JPH08311201A - 接着性に優れたポリアリーレンスルフィド - Google Patents

接着性に優れたポリアリーレンスルフィド

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JPH08311201A
JPH08311201A JP7140075A JP14007595A JPH08311201A JP H08311201 A JPH08311201 A JP H08311201A JP 7140075 A JP7140075 A JP 7140075A JP 14007595 A JP14007595 A JP 14007595A JP H08311201 A JPH08311201 A JP H08311201A
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pas
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sulfide
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Satoshi Inoue
井上  敏
Osamu Komiyama
治 小味山
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Tonen Chemical Corp
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Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い耐熱性と機械的強度に加えて、エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂等との接着性に優れたPASを提
供する。 【構成】 官能基を含有するアリーレンスルフィド単位
をアリーレンスルフィド単位の全量に対して0.1〜
1.8モル%含み、かつ溶融粘度V6 が50〜3000
ポイズであり、更にエポキシ樹脂との接着強度が60k
gf/cm2 以上である実質的に線状のポリアリーレン
スルフィド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は接着性に優れたポリアリ
ーレンスルフィド(以下、PASと略すことがある)及
びそれを含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】PASは耐熱性、成形加工性に優れ、更
には良好な耐薬品性、難燃性、寸法安定性等を有するた
め、電気・電子部品あるいは機械部品等に広く使用され
ている。しかし、PASは他の樹脂との接着性、特にエ
ポキシ樹脂との接着性が比較的悪い。そのため、例えば
エポキシ系接着剤によるPAS同士の接合、PASと他
の材料との接合、あるいはエポキシ樹脂による電気・電
子部品の封止等の際に、PASとエポキシ樹脂との接着
性の悪さが問題となっていた。
【0003】かかる問題に鑑みて、PASとエポキシ樹
脂との接着性を改良する種々の試みがなされている。例
えば、特開平2‐272063号公報にはカルナバワッ
クスを含むポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと
略すことがある)樹脂組成物、特開平4‐275368
号公報には繊維状及び/又は非繊維状充填剤とポリアル
キレンエーテル化合物を配合してなるPPS樹脂組成
物、特開平5‐171041号公報には橋かけポリアク
リル酸塩等の高吸水性樹脂を含むPPS樹脂組成物、特
開平6‐57136号公報には芳香族スルホン化合物、
及び繊維状及び/又は非繊維状充填剤を配合してなるP
PS樹脂組成物、特開平6‐107946号公報には脂
肪族ポリエステル、及び繊維状及び/又は非繊維状充填
剤を配合してなるPPS樹脂組成物、また、特開平6‐
166816号公報にはポリ(エチレンシクロヘキサン
ジメチレンテレフタレート)共重合体を配合してなるP
PS樹脂組成物が夫々開示されている。しかし、上記の
いずれにおいても、PPSより耐熱性の低い物質を添加
するため、樹脂組成物の耐熱性が低下し、更には機械的
強度が著しく低下する樹脂組成物もあった。
【0004】また、特開平4‐198267号公報に
は、PASとカルボキシル基含有PASとを含んでなる
PAS樹脂組成物、特開平5‐25388号公報には、
PASとアミノ基含有PASとを含んでなるPAS樹脂
組成物、及び特開平5‐59282号公報には、PA
S、アミノ基含有PAS及び他の熱可塑性樹脂を含んで
なるPAS樹脂組成物が開示されている。しかし、得ら
れたPASの接着強度はいずれも十分なものではなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のPA
Sの持つ高い耐熱性と機械的強度に加えて、エポキシ樹
脂、シリコーン樹脂等との接着性に優れたPASを提供
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、官能基を含有
するアリーレンスルフィド単位をアリーレンスルフィド
単位の全量に対して0.1〜1.8モル%含み、かつ溶
融粘度V6 が50〜3000ポイズであり、更にエポキ
シ樹脂との接着強度が60kgf/cm2 以上である実
質的に線状のポリアリーレンスルフィドである。
【0007】本発明のPASにおいて、官能基を含有す
るアリーレンスルフィド単位の含有量は、アリーレンス
ルフィド単位の全量に対して、下限が0.1モル%、好
ましくは0.2モル%、特に好ましくは0.3モル%で
あり、上限が1.8モル%、好ましくは1.75モル%
である。該含有量が、上記下限未満ではPASの接着性
が劣り、上記上限を超えてはPASの熱安定性が著しく
悪く、そのため、成形時にゲル状物が発生し、成形性が
極めて悪くなる。更に、該PAS中には、下記に示すP
AS製造の際に添加される、例えば1,3,5‐トリク
ロロベンゼン、1,2,4‐トリクロロベンゼン等のポ
リハロ化合物に起因する単位を含むこともできる。該単
位は、アリーレンスルフィド単位の全量に対して、好ま
しくは5.0モル%以下である。
【0008】本発明のPASの溶融粘度V6 は、上限が
3000ポイズ、好ましくは1500ポイズ、特に好ま
しくは1000ポイズであり、下限が50ポイズ、好ま
しくは100ポイズ、特に好ましくは150ポイズであ
る。上記上限を超えては、成形性が悪くなり、上記下限
未満では、接着強度が低下すると共に、耐熱性や機械的
強度も低下して好ましくない。ここで、溶融粘度V
6 は、フローテスターを用い、300℃、荷重20kg
f/cm2 、L/D=10で6分間保持した後に測定し
た粘度(ポイズ)である。
【0009】本発明のPASのエポキシ樹脂との接着強
度は、60kgf/cm2 以上、好ましくは70kgf
/cm2 以上である。上記値未満では、エポキシ樹脂と
の良好な接着性が得られないため好ましくない。ここ
で、エポキシ樹脂との接着強度は、下記のようにして測
定した値である。PAS40重量部にガラスファイバー
(チョップドストランド、繊維径10μm、繊維長3m
m、集束剤としてウレタン系樹脂を用い、アミノシラン
系表面処理剤で表面処理したもの)30重量部及び炭酸
カルシウム(平均粒子径3.0μm、比表面積1300
0cm2 /g)30重量部を混合した後、二軸異方向回
転押出機を用い320℃で混練して、ペレットを作成す
る。得られたペレットから、シリンダー温度320℃、
金型温度130℃に設定した射出成形機により、JIS
K6850に従う試験片を作成する。次いで、JIS
K6850に準拠し、得られた試験片をエポキシ樹脂
系接着剤[主剤(ノボラック型エポキシ樹脂)/硬化剤
(アミノ系硬化剤)=100重量部/33.3重量部]
を用いて90℃、30分の硬化条件で接着した後、引張
速度5mm/分、チャック間距離130mmで引張試験
を行い、接着強度を測定する。
【0010】また、本発明のPASは、実質的に線状で
ある。架橋構造を持つPASでは、接着強度が低く、か
つ耐衝撃性等の機械的強度も不十分である。
【0011】本発明のPASにおいて、アルカリ金属含
有量は、好ましくは200重量ppm以下、特に好まし
くは150重量ppm以下である。上記値以下とするこ
とにより、接着強度をより高めることができるため好ま
しい。PAS中に含まれる該アルカリ金属は、下記に示
すPAS製造の際に使用されるアルカリ金属硫化物に起
因するものであり、ナトリウム、リチウム、カリウム、
ルビジウム、セシウム等が挙げられる。ここで、アルカ
リ金属含有量は、PAS粉末を700℃で燃焼し、その
残渣を塩酸で溶解して、原子吸光分析計で測定して求め
た値である。
【0012】上記本発明のPASは、好ましくは下記の
方法で製造することができる。
【0013】即ち、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属
硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリー
レンスルフィドを製造する方法において、アルカリ金属
硫化物に対して0.5〜5.0モル%の官能基含有ハロ
置換芳香族化合物を、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香
族化合物との反応の前の又は反応中の反応系内に添加し
て、反応させることにより得たポリアリーレンスルフィ
ド(イ)のスラリーを濾過した後、得られた含溶媒濾過
ケーキを非酸化性ガス雰囲気下150〜250℃の温度
で加熱して溶媒を除去し、次いで水洗浄する方法、又は
上記と同じに製造したポリアリーレンスルフィド(イ)
を水洗浄及び酸処理する方法である。
【0014】該方法において添加する官能基含有ハロ置
換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物に対して、下限
が0.5モル%であり、上限が5.0モル%、好ましく
は3.5モル%である。上記下限未満では接着性が殆ど
改善されない。上記上限を越えては製造したPASの熱
安定性が著しく悪くなり、そのため、成形時にゲル状物
が発生し、成形性が極めて悪くなる。官能基含有ハロ置
換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族
化合物との反応の前の又は反応中のいづれの時点でも反
応系内に添加できる。好ましくは反応の前の反応系内に
添加され、この際、反応系内の温度は、好ましくは12
0〜200℃である。また、該方法では、比較的多量の
官能基含有ハロ置換芳香族化合物が未反応のまま反応系
に残存するため、反応後これを分離回収することが好ま
しい。
【0015】該方法で用いられる官能基含有ハロ置換芳
香族化合物としては、少なくとも一の芳香族環を有し、
芳香族環を形成する炭素原子のうち少なくとも一の炭素
原子及び/又は芳香族環の側鎖を形成する炭素原子の少
なくとも一の炭素原子に官能基を有しており、同時に芳
香族環を形成する炭素原子のうち少なくとも二の炭素原
子にハロゲン原子が結合している芳香族化合物を挙げる
ことができる。ここで芳香族環としては、ベンゼン環、
ナフタレン環、アントラセン環等を挙げることができ
る。これらのうちベンゼン環が好ましい。
【0016】官能基含有ハロ置換芳香族化合物が2個以
上の芳香族環を有する場合には、それらの芳香族環は、
直接単結合で結合していてもよく、二価の基を介在して
結合していてもよい。該二価の基としては、例えば酸素
原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カル
ボニル基、オキシアルキレン基、カルボニルアルキレン
基、及びポリメチレン基等の二価の炭化水素残基等を挙
げることができる。
【0017】官能基としては、例えば活性水素含有基即
ち‐NH2 、‐SH、‐OH、‐NHR、‐COOH、
‐CONH2 、‐CONHRを挙げることができる。上
記官能基中のRは、アルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アルカリール基、アリール置換アルキル基を
示す。これらの官能基のうち、‐NH2 、‐COOHが
好ましい。また、ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子が特に好ま
しい。
【0018】官能基含有ハロ置換芳香族化合物として
は、特開昭62‐95320号又は特開昭62‐185
717号公報に記載されているものを使用できる。官能
基として‐NH2 を持つ官能基含有ハロ置換芳香族化合
物としては、例えば2,5‐ジクロロアニリン、2,6
‐ジクロロアニリン、2,4‐ジクロロアニリン、2,
3‐ジクロロアニリン、3,5‐ジクロロアニリン、
2,4‐ジブロモアニリン、2,2´‐ジアミノ‐4,
4´‐ジクロロジフェニルエーテル、2,4´‐ジアミ
ノ‐2´,4‐ジクロロジフェニルエーテル、2,2´
‐ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニルチオエーテ
ル、2,4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロジフェニ
ルチオエーテル、2,2´‐ジアミノ‐4,4´‐ジク
ロロジフェニルスルホキシド、2,4´‐ジアミノ‐2
´,4‐ジクロロジフェニルスルホキシド、2,2´‐
ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニルメタン、2,
4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロジフェニルメタ
ン、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニルエーテ
ル、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフェニルエーテ
ル、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニルチオエ
ーテル、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフェニルチ
オエーテル、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニ
ルスルホキシド、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフ
ェニルスルホキシド、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノ
ジフェニルメタン、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジ
フェニルメタン等のジハロ芳香族化合物及び2,3,4
‐トリクロロアニリン、2,3,5‐トリクロロアニリ
ン、2,3,6‐トリクロロアニリン、2,4,5‐ト
リクロロアニリン、2,4,6‐トリクロロアニリン、
3,4,5‐トリクロロアニリン、2,3,4‐トリブ
ロモアニリン、2,3,5‐トリブロモアニリン、2,
3,6‐トリブロモアニリン、2,4,5‐トリブロモ
アニリン、2,4,6‐トリブロモアニリン、3,4,
5‐トリブロモアニリン、2,5‐ジクロロ‐4‐ブロ
モアニリン、2,2´‐ジアミノ‐3,4,4´‐トリ
クロロジフェニルエーテル、2,4´‐ジアミノ‐2
´,5´,4‐トリクロロジフェニルエーテル、2,
4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニルエーテ
ル、2,3,4‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニル
エーテル、2,4,5‐トリブロモ‐4´‐アミノジフ
ェニルエーテル、2,4,6‐トリブロモ‐4´‐アミ
ノジフェニルエーテル、2,5‐ジクロロ‐6‐ブロモ
‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,4,5‐トリ
クロロ‐2´‐アミノジフェニルエーテル、2,2´‐
ジアミノ‐3,4,4´‐トリクロロジフェニルチオエ
ーテル、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノチオエ
ーテル、2,2´‐ジアミノ‐4,5,4´‐トリクロ
ロジフェニルスルホキシド、2,4,5‐トリクロロ‐
4´‐アミノジフェニルスルホキシド、2,2´‐ジア
ミノ‐3,4,4´‐トリクロロジフェニルメタン、
2,4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニルメタ
ン、2,4,4´‐トリクロロ‐2´‐アミノジフェニ
ルプロパン、3,4,4´‐トリクロロ‐3´‐アミノ
ビフェニル等のトリハロ芳香族化合物及び2,3,4,
5‐テトラクロロアニリン、2,3,5,6‐テトラク
ロロアニリン、テトラクロロアミノジフェニルエーテ
ル、テトラクロロアミノジフェニルチオエーテル等のポ
リハロ芳香族化合物が挙げられる。官能基として‐CO
OHを持つ官能基含有ハロ置換芳香族化合物としては、
例えば2,6‐ジクロロ安息香酸、2,5‐ジクロロ安
息香酸、2,4‐ジクロロ安息香酸、2,3‐ジクロロ
安息香酸、2,6‐ジブロモ安息香酸、2,5‐ジブロ
モ安息香酸、2,4‐ジブロモ安息香酸、2,3‐ジブ
ロモ安息香酸等のジハロ芳香族化合物及び2,3,4‐
トリクロロ安息香酸、2,3,5‐トリクロロ安息香
酸、2,3,6‐トリクロロ安息香酸、2,4,5‐ト
リクロロ安息香酸、2,4,6‐トリクロロ安息香酸、
3,4,5‐トリクロロ安息香酸、2,3,4‐トリブ
ロモ安息香酸、2,3,5‐トリブロモ安息香酸、2,
3,6‐トリブロモ安息香酸、2,4,5‐トリブロモ
安息香酸、2,4,6‐トリブロモ安息香酸、3,4,
5‐トリブロモ安息香酸等のトリハロ芳香族化合物が挙
げられる。官能基として‐SHを持つ官能基含有ハロ置
換芳香族化合物としては、例えば2,6‐ジクロロチオ
フェノール、2,5‐ジクロロチオフェノール、2,4
‐ジクロロチオフェノール、2,3‐ジクロロチオフェ
ノール、2,2´‐ジメルカプト‐4,4´‐ジクロロ
ジフェニルエーテル、2,4´‐ジメルカプト‐2´,
4‐ジクロロジフェニルエーテル、2,2´‐ジメルカ
プト‐4,4´‐ジクロロジフェニルチオエーテル、
2,4´‐ジメルカプト‐2´,4‐ジクロロジフェニ
ルチオエーテル、2,2´‐ジメルカプト‐4,4´‐
ジクロロジフェニルスルホキシド、2,4´‐ジメルカ
プト‐2´,4‐ジクロロジフェニルスルホキシド、
2,2´‐ジメルカプト‐4,4´‐ジクロロジフェニ
ルメタン、2,4´‐ジメルカプト‐2´,4‐ジクロ
ロジフェニルメタン、2,5‐ジクロロ‐4´‐メルカ
プトジフェニルエーテル、2,5‐ジブロモ‐4´‐メ
ルカプトジフェニルエーテル、2,5‐ジクロロ‐4´
‐メルカプトジフェニルチオエーテル、2,5‐ジブロ
モ‐4´‐メルカプトジフェニルチオエーテル、2,5
‐ジクロロ‐4´‐メルカプトジフェニルスルホキシ
ド、2,5‐ジブロモ‐4´‐メルカプトジフェニルス
ルホキシド、2,5‐ジクロロ‐4´‐メルカプトジフ
ェニルメタン、2,5‐ジブロモ‐4´‐メルカプトジ
フェニルメタン、2,5‐ジブロモ‐4´‐メルカプト
ジフェニルエーテル等のジハロ芳香族化合物及び2,
3,4‐トリクロロチオフェノール、2,3,5‐トリ
クロロチオフェノール、2,3,6‐トリクロロチオフ
ェノール、2,4,5‐トリクロロチオフェノール、
2,4,6‐トリクロロチオフェノール、3,4,5‐
トリクロロチオフェノール、2,3,4‐トリブロモチ
オフェノール、2,3,5‐トリブロモチオフェノー
ル、2,3,6‐トリブロモチオフェノール、2,4,
5‐トリブロモチオフェノール、2,4,6‐トリブロ
モチオフェノール、3,4,5‐トリブロモチオフェノ
ール、2,2´‐ジメルカプト‐3,4,4´‐トリク
ロロジフェニルエーテル、2,4,5‐トリクロロ‐4
´‐メルカプトジフェニルエーテル、2,2´‐ジメル
カプト‐4,5,4´‐トリクロロジフェニルチオエー
テル、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐メルカプトジフ
ェニルチオエーテル、2,2´‐ジメルカプト‐3,
5,4´‐トリクロロジフェニルスルホキシド、2,
4,5‐トリクロロ‐4´‐メルカプトジフェニルスル
ホキシド、3,3´‐ジメルカプト‐4,4´,5‐ト
リクロロジフェニルメタン、2,4,5‐トリクロロ‐
4´‐メルカプトジフェニルメタン、3,3´‐ジメル
カプト‐4,4´,5‐トリクロロビフェニル、3,
4,5‐トリクロロ‐4´‐メルカプトビフェニル等の
トリハロ芳香族化合物が挙げられる。官能基として‐O
Hを持つ官能基含有ハロ置換芳香族化合物としては、例
えば2,6‐ジクロロフェノール、2,5‐ジクロロフ
ェノール、2,4‐ジクロロフェノール、2,3‐ジク
ロロフェノール、3,4‐ジクロロフェノール、3,5
‐ジクロロフェノール、2,4‐ジブロモフェノール、
2,6‐ジブロモフェノール、2,2´‐ジヒドロキシ
‐4,4´‐ジクロロジフェニルエーテル、2,4´‐
ジヒドロキシ‐2´,4‐ジクロロジフェニルエーテ
ル、2,2´‐ジヒドロキシ‐4,4´‐ジクロロジフ
ェニルチオエーテル、2,4´‐ジヒドロキシ‐2´,
4‐ジクロロジフェニルチオエーテル、2,2´‐ジヒ
ドロキシ‐4,4´‐ジクロロジフェニルスルホキシ
ド、2,4´‐ジヒドロキシ‐2´,4‐ジクロロジフ
ェニルスルホキシド、2,2´‐ジヒドロキシ‐4,4
´‐ジクロロジフェニルメタン、2,4´‐ジヒドロキ
シ‐2´,4‐ジクロロジフェニルメタン、2,5‐ジ
クロロ‐4´‐ヒドロキシジフェニルエーテル、2,5
‐ジブロモ‐4´‐ヒドロキシジフェニルエーテル、
2,5‐ジクロロ‐4´‐ヒドロキシジフェニルチオエ
ーテル、2,5‐ジブロモ‐4´‐ヒドロキシジフェニ
ルチオエーテル、2,5‐ジクロロ‐4´‐ヒドロキシ
ジフェニルスルホキシド、2,5‐ジブロモ‐4´‐ヒ
ドロキシジフェニルスルホキシド、2,5‐ジクロロ‐
4´‐ヒドロキシジフェニルメタン、2,5‐ジブロモ
‐4´‐ヒドロキシジフェニルメタン、2,5‐ジブロ
モ‐4´‐ヒドロキシジフェニルエーテル等のジハロ芳
香族化合物及び2,3,4‐トリクロロフェノール、
2,3,5‐トリクロロフェノール、2,3,6‐トリ
クロロフェノール、2,4,5‐トリクロロフェノー
ル、2,4,6‐トリクロロフェノール、3,4,5‐
トリクロロフェノール、2,3,4‐トリブロモフェノ
ール、2,3,5‐トリブロモフェノール、2,3,6
‐トリブロモフェノール、2,4,5‐トリブロモフェ
ノール、2,4,6‐トリブロモフェノール、3,4,
5‐トリブロモフェノール、2,2´‐ジヒドロキシ‐
3,4,4´‐トリクロロジフェニルエーテル、2,
4,5‐トリクロロ‐4´‐ヒドロキシジフェニルエー
テル、2,2´‐ジヒドロキシ‐3,4,4´‐トリク
ロロジフェニルチオエーテル、2,4,5‐トリクロロ
‐4´‐ヒドロキシジフェニルチオエーテル、2,2´
‐ジヒドロキシ‐4,4´,5‐トリクロロジフェニル
スルホキシド、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐ヒドロ
キシジフェニルスルホキシド、2,2´‐ジヒドロキシ
‐4,4´,5‐トリクロロジフェニルメタン、2,
4,6‐トリクロロ‐4´‐ヒドロキシジフェニルメタ
ン、3‐ヒドロキシ‐3,4,4´‐トリクロロビフェ
ニル、3,4,5‐トリクロロ‐4´‐ヒドロキシビフ
ェニル等のトリハロ芳香族化合物が挙げられる。官能基
として‐NHRを持つ官能基含有ハロ置換芳香族化合物
としては、例えば2,6‐ジクロロ(フェニル)アミノ
ベンゼン、2,5‐ジクロロ(フェニル)アミノベンゼ
ン、2,4‐ジクロロ(フェニル)アミノベンゼン、
2,3‐ジクロロ(フェニル)アミノベンゼン等のジハ
ロ芳香族化合物及び2,3,4‐トリクロロ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,3,5‐トリクロロ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,3,6‐トリクロロ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,4,5‐トリクロロ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,4,6‐トリクロロ(フェニル
アミノ)ベンゼン、3,4,5‐トリクロロ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,3,4‐トリブロモ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,3,5‐トリブロモ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,3,6‐トリブロモ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,4,5‐トリブロモ(フェニル
アミノ)ベンゼン、2,4,6‐トリブロモ(フェニル
アミノ)ベンゼン、3,4,5‐トリブロモ(フェニル
アミノ)ベンゼン等のトリハロ芳香族化合物が挙げられ
る。上記のうち、官能基として‐NH2 を持つ官能基含
有ハロ置換芳香族化合物が好ましく使用され、特にジク
ロロアニリンが好ましい。
【0019】該方法において使用する有機アミド系溶媒
は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メ
チルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムア
ミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプ
ロラクタム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMP
が好ましい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持
つ。
【0020】アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえ
ば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫
化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物であ
る。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、こ
れらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞ
れに対応する水酸化物で中和して用いることができる。
安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0021】ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭4
5‐3368号公報記載のものから選ぶことができる
が、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量
(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニル
スルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ
物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例
えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼン、
p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジ
クロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェ
ニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホ
ン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´
‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビ
フェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐
ジクロロビフェニルである。
【0022】有機アミド溶媒中でのアルカリ金属硫化物
とジハロ芳香族化合物との反応自体は、公知の通りに行
うことができる。該反応中に、反応缶の気相部分を冷却
することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これ
を液相に還流せしめることが好ましい。これにより、生
成したPASの解重合を回避できると共に、一層高分子
量のPASを製造することが可能となる。
【0023】反応缶の気相部分を冷却することにより反
応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せし
める方法としては、特開平5‐222196号公報に記
載の方法を使用することができる。
【0024】還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸
気圧差の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。
この水含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率
の高い層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫
化物(例えばNa2 S)、ハロゲン化アルカリ金属(例
えばNaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有さ
れるようになる。従来法においては230℃以上の高温
下で、生成したPASとNa2 S等の原料及び副生成物
とが均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが
得られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解
重合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。し
かし、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却し
て、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやるこ
とによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害
するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PA
Sを得ることができるものと思われる。但し、本発明は
上記現象による効果のみにより限定されるものではな
く、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響
によって、高分子量のPASが得られるのである。
【0025】該方法においては、従来法のように反応の
途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加
することを全く排除するものではない。但し、水を添加
する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われ
る。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反
応の間中一定である。
【0026】反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも
内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行
える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイル
に冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外
部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶
上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方
法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒
素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に
缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いず
れの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら
(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保
温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可
能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/
アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入
る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、
そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、
冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応
缶壁を伝わって液相中に入る。
【0027】一方、液相バルクの温度は、所定の一定温
度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従って
コントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275
℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。よ
り好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間であ
る。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の
反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2
段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で
行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さす
ぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速す
ぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみなら
ず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、
重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40
モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で
行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジ
ハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分
子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%
を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じ
やすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量P
ASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反
応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うこと
が好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPAS
を得ることができず、また 270℃より高い温度では解重
合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を
得難くなる。
【0028】実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲
気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分
量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添
加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1
モル当り0.5〜2.5モル、特に0.8〜1.2モル
とする。2.5モルを超えては、反応速度が小さくな
り、しかも反応終了後の濾液中にフェノール等の副生成
物量が増大し、重合度も上がらない。0.5モル未満で
は、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ること
ができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ず
る。
【0029】反応時の気相部分の冷却は、一定温度での
1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望まし
いが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなけれ
ばならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却
を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了
後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合
いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力
の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水
分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモ
ル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却
しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液
量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下し
ていることを意味しており、その相対的な低下の度合い
が水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合
いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内
圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行う
のが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運
転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0030】上記の反応条件を種々選択することによ
り、所望の粘度を持つPASを製造することができる。
【0031】PASの分子量をより大きくするために、
例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐
トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物を、パラ及びメ
タジハロ芳香族化合物の合計量に対して好ましくは5モ
ル%以下の濃度で使用することもできる。
【0032】また、他の少量添加物として、末端停止
剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもでき
る。
【0033】本発明のPASを製造するには、上記のP
AS製造工程で得られたPAS(イ)のスラリーを濾過
した後、得られた含溶媒濾過ケーキを非酸化性ガス雰囲
気下150〜250℃の温度で加熱して溶媒を除去し、
次いで水洗浄を施す。
【0034】例えば、上記のようにして得られたPAS
(イ)のスラリーを濾過し、溶媒を含むPASケーキを
得る。次いで、該PASケーキは、ヘリウム、アルゴ
ン、水素、窒素等の非酸化性ガス気流中、好ましくは酸
素濃度5.0体積%未満の窒素ガス気流中、150〜2
50℃、好ましくは180〜230℃の温度で、好まし
くは0.5〜20時間、特に好ましくは1〜10時間加
熱される。該加熱は、好ましくは常圧〜3気圧、特に好
ましくは常圧下で行われる。該加熱温度が上記下限未満
では、溶媒の除去に長時間を必要とし、生産性の低下が
生じる。上記上限を越えては、PASの着色が著しくな
り好ましくない。上記の加熱による溶媒除去を行うこと
により、PASの接着強度を高めることができると共
に、従来の水洗浄により溶媒を除去する方法に比べて、
水洗浄等の工程を簡略化でき、かつ溶媒の回収率を著し
く向上せしめることができるため、生産性が高くコスト
的に有利である。
【0035】次いで行われる水洗浄は、好ましくは上記
加熱後の濾過ケーキを水に分散させることにより行われ
る。例えば、上記のようにして得られた加熱後のPAS
ケーキを、重量で好ましくは1〜5倍の水中に投入し
て、好ましくは常温〜90℃で、好ましくは5分間〜1
0時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過
操作を好ましくは2〜10回繰り返すことにより、PA
Sに付着した溶媒及び副生塩の除去を行って水洗浄を終
了する。上記のようにして水洗浄を行うことにより、フ
ィルターケーキに水を注ぐ洗浄方法に比べて少ない水量
で効率的な洗浄が可能となる。
【0036】また、本発明のPASは、上記のPAS製
造工程で得られたPAS(イ)に水洗浄及び酸処理を施
すことによっても製造することができる。
【0037】水洗浄は、好ましくはPAS(イ)の製造
工程で生成したスラリーを濾過した後、濾過ケーキを水
に分散させることにより行われる。例えば、得られたP
ASスラリーを濾過し、溶媒を少ししか含まないPAS
ケーキを得る。次いで、該PASケーキを、上記した水
洗浄と同一の方法により洗浄することができる。
【0038】酸処理は、好ましくは100℃以下の温
度、特に好ましくは常温〜80℃の温度で実施される。
該温度が上記上限を超えると、酸処理後のPAS分子量
が低下するため好ましくない。該酸処理に使用する酸溶
液のpHは、好ましくは3.5〜6.0、特に好ましく
は4.0〜5.5である。該pHを採用することによ
り、被処理物であるPAS中の‐SX(Xはアルカリ金
属を示す)末端の大部分を‐SH末端に転化することが
できる。pHが上記範囲未満では、酸の使用量が多くコ
スト高となり、上記範囲を越えては、PAS中のアルカ
リ金属末端の除去が不十分となる。該酸処理に要する時
間は、上記酸処理温度及び酸溶液の濃度に依存するが、
好ましくは5分間以上、特に好ましくは10分間以上で
ある。上記未満では、PAS中の‐SX末端を‐SH末
端に十分に転化できず好ましくない。上記酸処理には、
例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、リン
酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用され、
酢酸が特に好ましい。該処理を施すことにより、PAS
中の不純物であるアルカリ金属、例えばナトリウムを低
減できる。
【0039】上記の水洗浄及び酸処理を施すことによ
り、PAS中のアルカリ金属、例えばナトリウム量を著
しく低減することができる。これにより成形品の寸法安
定性が向上し、接着強度も増加する。
【0040】また、本発明のPASは、好ましくは下記
の方法で製造することができる。
【0041】即ち、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属
硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリー
レンスルフィドを製造する方法において、アルカリ金属
硫化物に対して0.1〜3.0モル%の官能基含有ハロ
置換芳香族化合物を予めアルカリ金属硫化物と混合加熱
した後、ジハロ芳香族化合物を添加して、反応させるこ
とにより得たポリアリーレンスルフィド(ロ)のスラリ
ーを濾過した後、得られた含溶媒濾過ケーキを非酸化性
ガス雰囲気下150〜250℃の温度で加熱して溶媒を
除去し、次いで水洗浄する方法、又は上記と同じに製造
したポリアリーレンスルフィド(ロ)を水洗浄及び酸処
理する方法である。
【0042】官能基含有ハロ置換芳香族化合物を予めア
ルカリ金属硫化物と混合加熱した後、ジハロ芳香族化合
物を添加して反応させる方法では、官能基含有ハロ置換
芳香族化合物とジハロ芳香族化合物を同時的に添加して
アルカリ金属硫化物と反応させる方法と比べて、本質的
に反応性の低い官能基含有ハロ置換芳香族化合物の反応
率を、大幅に向上させることができ、少量の添加で十分
にPASを官能基化することができる。従って、重合終
了時に未反応モノマーは著しく少なく、この分離回収処
理が容易であり、経済性にも優れている。このように官
能基含有ハロ置換芳香族化合物の反応率を大幅に向上す
ることができるのは、予めアルカリ金属硫化物と官能基
含有ハロ置換芳香族化合物とを混合加熱することによっ
て、反応の律速となっている官能基含有ハロ置換芳香族
化合物のハロゲン原子の置換を容易に生ぜしめることが
できるためと考えられる。
【0043】該方法において添加する官能基含有ハロ置
換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物に対して、下限
が0.1モル%、好ましくは0.2モル%であり、上限
が3.0モル%、好ましくは2.5モル%である。上記
下限未満では接着性が不十分となり、上記上限を越えて
は製造したPASの熱安定性が著しく悪くなる。そのた
め、成形時にゲル状物が発生し、成形性が極めて悪くな
る。
【0044】アルカリ金属硫化物と官能基含有ハロ置換
芳香族化合物との混合攪拌は、好ましくは200〜30
0℃、より好ましくは230〜250℃の温度で、好ま
しくは1〜30時間、より好ましくは1〜15時間行わ
れる。温度が上記下限未満では、十分に官能基含有ハロ
置換芳香族化合物を反応することができず、混合攪拌後
の液中に多量の官能基含有ハロ置換芳香族化合物が残存
する。上記上限を超えては、溶媒の劣化を招き、また副
反応が著しい。混合攪拌時間が上記下限未満では、十分
に官能基含有ハロ置換芳香族化合物を反応することがで
きず、上記上限を超えても、官能基含有ハロ置換芳香族
化合物の反応に及ぼす効果は殆どない。上記のように、
アルカリ金属硫化物と官能基含有ハロ置換芳香族化合物
との混合攪拌を実施した後、液温が好ましくは100〜
200℃、特に好ましくは150〜200℃となるまで
冷却してジハロ芳香族化合物を添加する。上記下限未満
では液の流動性が低下するため温度制御が困難となり、
上記上限を超えてはジハロ芳香族化合物の添加時に重合
反応が急激に起り温度制御が不可能になる。
【0045】該方法において使用する官能基含有ハロ置
換芳香族化合物、有機アミド系溶媒、アルカリ金属硫化
物及びジハロ芳香族化合物は、上記の官能基含有ハロ置
換芳香族化合物を、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族
化合物との反応の前の又は反応中の反応系内に添加する
方法において使用したものと同一である。また、有機ア
ミド系溶媒中でのPAS製造のための反応、及び該反応
により得られたPASの加熱溶媒除去法及び水洗浄、酸
処理法も同一である。
【0046】また、本発明は、 (A)上記本発明のPAS 100重量部及び (B)充填剤 0.01〜400重量部 を含むPAS樹脂組成物である。
【0047】上記本発明のPASは充填剤との接着強度
も高く、従って、充填剤と共に使用して成形物の衝撃強
度、曲げ強度等の機械的強度を更に高めることができ
る。
【0048】本発明の樹脂組成物において、成分(A)
100重量部に対して、成分(B)は、その上限が40
0重量部、好ましくは250重量部、特に好ましくは1
00重量部であり、下限が0.01重量部、好ましくは
1.0重量部、特に好ましくは10重量部である。成分
(B)が上記上限を越えては、エポキシ樹脂との接着強
度が低下し、かつ樹脂組成物の成形性も悪化する。成分
(B)が上記下限未満では成形物の機械的強度が低い。
【0049】本発明の成分(B)充填剤は、慣用のもの
を使用することができる。例えば、繊維状充填剤とし
て、ガラス繊維、炭素繊維、シリカガラス繊維、ウィス
カー、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維、アスベスト
繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、セラミックス繊
維、金属繊維等が挙げられ、粒子状充填剤として、マイ
カ、タルク等のケイ酸塩や炭酸塩、硫酸塩、金属酸化
物、ガラスビーズ、シリカ等が挙げられる。これらの充
填材は、夫々単独で、あるいは二種以上組合わせて用い
ることができる。また、これらの充填材は、必要に応じ
てシランカップリング剤やチタネートカップリング剤で
処理されたものであってもよい。
【0050】また、本発明の樹脂組成物には、本発明の
目的を損なわない範囲で、上記本発明のPAS以外のP
ASを配合することができる。その配合量は、成分
(A)100重量部に対して、好ましくは0〜2000
重量部、特に好ましくは1〜400重量部である。これ
により、優れた接着性を保持したまま、上記本発明のP
ASの使用量を低減することができる。該PASとして
は、例えば、官能基含有ハロ置換芳香族化合物を共重合
していない線状PAS、あるいはそれを熱酸化架橋した
PAS等が挙げられる。
【0051】更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定
剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することも
できる。
【0052】以上のような各成分を混合する方法は、特
に限定されるものではない。一般に広く使用されている
方法、例えば各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で
混合する等の方法を用いることができる。
【0053】本発明の樹脂組成物は通常押出機で溶融混
練してペレット化した後、例えば射出成形あるいは圧縮
成形して所望の形状に成形される。
【0054】本発明のPAS樹脂組成物は、急激な結晶
化が進行しないので、成形収縮等によるクラック発生等
を抑制することができ、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂
等と高い接着性を有する。従って、電気・電子部品の封
止等の分野において有用である。
【0055】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0056】
【実施例】実施例中の各特性値は下記の如く測定した。 <溶融粘度V6 >島津製作所製フローテスターCFT‐
500Cを用いて測定した。 <エポキシ樹脂との接着強度>ガラスファイバーとして
は、日東紡績株式会社製のCS 3J‐961S(商
標)を用い、炭酸カルシウムとしては、竹原化学工業株
式会社製のSL‐1000(商標)を用いた。エポキシ
樹脂系接着剤については、主剤として長瀬チバ株式会社
製のXNR3101(商標)を用い、硬化剤として長瀬
チバ株式会社製のXNH3101(商標)を用いた。 <ナトリウム含有量>PPS粉末を700℃マッフル炉
で燃焼した後、原子吸光分析計として、島津製作所製A
A‐670を用いて測定した。 <結晶化温度Tc 及び融点Tm >DSCにより測定し
た。装置としては、セイコー電子製示差走査熱量計SS
C/5200を用い、以下のようにして測定した。試料
10mgを窒素気流中、昇温速度20℃/分で室温から
320℃まで昇温した後、320℃で5分間保持して溶
融した。次いで10℃/分の速度で冷却した。このとき
の発熱ピーク温度を結晶化温度Tc とした。再び室温か
ら320℃まで10℃/分の速度で昇温した時の吸熱ピ
ーク温度を融点Tm とした。 <衝撃強度>ASTM D256に準拠して、ノッチな
しアイゾット衝撃強度を測定し評価した。 <曲げ強度>1/4インチ厚みの試験片を用いASTM
D‐790により測定した。
【0057】また、各実施例及び比較例において、パラ
ジクロルベンゼン(以下ではp‐DCBと略すことがあ
る)及び2,5‐ジクロロアニリン(以下ではDCAと
略すことがある)の反応率は、ガスクロマトグラフィー
による測定結果から算出した。ここで、各反応率は下記
式により求めた。
【0058】
【数1】p‐DCBの反応率(%)=(1−残存p‐D
CB重量/仕込p‐DCB重量)×100
【0059】
【数2】DCAの反応率(%)=(1−残存DCA重量
/仕込DCA重量)×100
【0060】
【実施例1】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.4重量%Na2 S)19.38
1kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNM
Pと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気
流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.640
kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル
当り1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉し
て180℃まで冷却し、p‐DCB22.732kg、
DCA0.170kg(硫化ソーダに対して0.7モル
%)及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温150℃
で窒素ガスを用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇温を
開始した。液温が260℃になった時点で昇温を止め、
2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0061】得られたスラリーを濾過して溶媒を除去
し、次に含溶媒濾過ケーキを、酸素濃度3.0体積%未
満の窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去
した。次に、得れたPPS粉末に常法により水洗浄、濾
過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環乾
燥機中で乾燥して、白色粉末状のポリマー(P‐1)を
得、各特性値を測定した。
【0062】p‐DCBの反応率は98.6%であり、
DCAの反応率は33.1%であった。
【0063】
【実施例2】DCAを0.243kg(硫化ソーダに対
して1.0モル%)とした以外は、実施例1と同一の条
件でポリマー(P‐2)を得、各特性値を測定した。赤
外吸収スペクトルを測定したところ3450cm-1と3
300cm-1にNH伸縮振動に基づく吸収を示した(図
1)。
【0064】p‐DCBの反応率は98.5%であり、
DCAの反応率は34.0%であった。
【0065】
【実施例3】DCAを0.778kg(硫化ソーダに対
して3.2モル%)とした以外は、実施例1と同一の条
件でポリマー(P‐3)を得、各特性値を測定した。
【0066】p‐DCBの反応率は98.5%であり、
DCAの反応率は28.6%であった。
【0067】
【実施例4】p‐DCBを22.161kg、DCAを
0.243kg(硫化ソーダに対して1.0モル%)と
し、オートクレーブ上部を散水により冷却しながら、反
応を液温220℃で5時間、その後昇温して液温260
℃で5時間行った以外は、実施例1と同一の条件でポリ
マー(P‐4)を得、各特性値を測定した。
【0068】p‐DCBの反応率は98.7%であり、
DCAの反応率は38.0%であった。
【0069】
【実施例5】実施例1と同一にして反応を実施してPP
Sスラリーを得た。
【0070】得られたスラリーを濾過して溶媒を除去
し、次に濾過ケーキを約80℃の温水(重量で濾過ケー
キの約2倍)中に投入して、約30分間十分に攪拌した
後、濾過した。この水洗浄及び濾過の操作を5回繰り返
した。次に、濾過ケーキを約50℃の水によりスラリー
化し、該スラリーに酢酸を加えてpH5に調節して酸処
理を実施した。酸処理後、再び水洗浄を3回繰り返し
た。次いで、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾
燥して白色粉末状のポリマー(P‐5)を得、各特性値
を測定した。
【0071】
【実施例6】実施例2と同一にして反応を実施してPP
Sスラリーを得た以外は、実施例5と同一の条件でポリ
マー(P‐6)を得、各特性値を測定した。
【0072】
【実施例7】実施例3と同一にして反応を実施してPP
Sスラリーを得た以外は、実施例5と同一の条件でポリ
マー(P‐7)を得、各特性値を測定した。
【0073】
【実施例8】実施例4と同一にして反応を実施してPP
Sスラリーを得た以外は、実施例5と同一の条件でポリ
マー(P‐8)を得、各特性値を測定した。
【0074】
【比較例1】p‐DCBを22.638kgとし、DC
Aを添加しなかった以外は、実施例1と同一の条件でポ
リマー(P‐C1)を得、各特性値を測定した。赤外吸
収スペクトルを測定したところ3450cm-1と330
0cm-1にNH伸縮振動に基づく吸収は認められなかっ
た(図2)。
【0075】p‐DCBの反応率は98.4%であっ
た。
【0076】
【比較例2】DCAを1.264kg(硫化ソーダに対
して5.2モル%)とした以外は、実施例1と同一の条
件でポリマー(P‐C2)を得、各特性値を測定した。
【0077】p‐DCBの反応率は98.5%であり、
DCAの反応率は38.1%であった。得られたポリマ
ーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0078】
【比較例3】p‐DCBを22.638kgとし、DC
Aを添加しなかった以外は、実施例5と同一の条件でポ
リマー(P‐C3)を得、各特性値を測定した。
【0079】p‐DCBの反応率は98.4%であっ
た。
【0080】
【比較例4】DCAを1.264kg(硫化ソーダに対
して5.2モル%)とした以外は、実施例5と同一の条
件でポリマー(P‐C4)を得、各特性値を測定した。
【0081】p‐DCBの反応率は98.5%であり、
DCAの反応率は38.1%であった。得られたポリマ
ーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0082】
【比較例5】実施例1で行った溶媒除去のための含溶媒
濾過ケーキの加熱処理、及び実施例5で行った水洗浄と
酢酸処理のいずれもを行わず、水洗浄及び濾過の操作を
9回行った以外は、実施例1と同一条件でポリマー(P
‐C5)を得、各特性値を測定した。
【0083】以上の結果を表1及び2に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】 実施例1〜3は、DCAを硫化ソーダとp‐DCBとの
反応前に添加してPPSを製造し、かつ加熱により溶媒
を除去する方法において、いずれも同一の条件下でDC
Aの添加量を変えたものであり、製造されたPPS中の
アミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発
明の範囲内で夫々異なるものである。アミノ基含有アリ
ーレンスルフィド単位の含有量が増加すると、エポキシ
樹脂との接着強度も増加した。実施例4は、PPS製造
工程における反応を二段階とすると共に、オートクレー
ブ上部の冷却を実施したものである。PPS中のアミノ
基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加し、エ
ポキシ樹脂との接着強度も増加した。
【0086】一方、比較例1は、実施例1と同一条件
下、DCAを添加しなかったものである。実施例1と比
べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較
例2は、実施例1と同一条件下、PPS中のアミノ基含
有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を
超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなか
った。比較例5は、実施例1と同一条件下、加熱による
溶媒除去を行わず、水洗浄及び濾過を行ったものであ
る。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。実施
例5〜7は、DCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応
前に添加してPPSを製造し、かつ水洗、酸処理を施す
方法において、いずれも同一の条件下でDCAの添加量
を変えたものであり、製造されたPPS中のアミノ基含
有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲内
で夫々異なるものである。アミノ基含有アリーレンスル
フィド単位の含有量が増加すると、エポキシ樹脂との接
着強度も増加した。実施例8は、PPS製造工程におけ
る反応を二段階とすると共に、オートクレーブ上部の冷
却を実施したものである。PPS中のアミノ基含有アリ
ーレンスルフィド単位の含有量が増加し、エポキシ樹脂
との接着強度も増加した。
【0087】一方、比較例3は、実施例5と同一条件
下、DCAを添加しなかったものである。実施例5と比
べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較
例4は、実施例5と同一条件下、PPS中のアミノ基含
有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を
超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなか
った。比較例5は、実施例5と同一条件下、水洗、酸処
理を施さず、水洗浄及び濾過を行ったものである。エポ
キシ樹脂との接着強度は著しく低かった。
【0088】また、実施例1〜4と実施例5〜8は、夫
々PPSの製造条件は同一であるが、PPS製造後の溶
媒除去法が異なるものである。加熱による溶媒除去に代
えて、水洗、酸処理を施す方法を用いると、ナトリウム
含有量が低減でき、エポキシ樹脂との接着強度も高める
ことができることが分かった。
【0089】
【実施例9】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.4重量%Na2 S)19.38
1kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNM
Pと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気
流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.640
kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル
当り1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉し
て200℃まで冷却し、DCA0.122kg(硫化ソ
ーダに対して0.5モル%)とNMP1.0kgを仕込
んだ。昇温を開始して、液温が240℃になった時点で
昇温を止め、2時間攪拌した。次に、180℃まで冷却
して、p‐DCB22.969kg及びNMP18.0
kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1k
g/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。液温が260
℃で2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0090】得られたスラリーを濾過して溶媒を除去
し、次に含溶媒濾過ケーキを、酸素濃度3.0体積%未
満の窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去
した。次に、得られたPPS粉末に常法により水洗浄、
濾過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環
乾燥機中で乾燥して、白色粉末状のポリマー(P‐9)
を得、各特性値を測定した。
【0091】p‐DCBの反応率は98.3%であり、
DCAの反応率は89.8%であった。
【0092】
【実施例10】DCAを0.608kg(硫化ソーダに
対して2.5モル%)とした以外は、実施例9と同一の
条件でポリマー(P‐10)を得、各特性値を測定し
た。
【0093】p‐DCBの反応率は98.1%であり、
DCAの反応率は71.0%であった。
【0094】
【実施例11】p‐DCBを22.161kgとし、オ
ートクレーブ上部を散水により冷却しながら、反応を液
温220℃で5時間、その後昇温して液温260℃で5
時間行った以外は、実施例9と同一の条件でポリマー
(P‐11)を得、各特性値を測定した。
【0095】p‐DCBの反応率は98.6%であり、
DCAの反応率は93.0%であった。
【0096】
【実施例12】実施例9と同一にして反応を実施してP
PSスラリーを得た。
【0097】得られたスラリーを濾過して溶媒を除去
し、次に濾過ケーキを約80℃の温水(重量で濾過ケー
キの約2倍)中に投入して、約30分間十分に攪拌した
後、濾過した。この水洗浄及び濾過の操作を5回繰り返
した。次に、濾過ケーキを約50℃の水によりスラリー
化し、該スラリーに酢酸を加えてpH5に調節して酸処
理を実施した。酸処理後、再び水洗浄を3回繰り返し
た。次いで、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾
燥して白色粉末状のポリマー(P‐12)を得、各特性
値を測定した。
【0098】
【実施例13】DCAを0.243kg(硫化ソーダに
対して1.0モル%)とした以外は、実施例12と同一
の条件でポリマー(P‐13)を得、各特性値を測定し
た。
【0099】p‐DCBの反応率は98.3%であり、
DCAの反応率は83.3%であった。
【0100】
【実施例14】実施例10と同一にして反応を実施して
PPSスラリーを得た以外は、実施例12と同一の条件
でポリマー(P‐14)を得、各特性値を測定した。
【0101】
【比較例6】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.4重量%Na2 S)19.38
1kgとNMP45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪
拌しながら209℃まで昇温して、水4.640kgを
留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り
1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉して1
80℃まで冷却し、p‐DCB22.969kg及びN
MP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガス
を用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。
液温260℃で2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0102】次いで、得られたスラリーから、実施例9
と同一の操作により白色粉末状のポリマー(P‐C6)
を得、各特性値を測定した。
【0103】p‐DCBの反応率は98.0%であっ
た。
【0104】
【比較例7】DCAを0.753kg(硫化ソーダに対
して3.1モル%)とした以外は、実施例9と同一の条
件でポリマー(P‐C7)を得、各特性値を測定した。
【0105】p‐DCBの反応率は98.1%であり、
DCAの反応率は68.1%であった。得られたポリマ
ーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0106】
【比較例8】150リットルオートクレーブに、フレー
ク状硫化ソーダ(60.4重量%Na2 S)19.38
1kgとNMP45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪
拌しながら209℃まで昇温して、水4.640kgを
留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り
1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉して1
80℃まで冷却し、p‐DCB22.969kg及びN
MP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガス
を用いて1kg/cm2 Gに加圧して昇温を開始した。
液温260℃で2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0107】次いで、得られたスラリーから、実施例1
2と同一の操作により白色粉末状のポリマー(P‐C
8)を得、各特性値を測定した。
【0108】p‐DCBの反応率は98.6%であっ
た。
【0109】
【比較例9】DCAを0.753kg(硫化ソーダに対
して3.1モル%)とした以外は、実施例12と同一の
条件でポリマー(P‐C9)を得、各特性値を測定し
た。
【0110】p‐DCBの反応率は98.1%であり、
DCAの反応率は68.1%であった。得られたポリマ
ーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0111】
【比較例10】実施例9で行った溶媒除去のための含溶
媒濾過ケーキの加熱処理、及び実施例12で行った水洗
浄と酢酸処理のいずれもを行わず、水洗浄及び濾過の操
作を9回行った以外は、実施例9と同一条件でポリマー
(P‐C10)を得、各特性値を測定した。
【0112】以上の結果を表3及び4に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】 実施例9及び10は、DCAを硫化ソーダと予め加熱混
合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造し、かつ
加熱により溶媒を除去する方法において、同一の条件下
でDCAの添加量を変えたものであり、製造されたPP
S中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量
が本発明の範囲内で異なるものである。アミノ基含有ア
リーレンスルフィド単位の含有量が増加すると、エポキ
シ樹脂との接着強度も増加した。実施例11は、PPS
製造工程における反応を二段階とすると共に、オートク
レーブ上部の冷却を実施したものである。実施例9と比
べて、PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単
位の含有量が増加し、エポキシ樹脂との接着強度も増加
した。
【0115】一方、比較例6は、実施例9と同一条件
下、DCAを添加しなかったものである。実施例9と比
べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較
例7は、実施例9と同一条件下、PPS中のアミノ基含
有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を
超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなか
った。比較例10は、実施例9と同一条件下、加熱によ
る溶媒除去を行わず、水洗浄及び濾過を行ったものであ
る。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。
【0116】実施例12〜14は、DCAを硫化ソーダ
と予め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを
製造し、かつ水洗、酸処理を施す方法において、いずれ
も同一の条件下でDCAの添加量を変えたものであり、
製造されたPPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィ
ド単位の含有量が本発明の範囲内で夫々異なるものであ
る。アミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が
増加すると、エポキシ樹脂との接着強度も増加する傾向
を示した。
【0117】一方、比較例8は、実施例12と同一条件
下、DCAを添加しなかったものである。実施例12と
比べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比
較例9は、実施例12と同一条件下、PPS中のアミノ
基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範
囲を超えたものである。成形時の増粘が著しく成形でき
なかった。比較例10は、実施例12と同一条件下、水
洗、酸処理を施さず、水洗浄及び濾過を行ったものであ
る。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。
【0118】また、実施例9と実施例12及び実施例1
0と実施例14は、夫々PPSの製造条件は同一である
が、PPS製造後の溶媒除去法が異なるものである。加
熱による溶媒除去に代えて、水洗、酸処理を施す方法を
用いると、ナトリウム含有量が低減でき、エポキシ樹脂
との接着強度も高めることができる。
【0119】実施例1は、DCAを硫化ソーダとp‐D
CBとの反応前に添加してPPSを製造したものであ
り、これに対して実施例9は、DCAを硫化ソーダと予
め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造
したものである。実施例9では、DCA添加量が硫化ソ
ーダに対して0.5モル%と、実施例1の0.7モル%
に比べて少いが、製造されたPPS中のアミノ基含有ア
リーレンスルフィド単位の含有量は多く、かつより高い
接着強度が得られることが分かった。
【0120】
【実施例15〜18及び比較例11〜12】上記の実施
例2、6、9及び12で製造したPPS(P‐2、P‐
6、P‐9及びP‐12)、及び比較例1及び3で製造
したPPS(P‐C1及びP‐C3)を用いて、シリコ
ーン樹脂との接着強度、衝撃強度及び曲げ強度を測定し
た。シリコーン樹脂との接着強度は以下のようにして測
定した。エポキシ樹脂との接着強度を測定した際と同一
のガラスファイバー及び炭酸カルシウムを用い、かつ同
一の配合比にてJIS K6850に従う試験片を作成
した。次いで、JIS K6850に準拠し、得られた
試験片をシリコーン系接着剤(信越シリコーンKE18
33、商標、信越化学工業株式会社製)を用いて100
℃、1時間の硬化条件で接着した後、引張速度5mm/
分、チャック間距離130mmで引張試験を行い、接着
強度を測定した。
【0121】以上の結果を表5に示す。
【0122】
【表5】 実施例15は、上記の実施例2、即ちDCAを硫化ソー
ダとp‐DCBとの反応前に添加してPPSを製造し、
かつ加熱により溶媒を除去する方法により製造したPP
S(P‐2)についてのものであり、比較例13は、実
施例2と同一条件下でDCAを添加せずして製造したP
PS(P‐C1)についてのものである。P‐2は、ア
ミノ基含有アリーレンスルフィド単位を含まないP‐C
1に比べて、シリコーン樹脂との接着強度が優れてお
り、また、衝撃強度及び曲げ強度も高かった。実施例1
6は、上記の実施例6、即ちDCAを硫化ソーダとp‐
DCBとの反応前に添加してPPSを製造し、かつ水
洗、酸処理を施す方法により製造したPPS(P‐6)
についてのものであり、比較例14は、実施例6と同一
条件下でDCAを添加せずして製造したPPS(P‐C
3)についてのものである。上記と同じくP‐6は、ア
ミノ基含有アリーレンスルフィド単位を含まないP‐C
3に比べて、シリコーン樹脂との接着強度が優れてお
り、衝撃強度及び曲げ強度も高かった。
【0123】実施例17は、上記の実施例9、即ちDC
Aを硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添
加してPPSを製造し、かつ加熱により溶媒を除去する
方法により製造したPPS(P‐9)についてのもので
あり、実施例18は、上記の実施例12、即ちDCAを
硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添加し
てPPSを製造し、かつ水洗、酸処理を施す方法により
製造したPPS(P‐12)についてのものである。い
ずれもシリコーン樹脂との接着強度は優れており、衝撃
強度及び曲げ強度も高かった。また、DCAを硫化ソー
ダと予め加熱混合する方法を用いることにより、DCA
を硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加する方法に
比べて、シリコーン樹脂との接着強度をより高くするこ
とができることが分かった。
【0124】実施例15と実施例16及び実施例17と
実施例18は、夫々PPSの製造条件は同一であるが、
PPS製造後の溶媒除去法が異なるものである。加熱に
よる溶媒除去に代えて、水洗、酸処理を施す方法を用い
ると、シリコーン樹脂との接着強度及び衝撃強度が向上
した。
【0125】
【発明の効果】本発明は、従来のPASの持つ高い耐熱
性と機械的強度に加えて、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂等との接着性に優れたPASを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたPPSの赤外吸収スペクト
ルを示す。
【図2】比較例1で得られたPPSの赤外吸収スペクト
ルを示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 官能基を含有するアリーレンスルフィド
    単位をアリーレンスルフィド単位の全量に対して0.1
    〜1.8モル%含み、かつ溶融粘度V6 が50〜300
    0ポイズであり、更にエポキシ樹脂との接着強度が60
    kgf/cm2 以上である実質的に線状のポリアリーレ
    ンスルフィド。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属含有量が200重量ppm
    以下である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド。
  3. 【請求項3】(A)請求項1又は2記載のポリアリーレ
    ンスルフィド 100重量部及び (B)充填剤 0.01〜400重量部 を含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014093176A (ja) * 2012-11-02 2014-05-19 Yazaki Corp オートマチックトランスミッション用コネクタ
WO2015098703A1 (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形体
JP2016058358A (ja) * 2014-09-12 2016-04-21 株式会社オートネットワーク技術研究所 端子台

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WO2015098703A1 (ja) * 2013-12-25 2015-07-02 Dic株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物及びその成形体
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