【発明の詳細な説明】
血清ピリジニウム架橋物アッセイ
1.発明の分野
本発明は、ヒトの血液流体サンプル中でペプチド遊離のピリジニウム架橋物(
pyridinium crosslinks)のレベルをアッセイすることにより、ヒト被験体の骨
コラーゲン分解を評価する方法に関する。
3.発明の背景
ヒトには、高レベルの骨吸収、および骨形成と骨吸収との間のバランス異常を
特徴とする様々な症状がある。これらのうちより一般的な症状の中には、骨粗鬆
症、パジェット病、および、良性と悪性の骨腫瘍の進行および、例えば、前立腺
または胸部の初期腫瘍から骨細胞へ移行した転移性癌の進行に関連する症状があ
る。コラーゲン代謝の変化に関連する他の症状としては、骨軟化症、くる病、子
供の成長異常、腎性骨形成異常症、および薬剤誘導性骨減少症が挙げられる。骨
代謝の不規則性は、しばしば、甲状腺治療の副作用から生じたり、そして原発性
甲状腺機能低下症および甲状腺中毒ならびにクッシング病のような甲状腺状態そ
れ自体から生じたりする。
骨吸収障害または骨形成と骨吸収との間のバランス異常を特徴とする他の症状
は、尿中のピリジニウム架橋物のレベルの変化により検出され得ることが認識さ
れている(Robins,1982b;Macek;Black)。架橋物は、その中心に3-ヒドロキ
シピリジニウム環を有する化合物の形を取っている。3-ヒドロキシピリジニウム
環中の環内窒素は、リジンまたはヒドロキシリジンのε-アミノ基に由来する(F
ujimoto,1978;Robins,1982a;Gunja-Smith;Ogawa;Eyre)。
尿中に見出されるピリジニウム架橋化合物は、4つの一般的なクラスに分類さ
れる:(1)約400ダルトンの分子量を有す天然型遊離架橋物(Fujimoto)、(2
)約550ダルトンと1,000ダルトンとの間の分子量を有すグリコシル化架橋物およ
び架橋物ペプチド形(Robins,1983)、(3)1,000ダルトンと3,500ダルトンと
の間の分子量を有する架橋物ペプチド形(Robins,1983,1984,1987;Henkel;
Eyre)、および(4)3,500ダルトンより大きい分子量を有する架橋物ペプチド形
。正常な成人において、これらの形は、尿の全架橋物の約38%(1)、40%(2)
、15%(3)、および7%(4)の割合を占める(Daniloff)。正常な成人の尿に
おいて、遊離の架橋物の約80%はピリジノリン(またはPyd)であり、その環内
窒素はヒドロキシリジン残基に由来している。
そして遊離の架橋物の約20%は、デオキシピリジノリン(またはDpd)であり、
その環内窒素はリジン残基に由来している。このPyd/Dpdの割合は、尿中の架橋
物のうち他の3つのクラスに大体当てはまる。より大きな分子量の架橋物は、酸
加水分解により遊離の架橋物に変換され得る(Fujimoto,1978)。
尿中のピリジニウム架橋物の測定方法が提案された。これらの方法のうちの1
つは、HPLCにより分離される加水分解されたPydのピークを定量することにより
、加水分解された全Pyd、すなわち、尿中の架橋物の広範な加水分解により生成
されるPydを測定することを含む(Fujimoto,1983)。加水分解された全Pydと年
齢との間の関係は、加水分解された全Pyd/クレアチニンの比として、これらの研
究者により決定された。そこでは、クレアチンレベルは、尿の濃度および骨格量
に対する架橋物のレベルを標準化するのに用いられる。この比率は子供の尿では
高く、そして成人期を通して相対的に一定であり、老齢期ではわずかに増加する
。このことは、老齢期において観察される骨量の損失に対応すると推測される。
慢性関節リウマチの患者の加水分解された尿中の全架橋物のレベルの上昇に関
する研究は、この疾患の診断方法として示唆された(Black,1989)。慢性関節
リウマチの患者の加水分解された全架橋物のレベル(クレアチニンに対する、HP
LCにより測定された全架橋物の比として表される)は、コントロールと比較して
、第5因子により上昇した。しかし、加水分解された全Dpdではなく、加水分解
された全Pydのみが、測定可能
な増加を示した。
加水分解された尿を用いたより広範な研究において、Seibelらは、排泄物にお
いて、慢性関節リウマチおよび変形性関節症の両方におけるコントロールに対し
て、骨特異性の加水分解された全Pydおよび全Dpdの架橋物の顕著な増加を示した
。加水分解された全Pydの最も顕著な増加は、慢性関節リウマチの患者に見られ
た(Seibel)。
加水分解されたサンプルから架橋物をHPLC定量することを包含するアッセイ法
(ここで示したアッセイ法のような)は、実施するのに比較的時間と費用がかか
り、そして骨代謝障害の治療の広範囲なスクリーニングまたはモニタリングに対
しては実用的ではない。
イムノアッセイはまた、尿の架橋物の測定に対して提案される。米国特許第4,
973,666号および同第5,140,103号は、骨コラーゲンに関連する特定のペプチド連
結ピリジニウム種を尿中に検出することによって、骨吸収を測定するアッセイを
開示している。これらは、パジェット病、すなわち高い割合で骨の形成および破
壊が起こることが知られている病気にかかっている患者の尿から得られる。この
アッセイは、特異的なペプチド断片または伸長部を含む架橋化合物と、架橋物ペ
プチドに対して調製された抗体との免疫特異的結合に依存する。アッセイされる
架橋物ペプチドの濃度が尿の全架橋物に関係しているのかどうか、そしてどのよ
うに関係しているのかは、明らかでない。
Robinsは、加水分解されたPydに特異的な抗体を使用することによって、尿中
のピリジノリンを測定する技術を記載した(Robins,1986)。この方法は、抗体
が、Pydの加水分解された形に特異的であることが見出されたという限界を有し
、試験される尿サンプルが加水分解条件下で最初に処理されることを必要とする
。加水分解処理は、アッセイの時間および費用を増加させ、そして他の天然型ピ
リジニウム架橋物の測定を予め除外する。
PCT国際公開第W0 91/10141号は、加水分解されていない尿サンプル中の天然型
でペプチド遊離のピリジノリンまたはデオキシピリジノリンのレベルを測定する
ことによって、ヒト被験体における骨コラーゲン分解を評価する方法を開示して
いる。この方法は、尿サンプルの分析に基づく初期の方法より改良されている。
なぜなら、この方法は、以前用いられていた加水分解によるサンプルの前処理を
省いているからである。
血液流体サンプル中のピリジニウム架橋物種のレベルを測定することによって
、ヒト被験体における骨コラーゲン分解のレベルをアッセイすることが望ましい
。このようなアッセイは、種々の血清分析物をアッセイするように設計された自
動臨床分析システムに統合され得る。この方法はまた、例えば、デオキシピリジ
ノリン/クレアチニンの比を決定することによって、サンプル容量の変化に対し
て、測定されたレベルを補正する必要がないという利点を有する。
4.発明の要旨
本発明は、1つの局面において、ヒト被験体における骨吸収障害の存在をスク
リーニングする方法を包含する。この方法では、血液流体サンプルを被験体から
得、そして抗体と反応させて、抗体とサンプル中のこのようなピリジニウム架橋
物との間で免疫複合体を形成する。この抗体は、天然型遊離ピリジノリン、天然
型遊離デオキシピリジノリン、または天然型遊離のピリジノリンおよびデオキシ
ピリジノリンの両方からなる群から選択されるピリジニウム架橋物と免疫特異的
に反応可能である。形成された免疫複合体の量を測定して、サンプル中の選択さ
れたピリジニウム架橋物の濃度を決定した。決定された濃度が、(i)5nMの天然
型遊離ピリジノリン、(ii)1nMの天然型遊離デオキシピリジノリン、または(i
i)6nMの天然型遊離のピリジノリンとデオキシピリジノリンとの複合物、より上
である場合、被験体は、このような骨吸収障害を有することを示す。血液流体サ
ンプルは、例えば、血清または血漿であり得る。
この方法によりスクリーニングされる骨吸収障害は、尿中の加水分解されたピ
リジノリン架橋物のレベルの上昇を特徴とする障害を包含する。
この方法における抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であ
り得、そして好ましくは選択されたピリジニウム架橋物に関して少なくとも5×1
07/Mの結合定数を有
する。
1つの実施態様では、この方法において用いられる抗体は、選択されたピリジ
ニウム架橋物と、分子量が1,000ダルトンより大きい尿のピリジニウムペプチド
とに対して、約5:1より大きい反応比を有する。関連する実施態様では、抗体は
、選択されたピリジニウム架橋物と、分子量が1,000ダルトンより大きい尿のピ
リジニウムペプチドとに対して、約10:1より大きい、そしてより好ましくは20:1
より大きい反応比を有する。
特定の実施態様では、抗体は、天然型遊離ピリジノリンに特異的であり、そし
て天然型遊離ピリジノリンと天然型遊離デオキシピリジノリンとに対して、約5:
1より大きい反応比を有する。第二の実施態様では、モノクローナル抗体は、天
然型遊離デオキシピリジノリンに特異的であり、そして天然型遊離デオキシピリ
ジノリンと天然型遊離ピリジノリンとに対して、約25:1より大きい反応比を有
する。別の実施態様では、モノクローナル抗体は、天然型遊離ピリジノリンおよ
び天然型遊離デオキシピリジノリンの両方に特異的であり、そして天然型遊離ピ
リジノリンと天然型遊離デオキシピリジノリンとに対して、約2:1と1:2との間の
反応比を有する。
さらに一般的には、天然型遊離ピリジノリンと天然型遊離デオキシピリジノリ
ンとに対する反応比は、5:1より大きく、1:25より小さく、この間の全ての比率
を含んでいる。
1つの好ましい実施態様では、サンプルは、抗体の存在下で、選択されたピリ
ジニウム架橋物でコーティングされた固
体支持体と接触し、この固体支持体は、抗体に結合するためのサンプル中のこの
ような選択された架橋物と競合させるのに効果的である。抗体とサンプル中の選
択されたピリジニウム架橋物との間で形成された免疫複合体の量は、固体支持体
に結合した抗体の量を測定することにより、間接的に測定される。
別の好ましい実施態様では、サンプルは、外因性のリポーター標識された、ま
たはリポーター標識可能な選択されたピリジニウム架橋物の存在下で、選択され
た量のピリジニウム架橋物でコーティングされた固相支持体と接触する。これは
、サンプルからの選択されたピリジニウム架橋物が、支持体上に固定された抗体
に結合するために、外因性の架橋物と競合する条件下で行われる。
この方法は、コラーゲン分解のレベルの上昇に関連する症状の治療をモニタリ
ングするために用いられる。これは、このような治療の間、選択されたピリジニ
ウム架橋物の濃度の変化をモニタリングすることにより行われる。
関連する局面では、本発明は、骨吸収速度に異常を有する転移性症状へと進行
する可能性を含む、または有するヒト癌の状態をモニタリングする方法を包含す
る。この方法では、血液流体サンプルを被験体から得、そして天然型遊離ピリジ
ノリン、天然型遊離デオキシピリジノリン、または天然型遊離のピリジノリンお
よびデオキシピリジノリンの両方からなる群から選択されるピリジニウム架橋物
と免疫特異的に反応
し得る抗体を反応して、抗体とサンプル中のこのようなピリジニウム架橋物との
間で免疫複合体を形成する。形成される免疫複合体の量を測定して、サンプル中
の選択されたピリジニウム架橋物の濃度を決定する。決定されたピリジニウム架
橋物の濃度が、(i)5nMの天然型遊離ピリジノリン、(ii)1nMの遊離デオキシ
ピリジノリン、および(ii)6nMのピリジノリンとデキソイピリジノリンの複合
物、より上である場合、癌に関連する骨吸収速度の異常性(骨における転移の可
能性を示唆している)が示される。
この方法は、癌の治療の間、選択されたピリジニウム架橋物の濃度の変化をモ
ニタリングすることによって、コラーゲン分解を起こすことを特徴とする癌の治
療をモニタリングするために用いられ得る。
別の局面では、本発明は、ヒト被験体における骨コラーゲン分解のレベルをア
ッセイする方法を包含する。この方法では、血液流体サンプルを被験体から得、
そして天然型遊離ピリジノリン、天然型遊離デオキシピリジノリン、または天然
型遊離のピリジノリンおよびデオキシピリジノリンの両方からなる群から選択さ
れるピリジニウム架橋物と免疫特異的に反応し得る抗体と反応させ、そしてここ
で抗体は、上記の選択された架橋物に対して少なくとも108/Mの結合定数を有し
、その結果、抗体とサンプル中のこのようなピリジニウム架橋物との間で免疫複
合体を形成する。形成された免疫複合体の量を測定して、サンプル中の選択され
たピリジニウム架橋物
の濃度を決定する。決定された濃度が、(i)5nMの天然型遊離ピリジノリン、(
ii)1nMの天然型遊離デオキシピリジノリン、または(ii)6nMの天然型遊離のピ
リジノリンとデオキシピリジノリンとの複合物、より上である場合、被験体は、
このような骨吸収障害を有することが示される。
上記の方法について、低い閾値が、骨分解のレベルの上昇が見られる個体を同
定する可能性を増大させるために用いら得ることが認められる--例えば、天然型
遊離ピリジノリンを検出するためには、約3nMの値;天然型遊離デオキシピリジ
ノリンを検出するためには、約0.5nMの値、そして天然型遊離のピリジノリンお
よびデオキシピリジノリンの複合濃度を検出するためには、約3.5nMの値が用い
られ得る。
別の実施態様では、本発明は、上記の選択されたピリジウム架橋物に関する少
なくとも108/Mの親和定数を有する抗体を包含する。1つの実施態様では、抗体
は、選択されたピリジニウム架橋物と、分子量が1,000ダルトンより大きい尿の
ピリジニウムペプチドとに対して、約3:1より大きい、そして好ましくは約5:1
より大きい反応比を有する。
別の局面では、本発明は、上記の方法に用いられる診断キットを包含する。こ
の方法は、上記のような抗体と、血液流体サンプルからの選択されたピリジニウ
ム架橋物と抗体との反応により形成される免疫複合体の量を検出するための検出
手段とを包含する。
天然型遊離ピリジノリンを検出するためには、この方法に
用いられるキットは、好ましくは、少なくとも約1nM、より好ましくは少なくと
も0.5nMの血中ピリジノリン濃度(「閾値濃度」)を検出するために効果的であ
る。天然型遊離デオキシピリジノリンを検出するためには、キットは、好ましく
は、少なくとも約0.1nM、より好ましくは少なくとも約0.05nMの血中デオキシピ
リジノリン濃度を検出するために効果的である。ピリジノリンとデオキシピリジ
ノリンとの複合濃度を検出するためには、閾値濃度は、好ましくは1.1nM、より
好ましくは0.6nMである。
1つの実施態様では、このキットの検出感度は、選択された範囲で選択された
ピリジニウム架橋物の濃度の検出を可能にする。その範囲は、例えば、ピリジノ
リンに対して1〜10nM、またはデオキシピリジノリンに対して0.1〜10nMである。
以下の発明の詳細な説明を添付の図と共に読むと、本発明のこれらおよび他の
目的および特徴は、さらに十分に明らかになる。
図面の簡単な説明
図1A〜1Cは、本発明の1つの実施態様を実施する工程を示す;
図2は、血液流体サンプル中のピリジノリン(N-Pyd)を検出するのに適した
抗体の滴定曲線である;
図3は、血液流体サンプル中のデオキシピリジノリン(N-Dpd)を検出するの
に適した抗体の滴定曲線である;
図4は、正常な被験体(コントロール)(第1欄)、原発性上皮小体機能亢進
の患者(第2欄)、骨軟化症の患者(第3欄)、カルシウム代謝障害の患者(第
4欄)、および骨粗鬆症の患者(第5欄)からの血清サンプル中で測定されたN-
Dpdの濃度を示す;
図5は、コントロールの健康な患者および癌患者において、本発明に従って測
定された血清Pydの濃度を示す。
発明の詳細な説明
1.定義
本明細書中で使用される以下の用語は、次の定義を有する:
「Pyd」または「ピリジノリン」または「遊離ピリジノリン」は、以下のIで
示される架橋物化合物を示し、ここで、環内のNは、ヒドロキシリジル残基のε
アミノ基に由来し、そして「Dpd」または「デオキシピリジノリン」または「遊
離デオキシピリジノリン」は、以下のIIで示される架橋物化合物を示し、ここで
、環内の窒素は、リジル残基のεアミノ基に由来する。
「遊離架橋物」は、化合物IまたはIIあるいは両者の混合物のいずれかを示し
、すなわち、これらは、ペプチドまたはグリコシル基が全く結合していない。
「グリコシル化ピリジノリン」または「glyco-Pyd」は、化合物Iのグリコシル
化体を示し、ここで、グリコシル基は、Pydの脂肪族ヒドロキシル基に共有結合
する。同定された2つのglyco-Pyd架橋物は、Gal-PydおよびGlc・Gal-Pydであり
、これらは、それぞれ、以下のIIIおよびIVで示されるアセタールを含む。
「Pyd-ペプチド」または「ピリジノリン−ペプチド」は、化合物Iのペプチド
誘導形を示し、ここで、この化合物の3つのアミノ酸残基の1つまたはそれ以上
が、ペプチド結合を介して、さらなるアミノ酸残基に結合している。同様に、「
Dpd-ペプチド」または「デオキシピリジノリン−ペプチド」は、化合物IIのペプ
チド誘導形を示し、ここで、この化合物の3つのアミノ酸残基の1つまたはそれ
以上が、ペプチド結合を介して、さらなるアミノ酸残基に結合している。
「ピリジニウム−ペプチド」は、Pyd-ペプチドおよびDpd-ペプチドの混合物を
示す。
「1000ダルトンより大きい分子量を有するPyd-ペプチド」または「Pyd-ペプチ
ド(MW>1000)」は、1,000の分子量にカットオフされた透析膜により保持され
るPyd-ペプチドを示す。
「Pyd架橋物」は、遊離形またはペプチド-誘導形のいずれかの化合物Iを含む
ピリジニウム架橋物を示す。Pyd架橋物は、Pyd、glyco-PydおよびPyd-ペプチド
を包含する。同様に、「Dpd架橋物」は、遊離形またはペプチド-誘導形のいずれ
かの化合物IIを含むピリジニウム架橋物を示す。「Dpd架橋物」には、Dpdおよび
Dpd-ペプチドを包含する。
「ピリジニウム架橋物」は、遊離形および/またはペプチド結合形の化合物Iお
よび/またはIIを含むピリジニウム架橋物を示す。
「全Pyd」あるいは「T-Pyd」は、Pydに対するPyd架橋物を加水分解することに
より生成される加水分解された全Pydを示す。同様に、「全Dpd」あるいは「T-Dp
d」は、Dpdに対するDpd架橋物を加水分解することにより生成される加水分解さ
れた全Dpdを示す。
「加水分解されたPyd」あるいは「H-Pyd」は、6NのHCl中にて110℃で16時間Py
d架橋物を加水分解することにより生成されるPydを示す。同様に、「加水分解さ
れたDpd」あるいは「H-Dpd」は、6NのHCl中にて110℃で16時間Dpd架橋物を加水
分解することにより生成されるDpdを示す。
「天然型Pyd」あるいは「N-Pyd」は、加水分解の条件を受けていないPydを示
す。同様に、「天然型Dpd」あるいは「N-Dpd」は、加水分解の条件を受けていな
いDpdを示す。
「天然型遊離」あるいは「天然型ペプチド遊離」は、上記で示される構造Iま
たはII(あるいは両方)を有し、加水分解の条件を受けていないピリジニウム化
合物を示す。
「血液流体」は、血液から得られる無細胞の液体およびその画分、例えば、血
清あるいは血漿を示す。
「検出限界」は、ネガティブのサンプル(すなわち、選択されたピリジニウム
架橋物を欠いているサンプル)と判別可能である選択されたピリジニウム架橋物
の濃度を示す。さらに詳細には、検出限界は、ネガティブのサンプルで見られる
シグナルと、少なくとも2標準偏差だけ異なるシグナルを生じる選択されたピリ
ジニウム架橋物の選択された濃度である。従って、約0.05nMの天然型遊離デオキ
シピリジノリンの検出限界は、少なくとも0.05nMの天然型遊離デオキシピリジノ
リンの濃度を検出する能力を意味する。実際の検出限界は、規定の限界より低い
。例えば、本実施例において、0.05nMの規定の検出限界のアッセイは、0.02nMの
実際の検出限界を有し得る。
「検出感度」は、特定のアッセイの手順により確実に測定され得る分析物の濃
度の範囲を示す。従って、0.1〜10nMの範囲で天然型遊離ピリジノリンの濃度を
検出し得る検出感度は、アッセイの手順が、0.1nMの分析物の濃度を検出し得、
そして
0.1〜10nMの範囲で分析物の濃度の差を検出し得ることを意味する。このアッセ
イの実際の検出範囲は、規定の範囲より広い。例えば、本実施例において、0.1
〜10nMの範囲での検出感度を有すアッセイ法は、0.05〜20nMの範囲で分析物の濃
度を検出し、そして判別し得る。
II.抗体試薬の調製
このセクションでは、選択された天然型遊離ピリジニウム架橋物(N-Pyd、N-D
pdのいずれか、または両方)に特異的であるモノクローナルおよびポリクローナ
ル抗体(「抗体試薬」)の生産を述べる。1つの実施態様では、抗体は、選択さ
れた天然型遊離ピリジニウム架橋物と、分子量が1,000ダルトンより大きい尿の
ピリジニウムペプチドとに対して、約3:1より大きい、そして好ましくは約5:1よ
り大きい反応比を有する。
この抗体が天然型遊離ピリジノリンを結合するためのものである特定の実施態
様では、抗体は、好ましくは、天然型遊離ピリジノリンと天然型遊離デオキシピ
リジノリンとに対して、約5:1より大きい、好ましくは約20:1より大きい、そし
てより好ましくは約100:1より大きい反応比を有する。
この抗体が天然型遊離デオキシピリジノリンを結合するためのものである別の
特定の実施態様では、抗体は、好ましくは、天然型遊離デオキシピリジノリンと
天然型遊離ピリジノリンとに対して、約5:1より大きい、好ましくは約25:1より
大きい、そしてより好ましくは約100:1より大きい反応比を有す
る。
この抗体が天然型遊離ピリジノリンおよび天然型遊離デオキシピリジノリンの
両方を結合するためのものである第三の特定の実施態様では、抗体は、好ましく
は、天然型遊離ピリジノリンと天然型遊離デオキシピリジノリンとに対して、約
2:1と1:2との間の反応比を有する。
本発明の抗体試薬は、好ましくは、選択されたピリジニウム種(N-PydまたはN
-Dpd)に対する約5×107/Mより大きい結合親和定数を有する。
A.免疫原
抗体試薬の生産に用いられる免疫原は、担体分子、すなわち典型的には、キー
ホールリンペットヘモシアニン(KLH)のような担体タンパク質と結合したDpdま
たはPydである。
Pydは、天然型Pyd(N-Pyd)または加水分解されたPyd(H-Pyd)であり得る。
同様に、Dpdは、天然型Dpd(N-Dpd)または加水分解されたDpd(H-Dpd)であり
得る。N-DpdまたはN-Pydを得るためには、尿中の他のピリジニウム化合物からの
N-DpdまたはN-Pydの粗分離は、実施例2に記載されるように、尿の分画により行
われ得る。簡単に言えば、尿の濃縮物をSephadex G-10カラムにかけ、そして全
ピリジニウムを含有する画分を溶出する。次いで、溶出液を、クエン酸ナトリウ
ムで平衡化したホスホセルロースのカラムにかけ、そして塩で溶出させて単一ピ
ークの遊離架橋物を得る。このサンプルは、加水分解の
条件を受けていないので、ピークは、N-DpdおよびN-Pydの形態(「遊離架橋物」
)だけでなく、上記のGal-PydおよびGlc-Gal-Pydを包含するglyco-Pydも含む。
次いで、さらなる精製は、標準的な方法、例えば、スルホン化ポリスチレンビー
ズ上でのイオン交換またはHPLCを用いることによって都合良く行われる。この分
離のための典型的なプロトコルは、例えば、Blackら、1988、Seibelら、1989に
見られ、そして実施例2において詳述されている。
あるいは、例えば、Blackら、1988に記載のように、加水分解されたPydまたは
Dpdは、骨コラーゲンまたは尿中のピリジニウム架橋物の酸加水分解により生成
され、精製される。
PydまたはDpdの担体タンパク質へのカップリングは、典型的には、二官能性カ
ップリング剤を用いて、標準的なカップリング法により行われる。この二官能性
のカップリング剤は、標準的な方法に従って、一方のカップリング末端にてPyd
またはDpdの遊離カルボキシル基の1つとアミド結合を形成し、他方のカップリ
ング末端にて担体タンパク質とアミド結合またはエステル結合またはジスルフィ
ド結合を形成する。
あるいは、好ましい実施態様では、PydまたはDpdは、例えば、EDC(1-(3-ジ
メチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド)のような水溶性カルボキシ
ル活性化剤の存在下で、さらに公知の方法に従って、タンパク質に直接カップリ
ングされ得る。後者の方法は実施例3において説明され、この実施例3は、EDC
活性化によるキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)へのDpdのカップリングを記載している。担体タンパク質をペプチド抗原
で誘導するための一般的なカップリング反応は、Harlow(1988)、pp.77-87、
およびWong(1991)に示される。
B.モノクローナル抗体試薬
モノクローナル抗体試薬を調製するために、上記の免疫原が、マウスのような
動物を免疫化するために用いられる。抗原特異的リンパ球が不朽化のためにその
動物から得られ得る。適切と認められたある種の動物は、Jackson Laboratory(
Bar Harbor,MN)から入手可能な「自己免疫」MRL/MpJ-lprマウスである。
N-Pydに特異的な抗体が望まれるところに、Pyd免疫原が典型的に用いられる。
同様に、N-Dpdに特異的な抗体が望まれるところに、Dpd免疫原が典型的に用いら
れる。PydおよびDpdの両方を認識する抗体は、Pyd免疫原またはDpd免疫原を用い
て得られ得る。
B.1 N-Pydモノクローナル抗体。N-Pydに特異的なモノクローナル抗体試薬
を生産するために、実施例4で概説されるように、マウスは、H-Pyd-KLH免疫原
の一連の注射を用いて免疫化され得る。初期免疫化して約8週間後、脾臓細胞が
採取され、そしてP3X63Ag8.653ミエローマ細胞系と融合される。うまくいった融
合産物の選択は、公表された方法(一般的に、
Harlow,pp.196-212を参照のこと)により、調整されたS-DMEM培地中のHATにお
いて行われ得る。次いで、うまくいった融合産物は、実施例8に記載のイムノア
ッセイ形式と同様の競合性イムノアッセイ形式を用いて、N-Pydとの免疫反応性
についてスクリーニングされる。N-Pydとの高い結合親和性を示す細胞系は、限
界希釈によりサブクローニングされ、そしてN-Pydに対して高い結合親和性を有
する抗体の産生に対してさらにスクリーニングされる。上記の手順により得られ
、そしてN-Pydに対して高い抗体親和性を有するサブクローニングされたある種
の細胞系は、本明細書中では、Mab-XXV-3G6-3B11-1A10と名付けられた。この細
胞系のサンプルは、American Type Culture Collection)12301 Parklawn Dr.、
Rockville MD 20852)に寄託され、そしてATCC番号HB11089として受託された。
抗体試薬を生産するために、ハイブリドーマ細胞系は、以下の材料および方法
のセクションに記載されるように追加されたDulbecco改変Eagle培地(DMEM)の
ような適切な培地(Harlow,pp.247-270)中で増殖させられる。モノクローナ
ル抗体(「Mabs」)は、公表された方法(Harlow pp.271-318)により、培地か
ら採取され、濃縮され、そして保存され得る。
上記のように、本発明の重要な特徴は、尿中のより大きな分子量のピリジニウ
ム架橋物に比較してのN-DpdおよびN-Pydの抗体試薬の特異性である。N-Pyd、N-D
pd、および他の尿のピリジニウム架橋物の抗体試薬の相対的特異性が、実施例10
に詳述されるように、N-Pydに対する競合性結合アッセイにより決定され得る。
簡単に言えば、種々の精製された架橋物サンプル(N-PydおよびN-Dpd、ならび
に等モル(各150μM)の20種の一般アミノ酸を含有するアミノ酸混合物を含む)
は、N-Pydを結合している固相支持体上で抗体試薬の限定量と反応する。この反
応は、サンプル中のピリジニウム架橋物が、抗体と結合するために、支持体に結
合したN-Pydと競合する条件下で行なわれる。固体支持体への抗体の結合程度は
、抗体試薬に対するサンプルの架橋物の相対的反応性の評価基準を提供する。
実施例10で概説される手順に従って、N-Pyd,N-Dpd、Pydペプチド(MW>1,000
)、およびアミノ酸混合物(20種の一般アミノ酸の各150μM)と、細胞系Pyd XX
V-3G6-3B11-1A10からのモノクローナル抗体との結合レベルが試験された。各サ
ンプルの見かけのPyd濃度が、精製されたN-Pydを用いて作成した検量線を用いて
決定された。各サンプルの反応性%は、全H-PydについてHPLCにより決定された
サンプル中の全Pyd架橋物濃度に対しての(×100)、あるいはN-Dpdサンプルの
場合には、全H-DpdについてHPLCにより決定された全Dpd架橋物濃度に対しての(
×100)、見かけの濃度(上記のN-Pyd検量線を用いて測定される)の比として計
算された。結果を表1に示し、ここで、N-Pydとの反応性を100%と定義した。
示されるように、モノクローナル抗体試薬は、N-Dpdに比較してN-Pydに対する
高い選択性を有し、天然型遊離ピリジノリンと天然型遊離デオキシピリジノリン
とに対して、約3:1より大きい、そしてこの場合には5:1より大きい反応比を示す
。この試薬はまた、試験されたピリジニウム-ペプチド形(全Pyd含有量を定量す
る)よりもN-Pydに対して選択的であり、分子量が1,000ダルトンより大きいピリ
ジノリンペプチドに対して、約100:1より大きい反応比を示す。さらに、この試
薬は、試験されたアミノ酸混合物と最小の交差反応性(<1%)を示す。
さらに一般的には、N-Pydに対して特異的なMab試薬は、天然型遊離ピリジノリ
ン(N-Pyd)とPyd-ペプチド(MW>1000)とに対して、上記のアッセイにより測
定されるように、5:1より大きい、好ましくは10:1より大きい、より好ましくは2
5:1より大きい、そしてこの場合には、100:1より大きい反応性を有する。
B.2 N-Dpdモノクローナル抗体。N-Dpdに対して特異的な
モノクローナル抗体試薬を生産するために、N-Pyd Mabを得る上記の手順が用い
られ得(但し、Dpd-KLHを免疫原として用いることを除く)、そして免疫応答ス
クリーニングがN-Dpdに対するアッセイで行われる。この手順により1つのサブ
クローニングした細胞系を得、そしてN-Dpdに対して高い抗体親和性を与えるこ
の細胞系は、本明細書中でMab-Dpd-II-7B6-1F4-1H11と呼ばれる(実施例5を参
照のこと)。
抗体試薬は、N-Pyd Mabに関する上記と同様の一般的な手順により、ハイブリ
ドーマ細胞系から調整され、そして保存される。
N-Dpd、N-Pyd、および他の尿のピリジニウム架橋物に対する抗体試薬の相対的
な特異性は、上記の方法(セクションB.1)により決定され得るが、しかしN-D
pdを結合させた固相支持体を用いる。
実施例10で概説した手順に従って、N-Dpd、N-Pyd、Dpdペプチド(MW>1,000)
、およびアミノ酸混合物(20種の一般アミノ酸の各150μM)のモノクローナル抗
体(細胞系Mab-Dpd-II-7B6-1F4-1H11由来)への結合レベルを試験した。各サン
プルの見かけのDpd濃度が、精製されN-Dpdを用いて作成した検量線を用いて決定
された。各サンプルの反応性%は、全H-DpdについてHPLCにより決定されたサン
プル中の全Dpd架橋物濃度に対しての(×100)、あるいはN-Pydサンプルの場合
には、全H-PydについてHPLCにより決定された全Pyd架橋物濃度に対しての(×10
0)、見かけのN-Dpd濃度(上記のN-Dpd検量線を用いて測定さ
れる)の比として計算された。結果を表2に示し、ここで、N-Dpdの反応性を100
%と定義した。
示されるように、モノクローナル抗体試薬は、N-Pydに比較してN-Dpdに対する
高い選択性を有し、天然型遊離デオキシピリジノリンと天然型遊離ピリジノリン
とに対して、約100:1より大きい反応比を示す。この試薬はまた、試験されたピ
リジニウム-ペプチド形(Dpd含有量を定量する)よりもN-Dpdに対して選択的で
あり、分子量が1,000ダルトンより大きいデオキシピリジノリンペプチドに対し
て、約3:1より大きい、そして好ましくは約5:1より大きい反応比を示す。さらに
、試薬は、試験されたアミノ酸混合物と最小の交差反応(<1%)を示す。
さらに一般的に、Dpdに対して特異的なMab試薬は、天然ピリジノリン(N-Dpd
)およびDpdペプチド(MW>1000)に対して、上記のアッセイにより測定された
ように、約5:1より大きい、好ましくは10:1より大きい、さらに好ましくは25:1
より大きい、そしてこの場合では、100:1より大きい反応性を有する。
B.3 ほぼ同等の親和性を有するN-PydおよびN-Dpdを結合させるモノクロー ナル抗体
。ほぼ同等の親和性を有するN-PydおよびN-Dpdを結合させるモノクロー
ナル抗体試薬を生産するために、N-Pyd MabおよびN-Dpd Mabを得る上記の手順が
用いられ得る。免疫原は、Pyd-KLHまたはDpd-KLHであり得、そして免疫応答スク
リーニングがN-PydおよびN-Dpdに対する別々のアッセイで行われる。上記手順に
より、H-Dpd-KLHを免疫原として用いて、1つのサブクローニングされた細胞系
を得、そしてN-DpdおよびN-Pydの両方に対して高い抗体親和性を与えるこの細胞
系は、本明細書中でMab Pyd/Dpd-V-6H2-2H4-1E4と呼ばれる(実施例6を参照の
こと)。
抗体試薬は、N-Pyd Mabに関する上記と同様の一般的な手順により、ハイブリ
ドーマ細胞系から調整され、そして保存される。
N-Dpd、N-Pyd、および他の尿のピリジニウム架橋物に対する抗体試薬の相対的
な特異性は、上記の手順(セクションB.1およびB.2)により決定され得る。
この場合では、Pyd/Dpd-V-6H2-2H4-1E4細胞系を用いて生産される抗体について
、各サンプルの反応性%は、全H-DpdについてHPLCにより決定されたサンプル中
の全Dpd架橋物濃度に対しての(×100)、あるいはN-Pydサンプルの場合には、
全H-PydについてHPLCにより決定された全Pyd架橋物濃度に対しての(×100)、
見かけのN-Dpd濃度(上記のN-Dpd検量線を用いて測定される)の比として計算さ
れた。結果を表3に示し、ここで、N-Dpdの反応性を100%と
定義した。
示されるように、モノクローナル抗体試薬は、1:1に近い交差反応比で、ほぽ
同等の親和性を有するN-DpdおよびN-Pydを認識する。この試薬はまた、試験され
たピリジニウム-ペプチド形(PydおよびDpdペプチドの両方)よりもN-Dpdに対し
て選択的であり、分子量が1,000ダルトンより大きいピリジニウムペプチドに対
して、約3:1より大きい、そしてこの場合では、9:1より大きい反応比を示す。さ
らに、試薬は、試験されたアミノ酸混合物と最小の交差反応性(5%)を示す。
さらに一般的に、Pyd/Dpd特異性Mab試薬は、天然型遊離ピリジノリン(N-Pyd
)および天然型遊離デオキシピリジノリン(N-Dpd)に対して、約2:1および1:2
の間の反応性を有する。
C.ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体の調製は従来技術により行われ、その
従来技術は、当該技術分野で公知の免疫学的プロトコル、例えば、Harlow、pp.
93-115に従って、ウサギまたはマウスのような適切な哺乳動物の被験体に免疫原
を注射することを包含する。典型的には、ウサギにアジュバントに入れた免疫原
を皮下注射し、そしてブースター免疫を2〜3週間毎に皮下または筋内注射によ
り行う;マウスには同様のスケジュールに従って腹腔内注射し得る。血液は、時
々、例えば各免疫化注射の1〜2週間後に採取される。抗血清を滴定し、標準免
疫沈降法(Harlow,pp.423-470)により、N-PydまたはN-Dpdに関して抗体形成
を決定し得る。ウサギにおけるポリクローナル抗体を生産するための1つの方法
を、実施例11で詳細に述べる。
ポリクローナル抗血清に対する結合親和性定数を公知の方法(例えば、免疫沈
降法またはELISAアッセイを用いたスキャッチャード(Scatchard)分析による;
Campbell,Segelを参照のこと)により決定し得、そして選択されたピリジニウ
ム種に対して特異的な抗血清中の抗体の結合親和性定数の平均を示す。ウサギVI
-8から得たポリクローナル抗体は、スキャッチャード分析により決定したように
、約1×108のN-Pydに対する結合定数を有する。
選択されたピリジニウム種および他のピリジニウム架橋物に対する抗体試薬の
相対的な結合特異性は、上記および実施例14に詳述するように、競合性結合アッ
セイにより決定され得る。表4は、ウサギVI-8から得た抗Pyd抗血清の相対的な
結
合特異性を示し、ここで、N-Pydとの反応性を100%と定義する。
示されるように、抗体試薬は、N-Pydに対して特異的であり、N-Dpdとは10%未
満の交差反応性、Pydペプチド(MW>1000)とは5%未満の交差反応性、そしてア
ミノ酸混合物とは中程度(〜12%)の交差反応性であることを示す。本発明の1
つの局面に従って、ポリクローナル抗体試薬は、選択した天然型遊離ピリジニウ
ム種(N-Pyd、N-Pyd、または両方)および分子量が1,000ダルトンより大きい尿
のピリジニウムペプチドに対して、上記の抗原-競合アッセイにより測定される
ように、3:1より大きい、そして好ましくは約5:1より大きい反応性を有する。*
III.イムノアッセイキット
別の局面では、本発明は、ヒト被験体での骨コラーゲン分
解レベルのアッセイで使用するための診断キットを包含する。このキットは、上
記のセクションに記載したタイプの抗体試薬を含み、それは、天然型遊離デオキ
シピリジノリンに対して好ましくは約5×107/Mより大きい、そしてさらに好まし
くは8×108/Mより大きい結合定数を有する。このキットはまた、抗体試薬と選択
されたピリジニウム架橋物との反応により形成される免疫複合体の量を検出する
ための検出手段を含み、この検出手段は、血液流体サンプル中の選択された架橋
物のレベルの測定に効果的である。
説明の目的のために、サンプル中でのN-Pyd測定についてのこのようなキット
の特定の実施態様を図1A〜1C中の10で示す。キットの固相支持体12は、結合剤が
吸着され得るか、または化学的に結合され得る表面を有する。化学的に誘導可能
な基またはタンパク質吸着に効果のある表面を有する、種々のガラスおよびポリ
マー樹脂の支持体が利用可能である。1つの好ましい実施態様では、キットは、
96アッセイウェルのマイクロタイタープレートを提供し、そこでウェルの表面は
、キット中で固相支持体表面を形成する。
キット10中の結合剤は、N-Pydであり、図中ではPyd(N)分子により16で示さ
れる。この結合剤は、固相(この場合、96ウェルマイクロタイタープレートの各
ウェル)に、最初にブタ血清アルブミン-ビオチン複合体(図1A中の複合体18)
をウェル表面に吸着させ、そして次に、N-Pyd-ストレプトアビジン複合体(複合
体20)を吸着されたビオチンに結合させることにより、
結合される。
このキット中の抗体試薬は、図1Bおよび1C中の22で示され、そして上記セクシ
ョンに記載のポリクローナルまたはモノクローナル試薬を包含する。図1Bに示さ
れるとおり、サンプル中のピリジニウム架橋物(26で示されるN-Pyd架橋物)は
、抗体試薬と結合するための表面結合したN-Pydと競合する。抗体試薬とサンプ
ル架橋物との反応により形成される免疫複合体は、この図の28で示される。
このキット中の検出試薬(検出手段)は、リポーター標識二次抗体であり、図
1C中の24で示され、固体支持体に結合したN-Pydにそれ自身結合する抗体試薬と
の結合が効果的である。リポーター標識した抗体(酵素標識抗体のような)は、
市販されているか、またはすでに種々のリポーター部分について容易に構成され
る(Harlow,pp.319-358)。酵素標識した抗体での1つの好ましい酵素は、ア
ルカリホスファターゼであり、これは、p-ニトロフェニルホスフェート基質と反
応し、405nmで強い吸収ピークを有する有色の産物を生産し得る。
リポーター標識二次抗体は、典型的には、抗IgG抗体(抗ウサギIgG抗体または
抗マウスIgG抗体のような)である。抗ウサギIgG抗体では、キット中のポリクロ
ーナル抗体試薬が、免疫したウサギから得られる。抗マウスIgG抗体では、抗体
試薬がマウスモノクローナル抗体である。ここで、抗体試薬(上記のようにN-Py
dと免疫反応する)は、「リポーター標識可能」である。それは、抗体試薬がリ
ポーター標識二次抗体との反応に
より標識され得るためである。リポーター標識可能な抗体試薬の他の例は、ビオ
チンまたはストレプトアビジンで標識した抗体を包含し、それは検出目的のため
に、リポーター標識したストレプトアビジンまたはビオチン標識した相手と反応
し得る。
別の実施態様では、検出試薬は、酵素のようなリポーターで標識された抗Pyd
抗体試薬それ自身であり得る。
このキット中の検出手段はまた、リポーター標識抗体中のリポーターの検出の
ために必要とされる必要な基質などを含む。
別のキットの実施態様では、支持体に結合される結合剤は、セクションIIに記
載したような抗Pyd抗体試薬である。抗体は、種々の公知の方法により固体支持
体に結合され得る。これらの公知の方法は、標準的な方法に従って、化学的誘導
体化、または支持体結合プロテインAまたは抗IgG抗体による抗体の高親和性結
合を包含する。このキットは、デオキシピリジノリン試薬をさらに含み得、それ
は、支持体上の抗体試薬への結合について、サンプル中の天然型遊離デオキシピ
リジノリンとの競合に効果的である。検出目的のために、デオキシピリジノリン
試薬は、デオキシピリジノリンに共有結合したリポーター標識を含み得る(すな
わち、試薬は、リポーター標識デオキシピリジノリンであり得る)。この形式を
有する模範的なキットの調製および使用を実施例7〜9で説明する。
あるいは、デオキシピリジノリン試薬は、リポーター標識
可能であり、すなわちデオキシピリジノリン試薬は、例えば、対応するリポータ
ー標識ストレプトアビジンまたはビオチン分子による認識のために、ビオチンま
たはストレプトアビジンのような薬剤と複合体化したPydを包含する。
別の一般的な実施態様では、このキットは、サンプルのデオキシピリジノリン
が溶液中で直接的に検出され得るような均一のアッセイのために設計される。
本発明のキットが多くの他のアッセイ形式に適応され得ることは認識され得る
。他のアッセイは、例えば、放射性トレーサー、結合カップリング酵素、蛍光、
化学発光、またはEMIT配置(Gosling)に基づく形式を包含する。
従って、別の好ましい実施態様では、このキット中の検出手段は、放射活性リ
ポーター基を含み、これは抗体試薬と天然型遊離Pydとの反応により形成される
免疫複合体の量に比例して放射活性シグナルを生産するのに効果的である。
このキットは、N-Pydのアッセイに関して上記で説明しているが、このキット
が、N-Dpdに特異的な抗体試薬を用いてN-Dpdを測定するのに用いられるか、また
はほぼ同等の親和性を有するN-PydおよびN-Dpdを結合させる抗体試薬を用いてN-
PydおよびN-Dpdの合計を測定するのに用いられる場合に、同様の形式が用いられ
得ることが、認識され得る。
N-Pydの検出について、このキットは、1nMまたはそれ未満、好ましくは0.5nM
、そしてさらに好ましくは0.2nMのN-Pydについての検出限界を有する。図2は、
実施例13に記載したイム
ノアッセイ形式で行ったN-Pydの滴定曲線を示し、これは表4で特徴付けられた
ウサギVI-8から得たポリクローナル抗血清を用いた。この図からわかるように、
このキットは、約0.2nMの感度を提供し、一方で、10nMを越える範囲のN-Pydの信
頼性のある測定も提供する。
N-Dpdの検出について、このキットは、好ましくは0.1nMまたはそれ未満、好ま
しくは0.05nM、そしてさらに好ましくは0.02nMのN-Dpdについての検出限界を有
する。図3は、実施例9に記載したイムノアッセイ形式で行ったN-Dpdの滴定曲
線を示し、これは上記のハイブリドーマ細胞系13D4から得たモノクローナル抗体
を用いた。この図からわかるように、このキットは、約0.02〜0.05nMの検出限界
を提供し、一方で、約10nMまでの範囲のN-Dpdの信頼性のある測定も提供する。
このキットの検出限界は、このアッセイにおいて、正常を上回ると考えられる
範囲でのピリジニウム架橋物レベルだけを検出し、一方で、一般に正常とされる
レベルの中に含まれるピリジニウム架橋物レベルが、検出されないように、選択
され得ることが認識される。
IV.イムノアッセイ法
本発明は、「発明の要旨」と題した上記のセクションで概説したように、ヒト
被験体の骨コラーゲンの損傷レベルをアッセイする方法を提供する。
血液流体サンプルを、サンプルのアッセイに先立って、好
ましくは前処理して干渉する可能性のある物質を除く。このような前処理は、ト
リクロロ酢酸沈澱により達成され得、ここで、このサンプルは、50%のトリクロ
ロ酢酸と10:1で混合し、次いで遠心分離して沈澱を取り除く。あるいは、このサ
ンプルをプロテインAカラムを通すかまたはStaphylococcus aureusの細胞(例え
ば、PANSORBIN細胞、Calbiochem,San Diego,CAより入手可能)と接触させて免
疫グロブリンなどを除く。好ましい前処理の工程においては、サンプルを濾過し
て、約30kDaより大きい分子量を有するサンプルの成分を除く。このような濾過
は、Centricon-30濾過装置(Amicon,Mass)を用いる遠心分離により達成され得
る。
上記セクションIIIで示したように、サンプルと抗体試薬との反応は、種々の
構成を用いて固相形式で行われ得、あるいは、均一アッセイ形式で行われ得る。
実例となる目的のため、イムノアッセイ法を、実施例9に従って、特に血清中
の天然型遊離デオキシピリジノリンをアッセイするためのアッセイ形式に関して
記載する。ここで、固体支持体は、表面に付着した抗Dpd抗体、および支持体に
結合した抗Dpd抗体に結合するためにサンプル由来の天然型遊離デオキシピリジ
ノリンと競合し得る細胞外酵素で標識したデオキシピリジノリンを有する。本方
法は他の固相または均一アッセイ形式にどのように適応させられ得るかは認識さ
れ得る。
本方法の典型的な実施態様では、既知の容量、例えば100μ
l、の濾過されたまたは沈澱した血清サンプルを、抗Dpd抗体でコーティングした
固体支持体、例えば、実施例8で調製したようにマイクロタイタープレートのウ
ェルに添加する。サンプルの添加に続いて既知の容量、代表的には50〜200μl、
のリポーター標識Dpdを既知の希釈濃度に添加する。実施例9では、リポーター
標識Dpdは、アルカリホスファターゼ−Dpd複合体、すなわち、酵素標識Dpdであ
る。次いで、固体支持体表面上の混合物を、好ましくは抗Dpd抗体がサンプルのD
pdおよび酵素標識されたDpdと結合するための平衡を達成するのに有効な条件で
、インキュベートする。実施例9で詳しく述べる方法においては、インキュベー
ションは4℃で一晩行う。
インキュベーションの後、支持体を再度洗浄して非特異的な結合物質を除き、
そして支持体に結合した酵素の程度を、酵素基質を添加して変換された基質を分
光光度計で測定することにより決定する。詳細は実施例9に記載する。
代表的なアッセイでは、濃度を上昇させたN-Dpdを含むN-Dpd標準物を、N-Dpd
の検量線を得るためにいくつかのウェルに2組ずつ添加する。次いで最大40サン
プルを残ったウェルに2組ずつ添加し、そしてその後それらのウェルを上記の様
にアッセイする。検量線は、サンプルに対するピリジニウムの架橋物の値をN-Dp
d濃度によって決定するために用いられる。
V.用途
上記のイムノアッセイ法、抗体試薬、および本発明のキッ
トは、ヒト被験体のコラーゲン損傷活性のレベルをアッセイするには有効である
。
一般に、本発明は一般的に骨コラーゲン損傷状態に関連してPydおよびDpdの血
液レベルが上昇することを検出するのに有効である。このような状態は、例えば
骨粗鬆症、パジェット病、甲状腺機能低下症、変形性関節症、および慢性関節リ
ュウマチを含み得る。天然型遊離ピリジニウム架橋物レベルの増大を含む他の状
態は、種々の形態の転移性の癌を含み、それらは骨組織に定着するか、またはそ
うでなければ骨の代謝を変化させる。
血清Dpdレベルの上昇を検出するための本発明の方法の使用を図4に示し、こ
れは健康な(コントロール)患者の血清サンプル中(第1欄)、ならびに原発性
上皮小体亢進症(第2欄)、骨軟化症(第3欄)、カルシウム代謝障害(第4欄
)、および骨粗鬆症(第5欄)の患者の血清サンプル中で測定したN-Dpdレベル
を示す。この研究は、ハイブリドーマ細胞系13D4(上記表2を参照のこと)由来
の抗体を用いて実施例9に記載のアッセイプロトコルを用いて行った。
図からわかるように、コントロールグループのN-Dpdレベルは約0.2nMと0.5nM
との間であり、平均レベル(±標準偏差)は0.33±0.07nMであった。原発性上皮
小体亢進症グループは、約0.4nMと1.4nMとの間のレベルを示し、一人は約4.2nM
を示した(平均値=1.4nM)。骨軟化症グループは、約0.5nMと2.6nMとの間のレ
ベル(平均値1.2nM)を示し;カルシウム代謝障
害グループは、約0.4nMと1.4nMとの間のレベル(平均値0.9nM)を示し;骨粗鬆
症グループは、約0.3nMと1.1nMとの間のレベル(平均値0.6nM)を示した。
全体としての罹患グループの図4のデータは、これらの患者のコラーゲン損傷
の増加と一致している。結果は、約0.8nMを越える血清N-Dpdレベル、より好まし
くは約0.5nMを越える血清N-Dpdレベルが、このような患者のコラーゲン損傷の増
加の有用な指標であることを示す。
図5は、健康な患者のグループ(グループ1)からの血清サンプルで測定した
N-Pydレベルと、骨転移が定着あるいは疑わしい癌患者のグループからのサンプ
ルで測定したレベルとを比較する。この研究は、表4で特徴付けられたウサギVI
-8由来の抗体を用いて、実施例13に記載のアッセイプロトコルを用いて行った。
図からわかるように、コントロールグループのN-Pydレベルは、約1nMと3nMとの
間であり、平均レベル(±標準偏差)は1.7±0.4nMであった。一方、癌のグルー
プは、約2nMと13nMとの間のレベルであり、一人の患者は約23nMというレベルを
示したが、これらの患者のコラーゲン損傷の増加と一致した。この結果は、約5n
Mを越える血清N-Pydレベル、より好ましくは約3nMを越えるレベルが、このよう
な患者のコラーゲン損傷の増加の有用な指標であることを示す。
上述より、本発明の目的がどのようにして適合されるかが認識され得る。血液
流体サンプルを用いることによって、本アッセイ法は、天然型遊離ピリジニウム
架橋物レベルの測定
を血液サンプルを用いた他の臨床試験と統合することを可能にする。この方法は
また、サンプルが尿サンプル(例えば、尿のクレアチニンの測定)の場合、必要
とされるサンプル容量のばらつきの補正を省く。このアッセイは、抗体試薬を用
いるので、上記のような多くの簡便で速やかなアッセイ形式に適合させ得る。本
発明は、患者におけるコラーゲン分解の増加の検出および種々のコラーゲン病状
の治療の経過のモニターに用いられ得る。
以下の実施例は、抗体試薬の生成法および本発明によるアッセイ法を示す。実
施例は、例証することを意図し、発明の範囲をいかなる方法によっても制限しな
い。
実施例 材料および方法
雌の自己免疫性のMRL/MpJ-1prマウスをJackson Laboratory,Bar Harbor,Mai
neより購入した。
マウス非分泌性P3X63Ag8.653ミエローマ細胞、およびマウス単球マクロファー
ジ細胞系P388D1(IL-1)およびJ774A.1は、American Type Culture Collection
(ATCC),Rockville,Marylandより購入した。
アジュバントRibiおよびRibi(CWS)は、RIBI Immunochem Research,Inc.,H
amilton,Montanaより購入した。50% PEG 1500(ポリエチレングリコール1500、
水中50%(w:v))は、Boehringer Mannheim,Indianapolis,Indianaより購入し
た。H
ATおよびHTは、Sigma Chemical Company,St.Louis,Missouriより購入した。
Dulbeccoの改変イーグル培地(DMEM)、NCTC-109、およびゲンタマイシンは、
Gibco,GrandIsland,New Yorkより購入した。ウシ胎児クローン血清は、Hyclon
e Laboratories,Inc.,Logan,Utahより購入した。オキサロ酢酸およびインス
リンは、Sigma Chemical Companyより購入した。S-DMEMを以下のように処方し、
ここで%は最終培地における最終容量%を示す:DMEM(80%)、NCTC-109(10%)
、ウシ胎児クローン血清(10%)、オキサロ酢酸(1mM)、L-グルタミン(2mM)
、ゲンタマイシン(50μg/ml)、およびインスリン(10μg/ml)。
調整培地の調製のため、マウス単球細胞系P388D1(IL-1)、または、その代わ
りとして細胞系J774A.1を、S-DMEM培地で、1週間に2回、1:4で分割しながら、
生育させた。3日毎に組織培養上清を0.2ミクロンのフィルターで濾過し、4mMの
L-グルタミンを追加した。得られた濃縮調整培地を、S-DMEMの20%増補として用
い、ハイブリドーマ細胞を培養した。
他に指示のない限り、PBSは、0.01Mリン酸および150mM NaCl,pH7を含む緩衝
液として定義する。
実施例1
架橋物のHPLC測定
PydおよびDpdのHPLC分析を、本質的にはBlack(1988)に記載のように行った
。簡単に説明すると、尿サンプルをブタノー
ルおよび氷酢酸と4:1:1(v:v:v)の混合物に調整し、CFlセルロース(Whatman
)のカートリッジにのせ、次いで4:1:1(ブタノール:酢酸:水)の緩衝液で洗
浄した。遊離の架橋物のみが保持された。遊離の架橋物を、水でCFlセルロース
から溶出した。溶出した物質を、1ml/分で分配される水−アセトニトリル(3-17
%、10分間)の勾配を用い、295nmにおける蛍光物質の励起および395nmにおける
放出をモニターして、C18逆相カラム(Rainin,C18-80-200-C3)で分析した。移
動相には、0.1% HFBAを含んだ。
尿の架橋物の総計は、尿サンプルを110℃のHCl(6N)中で16時間加水分解し、
次いで上記のようなCFl前処理とHPLC分析とを行うことにより測定した。HPLCの
分離から、加水分解されたPydおよびDpdの画分を得、その画分からT-PydおよびT
-Dpdを定量した。
実施例2
架橋物の精製
ヒトの尿を、3000ダルトン分子カットオフフィルター(Filton Co.)で40psi
の背圧をかけて濾過した。次いで濾液を凍結乾燥し、0.2M酢酸を用いて当初の容
量の1/20に再構成した。
次いで、濃縮した尿を0.2M酢酸で平衡化したSephadex G-10 2.6×95cmカラム
にかけた。カラム物質からの溶出を、上記のように遊離のPydおよびDpdについて
分析した。遊離の架橋物を含む画分を一緒にプールし、pHを2.0に合わせて、1×
18cmの陽イオン交換カラム(Lacarte Co.,UK)にかけ、0.1Mクエン酸ナトリウ
ム、pH4.2で平衡化した。
次いで、イオン交換カラムから0.1Mクエン酸ナトリウム、pH4.2を用いてglyco
-Pyd,,Pyd、およびDpdを共溶出した。集めた画分を上記のようにHPLC分析によ
り架橋物の存在について分析した。特異的な架橋物を含む画分(glyco-Pyd、Pyd
、およびDpd)を一緒にプールして、2.5×10cmの逆相C18カラム(Waters)にか
け、続いてそれを0.1%のHFBAを含むアセトニトリルの2-20%の勾配を用いて展
開した。分離した画分(glyco-Pyd、Pyd、およびDpd)を、集めて凍結乾燥によ
り濃縮した。乾燥した残渣を0.2M酢酸で再構成し、4℃で保存した。最終物質の
純度は、重量分析および元素分析により測定した。
尿の架橋物−ペプチドは、ヒトの尿を、1000ダルトン分子量カットオフ透析膜
(Spectra-Por)を用いて、十分に透析することにより調製した。ペプチド画分
のT-PydおよびT-Dpd架橋物の含有量は、ペプチドサンプルを6NのHClで110℃で16
時間加水分解し、次いでPydおよびDpdについてHPLC分析することにより測定した
。
調製量のH-PydおよびH-Dpdを、B1ackら(1988)によって記載されたように加
水分解して粉末化したウシまたはヒツジの骨から得た。
実施例3
免疫原の調製
以下の手順は、天然型遊離ピリジノリン、天然型遊離デオキシピリジノリンま
たはその両方に対するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を入手するため
にどのようにして免疫原が調製され得るかを示す。以下のAおよびBにおける手
順は、Pyd免疫原に関して記載する;Dpd免疫原も同様に調製するが、Pydの代わ
りにDpdを用いる。
A.Pyd-BSA免疫原
0.1M MES、pH5.0中に9mgのウシ血清アルブミン(BSA)および3.8mgのPydを含
む3.1mlの溶液に、88mgのEDCを含む0.88mlの水溶液を添加した。混合液を室温で
4時間反応させ、その後リン酸緩衝生理食塩水pH7.0(PBS)に対して十分に透析
した。UVおよび蛍光測定は、アルブミン1モル当たり5.8モルのピリジノリンが
置換されていることを示した。
B.Pyd-KLH免疫原
pHを5±0.5に合わせた乾燥H-Pyd(6mg)の水溶液(200μl)に、PBS中のキー
ホールリンペットヘモシアニン(KLH)の10mg/ml溶液を2ml添加した。混合液に3
0mgの固体1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC、Pie
rce)を添加し、10分後、別に30mgのEDCを添加し、室温で4時間反応を続けた。
次いで反応混合液を、PBSに対し十分に透析し、その後Pyd-KLH免疫原を回収して
保存した。
実施例4
抗Pydモノクローナル抗体の調製
A.免疫化プロトコル
雌の5週齢の自己免疫MRL/MpJ-1prマウスを、以下のプロトコルを用いて免疫
化した:
融合の日に、免疫化したマウスをCO2ガスで屠殺し、マウスから脾臓を切り出
して、予め37℃に暖めた5mlの無血清DMEM培地を含む培養皿に置いた。脾臓に付
着した脂肪組織を除去した後、脾臓を5mlの無血清DMEM培地で洗浄した。次いで
脾臓を小さな断片に切断し、7mlの無血清DMEM培地を含む細胞ホモジ
ナイザーに入れ、細胞をホモジナイズして細胞懸濁液を作製した。
B.融合プロトコル
以下の工程を室温で行った。
脾臓細胞懸濁液(無血清DMEM培地中〜2×108細胞)および対数増殖期のP3X63
Ag8.653ミエローマ細胞(無血清DMEM培地中〜7×107細胞)を別々に400×gで10
分間遠心分離した。得られた細胞ペレットを、50mL容量の遠沈管内で無血清DMEM
培地(10ml)で一緒にして懸濁し、次いで400×gで10分間遠心分離した。上清を
完全に除き、そして遠沈管を軽くたたいて細胞ペレットをほぐした。
細胞融合のため、50% PEG 1500の溶液(4ml)を、ピペットにより穏やかに混
合させながら90秒間にわたって管に滴下した。次に、無血清DMEM(4ml)を1分
間にわたって滴下した。次いでS-DMEM(40ml)を穏やかに混合させながら2分間
にわたって添加し、その後、ピペットにより混合液をさらに2.5分間混合した。
得られた混合液は、400×gで10分間遠心分離した。上清を完全に除去した後、細
胞を、320mlの20%のP388D1調整S-DMEM培地中のHATに懸濁した。細胞懸濁液を16
枚の96ウェル組織培養プレートに、200μl/ウェルで入れ、次いで、7% CO2を含
む雰囲気中で37℃でインキュベートした。細胞混合液は、第3日および第7日に
古い培地を100μl/ウェル除去し、150μl/ウェルのHAT培地(第3日)またはH
T培地(第7日)の
いずれかを添加して飼養した。ウェルは、融合後7〜10日でスクリーニングの準
備ができた。
C.抗N-Pydモノクローナル抗体の産生のためのハイブリドーマのスクリーニン グ
うまくいった融合産物を、実施例12および13に記載したN-Pydイムノアッセイ
形式を用いて免疫応答性に関してスクリーニングした。N-Pydへの結合に高い親
和性を示した細胞系を、限界希釈によりサブクローニングし、N-Pydに高い結合
親和性を有する抗体の産生のためにさらにスクリーニングした。N-Pydに対し高
い抗体親和性を与えるサブクローニングされた細胞系の一つを、本明細書中では
Mab Pyd-XXV-3G6-3B11-1A10と呼ぶ。この細胞系により産生された抗体の特異性
を、上記表1に示す。
実施例5
抗Dpdモノクローナル抗体の調製
抗Dpdモノクローナル抗体を、実施例4に記載の手順で、実施例3において調
製されたDpd-KLH免疫原を用いて調製した。マウスの免疫化プロトコルは、実施
例4においてと同じであったが、Ribiの代わりにRibi(CWS)をアジュバントと
して用いたこと、およびマウス1匹当たり100pgの代わりに75μgのDpd免疫原を
第4の免疫化工程(融合から18日後)で用いたことを除く。
うまくいった融合産物を、実施例9に記載したN-Dpdイムノアッセイ形式を用
いて免疫応答性に関してスクリーニングした。N-Dpdへの結合に高い親和性を示
した細胞系を、限界希釈によりサブクローニングし、N-Dpdに高い結合親和性を
有する抗体の産生のためにさらにスクリーニングした。N-Dpdに対し高い抗体親
和性を与えるサブクローニングされた細胞系の一つを、本明細書中ではMab Dpd-
II-7B6-1F4-1H11と呼ぶ。この細胞系により産生された抗体の特異性を、上記表
2に示す。
実施例6
N-PydおよびN-Dpdの両方に対して特異的な
モノクローナル抗体の調製
N-PydおよびN-Dpdの両方に対して特異的なモノクローナル抗体を、実施例5の
手順で、免疫原としてH-Dpd-KLH(実施例3)を用いて調製した。うまくいった
融合産物を、実施例9に記載したN-Dpdイムノアッセイ形式を用いて免疫応答性
に関してスクリーニングした。N-Dpdへの結合に高い親和性を示した細胞系を、
限界希釈によりサブクローニングし、N-PydおよびN-Dpdの両方に高い結合親和性
を有する抗体の産生のためにさらにスクリーニングした。N-PydおよびN-Dpdの両
方に対し高い抗体親和性を与えるサブクローニングされた細胞系の一つを、本明
細書中ではMab Pyd/Dpd-V-6H2-2H4-1E4と呼ぶ。この細胞系により産生された抗
体の特異性を、上記表3に示す。
実施例7
アルカリホスファターゼ−Dpd複合体
アルカリホスファターゼ-H-Dpd複合体は、ビス(スルホスクシンイミジル)ス
ベリン酸(BSSS)を結合剤として用いて調製した。簡単に言うと、前の晩に4℃
でPBS中で透析した7.1mg/mlのアルカリホスファターゼ(AP,3mg,1 40,000MW,
ε=0.963mg/mL-1cm-1)(Biozyme Laboratories,San Diego,CA)溶液425μLを
、0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5中の11mg/mLのH-Dpd(ε=4933M-1cm-1)溶液24μLと
混合して、得られた混合液の容量をPBSで500μLに合わせた。
次いで混合液に、50μLのDMSO(ジメチルスルホキシド)に0.61mgのBSSS(Pie
rce,Rockford,IL)を溶解したものを添加した。反応容器を覆って光を排除し
、そして結合反応を室温で2時間続けさせた。次いで500μlの10mMグリシン(0.
1Mリン酸緩衝液、pH7.5中)を添加することにより反応を停止させ、混合液を、
光を遮って室温でさらに2時間インキュベートした。次いで、反応を停止した混
合液を4℃で暗くして、PBSを4回交換して透析した(各2Lずつ、4時間おき
)。
透析液中でのDpd対APの化学量論は、分光光度計により326nmおよび280nmでの
吸光度を測定して決定した。Dpd対APの比は、代表的には1:1から2:1であった。A
P-H-Dpd複合体の酵素的活性は、標準APアッセイの天然型APの活性の%として決
定した。
実施例8
抗Dpd抗体でコーティングしたプレートの調製
96ウェルのELISAプレートを以下のようにコーティングした。0.05%のNaN3を含
むPBS中に3μg/mlのウサギ抗マウスIgGを含む200μlの溶液を各ウェルに添加し
、次いでプレートを室温で18〜24時間インキュベートした。インキュベーション
後、1ウェル当たり300μlずつ3回、洗浄用緩衝液(0.3% Tween20を含むPBS)を
用いて洗浄した。最後の洗浄でウェルを吸引した後、100mMリン酸塩、150mM NaC
l、0.05% Tween-20、0.05% NaN3、0.1%ウシ血清アルブミン、および10ng/mlマウ
ス抗Dpdモノクローナル抗体(13D4)、pH7を含む150μlの捕獲溶液を各ウェル
に添加した。プレートを室温で18〜24時間インキュベートした。インキュベーシ
ョンが完結した後、各ウェルを上記のように洗浄用緩衝液で3回洗浄した。ウェ
ルを最後に吸引した後、10%スクロース、100mMリン酸塩、150mM NaCl、および0.
05% NaN3(pH 7)を含む250μlの保存溶液を各ウェルに添加して、プレートを室
温で1時間インキュベートした。その後保存溶液を吸引によって除き、プレート
を37℃、10%以下の湿度で18〜24時間置いた。コーティングされたプレートは、
乾燥剤のパックと一緒にホイルで密封し、室温で保存した。
実施例9
血清Dpdのイムノアッセイ
N-Dpdの標準溶液および血清サンプルを2組ずつ試験した。標準溶液は代表的
には0.05% NaN3および10mg/mLウシ血清アルブミンを含む10mM PBS中の0、0.05、
0.1、0.2、0.4、1.0、3.0、および9.0nMのN-Dpdからなるものであった。
400μlの各標準溶液または血清サンプルアリコートに40μlの50% v:vトリクロ
ロ酢酸(TCA)水溶液を添加した。そして得られた混合物を短時間ボルテックス
にかけ、10,000rpmで5分間遠心分離した。各遠沈管から上清を集めて(300μl
)、3NのNaOHでpHを7.0±0.5に合わせた。
実施例8からの抗Dpd抗体でコーティングしたプレートの各ウェルに、100μl
のTCA沈澱した標準または血清サンプル、および50μlのDpdアルカリホスファタ
ーゼ溶液(〜75ng/mL Dpd-AP複合体、100mM PBS、0.7%ウシ血清アルブミン、0.3
%スクロース、7mM Tris、0.15mM MgCl2、0.05% Tween-20、および0.05%アジドを
含む)添加した。プレートを4℃で一晩インキュベートした後、0.05% NaN3およ
び0.05% Tween-20を含むPBSでウェルを洗浄した。
各ウェルに残ったDpdアルカリホスファターゼ複合体を、各ウェルに150μLの
基質溶液(1Mジエタノールアミン中のp-ニトロフェニルホスフェート2mg/mL、p
H10、1mM MgCl2を含む)を添加し、室温で1時間インキュベートし、50μLの3N
NaOHを添加することにより酵素反応を停止し、そして405nmでのウェルの光学密
度をVmaxリーダー(Molecular Devices Corp.)を用いて読みとることによりア
ッセイした。各血清サンプルの
Dpd架橋物濃度は、N-Dpd標準溶液を用いて作成した検量線との比較により決定し
た。
実施例10
抗体試薬の結合選択性
N-Pyd、N-Dpd、およびピリジニウム−ペプチド(MW>1000)を、上記のように
尿サンプルから単離した。ピリジニウム−ペプチド画分のアリコートを加水分解
し、画分中の架橋物をH-PydおよびH-Dpdに変換した。N-PydおよびH-Pyd調製物中
のPydの濃度、N-DpdおよびH-Dpd調製物中のDpdの濃度、およびピリジニウム−ペ
プチド調製物中のDpdの濃度を、実施例1におけるようにHPLCにより決定した。
さらに、PBS中に各150μMずつの20個の一般アミノ酸の等モル混合物を含むアミ
ノ酸溶液を調製した。
天然型架橋物調製物およびアミノ酸混合物のアリコート(50μl)を、2組ず
つ抗Dpd抗体でコーティングしたマイクロタイターウェル(実施例8)に添加し
、そして各ウェルをN-Dpdについて実施例9におけるようにアッセイしたが、こ
の際50μLではなく100μLのDpd-AP複合体溶液を用いた。2つのサンプルの光学
密度読み取り値(405nm)を平均し、そしてこれらの値から、各サンプルの見か
けのN-Dpd濃度を、精製N-Dpdによって作成した検量線を用いて決定した。各サン
プルの反応%は、全H-DpdについてHPLCにより決定したサンプル中の全Dpd架橋物
濃度に対する見かけのN-Dpd濃度(上記のN-Dpd検量
線を用いて測定した)の比として計算した(×100)。精製N-Dpdについて決定し
た相対的な反応性を、任意に100%とし、そして他の架橋物調製物(およびアミノ
酸混合物)の反応性を、100に対するパーセンテージとして表した。本アッセイ
により得た結果を、上記表2に示す。
実施例11
抗ピリジノリン抗血清の調製
免疫化のためにニュージーランド白ウサギ(全部で59羽)を,以下の表6に指
示するように免疫化プロトコルに従って8グループに分けた。免疫化の用量は、
200μgのPyd-BSA(実施例3A)、低ハプテンPyd-BSA免疫原(Pyd-BSAに関する実
施例3Aのように調製されるが、より低いPyd:BSAの化学量論による)、またはPyd
-KLH(実施例3B)であり、これを1.0mlのPBSに入れ、1.0mlのRibiアジュバント
(Ribi ImmunoChemical Research,Inc.)と混合した。初回免疫は、多数の部位
で皮下注射により行い、そして次のブースター免疫を、3週間の間をおいて筋内
注射することにより与えた。抗血清を各免疫化の10日後に採集した。
採集の際に、各抗血清を、実施例6に記載したアッセイ形式を用いてPyd結合
親和性について試験した。簡単にいうと、血清由来の抗Pyd抗体の固体支持体に
固定されたPydへの結合を、アルカリホスファターゼで標識したヤギの抗ウサギI
gG抗体試薬を用いて検出した。
免疫化した動物は、それらの抗血清が次のパラグラフでさらに定義する以下の
基準を満たした場合、飼育し続けた:アミノ酸(AA)<20%、Pyd-ペプチド<10%
、力価>5000、および0から25nMのPydシグナルの分離>全変化シグナルの10%。
最も強い反応性抗血清のプロフィールを以下の表7に示す。これらは、実施例
6に記載のアッセイ形式を用いて測定した。
第1の欄は、ウサギ抗血清の由来する免疫化プログラムを示す。第2の欄は、分
析のためにプールした採血を示す。「力価」と書いてある欄は、イムノアッセイ
中で、Pyd-ネガティブ(Pydの存在無し)の光学密度読み取り値が1.2〜1.6を達
成するのに必要な各抗血清の希釈度を示す。「アミノ酸(AA)」と書いてある欄
は、各抗血清と実施例7に記載のアミノ酸混合物との交差反応性を示す。「Pyd-
pep.>1000MW」と書いてある欄は、各抗血清とPyd-ペプチド(>1000MW)との交
差反応性を示す。最後の欄は、Pydサンプルの0nMと25nMとの間の分離を全変化シ
グナルの画分として示した。
示されるように、ウサギIII-3、V-4、およびVI-8は、0nM〜25nMのN-Pydから著
しいシグナルの変化を示した。最も高い活性を持つ血清(VI-8)を選択し、本明
細書中に記載するN-Pydアッセイに用いた。
実施例12
Pydでコーティングしたマイクロプレートの調製
ビオチンで標識したオボアルブミンおよびストレプトアビジン−Pyd複合体を
マイクロプレートコーティングに用いた。オボアルブミンのビオチン化は、400
μlのジメチルホルムアミドに10mgのビオチン-X-2,4-ジニトロフェノール-X-L-
リジン、スクシンイミジルエステル(Molecular Probes)を入れたものを、150m
gのオボアルブミンを含むPBS溶液10mlに添加することにより行った。混合物を室
温で2時間反応させ、次にG25カラムクロマトグラフィーにかけた。分光測光分
析は、オボアルブミン1モル当たり2個のビオチンが置換されていることを示し
た。
H-Pydのストレプトアビジンへの複合体化は、チオール化したストレプトアビ
ジンを結合剤SMCCを介してH-Pydに結合させることにより達成した。チオール化
したストレプトアビジンは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルチオ)プロピ
オネート(SPDP、Pierce)との反応により以下のように調製した。5mgのストレ
プトアビジンがPBSに入った溶液0.75mlに、260μgのSPDPを含むジメチルホルム
アミド21μLを添加した。混合物を
室温で1時間反応させ、次いでPBSに対して透析した。SPDP標識ストレプトアビ
ジンは、ジチオスレイトールを最終濃度が10mMになるよう添加することにより還
元した。室温で1時間インキュベートした後、チオール化したストレプトアビジ
ンを、G-25カラムにかけて精製した。
H-Pyd-ストレプトアビジンを形成するために、ジメチルホルムアミド(4μl
)中に180μgのスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-
カルボキシレート(SMCC、Pierce)を含む溶液を、100μlのPBS中に0.5mgのチオ
ール化したストレプトアビジンと50μgのH-Pydとを含む溶液に添加した。混合物
を室温で3時間反応させ、次いでPBSに対して透析した。得られたPyd-ストレプ
トアビジンの分光測定分析は、ストレプトアビジン1当量当たり1当量と2当量
との間のデオキシピリジノリンが結合していることを示唆した。
96ウェルのELISAプレートの各ウェルを、以下のようにN-Pydでコーティングし
た。各ウェルに、PBS中3.8μg/mlのビオチン−オボアルブミン溶液150μlを添加
し、次に2〜8℃で一晩インキュベートした。マイクロプレートをPBSで洗浄し
、1mg/mlのオボアルブミン200μlを添加して室温で一晩インキュベートすること
によりブロックした。次いでマイクロプレートをPBSで2回洗浄した。ストレプ
トアビジン−Pyd複合体は、ビオチンへの結合を媒介するストレプトアビジンを
介して固定される。PBS中100μg/mlのストレプトアビジン−Pydを含む150μlの
溶液を、ビオチン−オボアルブミンでコーティ
ングしたマイクロプレートの各ウェルに添加した。室温で1時間インキュベート
した後、プレートをPBSで2回洗浄した。残った液体は、対流式オーブン内で37
℃で一晩乾燥させることにより、マイクロプレートから除いた。
実施例13
ポリクローナル抗体試薬を用いるPydのイムノアッセイ
上記表4および7で特徴づけられたウサギポリクローナル抗体VI-8、および実
施例12に記載のN-Pydでコーティングしたマイクロタイタープレートを用いて、
以下のイムノアッセイを行った。
N-Pydの標準溶液および血液血清サンプルを2組ずつ試験した。標準溶液は、
アッセイ緩衝液(150mM NaClを含む100mMリン酸ナトリウムpH7中0.05%NaN3、0.
05% Tween 20、および0.1% BSA)中の0nM、0.2nM、0.6nM、2.0nM、6.0nM、およ
び24nM N-Pydからなるものであった。血清サンプルを、アッセイの前に、Centri
con-30(Amicon,Mass.)濾過装置を通して濾過した。
サンプルまたは標準(25μl/ウェル)を添加した後、アッセイ緩衝液で20,000
倍に希釈したVI-8抗血清を125μl/ウェルで添加し、次いでアッセイプレートを
4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄緩衝液で300μl/ウェルで3回
洗浄した後、150μl/ウェルのヤギ抗ウサギIgG-アルカリホスファターゼ複合体
(アッセイ緩衝液で1:1000希釈)を添加し、プ
レートを室温で1時間インキュベートした。次いでウェルを洗浄緩衝液で3回洗
浄した。
各ウェルに、150μLの酵素基質溶液(1mM MgCl2を含む1.0Mジエタノールアミ
ンpH9.8に入った2mg/mLのp-ニトロフェニルホスフェート(Sigma))を添加した
。室温で1時間インキュベートした後、50μlの3.0NのNaOHを各ウェルに添加し
て酵素反応を停止した。次いで405nmでの光学密度をVmaxリーダー(Molecular D
evices Corp.)を用いて測定した。
2つのサンプルの光学密度の読み取り値(405nm)を平均し、そしてN-Pyd標準
からの平均読み取り値を用いてN-Pyd濃度に対するOD読み取り値の検量線を作成
した。この曲線から、各血清サンプル中の遊離N-Pyd架橋物濃度を決定した。
実施例14
ポリクローナル抗体試薬の結合選択性
N-Pyd、N-Dpd、およびピリジニウム−ペプチド(MW>1000)を、上記のように
尿サンプルから単離した。ピリジニウム調製物のアリコートを加水分解し、画分
中の架橋物をH-PydおよびH-Dpdに変換した。N-PydおよびH-Pyd調製物中のPyd濃
度、N-DpdおよびH-Dpd調製物中のDpd濃度、およびピリジニウム−ペプチド調製
物中のPyd濃度を、実施例1に記載のようにHPLCにより決定した。さらにPBS中に
各150μMずつの20個の一般アミノ酸の等モル混合物を含むアミノ酸溶液を調製し
た。
天然型架橋物調製物およびアミノ酸混合物のアリコート(5
0μl)を、2組ずつPydでコーティングしたマイクロタイターウェルに添加し、
そして各ウェルを実施例13におけるようにピリジノリンについてアッセイした。
2つのサンプルの光学密度読み取り値(405nm)を平均し、そしてそれらの値か
ら、各サンプルの見かけのN-Pyd濃度を、精製N-Pydによって作成した検量線を用
いて決定した。各サンプルの反応%は、全H-PydについてHPLCにより決定したサ
ンプル中の全Pyd架橋物濃度に対する見かけの濃度(上記のN-Pyd検量線を用いて
測定した)の比として計算した(×100)。精製N-Pydについて決定した相対的な
反応性を、任意に100%とし、そして他の架橋物調製物(およびアミノ酸混合物)
の反応性を、100に対するパーセンテージとして表した。本アッセイにより得た
結果を、上記表4および7に示す。
本発明を特定の実施態様に関して記載するが、種々の変化および改変を、本発
明から逸脱することなく行い得ることは認識されるであろう。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年12月22日
【補正内容】
これらの方法のうちの1つは、HPLCにより分離される加水分解されたPydのピー
クを定量することにより、加水分解された全Pyd、すなわち、尿中の架橋物の広
範な加水分解により生成されるPydを測定することを含む(Fujimoto,1983)。
加水分解された全Pydと年齢との間の関係は、加水分解された全Pyd/クレアチニ
ンの比として、これらの研究者により決定された。そこでは、クレアチンレベル
は、尿の濃度および骨格量に対する架橋物のレベルを標準化するのに用いられる
。この比率は子供の尿では高く、そして成人期を通して相対的に一定であり、老
齢期ではわずかに増加する。このことは、老齢期において観察される骨量の損失
に対応すると推測される。
慢性関節リウマチの患者の加水分解された尿中の全架橋物のレベルの上昇に関
する研究は、この疾患の診断方法として示唆された(Black,1989)。慢性関節
リウマチの患者の加水分解された全架橋物のレベル(クレアチニンに対する、HP
LCにより測定された全架橋物の比として表される)は、コントロールと比較して
、第5因子により上昇した。しかし、加水分解された全Dpdではなく、加水分解
された全Pydのみが、測定可能な増加を示した。
加水分解された尿を用いたより広範な研究において、Seibelらは、排泄物にお
いて、慢性関節リウマチおよび変形性関節症の両方におけるコントロールに対し
て、骨特異性の加水分解された全Pydおよび全Dpdの架橋物の顕著な増加を示した
。加水分解された全Pydの最も顕著な増加は、慢性関節リウマチ
の患者に見られた(Seibel)。
Patersonら(Br.J Cancer(1991)64:884-886)は、加水分解された尿中で
測定された加水分解された全PydおよびDpdが、骨に対する転移性癌の広がりを検
出するのに有用であり得ることを報告している。
加水分解されたサンプルから架橋物をHPLC定量することを包含するアッセイ法
(ここで示したアッセイ法のような)は、実施するのに比較的時間と費用がかか
り、そして骨代謝障害の治療の広範囲なスクリーニングまたはモニタリングに対
しては実用的ではない。
イムノアッセイはまた、尿の架橋物の測定に対して提案される。米国特許第4,
973,666号および同第5,140,103号および国際特許出願番号WO 91/08478は、骨コ
ラーゲンに関連する特定のペプチド連結ピリジニウム種を尿中に検出することに
よって、骨吸収を測定するアッセイを開示している。これらは、パジェット病、
すなわち高い割合で骨の形成および破壊が起こることが知られている病気にかか
っている患者の尿から得られる。このアッセイは、特異的なペプチド断片または
伸長部を含む架橋化合物と、架橋物ペプチドに対して調製された抗体との免疫特
異的結合に依存する。アッセイされる架橋物ペプチドの濃度が尿の全架橋物に関
係しているのかどうか、そしてどのように関係しているのかは、明らかでない。
Robinsは、加水分解されたPydに特異的な抗体を使用することによって、尿中
のピリジノリンを測定する技術を記載した
(Robins,1986)。この方法は、抗体が、Pydの加水分解された形に特異的であ
ることが見出されたという限界を有し、試験される尿サンプルが加水分解条件下
で最初に処理されることを必要とする。加水分解処理は、アッセイの時間および
費用を増加させ、そして他の天然型ピリジニウム架橋物の測定を予め除外する。
PCT国際公開第WO 91/10141号は、加水分解されていない尿サンプル中の天然型
でペプチド遊離のピリジノリンまたはデオキシピリジノリンのレベルを測定する
ことによって、ヒト被験体における骨コラーゲン分解を評価する方法を開示して
いる。この方法は、尿サンプルの分析に基づく初期の方法より改良されている。
なぜなら、この方法は、以前用いられていた加水分解によるサンプルの前処理を
省いているからである。
形成される免疫複合体の量を測定して、サンプル中の選択されたピリジニウム架
橋物の濃度を決定する。決定されたピリジニウム架橋物の濃度が、(i)5nMの天
然型遊離ピリジノリン、(ii)1nMの遊離デオキシピリジノリン、および(ii)6
nMのピリジノリンとデオキシピリジノリンの複合物、より上である場合、癌に関
連する骨吸収速度の異常性(骨における転移の可能性を示唆している)が示され
る。
この方法は、癌の治療の間、選択されたピリジニウム架橋物の濃度の変化をモ
ニタリングすることによって、コラーゲン分解を起こすことを特徴とする癌の治
療をモニタリングするために用いられ得る。
別の局面では、本発明は、ヒト被験体における骨コラーゲン分解のレベルをア
ッセイする方法を包含する。この方法では、血液流体サンプルを被験体から得、
そして天然型遊離ピリジノリン、天然型遊離デオキシピリジノリン、または天然
型遊離のピリジノリンおよびデオキシピリジノリンの両方からなる群から選択さ
れるピリジニウム架橋物と免疫特異的に反応し得る抗体と反応させ、そしてここ
で抗体は、上記の選択された架橋物に対して少なくとも108/Mの結合定数を有し
、その結果、抗体とサンプル中のこのようなピリジニウム架橋物との間で免疫複
合体を形成する。形成された免疫複合体の量を測定して、サンプル中の選択され
たピリジニウム架橋物の濃度を決定する。決定された濃度が、(i)5nMの天然型
遊離ピリジノリン、(ii)1nMの天然型遊離デオキシピリジノリン、
または(ii)6nMの天然型遊離のピリジノリンとデオキシピリジノリンとの複合
物、より上である場合、被験体は、このような骨吸収障害を有することが示され
る。
この抗体が天然型遊離デオキシピリジノリンを結合するためのものである別の
特定の実施態様では、抗体は、好ましくは、天然型遊離デオキシピリジノリンと
天然型遊離ピリジノリンとに対して、約5:1より大きい、好ましくは約25:1より
大きい、そしてより好ましくは約100:1より大きい反応比を有する。
この抗体が天然型遊離ピリジノリンおよび天然型遊離デオキシピリジノリンの
両方を結合するためのものである第三の特定の実施態様では、抗体は、好ましく
は、天然型遊離ピリジノリンと天然型遊離デオキシピリジノリンとに対して、約
2:1と1:2との間の反応比を有する。
本発明の抗体試薬は、好ましくは、選択されたピリジニウム種(N-PydまたはN
-Dpd)に対する約5×107/Mより大きい結合親和定数を有する。
A.免疫原
抗体試薬の生産に用いられる免疫原は、担体分子、すなわち典型的には、キー
ホールリンペットヘモシアニン(KLH)のような担体タンパク質と結合したDpdま
たはPydである。
Pydは、天然型Pyd(N-Pyd)または加水分解されたPyd(H-Pyd)であり得る。
同様に、Dpdは、天然型Dpd(N-Dpd)または加水分解されたDpd(H-Dpd)であり
得る。N-DpdまたはN-Pydを得るためには、尿中の他のピリジニウム化合物からの
N-DpdまたはN-Pydの粗分離は、実施例2に記載されるように、尿の分画に
10カラムにかけ、そして全ピリジニウムを含有する画分を溶出する。次いで、溶
出液を、クエン酸ナトリウムで平衡化したホスホセルロースのカラムにかけ、そ
して塩で溶出させて単一ピークの遊離架橋物を得る。
示されるように、抗体試薬は、N-Pydに対して特異的であり、N-Dpdとは10%未
満の交差反応性、Pydペプチド(MW>1000)とは5%未満の交差反応性、そしてア
ミノ酸混合物とは中程度(〜12%)の交差反応性であることを示す。本発明の1
つの局面に従って、ポリクローナル抗体試薬は、選択した天然型遊離ピリジニウ
ム種(N-Pyd、N-Pyd、または両方)および分子量が1,000ダルトンより大きい尿
のピリジニウムペプチドに対して、上記の抗原-競合アッセイにより測定される
ように、3:1より大きい、そして好ましくは約5:1より大きい反応性を有する。
III.イムノアッセイキット
別の局面では、本発明は、ヒト被験体での骨コラーゲン分解レベルのアッセイ
で使用するための診断キットを包含する。このキットは、上記のセクションに記
載したタイプの抗体試薬を含み、それは、天然型遊離デオキシピリジノリンに対
して好ましくは約5×107/Mより大きい、そしてさらに好ましくは8×108/Mより大
きい結合定数を有する。このキットはまた、抗体試薬と選択されたピリジニウム
架橋物との反応により形成される免疫複合体の量を検出するための検出手段を含
み、この検出手段は、血液流体サンプル中の選択された架橋物の
レベルの測定に効果的である。
説明の目的のために、サンプル中でのN-Pyd測定についてのこのようなキット
の特定の実施態様を図1A〜1C中の10で示す。キットの固相支持体12は、結合剤が
吸着され得るか、または化学的に結合され得る表面を有する。
酵素標識した抗体での1つの好ましい酵素は、アルカリホスファターゼであり、
これは、p-ニトロフェニルホスフェート基質と反応し、405nmで強い吸収ピーク
を有する有色の産物を生産し得る。
リポーター標識二次抗体は、典型的には、抗IgG抗体(抗ウサギIgG抗体または
抗マウスIgG抗体のような)である。抗ウサギIgG抗体では、キット中のポリクロ
ーナル抗体試薬が、免疫したウサギから得られる。抗マウスIgG抗体では、抗体
試薬がマウスモノクローナル抗体である。ここで、抗体試薬(上記のようにN-Py
dと免疫反応する)は、「リポーター標識可能」である。それは、抗体試薬がリ
ポーター標識二次抗体との反応により標識され得るためである。リポーター標識
可能な抗体試薬の他の例は、ビオチンまたはストレプトアビジンで標識した抗体
を包含し、それは検出目的のために、リポーター標識したストレプトアビジンま
たはビオチン標識した相手と反応し得る。
別の実施態様では、検出試薬は、酵素のようなリポーターで標識された抗Pyd
抗体試薬それ自身であり得る。
このキット中の検出手段はまた、リポーター標識抗体中のリポーターの検出の
ために必要とされる必要な基質などを含む。
別のキットの実施態様では、支持体に結合される結合剤は、セクションIIに記
載したような抗Pyd抗体試薬である。抗体は、種々の公知の方法により固体支持
体に結合され得る。これら
の公知の方法は、標準的な方法に従って、化学的誘導体化、または支持体結合プ
ロテインAまたは抗IgG抗体による抗体の高親和性結合を包含する。このキット
は、ピリジノリン試薬をさらに含み得、それは、支持体上の抗体試薬への結合に
ついて、サンプル中の天然型遊離ピリジノリンとの競合に効果的である。検出目
的のために、ピリジノリン試薬は、ピリジノリンに共有結合したリポーター標識
を含み得る(すなわち、試薬は、リポーター標識ピリジノリンであり得る)。こ
の形式を有する模範的なキットの調製および使用を実施例11〜13で説明する。
あるいは、ピリジノリン試薬は、リポーター標識可能であり、すなわちピリジ
ノリン試薬は、例えば、対応するリポーター標識ストレプトアビジンまたはビオ
チン分子による認識のために、ビオチンまたはストレプトアビジンのような薬剤
と複合体化したPydを包含する。
別の一般的な実施態様では、このキットは、サンプルのピリジノリンが溶液中
で直接的に検出され得るような均一のアッセイのために設計される。
本発明のキットが多くの他のアッセイ形式に適応され得ることは認識され得る
。他のアッセイは、例えば、放射性トレーサー、結合カップリング酵素、蛍光、
化学発光、またはEMIT配置(Gosling)に基づく形式を包含する。
従って、別の好ましい実施態様では、このキット中の検出手段は、放射活性リ
ポーター基を含み、これは抗体試薬と天
然型遊離Pydとの反応により形成される免疫複合体の量に比例して放射活性シグ
ナルを生産するのに効果的である。
このキットは、N-Pydのアッセイに関して上記で説明しているが、このキット
が、N-Dpdに特異的な抗体試薬を用いてN-Dpdを測定するのに用いられるか、また
はほぼ同等の親和性を有するN-PydおよびN-Dpdを結合させる抗体試薬を用いてN-
PydおよびN-Dpdの合計を測定するのに用いられる場合に、同様の形式が用いられ
得ることが、認識され得る。
N-Pydの検出について、このキットは、1nMまたはそれ未満、好ましくは0.5nM
、そしてさらに好ましくは0.2nMのN-Pydについての検出限界を有する。図2は、
実施例13に記載したイムノアッセイ形式で行ったN-Pydの滴定曲線を示し、これ
は表4で特徴付けられたウサギVI-8から得たポリクローナル抗血清を用いた。こ
の図からわかるように、このキットは、約0.2nMの感度を提供し、一方で、10nM
を越える範囲のN-Pydの信頼性のある測定も提供する。
N-Dpdの検出について、このキットは、好ましくは0.1nMまたはそれ未満、好ま
しくは0.05nM、そしてさらに好ましくは0.02nMのN-Dpdについての検出限界を有
する。図3は、実施例9に記載したイムノアッセイ形式で行ったN-Dpdの滴定曲
線を示し、これは上記のハイブリドーマ細胞系13D4から得たモノクローナル抗体
を用いた。この図からわかるように、このキットは、約0.02〜0.05nMの検出限界
を提供し、一方で、約10nMまでの範囲のN-Dpdの信頼性のある測定も提供する。
このキットの検出限界は、このアッセイにおいて、正常を上回ると考えられる
範囲でのピリジニウム架橋物レベルだけを検出し、一方で、一般に正常とされる
レベルの中に含まれるピリジニウム架橋物レベルが、検出されないように、選択
され得ることが認識される。
IV.イムノアッセイ法
本発明は、「発明の要旨」と題した上記のセクションで概説したように、ヒト
被験体の骨コラーゲンの損傷レベルをアッセイする方法を提供する。
血液流体サンプルを、サンプルのアッセイに先立って、好ましくは前処理して
干渉する可能性のある物質を除く。このような前処理は、トリクロロ酢酸沈澱に
より達成され得、ここで、このサンプルは、50%のトリクロロ酢酸と10:1で混合
し、次いで遠心分離して沈澱を取り除く。
実施例2
架橋物の精製
ヒトの尿を、3000ダルトン分子カットオフフィルター(Filton Co.)で40psi
の背圧をかけて濾過した。次いで濾液を凍結乾燥し、0.2M酢酸を用いて当初の容
量の1/20に再構成した。
10 2.6×95cmカラムにかけた。カラム物質からの溶出を、上記のように遊離のPy
dおよびDpdについて分析した。遊離の架橋物を含む画分を一緒にプールし、pHを
2.0に合わせて、1×18cmの陽イオン交換カラム(Lacarte Co.,UK)にかけ、0.1
Mクエン酸ナトリウム、pH4.2で平衡化した。
次いで、イオン交換カラムから0.1Mクエン酸ナトリウム、pH4.2を用いてglyco
-Pyd、Pyd、およびDpdを共溶出した。集めた画分を上記のようにHPLC分析により
架橋物の存在について分析した。特異的な架橋物を含む画分(glyco-Pyd、Pyd、
およびDpd)を一緒にプールして、2.5×10cmの逆相C18カラム(Waters)にかけ
、続いてそれを0.1%のHFBAを含むアセトニトリルの2-20%の勾配を用いて展開し
た。分離した画分(glyco-Pyd、Pyd、およびDpd)を、集めて凍結乾燥により濃
縮した。乾燥した残渣を0.2M酢酸で再構成し、4℃で保存した。最終物質の純度
は、重量分析および元素分析により測定した。
尿の架橋物−ペプチドは、ヒトの尿を、1000ダルトン分子量カットオフ透析膜
(Spectra-Por)を用いて、十分に透析することにより調製した。ペプチド画分
のT-PydおよびT-Dpd架橋
物の含有量は、ペプチドサンプルを6NのHClで110℃で16時間加水分解し、次いで
PydおよびDpdについてHPLC分析することにより測定した。
次いで500μlの10mMグリシン(0.1Mリン酸緩衝液、pH7.5中)を添加することに
より反応を停止させ、混合液を、光を遮って室温でさらに2時間インキュベート
した。次いで、反応を停止した混合液を4℃で暗くして、PBSを4回交換して透
析した(各2Lずつ、4時間おき)。
透析液中でのDpd対APの化学量論は、分光光度計により326nmおよび280nmでの
吸光度を測定して決定した。Dpd対APの比は、代表的には1:1から2:1であった。A
P-H-Dpd複合体の酵素的活性は、標準APアッセイの天然型APの活性の%として決
定した。
実施例8
抗Dpd抗体でコーティングしたプレートの調製
96ウェルのELISAプレートを以下のようにコーティングした。0.05%のNaN3を含
むPBS中に3μg/mlのウサギ抗マウスIgGを含む200μlの溶液を各ウェルに添加し
、次いでプレートを室温で18〜24時間インキュベートした。インキュベーション
後、
20を含むPBS)を用いて洗浄した。最後の洗浄でウェルを吸引
05% NaN3、0.1%ウシ血清アルブミン、および10ng/mlマウス抗Dpdモノクローナル
抗体(13D4)、pH7を含む150μlの捕獲溶液を各ウェルに添加した。プレートを
室温で18〜24時間インキュベートした。インキュベーションが完結した後、各ウ
ェ
ルを上記のように洗浄用緩衝液で3回洗浄した。ウェルを最後に吸引した後、10
%スクロース、100mMリン酸塩、150mM NaCl、および0.05% NaN3(pH7)を含む25
0μlの保存溶液を各ウェルに添加して、プレートを室温で1時間インキュベート
した。その後保存溶液を吸引によって除き、プレートを37℃、10%以下の湿度で
18〜24時間置いた。コーティングされたプレートは、乾燥剤のパックと一緒にホ
イルで密封し、室温で保存した。
実施例9
血清Dpdのイムノアッセイ
N-Dpdの標準溶液および血清サンプルを2組ずつ試験した。標準溶液は代表的
には0.05% NaN3および10mg/mLウシ血清アルブミンを含む10mM PBS中の0、0.05、
0.1、0.2、0.4、1.0、3.0、および9.0nMのN-Dpdからなるものであった。
400μlの各標準溶液または血清サンプルアリコートに40μlの50% v:vトリクロ
ロ酢酸(TCA)水溶液を添加した。そして得られた混合物を短時間ボルテックス
にかけ、10,000rpmで5分間遠心分離した。各遠沈管から上清を集めて(300μl
)、3NのNaOHでpHを7.0±0.5に合わせた。
実施例8からの抗Dpd抗体でコーティングしたプレートの各ウェルに、100μl
のTCA沈澱した標準または血清サンプル、および50μlのDpdアルカリホスファタ
ーゼ溶液(〜75ng/mL Dpd-AP複合体、100mM PBS、0.7%ウシ血清アルブミン、0.3
%スク
0.05%アジドを含む)添加した。プレートを4℃で一晩インキ
BSでウェルを洗浄した。
各ウェルに残ったDpdアルカリホスファターゼ複合体を、各ウェルに150μLの
基質溶液(1Mジエタノールアミン中のp-ニトロフェニルホスフェート2mg/mL、p
H10、1mM MgCl2を含む)を添加し、室温で1時間インキュベートし、50μLの3N
NaOHを添加することにより酵素反応を停止し、そして405nmでのウェルの光学密
度をVmaxリーダー(Molecular Devices Corp.)を用いて読みとることによりア
ッセイした。
採集の際に、各抗血清を、実施例13に記載したアッセイ形式を用いてPyd結合
親和性について試験した。簡単にいうと、血清由来の抗Pyd抗体の固体支持体に
固定されたPydへの結合を、アルカリホスファターゼで標識したヤギの抗ウサギI
gG抗体試薬を用いて検出した。
免疫化した動物は、それらの抗血清が次のパラグラフでさらに定義する以下の
基準を満たした場合、飼育し続けた:アミノ酸(AA)<20%、Pyd-ペプチド<10%
、力価>5000、および0から25nMのPydシグナルの分離>全変化シグナルの10%。
最も強い反応性抗血清のプロフィールを以下の表7に示す。これらは、実施例
13に記載のアッセイ形式を用いて測定した。
第1の欄は、ウサギ抗血清の由来する免疫化プログラムを示す。第2の欄は、分
析のためにプールした採血を示す。「力価」と書いてある欄は、イムノアッセイ
中で、Pyd-ネガティブ(Pydの存在無し)の光学密度読み取り値が1.2〜1.6を達
成するのに必要な各抗血清の希釈度を示す。
得られたPyd-ストレプトアビジンの分光測定分析は、ストレプトアビジン1当量
当たり1当量と2当量との間のピリジノリンが結合していることを示唆した。
96ウェルのELISAプレートの各ウェルを、以下のようにN-Pydでコーティングし
た。各ウェルに、PBS中3.8μg/mlのビオチン−オボアルブミン溶液150μlを添加
し、次に2〜8℃で一晩インキュベートした。マイクロプレートをPBSで洗浄し
、1mg/mlのォボァルブミン200μlを添加して室温で一晩インキュベートすること
によりブロックした。次いでマイクロプレートをPBSで2回洗浄した。ストレプ
トアビジン−Pyd複合体は、ビオチンへの結合を媒介するストレプトアビジンを
介して固定される。PBS中100μg/mlのストレプトアビジン−Pydを含む150μlの
溶液を、ビオチン−オボアルブミンでコーティングしたマイクロプレートの各ウ
エルに添加した。室温で1時間インキュベートした後、プレートをPBSで2回洗
浄した。残った液体は、対流式オーブン内で37℃で一晩乾燥させることにより、
マイクロプレートから除いた。
実施例13
ポリクローナル抗体試薬を用いるPydのイムノアッセイ
上記表4および7で特徴づけられたウサギポリクローナル抗体VI-8、および実
施例12に記載のN-Pydでコーティングしたマイクロタイタープレートを用いて、
以下のイムノアッセイを行った。
N-Pydの標準溶液および血液血清サンプルを2組ずつ試験した。標準溶液は、
アッセイ緩衝液(150mM NaClを含む100mMリ
0.1% BSA)中の0nM、0.2nM、0.6nM、2.0nM、6.0nM、および24nM N-Pydからなる
ものであった。血清サンプルを、アッセイの前に、Centricon-30(Amicon,Mass
.)濾過装置を通して濾過した。
サンプルまたは標準(25μl/ウェル)を添加した後、アッセイ緩衝液で20,000
倍に希釈したVI-8抗血清を125μl/ウェルで添加し、次いでアッセイプレートを
4℃で一晩インキュベートした。
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フロントページの続き
(31)優先権主張番号 08/037,602
(32)優先日 1993年3月26日
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 08/140,284
(32)優先日 1993年10月20日
(33)優先権主張国 米国(US)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BR,CA,CZ,FI,JP,
KP,KR,NO,NZ,US
(72)発明者 ゴメッツ,バルタザール,ジュニア
アメリカ合衆国 カリフォルニア 94538,
フレモント,グリマー ブールバード
40390