JPH083188A - 新規化合物キモスタチノール類及びその製法 - Google Patents

新規化合物キモスタチノール類及びその製法

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JPH083188A
JPH083188A JP6133176A JP13317694A JPH083188A JP H083188 A JPH083188 A JP H083188A JP 6133176 A JP6133176 A JP 6133176A JP 13317694 A JP13317694 A JP 13317694A JP H083188 A JPH083188 A JP H083188A
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JP6133176A
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Kiyoshi Hamano
潔 浜野
Kazuhiko Tanzawa
和比古 丹沢
Masaaki Takahashi
正明 高橋
Ryuzo Enokida
竜三 榎田
Hisao Okazaki
尚夫 岡崎
Takeshi Kinoshita
武 木下
Yasuyuki Takamatsu
安行 高松
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、一般式(I): 【化1】 (式中、R1 はイソプロピル基、セカンダリーブチル基
またはイソブチル基を表し、R2 は水素原子または炭素
数1乃至5個を有するアルキル基を表す。)で示される
キモスタチノール類化合物またはその塩に関する。 【効果】本発明のキモスタチノール類化合物はカテプシ
ンLを特異的かつ強力に阻害するだけでなくカテプシン
Bに対しては阻害活性が弱く安全性も高いことから、骨
粗鬆症治療薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カテプシンL阻害活性
を有する3つの新規化合物、キモスタチノールA、キモ
スタチノールB及びキモスタチノールCまたはそれらの
塩並びにそれらの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】高齢化社会が急速に進んでいる今日、老
人性骨粗鬆症は大きな社会問題である。骨は代謝回転し
ており、骨吸収と骨形成とが平衡を保つことより、常に
一定の骨量を維持している。このような平衡状態が破綻
して骨吸収が骨形成を上回ると、次第に骨量は減少し骨
粗鬆症をきたす。高齢者では骨粗鬆症による骨折をきっ
かけに寝たきりを余儀なくされることが多く、社会的に
も重要な問題となっている。
【0003】骨粗鬆症の基本的な原因の一つは、活性化
された破骨細胞による骨吸収の異常亢進である。破骨細
胞による骨吸収は、骨芽細胞の指令によって引き起こさ
れると報告されている。すなわち活性型ビタミンD3、
副甲状腺ホルモン(PTH)、インターロイキンなどほとん
どの骨吸収促進因子の受容体は骨芽細胞上に存在し、そ
の指令を受けた骨芽細胞が活性化され、何らかの形でそ
の情報が破骨細胞に伝達される。これらの情報を伝達さ
れた破骨細胞は活性化され、H+ の分泌と共に骨のタン
パク性支持組織であるコラーゲンを分解して、破骨細胞
と骨の間に吸収空間をつくる。この骨コラーゲン分解に
リソゾーム中のカテプシンLが最も重要な働きをしてお
り、カテプシンLを阻害することにより骨吸収が抑制で
きることが知られている(勝沼信彦:細胞内タンパク質
分解:東京化学同人、(1992年):Agricultural B
iological Chemistry 42:523, (1978))。
【0004】カテプシンLの阻害物質としては、動物モ
デルで血中カルシウム濃度を顕著に低下させるE−64
(Agricultural Biological Chemistry 42:523, (197
8))、カテプシン群の内在性阻害剤である分子量10、
000のペプチドのシスタチン類(勝沼信彦:細胞内タ
ンパク質分解:東京化学同人、(1992)、 73-8
8)、カテプシンLの特異的阻害物質、カテリン(FEBS-
Lett.(1989);255 (2): 211-214 )等が知られてい
る。これらの物質は有望な薬物になる可能性があるが、
いまだ実用には至っていない。
【0005】なお、本発明のキモスタチノール類化合物
と共通する部分構造を有する化合物としては、キモスタ
ンチン類( J. Antibiot., 23, 425-427, (1970))や M
er-N5075A (J. Antibiot., 46, 1622-1624, (1993) )
等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】本発明者らは、新
たに分離したストレプトマイセス(Streptomyces)属に
属する微生物ストレプトマイセス・ナッシュビレンシス
(Streptomyces nashvillensis)の培養物にカテプシン
Lを強力に阻害する物質が存在することを見いだし、新
規な構造を持つ3つの化合物キモスタチノールA、キモ
スタチノールB、キモスタチノールCを単離・精製し、
さらにそれらのエステル誘導体を作製し、本発明を完成
した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)一般式
(I):
【0008】
【化5】
【0009】(式中、R1 はイソプロピル基、セカンダ
リーブチル基またはイソブチル基を表し、R2 は水素原
子または炭素数1乃至5個を有するアルキル基を表
す。)で示されるキモスタチノール類化合物またはその
塩、(2)下記式(II):
【0010】
【化6】
【0011】で示されるキモスタチノールAまたはその
塩、(3)下記式(III):
【0012】
【化7】
【0013】で示されるキモスタチノールBまたはその
塩、(4)下記式(IV):
【0014】
【化8】
【0015】で示されるキモスタチノールCまたはその
塩、(5)ストレプトマイセス属に属するキモスタチノ
ールA、キモスタチノールB及び/またはキモスタチノ
ールC生産菌を培養し、その培養物からキモスタチノー
ルA、キモスタチノールB及び/またはキモスタチノー
ルCを採取することを特徴とする、キモスタチノール
A、キモスタチノールB及び/またはキモスタチノール
Cまたはそれらの塩の製造法、(6)ストレプトマイセ
ス属に属するキモスタチノールA生産菌を培養し、その
培養物からキモスタチノールAを採取することを特徴と
するキモスタチノールAまたはその塩の製造法、(7)
ストレプトマイセス属に属するキモスタチノールB生産
菌を培養し、その培養物からキモスタチノールBを採取
することを特徴とするキモスタチノールBまたはその塩
の製造法、(8)ストレプトマイセス属に属するキモス
タチノールC生産菌を培養し、その培養物からキモスタ
チノールCを採取することを特徴とするキモスタチノー
ルCまたはその塩の製造法、(9)ストレプトマイセス
・ナッシュビレンシスSANK63093株、に関する
ものである。
【0016】本発明の前記一般式(I)で表される化合
物のR2 が炭素数1乃至5個を有するアルキル基である
場合、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、t−
ブチル、ペンチルなどの直鎖状もしくは分枝鎖状のアル
キル基があげられる。好適には炭素数1乃至3個を有す
る直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基であり、最適に
はメチル基である。
【0017】本発明の前記一般式(I)で示される化合
物は、常法にしたがって塩とすることができる。
【0018】そのような塩としてはR1 が水素原子の場
合、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアル
カリ金属の塩;マグネシウム、カルシウム、バリウムな
どのアルカリ土類金属の塩;メチルアミン、エチルアミ
ン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルア
ミンなどの脂肪族第1乃至第3アミンの塩;リジン、ア
ルギニンなどのアミノ酸の塩;アンモニウム塩;等の塩
をあげることができる。好適にはナトリウム、カリウム
などのアルカリ金属の塩である。
【0019】これらの塩において、最適なものは薬理上
許容しうる塩である。
【0020】なお、前記一般式(I)を有する化合物
は、種々の異性体を有する。前記一般式(I)を有する
化合物においてはこれらの異性体がすべて単一の式で示
されている。従って、本発明においてはこれらの異性体
およびこれらの異性体の混合物をもすべて含むものであ
る。
【0021】更に、本発明の前記一般式(I)を有する
化合物においては、生体内において前記一般式(I)を
有する化合物に誘導される、いわゆる「プロドラッグ化
合物」もすべて含まれるものである。
【0022】前記一般式(I)を有する化合物におい
て、好適には、R1 がイソプロピル基、セカンダリーブ
チル基またはイソブチル基を示し、R2 が水素原子又は
炭素数1乃至3個を有するアルキル基を示す化合物又は
その塩である。
【0023】最適には、R1 がイソプロピル基、セカン
ダリーブチル基またはイソブチル基を示し、R2 が水素
原子を示す化合物又はその塩である。
【0024】本発明の一般式(I)を有する化合物の具
体例としては、例えば下記の表1に記載する化合物を挙
げることができる。
【0025】
【表1】 ──────────────────────────────────── 化合物番号 R1 R2 ──────────────────────────────────── 1 i-Pr H 2 sec-Bu H 3 i-Bu H 4 i-Pr Me 5 sec-Bu Me 6 i-Bu Me 7 i-Pr Et 8 sec-Bu Et 9 i-Bu Et 10 i-Pr Pr 11 sec-Bu Pr 12 i-Bu Pr ──────────────────────────────────── 但し、表中 H=水素原子、 Me=メチル、
Et=エチル、i-Pr=イソプロピル、 Pr=プロピ
ル、i-Bu=イソブチル、sec-Bu=セカンダリーブチ
ル、基を示す。
【0026】上記化合物表中、好適には例示化合物番号
1、2、3またはその塩である。
【0027】ここで、例示化合物番号1の化合物はキモ
スタチノールA、例示化合物番号2の化合物はキモスタ
チノールB、例示化合物3の化合物はキモスタチノール
Cである。
【0028】(I)本発明の前記一般式(I)を有する
化合物のうち、キモスタチノールA、キモスタチノール
B及びキモスタチノールCは次の方法で得られる。
【0029】本発明者らによって単離されたキモスタチ
ノールA、キモスタチノールB及びキモスタチノールC
を生産する放線菌SANK 63093株の形態学的特
徴、生理学的性質および化学分類学的性質は以下に示す
とおりである。
【0030】1.形態学的特徴 SANK63093株はISP「インターナショナル・
ストレプトマイセス・プロジェクト(International St
reptomyces Project)」規定の培地上で28℃、14日
間の培養により次のような形態学的特徴を示した。光学
顕微鏡による観察ではSANK 63093の基生 菌
糸は良好に伸長、分岐し茶味白ないし暗い茶色を示すが
ノカルディア( Nocardia )属菌株様の断裂やジグザグ
伸長は観察されない。気菌糸は単純分岐する。胞子連鎖
の形態は直線ないし曲線状を示し、およそ10ないし5
0個またはそれ以上の胞子の連鎖を形成する。走査型電
子顕微鏡による観察では胞子は楕円形で、その表面構造
は平滑状(Smooth)を示す。胞子の大きさは 0.7〜0.8
x 0.7〜1.7 μm である。胞子は気菌糸上にのみ形成さ
れる。また、胞子のう、気菌糸の車軸分岐、気菌糸の断
裂、菌核などの特殊器官は認められない。
【0031】2.各種培養基上での培養性状 SANK 63093株の28℃、14日間培養後の寒
天培地上での培養性状は表2に示すとおりである。
【0032】
【表2】 培地の種類 項目*1 SANK63093株の性状 ──────────────────────────────────── イーストエキス・ G :非常に良好、平坦、薄黄味茶(2.5Y 8/3)*2 麦芽エキス寒天 AM:豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 8/1) (ISP 2) R :暗い茶(10YR 3/2) SP:暗い茶(10YR 4/4) オートミール寒天 G :非常に良好、平坦、薄黄味橙(2.5Y 9/2) (ISP 3) AM:豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 8/1) R :灰味黄茶ないし暗い茶味灰(2.5Y 8/3 〜 2.5Y 3/2) SP:黄味茶(2.5Y 6/4) 澱粉・無機塩寒天 G :非常に良好、平坦、黄味灰(5Y 8/2) (ISP 4) AM:豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 7/1) R :灰味黄茶(2.5Y 6/3) SP:産生せず グリセリン・ G :非常に良好、平坦、黄味灰(7.5Y 9/2) アスパラギン寒天 AM:豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 7/1) (ISP 5) R :茶味灰(2.5Y 5/2) SP:産生せず ペプトン・イーストG :良好、平坦、茶味灰(2.5Y 6/2) エキス・鉄寒天 AM:形成せず (ISP 6) R :茶味灰(2.5Y 6/2) SP:暗い黄味茶(7.5YR 2/2) チロシン寒天 G :非常に良好、平坦、暗い茶(10YR 3/2) (ISP 7) AM:豊富に形成、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 7/1) R :暗い茶(10YR 2/2) SP:暗い茶(10YR 3/2) シュクロース・ G :良くない、平坦、茶味白(2.5Y 9/1) 硝酸塩寒天 AM:良好、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 8/1) R :薄茶(2.5Y 8/2) SP:産生せず グルコース・ G :あまり良くない、平坦、茶味白(2.5Y 9/1) アスパラギン寒天 AM:僅かに形成、白 R :薄黄味橙(2.5Y 9/2) SP:産生せず 栄養寒天 G :あまり良くない、平坦、薄黄味橙(2.5Y 9/2) (DIFCO) AM:余り良くない、ビロード状、白 R :黄味茶(2.5Y 7/4) SP:黄味茶(10YR 6/6) ポテトエキス・ G :良くない、平坦、茶味白(2.5Y 9/1) 人参エキス寒天 AM:良好、ビロード状、明るい茶味灰(2.5Y 7/1) R :明るい茶味灰(10YR 8/1) SP:産生せず 水寒天 G :良くない、平坦、茶味白(2.5Y 9/1) AM:あまり良くない、ビロード状、茶味白(10YR 9/2) R :茶味白(10YR 9/2) SP:産生せず ──────────────────────────────────── *1:G:生育、AM:気菌糸、R:裏面、SP:可溶性色素 *2:マンセル方式に準拠した色調の表示 3.生理学的性質 28℃で培養後、2ないし21日間に観察したSANK
63093株の生理学的性質は表3に示すとおりであ
る。
【0033】
【表3】 また、プリドハム・ゴトリーブ寒天培地(ISP 9) を使用
して、28℃、14日間培養後に観察したSANK63
093株の炭素源の資化性は表4に示すとおりである。
【0034】
【表4】 ─────────────────────── D−グルコース + L−アラビノース + D−キシロース ± イノシトール − D−マンニトール − D−フルクトース − L−ラムノース − シュクロース ± ラフィノース − 対照 − ─────────────────────── +:資化する、±:弱く資化する、−:資化しない 4.化学分類学的性質 SANK63093株の細胞壁は長谷川らの方法「長谷
川ら、ザ・ジャーナルオブ・ジェネラル・アンド・アプ
ライド・マイクロバイオロジー(The Journalof Genera
l and Applied Microbiology )29巻、319−32
2頁、1983年」に従い検討した結果、LL−ジアミ
ノピメリン酸が検出された。また、SANK 6309
3株の全細胞中の主要糖成分をエム・ピー・レシェバリ
エの方法「M. P. Lechevalier 、ジャーナル・オブ・ラ
ボラトリー・アンド・クリニカル・メディシン(Journa
l of Laboratory and Clinical Medicine )71巻、9
34−944頁、1968年」に従い検討した結果特徴
的な成分は検出されなかった。細胞壁ペプチドグリカン
のアシル基については内田らの方法「内田ら、ザ・ジャ
ーナルオブ・ジェネラル・アンド・アプライド・マイク
ロバイオロジー(The Journal of General and Applied
Microbiology )25巻、169−183頁、1979
年」に従い検討した結果アセチル型であった。
【0035】以上の菌学的性質からSANK 6309
3株は放線菌の中でもストレプトマイセス (Streptom
yces)属に属することが明らかにされた。シャーリング
とゴトリーブによるISP菌株記載[(E. B. Shirling
and D. Gottlieb)、インターナショナル・ジャーナル
・オブ・システマティック・バクテリオロジー(Intern
ational Journal of Systematic Bacteriology)、 第
18巻、68−189頁(1968年)、第18巻、2
79−392頁(1968年)、第19巻、391−5
12頁(1969年)、第22巻、265−394頁
(1972年)]、ワックスマン著、ジ・アクチノミセ
テス(S. A. Waksman; The Actinomycetes)第2巻、ブ
キャナンとギボンズ編バージーズマニュアル(R. E. Bu
chanan andN. E. Gibbons; Bergey's Manual of Determ
inative Bacteriology )第8版(1974年)、ウィ
リアムズ、シャープおよびホルト編バージーズ・マニュ
アル(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology)
第4巻(1989年)、およびストレプトマイセス(St
reptomyces)属放線菌に関する最近の文献に記載されて
いる菌種と比較したところ、ストレプトマイセス・ナッ
シュビレンシス(Streptomyces nashvillensis)に極め
て近縁であることが判明した。しかしながら、ストレプ
トマイセス・ナッシュビレンシス(Streptomyces nashv
illensis)はミルクの凝固とペプトン化が陽性である点
において差異が認められた。このような菌学的特徴を有
するSANK 63093株は明らかにストレプトマイ
セス・ナッシュビレンシス(Streptomyces nashvillens
is)とは異なる新菌株であると思われるがこれらの差異
をもって種を区別することはできないためストレプトマ
イセス・ナッシュビレンシス(Streptomyces nashville
nsis)と同定された。SANK 63093株は、平成
6年4月4日に工業技術院生命工学工業技術研究所にF
ERM BP−4627として寄託されている。
【0036】本発明の生理活性物質キモスタチノール
A、キモスタチノールB及び/または、キモスタチノー
ルCは、例えばストレプトマイセス(Streptomyces)属
に属するキモスタチノール類化合物生産菌を培養し、そ
の培養物中からキモスタチノールA、キモスタチノール
B、及び/またはキモスタチノールCを採取することに
より製造される。
【0037】本発明で使用されるキモスタチノールA、
キモスタチノールB及び/または、キモスタチノールC
生産菌としては、前述のストレプトマイセス属が挙げら
れるが、ストレプトマイセス属に属しキモスタチノール
A、キモスタチノールB及び/または、キモスタチノー
ルCを生産する能力を有する菌株は、他の一般微生物の
菌株の場合に見られるようにその性状が変化しやすく、
例えば、紫外線、高周波、放射線や化学変異剤等の用い
る人工変異手段で容易に変異しうる。このような変異株
であっても、目的の活性を有する菌株は全て本発明の方
法に使用することができる。すなわち、本発明ではキモ
スタチノール類化合物を生産し、SANK 63093
株およびその変異株と明確に区別されない菌株は、すべ
て SANK 63093株に包含される。
【0038】本発明の製造法において、培養は放線菌の
培養に一般に用いられている条件により行うことができ
る。微生物が利用しうる栄養物を含有する培地として
は、一般微生物培養に利用される公知のものを使用する
ことができ、微生物の資化しうる炭素源(通常、培地量
の1乃至10重量%)、窒素源(通常、培地量の0.2
乃至6重量%)、無機物等を適当に含有する培地であれ
ば、天然培地、合成培地のいずれも使用することができ
る。
【0039】炭素源としては、菌が炭素源として資化し
うるものであれば特に限定はないが、例えば、グルコー
ス、果糖、麦芽糖、乳糖、庶糖、澱粉、マンニトール、
デキストリン、グリセリン、水飴、糖蜜、廃糖蜜、オー
ト麦粉、ライ麦粉、トウモロコシデンプン、ジャガイ
モ、トウモロコシ粉、大豆粉、マルトエキスのような炭
水化物;大豆油、綿実油、オリーブ油、タラ肝油、ラー
ドのような油脂類;クエン酸、アスコルビン酸ナトリウ
ム、りんご酸、酢酸、フマール酸、酒石酸、コハク酸、
グルコン酸のような有機酸類;メタノ−ル、エタノ−
ル、n-プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n-ブタノ−
ル、イソブタノ−ル、t-ブタノ−ルのようなアルコール
類;及びグルタミン酸のようなアミノ酸を、単独若しく
は併用して使用することができる。
【0040】窒素源としては、菌が窒素源として資化し
うるものであれば特に限定はないが、例えば、フスマ、
落花生粉、カゼイン加水分解物、魚粉、マルトエキス、
大豆粉、大豆カゼイン、カザミノ酸、ファーマメディ
ア、綿実粉、小麦胚芽、肉エキス、ペプトン、コーンス
チープリカー、自己消化イースト、乾燥酵母、酵母エキ
ス、尿素のような有機窒素化合物;アスパラギン酸、グ
ルタミン、シスチン、アラニンのようなアミノ酸;硫酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、
燐酸アンモニウムのようなアンモニウム塩、硝酸ナトリ
ウム、硝酸カリウムのような硝酸塩等の無機窒素化合物
を、単独若しくは併用して使用することができる。
【0041】培地中にとり入れる無機塩は、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウ
ム、フォスフェート、サルフェート、クロライド、カー
ボネート等のイオンを得ることの出来る通常の塩類であ
り、モリブデン、ホウ素、銅、コバルト、マンガン、鉄
等の微量の金属も含み、具体的には、例えば、食塩、塩
化マンガン、塩化コバルト、塩化カリウム、塩化カルシ
ウム、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫
酸マンガン、硫酸銅、硫酸コバルト、硫酸亜鉛、硫酸第
一鉄、硫酸マグネシウム、燐酸一カリウム、燐酸二カリ
ウム、燐酸二ナトリウム、モリブデン酸アンモニウムを
挙げることができこれらを適宜組合せ使用することがで
きる。
【0042】また、菌の資化しうる硫黄化合物を培地に
添加すると、目的物の生成量が増大する場合がある。例
えば、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸第一鉄、硫酸アンモニウ
ムのような硫酸塩、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ
硫酸塩、亜硫酸アンモニウムのような亜硫酸塩等の無機
硫黄化合物;シスチン、システィン、L−チアゾリジン
−4−カルボン酸のような含硫アミノ酸、ヒポタウリ
ン、グルタチオンのような含硫ペプチド等の有機硫黄化
合物 硫酸第一鉄、硫酸銅のような重金属類、ビタミン
B1、ビオチンのようなビタミン類、サイアミンのよう
な菌体増殖促進物質等も必要に応じて添加される。
【0043】更に、シリコンオイル、ポリアルキレング
リコールエーテル、植物油、動物油、界面活性剤のよう
な消泡剤を培地に添加しても良い(特に、液体培養に際
しては、好適である。)。
【0044】生産菌の生育に適した培養方法としては、
特に制限はなく、微生物一般に用いられる培養法であれ
ば用いることが可能であり、例えば、固体培養法、静置
培養法、撹拌培養法、振盪培養法、通気培養法を使用す
ることができるが、好適には、好気的な液体培養法であ
る撹拌培養法、振盪培養法、又は、通気培養法であり、
更に好適には、振盪培養法である。尚、工業的には、通
気撹拌培養法が適している。
【0045】培地のpHは、通常、5.0乃至8.0で
あり、好適には、7.0である。
【0046】菌の生育に適した培養温度は、通常、15
℃乃至30℃であり、好適には、28℃である。
【0047】キモスタチノールA、キモスタチノールB
及び/またはキモスタチノールCの生産は振とう培養で
通常1−3日で最高値に達する。
【0048】本発明のキモスタチノール類化合物は、カ
テプシンL阻害活性を測定することによりその生産量を
定量することができる。
【0049】阻害活性は以下の方法により測定した。
【0050】カテプシンL活性測定は 82 mM NaOAc, 15
mM CH3COOH (pH 5.5), 1 mM EDTA,0.05 % Brij 35, 2
mM DTTに、酵素標品及び被検検体を加え全量 1 ml で
行なった。 30 ℃で 5 分間プレンキュベートした後、
基質10 mM Z-Phe-Arg-MCA を添加し 30 ℃で 20 分間イ
ンキュベートした。10 mM ロイペプチンで反応を停止
し、10,000 rpm で 5 分 遠心を行い、上清の蛍光強
度( Ex 370nm, Em 460nm)を測定した。
【0051】培養終了後の生成物は培養濾液及び菌体内
に存在する。培養物中の菌体その他の固形部分は、遠心
分離、又は、珪藻土を濾過助剤とする濾過操作などによ
って、除去することができる。ここで得られる上清画分
または濾液中に本発明のキモスタチノールA、キモスタ
チノールB及び/または、キモスタチノールCが存在す
る。
【0052】上清画分または濾液中のキモスタチノール
A、キモスタチノールB及び/または、キモスタチノー
ルCは、その物理化学的性質を利用して抽出精製する事
が出来る。
【0053】上清画分または濾液を酸性条件とした後、
水と混じらない有機溶媒、例えばブタノールなどで抽出
操作を行い、その抽出物を濃縮することにより粗精製物
としてキモスタチノールA、キモスタチノールB及び/
または、キモスタチノールCが得られる。
【0054】また、最終濃度が50乃至90%になるよ
うに、水と混和しうる有機溶媒(例えば、メタノ−ル、
エタノ−ルのようなアルコ−ル類;アセトンのようなケ
トン類;アセトニトリル、イソブチロニトリルのような
ニトリル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2
−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチル
ホスホロトリアミドのようなアミド類)を菌体に加えて
抽出操作を行い溶媒を除去した後、上清画分または濾液
と同様の処理をすることにより上清画分または濾液と同
様にキモスタチノールA、キモスタチノールB及び/ま
たは、キモスタチノールCを得ることができる。
【0055】さらに該化合物は、通常、有機化合物の分
離精製に慣用されている方法、例えば、セファデックス
LH−20(ファルマシア社製)、アンバーライトXA
D−11(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオ
ンHP−20(三菱化成社製)ような合成吸着剤を使用
する分配カラムクロマトグラフィー等の方法、又は、シ
リカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆
相カラムクロマトグラフィー法(好適には、高速液体ク
ロマトグラフィーである)を適宜組合せ、適切な溶離剤
で溶出することによって目的化合物を分離、精製するこ
とができる。
【0056】またアルミナ、マグネシウムーシリカゲル
系のフロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマ
トグラフィー法でも該化合物を精製することができる。
【0057】使用される溶媒としては、好適には、脂肪
族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような
芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、
四塩化炭素、ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水
素類;酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、
ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエ−テ
ル類を挙げることができる。
【0058】さらに、次にあげる担体をもちいるカラム
クロマトグラフィーで、本発明の化合物を効率良く精製
することが出来る。ダウエックス50W(ダウケミカル
社製)、アンバーライトIRC−50(ローム・アンド
・ハース社製)、ダイアイオンWXシリーズ、SKシリ
ーズ(三菱化成社製)などの陽イオン交換樹脂や、SP
セファデックス、CMセファデックス(ファルマシア社
製)などの陽イオン交換セファデックスなどに該化合物
を吸着させ、各種酸、塩基、無機塩、有機塩を用い塩濃
度,pHを適宜調整して目的の化合物を溶出することが
できる。
【0059】目的化合物の溶出の検定は逆相カラムを用
いたHPLC分析、または前述のカテプシンL阻害活性
測定によって行うことができる。
【0060】(II)本発明の前記一般式(I)を有す
る化合物のうち、R2 がアルキル基を示す化合物は次の
ようにして得られる。
【0061】即ち、キモスタチノールA、キモスタチノ
ールB及び/または、キモスタチノールCとメタノー
ル、エタノールのようなアルコール類を用いて、酸でエ
ステル化反応を行なうことによって達成される。反応に
使用される酸としては、特に限定はなく、例えば硫酸、
塩酸、塩素酸、過塩素酸のような鉱酸;ギ酸、トリフル
オロ酢酸のような有機酸;が好ましい。反応温度、反応
時間は使用する試薬、溶剤等で異なるが、通常、0 〜10
0 ℃、1 〜24 時間、でエステル交換反応により他のア
ルキル基に変換できる。
【0062】反応終了後、目的化合物は反応混合物から
溶剤を留去し、残渣を乾燥することにより得られる。こ
のようにして得られた目的化合物は更に再結晶または通
常のカラムクロマトグラフィーに付して精製することが
できる。
【0063】あるいはジアゾメタンのようなジアゾアル
カン類と反応させることによっても達成される。反応は
溶剤の存在下で行なわれる。使用される溶剤としては反
応に影響を与えないものであれば特に限定はなく、ジエ
チルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメ
トキシエタンのようなエーテル類;酢酸エチルのような
エステル類;ジメチルホルムアミドのようなアミド類;
ジメチルスルフォキシドのようなスルフォキシド類;が
好ましい。反応温度、反応時間は使用する試薬、溶剤等
で異なるが、通常、0 ℃〜室温、1 〜24時間が好適であ
る。
【0064】または、R2 が水素原子を示す化合物を、
炭酸カリウム、炭酸ナトリウムのようなアルカリ金属炭
酸塩の存在下、ヨウ化メチル、ヨウ化エチルのようなハ
ロゲン化アルキル化合物と反応させることによっても、
R2 がアルキル基を示す化合物を得ることができる。反
応は溶剤の存在下で行なわれる。使用される溶剤として
は反応に影響を与えないものであれば特に限定はなく、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンの
ようなエーテル類;ジメチルホルムアミドのようなアミ
ド類;ジメチルスルフォキシドのようなスルフォキシド
類;が好ましい。反応温度、反応時間は使用する試薬、
溶剤等で異なるが、通常、0 〜100 ℃、1 〜72 時間が
好適である。
【0065】反応終了後、目的化合物は反応混合物から
溶剤を留去し、残渣に水および酢酸エチルのような有機
溶剤を加えて分液する。有機層を濃縮し、残渣を再結晶
または通常のカラムクロマトグラフィーに付して精製す
ることにより得られる。
【0066】以上の如くして得られた、キモスタチノー
ル類化合物の物理化学的性状は以下の通りである。
【0067】1 キモスタチノールA 1)物質の性状 白色粉末 2)分子量(FAB-MASS 法により決定) 595HR
FABMS [M+H]+ 実測値:596.3198 計算値:596.3197(C30H42O6N
7) 3)分子式 C30H41N7 O6 4)赤外線吸収スペクトル (KBr錠剤中 ν max c
m-1 )3329,2963,2934,1676,1639,1550,1386,1246,107
7,1046,702 5) 1H−核磁気共鳴スペクトル 重ジメチルスルフォキサイド溶媒中で、テトラメチルシ
ランを内部基準にして測定した時のδ値(多重度)は次
の通りである。
【0068】0.73(3H,d),0.73(3H,d),1.87(1H,m),4.05
(1H,dd),7.89(1H,brd),3.25(2H,m),3.87(1H,m),2.6(1H,
dd),2.76(1H,dd),7.89(1H,brd),7.02(1H),4.0(1H,m),2.
82(1H,m),2.95(1H,m),7.08(1H),6.15(1H),4.4(1H,dd),
3.5(1H,m),1.6(2H,m),2.84(1H,m),3.0(1H,m),6.8(1H),
7.2(10H,m) 6)13C−核磁気共鳴スペクトル 重ジメチルスルフォキサイド溶媒中で、テトラメチルシ
ランを内部基準にして測定した時のδ値(多重度)は次
の通りである。
【0069】175.3(s),169.5(s),170.3(s),157.1(s),15
4.4(s),125.5(s),125.8(s),139(d)x2,127.6(d),128(d),
129(d),129.5(d),38.5(t),21.2(t),38.4(t),36.3(t),6
2.2(t),50.6(d),54.9(d),125.5(d),56(d),125.8(d),52.
4(d),57.9(d),30.6(d),17.8(q),19.1(q), 7)高速液体クロマトグラフィー カラム : ラジアルパックカートリッジ (8NVC184
)ウォーターズ社製 移動相 : アセトニトリル/トリエチルアミン−リン
酸緩衝液pH3.2 (25:75 ) 流 速 : 2.0 ml/min 検 出 : UV 210 nm 保持時間: 7.2分 8)アミノ酸分析 封管中100℃、18時間の6N塩酸加水分解でバリ
ン、フェニルアラニンを検出 2 キモスタチノールB 1)物質の性状 白色粉末 2)分子量(FAB-MASS 法により決定) 609HR
FABMS [M+H]+ 実測値:610.3350 計算値:610.3353(C31H44N7O
6) 3)分子式 C31H43N7 O6 4)赤外線吸収スペクトル (KBr錠剤中 ν max c
m-1 )3324,2964,2935,1640,1551,1498,1454,1386,126
0,701 5) 1H−核磁気共鳴スペクトル 重ジメチルスルフォキサイド溶媒中で、テトラメチルシ
ランを内部基準にして測定した時のδ値(多重度)は次
の通りである。
【0070】0.73(3H,d),0.73(3H,d),1.87(1H,m),4.05
(1H,dd),7.89(1H,brd),3.25(2H,m),3.87(1H,m),2.6(1H,
dd),2.76(1H,dd),7.89(1H,brd),7.02(1H),4.0(1H,m),2.
82(1H,m),2.95(1H,m),7.08(1H),6.15(1H),4.4(1H,dd),
3.5(1H,m),1.6(2H,m),2.84(1H,m),3.0(1H,m),6.8(1H),
7.2(10H,m) 6)13C−核磁気共鳴スペクトル 重ジメチルスルフォキサイド溶媒中で、テトラメチルシ
ランを内部基準にして測定した時のδ値(多重度)は次
の通りである。
【0071】175.0(s),169.3(s),170.4(s),157.2(s),15
4.3(s),138.9(d)x2,127.6(d),128(d),129(d),129.4(d),
125.6(s),125.8(s),38.4(t),21.1(t),50.7(d),54.8(d),
125.6(d),38.5(t),58.8(d),125.8(d),36.3(t),52.4(d),
62.2(t),57.2(d),45.4(d),36.7(t),15.2(q),11.0q), 7)高速液体クロマトグラフィー カラム : ラジアルパックカートリッジ (8NVC184
)ウォーターズ社製 移動相 : アセトニトリル/トリエチルアミン−リン
酸緩衝液pH 3.2 (25:75 ) 流 速 : 2.0 ml/min 検 出 : UV 210 nm 保持時間: 12.9分 8)アミノ酸分析 封管中100℃、18時間の6N塩酸加水分解でイソロ
イシン、フェニルアラニンを検出 3 キモスタチノールC 1)物質の性状 白色粉末 2)分子量(FAB-MASS 法により決定) 609HR
FABMS [M+H]+ 実測値:610.3350 計算値:610.3353(C31H44N7O
6) 3)分子式 C31H43N7 O6 4)赤外線吸収スペクトル (KBr錠剤中 ν max c
m-1 )3325,3085,3030,2961,2875,1642,1551,1497 5) 1H−核磁気共鳴スペクトル 重ジメチルスルフォキサイド溶媒中で、テトラメチルシ
ランを内部基準にして測定した時のδ値(多重度)は次
の通りである。
【0072】0.78(3H,d),0.8(3H,d),1.35(2H,m),1.5(1
H,m),4.21(1H,dd),8.05(1H,brd),3.25(2H,m),3.8(1H,
m),2.6(1H,dd),2.75(1H,dd),7.85(1H,brd),7.02(1H),3.
98(1H,m),2.92(1H,m),2.75(1H,m),6.15(1H),6.12(1H),
4.31(1H,dd),3.5(1H,m),1.62(2H,m),3.01(1H,m),3.12(1
H,m),6.75(1H),7.1(10H,m) 6)13C−核磁気共鳴スペクトル 重ジメチルスルフォキサイド溶媒中で、テトラメチルシ
ランを内部基準にして測定した時のδ値(多重度)は次
の通りである。
【0073】175.4(s),169.2(s),171.5(s),157.0(s),15
4.3(s),138.9(d),139.1(d),127.6(d),128(d),129.1(d),
129.4(d),125.6(s),125.8(s),38.0(t),21.3(t),50.8
(d),54.9(d),125.5(d),38.8(t),58.8(d),125.8(d),36.3
(t),52.4(d),62.0(t),57.0(d),21.6,22.9,24.1(q),11.2
q), 7)高速液体クロマトグラフィー カラム : ラジアルパックカートリッジ (8NVC184
)ウォーターズ社製 移動相 : アセトニトリル/トリエチルアミン−リン
酸緩衝液pH3.2 (25:75 ) 流 速 : 2.0 ml/min 検 出 : UV 210 nm 保持時間: 15.7 分 8)アミノ酸分析 封管中100℃、18時間の6N塩酸加水分解でロイシ
ン、フェニルアラニンを検出 本発明のキモスタチノールA、キモスタチノールB及び
/またはキモスタチノールCおよび/またはそれらの塩
を骨粗鬆症の治療薬として用いる場合、いろいろな形態
で投与される。その投与形態としては例えば錠剤、カプ
セル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等による経口投与ま
たは注射剤(静脈内、筋肉内、皮下)などをあげること
が出来る。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦
形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、溶解剤、矯味矯臭、コ
ーティング剤等既知の医薬製剤分野において通常使用し
うる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。そ
の使用量は症状、年齢、体重、投与方法および剤形等に
よって異なるが通常は成人に対して一日10mg乃至1
000mgを投与することができる。
【0074】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0075】実施例−1 A) 培養 種培養は次に示した組成のシード培地を用いた。
【0076】培地組成(シード培地) グルコース 1 % グリセリン 1 % オートミール 0.5 % シュークロース 1 % 日清ソーヤフラワー 2 % 生イースト 1 % カザミノ酸 0.5 % 炭酸カルシウム 0.1 % 消泡剤 0.05% 水道水に溶かし、pH7に調整する。
【0077】種培養のために上記組成のシード培地を 5
00 ml 容バッフル付き三角フラスコに 100 ml 入れ、12
1 ℃で 40 分間滅菌した。種培養をするために、この培
地入り三角フラスコ2本に ストレプトマイセス・ナッ
シュビレンシス(Streptomyces nashvillensis)SAN
K 63093 のスラントから一白金耳ずつ接種し、
28℃で3日間ロータリーシェーカー(200rpm ,5cm thr
ow) で振とう培養した。第2代種培養のために60L容
ジャーファーメンターにシード培地30L入れ121 ℃で
40 分間滅菌し、前述の種培養液の全量を移した。28
℃で2日間培養をした。
【0078】生産には600Lファーメンターに以下の
組成の培地を300L入れ、121℃で40分滅菌し
た。
【0079】グルコース 0.5 % グリセリン 2.5 % コーンスティープリカー 1 % 日清ソーヤフラワー 1 % 生イースト 1 % 炭酸カルシウム 0.3 % リン酸1カリウム 1 % 微量金属塩溶液(注) 0.1 % 消泡剤 0.05% イオン交換水に溶かし、pH7.2とする。
【0080】(注)微量菌属塩: FeSO4・7H2O 0.1g、 M
nCl2・4H2O 0.1g、 ZnSO4・7H2O 0.1gを100mlの蒸
留水に溶かしたもの。
【0081】前述の60L容ジャーファーメンター種培
養液の全量を生産培地に入れ、28℃で24時間通気撹
伴培養した。
【0082】B) 単離 培養液300Lをセライト瀘過でろ液と菌体に分けた。
300Lのろ液を塩酸でpH6.3とした後、50Lの
HP−20樹脂(三菱化成製)を充填したカラムに吸着
させた。50Lの水、100Lの15%アセトン/水で
洗浄した後、200Lの60%アセトン/水で活性物質
を溶出した。減圧下アセトンを溜去し120Lとした。
塩酸でpH3.5とした後酢酸エチル100Lで2回洗
浄し、水層を集め減圧下酢酸エチルを溜去した。
【0083】この液を7LのDowex−50W X4
陽イオン交換樹脂(H+ 型)をつめたカラムに供与し、
吸着させた。30Lの水で洗浄後、0.5Nアンモニア
水で溶出した。活性のあるフラクション30Lを得、減
圧下で濃縮しアンモニアを除去した後、2.5LのHP
−20樹脂を充填したカラムに吸着させた。5Lの水で
洗浄し、60%アセトン/水で溶出した。活性のあるフ
ラクションを濃縮後、凍結乾燥して粗粉末12gを得
た。
【0084】粗粉末を50mlの水に溶かし、pH7.
0のリン酸バッファーで膨潤させ平衡化したCM−セフ
ァデックス(ファルマシア社製)500mlを充填した
カラムに供与した。蒸留水で展開して得られた活性フラ
クションを凍結乾燥して粉末とした後、再度CM−セフ
ァデックスカラム処理を同じ条件で繰り返した。活性の
ある凍結乾燥粉末800mgを得た。
【0085】得られた粉末について以下に示した分取条
件でHPLC分取を行いさらに精製した。
【0086】カラム :Senshu ODS H-5251 ( 20mm x 2
5cm :センシュー科学製) 移動相 :アセトニトリル/0.5%トリエチルアミン−リ
ン酸緩衝液pH3.2 (28: 72) 流 速 : 6 ml/min 検 出 :示差屈折計 8mlの移動相に溶解した油状物を1回に100mgイン
ジェクションした。このHPLCにおいて、保持時間2
5分のキモスタチノールA、42分のキモスタチノール
B、48分のキモスタチノールCの各ピークをそれぞれ
分取した。これを8回繰り返した後、3種類の画分につ
いて各回の分取液を合わせ、それぞれアセトニトリルを
溜去した。それぞれの画分の濃縮液を10mlのHP−
20樹脂を充填したカラムに吸着させた。50mlの水
で洗浄後60%アセトン/水で溶出、濃縮後凍結乾燥し
て純粋なキモスタチノールAを12mg、キモスタチノ
ールBを10mg、キモスタチノールCを9mg、それ
ぞれ得た。
【0087】 上記処方の粉末を混合し、30メッシュのふるいを通し
た後、この粉末330mgをゼラチンカプセルに入れ、
カプセル剤とした。
【0088】
【発明の効果】次に試験例をあげて本発明の効果を説明
する。
【0089】試験例−1 1−1 材料、試薬 Z-Phe-Arg-MCA ならびにZ-Arg-Arg-MCA はペプチド研究
所(株)より購入した。カテプシンBおよびα- キモト
リプシンはシグマ社より購入した。ラット肝臓は五週令
の雄SDラット(日本SLC )より採取した。
【0090】1−2 カテプシンLの精製 ラットから採取した肝臓をPBS で洗浄後、細切し2倍量
(v/w)のホモジネートバッファー(1% NaCl 、 0.1% ED
TA、 2% Butanol ) に加えポリトロンでホモジナイズし
た。ホモジネート画分を 3600 rpmで 30 分遠心し、
上清を2M HClでpH 4.2とした。上清を37℃で4時間、さ
らに 4℃で一昼夜自己分解させた。
【0091】自己分解させた後5000 rpmで30分遠心し、
その上清について20-80 % 飽和硫安分画を行なった。沈
殿 7 g につき1 ml の緩衝液A(20 mM NaOAc、 1 mM
EDTA)で溶かし、4 ℃で1 時間攪拌後、25,000 rpmで25
分超遠心した。その上清を緩衝液Aに対して透析した。
透析内液を緩衝液Aで平衡化したCMーSephadex カラムに
供与し、緩衝液Aで洗浄後、 0 Mから1 M までのNaC
lを含む緩衝液Aでリニアグラジエント溶出した。フラ
クションごとにカテプシンL、カテプシンB活性を測定
し、カテプシンL活性のみを持つフラクションを集め、
分注し-80 ℃で保存した。
【0092】1−3 カテプシンL活性測定法 カテプシンL活性測定は 82 mM NaOAc, 15 mM CH3COOH
(pH 5.5), 1 mM EDTA,0.05 % Brij 35, 2 mM DTTに酵
素標品と被検検体とを加え、全量 1 ml で行なった。 3
0 ℃で 5 分間プレインキュベーション後、カテプシン
Lの基質である10 mM Z-Phe-Arg-MCA を添加し、 30 ℃
で 20 分間インキュベートした。10 mMleupeptin で反
応を停止し、10,000 rpm で 5 分遠心操作を行い、上
清の蛍光強度( Ex 370nm, Em 460nm)を測定した。
【0093】1−4 カテプシンB活性測定法 カテプシンB活性測定はカテプシンL活性測定法に準じ
て行ない、基質としてZ-Arg-Arg-MCA を用いた。
【0094】1−5 α- キモトリプシン活性測定法 α- キモトリプシン活性測定は梅沢らの方法に従って行
なった。すなわち0.025 M ホウ酸緩衝液 (pH7.4)に溶解
させた 2 % casein 500 ml に0.1 M CaCl2 25 ml及び
被検検体またはネガティブ・コントロールとして 0.025
Mホウ酸緩衝液(pH7.4)を425 ml 加え、37℃で 3 分
間プレインキュベーションした。 0.025Mホウ酸緩衝液
(pH7.4)に溶かしたα- キモトリプシンを 3 mg 添加す
ることにより反応を開始し、 37 ℃で 30 分インキュベ
ートした。1.7 M 過塩素酸 1 mlで反応を停止し、1 時
間室温 で放置した後、10,000 rpm で 5 分遠心した
上清の280 nm の吸光度を測定した。
【0095】結果 前記アッセイ法における本物質のカテプシンLに対する
50%阻害濃度(IC50)をつぎの表5にまとめた。
【0096】
【表5】 カテプシンL カテプシンB キモトリプシン (ng/ml) (μg/ml) (μg/ml) キモスタチノールA 46 12 8.4 キモスタチノールB 32 4 1.6 キモスタチノールC 44 14 5.0 以上の如く、本発明の生理活性物質キモスタチノール
A、キモスタチノールB、キモスタチノールC、カテプ
シンLを特異的かつ強力に阻害するだけでなくカテプシ
ンBに対しては阻害活性が弱く安全性も高いことから、
骨粗鬆症治療薬として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/20 C12R 1:465) (C12P 17/10 C12R 1:465) (72)発明者 榎田 竜三 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 岡崎 尚夫 茨城県つくば市御幸が丘33 三共株式会社 内 (72)発明者 木下 武 東京都品川区広町1丁目2番58号 三共株 式会社内 (72)発明者 高松 安行 福島県いわき市泉町下川字大剱389−4 三共株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): 【化1】 (式中、R1 はイソプロピル基、セカンダリーブチル基
    またはイソブチル基を表し、R2 は水素原子または炭素
    数1乃至5個を有するアルキル基を表す。)で示される
    キモスタチノール類化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】下記式(II): 【化2】 で示されるキモスタチノールAまたはその塩。
  3. 【請求項3】下記式(III): 【化3】 で示されるキモスタチノールBまたはその塩。
  4. 【請求項4】下記式(IV): 【化4】 で示されるキモスタチノールCまたはその塩。
  5. 【請求項5】ストレプトマイセス属に属するキモスタチ
    ノールA、キモスタチノールB及び/またはキモスタチ
    ノールC生産菌を培養し、その培養物からキモスタチノ
    ールA、キモスタチノールB及び/またはキモスタチノ
    ールCを採取することを特徴とする、キモスタチノール
    A、キモスタチノールB及び/またはキモスタチノール
    Cまたはそれらの塩の製造法。
  6. 【請求項6】ストレプトマイセス属に属するキモスタチ
    ノールA生産菌を培養し、その培養物からキモスタチノ
    ールAを採取することを特徴とするキモスタチノールA
    またはその塩の製造法。
  7. 【請求項7】ストレプトマイセス属に属するキモスタチ
    ノールB生産菌を培養し、その培養物からキモスタチノ
    ールBを採取することを特徴とするキモスタチノールB
    またはその塩の製造法。
  8. 【請求項8】ストレプトマイセス属に属するキモスタチ
    ノールC生産菌を培養し、その培養物からキモスタチノ
    ールCを採取することを特徴とするキモスタチノールC
    またはその塩の製造法。
  9. 【請求項9】ストレプトマイセス・ナッシュビレンシス
    SANK63093株。
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