【発明の詳細な説明】
3−置換された2−チオメチルプロピオン酸の立体選択的合成方法
3−置換された2−チオメチルプロピオン酸およびその誘導体、例えばエステ
ルは、分子の構成単位としておよびアスパルチルプロテアーゼ阻害剤に対するプ
レカーサーとして重要性が増大している〔P.Buhlmeyer等,J.Med.Chem.31(1
988),1839;R.Henning,Nachr.Chem.Techn.Lab.38(1990),460;J.R.Hu
ff,J.Med.Chem.34(1991),2305〕。
上述した化合物は、既に知られている。さらに、これらの化合物を製造する一
連の合成方法が文献に記載されている。
これに関連して、若干の最近の研究の例としては、P.Buhlmeyer等,J.Med.
Chem.31(1988),1839;T.Tsuji等,TetrahedronLett.30(1989),6189;M.Na
kano等,Tetrahedron Lett.31(1990),1569:M.Nakano等,Chem.Lett.(1990)
,505;およびD.A.Evans等,J.Org.Chem.50(1985),1830がある。
最初に述べた合成は、とりわけ、ホルムアルデヒドおよび/またはホルムアル
デヒド誘導体の使用を必要とする。これらの化合物は、とりわけ形成される副生
成物のように、化合物のアルキル化の性質のために健康の見地から非常に望まし
くないものとみなされ、そして作業所の健康で安全な区域を含む特別な安全対策
を必要とする〔Merck Index 11,4150〕。
さらに、光学的に純粋な化合物の製造は、ラセミ体の分割を必要とする。この
目的のために、ラセミ酸を、L−フェニルアラニノールを使用してジアステレオ
マーアミドに変換し、これらのアミドを
クロマトグラフィー処理により分離しそして相当するアミドの加水分解により所
望の異性体を得る。多数の工程、クロマトグラフィー処理に関連するラセミ体を
分割する根本的な不利点および規模拡大の問題は、この方法が比較的多量の製造
に対して魅力のあるものでないと思われることを意味する。
Tsuji等による合成は、ラセミ体を分割することはないけれども、同様な多数
の工程を使用して光学的に純粋な物質を与える。この合成は、保護基を導入およ
び除去する多数の工程からなり、使用される若干の試薬は高価であり、そしてあ
る場合には、発癌性ホルムアルデヒド誘導体が合成の過程において使用または生
成される〔H.G.Neumann in “Allgemeine und spezielle Pharmakologie und T
oxikologie”〔General and Special Pharmacology and Toxicolo-gy〕,4th e
dition,W.Forth,ed.,B.I.Wissenschaftsverlag,Mannheim-Vienna-Zurich
,p.621 ff.(1983);Arch.Environ.Health 30(2),61〕。それ故に、この合
成方法は、多量の製造に対して経済的および生態学的に適切な代替方法とはなら
ない。
EvansおよびMathreによって記載されているチオールファンの合成に関連して
示されている2−メルカプトメチルジヒドロ桂皮酸の製造は、既に説明した二つ
の合成に比較して簡単であり、良好な全収率で進行しそして高い光学純度の両エ
ナンチオマーを具体的に製造することを可能にする。この合成における弱点は、
メルカプタン基の複雑な導入および結果として起こるベンジルチオメチルブロマ
イドを使用する必要性である。この化合物は、健康の見地から望ましいものでな
くそしてトリオキサン(ホルムアルデヒド源として)、ベンジルメルカプタン(
またはベンジルチオメチルクロライド)およ
びHBrから製造される〔H.G.Neumann in “Allgemeine und spezie-lle Pharmak
ologie und Toxikologie”〔General and Special Phar-macology and Toxicolo
gy〕,4th edition,W.Forth,ed.,B.I.Wissenschaftsverlag,Mannheim-Vi
enna-Zurich,p.621 ff.(1983);Arch.Environ.Health 30(2),61)。
Nakano等は、化合物Iの炭素骨格の合成する二つの方法を記載している。第一
の合成は、マロン酸ジエチルから出発しそして6工程およびさらにジアステレオ
マーのクロマトグラフィー分割を必要とする。
第二の方法は、キラル非−ラセミアリールプロピオニルオキサゾリジノンおよ
びベンジルブロモメチルエーテルを使用したその立体選択的アルキル化〔M.W.
Holladay等、J.Med.Chem.30(1987)、374〕次いでクロマトグラフィー処理を
経て進行する。第一の方法の場合におけるように水素添加によりベンジル基を除
去した後、硫黄置換分を、遊離ヒドロキシル基のトシル化次いでDMF中におけるN
aSCH2CH3による置換により導入する。
これらの2つの合成ルートは、工程の多さ、発癌性および毒性を有する前駆体
または反応剤としてのホルムアルデヒド誘導体、ラセミ化を完全には避けること
はできない硫黄置換分の複雑な導入、そして最後に述べるが決して軽んずべきで
ないものとしての、不純物のクロマトグラフによる分離並びにジアステレオマー
化合物の分割によっても特徴付けられる。
本発明の目的は、式Iの化合物の合成方法を開発せんとするものであり、その
方法は
* 工程が少なく、
* 化学反応の保護基を必要としない、
* カラムクロマトグラフィー工程を必要としない、
* 立体選択的(stereoselective)でありそして選択的に式Iのエナンチオ
マー化合物を与える、
* ラセミ体の分割またはジアステレオマーの分割を必要としない、そして
* 改善を示す、すなわち、健康、生態学および安全の見地から異議のない方
法である。
この目的は、本発明による方法によって達成される。その結果、本発明の要旨
は、式IIaまたはIIbまたはIIIaまたはIIIb(式中、YはOまたはSである)
IIa:R3=C1〜C4−アルキル、R5=C6〜C10−アリール、R4=R6=H、
IIb:R4=C1〜C4−アルキル、R6=C6〜C10−アリール、R3=R5=H、
IIIa:R3=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R4=
R5=R6=H、
IIIb:R4=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R3=
R5=R6=H、
の化合物(キラル助剤)それぞれを、
(a1)アクリル酸またはアクリル酸の誘導体を使用して、式IVaまたはIVbまた
はVaまたはVb(式中YはOまたはSである)
IVa:R3=C1〜C4−アルキル、R5=C6〜C10−アリール、R4=R5=H、
IVb:R4=C1〜C4−アルキル、R6=C6〜C10−アリール、R3=R5=H、
Va:R3=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R4=R5
=R6=H、
Vb:R4=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R3=R5
=R6=H、
の化合物それぞれに変換し、または
(a2) C3位において基X=Cl、Br、OTs、OMsにより置換されているプロピオン
酸またはプロピオン酸誘導体を使用して、式VIaまたはVIbまたはVIIaまたはV
IIb(式中、XおよびYは上述した通りである)
VIa:R3=C1〜C4−アルキル、R5=C6〜C10−アリール、R4=R6=H、
VIb:R4=C1〜C4−アルキル、R6=C6〜C10−アリール、R3=R5=H、
VIIa:R3=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R4=
R5=R6=H、
VIIb:R4=C1〜C4−アルキル、C1−C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R3=
R5=R6=H、
の化合物それぞれに変換し
(b) (a1)または(a2)によって得られた式IVa、IVb、Va、Vb、VIaま
たはVIb、VIIaまたはVIIbの化合物を、直接または単離後、非水性媒質中また
は相転移触媒の存在下水性2−相系中で式R1SH(式中、R1は上述した通りである
)のメルカプタンと反応させて、式VIIIaまたはVIIIbまたはIXaまたはIXb(
式中、R1およびYは上述した通りである)
VIIIa:R3=C1〜C4−アルキル、R5=C6〜C10−アリール、R4=R6=H、
VIIIb:R4=C1〜C4−アルキル、R6=C6〜C10−アリール、R3=R5=H、
IXa:R3=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−ア
リール、R4=R5=R6=H、
IXb:R4=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R3=R5
=R6=H、
の相当する化合物それぞれに変換しまたは
(a3)オキサゾリジノンの脱プロトン化およびメルカプタンR1SH(式中R1は上述
した通りである)の脱プロトン化に対して十分な量の塩基の存在下において、一
工程で式IIaまたはIIbまたはIIIaまたはIIIbの化合物それぞれを、ハロゲン
化アクリロイルまたはハロゲン化プロピオニルまたはこれらのそれぞれの混合無
水物との反応およびさらに反応生成物とメルカプタンとの反応によって、式VIII
aまたはVIIIbまたはIXaまたはIXbそれぞれの化合物に変換し、
(c)それから(b)または(a3)により得られた化合物を、立体選択的アルキ
ル化によって、式Xa、Xb、XIaまたはXIb
Xa:R3=C1〜C4−アルキル、R4=R6=H、R5=C6〜C12−アリール、
XIa:R3=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R4=R5
=R6=H、
Xb:R4=C1〜C4−アルキル、R6=C6〜C12−アリール、R3=R5=H、
XIb:R4=C1〜C4−アルキル、C1〜C2−アルキル−C6〜C12−アリール、R3=
R5=R6=H、
(式中、Y、R1およびR2は上述した通りである)の相当する化合物に変換し、
(d)この方法で得られた化合物を、アルカリ性溶液中におけるH2O2、好まし
くはLiOH/H2O2との反応によって、式XII
の化合物(化合物はRまたはS形態で存在することができる)に変換し、そして
(e)それから、この方法で得られた化合物を、さらに酸化によって、式Iの
相当する化合物に変換することからなる、式I
〔式中、
R1は、C1〜C6−アルキル、C3〜C6−シクロアルキル、(C6〜C12)−アリール
−(C1〜C4)−アルキルまたはC6〜C12−アリールまたは
−ヘテロアリールまたは−ヘテロシクロアルキル(これらの基は、1、2または
3個の同一または異なるヒドロキシル、メトキシまたはトリアルキルシリルオキ
シ基により置換されていてもよい)であり;そして
R2は、1、2または3個の同一または異なるメトキシ、ハロゲン、シアノ、メ
チル、トリフルオロメチル、イソプロピルまたはニトロ基により置換されていて
もよいC6〜C12−アリール、または
1、2または3個の同一または異なるメトキシ、ハロゲン、シアノ、メチル、
トリフルオロメチル、イソプロピルまたはニトロ基により置換されていてもよい
C3〜C9−ヘテロアリール、または
1、2または3個の同一または異なるメトキシ、ハロゲン、シアノ、メチル、
トリフルオロメチル、イソプロピルまたはニトロ基により置換されていてもよい
C1〜C10−アルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、そして式Iの化合物
はRまたはS形態で存在することができる〕
の化合物を立体選択的に製造する方法である。
本発明による方法は、特に
R1がC1〜C4−アルキル、C5〜C6−シクロアルキル、(C6〜C12)−アリール−
(C1〜C3)−アルキルまたはC6〜C12−アリールまたは−ヘテロアリールまたは
−ヘテロシクロアルキル(これらの基は、ヒドロキシル、メトキシまたはトリア
ルキルシリルオキシ基により置換されていてもよい)であり;
R2がメトキシ、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチルまたはイソプロピル基
により置換されていてもよいC6〜C12−アリール、
メトキシ、ハロゲン、メチル、トリフルオロメチルまたはイソプ
ロピル基により置換されていてもよいC3〜C6−ヘテロアリールまたは
C1〜C6−アルキル、−アルケニルまたはアルキニルである式Iの化合物の製造
に適している。
さらに、本発明による方法は、特に、R1がC1〜C4−アルキル、(C6〜C12)−
アリール−(C1〜C3)−アルキルまたはC6〜C12−アリールでありそしてR2がC6
〜C12−アリール、C3〜C6−ヘテロアリールまたはC1〜C4−アルキル、−アルケ
ニルまたは−アルキニルである式Iの化合物の製造に適している。
本発明による方法は、R1が第3ブチルでありそしてR2がナフチルである式Iの
化合物の製造に対して非常に特に重要性を有する。
上述した置換分C6〜C12−アリールは、例えばフェニル、ナフチルまたはビフ
ェニルであると理解されるべきである。
アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、直鎖状または分枝鎖状である。
ハロゲンは、好ましくは弗素、塩素または臭素、特に好ましくは塩素である。
ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、特に3個まで、好ましくは2
個そして特に1個のN、Sおよび/またはO原子を環中に含有する化合物からな
る。例えば、例として、ピリジル、フリル、ピリミジル、ピロリジノ、ピロリル
、ピペリジノまたはピペリジル、特にピリジルをあげることができる。
好ましく使用される式IIa、IIb、IIIaおよびIIIbの化合物は、
IIa:R3=Me、R5=Ph、R4=R6=H
IIb:R4=Me、R6=Ph、R3=R5=H
IIIa:R3=CH(CH3)2、R4=R5=R6=H
IIIb:R4=CH(CH3)2、R3=R5=R6=H
(式中、YはOである)の化合物である。
これらの合成方法における重要な中間体は、次の通りである。
(4R,5S)−および(4S,5R)−4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリジノン
、
(S)−および(R)−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン、(4R,5S)
−および(4S,5R)−3−アクリロイル−4−メチル−5−フェニル−2−オキサ
ゾリジノン、
(4S)−および(4R)−3−アクリロイル−4−イソプロピル−2−オキサゾリジ
ノン、
(4R,5S)−3−および(4S,5R)−3−〔1−オキソ−3−ハロプロピル〕−4−
メチル−5−フェニル−2−オキサゾリジノン、
(4R,5S)−3−および(4S,5R)−3−〔1−オキソ−3−(アルキル−またはア
リールスルホニルオキシ)プロピル〕−4−メチル−5−フェニル−2−オキサ
ゾリジノン、
(4S)−および(4R)−3−〔1−オキソ−3−ハロプロピル〕−4−イソプロピ
ル−2−オキサゾリジノン、
(4S)−および(4R)−3−〔1−オキソ−3−(アルキル−またはアリールスル
ホニルオキシ)プロピル〕−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン、
(4R,5S)−3−および(4S,5R)−3−〔1−オキソ−2−(アルキル−またはア
リールチオ)メチル〕プロピル−4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリジ
ノン、
(4S)および(4R)−3−〔1−オキソ−2−(アルキル−またはア
リールチオ)メチル〕プロピル−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン、
(4R,5S)−3−〔(2S)−1−オキソ−2−(アルキル−またはアリールチオメ
チル)−3−アルキル−またはアリール)プロピル〕−4−メチル−5−フェニ
ル−2−オキサゾリジノン、
(4S,5R)−3−〔(2R)−1−オキソ−2−(アルキル−またはアリールチオメ
チル)−3−(アルキル−またはアリール)プロピル〕−4−メチル−5−フェ
ニル−2−オキサゾリジノン、
(4S)−3−〔(2R)−1−オキソ−2−(アルキル−またはアリールチオメチル
)−3−(アルキル−またはアリール)プロピル〕−4−イソプロピル−2−オ
キサゾリジノン、
(4R)−3−〔(S)−1−オキソ−2−(アルキル−またはアリールチオメチ
ル)−3−(アルキル−またはアリール)プロピル〕−4−イソプロピル−2−
オキサゾリジノンおよび
(2S)−および(2R)−2−(アルキル−またはアリールスルホキシメチル)−3
−(アルキル−またはアリール)プロピオン酸。
式IVa、IVb、VaまたはVbのアクリロイル化合物および式VIa、VIb、VI
IaまたはVIIbのプロピオニル化合物は、無水の非プロトン性溶剤、例えばテト
ラヒドロフラン、ジメトキシエタン、第3ブチルメチルエーテル、トルエン中に
おける水素化ナトリウム、BuLi、KOtBuによる良好な収率で容易に得ることがで
きる式IIa、IIb、IIIaまたはIIIbの化合物の完全な不可逆的な脱プロトン化
〔D.A.Evans,D.J.Mathre,J.Org.Chem.50(1985),1830;D.A.Evans,J.R
.Gage,Org.Synth.68(1989),77;P.G.M.Wuts,L.E.Pruitt,Synthesis 19
89,622〕、次いで低温度(−80℃〜−20℃)
において相当するカルボン酸ハライド、好ましくは酸クロライドまたは混合無水
物(例えばアクリル酸または3−クロロ−または3−ブロモープロピオン酸、ト
リエチルアミンおよび塩化ピバロイルのようなカルボン酸クロライドから製造さ
れる)との反応によって得ることができる。アクリロイル化合物においては、Cu
/Cu2Cl2による安定化なしに行うことができる〔Binger等,Liebigs Ann.Chem
.1989,739;Oppolzer等,Tetrahedron Lett.(1991),4893参照〕。
特にアクリロイル化合物の合成に対する好適な操作は、テトラヒドロフラン中
における室温でのオキサゾリジノンと水素化ナトリウムとの反応、次いで−80℃
〜−60℃までの冷却および酸クロライドとの反応である。
コンジュゲートメルカプタン付加を実施するために、適当なチオ化合物を、エ
ーテル(好ましくはTHF)中の溶液としてアルカリ金属の水素化物(好ましくはN
aH)または適当な有機金属化合物(好ましくはBuLi)またはフルオライド(例え
ばテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオライド)と反応させそしてそれから式
IVa、IVb、VaまたはVbの化合物と反応させる。
これに対する代替操作として、メルカプタン付加は、水性のNaOHおよび塩化メ
チレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、第3ブチル
メチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのような有機溶剤の混合物中で相
転移触媒(例えばメチルトリオクチルアンモニウムクロライドまたはテトラ−n
−ブチルアンモニウムハイドロジンサルフェート)を使用して実施することもで
きる。
さらにVIIIa,b、IXa,bの化合物を合成する可能性は、エタノー
ルのようなプロトン性溶剤中K2CO3のような塩基の存在下における式VIa,b、V
IIa,bの化合物と式R1SH(R1は上述した通りである)のメルカプタンとの反応
である。
しかしながら、高い全収率、副生成物の性質、増大した容易性および処理の迅
速性および生成物の単離のために、“ワン−ポット(one-pot)”変形法が有利で
あることが証明された。本発明のこのような変形法により、一工程で直接に式II
aまたはIIbまたはIIIaまたはIIIbの化合物それぞれから式VIIIaまたはVIII
bまたはIXaまたはIXbの化合物それぞれが得られる。この目的のために、式II
aまたはIIbまたはIIIaまたはIIIbのキラル助剤それぞれを、オキサゾリジノ
ンの脱プロトン化およびメルカプタンの脱プロトン化の両方に十分な量の塩基(
NaH、BuLiなど)と反応させ、完全な脱プロトン化後に、ハロゲン化アクリロイ
ルまたはハロゲン化プロピオニルまたはこれらのそれぞれの混合無水物を加えそ
してアシル化が完了した(TLCにより監視)後に、それぞれのメルカプタンを得
られた混合物に加える。
さらに、次の操作が好ましい。−80℃〜−60℃でのハロゲン化アクリロイルま
たはハロゲン化プロピオニルまたはそれぞれの混合無水物による式IIa、IIb、
IIIaまたはIIIbの化合物のNaH−またはBuLi−仲介アシル化の完了後に、プロ
トン供与体、例えば酢酸、クエン酸、水を加え、混合物を室温に加熱し、9〜12
のpHを確立し(例えば水性NaOHを使用して)そしてメルカプタンおよび相−転移
触媒、例えばテトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロジンサルフェート、メチ
ルトリオクチルアンモニウムクロライドを加える。
式VIIIa、VIIIb、IXaまたはIXbの化合物のアルキル化は、好まし
くは無水の非プロトン性溶剤、好ましくはTHF中で、例えば−80℃〜−60℃でリ
チウム化第二アミン(例えばLDA)またはNaまたはLiヘキサメチルジシラザン(N
aHMDS、LiHMDS)を使用して立体選択的エノレート形成を行い〔D.A.Evans,Pur
e Appl.Chem.53(1981),1109;D.A.Evans,Aldrichimica Acta 15(1982)〕次
いで好ましくは−50℃〜−10℃でハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリール
と反応させることにより実施される。
次のキラル助剤のおだやかな除去は、−10℃〜−30℃でアルカリ性溶液中でH2
O2を使用して、好ましくは0℃〜25℃で好ましくはジオキサン、THF、ジメトキ
シエタンまたはtBuOMeまたはこれらの溶剤の水性混合物中でLiOH/H2O2を使用し
て実施される〔Evans等、Tetrahedron Lett.28(1987)、6141〕。
必要に応じて、式Xa、XIa、Xb、XIbの化合物は、エステル交換(例えば
LiOR、Ti(OR)4またはBrMgORを使用)によって、アミノ交換(例えばMe2AlN(OR)R
を使用)によって、または例えばLiAlH4、LiBH4による還元によってエステルお
よびアミドのようなカルボン酸誘導体にまたはアルコールに変換することができ
る。
式Xa、Xb、XIaまたはXIbの化合物のLiOH/H2O2−誘発加水分解の場合に
おいて、これは、計画された通り、直接式VIIのスルホキシドを与える。式Iの
化合物を与える酸化は、直接そしてまたスルホキシドの単離後にすることも可能
である。
適当な酸化剤は、次の通りである。
*例えば0〜25℃でのCH2Cl2中におけるメタクロロ過安息香酸(mCPBA);
*例えば室温でのH2O/K2CO3中における過マンガン酸カリウム
(KMnO4);
*室温での水中におけるオキソン(2KHSO5・KHSO4・K2SO4);
*室温での水中におけるマグネシウムモノパーオキシフタレート(MMPP);
*特に好ましいのは、酢酸およびポリ燐酸の存在下におけるCH2Cl2中における
室温での30%強度のH2O2である。
特に大規模のバッチに対する製造条件の大きな利点は、ワン−ポット方法に対
するアルキル化、加水分解および酸化の組み合わせから得られる。
式VIIまたはIの化合物への式VIIIa、VIIIb、IXaまたはIXbの化合物の直
接的な変換後、望ましくない副生成物の分離および過剰な試薬の除去は、塩基性
化された反応混合物の簡単な抽出処理(例えば水と塩化メチレンとの間の分配)
に限定される。水性相の酸性化および酢酸エチルによる抽出後、式VIIまたはI
の所望の化合物が高い化学および光学純度で得られる。
それ故に、本発明による方法は、60〜95%の収率(全収率は30%と40%との間
にある)の4工程より多くない一連の工程からなる。中間体および最終生成物の
処理は、結晶化、抽出および濾過に限定され、カラムクロマトグラフィー処理を
必要としない。使用される出発化合物は、安価でありそして実施および安全な点
からの問題を示さない。
略号のリスト
Bu ブチル
LDA リチウムジイソプロピルアミド
Me メチル
OTs p−トルエンスルホニル
OMs メチルスルホニル
Ph フェニル
t 第3
THF テトラヒドロフラン
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するために示すものである。
実施例1
化合物IVa(式中、R3=メチル、R5=フェニル)の合成
NaH(純度60%)1.8g(45ミリモル)を、THF 50mlに入れそしてTHF 20ml中の
式IIa(式中、R3=Me、R5=Ph)のオキサゾリジノン5g(28ミリモル)を、20
〜25℃で加える。混合物を、20〜25℃で1時間撹拌しそしてそれから−70℃に冷
却しそして塩化アクリロイル4.7ml(58ミリモル)を滴加する。温度を、−60℃
と−65℃との間に保持する。10分撹拌した後、反応を終了した。飽和NaHCO3溶液
50mlを滴加する。この添加中、温度は約−10℃に上昇する。それから、冷却浴を
除去し、酢酸エチルを加え、相を分離し、有機相を飽和NaCl溶液で2回洗浄しそ
してNa2SO4で乾燥しそして溶剤を真空中で溜去する。残留物を第3ブチルメチル
エーテルにとりそして沈澱を分離する。残った溶液(濾液)は、所望の生成物4.
6g(69%)を含有している。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.95(d;3H,CHCHH 3);
4.82(quint;1H,CHCHCH3);
5.70(d;1H,CHCHPh);
5.92(dd;1H,olef.);
6.57(dd;1H,olef.);
7.1-7.5(m;5H,Ph);
7.53(dd;1H,olef.)。
実施例2
化合物VIIIa(式中、R1=C(CH3)3、R3=メチル、R5=フェニル)の合成
トルエン10ml、水5ml、5N NaOH 1ml、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイド
ロジエンサルフェート20mg、および第3ブチルメルカプタン0.76ml(6.74ミリモ
ル)を、化合物IVa(式中R3=Me、R5=Ph)1.39g(6.0ミリモル)に加えそして
混合物を室温で2時間撹拌する。水100mlの添加後、混合物を酢酸エチル100mlで
抽出し、有機相をMgS04で乾燥しそして回転蒸発器上で真空濃縮しそして残留物
を第3ブチルメチルエーテルで処理する。形成した沈澱を濾去しそして捨てそし
て残った溶液を、濃縮して式VIIIa(式中R1=t-Bu、R3=Me、R5=Ph)のメルカ
プト化合物1.54g(80%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;3H,CHCH 3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m;2H,CH2CH2);
3.2−3.3(m;2H,CH2CH2);
4.78(quint;1H,CHCHCH3):
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
融点:65〜67℃
実施例3
化合物VIIIa(式中、R1=C(CH3)3、R3=Me、R5=Ph)の合成
実施例2と同様な操作で、化合物IVa(式中、R3=Me、R5=Ph)0.7g(3.0ミ
リモル)、水0.5ml中のNaOH 0.012g(0.3ミリモル)、テトラ−n−ブチルアン
モニウムハイドロジエンサルフェート10.5mgおよび第3−BuSH 0.39ml(3.4ミリ
モル)を、塩化メチレン4〜5ml中で室温で2時間撹拌する。実施例2における
ように処理(CH2Cl2による抽出、MgSO4で乾燥)して、化合物VIIIa(式中、R3
=Me、R5=Ph)723mg(75%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;3H,CHCH 3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m;2H,CH2CH2);
3.2-3.3(m;2H,CH2CH2);
4.78(quint;1H,CHCHCH3);
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
融点:65〜68℃
実施例4
化合物VIIIb(式中、R1=C(CH3)3、R4=Me、R6=Ph)の合成
NaH(純度55〜60%)7.2g(約180ミリモル)を、乾燥テトラヒドロフラン200m
lと一緒に、1lの四頚フラスコに入れる。式IIb(式中、R4=Me、R6=Ph)の
オキサゾリジノン20g(112.8ミリモル)および乾燥THF 80mlを、これに室温で滴
加する。反応混合物を、室温で1時間撹拌しそしてそれから−60〜−65℃に冷却
しそしてそ
れから、塩化アクリロイル11.8ml(146.64ミリモル)を徐々に加える。10分撹拌
した後、冷却浴を除去しそして水120mlを徐々に加える。それから、5NaOHで11
〜12のpHを確立する。pHが一定に保持されたときに、メチルトリオクチルアンモ
ニウムクロライド450〜500mgおよび第3ブチルメルカプタン13.16ml(116ミリモ
ル)を加える。30〜40分後に、水約400mlおよび酢酸エチル約400mlを加え、混合
物を振盪により抽出し、有機相を分離し、水性相を再び酢酸エチル200mlで抽出
しそして合した有機相を、飽和NaCl溶液で洗浄する。Na2SO4またはMgSO4を使用
して乾燥した後、有機溶液を真空蒸発によって濃縮しそして残留物を第3ブチル
メチルエーテルにとる。濾過後、エーテル溶液を、濃縮する。残留物を、n−ヘ
プタン/酢酸エチルまたはn−ヘプタン/第3BuOMeを使用して結晶化させる。
完全な結晶化後、収量は、26.08〜26.80g(72〜74%)であった。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;3H,CHCH 3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m;2H,CH2CH2) ;
3.2-3.3(m;2H,CH2CH2);
4.78(quint;1H,CHCHCH3);
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
融点:68〜70℃
実施例5
化合物VIIIa(式中、R1=C(CH3)3、R3=Me、R5=Ph)の合成
NaH(純度60%)1.8g(約45ミリモル)を、石油エーテルで洗浄
しそしてそれからTHF50mlを加える。それから、式IIa(式中、R3=Me、R5=Ph
)のオキサゾリジノン5g(28.2ミリモル)を、THF20mlに溶解しそしてこの溶
液をNaH/THF混合物に滴加する。室温で1時間撹拌した後、溶液を−20℃に冷却
し、塩化アクリロイル2.35ml(29.03ミリモル)を徐々に加えそして混合物をさ
らに5分撹拌する。
次に、水18mlを加え、混合物を室温に加温し、10のpHを確立しそしてテトラ−
n−ブチルアンモニウムハイドロジエンサルフェート75mgを加えそして第3ブチ
ルメルカプタン2.87ml(25.45ミリモル)を加える。室温で2時間撹拌した後、
水300mlおよび酢酸エチル250mlを加える。抽出およびNa2SO4による乾燥後、有機
溶液を真空濃縮する。残留物を、第3ブチルメチルエーテルと一緒に撹拌する。
形成した微細な沈澱を濾去しそしてエーテル溶液を、蒸発により濃縮乾固する。
シリカゲル10〜15g(CH2Cl2中)上の濾過および石油エーテルからの再結晶によ
って、式VIIIa(式中、R1=C(CH3)3、R3=Me、R5=Ph)の純粋なマイケル付
加物5.8〜6.0g(64〜66%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
δ=0.92(d;3H,CHCH 3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m;2H,CH2CH2);
3.2-3.3(m;2H,CH2CH2);
4.78(quint:1H,CHCHCH3);
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
融点:73〜75℃
実施例6
化合物VIIIb(式中、R1=C(CH3)3、R4=Me、R6=Ph)の合成
NaH(60%)0.676g(16.92ミリモル)を、THF(乾燥)25mlと一緒に入れる。
THF(乾燥)10ml中の式IIb(式中、R4=Me、R6=Ph)のオキサゾリジノン2.5g
(14.1ミリモル)の溶液を、室温でこれに滴加する。室温で1時間撹拌した後、
混合物を−60℃に冷却しそして塩化アクリロイル1.19ml(14.8ミリモル)を徐々
に滴加する。約10分後に、反応を終了する。それからt−ブチルメルカプタン2.
0ml(18.33ミリモル)およびTHF中のテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオラ
イドの1.1モル溶液19.2ml(21.15ミリモル)の予め製造した混合物を滴加する。
−60℃で2時間後に、水150mlおよび酢酸エチル150mlを加え、混合物を振盪によ
り抽出し、有機相をMgSO4で乾燥しそして溶剤を真空中で除去する。残留物を第
3ブチルメチルエーテルに溶解し、形成した微細な沈澱を清澄化層上で吸引濾去
しそしてエーテル相を真空濃縮する。残留物は徐々に固化する。再結晶または小
さなシリカゲル(CH2Cl2中)上の濾過によって、式VIIIb(式中、R1=C(CH3)3
)の所望のマイケル付加物3.4g(75%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;3H,CHCH3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m;2H,CH2CH2);
3.2-3.3(m;2H,CH2CH2);
4.78(quint;1H,CHCHCH3);
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
融点:69〜73℃
実施例7
化合物VIIIb(式中、R1=C(CH3)3、R4=Me、R6=Ph)の合成
NaH(純度60%)2.82g(70.5ミリモル)を、石油エーテルで洗浄する。それ
から、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを加えそしてTHF20ml中の式IIb(式中
、R4=Me、R6=Ph)のオキサゾリジノン5g(28.2ミリモル)の溶液を、室温で
撹拌しながら滴加する。室温で1時間撹拌した後、混合物を−60℃に冷却しそし
て塩化アクリロイル2.35ml(29ミリモル)を徐々に加えそして混合物をさらに10
分撹拌する。それから、第3ブチルメルカプタン3.49ml(31ミリモル)をこれに
−60℃で加える。約1.0〜1.5時間後に、反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液
100mlに徐々に加える。それを室温に加温した後、水200mlおよび酢酸エチル300m
lを加える。混合物を、振盪により抽出し、有機相を分離しそしてMgSO4で乾燥し
そして溶液を真空濃縮する。第3ブチルメチルエーテルを、残留した残留物に加
え、濁りを濾過により除去しそして次に透明なエーテル溶液を蒸発により濃縮す
る。残留物を冷却条件下で結晶化させる。小さなシリカゲル上の濾過およびn−
ヘプタンからの再結晶によって、所望の化合物VIIIb(式中、R1=C(CH3)3、R4
=Me、R6=Ph) 5.89g(65%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;3H,CHCH 3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m:2H,CH2CH2);
3.2-3.3(mm;2H,CH2CH2);
4.78(quint;1H,CHCHCH3);
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
融点:73〜75℃
実施例8
化合物(S)−XII(式中、R1=C(CH3)3、およびR2=1−ナフチル)の合成
ジイソプロピルアミン0.59ml(4.2ミリモル)を、THF 7ml中に入れる。BuLi
(ヘキサン中1.6M)2.5ml(4.04ミリモル)を、−60℃で滴加する。混合物を、
−60℃で10分撹拌しそしてそれからTHF3ml中の式VIIIa(式中、R1=tBu、R3=
Me、R5=Ph)の化合物1g(3.11ミリモル)の溶液を滴加する。撹拌を20分つづ
けそしてそれからTHF 3ml中の1−ブロモメチルナフタレン1.37g(6.22ミリ
モル)の溶液を滴加する。混合物を−60℃で5分撹拌する。次に、温度を、冷却
浴を除去することにより、15分にわたって−10℃に上昇させる。40〜60分後に出
発物質は存在しない。H2O 1ml中のLiOH・H2O 0.40g(9.5ミリモル)およびH2
O2(濃度35%)1.0ml(12ミリモル)を加える。混合物を室温で約30分撹拌し、
THFを、真空蒸発により濃縮しそして残留反応混合物をCH2Cl2で抽出する。それ
から、水性相を酸性にしてpH=1となしそして酢酸エチルで十分に抽出する。有
機相をNa2SO4で乾燥しそして濃縮する。所望の生成物594mg(60%)を得た。
1H-NMR(200MHz、d6-DMSO):
σ=1.10、1.15(s:9H,SC(CH 3)3);
2.70-3.70(m;5H,CHおよびCH2);
7.1-8.2(m;7H,aromat.);
12.6(br;1H,COOH)。
実施例9
式XII(式中、R1=C(CH3)3およびR2=1−ナフチル)の(2R)−スルホニルカ
ルボン酸への式Xb(式中、R4=Me、R6=Ph、R1=tBu)のアルキル化生成物の
変換
化合物Xb(式中、R4=Me、R6=Ph、R1=tBu、R2=1−ナフチル)200mg(0.
43ミリモル)を、THF 2mlに溶解しそして水1ml中のH2O2(純度30%)0.11ml(
1.3ミリモル)およびLiOH・H2O 55mg(1.3ミリモル)を加えそして混合物を室
温で撹拌する。30〜40分後に反応は終了する。THF相を分離しそしてそれから、
反応混合物をCH2Cl2で抽出し(キラル助剤の回収)そしてそれから水性相を酸性
(pH=1)にしそして所望のカルボン酸を酢酸エチルで抽出する。乾燥(Na2SO4
)および真空濃縮によって、所望の(2R)−スルホニルカルボン酸VII126mg(92
%)を得た。
MS(70 eV):m/z(%)=
262.2(25,M-C4H8)。
実施例10
式I(式中、R1=C(CH3)3、R2=ナフチル)の(2S)−スルホンを与える式XII
(式中、R1=C(CH3)3、R2=ナフチル)の(2S)−スルホキシドの酸化
(S)−スルホキシドXII(式中、R1=C(CH3)3およびR2=ナフチル)
500mg(1.57ミリモル)を、CH2Cl2 1mlに溶解する。氷酢酸0.3ml、H2O2 0.52
mlおよびポリ燐酸0.16gを連続的に加える。2時間撹拌した後に、反応は終了す
る。反応混合物に水を加えそして相を分離する。有機相を、水で2回洗浄し、乾
燥(Na2SO4)しそして回転蒸発器上で濃縮する。(S)−配置の所望の化合物I
444mg(84.7%)を得た。
1H-NMR(270MHz、d6-DMSO):
σ=1.25(s;9H,O2SC(CH3)3);
3.1-3.65(m;5H,CH2およびCH);
7.35-8.2(m;7H,aromat.);
12.55(br.;1H,COOH)。
実施例11
式I(式中、R1=C(CH3)3、R2=フェニル)の(2S)−スルホンを与える式XII
(式中、R1=C(CH3)3)の(2S)−スルホキシドの酸化
水20ml中のKMnO4 790mg(5ミリモル)を、上述した式XIIの(S)−スルホ
キシド1.34g(5ミリモル)およびK2CO3 300〜500mgの水溶液(10ml)に室温
で滴加する。反応が終了(TLCにより監視)した後、沈澱した二酸化マンガンを
濾去し、水溶液を酸性にしそして所望のスルホンを酢酸エチルで抽出する。乾燥
(Na2SO4)および真空中の有機溶液の濃縮によって、(S)−配置の所望の化合
物I(式中、R1=tBu、R2=フェニル)1.25〜1.35g(88〜95%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3)
σ=1.3(s;9H,O2S C(CH3)3) :
2.9-3.6(m;5H,CH2 n.CH);
7.15-7.35(m;5H,Ph)。
実施例12
式I(式中、R1=tBu、R2=フェニル)の(2R)−スルホンを与える式XII(式中
、R1=C(CH3)3、R2=フェニル)の(2R)−スルホキシドの酸化
式XIIの(R)−スルホキシド670mg(2.5ミリモル)を、t−ブチルメチルエ
ーテル5〜10mlおよび水2〜5mlに入れそして水10ml中のオキソン2.5gを、0
℃で滴加する。その後、混合物を室温で撹拌する。反応が終了(TLCにより監視
)し、そして反応混合物を酸性にした後、相を分離する。水性相を酢酸エチルで
2回抽出しそして合した有機相をMgSO4で乾燥する。(R)−配置の式I(式中
、R1=C(CH3)3、R2=フェニル)の所望のスルホン682mg(96%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=1.3(s;9H,O2S C(CH3)3) ;
2.9-3.6(m;5H,CH2 n.CH);
7.15-7.35(m;5H,Ph)。
実施例13
(4S,5R)−3−(1−オキソ−3−クロロプロピル)−4−メチル−5−フェ
ニル−2−オキサゾリジノン〔式VIb(式中、R4=メチル、R6=フェニル、X=
Cl)の化合物〕の合成
NaH(60%)0.52g(12ミリモル)を、THF 2mlに入れる。THF 13ml中の(4
S,5R)−4−メチル−5−フェニル−2−オキサゾリジノン1.32g(7.45ミリ
モル)の溶液を、これに撹拌しながら滴加する。
室温で30〜40分撹拌した後、塩化クロロプロピオニル1.23g(9.7ミリモル)を
、これに−60℃で徐々に滴加しそしてそれから混合物を−60℃で約30分撹拌する
。それからクエン酸/水10〜15mlを−60℃〜−40℃で加え、反応混合物の温度を
徐々に25℃に上昇させ、反応混合物を振盪によって酢酸エチルで抽出し、そして
有機相をMgSO4で乾燥しそして真空中で濃縮する。結晶化によって、所望の生成
物1.3〜1.4g(65〜70%)を得た。
1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;1H,CHCH 3);
3.4-3.5(m;2H,CH2CH2);
3.8-3.9(m;2H,CH2CH2);
4.80(quint;1H,CHCHCH3);
5.70(d;1H,CHCHPh);
7.2-7.5(m;5H,Ph)。
実施例14
シクロヘキシルアンモニウム塩としての式Iの化合物の沈澱
化合物I 21gをアセトン200mlに溶解しそしてシクロヘキシルアミン6gを
加える。アセトン100mlでうすめた後、固体の生成物を吸引濾去する。Iのシク
ロヘキシルアンモニウム塩20.4gが得られた。
実施例15
シクロヘキシルアンモニウム塩からの式Iの化合物の遊離
塩15gを、酢酸エチル100mlおよび2N HCl 100mlと混合しそして混合物を振
盪により抽出する。有機相を飽和NaCl溶液100mlで洗浄し、Na2SO4で乾燥しそし
て濃縮する。遊離酸I 12gが得られた。
実施例16
(S)−Iおよび(R)−Iの示差
塩化メチレンに溶解した(S)−Iおよび(または)(R)−Iを、0℃に冷
却しそして過剰のトリエチルアミン、(S)−フェニルアラニノールおよびプロ
パンホスホン酸無水物を加えそしてそれから混合物を室温で約1時間撹拌した。
ジアステレオマーアミドは、HPLCによっておよびTLCによって示差した。
例えばI(式中、R1=tBu、R2=ナフチル)に対して:
(S)−I−(S)−フェニルアラニノールアミドRf(tBuOMe)0.60
(R)−I−(S)−フェニルアラニノールアミドRf(tBuOMe)0.32
実施例17
化合物VIIIa(式中、R1=C(CH3)3、R3=Me、R5=Ph)の合成
無水のTHF 2mlを、NaH(約60%)0.515g(11.8ミリモル)に加える。それか
ら、オキサゾリジノンIIa(式中、R3=Me、R5=Ph)1.32g(7.45ミリモル)を
加えそして混合物を室温で0.5〜1.0時間撹拌する。それを、−60℃に冷却しそし
てそれから、塩化3−クロロプロピオニル0.72ml(7.45ミリモル)を徐々に加え
る。
反応混合物を、−60℃で30〜45分撹拌しそしてそれからテトラブチルアンモニ
ウムハイドロジエンサルフェート20mg、水15mlおよび第3ブチルメルカプタンの
混合物を加える。反応混合物を徐々に室温まで加温し、9〜11のpHを確立しそし
て混合物を室温で1〜2時間撹拌する。
次に、水50〜100mlの添加後、混合物を酢酸エチルで抽出しそして有機相を乾
燥しそして濃縮する。粗製生成物2.3g。
シリカゲル約6g上で濾過しそしてシクロヘキサンから結晶化し
て所望の化合物VIII(式中、R1=C(CH3)3)1.7g(73%)を得た。
分光分析データ1H-NMR(200MHz、CDCl3):
σ=0.92(d;3H,CHCH 3);
1.35(s;9H,C(CH3)3);
2.8-2.9(m;2H,CH2CH2);
3.2-3.3(m;2H,CH2CH2);
4.78(quint;1H,CHCHCH3);
5.68(d;1H,CHCHPh);
7.25-7.50(m;5H,Ph)。
実施例18
化合物VIIIa(式中、R1=C(CH3)3、R3=Me、R5=Ph)の合成
NaH(60%分散液)2.6g(59ミリモル)および式IIa(式中、R3=Me、R5=Ph
)のオキサゾリジノン6.6g(39.25ミリモル)を、無水のTHF 10ml中で室温で
1時間撹拌する。それから、混合物を−60℃に冷却し、塩化クロロプロピオニル
3.58ml (37.25ミリモル)を滴加しそして混合物を−60℃で30〜45分撹拌する
。乾燥したクエン酸1.3g(6.8ミリモル)の添加後、混合物を−60℃で5〜15分
撹拌し、それから、水50mlを徐々に加え、温度を−10℃〜0℃に上昇させ、nBU4
NHSO4 100mgを加えそして5N NaOHで9〜10のpHを確立する。
第3ブチルメルカプタン4.31ml (38.6ミリモル)の添加後、混合物を室温で2
時間撹拌する。反応混合物を処理するために、酢酸エチル200mlおよび半飽和ク
エン酸溶液200mlを加え、混合物を振盪により抽出しそして有機相を水で洗浄し
、MgSO4で乾燥しそして真空中で濃縮する。
粗製収量12g。シリカゲル(CH2Cl2)約25g上で濾過しそしてヘキ
サンまたはペンタンとともに撹拌することにより抽出して、所望の生成物7.8g
(65%)を得た。
融点73〜75℃。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 263/16 9283−4C
263/22 9283−4C
277/14 9283−4C
277/16 9283−4C
C07M 7:00
(72)発明者 ベツク,ゲールハルト
ドイツ連邦共和国デー―60320 フランク
フルト・アム・マイン.グスタフ―フライ
ターク―シユトラーセ24