JPH0830304B2 - 染色性を改質した蛋白繊維及びその製造法 - Google Patents

染色性を改質した蛋白繊維及びその製造法

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JPH0830304B2
JPH0830304B2 JP1043275A JP4327589A JPH0830304B2 JP H0830304 B2 JPH0830304 B2 JP H0830304B2 JP 1043275 A JP1043275 A JP 1043275A JP 4327589 A JP4327589 A JP 4327589A JP H0830304 B2 JPH0830304 B2 JP H0830304B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、通常の衣服等の素材として利用される絹や
羊毛のような蛋白繊維に、アニオン染料にに対しては防
染性を、カチオン染料に対しては増染性を付与して染色
性を改質するようにしたことを特徴とする蛋白繊維及び
その製造法に関する。
〈従来の技術〉 周知のように、絹や羊毛は約18種類のアミノ酸により
構成される蛋白繊維であり、一般に、比熱及び比重が人
体のそれに似ているため蛋白繊維を素材として作製した
衣服は着心地がよいといわれる素材である。
上記した蛋白繊維は、一般的には酸性染料、直接染
料、反応染料のようなアニオン染料によって染色されて
いるが、アニオン染料によって得られないような鮮明な
色を要求される場合には塩基性染料を使用することもあ
った。しかし、塩基性染料は、染色堅牢度が極めて低い
ので実用に問題があり、また、アクリル繊維用のカチオ
ン染料は、色が鮮明で染色堅牢度も優れているが、濃色
に染色することができないものであった。
一方、蛋白繊維をアニオン染料に染まらないようにす
る防染法としては、例えば被染物の一部を糸で結束する
などして染まらないようにして染色するしぼり、くく
り、板締め、ろう結等の機械的或いは物理的な防染法が
従来より知られているが、化学的な防染法に成功した例
は未だ提案されていない。
〈発明が解決しようとする問題点〉 上記したように、蛋白繊維の染色において、鮮明な色
に且つ実用に耐え得る染色堅牢度を有する染料或いは染
色方法は未だ提案されていないものであり、またアニオ
ン染料に対する化学的な防染法についても実用化に至っ
た例が未だ無い状況である。従って、上記したそれぞれ
の問題点を解決する方法が嘱望されていた。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明は、上記に鑑み提案されたもので、蛋白繊維を
無水O−スルホ安息香酸の有機溶媒溶液中に浸漬して加
熱することにより蛋白繊維を構成する蛋白質の分子内に
スルホン基を化学的に導入してなり、アニオン染料に対
しては防染性をカチオン染料に対しては増染性を付与す
ることを特徴とする染色性を改質した蛋白繊維及びその
製造法に関するものである。
本発明の染色性を改質した蛋白繊維は、上記したよう
にアニオン染料に対しては防染性を有し、且つカチオン
染料に対しては増染性を有するものであるが、上記した
特性は蛋白繊維を構成する蛋白質分子内に強力なアニオ
ン基を化学的に導入することによって達成することがで
きるものである。
即ち、蛋白質は両性電解質であり分子内に酸性基(‐
COOH等)と塩基性基(‐NH2等)を共有するものである
が、塩基性基であるアミノ酸(‐NH2)或いは水酸基
(‐OH)に上記した強力なアニオン基であるスルホン基
(‐SO3H)を導入することによって、アニオン染料に対
してはイオン的斥力が働き防染性を、且つカチオン染料
に対してはイオン的親和力が働き増染性を付与すること
ができるのである。
上記した蛋白質分子内のアミノ基或いは水酸基として
は、蛋白質を構成するアミノ酸の一つであるリジンの側
鎖のアミノ基、 チロシンの側鎖のフェノール水酸基、 等を挙げることができる。
上記したリジンの側鎖のアミノ基と無水O−スルホ安
息香酸、 の反応は容易に行われるが、チロシンの側鎖のフェノー
ル水酸基と無水O−スルホ安息香酸の反応は高い処理温
度を必要とする。
従って、蛋白繊維に対する無水O−スルホ安息香酸の
反応性、即ちスルホン基の導入のしやすさは、蛋白質を
構成するアミノ酸の種類と構成割合によって異なるもの
である。
即ち、上記したリジンとチロシンとを例にとると、メ
リノ羊毛(ケラチン)はリジン3.3wt%、チロシン6.4wt
%を含有してなり、絹(フィブロイン)はリジン0.4wt
%、チロシン13.8をwt%を含有するものであり、メリノ
羊毛はリジンを多く含有し、絹はチロシンを多く含有す
るものである。従って、本発明における無水O−スルホ
安息香酸を絹へ反応させる処理温度は、メリノ羊毛のそ
れよりも高いものでなければならない。
通常、羊毛における本発明の具体的な処理方法は、5
〜25%の無水O−スルホ安息香酸の浴中に温度40〜60℃
において30〜90分間浸漬するものであり、それに対して
絹の処理においては、上記した浴中に温度60〜80℃にお
いて60〜120分間浸漬することが実用に最も適してい
る。
また、上記した無水O−スルホ安息香酸のスルホン基
を導入する反応における反応媒体としては、一般の有機
溶剤を使用することができるが、蛋白繊維に対して膨潤
能の高いジメチルホルムアミド若しくはジメチルスルホ
キシドが最も効果的であった。
上記したように本発明の染色性を改質した蛋白繊維
は、無水O−スルホ安息香酸の浴中に浸漬して加熱する
だけで得られ、鮮明な色を付与することができるカチオ
ン染料に対しては極めて良好な染色性を有するので、鮮
明な蛋白繊維製の服飾品を得ることができる。
また、本発明の染色性を改質した蛋白繊維の製造法
は、蛋白繊維にアニオン染料に対する防染性を付与する
ものであり、従来の物理的な防染法に対する化学的な防
染法であり、例えば防染性を付与した本発明の蛋白繊維
と通常の蛋白繊維とを組み合せて布地を作製し、アニオ
ン染料で染色すると、通常の蛋白繊維の部分のみが染色
された織物を作製することができる。
〈実施例〉 実施例1 精練済みの14匁付絹羽二重を、無水O−スルホ安息香
酸100gとジメチルホルムアミド900gとからなる浴に浸漬
し、70℃で1時間加熱した。処理布を取り出してメタノ
ールで洗滌し、さらに水でよく洗滌して乾燥した。処理
布の重量増加率は5.8%であった。
実施例2 加熱時間を70℃で2時間にした以外は上記した実施例
1と同様に処理、洗滌、乾燥を行った。得られた処理布
の重量増加率は11.5%であった。
実施例3 加熱時間を70℃で3時間にした以外は上記した実施例
1と同様に処理、洗滌、乾燥を行った。得られた処理布
の重量増加率は16.5%であった。
実施例4 羊毛モスリンを無水O−スルホ安息香酸100gとジメチ
ルホルムアミド900gとからなる浴に浸漬し、60℃で0.5
時間加熱した。処理布を取り出してメタノールで洗滌
し、さらに水でよく洗滌して乾燥した。処理布の重量増
加率は8.2%であった。
実施例5 加熱時間を60℃で1.0時間にした以外は上記した実施
例4と同様に処理、洗滌、乾燥を行った。得られた処理
布の重量増加率は13.4%であった。
実施例6 加熱時間を60℃で1.5時間にした以外は上記した実施
例4と同様に処理、洗滌、乾燥を行った。得られた処理
布の重量増加率は18.0%であった。
比較例1 未処理の精練済みの14匁付絹羽二重を比較例1とし
た。
比較例2 未処理の羊毛モスリンを比較例2とした。
(評価方法) 染色性(対カチオン染料) 上記した実施例1〜3及び比較例1の処理布を2%ア
イゼンカチロンレッドGLH(C.I.Basic Red 38)の酢酸
浴(pH4,浴比40:1)中において温度85℃で30分間染色し
た。
各染色布を充分に水洗して乾燥した後、表面染着濃度
(K/S)を日立カラーアナライザ617型によって求めた結
果を表1に示した。
また、実施例4〜6及び比較例2の処理布について
は、2%スミアクリルブルーE−6G(C.I.Basic Blue
3)の酢酸浴(pH4,浴比40:1)中において温度80℃で45
分間染色し、上記の操作と同様にしてK/Sを求め、結果
を表1に示した。
防染性(対アニオン染料) 上記した実施例1〜3及び比較例1の処理布を2%カ
ヤノールレッドRS(C.I.Acid Red99)の酢酸浴(pH4,浴
比40:1)中において温度85℃で45分間染色した。
各染色布を上記した染色性と同様に水洗、乾燥した
後、K/Sを求めて結果を表1に示した。
また、実施例4〜6及び比較例2の処理布について
は、2%カヤノールブルーN2G(C.I.Acid Blue 40)の
酢酸浴(pH4,浴比40:1)中において温度80℃で45分間染
色し、K/Sを求め、結果を下記の表1に示した。
上記した表1より明らかなように、絹のカチオン染料
に対する染色性は重量増加率が比較的低くても、顕著に
向上し、処理時間が短いもの(実施例1)でも高い染色
性を有することがわかる。また、アニオン染料に対する
防染性は、重量増加率が10%以上のもの(実施例2、
3)において極めて良好であることがわかる。
また、羊毛のカチオン染料に対する染色性、アニオン
染料に対する防染性においても、上記した絹の場合と同
様でアニオン染料に対する防染性は、重量増加率が13%
以上のもの(実施例5、実施例6)において極めて良好
であることが明らかである。
洗濯堅牢度の測定 上記した実施例2の処理布を表2に示す各カチオン染
料の酢酸浴(pH4,浴比40:1)中において温度85℃で30分
間染色した。
各染色布を上記した染色性と同様に水洗、乾燥した
後、K/Sを求め、さらにJIS L0844-A2に準じて洗濯堅牢
度を試験した。洗濯堅牢度は、変退色と汚染の2項目に
おいて評価し、それぞれの結果を表2に示した。
上記した表2より明らかなように、本発明の実施例2
は各カチオン染料により濃色に染色され、しかも実用に
耐えるだけの洗濯堅牢度を備えていることが認められ
る。
〈発明の効果〉 以上説明したように本発明の染色性を改質した蛋白繊
維は、カチオン染料に対しては優れた染色性を示し、ア
ニオン染料に対しては防染性を有するものである。
従って、本発明の蛋白繊維は、絹や羊毛等の蛋白繊維
を鮮明な色のカチオン染料を用いて染色をすることがで
きるので、鮮明な色を有する蛋白繊維製の服飾品を得る
ことができる。また、本発明の蛋白繊維は、アニオン染
料に対して防染性を有するので、通常の蛋白繊維との併
用により複数の色を有する織物を作製することができ
る。
また、本発明の蛋白繊維は、蛋白繊維の特徴である水
分吸収性及び機械的性質(特に長範囲の弾性)を損なう
ことがなく、通常の蛋白繊維と同様な保温性や装着感を
維持するものである。
さらに、本発明の染色性を改質した蛋白繊維の製造法
は、特別な装置や設備を必要とするものでないので従来
の物理的な防染法に比べて実用的価値は極めて高い。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子内にスルホン基を化学的に導入した蛋
    白質よりなる蛋白繊維であって、アニオン染料に対して
    は防染性を、カチオン染料に対しては増染性を有するよ
    うにしたことを特徴とする染色性を改質した蛋白繊維。
  2. 【請求項2】蛋白繊維を無水o−スルホ安息香酸の有機
    溶媒溶液中に浸漬して加熱することにより蛋白繊維を構
    成する蛋白質の分子内にスルホン基を化学的に導入し、
    アニオン染料に対しては防染性を、カチオン染料に対し
    ては増染性を付与するようにしたことを特徴とする染色
    性を改質した蛋白繊維の製造法。
JP1043275A 1989-02-27 1989-02-27 染色性を改質した蛋白繊維及びその製造法 Expired - Lifetime JPH0830304B2 (ja)

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