JPH0841411A - 水性ゲルインキ及びその水性ゲルインキを用いた筆記具 - Google Patents

水性ゲルインキ及びその水性ゲルインキを用いた筆記具

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JPH0841411A
JPH0841411A JP6194726A JP19472694A JPH0841411A JP H0841411 A JPH0841411 A JP H0841411A JP 6194726 A JP6194726 A JP 6194726A JP 19472694 A JP19472694 A JP 19472694A JP H0841411 A JPH0841411 A JP H0841411A
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oil
ball
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JP6194726A
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Taizo Togashi
泰蔵 富樫
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TOKYO SAINPEN KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 インキ中に油分を含有せしめた水性ゲルイン
キ1を用いて筆記具2を構成した 【効果】 書き始めから書き終わりまで均一なインキ
の流出が行われ、インキ流出性に優れ、書き味が良好で
ある。キャップオフ性に優れ、キャップを閉め忘れて
もインキの出が悪くなったりすることがなく、使い勝手
に優れる。ハウジングの摩耗が防止でき、顔料系イン
キの使用が可能である。逆流防止剤がインキ収容管の
内部に付着するのを防止でき、外観が良好であると共に
逆流防止剤の使用量を減らせる。又、シリコンオイルを
インキ収容管の内部に塗布する作業が不要となって、筆
記具の製造の作業性が向上する。筆記特性に優れた筆
記具を容易に製造可能であり、安価に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水性インキに粘性調節
剤が添加されてなる水性ゲルインキの改良に関し、更
に、上記の水性ゲルインキを用いてなる水性ボールペン
等の筆記具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からボールペンが広く使用されてい
る。ボールペンには、油性と水性の2種類のインキが存
在し、インキの種類によってそれぞれ油性ボールペンと
水性ボールペンに区別されている。油性ボールペンは粘
度の高い油性インキを使用しているため、インキの流動
性が低く筆記に強い圧力を要したり、又、鮮やかな色を
出しにくいといった欠点があった。一方、水性ボールペ
ンは流動性の良い水性インキを用い、インキ収容管から
繊維束で形成されたインキ誘導芯を介してペン先にイン
キを供給する構造を有する。水性ボールペンと油性ボー
ルペンのインキの出を比較すると、例えば特開昭63−
6077号公報に、油性ボールペンのインキの吐出量が
0.03g/200mであるのに対し、水性ボールペン
は0.2g/200mという数値が記載されている。水
性ボールペンは非常にインキの出が良い点が大きな特徴
である。
【0003】しかし、水性ボールペンはインキが多量に
ある使い始めのうちはインキの出が良いが、インキの量
が少なくなってくるとインキ誘導芯を介してインキをペ
ン先に送る際、繊維束の毛細管の吸引力が大きくなって
インキの出が悪くなるという欠点があった。又、ボール
とそれを保持するハウジングの間の摩擦を見た場合、油
性インキは潤滑剤的に作用するのに対し、水性ボールペ
ンの場合には水性インキが油性インキ程の潤滑作用がな
いためボールとハウジングの摩耗が大きい。又、水性ボ
ールペンの水性インキは油性インキに比べ水分等の分散
媒が揮発し易く、キャップを外しておくとボールとハウ
ジングとの間でインキが蒸発してしまい筆記不能になり
やすいという問題があった。
【0004】上記の水性ボールペンの欠点を改良したも
のとして、近年、水性インキ中に粘度調整剤を添加し
て、インキの粘度を上げて流動性を調整した、いわゆる
水性ゲルインキと称するインキが公知である。このよう
な水性ゲルインキを用いた水性ボールペンは、従来の水
性ボールペンとは区別されて、中性ボールペンとも呼ば
れている。
【0005】従来の水性ゲルインキの例として、特公昭
64−8673号公報に水性ボールペン用のインキ組成
物が開示されている。このインキは特定量のキサンタン
ガムを水性ボールペン用インキに添加して粘性を調節し
たものである。このポールペン用の水性ゲルインキの具
体的な組成として、同公報の第3頁第1表、第2表及び
第5頁の第4表には、水、キサンタンガム、エチレング
リコール、グリセリン、安息香酸ナトリウム、ジアルキ
ルコハク酸エステル、及び各種着色剤等の成分からなる
実施例が記載されている。上記のインキは、キャップオ
フ性が優れ、インキ切れや筆記後のインキカスの残存等
がなく、耐腐食性に優れ、保存安定性に優れるとされて
いる。
【0006】又上記公報の第1図には、上記インキを用
いた水性ボールペンの構造が記載されている。上記第1
図の水性ボールペンの構造は、ポリプロピレン製のイン
キタンクの先端にペン先が嵌め込まれ、該ペン先には
0.4mmのスチールボールが埋め込まれ、インキタン
クのペン先側にポリエステル繊維束を樹脂加工したイン
キ誘導芯が詰められ、インキタンクの内部に上記の水性
ゲルインキが充填され、インキの後端には逆流防止剤が
充填されている。一般にインキ収容管は内部のインキが
見えるように透明に形成されているものが多い。
【0007】又、水性ボールペンのインキの後端に充填
されている逆流防止剤は、インキの消費に従いインキと
共にペン先方向へ確実に前進し、インキの蒸発を抑制し
筆記具に力が加わった場合や高温の環境下に置かれた場
合にインキが逆流するのを防止する目的で設けられてい
るものである。従来、このような逆流防止剤としては、
シリコーングリース等の粘稠な物質が用いられていた。
【0008】従来の水性ボールぺンの製造は、インキ収
容管にインキを充填し、該インキ収容管の先端側にペン
先を嵌め込み、インキ収容管の後端からインキを充填し
た後、該インキの後に逆流防止剤を充填器等で充填する
ことで製造される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】水性ゲルインキは、従
来の水性インキに比較してインキの出が使い始めから使
い終わりまで変化がなく、均一にインキが出る筆記具が
得られるもの、下記の如き種々の解決すべき点があっ
た。 キャップオフ性が従来の水性インキと比較して改良さ
れているものの、油性のボールペンと比較すれば未だ不
十分であり、更に優れたキャップオフ性が要求されてい
る。 紙等に油分が付着している部分があると、その部分だ
けインキが乗らずに筆記できない場合がある。 ペン先のボールと該ボールを保持するハウジングとの
間で摩耗があり、特に顔料系の着色剤を使用した場合に
摩耗が大きく、筆記具の使用につれて書き味が低下して
しまう。 筆記具の使用につれてインキが減っていくと、逆流防
止剤がインキ収容管の壁に付着して、インキの使用と共
に減って行く為、逆流防止剤をその減り分を見越して使
用しなければならず、使用量が多くなってしまう。又、
水性ボールペンはインキが外部から見えるように形成さ
れているものが多く、その場合インキ収容管の壁に付着
して残った逆流防止剤は外観的にも見苦しい。 逆流防止剤の付着を防ぐために、インキ収容管の内部
にシリコンオイルを塗布することもある。しかし、逆流
防止剤の付着を完全に防止することはできず、シリコン
オイルをインキ収容管の内部に塗布する作業は非常に手
間がかかり、コストが上昇してしまう。
【0010】本発明は上記従来技術の欠点を解消しよう
とするものであり、ゲルインキの持つ特徴を阻害せず更
に上記の欠点がない筆記特性の優れた水性ゲルインキを
提供すること及び、従来の逆流防止剤使用による欠点を
解決し筆記特性が優れると共に容易で安価に製造可能な
水性ゲルインキを用いた筆記具を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明の水性ゲルインキは、インキ中に油分を含
有せしめたことを特徴とする。 (2)本発明の水性ゲルインキを用いた筆記具は、イン
キ中に油分を含有せしめた水性ゲルインキを用いたこと
を特徴とする。
【0012】本発明の水性ゲルインキに含有せしめる油
分は、例えば、流動パラフィン、液体パラフィン等の鉱
油、植物油、魚油、グリース、ワセリン、ポリブテン、
α−オレフィンオリゴマー、シリコーングリース、シリ
コーンオイル等の単独又は2以上の混合物が用いられ
る。水性ゲルインキに添加する油分は、後述する筆記具
の逆流防止剤として用いられるものと同じものが使用で
きる。油分の水性ゲルインキ中の含有率は、0.01〜
5.0重量%の範囲が好ましい。油分の含有率が0.0
1重量%未満では、充分な効果が得られず、油分の含有
率が5.0重量%を越えると、水性ゲルインキ中への均
一な分散が困難になってしまう。
【0013】本発明の水性ゲルインキの成分は、上記の
油分を除く成分は公知の水性ゲルインキの各成分が用い
られる。例えば水性ゲルインキの成分としては、油分、
水、水性媒体、着色剤、粘性調節剤、その他の添加剤等
の成分が用いられる。その他の添加剤としては、例えは
界面活性剤、防腐剤、防錆剤、金属イオン封鎖剤等が挙
げられる。本発明の水性ゲルインキの好ましい成分組成
を下記の表1に示す。
【0014】
【表1】
【0015】上記の水性媒体としては、水と混和する有
機化合物が用いられ、アルコール類、グリコールエーテ
ル類、極性有機溶媒等が使用される。具体的には、アル
コール類としては、エタノール、イソプロピルアルコー
ル等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、1,3プロパ
ンジオール、プロピレングリコール、1,3ブチレング
リコール、1,4ブタンジオール、2,3ブチレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコー
ル、チオジグリコール等の二価アルコール、グリセリ
ン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ジグリ
セリン、ソルビット等の多価アルコール等が挙げられ、
グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル等が挙げられ、極性有機溶媒としては、ピ
ロリドン、Nメチル−2−ピロリドン、ジメチルホルム
アミド等が挙げられる。
【0016】上記の着色剤としては、例えば酸化チタ
ン、カーボンブラック、カーミン6B、C.I.PigmentRe
d、C.I.PigmentGreen7 、C.I.PigmentBlue等の顔料、C.
I.AcidRed87 、C.I.AcidRed92 、C.I.AcidYellow28、C.
I.AcidBlue9 、C.I.AcidViolet、C.I.AcidBlue7 、C.I.
AcidOrange56、C.I.AcidBlack2、C.I.AcidRed18 等の酸
性染料、C.I.DirectBlack19、C.I.DirectBlack38 、C.
I.DirectBlack154、C.I.DirectOrange6 、C.I.DirectYe
llow44、C.I.DirectYellow87、C.I.DirectBlue71等の直
接染料等が挙げられる。
【0017】上記の粘性調節剤としては、水溶性高分子
からなる増粘剤が用いられる。例えばキサンタンガム、
カラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム等の
多糖類、ヒドロキシメチルセルロースやヒドロキシエチ
ルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポパール等が挙
げられる。
【0018】その他の添加剤としては、pH調整剤とし
て水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、トリエタノール
アミン等、界面活性剤としてアニオン系及びノニオン系
界面活性剤等、防錆剤としてベンゾトリアゾール等、防
腐剤としてメチル−P−ヒドロキシベンゾエート、ソル
ビン酸カリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、
デヒドロ酢酸ナトリウム等、金属イオン封鎖剤としてE
DTA等が挙げられる。
【0019】本発明の水性ゲルインキを製造するには、
上記のインキ組成物の所望の成分を混合機等で均一にな
るまで混合することで得られる。尚、油分は水性ゲルイ
ンキ中に均一に分散されていればよい。
【0020】以下、本発明の水性ゲルインキを用いた筆
記具(以下たんに筆記具ということもある)を図面に基
づき説明する。図1は本発明の筆記具を水性ボールペン
として形成した例を示し、拡大断面図である。図1に示
す水性ボールペンとして形成されている筆記具2は、イ
ンキリーフィル3が軸先31とインキ収容管32とから
構成され、インキリーフィル3のインキ収容管32の内
部にインキ中に油分を含有せしめた上記の水性ゲルイン
キ1が充填され、該インキ1の後に逆流防止剤7が充填
されて形成されている。軸先31はペン部材4にチップ
5が嵌合され該チップ5の先端にボール6が保持されて
構成される。
【0021】図2は図1の軸先の部分を拡大したもので
あり、(a)は軸先の断面図を示し、(b)は軸先内部
に用いられるボールシートの平面図である。筆記具2の
先端に設けられるボール6は、直径0.3〜0.7mm
程度のボールが用いられる。ボール6の材質としては、
例えばスチール、タングステンカーバイド、セラミック
ス等が挙げられる。上記ボール6はボールシート8によ
って保持され、水性ゲルインキはボールシートの縦溝9
を通りボール6の回転によって外部に流出する。ボール
シート8はニッケルシルバー合金、ステンレス等が用い
られる。ステンレスは耐摩耗性が良好であるが書味が劣
る。一方、書味が良好なのはニッケルシルバー合金であ
る。本発明の水性ゲルインキは油分が含有されているた
め、ボールシートとボール間で油分が潤滑剤として作用
し、摩耗を防止することができる。従って本発明の筆記
具において、ボールシートには書味の優れたニッケルシ
ルバー合金を用いるのが好ましい。
【0022】チップ5は、ボールシート8と同様にニッ
ケルシルバー合金や、ステンレス等が用いられ、ボール
シートと一体に形成されている。ペン部材4はチップ5
を保持し、チップ5とインキ収容管32とを接続してい
るものであり、ポリアセタール等のプラスチックより形
成される。
【0023】インキリーフィル3のインキ収容管32
は、例えばポリプロピレン等のプラスチック製の透明な
チューブが用いられ、該チューブは一般に内径1〜5m
m程度、長さ40〜120mm程度のものが用いられ
る。
【0024】逆流防止剤7は、筆記具2を使用する際に
ペン先からインキが流出して消費されるのに従って、ペ
ン先方向にインキと共に前進し、インキ中の揮発成分の
蒸発を防止し、筆記具を落とした場合の衝撃等によりイ
ンキ柱が切れるのを防ぎ、インキが後端方向に逆流する
のを防止可能なものが用いられる。逆流防止剤7は公知
のものが用いられ、例えば、シリコーングリース、シリ
コーンオイル、流動パラフィン、ワセリン、ポリブテ
ン、鉱物油、植物油、高級脂肪酸エステル、高級アルコ
ール、ポリエステル、石油、α−オレフィンオリゴマ
ー、ポリグリコール等が挙げられる。上記の逆流防止剤
7は、1種類単独で使用しても2種類以上を混合して使
用してもよい。更に上記の成分に脂肪酸金属石けん、水
添ヒマシ油、有機ベントナイト、コロイダルシリカ、カ
ーボンブラック、天然ゴムあるいは合成ゴム、各種の合
成ポリマー等の増粘剤等を添加してもよい。
【0025】本発明の油分を含有せしめた水性ゲルイン
キを用いると、筆記具の使用によってインキが前進して
消費されていった場合に、インキ中の油分がインキ収容
管の壁に薄い皮膜を形成する。そしてインキの後を行く
逆流防止剤は、油分となじみが良いため、逆流防止剤が
管壁にはじかれたりせずスムーズに前進して、逆流防止
剤がインキ収容管の内部に付着して残らず逆流防止剤が
減らずに前進する。逆流防止剤の充填量は、インキの充
填長さによって異なるが、従来は減少分を見越してイン
キが全部消費された後でも残るように例えば10〜30
mmの長さ程度充填されていたが、使用量を減らして5
〜15mmの長さ程度に減らすことができる。逆流防止
剤は例えばシリコーンクリースのように高価な材料が多
いが使用量を減らすことで、筆記具の材料費の低減に大
きく寄与する。
【0026】逆流防止剤7は、水性ゲルインキ中に含有
せしめた油分と同じ材料を使用するのが好ましい。逆流
防止剤と油分が同じ材料の場合、なじみが更に良くなる
ため、管壁に逆流防止剤が付着する虞れが更に小さくな
る。
【0027】図4は本発明の筆記具の他の例を示す外観
斜視図である。本発明の水性ゲルインキを用いた筆記具
2は、図1に示したようにインキリーフィル3のみから
構成してもよいが、例えば図4に示すように、外軸10
の内部に図1に示すインキリーフィル3を収納して後端
には尾栓11を嵌め込み、先端にキャップ12を設けて
構成するのが好ましい。キャップ12には内部にキャッ
プ部材13が設けられ、外部にクリップ14が設けられ
ている。上記の外軸10は透明又は不透明のプラスチッ
クより形成されるが、一般に内部のインキが見えるよう
に透明(着色透明も含む)に形成するのが好ましい。
又、尾栓11やキャップ部材13、及びペン部材4はイ
ンキの色と同色に形成することが、意匠的に好ましい。
【0028】キャップ12は外軸と同じ材質で形成され
る。キャップ部材13は、キャップ12を外軸10に嵌
めた際に、ペン先のボールとボールシートとの間が密閉
されるように、キャップ内部の所定の位置に設けられ
る。キャップ部材13は、軟質塩化ビニル樹脂、ポリウ
レタンエラストマー、天然又は合成ゴム等の比較的柔ら
かく弾性を有する材質が用いられる。
【0029】本発明の水性ゲルインキはインキ中に油分
を含有することで、ボール先端等のインキが外部に露出
する部分に、油膜が形成されることで水性ゲルインキ中
の水及び水性媒体が揮発するのが防止される。そのた
め、キャップオフ製が飛躍的に向上し、キャップを多少
外していても筆記不能になることはないが、長期にわた
り安定した筆記性能を発揮するという点や、ペン先を保
護する観点から、キャップ12を設けて筆記具2を構成
するのが好ましい。
【0030】図4に示す筆記具の製造方法の1例を以下
に説明する。先ず、インキ収容管32の内部に油分を含
有する水性ゲルインキ1を所定量充填し、インキ収容管
3の先端に軸先部31を取付ける。次いで、インキ収容
管32の後端側から逆流防止剤7を注射器のようなもの
で所定量注入した後、インキ収容管32内部の気泡を脱
泡することでインキリーフィル3が得られる。このイン
キリーフィル3を外軸10の内部に収容し、外軸の後端
に尾栓11を嵌め、外軸のペン先側に取り外し可能なキ
ャップ12を嵌めて、図4に示す水性ボールペンが得ら
れる。
【0031】インキリーフィルの内部にはインキを充填
する際に巻き込んだ気泡やインキ中に含まれていた気
泡、更にインキと逆流防止剤の間に気泡が残り易く、こ
れらの気泡が残っているとインキ切れ等が生じ筆記不能
になったり、ペン先までうまくインキが充填されず始め
から筆記できない等の不具合がある。そのため、リーフ
ィル内部に含まれる気泡を除去する作業(脱泡)を行う
ことが好ましい。脱泡は、例えば、遠心分離、加温、又
は真空減圧等の手段を用いることができる。これらの手
段は単独でも、組合せて用いてもいずれでも良い。特に
遠心分離により脱泡を行うのが好ましい。
【0032】図3は遠心分離による脱泡方法を説明する
ための図である。遠心分離を用いてインキリーフィルの
脱泡を行う場合、図3に示すように遠心分離機のターン
テーブル21の表面に、水性ゲルインキ及び逆流防止剤
が既に充填されたインキリーフィル3を軸先31側が外
側になるように並べ、遠心分離を行う。遠心分離を行う
と、インキリーフィルに充填された比重の重い水性ゲル
インキは、外側の軸先31側に集まり、次いでインキの
次に比重の重い逆流防止剤がインキの後に位置し、比重
の軽い気泡は、遠心分離機の内側に位置し外部に開放さ
れているインキ収納管32の後端部から外部に飛散す
る。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例を述べる。 実施例1 図1に示す形状の水性ボールペンのペンリーフィルに、
油分としてシリコーングリース0.02重量%添加した
水性ゲルインキを充填し、更にインキの後方から上記の
シリコーングリースを逆流防止剤として充填した後、脱
泡して水性ボールペンを得た。
【0034】比較例1 比較のために、水性ゲルインキに油分を添加しなかった
以外は、実施例1と全く同じようにして水性ボールペン
を得た。上記の実施例1と比較例1の水性ボールペン
を、インキの流出性、キャップオフ性、逆流防止剤のイ
ンキ収容管内壁への付着性について試験を行った。試験
結果は下記の通りであった。
【0035】〔インキの流出性〕実施例1の水性ボール
ペンが書き始めから書終わりまで均一なインキが流出し
たのに対し、比較例1の水性ボールペンは始めはインキ
の出が良好であったが、後半にはインキの出が悪くなっ
て筆記した文字がかすれるようになった。 〔キャップオフ性〕温度50℃、湿度30%の雰囲気下
でキャップを外した状態で放置して加速試験を行った。
実施例1の水性ボールペンは、30日間放置した後でも
筆記可能であったが、比較例1の水性ボールペンは、2
日放置後に筆記不能となった。 〔逆流防止剤の付着性〕インキの流出性の試験の後の書
き終わりのインキ収容管の内部を観察して、逆流防止剤
の付着性を見た。実施例1の水性ボールペンの場合、書
き終わりのインキ収容管の内壁に逆流防止剤が付着して
残っているのは見られず外観も良好であり、最終的にイ
ンキの直ぐ後に残っている逆流防止剤の量も当初の量と
殆ど変化がなかった。これに対し、比較例1の水性ボー
ルペンの場合、逆流防止剤がインキ収容管の内壁に部分
的に付着しているのが見られ、外観が悪く、又最終的に
インキの直ぐ後に残っている逆流防止剤の量は当初の半
分以下であった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水性ゲル
インキは書始めから書終わりまで均一にインキが流出
し、均一太さの滑らかな筆記が可能なゲルインキの持つ
特徴を有しながら、インキ中に油分を含有せしめたこと
により、従来の油分が含まれない水性ゲルインキと比較
して、筆記特性が更に向上する。インキ中の油分により
ボールとボールシートとの間の潤滑性が向上し、ハウジ
ング内部の摩耗が防止され、使い始めから使い終わりま
で書き味の変化が少ない。
【0037】従来は、顔料系の着色剤を使用したインキ
を用いると、ボールシート等の間の摩耗が大きくなるた
め、ボールシートにニッケルシルバー等よりも硬いステ
ンレスを用いることが行われ、顔料系インキの場合には
書き味が劣っていた。しかし本願発明の場合、顔料系の
インキであっても書き味の良好なニッケルシルバーのボ
ールシートを使用することが可能である。その結果、耐
候性、耐水性に優れ長期間良好な書き味を維持可能であ
る筆記具を提供できる。
【0038】本発明は、インキ中に油分が含まれること
で、ペン先部分のインキが外部に露出している部分に薄
い油膜が形成され、水性ゲルインキ中の水及び水性媒体
の揮発が抑制されて、キャップオフ性が著しく向上し、
キャップを外したまま筆記具を放置しても筆記不能とな
る不具合がなく、使い勝手が非常に良い筆記具が得られ
る。更に筆記する際紙に油分等が付着している部分でも
インキが乗りやすく筆記可能な紙の幅が広がる。
【0039】又、水性ゲルインキ中に含有される油分
は、例えばボール、ボールシート及びチップ等の金属部
品で形成される部材と接触しても腐食させることはな
く、むしろ金属部品の腐食を抑制する。
【0040】本発明は、インキ中に油分が含まれるた
め、筆記具を使用してインキが前進して行くと、インキ
収容管の内部の管壁表面に油分が付着して薄い油膜を形
成する。その結果、インキに追随して逆流防止剤が前進
していった場合に、逆流防止剤は油分とよくなじみ管壁
をスムーズに前進して、管壁に逆流防止剤が付着するの
を防止できる。インキ収容管の内壁に逆流防止剤が付着
しないため外観が良好であり、逆流防止剤が筆記具の使
用につれて減少することがないため、逆流防止剤の使用
量を減らせる。又、インキ収容管の内部に、インキを充
填する前にシリコーングリースを塗布する作業が不要で
あって、作業性が向上する。その結果、筆記特性に優れ
た筆記具を安価に提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筆記具を水性ボールペンとして形成し
た例を示し、拡大断面図である。
【図2】図1の軸先の部分を拡大したものであり、
(a)は軸先の断面図であり、(b)は軸先内部に用い
られるボールシートの平面図である。
【図3】遠心分離による脱泡方法を説明するための図で
ある。
【図4】本発明の筆記具の他の例の外観を示す斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 水性ゲルインキ 2 水性ゲルインキを用いた筆記具 3 インキリーフィル 31 軸先部 32 インキ収容管 4 ペン部材 5 チップ 6 ボール 7 逆流防止剤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インキ中に油分を含有せしめたことを特
    徴とする水性ゲルインキ。
  2. 【請求項2】 インキ中に油分を含有せしめた水性ゲル
    インキを用いたことを特徴とする水性ゲルインキを用い
    た筆記具。
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