【発明の詳細な説明】
着色塗料組成物
産業上の利用分野
本発明は自動車用上塗り塗料およびコイルコーティング塗料に好適に用いられ
る耐擦り傷性、耐酸性、高い外観を有する着色塗料組成物に関する。
従来の技術
アミノプラストを硬化剤とするソリッドカラーの塗料組成物は従来から広く知
られている。しかしながら、アミノプラストのみを硬化剤とする場合、塗膜の架
橋部位での耐酸性が悪く、特に最近問題になっている酸性雨により塗膜欠陥を生
じている。
本発明者らはすでにハーフエステル基を含有する酸無水物ポリマーおよび水酸
基とエポキシ基とを含有するポリマーを含む硬化性樹脂組成物を提案している。
この塗料組成物は酸無水物硬化システムを用いているので、耐酸性が強く、酸性
雨による塗膜欠陥を大きく改善する。しかしながら、この本発明者らが提案した
塗料系は、基本的にクリヤー塗料を目的とするものであり、顔料を含むソリッド
カラーの塗料組成物について検討がなされていない。
ソリッドカラーの場合、上記耐酸性のみならず、高い外観性能、高い耐擦り傷
性能等が要求される。また、塗料組成物は高不揮発分であることも重要である。
一方、耐酸性のみならず高い耐擦り傷性を両立する為に、高密度の架橋塗膜作り
が不可欠となっている。その結果、焼付け硬化時の応力歪が塗膜界面にたまり、
下地に対する付着性を低下させるという問題が生じている。
発明の要約
本発明は、本発明者が既に提案した上記クリヤーの塗料系に対し、特定の顔料
分散樹脂で分散した顔料、および特定樹脂を規定量配合することにより、耐擦り
傷性、耐酸性、高い下地付着性および高い外観性能を満足したソリッドカラー塗
料組成物を提供する。
すなわち、本発明は(1)酸価5〜300mgKOH/g(固形分)、水酸基価5〜
300mgKOH/g(固形分)および数平均分子量400〜6,000を有し、酸成
分およ
びアルコール成分から調製され、酸成分が炭素数12以上の直鎖を有する酸をポ
リエステル樹脂の総モノマー量に基づいて25重量%以下の量で含有するポリエ
ステル樹脂およびそれらを塩基性物質で変性したものから選ばれた一種以上の顔
料分散樹脂10〜60重量%、
(2)アミノプラスト硬化剤1〜40重量%、
(3)(i)(1)酸無水物基含有エチレン性飽和モノマー15〜40重量%
と(2)他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー60〜85重量%とを共重
合させることにより得られる酸無水物基含有ポリマーを、(ii)1〜12個の炭
素原子を含有する水酸基含有化合物と、酸無水物基/水酸基のモル比で1/10
〜1/1となる割合の量で反応させることにより得られる、カルボキシル基とカ
ルボン酸エステル基とを有するポリマー5〜60重量%;
(4)(i)式
Rは水素原子またはメチル基であり、
Yは炭素数2〜8の直鎖あるいは分岐のアルキレン基
mは3〜7の整数であり、qは0〜4の整数である。
R1または水素原子またはメチル基であり、nは2〜50の整数。
で示す構造を有する水酸基含有エチレン性不飽和モノマー5〜70重量%、(ii
)エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー10〜60重量%、および必要に応
じて(iii)他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー0〜85重量%、を共
重合することにより得られる、水酸基とエポキシ基とを含有するポリマー5〜6
0重
量%;および
(5)顔料(但し、成分(1)〜(4)の配合量は組成物中の樹脂固形成分に
基づき、成分(3)(4)のモノマーの配合量はその成分のモノマー全量に基づ
く)を含有する着色塗料組成物を提供する。
上記着色塗料組成物には、耐擦り傷性および不揮発分含量を向上させるために
、(6)水酸基とカルボキシル基を有するアクリル樹脂または(7)特定の構造
の水酸基とカルボキシル基の両者を有するシリコーンポリマーのいずれか一方ま
たは両者を含んでもよい。
成分(1)
本発明に用いるポリエステル樹脂は通常の酸(酸無水物を含む)と多価アルコ
ールの縮合反応により製造される。使用しうる酸としては、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テト
ラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸などの二塩基
酸、および無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキ
セントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸等の酸無水物類が挙げられる。
ポリエステル樹脂の調製の為に酸は一般に多塩基酸、特に二塩基酸であるが、一
塩基酸(例えば、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、
大豆油脂肪酸、ココナッツ脂肪酸等)を酸として用いてもよい。必要に応じてポ
リエステル樹脂は油脂類、例えばヒマシ油、ヤシ油、アマニ油、パーム核油、サ
フラワー油、大豆油、キリ油、トール油、脱水ヒマシ油で変成してもよい。本発
明において重要なことは、ポリエステル樹脂が酸成分とアルコール成分とから調
製されるが、酸成分が炭素数12以上の直状炭素鎖を有する酸をポリエステル樹
脂モノマー全体の25重量%以下、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜
15%含有する。炭素数12以上の直状炭素鎖を有する酸成分は一塩基酸および
脂肪酸から誘導して良い。炭素数12以上の直状炭素鎖を有する酸を酸成分で2
5重量%を越えて使用した場合、下地に対する付着性が悪くなる。
使用しうる多価アルコール類の例としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチ
レ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレ
ングリコール、水素化ビスフェノールA、フェノールジヒドロキシプロピルエー
テル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。ある種のエポキシ化
合物、例えばカルデュラE−10(シェル化学社から市販)も多価アルコールと
して使用してもよい。
ポリエステル樹脂は通常のエステル化反応により合成される。すなわち、多
価アルコールと多塩基酸による脱水縮合反応もしくは多価アルコールと酸無水物
反応によるエステル化およびさらにアルキル成分との脱水反応によりポリエステ
ル化する反応により高分子量化していく。
生成したポリエステル樹脂は酸価5〜300mgKOH/g(固形分)、水酸基価5
〜300mgKOH/g(固形分)および数平均分子量400〜6,000を有する。
上記ポリエステル樹脂中に存在する水酸基は樹脂を軟らかくするためにラクトン
類で鎖延長してもよい。好適に用いられる鎖延長ラクトン類はγ−ブチロラクト
ン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
上記ポリエステル樹脂は顔料分散性を向上させるために特開昭59−1382
69号公報で示されるようにアミノプラストやヒドロキシエチルエチレンイミン
(例えば、相互薬工の「HEA」)、2−ヒドロキシプロピル−2−アジリジニ
ルエチルカルボキシレート(例えば相互薬工「HPAC」)などの塩基性物質に
より変性してもよい。変性剤の量は樹脂の重量に対し1〜10重量%が好ましい
。1重量%以下では十分な変性効果が得られず、10重量%を越えると樹脂の安
定性が悪くなる。
成分(2)
本発明に用いるアミノプラスト硬化剤は従来から塗料に用いられている一般的
なものであって、メラミン、ベンゾグアナミン、水素化ベンゾグアナミン、尿素
とホルムアルデヒドの付加体をアルコール変性したものが用いられる。好適には
メラミン化合物とホルムアルデヒドを反応せしめ特に縮合生成物のメチロール基
をメタノールおよびブタノールのような低級アルカノールによって部分的もしく
は完全にエーテル化することによって得られるメラミンの変性物が用いられる。
成分(3)
本発明の硬化性樹脂組成物に用いるカルボキシル基とカルボン酸エステル基と
を有するポリマー(3)は、酸無水物基含有ポリマー(3)(i)と水酸基含有
化合物(3)(ii)とを反応させることにより得られるハーフエステル基含有ポ
リマーである。酸無水物基含有ポリマー(3)(i)は、酸無水物基含有エチレ
ン性不飽和モノマー(3)(i)(a)15〜40重量%、好ましくは15〜3
0重量%と他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(3)(i)(b)60
〜85重量%、好ましくは70〜85重量%とを共重合させることにより得られ
る。酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー(3)(i)(a)の量が15重
量%を下回ると硬化性が不足し、40重量%を上回ると得られる塗膜が固くもろ
くなりすぎて耐候性が不足する。
酸無水物基含有エチレン性不飽和モノマー(3)(i)(a)の具体例には、
無水イタコン酸、無水マレイン酸および無水シトラコン酸等が挙げられる。他の
共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(3)(i)(b)は酸無水物基に悪影
響を与えないものであれば特に限定されず、エチレン性不飽和結合を一つ有する
炭素数3〜15、特に2〜12のモノマーであることが好ましい。
2種以上のエチレン性不飽和モノマーを混合して他の共重合可能なエチレン性
不飽和モノマー(3)(i)(b)として用いることも可能である。樹脂同士の
相溶性を向上させるのに有効だからである。好適に用いうるこのようなモノマー
の具体例には、スチレン、スチレン誘導体(例えば、α−メチルスチレン、p−
t−ブチルスチレン)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ
)アクリル酸−n、i、およびt−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ルおよび(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(
メタ)アクリル酸イソボロニル等)、シェル社製のVeoVa-9およびVeoVa-1
0等が挙げられる。アクリル酸およびメタクリル酸のようなカルボキシル基を有
するモノマーも用いうる。他の共重合可能なモノマーとしてスチレンあるいはス
チレン誘導体を用いる場合は、5〜40重量%の量で使用するのが好ましい。4
0重量%以上では耐候性が低下する。
共重合は、例えばラジカル重合等の溶液重合のような公知の方法により行われ
、
例えば、重合温度100〜150℃、重合時間3〜8時間で行うことができる。
開始剤としてはアゾ系またはパーオキサイド系の開始剤が好適に用いられる。連
鎖移動剤のような他の添加剤も用いうる。得られるポリマーの数平均分子量は1
500〜8,000、特に2,000〜5,000であることが好ましい。数平
均分子量が8,000を上回ると樹脂同士の相溶性が低下し、外観が低下する。
数平均分子量が1,500を下回ると硬化性樹脂組成物の硬化性が不充分となる
。得られるポリマーは1分子中に平均で少なくとも2個、好ましくは2〜15個
の酸無水物基を有する、1分子中に含有される酸無水物基が2個を下回ると、硬
化性樹脂組成物の硬化性が不充分となる。15個を上回ると固くもろくなりすぎ
、耐候性が不足する。
次いで、得られたポリマーを、酸無水物基/水酸基の比がモル比で1/10〜
1/1、好ましくは1/5〜1/1.2となる割合の量で水酸基含有化合物(3
)(ii)と反応させることにより、カルボキシル基とカルボン酸エステル基とを
有するポリマー(3)を調製する。1/10を下回ると過剰のアルコールが硬化
時にワキの原因となり、1/1を上回ると未反応の無水物基が残り、貯蔵安定性
が悪くなる。
本発明に用いうる水酸基含有化合物(3)(ii)は例えば、1〜12個、好ま
しくは1〜8個の炭素原子を有するモノアルコールである。加熱時アルコールが
揮発し酸無水物基を再生するのに良好だからである。好適に用い得る水酸基含有
化合物には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n
−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノー
ル、アセトール、アリルアルコール、フルフリルアルコールおよびプロパルギル
アルコール等が挙げられる。特に好ましいものはアセトール、アリルアルコール
、プロパルギルアルコール、フルフリルアルコールおよびメタノールである。
ポリマー(3)は、固形分換算で酸価30〜250mgKOH/g、好ましくは
50〜200mgKOH/g、より好ましくは70〜180mgKOH/gを有するポ
リマーである。上限を越えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下まわると硬化性
が低下する。
成分(4)
本発明の樹脂組成物に用いる水酸基とエポキシ基とを有するポリマー(4)は
、1分子中にエポキシ基を平均で好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜8
個、および水酸基を平均で好ましくは2〜12個、より好ましくは4〜10個有
する。また、エポキシ当量は好ましくは100〜800、より好ましくは200
〜600であり、ヒドロキシ当量は好ましくは200〜1,200、より好まし
くは400〜1,000である。エポキシ当量が上記上限より大きいと硬化性樹
脂組成物の硬化性が不充分となる。また、下限より小さいと硬くなりすぎて塗膜
がもろくなるので好ましくない。ヒドロキシ当量が200未満だと硬化塗膜の耐
水性が十分でなく、1,200を超えると硬化性が充分でなく好ましくない。
このようなポリマー(4)は、式
Rは水素原子またはメチル基であり、
Yは炭素数2〜8の直鎖あるいは分岐のアルキレン基
mは3〜7の整数であり、qは0〜4の整数である。
R1または水素原子またはメチル基であり、nは2〜50の整数。
で示す構造を有する水酸基含有エチレン性不飽和モノマー(4)(i)5〜70
重量%、好ましくは15〜50重量%、エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマ
ー(
4)(ii)10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、および必要に応じ
て他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(4)(iii)0〜85重量%、
好ましくは10〜60重量%、を共重合することにより得られる。水酸基含有エ
チレン性不飽和モノマーが5重量%以下では硬化性が不足し、70重量%以上で
は相溶性が不足するので反応が充分に進行しない。エポキシ基含有エチレン性不
飽和モノマーが10重量%以下では硬化性が不足し、60重量%以上では硬くな
りすぎて耐候性不足となる。
水酸基とエポキシ基とを有するポリマー(4)を調製するために用いうる水酸
基含有エチレン性不飽和モノマー(4)(i)の水酸基を有する側鎖(式(I)
中X)は、短すぎると架橋点近傍のフレキシビリティーがなくなるため固くなり
すぎ、長すぎると架橋点間分子量が大きくなりすぎる。したがって、Xは炭素数
2〜20であることが好ましく、4〜10であることがさらに好ましい。モノマ
ー(4)(i)は具体的には、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メ
タ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシブチルおよびこれらのε−カプロラクトンとの反応物が挙げられる。こ
のような化合物は市販されており、例えば、三菱化成(株)製「4HBA」のア
クリル酸4−ヒドロキシブチル、三菱化成(株)製「4HBMA」のメタクリル
酸4−ヒドロキシブチル、ダイセル化学工業(株)社製「プラクセルFM1」、
「プラクセルFA1」等が挙げられる。または、このような化合物は、(メタ)
アクリル酸と大過剰のジオール(例えば、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサ
ンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)をエステル
化することにより調製することができる。その中で、ポリプロピレングリコール
系モノマーとしては日本油脂社製の「ブレンマーPP−1000」、「ブレンマ
ーPP−800」およびポリエチレングリコール系モノマーとしては「ブレンマ
ーPE−90」、「ブレンマーPE−350」がある。好ましいモノマー(4)
(i)としては(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸
6−ヒドロキシヘキシ、それらとε−カプロラクトンとの反応生成物、(メタ)
アクリル酸2−ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの反応生成物、および
(メタ)アクリル酸と大過剰のエチレングリコールまたプ
ロピレングリコールとの反応生成物が挙げられる。
モノマー(4)(ii)としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよ
び(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキサニルメチル等が挙げられる
。その他のモノマー(4)(iii)としては、酸無水物基含有ポリマー(3)(i
)を調製するために「他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(3)(i)
(b)」として上述したモノマーが挙げられる。
共重合は、例えば溶液中のラジカル重合等のような公知の方法により行われ、
例えば、重合温度100〜150℃、重合時間3〜8時間で行うことができる。
開始剤としてはパーオキサイド系およびアゾ系開始剤が好適に用いられる。また
、ラジカル重合開始剤は、全モノマーに対し3〜15重量%の量で用いることが
好ましい。上記モノマー組成物には、その他添加剤として連鎖移動剤等を加えて
も良い。得られるポリマーは、分子量500〜8,000、特に1,500〜5
,000とすることが好ましい。
塗料組成物中の成分(1)〜(4)の配合量は以下の通りである。
成分(1):10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%、より好ましく
は20〜40重量%
成分(2):1〜40重量%、好ましくは3〜25重量%、より好ましくは3
〜15重量%
成分(3):5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは
10〜40重量%
成分(4):5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは
10〜40重量%
尚、重量%は塗料中の樹脂固形分(100重量%)に対する値である。成分(
1)が10重量%より少ないと組成物のリコート性および塗膜の外観が低下し、
60重量%を越えると組成物の硬化性および塗膜の耐酸性が低下する。成分(2
)が1重量%より少ないと組成物の硬化性が不足し40重量%を越えると塗膜の
耐酸性が低下する。成分(3)が5重量%より少ないと、塗膜の耐酸性が低下し
、60重量%を越えると塗膜が硬くなり過ぎる。成分(4)が5重量%より少な
い組成物の硬化性が不足し、60重量%より多いと塗膜の耐黄変性が悪化する。
成分(5)
本発明の塗膜組成物には、上記4成分の他に顔料(成分(5))を含む。使用
し得る顔料としては、当業者に公知のものが使用できるが、たとえば、着色顔料
としては、二酸化チタン、鉛白、硫化亜鉛、グラファイト、カーボンブラック、
黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キ
ナクリドン、インダンスロン、イソインドリノン、ペリレン、アンスラピリミジ
ン、ベンズイミダゾロン、酸化鉄、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、ク
ロムイエロー、ジケトピロロピロール等が挙げられる。他にアゾ顔料、インジゴ
顔料、アントラキノン顔料等を用いてもよい。
体質顔料としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸
、珪酸塩、アルミニウム水和物、硫酸カルシウム等の無機物が挙げられる。
塗料組成物中の顔料含有量は、通常は顔料/塗料組成物中の樹脂固形物の重量
比として表され、0.01/1〜1/1、好ましくは0.03/1〜0.9/1
の範囲内である。
顔料は通常、成分(1)の樹脂とともに顔料ペーストを形成して、塗料中に配
合される。顔料ペーストの形成方法は当業者に公知の方法で、例えば、ボールミ
ル、サンドミルを用いて行われる。
成分(6)
本発明の硬化性樹脂組成物には、耐擦り傷性が低下しやすい濃色系塗料、例え
ば赤、黒、緑、青等の塗料に於いて、耐擦り傷性を上げるために水酸基とカルボ
キシル基を有するアクリル樹脂(6)を配合してもよい。耐擦り傷性を高くする
には、アクリル樹脂(6)のポリマー骨格と水酸基およびカルボキシル基の距離
が炭素数で4〜20個程度離れている方が、好ましい。このようなアクリル樹脂
(6)は特願平5−181262号の特許請求の範囲第1項の成分(a)が好適
に用いられる。具体的には、上記成分(4)に用いた化学式(I)で表される水
酸基含有エチレン性不飽和モノマーと酸無水物基含有化合物とを水酸基と酸無水
物基とが1/0.9〜1/0.5のモル比となる割合の量で混合して反応させて
得られることにより得られるカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーと水
酸基含有エチレン性不飽和モノマーと他のエチレン性モノマーを共重合すること
により得られる
ポリマーが挙げられる。
この成分(6)の配合量は組成物の固形分に基づいて1〜30重量%、好まし
くは5〜15重量%が一般的である。1重量%より少ないと濃色系での耐擦り傷
性が低下する欠点を有し、30重量%を越えると塗膜が柔らかくなりすぎる欠点
を有する。
成分(7)
耐擦り傷性と高固形成分化とをより向上させるために、式:
[式中、R1はメチル、フェニルまたはフェニルエチル基であり、R2およびR3
は、独立して、メチル、フェニル、フェニルエチル、3−ヒドロキシプロピルま
たは3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル基であり、R4はメチル、3-ヒドロキ
シプロピルまたは3−(ヒドロキシエトキシ)プロピル基であり、R5はメチル
、フェニル、フェニルエチルまたはイソブチル基であり、hは1〜20の整数で
あり、jは2〜4の整数であり、kは0〜2の整数であり、()でくくったh、
j、kの各グループの順序はランダムであり、記載の化学式に限定されない。]
で示す構造を有する化合物からなる群から選択される少なくとも1種である1分
子内に平均で3〜12個の水酸基を有する水酸基含有シリコーンポリマーと、(
ii)酸無水物基含有化合物とを、水酸基と酸無水物基とが1/1.0〜1/0.2
となる割合の量でハーフエステル化反応させることにより得られる、水酸基とカ
ルボキシル基とを有するシリコーンポリマーを配合してもよい。このシリコーン
ポリマーは成分(6)を含まない系に配合しても、また成分(6)とともに本発
明の着色組成物に配合してもよい。
水酸基とカルボキシル基とを有するシリコーンポリマー(7)は、水酸基含有
シリコーンポリマー(7)(i)と酸無水物基含有化合物(7)(ii)とをハー
フエステル化反応させることにより得られる。
本発明に用いうる水酸基含有シリコーンポリマー(7)(i)の製造法は、199
0年
有機ケイ素材料化学シンポジウム要旨集、第29〜30頁に記載されている。こ
れらの数種類は市販されており、例えば、信越化学社製KR−2001等および
日本ユニカー社製NUC−Siliconeシリーズが挙げられる。市販のものの化学式を
示すと以下の通りである。
[式中、Meはメチル基であり、Phはフェニル基であり、
そしてAは3-(ヒドロキシエトキシ)プロピル基である。]
[式中、Me、Ph、Aは上記の通り、およびiBuは
イソブチル基を示す。]
[式中、Me,PhおよびAは上記と同意義である。]
[式中、Me,PhおよびAは上記と同意義である。]
[式中、Me,PhおよびAは上記と同意義である。]
[式中、Me,PhおよびAは上記と同意義である。]
この水酸基含有シリコーンポリマー(7)(i)は1分子内に平均で3〜12個
の水酸基を有することが好ましい。水酸基含有シリコーンポリマー(7)(i)
1分子に含有される平均水酸基数が3を下回ると組成物の硬化性不足となり、1
2を上回ると粘度が高くなり不揮発分が低くなる。
本発明に用いうる酸無水物基含有化合物(7)(ii)は室温〜120℃、常圧
のような通常の反応条件において水酸基と反応することによりカルボキシ官能性
を提供する化合物であれば特に限定されない。ここでは、炭素数8〜12を有す
る環状(不飽和もしくは飽和)の基を有する酸無水物基含有化合物を用いること
が好ましい。このような化合物を用いる方が樹脂の相溶性が良好だからである。
好ましい酸無水物基含有化合物(7)(ii)の具体例には、ヘキサヒドロ無水フ
タル酸、無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無
水フタル酸および無水トリメリット酸等が挙げられる。
水酸基含有シリコーンポリマー(7)(i)と酸無水物基含有化合物(7)(i
i)とのハーフエステル化反応は通常の方法に従い、例えば、室温から120℃
の温度で、30分〜8時間行なわれる。120℃を上回るような激しい条件で長
時間反応を行うと、エステル化反応が生じることにより高分子量のシリコーンポ
リエステルが生成する。このようなシリコーンポリエステルは、官能基数が少な
く高粘度となるので、本発明に用いるのに好ましくない。反応割合は水酸基と酸
無水物基とが1/1.0〜1/0.2となる割合の量で行うことが好ましい。この
割合が1/0.2を上回ると塗膜の耐水性が不良となり、1/1.0を下回ると過
剰の酸無水物が系内に残るので、塗料に用いる際に副反応を起こし好ましくない
。
このようにして得られる水酸基とカルボキシル基とを有するシリコーンポリマ
ーは、500〜6,000、特に1000〜4500の範囲の数平均分子量(Mn
)を有することが好ましい。数平均分子量が6,000を上回ると粘度が高くな
り不揮発分が低下し、500を下回ると硬化性不足となる。そして、この水酸基
とカルボキシル基とを有するシリコーンポリマーは、20〜180mgKOH/g
(固形分)、特に35〜150mgKOH/g(固形分)の範囲の酸価および2〜
120mgKOH/g(固形分)、特に10〜100mgKOH/g(固形分)の範囲
の水酸基価を有することが好ましい。特に、酸価が20mgKOH/g(固形分)下
回
ると組成物の硬化性不足となり、180mgKOH/g(固形分)を上回ると組成
物の不揮発分が低下する。なお、本発明で用いるポリマーの数平均分子量はGP
C法により求められる。
成分(7)の塗料組成物中での配合量は樹脂固形分に対し、5〜50重量%、
好ましくは6〜30重量%である。より好ましくは8〜25重量%。5より少な
いと、塗膜の耐擦り傷性が悪く、50重量%を越えると塗膜が柔らかくなり過ぎ
て耐酸性が低下する。
上記各成分の配合量(重量)の関係は以下の通りであるのが好ましい。
4/6<成分(3)+成分(4)(+成分(6)または(7))/成分(1)
<9/1
6/4<成分(1)+成分(3)+成分(4)(+成分(6)または(7))
/成分(2)
式中、(+成分(6)または(7))は成分(6)または(7)が存在する場
合、その量を加える意味である。成分(1)が成分(3)+(4)(+(6)ま
たは(7))に対し10重量%より少ないと、リコート性が悪く、逆に60重量
%を越えると塗膜の耐水性が悪くなる。アミノプラスト樹脂(成分(2))は成
分(1)+(3)+(4)(+(6)または(7))に対し40重量%を越える
と耐酸性が悪くなる。
上記成分の他にも、本発明の硬化性樹脂組成物には、例えば4級アンモニウム
塩のような酸とエポキシとのエステル化反応に通常用いられる硬化触媒を含んで
もよい。本発明の硬化性樹脂組成物に用い得る他の触媒の具体例には、ベンジル
トリエチルアンモニウムクロリドもしくはベンジルトリエチルアンモニウムブロ
ミド、テトラブチルアンモニウムクロリドもしくはテトラブチルアンモニウムブ
ロミド、テトラブチルアンモニウムサリチレートもしくはテトラブチルアンモニ
ウムグリコレート、テトラブチルアンモニウムパラトルエンスルホネート等が挙
げられる。これらの触媒は混合して用いてもよい。この触媒の配合量は樹脂組成
物固形分に対し0.1〜2.0重量%が好ましい。好ましくは0.1〜1.5重
量%、さらに好ましくは0.4〜1.2重量%、多すぎると組成物の貯蔵安定性
が低下し、少なすぎると硬化性が低下する。また、特開平2−151651号公
報および同第2−279713号公報に記載のように、スズ系の化合物をこれら
と併用してもよい。スズ系触媒には、例えば、ジメチルスズビス(メチルマレー
ト)、ジメチルスズビス(エチルマレート)、ジメチルスズビス(ブチルマレー
ト)、ジブ
チルスズビス(ブチルマレート)等が挙げられる。硬化触媒とスズ化合物の重量
比は1/4〜1/0.2が好ましい。スズ系触媒の配合量は樹脂組成物固型分に
対し、0.05〜6.0重量%、好ましくは0.1〜4.0重量%、より好まし
くは0.4〜3.0重量%。少ないと組成物の安定性が低下し、多いと塗膜の耐
候性が低下する。
架橋密度を上げ、耐水性の向上をはかるために、本発明の樹脂組成物にブロッ
ク化イソシアネートを加えてもよい。また、塗装膜の耐候性向上のために、紫外
線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤等を加えても良い。更に
レオロジーコントロール剤として架橋樹脂粒子や、外観の調整の為表面調整剤を
添加しても良い。更にまた、粘度調整等のために希釈剤としてアルコール系溶剤
(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、およびブタノール等)、ヒ
ドロカーボン系、およびエステル系等の溶剤を使用しても良い。
また、本発明で用いる樹脂は酸基を官能基として有する。したがって、アミン
で中和することにより、水を媒体とする水性樹脂組成物とすることも可能である
。
本発明の塗料組成物の製造法は特に限定されず、当業者に周知の全ての方法を
用いうる。
本発明の塗料組成物は、スプレー塗装、刷毛塗り塗装、浸漬塗装、ロール塗装
、流し塗装等により塗装しうる。基板は必要に応じ、下塗りまたは中塗りされて
いてもよい。下塗り塗料および中塗り塗料は公知のものを用いうる。
本発明の塗料組成物はいかなる基板、例えば木、金属、ガラス、布、プラスチ
ック、発泡体等、特に、プラスチックおよび金属表面、例えばスチール、アルミ
ニウムおよびこれらの合金に有利に用いうる。
一般に、膜厚は所望の用途により変化する。多くの場合、0.5〜3ミルが有
用である。
基板への塗装後、塗膜を硬化させる。硬化は100〜180℃、好ましくは1
20℃〜160℃で高い架橋度の硬化塗膜を得られる。硬化時間は硬化温度等に
より変化するが、120℃〜160℃で10〜30分の硬化が適当である。
実施例
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定
されない。特に断らない限り、配合量は重量部で示す。合成例1 カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた2リットルの反応
容器にアーコソルブPMA(協和油化(株)社製;プロピレングリコールモノメ
チルエーテルアセテート)溶媒360部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル77
7部、ヘキサヒドロ無水フタル酸665部及びヒドロキノンモノメチルエーテル
0.48部を仕込、145℃に昇温し、20分間保持した。その後冷却し、反応
容器から取り出す事によりカルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを得た
。合成例2 水酸基とカルボキシル基を含むポリマーAの合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた3リットルの反応
容器にキシレン300部及びアーコソルブPMA溶媒200部を仕込み、130
℃に昇温した。次いで、合成例1で得られたカルボキシル基含有エチレン性不飽
和モノマー300部とt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルヘキサノエート
100部とを3時間かけて滴下した。30分間130℃に維持した後に、t−ブ
チルパーオキシ2−エチルヘキサノエート10部とキシレン100部との混合溶
液を30分かけて滴下した。30分間130℃に維持した後に冷却し、容器から
取り出す事により、水酸基とカルボキシル基とを有するポリマーAを得た。この
ポリマーは、不揮発分54%、数平均分子量2,000、固形分換算で酸価16
8mgKOH/g(固形分)、水酸基価40mgKOH/g(固形分)を有する透明な液体で
あった。合成例3 酸無水物基を含むポリマー(b−1)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応槽にキシレン
55重量部を仕込み、120℃に昇温した。
上記の容器に、滴下ロートを用い、スチレンモノマー30重量部、アクリル酸
2−エチルヘキシル11重量部、メタクリル酸2−エチルヘキシル37重量部、
マレイン酸無水物22重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート30重量部、及びt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート10重量部
とを3時間かけて滴下し、更に2時間攪拌を継続し、不揮発分53%、数平均分
子量3,300の酸無水物基を含む樹脂ワニス(b−1)を得た。合成例4 酸無水物基を含むポリマー(b−2)の合成
合成例3と同様にして、表1に示す成分を用いて酸無水物基を含むポリマー(
b−2)を得た。なお、得られたポリマーの不揮発分は52%であり、数平均分
子量は3,300であった。
合成例5 ハーフエステル化した樹脂(B−1)、(B−2)、(B−3)およ び(B−4)の製造
合成例3で得られたポリマー(b−1)175重量部に、トリエチルアミン1
.4重量部、及びメタノール8.6重量部を加え、40℃で2時間反応させ、ハ
ーフエステル化した樹脂(B−1)を得た。尚、この樹脂(B−1)について赤
外線吸収スペクトルを測定し、酸無水物の吸収(1785cm-1)が消失するのを
確認した。
樹脂(B−1)と同様にして、ハーフエステル化した樹脂(B−2)、(B−
3)および(B−4)を以下に示す成分を用いて得た。
合成例6 エポキシ基と水酸基とを含有する樹脂(C−1)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応槽にキシレン
52重量部、酢酸ブチル5重量部を仕込、120℃に昇温した。上記の反応槽に
、滴下ロートを用い、スチレンモノマー17重量部、メタクリル酸グリシジル3
2重量部、プラクセルFM−1(ダイセル化学製)41重量部、アクリル酸2エ
チルヘキシル10重量部、及び、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエイト
11重量部を3時間かけて滴下した。
滴下終了後30分間にわたり120℃で保持した後、t−ブチルパーオキシ2
エチルヘキサノエイト1重量部及びキシレン2重量部からなる溶液を30分間で
滴下した。
この滴下終了後更に2時間の間120℃にて反応を継続させ、エポキシ当量4
44、水酸基当量591の樹脂ワニス(C−1)を得た。合成例7
合成例6と同様にして、表2に示す成分を用いてエポキシ当量400と水酸基
当量401の樹脂(C−2)を合成した。
合成例8 アルキド樹脂(D−1)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた2Lの反応
槽にヤシ油159重量部、トリメチロールプロパン252.7重量部、ジブチル
錫オキサイド0.2重量部を仕込2時間かけて220℃に昇温した。約30分そ
の温度を保持し、エステル交換を終了した。但しエステル交換の終了は、メタノ
ールトレランスで確認をした。冷却後イソフタル酸128.1重量部、ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸238.5重量部、アジピン酸112.7重量部、ペンタエリ
スリトール98.2重量部、メチルペンタンジオール90.9重量部を仕込加熱
した。原料が融解し、攪拌が可能となれば攪拌を開始し、反応槽温度を220℃
まで昇温せしめた。但し、180℃から220℃までは、3時間かけて一定昇温
速度で昇温せしめた。生成する縮合水は、系外へ留去した。220℃に達したと
ころで保温し、保温1時間後、反応槽内に還流溶剤としてキシレンを10部徐々
に添加し、溶剤存在下の縮合に切り替え反応を続けた。樹脂酸価が10.0に達
したところで180℃に冷却し、ε−カプロラクトン(ダイセル化学製)200
重量部を添加1時間保温した後、100℃まで冷却した。更に、キシレン480
重量部を加えてアルキド樹脂(D−1)ワニスを得た。得られた樹脂は酸価10
mgKOH/g(固形分)、水酸基価220mgKOH/g(固形分)および数平均分
子量1,600を有した。合成例9 ポリエステル樹脂(D−2)の合成
合成例8で得たポリエステル樹脂ワニス143重量部にサイメル254(三井
サイアナミッド製)6重量部とキシレン7重量部を添加し、110℃で1時間保
温し、メラミン共縮合ポリエステル樹脂(D−2)を得た。合成例10 ポリエステル樹脂(D−3)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応槽に合成例9
で得たメラミン共縮合ポリエステル樹脂156重量部を仕込、80℃に昇温した
。
上記反応槽に滴下ロートを用い、HPAC1.95重量部、n−ブタノール1
.3重量部、キシレン5.0重量部とを30分かけて滴下し、更に30分攪拌を
継続し、塩基変性ポリエステル樹脂ワニス(D−3)を得た。合成例11 ポリエステル樹脂(D−4)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた2Lの反応
槽にヤシ油477重量部、トリメチロールプロパン275重量部、ジブチル錫オ
キサイド0.2重量部を仕込2時間かけて220℃に昇温した。約30分その温
度を保持し、エステル交換を終了した。但しエステル交換の終了はメタノールト
レランスで確認をした。冷却後イソフタル酸143重量部、ヘキサヒドロ無水フ
タル酸264重量部、アジピン酸125重量部、ペンタエリスリトール107重
量部、メチルペンタンジオール135重量部を仕込加熱した。原料が融解し、攪
拌が可能となれば攪拌を開始し、反応槽温度を220℃まで昇温せしめた。但し
、180℃から220℃までは、3時間かけて一定昇温速度で昇温せしめた。生
成する縮合水は系外へ留去した。220℃に達したところで保温し、保温1時間
後、反応槽内に還流溶剤としてキシレンを10部徐々に添加し、溶剤存在下の縮
合に切り替え反応を続けた。樹脂酸価が10.0に達したところで180℃に冷
却し、プラクセルM(ダイセル化学製)63重量部を添加1時間保温した後、1
00℃まで冷却した。更に、キシレン480重量部を加えてポリエステル樹脂(
D−4)ワニスを得た。得られた樹脂は
酸価 10(mgKOH/g)
水酸基価 188( 〃 )
数平均分子量 1000合成例12 ポリエステル樹脂(D−5)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、水分離機、精留塔を備えた2Lの反応
槽にトリメチロールプロパン213重量部、イソフタル酸184重量部、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸258重量部、ネオペンチルグリコール180重量部、ヒド
ロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル72重量部、ジブチル錫オキ
サイド0.2重量部を仕込加熱した。原料が融解し、攪拌が可能となれば攪拌を
開始し、反応槽温度を220℃まで昇温せしめた。但し、180℃から220℃
までは3時間かけて一定昇温速度で昇温せしめた。生成する縮合水は、系外へ留
去した。220℃に達したところで保温し、保温1時間後、反応槽内に還流溶剤
としてキシレンを10部徐々に添加し、溶剤存在化の縮合に切り替え反応を続け
た。樹脂酸価が10.0に達したところで160℃に冷却し、プラクセルM(ダ
イセル化学製)182重量部を添加2時間保温した後、100℃まで冷却した。
更にキシレン270重量部を加えてポリエステル樹脂ワニス(D−5)を得た。
得ら
れた樹脂は
酸価 8(mgKOH/g)
水酸基価 190( 〃 )
数平均分子量 1000
であった。合成例13 ポリエステル樹脂(D−6)の合成
合成例12で得たポリエステル樹脂ワニス143重量部にサイメル254(三
井サイアナミッド製)6重量部とキシレン7重量部を添加し、110℃で1時間
保温し、メラミン共縮合ポリエステル樹脂ワニス(D−6)を得た。
E−1
ユーバン20N−60:ブチル化メラミン(三井東圧化学(株)製)を用いた
。
E−2
サイメル202:メチルブチル混合アルキル化メラミン(三井サイアナミッド
(株)製)を用いた。
F−1
CR−97:酸化チタン(石原産業(株)製)を用いた。
実施例に用いる白顔料ペーストは次の成分を混合することにより作成した。
白顔料ペースト
組成 重量部
CR−97 600
D−2樹脂ワニス 308
キシレン 46
酢酸ブチル 46
比較例8に用いる白顔料ペーストは次の成分を混合することにより作成した。
組成 重量部
CR−97 600
C−1樹脂ワニス 308
キシレン 46
酢酸ブチル 46
F−2
イルガジンレッドDPP−BO:ピロロピロール系レッド顔料(チバガイギー
社製)を用いた。
赤顔料ペーストはD−2樹脂ワニスを用いるものと、D−6樹脂ワニスを用い
るものの2種類作成した。その組成は以下の通りである。
FW−200P:カーボンブラック(デグサ社製)を用いた。
黒顔料ペーストは次の成分を混合することにより作成した。
黒顔料ペースト
組成 重量部
FW−200P 40.5
D−3樹脂ワニス 354.1
キシレン 102.7
酢酸ブチル 102.7
G
硬化触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイドを用いた。
H
表面調製剤としてモダフロー(モンサント社製)を用いた。
顔料ペーストの分散例
上記顔料ペーストの組成を2L容器に仕込、卓上式サンドミル(大平システム
製)を用いて2000rpmで3時間かけて分散した。顔料ペースト中の顔料は粒
径5μm以下を有した。得られた顔料ペーストは以下の配合に使用し得るだけの
低い粒度と良好な安定性を有した。配合例
配合のつながり実施例1〜14、比較例1〜6
顔料分散樹脂に対応した各顔料ペーストを用いて固形分の配合が表3に示すよ
うな塗料を配合した。対比として現行塗料を用い、塗装法に従い塗膜化したもの
を耐酸性、耐擦り傷性の評価に用いた。結果を表3に同時に示す。比較例7、8
密着性の比較例として、合成例11で示したポリエステル樹脂(D−4)を用
い、表4に示すような塗料を配合した。対比として、実施例1の塗料を用い、下
塗りおよび中塗りされた下地の上に塗装、塗膜化し、密着性(下地付着性)評価
方法に従い評価した。
次に耐侯性評価の比較として合成例6の樹脂(C−1)で、顔料分散した顔料
ペーストを用いて表4に示すような塗料を配合した。対比として、実施例1の塗
料を評価した。密着性(下地付着性)、耐侯性評価の結果を表4に示す。
1)塗装法
リン酸亜鉛処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日本
ペイント製パワートップpu−50)を乾燥塗膜の厚さが約25μmとなるように
電着塗装した。
次に、得られた電着塗装塗膜上に中塗塗料(日本ペイント製、オルガP−2シ
ーラー)を乾燥塗膜の厚さが約40μmとなるようにエアースプレー塗装し、1
40℃30分焼き付けた。ついで、固形分の配合が表3および4に示すような塗
料を配合し、フォードカップNo.4で25秒に粘度調整し、エアースプレーで
乾燥膜厚が約40μmとなるように塗装、約7分間セッティング後、140℃で
30分間焼き付けた。評価方法
1)耐酸性
1重量%の硫酸溶液を60℃に保ち、試験片をこれに24時間浸漬した。その
後これを引き上げ、60°の光沢保持率(グロスリテンション)を測定した。評
価は、以下の基準により行った。
グロスリテンション
◎・・・90以上
○・・・70以上〜90未満
△・・・40以上〜70未満
×・・・40未満
2)耐擦傷性
カネヨ(株)製クレンザー50%水溶液を2重に重ねたネルに約1cc塗布し、
学振型摩擦堅牢度試験機の摺動ヘッドに固定した。700gの負荷をかけ摺動ヘ
ッドを10往復させた後、テスト部の20度グロスを測定し、グロスリテンショ
ンを算出した。評価は上記の1)の項と同様とした。
結果を表3に示す。
表3において、比較例6の現在のメラミンベースの赤塗料配合は以下の配合を有
した。
成分 重量部
イルガジンレッド DPP BO(赤顔料) 3.5
クロモフタールレッド A2B(赤顔料) 1.0
ポリエステル樹脂*1 25.0
アルキド樹脂*2 12.0
ユーバン128*3 15.0
ディスパロンKS-281*4 0.2
n−ブタノール 9.0
S−100 21.0
*1日本ペイント(株)から市販の酸価5、水酸基価80、数平均分子量3,
380および重量平均分子量27,200のポリエステル樹脂。
*2日本ペイント(株)から市販の油長20(ココナッツオイル)、酸価8、
水酸基価110、数平均分子量2,700およひ重量平均分子量16,000の
アルキド樹脂。
*3三井東圧(株)から市販のメラミン樹脂。
*4クスモト化成(株)から市販の表面調整剤。
3)密着性(下地付着性)
電気炉温度190℃に設定後、6gの5%硝酸溶液を500mlビーカーにとり
、電着塗膜上に中塗り塗料(日本ペイント製、オルガP−2シーラー)を塗布し
たテストピースと同時に電気炉にいれる。その時のNOx濃度を煙道排ガス用島
津化学発光式窒素酸化物測定装置(型式NOA−304)で測定したところ30
ppmであった。30分焼付けた後デシケーター中で冷却し、調製した上塗り塗料
を乾燥塗膜で40μになるようにエアースプレーで塗装し120℃で30分焼付
ける。ついで、2mm四方の大きさで100個の碁盤目を切り、テープテストによ
り剥離の有無を調べる。密着性は、剥離している碁盤目の数で表示する。結果を
表4に示す。
4)耐候性
アイスーパーUVテスター(岩崎電気製)で照射24時間50℃100%のヒ
ューミディティ−24時間を1サイクルとしたサイクルテストを5サイクル実施
しグロスを測定した。
結果を表4に示す。
合成例14 水酸基とカルボキシル基を有するシリコーンポリマー(I−1)
の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた2リットルの反応容器に酢酸ブ
チル140部、信越化学社製KR−2001の1088部およびヘキサヒドロ無
水フタル酸370部を仕込み、125〜130℃に昇温し、2時間反応させた。
IR分析により酸無水物基の吸収の消失を確認した後に、酢酸ブチル206部を
添加することにより、無色透明のワニス状物を得た。得られた水酸基とカルボキ
シル基とを有するシリコーンポリマー(I−1)は、不揮発分80%および酸価
95mgKOH/g(固形分)であった。
合成例15 水酸基とカルボキシル基を有するシリコーンポリマー(I−2)
の合成
合成例1と同様にして、下記に示す成分を用いて水酸基とカルボキシル基とを
有するシリコーンポリマー(I−2)を得た。なお、得られたポリマーの不揮発
分80%および酸価47mgKOH/g(固形分)であった。
成分 重量部
KR−2001 1401.7
ヘキサヒドロ無水フタル酸 176.7
酢酸ブチル 377.0
合成例16 酸無水物基を含むポリマー(b−5)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応槽にキシレン
105重量部に仕込み、130℃に昇温した。
上記の容器に滴下ロートを用い、スチレンモノマー30重量部、2−エチルヘ
キシルアクリレート11重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート37重量部
、マレイン酸無水物22重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセ
テート30重量部、およびt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエイト15重
量部からなるモノマーおよび開始剤溶液を3時間かけて滴下し、130℃で30
分間保持し、キシレン15部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート2部を30分で滴下し、さらに1時間攪拌を継続し、そして113部の溶
剤を減圧下で除去することにより、不揮発分70%、数平均分子量2300の無
水
カルボン酸を含むアクリル樹脂ワニス(b−5)を得た。
合成例17 ハーフエステル化した樹脂(B−5)の製造
合成例16で得られたポリマーワニス154重量部に、メタノール8.6重量
部を加え、65℃で24時間反応させることにより、ハーフエステル化した樹脂
(B−5)を得た。なお、この樹脂(B−5)について赤外線吸収スペクトルを
測定し、酸無水物の吸収(1785cm-1)が消失するのを確認した。
合成例18 エポキシ基と水酸基とを含有する樹脂(C−3)の合成
温度計、攪拌機、冷却管、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応槽にキシレン
123重量部を仕込み、130℃に昇温した。上記の反応槽に、滴下ロートを用
い、スチレンモノマー23重量部、メタクリル酸グリシジル38重量部、4−ヒ
ドロキシブチルアクリレート24重量部、アクリル酸2エチルヘキシル15重量
部、およびt−ブチルパーオキシ2エチルヘキサノエイト12重量部を3時間か
けて滴下した。
滴下終了後30分間にわたり130℃で保持した後、t−ブチルパーオキシ2
エチルヘキサノエイト1重量部および、キシレン20重量部からなる溶液を30
分間で滴下した。この滴下終了後、さらに1時間の間130℃にて反応を継続し
、そして107部の溶剤を減圧下で除去することにより、不揮発分70%、数平
均分子量2000、エポキシ当量375、水酸基当量591のアクリル樹脂ワニ
ス(C−3)を得た。
合成例19 エポキシ基と水酸基とを含有する樹脂(C−4)の合成
合成例18と同様にして、スチレンモノマー12重量部、メタクリル酸グリシ
ジル38重量部、「ブレンマーPE−350」を50重量部およびt−ブチルパ
ーオキシン2エチルヘキサノイト12重量部使用し、数平均分子量2000、エ
ポキシ当量375、水酸基当量880のアクリル樹脂(C−4)を得た。「ブレ
ンマーPE−350」は日本油脂社製、化学式(I)のn=9のポリエチレンオ
キサイド系モノマーである。
E−3
サイメル327: メチル化メラミン(三井サイアナミッド(株)製)を用い
た。
E−4
サイメル254: メチルブチル混合アルキル化メラミン(三井サイアナミッ
ト(株)製)を用いた。
分散例
下記に示すプレミックスベースを2リットル容器に仕込み、卓上式サンドミル
を用いて2000rpmで3時間かけて分散した。
実施例に用いた白顔料(CR−97)ペーストを以下の成分を混合することに
より得た。
成分 重量部
CR−97 600
D−2樹脂ワニス 185
D−1樹脂ワニス 200
キシレン 8
酢酸ブチル 8
実施例に用いた赤顔料(イルガジンレッドDDR−BO)ペーストを以下の成
分を混合することにより得た。
イルガジンレッドDPP−80 144
D−2樹脂ワニス 111
D−1樹脂ワニス 205.8
キシレン 69.6
酢酸ブチル 69.6
実施例に用いた黒顔料(PW−200p)ペーストを以下の成分を混合するこ
とにより得た。
FW−200P 40.5
D−3樹脂ワニス 104.0
D−1樹脂ワニス 230.9
キシレン 112.1
酢酸ブチル 112.1
実施例15〜23および比較例9〜13
顔料分散樹脂に対応する各顔料ペーストを用いて、表5に示す固形分含量を有
する被覆組成物を調製した。
塗装例
リン酸亜鉛処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(日
本ペイント製パワートップpu−50)を乾燥塗膜の厚さが約25μmとなるよ
うに電着塗装した。
次に、得られた電着塗装塗膜上に中塗塗料(日本ペイント製、オルガP−2シ
ーラー)を乾燥塗膜の厚さが約40μmとなるようにエアースプレー塗装し、1
40℃、30分間焼き付けた。次いで、固形分の配合が表5に示すような塗料を
フォードカップNo.4で30秒に粘度調製し、エアースプレーで乾燥膜厚が約
40μmとなるように塗装し、約7分間セッティング後、140℃で30分間焼
き付けた。塗膜の耐酸性および耐擦り傷性を以下のように評価した。
比較例
高固形分 アルキド・メラミン型塗料を中塗上に塗布。
白塗料;NV 59.1%、アルキド樹脂/メラミン樹脂=6/4、pwc=4
0%
赤塗料;NV 58.4%、アルキド樹脂/メラミン樹脂=6/4、pwc=1
0%
塗膜の評価方法
1)耐酸性
1重量%の硫酸溶液を60℃に保ち、試験片をこれに24時間浸漬した。その
後、これを引き上げ、60°の光沢保持率(グロスリテンション)を測定した。
評価は、以下の基準により行った。
グロスリテンション
◎.....90以上
○.....70以上〜90未満
△.....40以上〜70未満
×.....40未満
2)耐擦り傷性
カネヨ(株)製クレンザーを二重に重ねたネルに約1cc塗布し、学振型摩擦
堅牢度試験機の摺動ヘッドに固定した・700gの負荷をかけて摺動ヘッドを1
0往復させた後、テスト部の20°グロスを測定し、グロスリテンションを算出
した。評価は上記の1)の項と同様とした。配合および評価結果を表5に示す。
表5中、現行のメラミンベースの赤塗料は表3と同じものであり、現行のメラ
ミンベースの白塗料は以下の成分から調製される。
表3中、比較例6における現行メラミンベースの赤塗料は以下の配合を有して
いた。
成分 重量部
チタンCR−97(白顔料) 33.0
ポリエステル樹脂*1 2.0
アルキド樹脂*2 2.0
Uban128*3 10.0
ディスパロンKS-281*4 0.2
n−ブタノール 9.0
S−100 7.0
*1日本ペイント(株)から市販の酸価5、水酸基価80、数平均分子量3,
380および重量平均分子量27,200のポリエステル樹脂。
*2日本ペイント(株)から市販の油長20(ココナッツオイル)、酸価8、
水酸基価110、数平均分子量2,700および重量平均分子量16,000の
アルキド樹脂。
*3三井東圧(株)から市販のメラミン樹脂。
*4クスモト化成(株)から市販の表面調整剤。
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