施例3と同様に
して加熱処理を行った。得られた繊維の引張強度を測定
したところ、2100MPaであった。
【0038】実施例6 フェノール6.5kg、固形分濃度44%のホルマリン
3.4kg及びシュウ酸20gを10リットル容量のセ
パラブルフラスコに入れて、攪拌しながら20℃から1
00℃まで5時間で昇温し、この温度を1時間保持し
た。その後、20mmHgの減圧下で加熱して3時間で
180℃まで昇温し、水分、未反応物及び低沸点化合物
を除去した。得られたノボラック樹脂の溶融軟化温度は
125℃であった。得られた樹脂2kgを150℃に加
熱溶融したところへ、金属ボロン粉末4gを加え、よく
混合した後、口数120、孔径0.20mmφの紡糸用
口金を用いて145℃で紡糸し、700m/分の速度で
捲取り、未硬化ノボラック繊維を得た。得られた未硬化
ノボラック繊維を18%の塩酸と13%のホルムアルデ
ヒドからなる混合水溶液に20℃で浸漬し、2時間で9
7℃まで徐々に昇温後、95〜98℃の温度で5時間保
持した。こうして得られた繊維を5%のアンモニア水溶
液に浸漬し、75℃の温度で3時間処理して硬化させ
た。
【0039】得られた硬化ノボラック繊維10gを60
φのアルミナ製の炉心管を備えた管状炉内に静置し、管
の一端から500ml/分の流量で窒素ガス(純度9
9.9容量%)を流しながら150℃まで昇温した後、
流量を390ml/分に下げた窒素ガスを予め70℃に
加熱した熱水中に通過させて得られた76.5容量%の
窒素と23.5容量%の水蒸気からなる混合ガスを、窒
素に代えて炉心管内に流しながら、700℃まで1時間
で昇温し、その後再び流量500ml/分の窒素ガスの
みに切換え、800℃まで12分で昇温しその温度を3
0分間保持した後、冷却した。得られた多孔質炭素繊維
の比表面積は1000m2/gであり、金属ボロンを含
有させないノボラック樹脂を前記と同様の方法で賦活し
て得られた多孔質繊維の収率が40%であったことから
活性炭素繊維中に含有される金属ボロンの全活性炭重量
当りの含有率は、0.5%であった。次いで、この金属
ボロンを含む多孔質炭素繊維を用いたこと以外は、実施
例1と同様にして、繊維の炭化珪素化を行った。
【0040】得られた繊維を臭化カリウム錠剤法によっ
て赤外吸収スペクトルを調べたところ、900cm-1
近に炭化珪素の吸収がみられ、またX線回折装置を用い
て結晶の回折角度を調べたところ、CuKα2θ=3
5.7度にピークが見られたことから、この繊維は結晶
質の炭化珪素からなることがわかった。さらに、得られ
た繊維を、空気中で1000℃、1時間加熱したが、重
量減少は全く見られなかった。得られた繊維の引張り強
度を測定したところ、1600MPaであった。次に、
得られたボロン金属を含有する炭化珪素繊維0.07g
を用いたこと以外は実施例1と同様にして加熱処理を行
った。この加熱処理後の繊維の引張強度を測定したとこ
ろ、2000MPaであった。
【0041】実施例7 ノボラック樹脂2kgを150℃に加熱溶融したところ
へ、金属ボロン粉末2.4gとアルミナ(アルミニウム
酸化物、アルドリッチ社製)粉末8gを加えた以外は、
実施例6と同様にして、紡糸して繊維とし、硬化し、そ
の後炭化と多孔質化(賦活)を行って、金属ボロンとア
ルミナを含有する比表面積が1000m 2/gの多孔質
炭素繊維を得た。実施例6と同様にしてノボラック樹脂
からの多孔質炭素繊維の収率が40%であることから、
得られた多孔質繊維中の金属ボロンとアルミナの含有量
は、それぞれ全炭素繊維重量当り0.3%と1.0%で
あった。次に、この繊維を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして、繊維の炭化珪素化を行った。得られた繊
維を臭化カリウム錠剤法によって赤外吸収スペクトルを
調べたところ、900cm-1付近に炭化珪素の吸収がみ
られ、またX線回折装置を用いて結晶の回折角度を調べ
たところ、CuKα2θ=35.7度にピークが見られ
たことから、この繊維は結晶質の炭化珪素からなること
がわかった。更に、得られた繊維を、空気中で1000
℃、1時間加熱したが、重量減少は全く見られなかっ
た。得られた繊維の引張り強度を測定したところ、16
00MPaであった。次に、金属ボロンとアルミナを含
有する炭化珪素繊維を用いたこと及び加熱条件を120
0℃で300分と1700℃で60分としたこと以外
は、実施例1と同様にして加熱処理を行った。この加熱
処理後の繊維の引張強度を測定したところ、2100M
Paであった。
【0042】実施例8 ノボラック樹脂2kgを150℃に加熱溶融したところ
へ、アルミナ粉末8g、イットリア(イットリウム酸化
物)粉末3.2g及びマグネシア(マグネシウム酸化
物)粉末4gを加えたこと以外は、実施例6と同様にし
て、紡糸して繊維とし、硬化し、その後炭化と多孔質化
を行って、アルミナ、イットリア及びマグネシアを含有
する比表面積が1000m2/gの多孔質炭素繊維を得
た。得られた繊維中のアルミナ、イットリア及びマグネ
シアの含有量は、それぞれ全炭素繊維重量当り1.0、
0.4及び0.5%である。次いで、この繊維を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして繊維の炭化珪素化を
行った。得られた繊維を臭化カリウム錠剤法によって赤
外吸収スペクトルを調べたところ、900cm-1付近に
炭化珪素の吸収がみられ、またX線回折装置を用いて結
晶の回折角度を調べたところ、CuKα2θ=35.7
度にピークが見られたことから、この繊維は結晶質の炭
化珪素からなることがわかった。更に、得られた繊維
を、空気中で1000℃、1時間加熱したが、重量減少
は全く見られなかった。繊維の引張り強度を測定したと
ころ、1800MPaであった。次に、アルミナ、イッ
トリア及びマグネシアを含有する炭化珪素繊維を用いた
こと以外は、実施例3と同様にして加熱処理を行った。
この加熱処理後の繊維の引張強度を測定したところ、2
100MPaであった。
【0043】実施例9 比表面積が1000m2 /gのフェノール樹脂を原料と
する活性炭繊維からなるフェルト(クラレケミカル社
製、目付120g/m2)を熱風循環式乾燥器に入れ、
温度105℃で12時間乾燥させた。この活性炭繊維の
フェルト(大きさ5cmx5cm)を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして活性炭繊維からなるフェルト
に金属アルコキシドとしてトリエトキシボランを吸着さ
せた後、加水分解を行った。この状態でのフェルトは、
反応を行う前と比べて外観上の変化はなく、繊維相互或
いは粒子相互の凝集は見られなかった。このフェルトを
電気炉中350℃で3時間加熱した後、重量を測定した
ところ反応前の乾燥重量に比べて3.0%増加してい
た。この繊維を空気中900℃で1時間加熱して灰化し
たものを、臭化カリウム錠剤法により赤外吸収スペクト
ル(IR)を測定した結果、このフェルトに担持されて
いた物質はボロンの酸化物であり、重量増加から、ボロ
ン酸化物の全活性炭重量当りの含有量は、3.0%に相
当することが分かった。次に、このボロンの酸化物を含
有する活性炭繊維のフェルトを用いたこと以外は、実施
例1と同様にして炭化珪素化を行い、更に、この炭化珪
素化されたフェルトを用いたこと以外は、実施例1と同
様にして加熱処理を行った。強度の測定は行わなかった
が、しっかりとした感触のフェルトであった。
【0044】実施例10 比表面積が700m2 /gのフェノール樹脂を原料とす
る活性炭繊維を含有する炭素シート(日本カイノール社
製、坪量50g/m2、活性炭繊維含有率50%、炭素
含有率50%)をフェノール樹脂接着剤を用いて大きさ
20cmx20cm、厚さ2cm、一辺の長さが10m
mからなる六角のハニカム状三次元構造体に加工した。
次いで、これを熱風循環式乾燥器に入れ、温度105℃
で12時間乾燥させた。その後、上蓋が開閉可能な18
リットル容の金属製密閉容器の底部から50mmの高さ
の位置が確保できるように、支柱を有する150メッシ
ュの金網を設置し、該容器の底部に金属アルコキシドと
してトリエトキシボラン(B(OC253)(アルド
リッチ社製)100gを入れ、別のガラス製容器に入れ
た前記の乾燥済みのハニカム構造体2gをそのガラス容
器ごと蓋をしないで金網の上にのせ、トリエトキシボラ
ンと直接接触しないようにし、直ちに該容器の蓋をし
た。その後、アスピレーターで、該容器内部をトリエト
キシボランが沸騰しない程度に減圧し、20℃の恒温室
で3時間静置した。
【0045】その後、この構造体を取り出し、純水30
0mlを底部に入れた上蓋が開閉可能な18リットル容
の金属製の密閉容器に、前記三次元構造体にトリエトキ
シボランを吸着させる場合と同様にして、水と前記構造
体が直接混合、接触しないようにして該構造体を金網の
上に乗せ、上蓋を閉じて、温度20℃の恒温室で2時間
静置して、加水分解を行った。反応終了後の構造体は、
反応を行う前と外観上の変化はなかった。この構造体を
電気炉に入れ、温度350℃にて3時間加熱した後重量
を測定したところ、反応前の乾燥重量に比べて3.0%
増加していた。この構造体の一部を空気中900℃で1
時間加熱して灰化したものを、臭化カリウム錠剤法によ
り赤外吸収スペクトル(IR)を測定した結果、構造体
に担持されていた物質はボロンの酸化物であり、重量増
加から、ボロン酸化物の全活性炭重量当りの含有量は、
3.0%に相当することが分かった次に、このボロンの
酸化物を含有するハニカム構造体0.5gと、一酸化ケ
イ素5gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして構
造体の炭化珪素化を行った。さらに、この炭化珪素化さ
れたハニカム構造体を用いたこと以外は、実施例1と同
様にして加熱処理を行った。強度は、測定できなかった
が、非常にしっかりとしたハニカム三次元構造体が得ら
れた。
【0046】実施例及び比較例で得られた測定結果を表
1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】本発明の金属或いは金属化合物を含有する
多孔質炭素繊維から製造された炭化珪素繊維は、実質的
に炭化珪素からなり、かつ金属や金属化合物を含有しな
い多孔質炭素繊維からのものと比較して、引張り強度が
向上する。金属或いは金属化合物を含有する多孔質炭素
繊維から製造された炭化珪素繊維を、更に実質的に酸素
を含有しない不活性ガス雰囲気中で加熱処理することに
より、強度は、より一層向上する(実施例1〜2と比較
例1〜2との比較)。金属或いは金属化合物を含有しな
い炭化珪素繊維は、窒素ガスを含まない雰囲気中で加熱
処理すると強度が損なわれた(比較例1)。本発明で
は、多孔質炭素材料に含有させる金属或いは金属化合物
は、ボロン、シリコン、チタン、アルミニウム、イット
リウム、マグネシウム及びそれらの化合物のいずれを用
いても、又それらをどのように組み合わせて用いても、
前記のような炭化珪素材料の強度向上効果が得られた
(実施例1〜8)。金属或いは金属化合物を含有させた
多孔質炭素材料を用いることにより、繊維状、シート状
或いは三次元構造体のように形状には関係なく、強度の
優れた炭化珪素材料として応用することができる(実施
例9〜10)。
【0049】
【発明の効果】本発明は、炭化珪素材料を製造する際
に、多孔質炭素材料に予め金属或いは金属化合物を含有
させることにより、より強度の高い炭化珪素材料の製造
方法を提供するという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/56 101N

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が100〜3000m2 /gの
    多孔質炭素材料と、一酸化珪素ガスとを、800〜20
    00℃の温度で反応させて得られる炭化珪素材料の製造
    方法において、前記多孔質炭素材料に、金属或いは金属
    化合物を予め含有させることを特徴とする炭化珪素材料
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 該炭化珪素材料を、酸素を実質的に含ま
    ない雰囲気或いはガス雰囲気中で800〜2200℃の
    温度で加熱を行うことを特徴とする請求項1記載の炭化
    珪素材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記多孔質炭素材料が、多孔質炭素繊
    維、多孔質炭素繊維からなるシート、前記シートからな
    る三次元構造体、多孔質炭素繊維からなる三次元構造体
    から選ばれた1種であることを特徴とする請求項1或い
    は2記載の炭化珪素材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属が、ボロン(B)、アルミニウ
    ム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、イッ
    トリウム(Y)、マグネシウム(Mg)から選ばれた少
    なくとも1つであることを特徴とする請求項1、2或い
    は3記載の炭化珪素材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属化合物が、請求項4記載の金属
    の酸化物、水素化物、水酸化物、アルコキシド、窒化
    物、ハロゲン化物から選ばれた少なくとも1つであるこ
    とを特徴とする請求項1、2或いは3記載の炭化珪素材
    料の製造方法。
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