JPH08508384A - ポイントツー・ポイントおよびマルチポイント・テレコンファレンス用のオーディオ処理システム - Google Patents

ポイントツー・ポイントおよびマルチポイント・テレコンファレンス用のオーディオ処理システム

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JPH08508384A
JPH08508384A JP7506490A JP50649094A JPH08508384A JP H08508384 A JPH08508384 A JP H08508384A JP 7506490 A JP7506490 A JP 7506490A JP 50649094 A JP50649094 A JP 50649094A JP H08508384 A JPH08508384 A JP H08508384A
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ボイヤー,デイヴィッド,グレイ
ヤラリ,アリ,リー
シュティルマー,ジェナディ
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ベル コミュニケーションズ リサーチ,インコーポレイテッド
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Abstract

(57)【要約】 テレコンファレンシング・システムで使用されるオーディオ処理システムによれば、マイクロホン(1−25)、受信装置(1−26)、および音響エコーを低減し音響安定性の余裕度を向上するほぼ同一のくし形フィルタ(1−42)と周波数スケーラ(1−60)が各ステーションに設けられている。くし形フィルタと周波数スケーラは相互に協力し合い、周波数スケーラの各々は、くし形フィルタの伝達関数のピークから谷までの間隔に対応する周波数シフトを誘起するようになっている。このオーディオ処理システムによれば、高い伝送遅延と低い伝送遅延をもつシステムにおいて音響エコーを低減し、音響安定性の余裕度を向上する補助エコー・サプレッサ(410,510)を含めることも可能である。また、ノイズを低減し、システム内の個々のコンポーネントの動作を円滑化する他のデバイスを採用することも可能である。各ステーションに採用されているくし形フィルタは相補ではなく、ほぼ同一になっているので、本オーディオ処理システムによれば、ボイントツー・ポイントおよびマルチポイント・オーディオ処理システムにおいて音響不安定性と音響エコーの効果を軽減することができる。さらに、各ステーションはほぼ同一の機器を使用しているので、コンファレンシング・セッションに入る前に、ステーション間で機器の交渉を行ったり、機器の変更を行なったりする必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】 ポイントツー・ポイントおよびマルチポイント・テレコンファレンス用 のオーディオ処理システム 関連出願 米国特許出願第07/774,085号(発明の名称「テレコンファレンシング・システ ム用のオーディオ処理システム(Audio Processing System for Teleconferenci ng System)」、1991年10月9日出願、発明者E.Addeo、J.Desmarais、 およびG.Shtirmer、特許付与)および米国特許出願第08/008,965号(発明の名 称「高低の伝送遅延をもつテレコンファレンシング・システム用のオーディオ処 理システム(Audio Processing System for Teleconferencing System Having H igh and LowTransmission Delays)」、1993年1月26日出願、発明者E.A ddeo、J.Desmarais、およびG.Shtirmer)は共に本出願と同一の承継人に譲渡 されたもので、本出願の主題と関連する主題を記載している。なお、これらの米 国特許出願は引用により本明細書の一部を構成するものである。 発明の分野 本発明はテレコンファレンシング・システムに関し、具体的には、本発明はテ レコンファレンシング・システムで使用されるオーディオ処理システムに関する ものである。 発明の背景 テレコンファレンシング・システム(teleconferencing system)は遠隔地に 設置されたN個のステーション(局)を含んでおり(ただし、N≧2)、これら の ステーションは伝送システムによって相互に接続されている。リモート(遠隔) ステーションに所在するテレコンファレンス参加者は、相互にオーディオ(音声 )通信とビデオ(映像)通信で連絡し合っている。オーディオ通信とビデオ通信 を行なうために、各ステーションは、オーディオ信号を生成して他のステーショ ン(1つまたは複数)へ送信するためのマイクロホン、他のステーション(1つ または複数)からのオーディオ信号を受信する受信装置、ビデオ信号を生成して 他のステーション(1つまたは複数)へ送信するためのビデオ・カメラ、および 他のステーション(1つまたは複数)で生成されたビデオ信号を表示するディス プレイ装置を備えている。さらに、各ステーションはそのステーションで生成さ れたビデオ信号をコード化(符号化)して他のステーション(1つまたは複数) へ圧縮形式で送信し、他のステーション(1つまたは複数)から受信したコード 化ビデオ信号をデコード化(復号化)するコーデック(codec)も備えている。 ステーションを含む従来のポイントツー・ポイント(point-to-point-2地点間 )テレコンファレンシング・システムを示したのが図1である。N>2個のステ ーションにサービスを提供する従来のマルチポイント・テレコンファレンシング ・システムは、追加のステーションからなる、同じような構成になっている。 本発明は、テレコンファレンシング・システムのオーディオ処理部分に関係す るものである。オーディオ処理部分は、第1ステーションに置かれた第1マイク ロフォンと第1受信装置および第2ステーションに置かれた第2マイクロホンと 第2受信装置を含んでいるものと見ることができ、また、N>2個のステーショ ンをもつシステムの場合には、第3ステーションに置かれた第3マイクロホンと 第3受信装置、およびN番目のステーションに置かれたN番目のマイクロホンと N番目の受信装置を含んでいるものと見ることができる。 第1ステーションと第2ステーションとの間でコンファレンスを行なうための ポイントツー・ポイント・システムでは、第1チャネルは、第1ステーション側 の第1マイクロホンから第2ステーション側の第2受信装置へオーディオ信号を 送信するために伝送システムで確立されている。第2チャネルは、第2ステーシ ョン側の第2マイクロホンから第1ステーション側の第1受信装置へオーディ オ信号を送信するために伝送システムで確立されている。 N個のステーション(ただし、N>2)間でコンファレンスが行なわれるマル チポイント・システムでは、N個の入力ポートとN個の出力ポートをもつ中央ブ リッジ(central bridge)が他のステーションとの間で信号を送受信するために 使用されている。このブリッジの機能は、参加しているステーションの各々への 音声活動(speech activity)をもつ信号を検出し、選択し、ルーチング(経路 選択)し、ミキシングして、他のすべての到来信号を打ち切ることである。ある 種のブリッジでは、信号を同時に送信できるステーションの最大数がK≦Nに制 限されている。 マルチポイント・システムでは、チャネルは各ステーションと他の各参加ステ ーションとの間で確立されている。具体的には、チャネルは、第1ステーション 側の第1マイクロホンからオーディオ信号をブリッジの第1入力ポートへ送り、 オーディオ・ブリッジの対応する出力ポートを経由して各参加ステーションの受 信装置へ送信するために伝送システムで確立されている。さらに、チャネルは、 他の各ステーションのマイクロホンからオーディオ信号をブリッジの対応する入 力ポートを経由して、第1ステーション側の第1受信装置へオーディオ・ブリッ ジの第1出力ポートを経由して送信するために確立されている。残りのN−1個 のステーションに対しても、同じような伝送チャネルが確立されている。 大部分のポイントツー・ポイントおよびマルチポイント・オーディオ処理シス テムには問題がある。それは、各ステーションのマイクロホンと受信装置間が音 響結合されていることである。特に、ポイントツー・ポイント・システムでは、 ラウンドトリップ・フィードバック・ループ(round-trip feedback loop)とい う問題がある。このループは、例えば、1)第1ステーション側のマイクロホン 、2)第1マイクロホンと第2ステーション側の第2受信装置とを接続するチャ ネル、3)第2受信装置と第2マクロホン間の第2ステーション側の音響結合通 路、4)第2ステーション側のマイクロホンと第1ステーション側の第1受信装 置とを接続するチャネル、および5)第1受信装置と第1マイクロホン間の第1 ステーション側の音響結合通路によって形成されている。どの時点でも、ネット ・ループ・ゲインがユニティ(unity)より大であると、ループは不安定になり 、発振する場合 がある。この不安定の結果、周知のハウリング(howling)音が発生することに なる。このようなループでは、総ゲインが低いときでも、音響エコーという問題 が依然として起こっている。これは、話者の声がループを一周して、弱くなって いるが、可聴レベルで話者の耳に戻ってくるために起こるものである。音響エコ ーの問題は、テレコンファレンシング・システムでは、伝送遅延の増加と共に悪 化している。不完全に抑止されたエコーは、伝送遅延が短いときは、テレコンフ ァレンス参加者に気づかなくても、伝送遅延が長くなると気づき易くなる。 マルチポイント・システムでも、音響フィードバック安定性とエコーという同 じ問題が、ペアになったすべてのチャネルを接続するチャネルで起こっている。 しかし、マルチポイントの場合には、別の問題が起こっている。ここでは、任意 の数のチャネルが、アクティブであるものとしてブリッジによって選択される可 能性がある。すべてのステーションがアクティブであるものとして同時に選択さ れる可能性があるので、すべてのステーション間のフィードバック安定性がさら に困難になっている。マルチポイント・システムでは、あるペアのステーション 間のフィードバック安定性を達成しても、システム内の他のペアのステーション 間のフィードバック安定性が達成されないことがある。 音響不安定性と音響エコーの問題に関しては、種々の解決方法が提案されてい る(例えば、G.Hill著「ビデオ・コンファレンシングにおけるオーディオ品質 エコー制御の改善(Improving Audio Quality Echo Control in Video Conferen cing)」、Teleconference,Vol.2,March-April 1991、およびW.Armbruster 著「エコー打消しにより最適化されたボイス・スイッチングを用いた高品質ハン ズフリー・テレホニ(High Quality Hands-Free Telephony Using Voice Switch ing Optimized With Echo Cancellation)」、Signal Processing IV,J.L.Lac oume他編者、Elsevier Science Publishers,B.V.,1988,pp.495-498参照)。 テレコンファレンシング・システムのオーディオ処理ループにおけるエコー問 題を解決する1つのアプローチでは、エコー・キャンセラ(echo canceller−エ コー打消し)を使用している。エコー・キャンセラとは、到来信号に含まれてい る実際のエコーの合成レプリカ(synthetic replica)を発生する回路のことで あ る。この合成レプリカは到来信号から減算され、到来信号に含まれる実際のエコ ーを打ち消している。エコー・キャンセラは、適応遅延線フィルタ(adaptivetr ansversal filter)で実現することが可能であり、この場合、タップ値は、例え ば、最小平均自乗(least mean square)アルゴリズムを使用して実際のエコー 通路の伝達関数を模擬するように絶えず更新されている。 この種のエコー・キャンセラには、いつくかの欠点がある。第一に、エコー・ キャンセラは計算が複雑であることである。つまり、実現のためには、非常に多 数の特殊なディジタル信号プロセサを使用する必要がある。第二に、広帯域音声 (7kHz)の場合、反響時間が長い室内では、エコー・キャンセラには約400 0個またはそれ以上のタップをもつ、長い遅延線フィルタが必要になることであ る。この種の長いフィルタは収束レート(convergence rate)が低く、実際のエ コー通路の伝達関数を追跡する性能が劣っている。さらに、適応遅延線フィルタ を用いて実現された一部のエコー・キャンセラは、各テレコンファレンスの開始 時にホワイトノイズ(white noise)トレーニング・シーケンスでトレーニング しなければならない。コンファレンス・ルームの音響が急激に変化することが起 こると、エコーが正しく打ち消されないことがあり、その結果、エコー音が大き くなり、音響が不安定になる可能性がある。そのような場合には、システムをリ セットしなければならないので、テレコンファレンイングの途中で再トレーニン グが必要になる。 音響エコーと不安定性を解決する別の手法では、各テレコンファレンシング・ ステーションのマイクロホンの出力側にエコー・サプレッサ(echo suppressor )を置いている。代表例として、エコー・サプレッサはゲートを制御するレベル 作動スイツチ(level activated switch)と可変減衰デバイス(variable atten uation device)を含んでいる。マイクロホンの出力に現われた信号レベルがし きいレベル以下のときや、あるいは遠方端(far-end)の到来信号がマイクロホ ンの出力に現われた信号よりも少なくとも6dBだけ強いときは、ゲートがクロ ーズし、マイクロホンから離れて引き出された通信チャネルをブロックしている 。マイクロホンの出力に現われた信号レベルがしきいレベル以下であるときや、 遠方端の到来信号がマイクロホンの出力に現われた信号よりも少なくとも6 dBだけ強くないときは、ゲートがオープンし、マイクロホンから離れて引き出 された通信チャネルを通過(pass)状態にしている。例として、エコー・サプレ ッサのしきいレベルは、周囲ノイズの最大レベルにセットすることが可能である 。このシステムでは、一方のテレコンファレンス参加者が話しかけているときは 、そのローカル・エコー・サプレッサはローカル・ゲートをオープンするので、 リモート・ステーションにつながるチャネルがオープンする。リモート・ステー ション側の他方のテレコンファレンス参加者が話しかけていなければ、リモート ・ステーション側のエコー・サプレッサは、リモート・ステーション側のゲート をクローズするので、エコー・リターン通路がブロックされる。ある種のエコー ・サプレッサでは、マイクロホン出力信号がしきいレベル以上であるか、以下で あるかを単に判断するのではなく、ローカル音声の有無を検出することによって 、通信チャネルへのゲートをオープンまたはクローズしている。 テレコンファレンスの両端側の参加者が同時に話しかけようとしたときは、ダ ブルトーク(double talk)と呼ばれる状態が起こる。ダブルトーク状態が起こ ると、テレコンファレンスの両端側のエコー抑止ゲートはオープンするので、音 響エコーが双方の参加者に戻される可能性があると同時に、音響不安定性が起こ る可能性がある。ダブルトークが起こっているとき、エコーが深刻な問題となら ないのはエコーがローカル音声によってマスク(mask)されるからである。しか し、可変減衰デバイス(variable attenuation device)を別に採用すると、音 響フィードバック安定性を確保するのに必要な減衰量を導入することができる。 このようにすると、音響安定性が達成されるが、テレコンファレンス参加者の音 声を伝達するオーディオ信号が減衰されることになる。多くの場合、エコー・サ プレッサのために各マイクロホンの出力から導入する必要のある減衰量が大き過 ぎると、参加者間の完全対話式2方向通信(fully interactive two-waycommuni cation)を維持できないことがある。従って、この種のエコー・サプレッサはテ レコンファレンシング・システムで使用するにはまだ不十分である。 エコー・サプレッサとエコー・キャンセラを使用することのほかに、周波数シ フタ(frequency shifter)または特殊なフィルタを、テレコンファレンシング ・システムのオーディオ処理システムで使用することが可能である。例えば、周 波 数シフタを利用すると、音響安定性のマージン(余裕度)を増加することができ る(例えば、米国特許第3,183,304号およびF.K.Harvey他著「コンファレンス使 用に応用可能なステレオのいくつかの側面(Some Aspects of Stereophony Appl icable to Conference Use)」、Journal Audio Engineering Society,Vol.11, pp.212-217,July 1963を参照)。 別の方法として、相補通過および阻止バンドをもつくし形フィルタ(combfilt er)を、テレコンファレンスの2ステーションを接続する2オーディオ・チャネ ルに置くことが可能である(例えば、米国特許第3,622,714号および米国特許第4 ,991,167号を参照)。相補くし形フィルタを使用すると、各ステーションの受信 装置とマイクロホン間の音響結合の効果が軽減される。その理由は、フィードバ ック・ループを一巡する信号が双方のくし形フィルタによって処理され、また、 2つのくし形フィルタの阻止バンドが相補的であるのでスペクトル全体にわたっ て減衰されるからである。これにより、音響安定性の余裕度がある程度向上し、 音響エコーが低減される。他方、一方のステーションから他方のステーションへ 伝達される音声信号は一方のくし形フィルタによってのみ処理されるので、スペ クトル全体にわたって目立つほどには減衰されない。エコー・キャンセラと比べ て、くし形フィルタには単純であるという利点がある。しかし、くし形フィルタ によると、感知される音声品質が若干低下することになる。品質が低下する理由 は、信号のスペクトルのほぼ半分がくし形フィルタで除去されるからである。感 知される品質低下を軽減するために、くし形フィルタ伝達関数のバンド遷移(ba nd transition)が円滑化されている。バンド遷移を円滑化すると、バンド遷移 が急峻であるとき達成できる音響安定性の余裕度が減少することになる。音響安 定性の余裕度を増加するには、オーディオ・チェインのどこかに周波数スケーラ (frequency scaler)を使用することが可能である。これについては下述する。 関連の米国特許出願第07/774,085号(発明の名称「テレコンファレンシング・ システム用のオーディオ処理システム(Audio Processing System for Teleconf erencing System)」、1991年10月9日出願、発明者E.Addeo、J.Desmar ais、およびG.Shtirmer、特許付与)および米国特許出願第08/008,965 号(発明の名称「高低の伝送遅延をもつテレコンファレンシング・システム用の オーディオ処理システム(Audio Processing System for Teleconferencing Sys tem Having High and LowTransmission Delays)」、1993年1月26日出願 、発明者E.Addeo、J.Desmarais、およびG.Shtirmer)には、ポイントツー・ ポイント・システムにおける音響安定性とエコーの問題が取り上げられている。 これらの問題は、オーディオ処理システムにおいて、第1ステーション側の第1 マイクロホンを第2ステーション側の第2受信装置に接続する第1チャネルに第 1くし形フィルタを採用し、第2ステーション側の第2マイクロホンを第1ステ ーション側の第1受信装置に接続する第2チャネルに、第1くし形フィルタの相 補である第2くし形フィルタを採用することによって解決されている。さらに、 これらの関連特許出願のオーディオ処理システムでは、周波数スケーラがチャネ ルの一方に置かれ、一方のチャネルの周波数スペクトルを一定の係数だけスケー リングするようにしている。 特許出願第07/774,085号のオーディオ処理システムには、それぞれが第1およ び第2くし形フィルタをアクチベート(activate)する第1および第2エコー・ サプレッサも含まれている。特許出願第08/008,965号のオーディオ処理システム には、それぞれが第1および第2マイクロホンに接続されて、第1および第2可 変減衰を第1および第2マイクロホンの出力側で第1チャネルおよび第2チャネ ルに挿入する第1および第2エコー・サプレッサも含まれている。第1可変減衰 は、第1マイクロホンから送信される前記第1信号の強さと、第1受信装置によ って受信される第2信号の強さとによって決まる。さらに、第2可変減衰は、第 2マイクロホンから送信される第2信号の強さと、第2受信装置によって受信さ れる第1信号の強さとによって決まる。 これらの関連特許出願のオーディオ処理システムおよびくし形フィルタを採用 して音響結合の効果を軽減する他の従来システムの実用上の欠点は、相補くし形 フィルタが採用されていることである。従って、第1および第2ステーションが テレコンファレンス期間に音響安定性の余裕度を向上し、音響エコーを低減する ためには、第1ステーションは、第2ステーションのくし形フィルタを相補する くし形フィルタを備えていなければならない。さらに、これらのシステムは相補 くし形フィルタを採用しているので、実際には、各ステーションには両タイプの フィルタが用意されていることが必要であり、コンファレンス・セットアップ期 間には、ステーションは相補くし形フィルタが必ず使用されることを確かめるた めの交渉を行わなければならない。このような実用上の制約があるため、余分の コンポーネントが必要になり、また、システムは複雑化し、コンファレンス・セ ットアップが遅延することになる。 相補くし形フィルタを採用して音響安定性の余裕度を向上し、音響エコーを低 減するシステムのもう1つの欠点は、かかるシステムがマルチポイント・テレコ ンファレンシング・システムでは効果的でないことである。この欠点を最も分か りやすく示しているのが、図2に示す例である。図2に示す例では、ステーショ ン1、2、3、および4が示され、各ステーションはそれぞれ関連のくし形フィ ルタ5、6、7、および8を備えている。図示の例では、くし形フィルタ5と7 はくし形フィルタ6と8を相補している。これらのステーションはテレコンファ レンスを行なうために、オーディオ・ブリッジ75を通して接続されている。上 述したように、アクティブ・ステーションを検出すると、オーディオ・ブリッジ は、音声を伝達する信号をアクティブ・ステーションから、システム内にあって テレコンファレンスに参加している他のステーションへ送信し、アクティブ・ス テーションを他の参加ステーションの各々とペアにする。従って、ステーション 1がアクティブであるとオーディオ・ブリッジ75によって検出された場合は、 オーディオ・ブリッジ75は音声を伝達する信号をステーション1からステーシ ョン2、3、および4へ送信する。ステーション2、3、および4の各々が応答 してアクティブになると、オーディオ・ブリッジはこれらの音声伝達信号をステ ーション1へも、他のステーションへも送信することになる。従って、ステーシ ョン1と他のステーションの各々との間のラウンドトリップ(roundtrip)は、 各ステーションでマイクロホンと受信装置とが結合されている個所で音響不安定 性とエコーを受けることになる。 ステーション1と2との間の伝送では、くし形フィルタ5と6が相補であるの で音響安定性の余裕度が向上し、音響エコーが低減する。ステーション1と4の 場合も、くし形フィルタ5と8が相補であるので同様である。しかるに、ステー ション1と3との間の伝送では、くし形フィルタ5と7が相補でないので、音響 不安定性とエコー効果が低減されないことになる。従って、図示の例から明らか なように、相補くし形フィルタを採用する構成は、マルチポイント・システムで は、各ペアのステーションをオーディオ・ブリッジ経由で接続するチャネルが相 補くし形フィルタをもっていない場合があるので、音響不安定性とエコーの効果 を打ち消すのに役立っていない。 以上に鑑みて、本発明の目的は、テレコンファレンシング・システムにおいて ポイントツー・ポイント通信とマルチポイント通信をサポートし、くし形フィル タを採用し、音響安定性の余裕度の向上と音響エコーの低減を実現するオーディ オ処理システムを提供することである。 発明の概要 本発明の実施例によれば、N個のステーション(ただし、N≧2)を含むテレ コンファレンシング・システムにおいてオーディオ信号を処理するためのオーデ ィオ処理システムが開示されている。各ステーションは、マイクロホン、受信装 置、くし形フィルタおよび周波数スケーラを備えている。図示の例では、マイク ロホンはあるチャネル上のくし形フィルタに接続され、受信装置は別のチャネル 上の周波数スケーラに接続されている。 各ステーションのくし形フィルタはほぼ同一であり、通過バンドと阻止バンド が交互に代わるほぼ同一の伝達関数をもち、これはシステム内の他のステーショ ンのくし形フィルタも同じである。この点が相補くし形フィルタを採用する従来 の方式と異なっている。各くし形フィルタは大きさの応答特性(magnituderespo nse)をもち、指数的に増加するバンド間隔と正弦波バンド遷移をもっている。 各ステーションの周波数スケーラも、ほぼ同一であり、ほぼ同一の周波数シフト を誘起する。 重要なことは、くし形フィルタと周波数スケーラは相互に協力し合うことであ る。具体的には、あるステーションのマイクロホンから送出された信号は、くし 形フィルタでフィルタにかけられてから別のステーションへ送信される。別のス テーションの受信装置で受信される前に、フィルタを通過した信号は周波数スケ ーラによって周波数がシフトされ、フィルタ通過信号のピークはくし形フィルタ の阻止バンドと整列される(aligned)。従って、周波数スケーラは、くし形フ ィルタのピークから谷までの間隔に一致するように、到来信号の周波数シフトを 誘起する。シフトされた信号が音響結合されて受信装置からマイクロホンへ送り 込まれると、システムは音響不安定性とエコーの影響を受けることになる。しか し、音響結合されてマイクロホンに送り込まれたあと、シフトされた信号は、他 方のステーション側のマイクロホンに接続されたくし形フィルタによってほぼ阻 止される。以上のように、システム内の周波数スケーラとくし形フィルタは相互 に協力し合うので、通信し合うステーションのチャネルに相補くし形フィルタを 必要とすることなく、各ステーションでほぼ同一のくし形フィルタと周波数スケ ーラを使用することにより、音響安定性の余裕度が向上し、音響エコーが低減さ れることになる。 ポイントツー・ポイント・システムでは、第1マイクロホンと第1受信装置は 第1ステーションに置かれ、第2マイクロホンと第2受信装置は第2ステーショ ンに置かれている。交互に代わる通過バンドと阻止バンドを含んでいる伝達関数 をもつ第1くし形フィルタは、図示の例では、第1ステーション側の第1マイク ロホンと第2ステーション側の第2受信装置との間の伝送チャネルに置かれてい る。第1くし形フィルタとほぼ同じである第2くし形フィルタは、第2ステーシ ョン側の第2マイクロホンと第1ステーション側の第1受信装置との間の伝送チ ャネルに置かれている。 遅延の大きいシステムでエコーと音響不安定性を処理する別の実施例では、補 助エコー・サプレッサが、上述したように相互に協力し合うくし形フィルタおよ び周波数スケーラと併用されている。この実施例では、音響エコーは充分に低減 され、音響安定性の余裕度は充分に向上するので、低遅延の伝送システムにも、 高遅延の伝送システムにも適している。補助エコー・サプレッサは受信装置とマ イクロホンをもつ各ステーションに置かれている。補助エコー・サプレッサは、 マイクロホンから出力された信号のエネルギ・レベルと、ステーションの受信装 置に向って送信される信号のエネルギ・レベルとの比較に基づいて、マイクロホ ンの出力に減衰を挿入する。 さらに別の実施例では、くし形フィルタは、各ステーションのマイクロホンと 補助エコー・サプレッサとの間に置かれ、2つのテレコンファレンシング・ステ ーション間のくし形フィルタはほぼ同じになっている。この実施例の場合も、各 ステーションで周波数スケーラが受信装置に接続されており、周波数スケーラは 上述したように、くし形フィルタと協力し合っている。くし形フィルタと周波数 スケーラをこのように置くと、音響結合音声は双方のくし形フィルタによって処 理されており、他方、ローカル生成音声は2つのくし形フィルタの一方だけによ って処理されているので、補助エコー・サプレッサは音響結合音声であるか、ロ ーカル生成音声であるかを区別することができる。 以上を要約すると、本発明によれば、くし形フィルタと周波数スケーラとを組 み合わせて使用し、これらが相互に協力し合うことによって音響エコーを低減し 、音響安定性の余裕度を向上するようにしたテレコンファレンシング・システム のオーディオ処理システムが開示されている。 本発明の構成と動作の理解を容易にするために、以下では、添付図面を参照し て本発明の実施例について詳しく説明することにする。 図面の簡単な説明 図1は、2つのテレコンファレンシング・ステーション間の従来のポイントツ ー・ポイント・システムを示す図である。 図2は、4つのコンファレンシング・ステーションを接続し、相補くし形フィ ルタを採用している従来のマルチポイント・オーディオ・コンファレンシング・ システムを示し、そこで起こっている問題を説明するための説明図である。 図3は、従来のマルチポイント・オーディオ処理システムを示す図である。 図4は、図1のテレコンファレンシング・ステーションが置かれている室内の 音響応答関数を示す説明図である。 図5Aおよび図5Bは、N個のステーション(ただし、N≧2)を含むテレコ ンファレンシング・システム用の、本発明の一側面によるオーディオ処理システ ムのステーションの実施例を示す図である。 図6は、本発明の一側面によるポイントツー・ポイント・オーディオ処理シス テムの実施例を示す図である。 図7Aは、本発明の一側面によるオーディオ処理システムで使用されるくし形 フィルタの伝達関数H(f)を例示した図である。 図7Bは、図7Aに示す伝達関数H(f)をもつくし形フィルタに通され、く し形フィルタのバンド間隔だけ周波数がシフトされたあとの信号Y(f)を例示 した図である。 図8Aおよび図8Bは、本発明の一側面によるマルチポイント・オーディオ処 理システムの実施例を示す図である。 図9は、くし形フィルタ、周波数スケーラ、および補助的エコー・サプレッサ を含む、本発明の一側面によるオーディオ処理システムを示し、高い伝送遅延ま たは低い伝送遅延をもつテレコンファレンシング・システムの音響エコーを低減 し、音響安定性の余裕度を向上する実施例を示す図である。 図10は、本発明の一側面による補助的エコー・サプレッサの実施例を示す図 である。 図11は、本発明の一側面による補助的エコー・サプレッサによって挿入され る減衰を示すプロット図である。 図12は、本発明の一側面によるノイズ・ゲートとエクスパンダ/ゲートの代 表的応答曲線を示す図である。 発明の詳細な説明 図1は、オーディオおよびビデオ通信機能を備えたポイントツー・ポイント・ テレコンファレンシング・システムを示す図である。図1のコンファレンシング ・システム10は、2つのステーション20と30(N=2)を含んでおり、こ れらのステーションは相互に対し離れた個所に置かれ、伝送システム12によっ て接続されている。 ビデオ通信では、ステーション20はビデオ・イメージ(映像)をスクリー ン22から表示するプロジェクタ21、ビデオ・カメラ23およびコーデック( codec)24を備えている。同様に、ステーション30はビデオ・イメージをス クリーン32から表示するプロジェクタ31、ビデオ・カメラ33およびコーデ ック34を備えている。カメラ23はステーション20でビデオ信号を生成する 。ビデオ信号はコーデック24により圧縮コード化(符号化)され、伝送システ ム12を経由してステーション30へ送信される。例えば、伝送システム12に は、DSIまたはDS3伝送レートで動作する伝送設備が用意されている場合が あるが、北米の電話網ディジタル伝送レートは、それぞれ毎秒1.5および45 メガビットになっている。ステーション30側では、ビデオ信号はコーデック3 4によりデコード(復号化)され、ビデオ・プロジェクタ31により映像に変換 されてスクリーン32から表示される。同様に、ステーション30側のカメラ3 3はビデオ信号を生成し、この信号はステーション20側でプロジェクタ21に よってスクリーン22から表示される。 ビデオ通信機能をもつマルチポイント・コンファレンシング・システムは同じ ような構成になっているが、同種の機器が装備されたステーションは、2つ以上 が伝送システム12を通して接続されることになる。 ポイントツー・ポイント・コンファレンシング・システムのオーディオ通信で は、図1に示すように、ステーション20はマイクロホン25、受信装置26、 およびオーディオ・コントローラ27を装備している。同様に、ステーション3 0はマイクロホン35、受信装置36、およびオーディオ・コントローラ37を 装備している。音声をステーション20からステーション30へ送信するには、 マイクロホン25は音声をオーディオ信号に変換する。オーディオ・コントロー ラ27はオーディオ信号の処理遅延を、コーデック24によってカメラからのビ デオ信号に持ち込まれた処理遅延と整合(マッチング)させる。オーディオ・コ ントローラ27には、音響不安定性を防止すると同時に、エコーを低減する1ま たは2以上の回路を含めることも可能である。オーディオ信号は伝送システム1 2を経由してステーション30へ送信される。ステーション30側では、オーデ ィオ信号は、対応するビデオ信号に対してコーデック34がデコード化オペレー ションを行なったとき生じた遅延を整合するようにオーディオ・コント ローラ37によって処理される。そのあと、オーディオ信号は、受信装置36に よって音響形式に戻されるように変換される。音声をステーション30のマイク ロホン35からステーション20の受信装置26へ送信する場合も、上記と同じ プロセスで行なわれる。 マルチポイント・コンファレンシング・システムのオーディオ通信では、図3 に示すように、ステーション1、2、3..Nの各々は、同じようにマイクロホ ンと受信装置を装備している。具体的には、ステーションNはマイクロホンN− 25と受信装置N−26を備えている。さらに、入力ポート1−76、2−76 、3−76..N−76および出力ポート1−77、2−77、3−77..N −77をもつ中央ブリッジ75が採用されている。ステーションNに関して説明 すると、ブリッジ75はマイクロホンN−25から入力N−76を経由して信号 を受信し、出力ポートN−77を経由してステーションN側の受信装置N−26 へ信号を送信する。ブリッジ75の機能は、ステーションの各々への音声活動を もつ信号を検出し、選択し、ルーチング(経路選択)し、他のすべての到来信号 を打ち切ることである。従って、ステーションNが信号をN−76を経由してブ リッジ75へ送信すると、ブリッジ75は、コンファレンスに参加している他の ステーション1、2、3..N−1へ対応する出力ポート1−77、2−77、 3−77..N−1−77を経由して信号を転送する。 図4は、図1のポイントツー・ポイント・オーディオ・コンファレンシング・ システム10に組み込まれている音響フィードバック通路を示す概略図である。 図1を参照して上述したように、ステーション20はマイクロホン25と受信装 置26を備えている。マイクロホン25と受信装置26は、ステーション20側 のテレコンファレンス参加者がハンドフリー(hands-free)で使用できるように 配置されている。ステーション20は室内に置かれているので、受信装置26と マイクロホン25との間は音響結合されている。この種の音響結合は図4に音響 通路28で示されているが、この音響通路には、図示のように、壁29からの反 射または反響が含まれている。同様に、ステーション30側では、受信装置36 とマイクロホン35との間は、壁39からの反射した通路30を介して音響結合 されている。同様に、マルチポイント・コンファレンシング・システムの場合も 、 各ペアのステーションの間に音響フィードバック通路が存在している。 本発明の一側面によれば、図5Aと図5Bは、N個のステーション(ただし、 N≧2)を含むテレコンファレンシング・システム用のオーディオ処理システム のステーションの実施例を示す図である。ステーション10Aは、オーディオ処 理システムの他のステーションを代表するものとして図5Aに示されているが、 このステーションはマイクロホン14、受信装置16、くし形フィルタ15およ び周波数スケーラ17を備えている。図示のように、マイクロホン14は第1チ ャネル11を介してくし形フィルタ15に接続され、受信装置16は第2チャネ ル13を介して周波数スケーラ17に接続されている。これとは別に、別の実施 例(図5Bに示す)によれば、マイクロホン14を第1チャネル11を介して周 波数スケーラ17に接続し、受信装置16を第2チャネル13を介してくし形フ ィルタ15に接続することも可能である。くし形フィルタの伝達関数H(f)は 図7Aに示すように、通過バンド(passband)と阻止バンド(stopband)をもっ ている。各ステーションのくし形フィルタと周波数スケーラは、周波数スケーラ が、くし形フィルタの伝達関数のピークから谷までの間隔に対応して到来信号の 周波数にシフトを誘起するという点で、特殊な関係をもっている。 本発明の一側面によれば、図6は、音響不安定性とエコーの効果を軽減するポ イントツー・ポイント・オーディオ処理システム(N=2)を示す図である。図 6に示すように、ステーション20側のマイクロホン25は、伝送システム12 を通り抜けるチャネル40を介してステーション30側の受信装置36に接続さ れている。同様に、ステーション30側のマイクロホン35は、同じく伝送シス テム12を通り抜けるチャネル50を介してステーション20側の受信装置26 に接続されている。 チャネル40はくし形フィルタ42を含んでいる。図示の例では、くし形フィ ルタ42は、ステーション20側ではマイクロホン25と伝送システム12の間 に置かれている。チャネル50はくし形フィルタ52を含んでいる。図示の例で は、くし形フィルタ52は、図6に示すように、ステーション30に関連するチ ャネル50ではマイクロホン35の出力側に置かれている。周波数スケーラ60 は、図6に示す例では、ステーション20に関連するチャネル50では受信 装置26と伝送システム12の間に置かれ、周波数スケーラ70は、ステーショ ン30と関連するチャネル40では受信装置36と伝送システム12の間に置か れている。 別の方法として、図5Bに示すように、図6のくし形フィルタ42をステーシ ョン30と関連づけて、チャネル40において受信装置36と伝送システム12 の間に置くことも可能であり、また、くし形フィルタ52をステーション20と 関連づけて、伝送システム12と受信装置26の間に置くことも可能である。従 って、この実施例では、周波数スケーラ60はステーション30に関連するチャ ネル50ではマイクロホン35と伝送システム12の間に置かれることになり、 周波数スケーラ70はステーション20に関連するチャネル40ではマイクロホ ン25と伝送システム12の間に置かれることになる。 従来のオーディオ・コンファレンシング・システムでは、どちらかのチャネル に置かれた相補くし形フィルタと単一の周波数スケーラは、音響不安定性の余裕 度を向上し、音響エコーを低減するために使用されている。しかし、この構成の 欠点は、テレコンファレンス・セッションに入る前に、ステーション20と30 は、ステーション間で確立されたチャネル40と50の各々にくし形フィルタが 置かれていること、および2チャネル間の周波数スケーリングが正しくなってい ることを確かめる交渉を行わなければならないことである。さらに、いくつかの テレコンファレンシング・ステーションは、チャネルを上述したように構成する ために機器に変更を加える必要がある。 図6に示す本発明によるオーディオ処理システムの顕著な利点は、一方のステ ーションのくし形フィルタが他方のステーションのくし形フィルタとほぼ同一で あるので、コンファレンシング・セッションに入る前に交渉を行なったり、機器 の変更を行なったりする必要がないことである。さらに、従来の処理システムと 異なり、本発明によるシステムは、各チャネルに周波数スケーラを採用し、一方 のチャネルの周波数スケーラは、他方のチャネルの周波数スケーラとほぼ同一に なっている。 重要なことは、本発明による構成は相互に協力し合うくし形フィルタと周波数 スケーラを使用することによって、音響安定性の余裕度を向上し、音響エコーを 低減していることである。具体的には、周波数スケーラは到来信号の周波数にシ フトを誘起し、このシフトはくし形フィルタの伝達関数のピークから谷までの間 隔に対応している。従って、第1くし形フィルタでフィルタにかけられた信号は 周波数スケーラで周波数がシフトされ、シフトされた信号のピークが第2くし形 フィルタの阻止バンドとアライメントされ、信号が大幅に減衰されるようになっ ている。 くし形フィルタと周波数スケーラがどのように協力し合って音響不安定性とエ コーの効果を軽減するかを分かりやすく説明するために、図6に示す音響フィー ドバック・ループを例にして説明する。音声はステーション20側から送信され たものとする。この音声は、マイクロホン25によって音響形体から電子オーデ ィオ信号に変換される。次に、このオーディオ信号はチャネル40を経由してス テーション30側の受信装置36へ送信され、そこで、オーディオ信号は再び変 換されて音響形体に戻される。音響形体の音声は音響通路38を通してマイクロ ホン35と結合され、そこで、再び変換されて電子オーディオ信号に戻されて、 チャネル50を経由してステーション20側の受信装置26へ送信される。受信 装置26は電子オーディオ信号を音響形体に戻すように変換し、音声は音響通路 28を通して再びマイクロホン25へ送り返される。 ループのラウンドトリップ・ゲインがユニティより大きければ、音響不安定性 が起こることになる。ラウンドトリッブ・ゲインがユニティより小であっても、 ステーション20の受信装置には、ステーション20側でエコーが聞こえること がある。オーディオ処理遅延が大きければ、ステーション20の受信装置ではエ コーがそれだけ明確になる。音響安定性の余裕度を得るために、また音響エコー を抑止するために、チャネル40にはくし形フィルタ42と周波数スケーラ70 が設けられ、チャネル50にはくし形フィルタ52と周波数スケーラ60が設け られている。 くし形フィルタ42と52の伝達関数H(f)は図7Aに示されている。伝達 関数H(f)は交互に代わる通過バンドと阻止バンドを含んでいる。伝達関数の ナル(null)の最大深さは無限であるが、遷移は正弦になっている。バンド遷移 が急峻すぎると、送信される音声の品質が目立つほどに低下することになる。伝 達関数は8kHzオーダの周波数範囲全体にわたっており、伝達関数のバンド間 隔(つまり、ピークから谷までの間隔)はオクターブの1/3になっている。 本発明の周波数スケーラはほぼ同一であるので、ほぼ同じ大きさの周波数シフ トが行なわれる。くし形フィルタのピークから谷までの間隔と周波数スケーラの シフトは、第1くし形フィルタの通過バンドを通過し、周波数スケーラによって 周波数がシフトされた信号の成分が第2くし形フィルタの阻止バンドに入るよう に選択されている。図7Bは、図7Aに示す伝達関数H(f)をもつくし形フィ ルタによってフィルタにかけられ、くし形フィルタの1バンド間隔だけ周波数が シフトされた信号Y(f)を例示した図である。 説明の便宜上、くし形フィルタの伝達関数が次の式(1)で表わされているも のとする。 上式において、任意の特定の周波数にあるとき、くし形フィルタのバンド間隔 は定数αによって決まる。周波数スケーラが−5%のシフトを引き起こし、上式 の定数がα=1/(log0.95)であれば、次のようなことを観察すること ができる。すなわち、471Hzの信号成分は第1くし形フィルタの通過バンド の中心に入ることになり、その信号成分は5%だけ下方にシフトされて447. 5Hzになり、これは中心が471Hzである通過バンドの左隣の阻止バンドの 中心と一致している。従って、シフトされた成分が第2くし形フィルタに出会う と、この成分は大幅に減衰されることになる。 信号の周波数シフトが大きくなると、信号の音声品質と話者(speaker)の声 に目立った影響を与えるおそれがあるので、主観的聴取テストで明らかになった ことは、シフトを最大約5%にすべきことである。周波数シフトが5%であるこ とは、くし形フィルタのバンド間隔がオクターブ当たり約13.5バンドである こ とに一致している。 フィルタ設計をさらに単純化するために、阻止バンドを約300Hz以上のス ペクトルだけに取り入れることが可能である。周波数が300Hz以下のときの エコー抑止はそれほど重要でないので、この場合も、同じように音声品質が向上 することになる。50Hzから7kHzまでのオーディオ・スペクトル全体にわ たって周波数スケーリングが行なわれるので、フィードバック安定性は依然とし て保証される。 本発明によれば、くし形フィルタを周波数スケーラと併用することの利点の1 つは、音響安定性が向上することである。具体的には、2つのほぼ同一のフィル タおよびフィルタと協力し合う周波数スケーラを通過したあと音声信号に挿入さ れる減衰は、無限と12dBの間で変化する。最も高い点である−12dBは、 周波数スケーラによってシフトされた第1くし形フィルタのスペクトルと第2く し形フィルタのスペクトルが交差する個所に現れる。従って、本発明のフィルタ による音響安定性の向上は、最悪の場合でも12dBである。くし形フィルタと 周波数スケーラを併用することのもう1つの利点は、音響エコーが低減すること である。これを数量化すると、ほぼ12dBであり、テレコンファレンシング参 加者が気づくほどである。 くし形42,52が周波数スケーラ60,70と協力し合うようにすると、各 ステーションの受信装置とマイクロホンとの間の音響結合効果が軽減される。上 述したように、その理由は、フィードバック・ループを一巡する信号は、くし形 フィルタの一方によって処理され、そのあと周波数スケーラの一方によって処理 され、そのあと他方のくし形フィルタによって処理され、従って、周波数スケー ラによってシフトされた一方のくし形フィルタの通過バンドが他方のくし形フィ ルタの阻止バンドとほぼ相補になっているので、信号がスペクトル全体にわたっ て減衰されるからである。同じ理由で、遠方端のステーション側の受信装置とマ イクロホンとの間の音響結合で生じ、近端のステーションに送り返されたエコー も低減される。他方、一方のステーション側のマイロクホンから他方のステーシ ョン側の受信装置へ伝わる信号は一方のくし形フィルタと一方の周波数スケーラ だけによって処理されるので、この信号はスペクトル全体にわたって減衰され ない。 本発明の別の実施例によれば、図8Aおよび図8Bは、N個のステーション( ただし、N≧2)を含むマルチポイント・オーディオ処理システムの実施例を示 す図である。図8Aは、本発明によるくし形フィルタと周波数スケーラを含んで いるオーディオ処理システムを示している。具体的には、図8Aに図示するよう に、各ステーション1、2、3..Nはくし形フィルタと周波数スケーラを備え ている。具体的には、ステーションNはマイクロホンN−25とオーディオ・ブ リッジ75の入力ポートN−76の間に置かれたくし形フィルタN−42と、受 信装置N−26とオーディオ・ブリッジ75の間に置かれた周波数スケーラN− 60とを備えている。すべてのくし形フィルタ1−26,2−26,3−26. .N−26はほぼ同じものであり、交互に代わる通過バンドと阻止バンドのほぼ 同一の伝達関数をもっている。さらに、すべての周波数スケーラ1−60,2− 60,3−60..N−60はほぼ同じものであり、交互に代わる通過バンドと 阻止バンドのほぼ同一の伝達関数をもっている。さらに、上述したように、くし 形フィルタと周波数スケーラは相互に協力し合って、周波数スケーラがくし形フ ィルタの伝達関数のピークから谷間での間隔に対応する周波数シフトを誘起する ようになっている。音響安定性とエコーの効果は、ポイントツー・ポイント・オ ーディオ処理システムで上述したように軽減される。別の方法として、上述した ように、また図8Bに示すように、各ステーションの周波数スケーラとくし形フ ィルタの設置個所を反対にすることも可能である。 本発明の重要な利点は、くし形フィルタをマルチポイント・システムで使用す ると、マルチポイント・システム内の任意のペアのステーション間の音響不安定 性とエコーの効果を軽減できることである。本発明のもう1つの重要な利点は、 ポイントツー・ポイント・システムの場合と同様に、すべてのステーションのく し形フィルタと周波数スケーラがほぼ同一であるので、どのくし形フィルタを各 ステーションで使用すべきか、どのチャネルに周波数スケーラを置くかを、ステ ーション間で交渉する必要がないことである。従って、システム複雑性が軽減さ れ、コンファレンス・セットアップ時間が短縮されることになる。 オーディオ処理システムの別の実施例は図9に示されているが、この実施例で は、正弦波バンド遷移をもつくし形フィルタと周波数スケーラが補助エコー・サ プレッサと併用されている。オーディオ処理システムのこの実施例では、低伝送 遅延または高伝送遅延をもつテレコンファレンシング・システムにおいて、音響 エコーを低減し、音響安定性の余裕度を向上している。このような能力があるた め、システムは、どのポイントツー・ポイントまたはマルチポイント・テレコン ファレンシング・システムでも使用できるという汎用性をもつことができる。具 体的に説明すると、図9に示すように、ステーション400側のマイクロホン4 04は、伝送システム610を通り抜けるチャネル700を介してステーション 500側の受信装置502に接続されている。同様に、ステーション500側の マイクロホン504は、伝送システム610を通り抜けるチャネル800を介し てステーション400側の受信装置402に接続されている。 図9のオーディオ処理システムは、上述したように、また、それぞれ図6に示 すように、受信装置502、402のそれぞれに関連づけられた周波数スケーラ 900,950も含んでいる。図9には、ノイズと低減し、個々のコンポーネン トの動作を円滑化する他のデバイスも含まれている。以下では、構成全体から見 た各コンポーネントの機能について説明する。図9に例示されている各ステーシ ョンのコンポーネントの構成と動作は、また、マルチポイント・オーディオ処理 システムにおける各ステーションのコンポーネントの構成と動作を代表するもの であり、そこでは、チャネルはオーディオ・ブリッジを介して相互接続された、 任意のペアのステーション間に同じように形成されている。 図10は補助エコー・サプレッサ410の実施例を示すブロック図である。図 10に示すように、チャネル700上のマイクロホン404からの信号は補助エ コー・サプレッサ410に入力され、信号の一部は短期エネルギ・カルキュレー タ(short-energy calculator)411へ送られ、そこでマイクロホンからの信 号のエネルギ・レベル(Elocal)が判断される。チャネル800上の遠方端側 への受信装置402からの信号も、補助エコー・サプレッサ410に入力され、 信号の一部は別の短期エネルギ・カルキュレータ412へ送られ、そこで遠方端 からの信号のエネルギ・レベル(Efar-end)が判断される。コンパレータ41 3はElocal信号の強さをEfar-end信号の強さと比較し、この比較の結果は可変 減 衰器(variable attenuator)414に入力され、チャネル700に挿入される 減衰のレベルが制御される。ステーション500側の補助エコー・サプレッサ5 10は、図10に示すものと同じ働きをして、マイクロホン504からの出力信 号のエネルギ・レベルと受信装置502へ送られた信号のエネルギ・レベルとの 比較に基づいてチャネル800に減衰を挿入する。 図11は、補助エコー・サプレッサ410,510の動作原理を示したもので あり、そこには、マイクロホン出力からチャネル上に挿入された減衰をプロット した図が示されている。以下では、図11を参照して、ステーション400側の 補助エコー・サプレッサ410によって挿入される減衰について説明する。挿入 される減衰のレベルは、遠方端からステーション400側の受信装置402で受 信された信号のエネルギ・レベル(Efar-end)と、ステーション400側のマ イクロホン404からの出力信号のエネルギ・レベル(Elocal)との差の関数 になっている。 図11のプロット図が示すように、2つの信号が同じ強さであるときは、減衰 が挿入されないが、これは、そのような状態のときは、どのエコーも、その場合 に存在するものと想定されるローカル音声によって実効的にマスクされるからで ある。しかし、遠方端から受信した信号(Efar-end)がマイクロホン404か らの出力信号(Elocal)よりも、あらかじめ定義した最小量だけ強いときは、 ローカル音声が存在しないものと想定されるので、減衰が挿入されてエコーが抑 止される。ステーション500側の補助エコー・サプレッサ510は、受信装置 502あての信号がマイクロホン504から受信した信号よりも、あらかじめ定 義した最小量だけ強ければ、同じように減衰をチャネル800に挿入する。 代表例として、410および510などのエコー・サプレッサが単独で使用さ れてエコーを選択的に除去するときは、あらかじめ定義した最小差は6dBにセ ットされる。この差は、室内の音響とマイクロホン/受信装置の配置に起因する 平均最小エコー戻り損失に基づいている。従って、マイクロホンから出る信号が 受信装置に入る信号よりも少なくとも6dBだけ弱ければ、ローカル音声が存在 しないものと想定されるので、最大減衰がマイクロホン信号通路に挿入される。 しかし、受信装置あての信号よりもさらに6dBだけ低いローカル音声はエ コーとして除去される。しきい値をこのように低くすると(6dB)、だれもが マイクロホンから正確に同じ距離にいないことから、あるいは同じ大きさの声で 話をしないことから、ローカル音声のダイナミック・レンジにはかなり厳しく、 非現実的な制約が課されることになる。 ステーション400側のマイクロホン402と補助エコー・サプレッサ410 の間には、くし形フィルタ426が置かれており、ステーション500側のマイ クロホン502と補助エコー・サプレッサ510の間には、くし形フィルタ52 6が置かれている。くし形フィルタ426と502はほぼ同じであり、通過バン ドと阻止バンドが交互に代わるほぼ同じ伝達関数をもっている。周波数スケーラ 900は、ステーション400側の受信装置502と補助エコー・サプレッサ4 10の間に置かれ、周波数スケーラ950は、ステーション500側の受信装置 402と補助エコー・サプレッサ510の間に置かれている。くし形フィルタ4 26,526と周波数スケーラ900,950を、それぞれチャネル700とチ ャネル800に示すように置くと、エコーは双方のくし形フィルタと周波数スケ ーラによって処理されているが、ローカル音声は2くし形フィルタの一方だけに よって処理されているので、補助エコー・サプレッサ410,510は、音響結 合された遠方端音声(エコー)とローカル生成の音声とを区別することが容易に なる。従って、平均的には、エコーとローカル生成音声との差は、前述したよう に約12dBだけ増加することになる。エコーとローカル音声との平均差が12 dBに増加すると、エコー・サプレッサにおけるしきい値を6dBから18dB に上昇することができる。しきい値を増加すると、ローカル音声がエコーと間違 えられて、補助エコー・サプレッサ410,520で不必要に減衰される可能性 が大幅に減少することになる。 本発明のこの実施例では、双方のくし形フィルタは、テレコンファレンス参加 者が一方のステーションだけにいる場合でも、双方のステーションにいる場合で も、継続的にアクティブになっている。くし形フィルタが継続的にアクティブで あることは、これらのフィルタが円滑なバンド遷移をもち、従って、音声品質に 影響することが相対的に少ないので、伝送遅延が低い場合と同じに可能である。 前述したように、コンファレンスの両端側の参加者が話し合っているときは(つ まり、ダブルトーク)、エコーはローカル音声によってマスクされるので、また 一方の端側だけが音声を生成しているときは、補助エコー・サプレッサが残留エ コーを除去するので、くし形フィルタの制約を軽減することができる。 以上のように、くし形フィルタ、周波数スケーラおよび補助エコー・サプレッ サは独特な方法で組み合わされ、配置されているので、他の方法では課されてい た設計上の制約を大幅に緩和することができる。このように制約が緩和されると 、テレコンファレンシング・システムのラウンドトリップ伝送遅延とは無関係に 、オーディオ・コンファレンシングの品質を大幅に向上することができる。具体 的には、感知されない音響エコー、音響的に安定したパフォーマンス、完全な対 話性、および低減化した音声信号ひずみが達成される。周波数スケーラ、くし形 フィルタ、およびエコー・サプレッサによれば、室内の音響処理とマイクロホン /受信装置の配置手法と併用することにより、必要とされるエコー戻り損失の向 上と音響安定性の余裕度が得られるので、追加的な減衰を行なう必要がない。従 って、システムの完全対話性がそのまま維持されることになる。 図9に示すように、それぞれチャネル700,800上の補助エコー・サプレ ッサ410,510から出た信号は、それぞれ自動レベル制御(automatic leve l controlling‐ALC)デバイス428,528によって処理されてから、伝送シ ステム610に入力される。これらのデバイス428,528は、図示の例のよ うに実現することが可能である。ALCデバイス410,510としては、例え ば、米国特許第5,029,162号に記載されているものがあるが、これらのデバイス は、テレコンファレンス参加者の発声スタイルに関係なく、すべてがほぼ同じ強 さをもつ音声信号を出力する。音声信号レベルをこのように制御すると、伝送シ ステム610に入力され、最終的には、遠方端側のオーディオ機器に入力される 信号は、所望のダイナミック・レンジ内に収まることが保証される。従って、声 の大きい話者による非常に強い音声信号はコーデック(図1参照)やその後に続 く他の機器をオーバロード(過負荷状態)にすることがない。 図9に示すように、信号が受信装置502あてのチャネル700上の伝送シス テム610から出て受信されると、その信号はエクスパンダ(伸張器)/ゲート 530で処理され、周囲ノイズと伝送ノイズが低減され、エコー・サプレッサの 動作が円滑化されることになる。同様に、信号が受信装置402あてのチャネル 800上の伝送システム610から出て受信されると、その信号はエクスパンダ (伸張器)/ゲート430で処理される。従って、ステーション500側のマイ クロホン504から伝送システム610を経由してステーション400側の受信 装置402へ送信された信号はエクスパンダ/ゲート430で処理され、ステー ション400側のマイクロホン404から伝送システム610を経由してステー ション500側の受信装置502へ送信された信号はエクスパンダ/ゲート53 0で処理される。エクスパンダ/ゲート430、530は、信号に含まれる周囲 ノイズと伝送ノイズを低減するために使用される。このデバイスの名前が示すよ うに、エクスパンダ/ゲートは、入力信号があらかじめ定義したしきい値の範囲 内にあれば、その入力信号のダイナミック・レンジを複数倍に向上する。 説明の便宜上、エクスパンダ/ゲートは伸張比が3:1、しいき値が0dBm であるものとする。このような場合には、到来信号の平均レベルがしきい値以下 であれば、例えば、−10dBmであれば、その信号はノイズを含んでいるもの とみなされ、−30dBmで出力されることになる。これとは逆に、到来信号が しきい値に近いか、あるいはそれ以上であれば、例えば、10dBmであれば、 その信号は音声を含んでいるものとみなされ、同じレベル(この例では、10d Bm)で出力されることになる。エクスパンダ/ゲートのしきい値は、到来信号 が音声を含んでいるとき、その信号がしきい値に近いか、あるいはそれ以上にな るようにセットしておくべきである。しかし、音声が存在しないときは、到来信 号はしきい値以下になる。 ノイズ・ゲートをエクスパンダ/ゲートに代えて使用することが可能である。 エクスパンダ/ゲートとノイズ・ゲートとの主な違いの1つは、ノイズ・ゲート がしきい値で急峻な屈曲を特徴とする応答曲線をもつのに対し、エクスパンダ/ ゲートは、音声信号がしきい値に非常に近い範囲内にあっても、音声信号がその デバイスによって切断されるのを防止する円滑な屈曲曲線をもっていることであ る。図12は、ノイズ・ゲートとエクスパンダ/ゲートの代表的な応答曲線を示 している。 結論 以上、テレコンファレンシング・システム用のオーディオ処理システムについ て説明してきた。このオーディオ処理システムによれば、ほぼ同一のくし形フィ ルタと周波数スケーラが各ステーションに置かれ、音響エコーを低減し、音響安 定性の余裕度を向上している。くし形フィルタと周波数スケーラは相互に協力し 合い、周波数スケーラがくし形フィルタの伝達関数のバンド間隔(ピークから谷 までの)に対応するように周波数シフトを誘起するようにしている。また、本発 明によるオーディオ処理システムは、補助エコー・サプレッサと、ノイズを低減 し、システム内の個々のコンポーネントの動作を円滑化する他のデバイスも含ん でいる。各ステーションで採用されているくし形フィルタは相補でなく、ほぼ同 一であるので、本発明のオーディオ処理システムによれば、ポイントツー・ポイ ントおよびマルチポイント・オーディオ処理システムにおける音響不安定性とエ コーの効果を軽減することができる。さらに、各ステーションはほぼ同一の機器 を利用しているので、コンファレンシング・セッションに入る前にステーション 間で機器の交渉を行ったり、機器を変更したりする必要がない。最後に、本発明 の上述した実施例は単なる例示を目的としたものであり、請求の範囲に明確化さ れている本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、種々態様に変更することが可能 である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヤラリ,アリ,リー アメリカ合衆国 77380 テキサス州 ザ ウッドランズ シックス パインズ ド ライブ 10600 ナンバー824 (72)発明者 シュティルマー,ジェナディ アメリカ合衆国 07950 ニュージャージ ー州 モーリス プレインズ ルート 10 イースト 2467 アパートメント 4― 7ビー 【要約の続き】 テムにおいて音響不安定性と音響エコーの効果を軽減す ることができる。さらに、各ステーションはほぼ同一の 機器を使用しているので、コンファレンシング・セッシ ョンに入る前に、ステーション間で機器の交渉を行った り、機器の変更を行なったりする必要がない。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.N個のステーション(ただし、N≧2)を接続するテレコンファレンシング ・システム用のオーディオ処理システムであって、 各ステーションにおいて、信号を他のステーションへ送信するマイクロホンと 、 他のステーションから信号を受信する受信装置と、 前記マイクロホンに接続され、通過バンドと阻止バンドが交互に代わる伝達関 数と、隣接通過バンドと阻止バンドの間のピークから谷までの間隔に等しいバン ド間隔とをもつくし形フィルタと、 前記受信装置に接続され、該受信装置で受信されるのに先立って、他のステー ションからの信号の周波数シフトを誘起する周波数スケーラとを備え、該周波数 スケーラは、前記くし形フィルタの前記阻止バンドに対応する周波数シフトを誘 起することを特徴とするオーディオ処理システム。 2.各ステーションのくし形フィルタは、他のステーションのくし形フィルタと 相補になっていないことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ処理システム 。 3.各ステーションのくし形フィルタは、他のステーションのくし形フィルタと ほぼ同じ伝達関数をもっていることを特徴とする請求項1に記載のオーディオ処 理システム。 4.各ステーションの周波数スケーラは、他のステーションの周波数スケーラと ほぼ同じ周波数シフトを誘起することを特徴とする請求項3に記載のオーディオ 処理システム。 5.各ステーションの前記マイクロホンから送信され、前記くし形フィルタと、 ステーションの一方の側の周波数スケーラと、他のステーションの前記一方の側 のくし形フィルタとに現われた信号は、音響安定性の余裕度を向上し、音響エコ ーを低減するように大幅に減衰されることを特徴とする請求項4に記載のオーデ ィオ処理システム。 6.ポイントツー・ポイント・テレコンファレンシング・システム用のオーディ オ処理システムであって、 第1マイクロホン手段と第1スピーカ手段とを含む第1ステーションと、 前記第1ステーションから離れた位置に置かれ、第2マイクロホン手段と第2 スピーカ手段とを含む第2ステーションと、 前記第1マイクロホン手段を前記第2スピーカ手段と接続する第1オーディオ ・チャネルおよび前記第2マイクロホン手段を前記第1スピーカ手段と接続する 第2オーディオ・チャネルと、 それぞれがほぼ同一の通過バンドと阻止バンドをもち、前記第1チャネルと第 2チャネルに置かれた第1くし形フィルタおよび第2くし形フィルタと、 それぞれが前記第1くし形フィルタと第2くし形フィルタの反対側で該チャネ ルの一方に置かれ、該一方のチャネルの信号の周波数シフトを誘起する第1周波 数スケーラおよび第2周波数スケーラとを備え、該第1周波数スケーラと第2周 波数スケーラは、該第1くし形フィルタと第2くし形フィルタの隣接通過バンド と阻止バンド間のピークから谷までの間隔に対応する周波数シフトを誘起するこ とを特徴とするオーディオ処理システム。 7.マルチポイント・テレコンファレンシング・システム用のオーディオ処理シ ステムであって、 相互に離れて置かれたN個のステーション(ただし、N≧2)と、 前記N個のステーションの各々に接続され、該N個のステーションの各ペア間 に第1チャネルと第2チャネルを確立するオーディオ・ブリッジとを備え、前記 各ペアのステーションの各ステーションは、 該ペアのステーションの他方のステーションへ信号を送信するマイクロホンと 、 前記他方のステーション側の他方のマイクロホンから信号を前記第1チャネル を経由して受信する受信装置であって、該他方のマイクロホンは該他方のステー ション側の他方の受信装置へ信号を前記第2チャネルを経由して送信するものと 、 該チャネルの一方に置かれ、通過バンドと阻止バンドが交互に代わる伝達関数 と、隣接通過バンドと阻止バンド間のピークから谷までの間隔に等しいバンド間 隔とをもつくし形フィルタと、 該チャネルの他方に置かれ、該ペアのステーションの該他方のステーションか らの信号の周波数シフトを誘起する周波数スケーラとを備え、該周波数スケーラ は前記くし形フィルタの前記バンド間隔に対応する周波数シフトを誘起すること を特徴とするオーディオ処理システム。 8.前記N個のステーションの前記くし形フィルタはほぼ同一の伝達関数をもち 、該N個のステーションの前記周波数スケーラはほぼ同一の周波数シフトを誘起 することを特徴とする請求項7に記載のオーディオ処理システム。 9.各ステーションにおいて、前記周波数スケーラは前記第1チャネル上で前記 受信装置と前記オーディオ・ブリッジの間に置かれ、前記くし形フィルタは前記 第2チャネル上で前記マイクロホンと該オーディオ・ブリッジの間に置かれてい ることを特徴とする請求項8に記載のオーディオ処理システム。 10.前記N個のステーションの各々において、前記周波数スケーラは前記第1 チャネル上で前記マイクロホンと前記オーディオ・ブリッジの間に置かれ、前記 くし形フィルタは前記第2チャネル上で前記受信装置と該オーディオ・ブリッジ の間に置かれていることを特徴とする請求項8に記載のオーディオ処理システム 。 11.前記各々のステーションに置かれた前記周波数スケーラは、周波数シフト を最大5%下方へ誘起することを特徴とする請求項7に記載のオーディオ処理シ ステム。 12.高い伝送遅延と低い伝送遅延をもつテレコンファレンシング・システム用 のオーディオ処理システムであって、 相互に離れて置かれた複数のステーションと、 前記ステーションの各々を他のステーションの各々に接続する伝送システムで あって、該複数のステーションの各ペアは第1チャネルと第2チャネルを通して 接続された第1ステーションと第2ステーションをもつものと、 前記第1ステーション側で、ある強さをもつ第1信号を送信する第1マイクロ ホン手段およびある強さをもつ第2信号を受信する第1受信装置手段と、 前記第2ステーション側で、前記第2信号を前記第1受信装置手段へ送信する 第2マイクロホン手段および前記第2受信装置手段から前記第1信号を受信する 第2受信装置手段であって、前記第1チャネルは、前記伝送システムを通して前 記第1マイクロホン手段を前記第2受信装置手段と接続し、前記第2チャネルは 、該伝送システムを通して前記第2マイクロホン手段を前記第1受信装置手段と 接続するものと、 前記第1ステーション側で、前記第1マイクロホン手段に接続され、第1可変 減衰を該第1マイクロホンの出力側から前記第1チャネルに挿入する第1エコー ・サプレッサ手段であって、前記第1可変減衰は、前記第1マイクロホン手段か ら送信された前記第1信号の強さと前記第1受信装置によって受信された前記第 2信号の強さとによって決まるものと、 前記第2ステーション側で、前記第2マイクロホン手段に接続され、該第2マ イクロホン手段から送信された前記第2信号の強さと前記第2受信装置によって 受信された前記第1信号の強さとによって決まる可変減衰を、前記第2マイクロ ホンの出力側から前記第2チャネルに挿入する第2エコー・サプレッサ手段と、 前記第1および第2ステーション側には、それぞれがほぼ同一の通過バンドと 阻止バンドをもち、前記第1および第2チャネルに置かれた第1くし形フィルタ と第2くし形フィルタであって、該第1くし形フィルタは前記第1マイクロホン 手段と前記第1エコー・サプレッサ手段の間に置かれ、前記第2くし形フィルタ は前記第2マイクロホン手段と前記第2エコー・サプレッサ手段の間に置かれて いるものと、 前記第1および第2ステーション側には、それぞれが前記第1および第2チャ ネルに置かれた第1周波数スケーラと第2周波数スケーラであって、該第1周波 数スケーラは前記第1受信装置と前記第1エコー・サプレッサ手段の間に置かれ 、前記第2周波数スケーラは前記第受信装置と該第2エコー・サプレッサの間に 置かれたものとを備え、前記第1および第2周波数スケーラは、前記第1および 第2くし形フィルタの隣接通過バンドと阻止バンドの間のピークから谷までの間 隔に対応する周波数シフトを誘起することを特徴とするオーディオ処理システム 。 13.前記第1エコー・サプレッサ手段は、前記第1マイクロホン手段からの前 記第1信号の強さと前記第1受信装置によって受信される前記第2信号の強さと を比較する手段を備え、前記第2エコー・サプレッサ手段は、前記第2マイクロ ホン手段から送信された前記第2信号の強さと前記第2受信装置によって受信さ れる第1信号の強さとを比較する手段を備え、該比較手段は、挿入すべき可変減 衰を判断するための入力信号を出力することを特徴とする請求項12に記載のオ ーディオ処理システム。 14.周囲ノイズおよび伝送ノイズを低減すると共に、前記第1および第2信号 の強さがそれぞれあらかじめ定義したしきい値以下であるとき、該第1および第 2信号のダイナミック・レンジをあらかじめ定義した倍数だけ増加する第1およ び第2エクスパンダ/ゲートをさらに含み、該第1エクスパンダ/ゲートは前記 第2チャネル上で前記第1エコー・サプレッサ手段と前記伝送システムの間に置 かれ、該第2エクスパンダ/ゲートは前記第1チャネル上で前記第2エコー・サ プレッサ手段と該伝送システムの間に置かれていることを特徴とする請求項13 に記載のオーディオ処理システム。 15.前記第1および第2チャネル上の前記第1信号および第2信号の強さをそ れぞれ制御する第1および第2自動レベル制御デバイスをさらに含み、該第1デ バイスは前記第1チャネル上で前記第1エコー・サプレッサ手段と前記伝送シス テムの間に置かれ、前記第2デバイスは前記第1チャネル上で前記第2エコー・ サプレッサ手段と前記伝送システムの間に置かれていることを特徴とする請求項 14に記載のオーディオ処理システム。
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