JPH08332092A - フマル酸の製造法 - Google Patents

フマル酸の製造法

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JPH08332092A
JPH08332092A JP9630496A JP9630496A JPH08332092A JP H08332092 A JPH08332092 A JP H08332092A JP 9630496 A JP9630496 A JP 9630496A JP 9630496 A JP9630496 A JP 9630496A JP H08332092 A JPH08332092 A JP H08332092A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酵素法により、効率よく、かつ高収率でマレ
イン酸からフマル酸を製造する方法を提供する。 【解決手段】 マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微
生物またはその処理物をマレイン酸を含有する水性溶液
に加え、酵素的異性化反応によりマレイン酸からフマル
酸を製造するに際し、前記異性化反応をN2、Ar、H
eより選択される1つ以上の気体の雰囲気下で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マレイン酸から効
率よくフマル酸を製造する方法に関する。フマル酸は、
主にマレイン酸の異性化によって製造され、医薬、食
品、工業原料として、広く利用されている。フマル酸か
らは、酵素法等により例えば食品、医薬、工業原料とし
て有用なL-アスパラギン酸、L-リンゴ酸、L-アラニンが
製造される。
【0002】
【従来の技術】マレイン酸を異性化してフマル酸を製造
する方法としては、主に化学的方法が提案されているが
(米国特許第2,816,923号、同第2,955,136号、同第2,33
2,992号)、反応平衡によりフマル酸への変換率が制約
を受けること、この方法は高温反応であるためにマレイ
ン酸あるいはフマル酸の劣化が起こり、副生物を生成す
るため収率が低下するなどの問題点を有している。
【0003】一方、酵素法では、マレイン酸イソメラー
ゼがマレイン酸を異性化してフマル酸を生成すること
が、知られている(K.Otsuka Agric.Biol.Chem.,25,
(9),p726(1961))が、酵素学的性質について検討してい
るに過ぎず、産業上の応用の観点からの検討はほとんど
なされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、酵素法により、効率よく、かつ
高収率でマレイン酸からフマル酸を製造することができ
る実用的な方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、効率よく
フマル酸を製造する方法を確立すべく鋭意検討を行った
結果、マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物また
はマレイン酸イソメラーゼ活性を有する前記微生物の調
製物とマレイン酸とを水性溶液中で混合し、酵素的異性
化反応によりマレイン酸からフマル酸を製造するに際
し、反応液中の溶存酸素濃度を4ppm以下に維持して
反応させることにより、高収率でフマル酸を製造するこ
とができることを見いだし、本発明を完成するに到っ
た。
【0006】すなわち本発明は、マレイン酸イソメラー
ゼ活性を有する微生物またはマレイン酸イソメラーゼ活
性を有する前記微生物の調製物とマレイン酸とを水性溶
液中で混合し、酵素的異性化反応によりマレイン酸から
フマル酸を製造するに際し、反応液中の溶存酸素濃度を
4ppm以下に維持して反応させることを特徴とするフ
マル酸の製造法である。
【0007】反応液中の溶存酸素濃度を低下させるに
は、N2、Ar、Heより選ばれる1つ以上のガスで反
応液をシールする方法、反応液またはその原料に亜硫酸
塩を添加する方法、及び反応液またはその原料を脱気す
る方法が挙げられる。
【0008】また、本発明の方法において、反応液中の
溶存酸素濃度は0.5ppm以下であることが好まし
い。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を具
体的に説明する。本発明に用いられるマレイン酸イソメ
ラーゼ活性を有する微生物としては、本活性を有する微
生物であれば特に限定されるものではないが、アルカリ
ゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomon
as)属、キサントモナス(Xanthomanas)属、バチルス
(Bacillus)属に属する微生物が好適に用いられる。特
にアルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecali
s)(例えば、IFO12669、同IFO 13111、同IAM 1473)、
アルカリゲネス ユウトロフス(Alcaligenes eutrophu
s)、シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas
fluolescens)(例えばATCC 23728)、キサントモナス
マルトフィリア(Xanthomonas maltophilia)(例えばA
TCC 13270)、バチルス ステアロサーモフィラス(Baci
llus stearothermophilus)〔例えば、同MI-101株(FER
M P-14801)〕、バチルス ブレビス(Bacillus brevi
s)〔例えば、同MI-103株(FERM P-14803)〕等が好適
に用いられる。さらに、上記微生物の変異株もしくは遺
伝子組換えによる改変株、上記微生物のマレイン酸イソ
メラーゼ遺伝子を他の微生物に導入することにより作製
された微生物等を用いても何等差し支えない。
【0010】マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生
物の培養は、炭素源、窒素源、無機塩、各種ビタミン等
を含む通常の栄養培地で行うことができ、炭素源として
は、例えばマレイン酸、ブドウ糖、ショ糖、果糖、麦芽
糖等の糖類、エタノール、メタノール等のアルコール
類、クエン酸、マレイン酸等の有機酸類、廃糖蜜等、好
ましくはマレイン酸あるいはマレイン酸とその他の炭素
源を混合して用いられる。窒素源としては、例えばアン
モニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ア
ンモニウム、尿素等がそれぞれ単独もしくは混合して用
いられる。また、無機塩としては、例えばリン酸一水素
カリウム、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム等
が用いられる。この他にペプトン、肉エキス、酵母エキ
ス、コーンステイープリカー、カザミノ酸、ビオチン等
の各種ビタミン等の栄養素を培地に添加することができ
る。更に、マレイン酸、マロン酸、タートロン酸、シト
ラコン酸、メサコン酸等をマレイン酸イソメラーゼの誘
導物質として培地に添加してもよい。これらの誘導物質
の添加濃度は、通常10〜200mM、好ましくは50〜100mMで
ある。
【0011】培養条件は、通常、通気撹拌、振とう等の
好気条件下に、マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微
生物の生育し得る温度であれば特に制限はなく、また、
培養途中のpHについても該微生物が生育し得るpHで
あれば特に制限はない。培養中のpH調整は、酸または
アルカリを添加して行うことができる。
【0012】かくして得られる培養物から遠心分離等に
より菌体を集めることにより、マレイン酸イソメラーゼ
を含有する菌体を取得することができる。本発明におい
て、マレイン酸のフマル酸への異性化反応には、上記菌
体を培養した培養液から分離した菌体はもちろんのこ
と、培養液、菌体の破砕物もしくは抽出物等の調製物も
用いることができる。菌体は、例えば、リン酸緩衝液等
の緩衝液(pH7)等で洗浄した後に使用してもよい。
また、微生物菌体より得られる粗酵素標品を用いてもよ
く、更に精製した酵素標品を使用してもよい。更に、上
記微生物菌体、その破砕物もしくは抽出物、または精製
酵素を担体に固定化したものも使用することができる。
本明細書にいう「マレイン酸イソメラーゼ活性を有する
微生物の調製物」とは、これらのような、微生物菌体に
由来しマレイン酸イソメラーゼ活性を有する画分を全て
含むものとする。菌体を用いる場合、予め菌体を凍結し
たり、上記緩衝液中にTriton X−100、Tw
een20等の界面活性剤を0.01〜0.2%添加し
た液中で、15〜40℃の温度で、10〜120分菌体
を処理することにより菌体の透過性を高めてから使用す
ることもできる。
【0013】本発明において、「マレイン酸イソメラー
ゼ活性を有する微生物またはマレイン酸イソメラーゼ活
性を有する前記微生物の調製物とマレイン酸とを水性溶
液中で混合する」とは、微生物菌体又はその調製物もし
くはこれらを含有する水性溶液にマレイン酸又はマレイ
ン酸を含む水性溶液を加えること、更には、固定化菌体
又は固定化酵素を充填したカラムにマレイン酸を含有す
る水性溶液を通液することを含む。
【0014】微生物菌体からマレイン酸イソメラーゼを
抽出、精製する方法は、公知の酵素の精製法のいずれの
方法も適用できる。例えば、菌体の破壊法としては、超
音波破砕、フレンチプレス、ホモジナイザー等を用いた
機械的破壊法、リゾチームなどを用いた酵素的破壊法を
用いることができる。このようにして得られた菌体破壊
物の可溶性画分またはその分画物は、マレイン酸イソメ
ラーゼの粗酵素画分として使用することができる。ま
た、この粗酵素画分をさらに精製して得られる精製酵素
を用いてもよい。粗酵素画分からのマレイン酸イソメラ
ーゼの精製は、通常、(イ)沈澱法による分離、例えば
硫安沈澱法、(ロ)クロマトグラフィーによる分離、例
えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティー吸
着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー
等、(ハ)電気泳動法による分離法、及びこれらの方法
の任意の組み合わせによって、実施することができる。
【0015】本発明においては、マレイン酸イソメラー
ゼ活性を有する微生物またはその調製物をマレイン酸を
含有する水性溶液に加え、酵素的異性化反応によりマレ
イン酸からフマル酸を製造するに際し、反応液中の溶存
酸素濃度を4ppm以下、特に好ましくは0.5ppm
以下に維持して反応させることに特徴を有する。
【0016】ただし、溶存酸素レベルは瞬時4ppmを
越えることがあっても、実質的に4ppm以下を長時間
維持すれば良い。例えば、撹拌を開始した直後や、マレ
イン酸含有水溶液を調製した直後に一時的に4ppmを
越えた場合も、その後4ppm以下に維持されれば良
い。また、途中、撹拌数を上げたりしてごく短時間4p
pmを越えた場合でも、全体の反応時間の大部分の時間
4ppm以下に維持されていれば良い。
【0017】反応液中の溶存酸素濃度を4ppm以下に
維持する方法として具体的には、例えば、N2、Ar、
Heより選ばれる1つ以上のガスで反応液をシールする
こと、反応液またはその原料に亜硫酸塩を添加するこ
と、前記反応液またはその原料を脱気することが挙げら
れる。また、これらの手段を組み合わせてもよい。
【0018】N2、Ar、Heより選択される1つ以上
の気体とは、それぞれ単独の気体か、任意の2つ以上の
気体の組み合わせを指す。これらの気体の雰囲気下でマ
レイン酸イソメラーゼ反応を行う方法としては、例え
ば、酵素反応中および/又は酵素反応に先立って、マレ
イン酸水溶液又は酵素反応液(以下、単に「反応液」と
いう)に上記気体を連続的に吹き込む、反応液中に上記
気体を吹き込んだ後密閉する、反応液を脱気した後密閉
した反応槽に上記気体を導入する等の方法が行われる。
本発明の方法では、反応液に接する気相が上記気体雰囲
気であること、すなわち反応液が上記気体でシールされ
ていればよく、必ずしも反応液又は反応槽内に上記気体
を連続的に吹き込むことは必須ではない。また、反応液
に接する気相は完全に上記気体で置換されることが好ま
しいが、気相の一部の置換であっても、置換による効果
は期待できる。
【0019】本発明に用いる亜硫酸塩とは、亜硫酸の塩
であれば良く、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜
硫酸カルシウム等の無機亜硫酸塩が好ましいが、本マレ
イン酸イソメラーゼ活性を阻害することが知られる水
銀、銅との塩は用いられない。亜硫酸塩の濃度として
は、1ppm〜1000ppm、好ましくは10ppm
〜500ppmが用いられる。
【0020】また、脱気により反応液又はその原料の溶
存酸素濃度を低下させる方法としては、特に限定されな
いが、例えば、アスピレーターでの減圧下に55℃程度
に加熱する方法、超音波により振動を与えながら減圧下
に液中の空気を追い出す方法などが行える。脱気は、反
応に先だって反応液原料、例えばマレイン酸水溶液又は
菌体もしくはその調製物を含む水溶液を脱気してもよい
し、さらに反応中に反応液を脱気してもよい。
【0021】酵素反応は、pH5〜10好ましくは6〜
9で、20〜50℃、好ましくは25〜37℃の温度
で、通常5〜120時間反応させる。本反応液には、必
要に応じカルシウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩等
の二価金属塩を添加することができる。また、反応液は
緩衝剤や微量の有機溶媒等を含んでいてもよい。
【0022】反応に用いるマレイン酸を含有する水性溶
液のマレイン酸濃度は1〜40W/V%好ましくは10〜
30W/V%であるが、例えば連続反応等においては、マ
レイン酸濃度が0.001〜1%程度に維持される事も
ある。
【0023】反応に用いる菌体またはその調製物の添加
量は、特に制限されるものではないが、菌体重量(湿菌
体)として1〜30%が好適に用いられる。上記の方法
で生成したフマル酸は、限外ろ過膜分離、遠心分離等に
より菌体及びその調製物と分離した後、硫酸等電点沈澱
法等の公知の方法で沈澱させ、水洗、乾燥する事によ
り、結晶として採取できる。
【0024】また、生成したフマル酸は、アスパルター
ゼ含有菌体たとえば、ブレビバクテリウム フラバム
AB−41株(FERM BP-1498)、エシェリヒア・コリ
(Escherichia coli) ATCC 11303等を作用させること
によりL-アスパラギン酸を生成させることができるし、
本反応系内に、アスパルターゼ含有菌を加えて反応させ
ることにより、マレイン酸からL-アスパラギン酸を効率
よく生成させることもできる。
【0025】さらに、生成したフマル酸は、フマラーゼ
含有菌体たとえば、ブレビバクテリウム フラバム A
B−41株(FERM BP-1498)、E. coli ATCC11303等を
作用させることによりL-リンゴ酸を生成させることがで
きるし、本反応系内に、フマラーゼ含有菌を加えて反応
させることにより、マレイン酸からL-リンゴ酸を効率よ
く生成させることもできる。
【0026】本発明において、「マレイン酸からフマル
酸を製造する」とは、必ずしもフマル酸を蓄積すること
を意味するものではなく、上記のようにフマル酸を経由
したマレイン酸からのL-アスパラギン酸やL-リンゴ酸の
生成のように、少なくともマレイン酸からフマル酸への
変換が起こっていればよいことを意味する。
【0027】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 [実施例1] N2雰囲気下でのフマル酸生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 肉エキス:10g、ペプトン:10g,NaCl:5
g,マレイン酸10g及び蒸留水:1000ml(苛性
ソーダでpH7.0に調整)からなる培地100mlを
500ml容の三角フラスコに分注し、120℃、20
分間滅菌処理したものに、アルカリゲネス フェカリス
IFO 12669株を植菌し、30℃にて24時間振とう培養
した。
【0028】上記と同様の培地1000mlを3L容の
ジャーファーメンターに入れ、120℃、20分間滅菌
処理したものに、上記振とう培養液30mlを接種し、
これを30℃にて24時間培養した。得られた培養液を
遠心分離(8000rpm、15分、4℃)して集菌し
た菌体を、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で1回
洗浄し、以下の反応に供試した。
【0029】(2)マレイン酸からのフマル酸生成 予めN2ガスを30分吹き込みながら撹拌し、N2置換し
た反応液〔マレイン酸116g、5N苛性ソーダ400
ml(水で全量を1000mlにした)〕を3L容のジ
ャーファーメンターに移し、回収した菌体(IFO 12669
株)20gを添加し、N2を0.02vvmの速度で気相に
供給して撹拌し、30℃で36時間反応させた。反応
中、溶存酸素濃度は0.5ppm以下に維持された。反
応終了後、遠心分離により上清液を回収し、得られた反
応上清液を有機酸分析カラム(島津製作所製SCR−1
01Hカラム)、UV検出器(210nm)を用いた高
速液体クロマトグラフィー分析(島津社製、LC-5
A)に供した。その結果、66g/Lのフマル酸が生成
していることを確認した。尚、生成フマル酸の定量は、
ピメリン酸を内部標準物質として用いて行った。また、
上記の反応上清液を、硫酸によりpHを3に下げること
により、フマル酸を沈澱させた。得られたフマル酸結晶
は63gであった。
【0030】[実施例2] Ar雰囲気下でのフマル酸
生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)マレイン酸からのフマル酸生成 予めArガスを30分吹き込みながら撹拌し、Ar置換
した反応液〔マレイン酸116g,5N苛性ソーダ40
0ml(水で全量を1000mlにする)〕を3L容の
ジャーファーメンターに移し、回収した菌体(IFO 1266
9株)20gを添加し、Arを0.02vvmの速度で気相
に供給して撹拌し、シール中で30℃で36時間反応さ
せた。反応中、溶存酸素濃度は0.5ppm以下に維持
された。フマル酸は、65g/L得られ、実施例1と同
様にしてフマル酸の結晶を得た。得られた結晶は62.
5gであった。
【0031】[実施例3] He雰囲気下でのフマル酸
生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)マレイン酸からのフマル酸生成 予めHeガスを30分吹き込みながら撹拌し、He置換
した反応液〔マレイン酸116g,5N苛性ソーダ40
0ml(水で全量を1000mlにする)〕を3L容の
ジャーファーメンターに移し、回収した菌体(IFO 1266
9株)20gを添加し、Heを0.02vvmの速度で気相
に供給して撹拌し、シール中で30℃で36時間反応さ
せた。反応中、溶存酸素濃度は0.5ppm以下に維持
された。フマル酸は、67g/L得られ、実施例1と同
様にしてフマル酸の結晶を得た。得られた結晶は63.
5gであった。
【0032】[実施例4] N2置換した反応液でのフ
マル酸生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)マレイン酸からのフマル酸生成 予めN2ガスを30分吹き込みながら撹拌し、N2置換し
た反応液〔マレイン酸116g,5N苛性ソーダ400
ml(水で全量を1000mlにする)〕を3L容のジ
ャーファーメンターに移し、実施例1で回収した菌体
(IFO 12669株)20gを添加して撹拌し、30℃で3
6時間反応させた。反応中、溶存酸素濃度はおよそ4p
pm以下に維持された。フマル酸は52.4g/L得ら
れ、常法通り遠心分離後、硫酸によりpHを3に下げる
ことによりフマル酸を沈澱させた。得られたフマル酸結
晶は49.2gであった。
【0033】[実施例5] 亜硫酸ソーダを添加した反
応液でのフマル酸生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)マレイン酸からのフマル酸生成 反応液〔マレイン酸116g,5N苛性ソーダ400m
l(水で全量を1000mlにする)〕に0.2g/L
の亜硫酸ソーダを加え、3L容のジャーファーメンター
に移し、実施例1で回収した菌体(IFO 12669株)20
gを添加し、ジャーを密閉して撹拌し、30℃で36時
間反応させた。反応中、溶存酸素濃度はおよそ3ppm
以下に維持された。フマル酸は54.5g/L得られ、
常法通り遠心分離後、硫酸によりpHを3に下げること
によりフマル酸を沈澱させた。得られたフマル酸結晶は
51gであった。
【0034】[実施例6] 脱気した反応液でのフマル
酸生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)マレイン酸からのフマル酸生成 反応液〔マレイン酸116g,5N苛性ソーダ400m
l(水で全量を1000mlにする)〕を耐圧ビンに入
れ、水流アスピレーターで吸引しながら、15分間脱気
した。静かに常圧に戻してから反応液を3L容のジャー
ファーメンターに移し、実施例1で回収した菌体(アル
カリゲネス フェカリス IFO 12669菌株)20gを添加
し、ジャーを密閉して撹拌し、30℃で36時間反応さ
せた。反応中、溶存酸素濃度はおよそ4ppm以下に維
持された。フマル酸は51.3g/l得られ、常法通り
遠心分離後、硫酸によりpHを3に下げることによりフ
マル酸を沈澱させた。得られたフマル酸結晶は48gで
あった。
【0035】[対照例] 通常空気下でのフマル酸生成 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)マレイン酸からのフマル酸生成 N2吹き込みを行わなかった反応液〔マレイン酸116
g,5N苛性ソーダ400ml(水で全量を1000m
lにする)〕を3L容のジャーファーメンターに移し、
回収した菌体(IFO 12669株)20gを添加し、N2シー
ルせずに撹拌し、30℃で36時間反応させた。フマル
酸は、44g/L得られ、実施例1と同様にしてフマル
酸の結晶を得た。得られた結晶は41gであった。
【0036】[参考例1] アスパラギン酸の製造 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)フマル酸からのアスパラギン酸生成能を有する微
生物の培養 尿素:4g、(NH42SO4:14g,KH2PO4
0.5g、K2HPO4:0.5g, MgSO4・7H2
O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnS
4・nH2O:20mg、D-ビオチン:200μg、塩
酸チアミン:100μg、酵母エキス1g、カザミノ酸
1g及び蒸留水:1000ml(pH6.6)からなる
培地100mlを500ml容の三角フラスコに分注
し、120℃、15分間滅菌処理したものに、滅菌済み
50%グルコース水溶液4mlを加え、ブレビバクテリ
ウム フラバム AB−41株(FERM BP-1498)を植菌
し、33℃にて24時間振とう培養した。
【0037】上記と同様の培地1000mlを2L容の
ジャーファーメンターに入れ、120℃、20分間滅菌
処理したものに、上記振とう培養液20mlと滅菌済み
50%グルコース水溶液200mlを加え、これを33
℃にて24時間培養した。得られた培養液を遠心分離
(8000rpm、15分、4℃)して集菌した。得ら
れた菌体から、夾雑するリンゴ酸副生活性を以下の方法
で除いた。すなわち、アスパラギン酸:100g,アン
モニア:180ml、塩化カルシウム:2.2g,Tw
een20:0.8g(水で全量1Lとする)よりなる
組成液に集菌体を懸濁し、45℃,3時間振とうし、遠
心分離(8000rpm、15分、4℃)して菌体を回
収した。
【0038】(3)マレイン酸とアンモニアからのアス
パラギン酸生成 予めN2ガスを30分吹き込みながら撹拌し、N2置換し
た反応液〔マレイン酸116g,アンモニア153ml
(水で全量を1000mlにする)〕を3L容のジャー
ファーメンターに移し、回収した両菌体(IFO 12669株
20g、AB−41株120g)を添加し、N2を0.02
vvmの速度で供給して撹拌し、シール中で30℃で3
6時間反応させた。反応終了後、遠心分離により上清液
を回収し、得られた反応上清液を薄層クロマトグラフィ
ー[展開溶媒 n-ブタノール:酢酸:水=4:1:1
(容量比)、発色剤:ニンヒドリン試薬]に供した。そ
の結果、128g/LのL-アスパラギン酸が生成してい
ることを確認した。このアスパラギン酸アンモニウム液
に、硫酸を加えてpHを3にし、アスパラギン酸を沈澱
させ、水洗後乾燥させ、アスパラギン酸結晶を得た。得
られた結晶は125gであった。
【0039】[参考例2] L-リンゴ酸酸の製造 (1)マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の培
養 アルカリゲネス フェカリス IFO 12669株を、実施例1
と同様に培養した。 (2)フマル酸からのL-リンゴ酸生成能を有する微生物
の培養 尿素:4g、(NH42SO4:14g,KH2PO4
0.5g、K2HPO4:0.5g, MgSO4・7H2
O:0.5g,FeSO4・7H2O:20mg,MnS
4・nH2O:20mg、D-ビオチン:200μg、塩
酸チアミン:100μg、酵母エキス:1g、カザミノ
酸:1g及び蒸留水:1000ml(pH6.6)の培
地100mlを500ml容の三角フラスコに分注し、
120℃、15分間滅菌処理したものに滅菌済み50%
グルコース水溶液4mlを加え、ブレビバクテリウム
フラバム AB−41菌株(FERM BP-1498)を植菌し、
33℃にて24時間振とう培養した。
【0040】また、上記と同様の培地1000mlを2
L容のジャーファーメンターに入れ、120℃、20分
間滅菌処理したものに、上記振とう培養液20mlと滅
菌済み50%グルコース水溶液200mlを加え、これ
を33℃にて24時間培養した。得られた培養液を遠心
分離(8000rpm、15分、4℃)して集菌した。
本菌体は、夾雑するアスパルターゼ及びコハク酸副生活
性を以下の方法で除いた。すなわち、フマル酸2ナトリ
ウム:32g、Tween20:0.8g(水で全量1
Lとする)よりなる組成液に集菌体を懸濁し、45℃,
2時間振とうし、遠心分離(8000rpm、15分、
4℃)して菌体を回収した。
【0041】(3)マレイン酸からのL-リンゴ酸生成 予めN2ガスを30分吹き込みながら撹拌し、N2置換し
た反応液〔マレイン酸116g,5N水酸化ナトリウム
200g(水で全量を1000mlにする)〕を3L容
のジャーファーメンターに移し、実施例1及び上記
(1)で回収した両菌体(IFO 12669株20g、AB−
41株50g)を添加し、N2を0.02vvmの速度で供
給して撹拌し、シール中で30℃で36時間反応させ
た。L-リンゴ酸は、104g/L得られ、L-リンゴ酸ナ
トリウム液に、塩化カルシウムを加えてリンゴ酸カルシ
ウムを沈澱させ、水洗後イオン交換樹脂でL-リンゴ酸を
分離し、乾燥させることにより、L-リンゴ酸結晶を得
た。得られた結晶は90gであった。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によれば、酵素法により、
効率よく、かつ高収率でマレイン酸からフマル酸を製造
することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を具
体的に説明する。本発明に用いられるマレイン酸イソメ
ラーゼ活性を有する微生物としては、本活性を有する微
生物であれば特に限定されるものではないが、アルカリ
ゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス
(Pseudomonas)属、キサントモナス(Xa
nthomanas)属、バチルス(Bacillu
s)属に属する微生物が好適に用いられる。特にアルカ
リゲネス フェカリス(Alcaligenes fa
ecalis)(例えば、IFO12669、同IFO
13111、同IAM 1473)、アルカリゲネス
ユウトロフス(ΛIcaligenes eutro
phus)、シュードモナス フルオレッセンス(Ps
eudomonas fluolescens)(例え
ばATCC 23728)、キサントモナス マルトフ
ィリア(Xanthomonas maltophil
ia)(例えばATCC 13270)、バチルス ス
テアロサーモフィラス(Bacillus stear
othermophilus)〔例えば、同MI−10
1株(FERM BP−5160)〕、バチルス ブレ
ビス(Bacillus brevls)〔例えば、同
MI−103株(FERMBP−5162)〕等が好適
に用いられる。さらに、上記微生物の変異株もしくは遺
伝子組換えによる改変株、上記微生物のマレイン酸イソ
メラーゼ遺伝子を他の微生物に導入することにより作製
された微生物等を用いても何等差し支えない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:64) (C12P 7/46 C12R 1:05) (C12P 7/46 C12R 1:07) (C12P 7/46 C12R 1:08) (72)発明者 湯川 英明 茨城県稲敷郡阿見町中央8−3−1三菱化 学株式会社筑波研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微
    生物またはマレイン酸イソメラーゼ活性を有する前記微
    生物の調製物とマレイン酸とを水性溶液中で混合し、酵
    素的異性化反応によりマレイン酸からフマル酸を製造す
    るに際し、反応液中の溶存酸素濃度を4ppm以下に維
    持して反応させることを特徴とするフマル酸の製造法。
  2. 【請求項2】 N2、Ar、Heより選ばれる1つ以上
    のガスで反応液をシールすることにより、反応液中の溶
    存酸素濃度を低下させることを特徴とする請求項1記載
    のフマル酸の製造法。
  3. 【請求項3】 反応液またはその原料に亜硫酸塩を添加
    することにより反応液中の溶存酸素濃度を低下させるこ
    とを特徴とする請求項1記載のフマル酸の製造法。
  4. 【請求項4】 前記反応液またはその原料を脱気するこ
    とによりマレイン酸を含有する水溶液中の溶存酸素濃度
    を低下させることを特徴とする請求項1記載のフマル酸
    の製造法。
  5. 【請求項5】 反応液中の溶存酸素濃度が0.5ppm
    以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか
    一項に記載のフマル酸の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013151139A1 (ja) * 2012-04-05 2013-10-10 三井化学株式会社 1,5-ペンタメチレンジアミンの製造方法、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法、ポリイソシアネート組成物の製造方法、および、触媒菌体の保存方法

Cited By (3)

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JPWO2013151139A1 (ja) * 2012-04-05 2015-12-17 三井化学株式会社 1,5−ペンタメチレンジアミンの製造方法、1,5−ペンタメチレンジイソシアネートの製造方法、ポリイソシアネート組成物の製造方法、および、触媒菌体の保存方法

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