JPH08319583A - 摺動部材の製造方法及び2層部材の製造方法 - Google Patents

摺動部材の製造方法及び2層部材の製造方法

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JPH08319583A
JPH08319583A JP7121696A JP12169695A JPH08319583A JP H08319583 A JPH08319583 A JP H08319583A JP 7121696 A JP7121696 A JP 7121696A JP 12169695 A JP12169695 A JP 12169695A JP H08319583 A JPH08319583 A JP H08319583A
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博司 岡島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】基材1の被覆面1k側の気孔を早期に封孔し、
摺動層として機能する被覆材2を基材1の被覆面1kに
残留させる摺動部材の製造方法を提供する。 【構成】シンクロナイザーリング等となる鉄系圧粉体か
らなる基材1を用い、基材1の被覆面1kの上にCu−
Ni−Mn系の粉末状の被覆材2を載置する。その状態
で基材1の焼結温度域に加熱保持して基材1を焼結す
る。焼結の際に被覆材2は融液化する。積極的に冷却せ
ず焼結温度域に加熱保持している場合であっても、その
融液は基材1との反応により固相線温度が次第に上昇
し、自然に凝固する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動部材の製造方法及び
2層部材の製造方法に関する。本発明方法は例えば摺動
部材として機能できるシンクロナイザーリング、カム、
ロッカーアーム、タペット等に適用できる。
【0002】
【従来の技術】2層部材の製造方法として、2層の接合
強度を向上させるべく、従来より種々の方法が提案され
ている。特開昭61−96010号公報には、融液を利
用して粉末合金シートを鉄系部材へ焼結接合する方法が
開示されている。この方法によれば、鋳鉄等の鉄系部材
と、C、Moを含む共晶合金粉末と樹脂とからなる粉末
合金シートとを用い、鉄系部材の被覆面に粉末合金シー
トを載せる工程と、鋳鉄等の鉄系部材の被覆面と粉末合
金シートとの界面に融液を生じる温度に鉄系部材を加熱
する工程と、融液が生じた後に速やかに温度を下げて融
液を固相化する固相化工程と、固相化した部位を高融点
化する工程と、粉末合金シートを半液相焼結する本焼結
工程とを順に実施することにしている。この方法によれ
ば、融液の固化により冶金的接合を図り、接合強度を確
保することにしている。
【0003】また特開昭63−130705号公報に
は、トランスミッションなどの摩擦結合部材の製造方法
が開示されている。この方法によれば、円錐面状の内周
面を備えた同期リングを用い、その内周面に2つの層を
積層した状態で型締めし、型締めした状態で焼結し、焼
結時における2つの層の熱膨張により圧縮力を発生さ
せ、圧縮力を利用して2つの層の接合強度を高めること
にしている。
【0004】また特開昭58−3902号公報には、焼
結に伴う収縮量が2%以上の焼結合金材料からなる予備
焼結体を選択し、その予備焼結体を軸の外周部に取付
け、この状態で焼結することにより、焼結に伴う収縮力
と液相接合とにより接合強度を高めたカムシャフトの製
造方法が開示されている。また特開昭64−56851
号公報には、C、Cr、Si、Mn、B、Zr、Hf等
を含む鉄基粉末と、Pb等を含む銅系の溶浸材粉末とを
用い、鉄基粉末と溶浸材粉末とを2層に圧粉成形して2
層圧粉体を形成し、2層圧粉体のうち鉄基粉末領域を焼
結すると共に、その気孔に溶浸材粉末の融液を積極的に
溶浸させる耐熱耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法が開示
されている。
【0005】上記した各公報技術によれば、層の接合強
度は必ずしも満足できるものではなく、改善の余地があ
る。また重量比でNiが15〜30%、Mnが5〜15
%、Siが0.5〜3%、Bが0.5〜1.5%含まれ
た残部実質的にCuの組成をもつCu基ろう合金を用
い、ろう合金を2個の鉄系圧粉体の境界に介在させ、ろ
う接合する技術(特開平1−95894号公報)が本出
願人により近年開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで溶浸の場合に
は、そのままの温度に保持しておくと、溶浸材が基材の
気孔に過剰に浸透してしまう。この場合には基材の被覆
面上に被覆材は残留しにくく、全て浸透してしまえば、
基材の被覆面に溶浸材は実質的に残留しなくなる。更に
基材の気孔への浸透量が多量となるため、基材が膨張し
がちであり、基材の寸法精度の低下、変形が誘発され易
い。そのため過剰溶浸を防止して基材上に溶浸材を残留
させるには、所要量の溶浸を行った後に積極的に冷却し
て、融液状の溶浸材の凝固を強制的に行う必要がある。
【0007】また前記した特開昭61−96010号公
報に係る技術においても、鉄系部材の被覆面と粉末合金
シートとの界面に融液が生じた後に、温度を積極的に低
下させて融液を凝固することにしている。しかしながら
鉄系部材の被覆面と粉末合金シートとの界面に融液が生
じた後に、温度を積極的に低下させることは、あまり現
実的ではない。例えば連続焼結処理には不利である。
【0008】また上記した本出願人による特開平1−9
5894号公報に係る合金は、2個の鉄系圧粉体の境界
に介在して2個の鉄系圧粉体を一体的にろう接合するろ
う付け合金であり、表面に露出して耐摺動性を確保する
摺動材料を意図するものではない。本発明は上記した実
情に鑑みなされたものであり、請求項1の課題は、摺動
部材を対象とするものであり、生成した融液の固相線温
度を上昇させることにより、融液の凝固を促し、これに
より基材の被覆面側の気孔を早期に封孔でき、被覆材が
基材側に過剰に浸透することを抑制し、従って摺動面を
形成する被覆材を基材に残留させるのに有利で、摺動性
の確保に有利な摺動部材の製造方法を提供することにあ
る。
【0009】請求項2の課題は、摺動部材を含む2層部
材を対象とするものであり、基材の被覆面を縦方向に沿
わせることにより、融液の流下を促し、融液が凝固した
融液凝固層の均厚化、薄肉化に有利な2層部材の製造方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
○本発明者は上記した課題のもとに開発を進め、基材の
構成成分と反応して反応に伴い固相線温度が上昇する融
液を生成する性質を備えた構成成分を含む被覆材を用い
れば、上記課題を達成できることに着目し、試験で確認
し、本発明方法を完成させたものである。
【0011】本発明方法のメカニズムは次の様に推察さ
れる。即ち、図20(A)に示す状態図を例にとって説
明する。図20(A)において基材の組成をaとし、被
覆材の組成をbとする。この図において組成が矢印X1
に向かうにつれてaの濃度は高くなり、矢印X2方向に
向かうにつれてaの濃度は低くなる。ここで基材と被覆
材とを接触させた状態で温度T1から昇温して温度T3
(例えば基材の目標焼結温度)で保持する。この際温度
T1からの昇温に伴い固相線温度T2に到達すると、b
組成の金属から融液が生成し始める。ここで固相線温度
T2においては、融液の組成は液相線におけるL1で示
されており、融液中のa金属の濃度は低い。
【0012】しかし基材と被覆材とが高温状態において
接触しているため、基材を構成するa組成の金属と融液
との間における拡散が速やかに進行し、これによりa組
成の金属と融液とが速やかに反応して、融液中のa金属
の濃度が矢印X1方向に次第に増加する。このことは、
a組成の金属と融液との反応に伴い、融液の固相線温度
が上昇することを意味する。そのため積極的に冷却せず
とも、仮に温度T3に等温状態に保持している場合であ
っても、融液は凝固する。基材と被覆材との反応は、拡
散に基づき、両者の界面において最も進行し易いと推察
されるため、上記の様な融液の固相線温度の上昇は、界
面において発生し易い。なお融液の固相線温度の上昇の
メカニズムは、被覆材全部が融液状でも或いはは固液共
存状態でも得られるものである。 ○即ち、請求項1に係る摺動部材の製造方法は、少なく
とも被覆面側に気孔を備えた基材と、基材の構成成分と
反応して反応に伴い固相線温度が上昇する融液を生成す
る性質を備えた構成成分を含む被覆材とを用い、基材の
被覆面の少なくとも一部と被覆材とを接触させた状態
で、融液が生じ得る温度領域に昇温して加熱保持するこ
とにより、基材の構成成分と被覆材の構成成分とを反応
させ、反応に伴い固相線温度が上昇する融液を生成する
と共に、固相線温度の上昇に伴い融液を凝固させて、基
材の表面側の気孔を早期に封孔し、摺動面を形成する被
覆材を基材の被覆面に残留させ、残留した被覆材で摺動
面を形成する様にしたことを特徴とするものである。 ○請求項2に係る2層部材の製造方法は、請求項1に係
る方法と主要部を共通するものであり、縦方向に沿う被
覆面を備えた基材と、基材の構成成分と反応して反応に
伴い固相線温度が上昇する融液を生成する性質を備えた
構成成分を含む被覆材とを用い、基材の被覆面の少なく
とも一部と被覆材とを接触させた状態で、融液が生じ得
る温度領域に昇温して加熱保持することにより、基材の
構成成分と被覆材の構成成分とを反応させ、反応に伴い
固相線温度が上昇する融液を生成し、融液を被覆面に沿
って流下させると共に、固相線温度の上昇に伴い融液を
凝固させる様にしたことを特徴とするものである。
【0013】
【作用】請求項1に係る方法によれば、融液が生じ得る
温度領域に加熱保持することにより、基材の構成成分と
被覆材の構成成分とを反応させて固相線温度が上昇する
融液を生成する。この様に融液の固相線温度が次第に上
昇していくので、積極的に冷却せずとも、仮に等温に保
持するだけの場合であっても、融液は速やかに凝固す
る。
【0014】請求項1に係る方法によれば、上記した反
応は基材と被覆材との界面において進行し易いと考えら
れるため、界面において最も融液が凝固し易いと考えら
れる。生成した融液は、固相線温度の上昇に伴い速やか
に凝固するので、界面に生成した融液の凝固により、基
材の被覆面側の気孔は早期に封孔される。この様に早期
に封孔されれば、被覆材の融液が基材へ過剰浸透するこ
とは抑制される。そのため摺動部材となる被覆材が基材
の被覆面に残留し易い。しかも被覆材は融液生成過程を
経るため、摺動面となる被覆材の表出面の平坦化促進を
図り得る。
【0015】請求項2に係る方法によれば、生成した融
液が流下する様に基材の被覆面は縦方向に沿っている。
縦方向とは、重力により融液が流下する方向を意味し、
鉛直方向や鉛直方向に対して傾斜している方向を含む。
この様な請求項2に係る方法によれば、生成した融液は
基材の被覆面にそって流下する。融液のうち、基材の被
覆面に直接接触している融液部分は、基材と反応し易い
ため、固相線温度が早期に上昇し易い。従って所定温度
に加熱保持しておくだけであっても、基材の被覆面に直
接接触している融液部分は、固相線温度が自然に上昇し
て速やかに凝固する。
【0016】しかし基材の被覆面に直接接触していない
融液部分は、基材との反応が遅れ、従って固相線温度の
上昇が遅れ、融液は凝固せずに更に流下する。しかしそ
の融液部分が基材の被覆面に直接接触すれば、基材との
反応性が向上するため、固相線温度が上昇し、従ってそ
の融液部分は速やかに凝固する。
【0017】
【実施例】以下、本発明方法の各実施例を説明する。 (実施例1)図1は実施例1を示す。この例では、金属
系の第1原料粉末を圧縮成形した圧粉体からなる基材1
と、金属系の第2原料粉末の集合体からなる被覆材2と
を用いる。基材1を成形する際の加圧力は適宜選択でき
るが、例えば640MPaにできる。基材1の密度比は
適宜選択できるものの、例えば80〜95%程度にで
き、従って基材1には開放気孔が存在している。
【0018】そして基材1の上側の被覆面1kに粉末状
の被覆材2を適量載せる。その状態で基材1の焼結温度
域を目標温度として昇温し、その温度域に加熱保持し
て、基材1を焼結して焼結金属とする。焼結時間は基材
1の種類に応じて適宜選択できるが、例えば15〜30
分程度にできる。焼結雰囲気は非酸化性雰囲気(例えば
窒素ガス雰囲気)が好ましい。焼結温度域では、被覆材
2は全て融液化するか、或いは固液共存状態となる。
【0019】焼結の際に、基材1の金属成分と被覆材2
の金属成分とが両者の界面において反応して、前述した
様に生成した融液の固相線温度が上昇する。そのため焼
結温度域に等温保持しておくだけでも、即ち積極的に冷
却せずとも、界面側つまり基材1の被覆面1k側の融液
部分は、早期に凝固する。これにより基材1のうち被覆
面1k側の気孔は、融液凝固のため早期に封孔される。
【0020】この様に基材1のうち被覆面1k側の気孔
は早期に封孔されるので、融液となった被覆材2の大部
分は、基材1の被覆面1kに載せられたままとなる。よ
って融液となった被覆材2のほとんとが基材1の気孔に
過剰浸透してしまうといった不具合を防止するのに有利
である。従って、摺動面を形成する被覆材2を基材1の
被覆面1kに残留させるのに有利である。
【0021】しかも焼結工程の際に被覆材2は、全部融
液となる状態または固液共存状態を経るので、被覆材2
の上面の平坦化が促進される。よって残留した凝固体で
ある被覆材2の上面を、表面平滑性が要請される摺動面
として用いるのにも有利である。この様な意味からし
て、摺動材料として適する様に被覆材2の組成を設定す
ることが好ましい。また上記の様に被覆材2を粉末の集
合体とすれば、被覆材2の量、被覆箇所を適宜変更する
のに有利である。
【0022】(実施例2)図2は実施例を示す。この例
は基本的には実施例1と同様の構成である。この例で
は、第1原料粉末を圧縮成形した圧粉体からなる基材1
と、第2原料粉末を圧縮成形した圧粉体からなる被覆材
2とを用い、基材1の上側の被覆面1kに被覆材2を載
せる。その状態で基材1の焼結温度域を目標温度として
昇温し、その温度域に加熱保持して、基材1の焼結を行
う。焼結の際には被覆材2は全て融液となるか、または
固液共存状態となる。この例においても生成した融液の
固相線温度の上昇が得られ、焼結温度域に加熱保持して
いるだけであっても、固相線が上昇した融液が自然に凝
固する。従って基材1の被覆面1k側の早期封孔を達成
でき、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られ
る。この例の様に被覆材2を固形状の圧粉体とすれば、
被覆材2の量の均一化、バラツキ回避に有利である。
【0023】(実施例3)図3は実施例を示す。この例
は基本的には実施例1と同様の構成である。この例で
は、第1原料粉末を圧縮成形した基材1と、第2原料粉
末の集合体からなる被覆材2と、載置部材として機能す
るトレー3とを用いる。トレー3の表面は平坦状とされ
ている。
【0024】そして第2原料粉末の集合体からなる被覆
材2をトレー3に載せる。次に被覆材2の上に基材1の
被覆面1kを載せる。その状態で基材1の焼結温度域を
目標温度として昇温し、その温度域に加熱保持して基材
1の焼結を行う。焼結の際には被覆材2は全て融液化す
るか、固液共存状態となる。この例では基材1の質量が
融液部分に作用するので、融液化した被覆材2がトレー
3に押しつけられる。基材1を焼結した後の冷却によ
り、このままの状態で被覆材3は凝固するので、凝固後
の被覆材2のうち摺動面となる表面2w(トレー3に対
面している面)を矯正でき、摺動面となる表面2wの表
面粗さを小さくするのに有利である。
【0025】この例においても融液の固相線温度の上昇
が得られ、早期封孔を達成でき、実施例1と基本的には
同様の作用効果が得られる。しかも被覆材2の上方に基
材1が配置されているので、表面張力による融液の基材
1への浸透を規制するのに有利であり、この意味でも基
材1への過剰浸透を抑制できる。試験によれば、被覆材
2の上面を図1に示す形態の様に自由表面とした場合に
は、Rmaxが193μm程度であった。融液が凝固す
る際のデンドライト生成等による影響と推察される。し
かし図3の様に基材1の質量を融液に作用させた場合に
は、同様の焼結条件において被覆材2の表面2xの表面
粗さは85μm程度と小さかった。
【0026】(実施例4)図4は実施例を示す。この例
は基本的には実施例1と同様の構成である。この例で
は、第1原料粉末で形成した圧粉体からなる基材1と、
第2原料粉末の集合体からなる被覆材2と、トレー3と
を用いる。そしてトレー3に載せた圧粉体からなる基材
1のうち縦方向にのびる被覆面1kに、被覆材2を接触
させる。その状態で基材1の焼結温度域に加熱保持して
基材1の焼結を行う。この例においても融液の固相線温
度の上昇が得られ、早期封孔を達成でき、実施例1と基
本的には同様の作用効果が得られる。
【0027】(実施例5)図5は実施例を示す。この例
は基本的には実施例4と同様の構成である。この例で
は、第1原料粉末を圧縮成形した圧粉体からなる基材1
と、第2原料粉末を圧縮成形した圧粉体からなる被覆材
2と、トレー3とを用いる。そしてトレー3に載せた基
材1のうち縦方向にのびる被覆面1kに、圧粉体からな
る被覆材2を接触させる。その状態で基材1の焼結温度
域に加熱保持して、基材1の焼結を行う。この例におい
ても融液の固相線温度の上昇が得られ、早期封孔を達成
でき、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られ
る。
【0028】(実施例6)図6は実施例を示す。この例
は基本的には実施例2と同様の構成である。この例で
は、圧粉成形の際に、成形型のキャビティの底部に、基
材1を構成する第1原料粉末を装填する。次に、被覆材
2を構成する第2原料粉末を第1原料粉末の上に載せ
る。この状態で圧縮成形する。従って、基材1と被覆材
2との2層構造の圧粉体が得られる。その後、2層構造
の圧粉体を基材1の焼結温度域に加熱保持して、基材1
の焼結を行う。この例においても融液の固相線温度の上
昇が得られ、早期封孔を達成でき、実施例1と基本的に
は同様の作用効果が得られる。
【0029】(実施例7)図7は実施例7を示す。この
例は基本的には実施例6と同様の構成である。この例で
は、焼結の際に、基材1の被覆面1kを縦向きに方向転
換し、基材1と被覆材2との界面が縦向きとなる様にす
る。この状態で基材1の焼結温度域に加熱保持して、基
材1の焼結を行う。この例においても融液の固相線温度
の上昇が得られ、早期封孔を達成でき、実施例1と基本
的には同様の作用効果が得られる。
【0030】(実施例8)図8は実施例8を示す。この
例は基本的には実施例7と同様の構成である。但しこの
例では、第1原料粉末と第2原料粉末とを同軸的に圧縮
成形して、被覆材2と基材1とを一体的に圧粉成形した
2層構造つまり内層・外層構造を備えたリング状の圧粉
体を得る。その状態で基材1の焼結温度域に加熱保持し
て、基材1の焼結を行う。この例では被覆材2を基材1
の内周部に形成しているが、被覆材2を基材1の外周部
に形成することもでき、あるいは、基材1の内周部及び
外周部の双方に形成することもできる。この例において
も融液の固相線温度の上昇が得られ、早期封孔を達成で
き、実施例1と基本的には同様の作用効果が得られる。
この例の場合には、被覆面1kが縦向きのため、生成し
た融液は被覆面1kに沿って流下し、そして流下しつつ
凝固する。
【0031】(実施例9)図9は実施例9を示す。この
例は基本的には実施例8と同様の構成であり、同様の作
用効果を奏する。この例では、第1原料粉末を圧縮成形
した圧粉体からなるリング状の基材1を成形する。基材
1の被覆面としての内周面1rは、下方に向かうにつれ
て内径が縮径する円錐面状をなしている。内周面1rの
上端に係止凹部1hが連設されている。そして第2原料
粉末を圧縮成形した圧粉体からなるリング状の被覆材2
を用い、被覆材2を係止凹部1hに保持する。
【0032】次にその状態で基材1の焼結温度域を目標
温度として昇温し、その温度域に加熱保持して、基材1
の焼結を行う。この結果、被覆材2が溶融して融液が内
周面1rに沿って流下する。流下する融液と基材1の内
周面1rとが反応するので、この例においても融液の固
相線温度の上昇が得られる。従ってその融液は流下しつ
つ凝固する。よって焼結温度域に等温保持しているにも
係わらず、早期封孔を達成でき、実施例1と基本的には
同様の作用効果が得られる。
【0033】(実施例10)図10は実施例10を示
す。この例は基本的には実施例9と同様の構成である。
リング状をなす基材1の内周面1rは、下方に向かうに
つれて内径が縮径する円錐面状であるため、焼結前にお
ける固体塊状態のリング状をなす被覆材2を内周面1r
で係止でき、従って被覆材2の落下は防止される。この
例においても生成した融液は内周面1rに沿って流下す
ると共に、流下する融液と基材1の内周面1rとが反応
するので、融液の固相線温度の上昇が得られ、早期封孔
を達成でき、実施例1と基本的には同様の作用効果が得
られる。
【0034】(実施例11)図11及び図12は実施例
11を示す。図12は図11のS1−S1線に沿う断面
を示す。この例は基本的には実施例9と同様の構成であ
り、同様の作用効果を奏する。この例では、第1原料粉
末を圧縮成形した圧粉体からなるリング状をなす基材1
を用いる。基材1は、下方に向かうにつれて内径が縮径
する円錐面状の内周面1rを備えている。そして第2原
料粉末を圧縮成形したリング状をなす圧粉体からなる被
覆材2を基材1の係止凹部1hに係止させて保持する。
【0035】更に図12に示す様に基材1の被覆面とし
ての内周面1rには凹凸部1mが周方向にわたり連設さ
れている。凹凸部1mは、基材1の内周面1rの表面積
を確保するためのものである。この例でも基材1の焼結
温度域に加熱保持して、基材1の焼結を行う。焼結の際
に被覆材2が融液化して内周面1rに沿って流下する。
このとき流下する融液と基材1とが反応して融液凝固層
を形成する。この例においても融液の固相線温度の上昇
が得られ、早期封孔を達成でき、実施例1と基本的には
同様の作用効果が得られる。
【0036】この例では界面となる被覆面としての内周
面1rに凹凸部1mが形成されているので、基材1の内
周面1rと融液との反応面積が増大し、従って基材1と
融液との拡散性ひいては反応性が向上し、融液の固相線
温度を早期に上昇させるのに有利である。しかも凹凸部
1mは上下方向にのびているため、融液の流下に対して
支障とならない。
【0037】(実施例12)図13は実施例12を示
す。この例は基本的には実施例9と同様の構成である。
この例では、第1原料粉末を圧縮成形した圧粉体からな
る基材1を用いる。更に、基材1の円錐面状の内周面1
rと整合する傾きを備えた外周面4rをもつ押圧治具4
を用いる。そして圧粉体からなる被覆材2を基材1の係
止凹部1hに係止して保持する。
【0038】次にその状態で基材1の焼結温度域に加熱
保持して、基材1の焼結を行う。焼結の際に被覆材2の
融液が内周面1rに沿って流下する。この様に融液が流
下している際に、押圧治具4を基材1の内周面1rに向
けて矢印E1方向に移動させれば、押圧治具4の押圧面
4rが融液を押圧するので、融液の形態は矯正される。
従って、融液が凝固した融液凝固層の表面粗さ、平滑
性、寸法精度が向上する。押圧治具4は、融液と反応し
にくい材質、例えば黒鉛、セラミックス等で形成するこ
とが好ましい。
【0039】(融液の流下)ところで上記した各実施例
においては基材1の被覆面1kや内周面1rが縦方向に
沿っている形態がある。この場合の作用効果について、
模式図である図14を例にとって説明を加える。基材1
の焼結の際には被覆材2は完全融液状態のまま或いは固
液共存状態に維持されているため、重力に起因して融液
は基材1の被覆面1kにそって流下する傾向となる。図
14(A)は、重力により融液Pが矢印Y1方向に流下
している形態を示す。流下している融液Pのうち、基材
1の被覆面1kに直接接触している融液部分P1 は、基
材1との直接接触により反応し易いため、固相線温度が
速やかに上昇し易い。従って基材1の被覆面1kに直接
接触している融液部分P1 は、その固相線温度が上昇し
て速やかに凝固し、図14(B)に示す融液凝固層S1
となる。しかし基材1の被覆面1kに直接接触していな
い融液部分P2 は、基材1との反応が遅れるので、その
固相線温度の上昇が遅れ、融液部分P2 は凝固せずに図
14(C)に模式的に示す様に、更に下方に流下する。
【0040】しかし図14(C)に示す様にその融液部
分P2 が基材1の被覆面1kに直接接触すれば、基材1
との反応性が確保されるため、その融液部分P2 の固相
線温度が上昇し、従ってその融液部分P2 は速やかに凝
固して融液凝固層S2 となる。この際、基材1の焼結温
度域に加熱保持されている関係上、被覆材2の溶融は続
くので、図14(D)に模式的に示す様に、被覆材2が
溶融した融液部分P3が更に流下してくるが、基材1と
は直接接触しないため、固相線温度の上昇が遅れ、凝固
せずにそのまま流下する。しかし図14(E)に示す様
にその融液部分P3 が基材1の被覆面1kに直接接触す
れば、基材1との反応性が確保されるため、その固相線
温度が上昇し、従ってその融液部分P3 は速やかに凝固
して融液凝固層となる。
【0041】この様に基材1の被覆面1kを縦方向に沿
わせて配置しておけば、生成した融液が凝固した融液凝
固層は、基材1の被覆面kののびる方向において、つま
り縦方向において均一厚みで薄く生成し易い。故に融液
凝固層の厚みの均一化や薄肉化に有利である。この様な
作用効果は、基材1と被覆材2との界面つまり被覆面1
k、内周面1rが縦方向に向いている実施例において実
現される。従って図9に示す例、図10に示す例、図1
1に示す例に適用される。更には、図8に示す例、図7
に示す例、図4に示す例、図5に示す例にも適用され
る。
【0042】(適用例)基材1はコストや強度等を考慮
すると鉄系が好ましい。被覆材2を構成する第2原料粉
末の組成は、基材1の焼結温度域を考慮して、基材1の
焼結温度域において適切な融液が生成する様に調整され
ることが好ましい。被覆材2の表出面を摺動面として用
いる場合には、被覆材2を構成する第2原料粉末の組成
は、耐摩耗性、耐焼付性、摩擦係数等の摺動特性を考慮
して調整されていることが好ましい。
【0043】この様な事情を考慮して、被覆材2を構成
する第2原料粉末の組成は、Cu基合金、例えばCu−
Mn−Ni系を採用できる。即ち、重量比でMnが5〜
30%、Niが30〜50%、残部実質的にCuの組成
のものを採用できる。更にBが0.01〜2%、Siが
0.01〜4%含有されていても良い。なお用途によっ
てはBやSiは省略しても良い。
【0044】組成の限定理由について説明を加える。即
ちCuは相手材(材質:Fe系)に対する焼付性の向上
に寄与する。Mnは被覆材2の固相線温度の低下、基材
1への浸食防止に寄与する。Niは使用環境下における
耐食性の向上、被覆材の固相線温度を高めるため、摩擦
係数の調整のために寄与する。BやSiは、固相線温度
を低下すると共に、基材1を構成するFeに対する濡れ
性の向上に寄与する。
【0045】被覆材2が粉末粒子の集合体、粉末粒子を
圧縮成形した圧粉体であるときには、被覆材2を構成す
る粉末粒子の粒径は、例えば10〜200μm程度にで
きる。被覆材2を構成する粉末粒子の粒径が微細な方
が、被覆材2の均一組成化に有利である。図15は、連
続焼結炉50を用いて、コンベヤ装置51に基材1を載
せた状態で、コンベヤ装置51を駆動させ、基材1を矢
印F1方向に搬送して連続焼結炉50で連続的に焼結す
る形態を示す。前述した様に上記した各実施例によれ
ば、基材1との反応に伴い融液の固相線温度が上昇する
ため、積極的に冷却せずとも、生成した融液を速やかに
凝固させ得る。この様に冷却せずとも融液が凝固するこ
とから、連続焼結炉50で基材1を焼結させるのに有利
である。
【0046】この点特開昭61−96010号公報に係
る技術の様に、温度を積極的に低下させる方式を採用す
れば、連続焼結炉の使用は不利である。図16は本発明
方法を、車両の駆動機構における同期装置の構成要素で
あるシンクロナイザーリングに適用した例を示す。シン
クロナイザーリングは、リング状の基材1と、基材1の
内周面にリング状に被覆された薄層状の被覆材2とで形
成されている。被覆材2の内周面が相手材と摺動する摺
動面となる。このシンクロナイザーリングは、図8に示
す形態同様の形態を経て製造されている。被覆材2は前
述した様にCu基合金、例えば上記した組成を備えたC
u−Mn−Ni系で形成されている。
【0047】(試験例)上記した実施例1に係る方法で
製造された摺動部材について試験を行った。この試験で
は、基材1を構成する第1原料粉末は、重量比で黒鉛粉
末0.5%と、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛0.8%
と、残部実質的にFe系合金粉末(粒径:20〜250
μm)とを混合したものである。Fe系合金粉末は、重
量比で4%Ni−1.5%Cu−0.5%Mo、不可避
の不純物、残部実質的にFeの組成である。
【0048】この試験では、被覆材2を構成する第2原
料粉末は、Cu系粉末(粒径:50〜300μm)と純
鉄粉末(粒径:20〜250μm)とを混合した混合粉
末である。混合粉末を100%としたとき純鉄粉末は2
0%である。Cu系粉末の組成はCu−Mn−Ni系で
あり、具体的には重量比で40%Ni−20%Mn−2
%Si−1%B、不可避の不純物、残部実質的にCuで
ある。
【0049】この試験では、基材1を焼結する焼結条件
は、窒素雰囲気において、所定加熱速度で700℃まで
加熱して所定時間加熱保持し、その後1120℃で30
分間保持し、その後冷却して行った。そして実施例1で
製造された摺動部材について、摺動試験として焼付試
験、摩耗試験を実施した。
【0050】更に比較例として、シンクロナイザーリン
グ用として従来より用いられてるCu合金(バルク状の
溶製材)を用い、同様に焼付試験、摩耗試験を実施し
た。た。なお比較例に係るCu合金は、重量比でCu−
4.8%Al−2.5%Ni−1.6%Ti、30%Z
nの組成を備えている。焼付試験の条件は、シンクロナ
イザーリングを考慮して次の様とした。即ち、相手材を
鉄系のSCM420浸炭材とし、摺動速度を7m/sと
し、ギヤオイル中にて焼付荷重を測定した。焼付限界荷
重は、実施例1に係る摺動部材によれば213kgであ
り、比較例に係る摺動部材によれば200kgであっ
た。
【0051】摩耗試験の条件は次の様である。即ち、相
手材をSCM420浸炭材とし、摺動速度を5m/sと
し、ギヤオイル中にて荷重27.2kgで30分間摺動
して摩耗量及び摩擦係数を測定した。摩耗量は、実施例
1に係る摺動部材によれば12.2μmであり、比較例
に係る摺動部材によれば32.3μmであった。摩擦係
数は、実施例1に係る摺動部材によれば0.081であ
り、比較例に係る摺動部材によれば0.084であっ
た。
【0052】この試験結果から理解できる様に、実施例
1によれば、従来より使用されている比較例に係る銅合
金以上の優れた耐焼付性と耐摩耗性が得られることがわ
かる。更にシンクロナイザーリングに必要とされる摩擦
係数も従来合金と遜色がないことがわかる。更に実施例
1に係る摺動部材は、Ni含有量が多いCu−Mn−N
i系被覆材2が利用されているものの、摺動部材の基体
を構成する鉄系焼結体である基材1にその被覆材2を積
層している構造であるため、Cu−Mn−Ni系被覆材
2の消費量を節約でき、比較例に係る摺動部材に比較し
て、全体としてみると価格の低廉化に有利である。
【0053】更に、上記した試験を行った実施例1に係
る金属組織の顕微鏡写真を図17に示す。図3に示す実
施例3に係る金属組織の顕微鏡写真を図18に示す。図
4に示す実施例4に係る金属組織の顕微鏡写真を図19
に示す。なお各写真の組織は、上記した試験例に係る組
成条件や焼結条件に基づくものである。各写真はナイタ
ル腐食の状態を示す。
【0054】図17〜図19において、基材1の上に被
覆材2が積層されている状態が示されており、上部の黒
一色部分は試料作製の際の埋め込み樹脂を示す。図17
から理解できる様に基材1の被覆面の微小な凹凸部分に
も被覆材2が含浸していることから、一旦融液が生成
し、その融液が界面に浸透して速やかに凝固して冶金的
な接合が行われたことが推察できる。各写真によれば、
基材1を焼結した後の被覆材2の内部には微細な針状の
硬質粒子が分散していることが確認される。硬質粒子は
Fe系硼化物(EPMA分析及びX線分析により確認)
である。
【0055】Fe系硼化物は、一般的に硬度がHv18
00〜2200程度、特にHv2000程度であり、平
均粒径が30〜100μm程度である。またこの写真だ
けでは明瞭に観察できないが、NiとMnの複合珪化物
系の硬質相も、基材1を焼結した後の被覆材2に分散し
ていることが走査型電子顕微鏡観察及びEPMA分析に
より確認されている。この複合珪化物系は一般的に硬度
がHv800〜1200程度、特にHv1000程度で
あり、網目状の微細組織である。
【0056】この様に基材1を焼結した後の被覆材2に
は微細な硬質粒子や硬質相が分散しているので、被覆材
2の耐摩耗性が向上し、基材1を焼結した後の被覆材2
の表出面を、摺動面として用いるのに適する。図18は
前述した様に図3に示す実施例、即ち基材1の質量が融
液に作用する実施例に係るものであり、基材1の質量に
より融液がトレー3の底面に押圧されるので、図18か
ら理解できる様に被覆材2の表面の平坦度が向上してい
ることがわかる。
【0057】(状態図)本発明方法が適用できる形態の
状態図を図20(A)〜(F)に示す。図20(A)に
おいて、前述した様に基材1の組成はaで示され、被覆
材2の組成はbで示されている。ここで前述した様に被
覆材2を構成する第2原料粉末は、Cu系粉末に純鉄粉
末を混合したものである。Cu系粉末だけでは、図20
(A)に示すcの組成程度にしかならない。この場合に
は固相線温度を上昇させるべく、cの組成からa’の組
成に向かうためには、かなりの拡散量が生じる反応が進
行しなければならず、反応に長い時間を要する。
【0058】しかしこの様に反応時間が長く、固相線温
度の上昇に長時間要すると、基材1の表面側の封孔が遅
れ、生成した融液の全部が基材1の気孔に浸透してしま
うおそれがある。この場合には基材1の寸法精度の低
下、基材1の変形等が誘発され、更には過剰浸透により
被覆材2も消失してしまい、基材1上に残留せず、被覆
材2によって摺動層を形成できない不具合が生じる。
【0059】この点上記した試験例の様にCu系粉末に
純鉄粉末を混合して被覆材2の原料粉末を形成すれば、
被覆材2はc組成ではなく、Feの割合が増加したb組
成とされている。故にa’の組成にするまでの拡散時
間、ひいては反応時間はかなり短縮化され、固相線温度
の上昇を速やかに促進でき、早期封孔を図り得る利点が
得られる。
【0060】図20(A)に示すタイプの状態図を呈す
る形態(Ni−Cu系、Pt−Au系)、図18(B)
に示すタイプの状態図を呈する形態(Mn−Cu系、Z
r−Ti系、Nb−Zr系)、図18(C)に示すタイ
プの状態図を呈する形態(Pb−Sn系、Ag−Cu
系)、図18(D)示すタイプの状態図を呈する形態
(Ti−Al系、Cu−Zn系、Pt−Ag系、Ag−
Zn系)、図18(E)に示すタイプの状態図を呈する
形態(Mg−Cu系、Cr−Zr系、Cr−Si系)、
図18(F)に示すタイプの状態図を呈する形態(Nb
−Cu系、Ni−Mg系、Au−Pb系)でも良い。
【0061】図20(A)〜(F)に示す状態図におい
ても、基材1をa組成とし、被覆材2をb組成とする。
そして、昇温により被覆材2bが溶融して融液が生成す
れば、その融液と基材1とが反応して融液におけるa濃
度が矢印X1方向に向かう。故に各図に示す矢印の様に
固相線温度が上昇する。 (他の例)上記した各実施例では、基材1は被覆面側に
気孔を有するものであり、具体的には圧粉体としてお
り、この基材1を焼結する温度に加熱して被覆材2を溶
融して融液を生成しているが、これに限らず基材1は気
孔を備えた焼結体、予備焼結体でも良い。基材1が予備
焼結体である場合には、上記した焼結温度は本焼結温度
を意味する。
【0062】更に請求項2に係る方法は、融液の流下が
主眼であり、気孔の早期封孔を主眼としないため、請求
項2に係る基材1は、気孔を備えた圧粉体や焼結体や予
備焼結体の他に、被覆面側に気孔を実質的に有しない鋳
造品や鍛造品やプレス成形品であっても良いものであ
る。
【0063】被覆材2は上記した各実施例では粉末の集
合体、粉末を圧縮成形した圧粉体ととしているが、これ
に限らず圧延シート等の薄板、或いは鋳造品や鍛造品等
のバルク体でも良いものである。 (付記)上記した各実施例から次の技術的思想も把握で
きる。 ○被覆材が被覆される基材の被覆面は、基材と被覆材と
の反応面積を増大させるべく凹及び凸の少なくとも一方
が形成されている請求項1、2に記載の方法。 ○請求項1、2に係る基材はシンクロナイザーリング基
材を構成するシンクロナイザーリング。またはシンクロ
ナイザーリングの製造方法。 ○請求項1または2に係る鉄系の基材と、基材の被覆面
に積層された請求項1または2に係る被覆材とからな
り、被覆材は、重量比でMnが5〜30%、Niが30
〜50%、不可避の不純物、残部実質的にCuの組成を
もち、摺動特性が優れた摺動部材。
【0064】上記被覆材は、Bが0.01〜2%、Si
が0.01〜4%含むことができ、更に硬質粒子を含む
ことができる。
【0065】
【発明の効果】請求項1に係る方法によれば、融液の固
相線温度が次第に上昇していくので、積極的に冷却せず
とも、融液は凝固する。その温度領域に等温保持するだ
けの場合であっても、融液の固相線温度が次第に上昇し
ていくので、融液は凝固する。そのため融液が凝固した
部分により、基材の被覆面側の気孔は速やかに封孔され
る。そのため被覆材が多量に基材の気孔に過剰浸透する
ことを軽減、回避でき、基材の寸法精度の確保、基材の
変形防止に有利である。
【0066】更に上記の様に過剰浸透を軽減、回避でき
る請求項1に係る方法によれば、被覆材の消失が抑えら
れるので、摺動面を形成する被覆材が基材の被覆面に残
留する。そのため被覆材の表出面を摺動面として使用す
ることに有利である。しかも摺動面を形成する被覆材
は、融液状態または固液共存の状態を経るので、被覆材
の平坦化、ひいては被覆材における摺動面の平坦化にも
有利である。更に被覆材の組織を摺動材に適する様に調
整することにより、基材の焼結工程において同時に摺動
層を形成することができる。
【0067】請求項2に係る方法によれば、生成した融
液が基材の被覆面にそって流下し易い。融液のうち、基
材の被覆面に直接接触している融液部分は、基材と反応
して固相線温度が上昇して速やかに凝固する。更に基材
の被覆面に直接接触していない融液部分は、基材との反
応が遅れて固相線温度の上昇が遅れるので、凝固せずに
更に流下する。しかしその融液部分が基材の被覆面に直
接接触すれば、基材との反応性が確保されるため、固相
線温度が上昇して速やかに凝固する。そのため融液が凝
固した融液凝固層の厚みの均一化、薄肉化に有利であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る製造過程を示す構成図である。
【図2】実施例2に係る製造過程を示す構成図である。
【図3】実施例3に係る製造過程を示す構成図である。
【図4】実施例4に係る製造過程を示す構成図である。
【図5】実施例5に係る製造過程を示す構成図である。
【図6】実施例6に係る製造過程を示す構成図である。
【図7】実施例7に係る製造過程を示す構成図である。
【図8】実施例8に係る製造過程を示す構成図である。
【図9】実施例9に係る製造過程を示す構成図である。
【図10】実施例10に係る製造過程を示す構成図であ
る。
【図11】実施例11に係る製造過程を示す構成図であ
る。
【図12】実施例11に係る基材の要部の断面図であ
る。
【図13】実施例12に係る製造過程を示す構成図であ
る。
【図14】融液が流下して融液凝固層を形成する過程を
模式的に示す構成図である。
【図15】連続焼結炉で焼結する状態を模式的に示す構
成図である。
【図16】シンクロナイザーリング付近の斜視図であ
る。
【図17】実施例1に係る基材と被覆材との界面付近の
金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図18】実施例3に係る基材と被覆材との界面付近の
金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図19】実施例4に係る基材と被覆材との界面付近の
金属組織を示す顕微鏡写真である。
【図20】固相線温度が上昇する形態を示す各状態図で
ある。
【符号の説明】
図中、1は基材、1kは被覆面、1rは内周面(被覆
面)、2は被覆材、3はトレーを示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年5月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図17
【補正方法】変更
【補正内容】
【図17】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正内容】
【図18】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図19
【補正方法】変更
【補正内容】
【図19】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも被覆面側に気孔を備えた基材
    と、該基材の構成成分と反応して反応に伴い固相線温度
    が上昇する融液を生成する性質を備えた構成成分を含む
    被覆材とを用い、 該基材の被覆面の少なくとも一部と該被覆材とを接触さ
    せた状態で、 該融液が生じ得る温度領域に昇温して加熱保持すること
    により、該基材の構成成分と該被覆材の構成成分とを反
    応させ、反応に伴い該固相線温度が上昇する融液を生成
    すると共に、該固相線温度の上昇に伴い該融液を凝固さ
    せて、該基材の被覆面側の該気孔を早期に封孔し、 該被覆材を該基材の被覆面に残留させ、残留した該被覆
    材で摺動面を形成する様にしたことを特徴とする摺動部
    材の製造方法。
  2. 【請求項2】縦方向に沿う被覆面を備えた基材と、該基
    材の構成成分と反応して反応に伴い固相線温度が上昇す
    る融液を生成する性質を備えた構成成分を含む被覆材と
    を用い、 該基材の被覆面の少なくとも一部と該被覆材とを接触さ
    せた状態で、 該融液が生じ得る温度領域に昇温して加熱保持すること
    により、該基材の構成成分と該被覆材の構成成分とを反
    応させ、反応に伴い該固相線温度が上昇する融液を生成
    し、該融液を該被覆面に沿って流下させると共に、該固
    相線温度の上昇に伴い該融液を凝固させる様にしたこと
    を特徴とする2層部材の製造方法。
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