JPH08509208A - 組み換えアデノウイルスおよび眼疾患の治療のための遺伝子療法におけるそれらの使用 - Google Patents

組み換えアデノウイルスおよび眼疾患の治療のための遺伝子療法におけるそれらの使用

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Abstract

(57)【要約】 眼の疾病を治療するために有用な医薬品を調製するための挿入遺伝子を含む欠陥組み換えアデノウイルスの使用が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 組み換えアデノウイルスおよび眼疾患の治療のための遺伝子療法におけるそ れらの使用 本発明は、新規な組み換えウイルス、それらの調製、および眼への遺伝子の伝 達とそれらの眼での発現による遺伝子療法におけるそれらの使用に関する。また 、本発明は、該組み換えウイルスを含む医薬組成物にも関する。より具体的には 、本発明は、欠陥組み換えウイルスおよび眼疾患の治療のためのそれらの使用に 関する。 眼疾患、特に遺伝病の治療は、現代において解決されてない問題の構成要素で ある。これらの疾患の中には、例えば、不利な遺伝的変性による色素性網膜炎を 挙げることができ、現在、それに対する治療法はまだない。さらに、炎症後の疾 病(網膜変性、およびそれに類するもの)のような非遺伝的疾患についても、現 在では適切な治療法はない。特にコルチコイドを用いて、予防的に作用させるべ き努力が特になされるけれども、これらの疾病を治療するための満足できる方法 は、現在まだ得られていない。 それゆえ、眼疾患の特異的、効果的および局所的な治療をなし得る手段を持つ ことができることは重要である。本発明は、遺伝子療法により眼疾患を治療する 可能性を実証することによって、この問題に対する有利なアプローチを提供する 。 遺伝子療法は、冒された細胞もしくは器官中に遺伝情報を導入することによっ て、欠陥もしくは異常(変異、異常発現、等)を矯正すること にある。この遺伝情報は、器官から抽出された細胞中にイン・ビトロで導入され 、次に、その改変細胞を体内に再導入するか、または適切な組織中に、イン・ビ ボで直接導入されるかのいずれでもよい。この第2の場合には、DNAとDEA E−デキストランの (Pagano et al.,J.Virol.1(1967)891)、DNAと 核タンパク質の(Kaneda et al.,Science 243(1989)375)、DNAと脂質の (Felgner et al.,PNAS 84(1987)7413)複合体、リポソームの使用(Fraley et al.,J.Biol.Chem.255(1980)10431)およびそれに類するものを伴う種 々のトランスフェクション技術を含む各種の技術が存在する。より最近では、遺 伝子の伝達のためのベクターとしてウイルスの使用が、これらの物理的なトラン スフェクション技術の有望な代替法として出現した。これに関連して、ある種の 細胞集団への感染力について、種々のウイルスが試験された。これらは、特に、 レトロウイルス(RSV,HMB、MMS、およびそれに類するもの)、HSV ウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびアデノウイルスを含む。 しかしながら、これまで、これらのベクターのどれもが、眼への遺伝子伝達に ついて使用されてこなかったし、使用できるとして記述されることもなかった。 本発明は、遺伝子療法によって眼疾患を治療することができるという最初の例証 を構成する。 本発明の第1の主題は、眼疾患の治療を意図した医薬組成物の調製のための、 挿入遺伝子を含む欠陥組み換えウイルスの使用にある。 より具体的には、眼の細胞に感染し、挿入遺伝子を発現ことができるウイルス 由来の欠陥組み換えウイルスが、細胞病理学的現象または病原作用を引き起こす ことなく、本発明に従って使用される。本発明におい て使用され得るウイルスは、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、あ るいはまたHSVウイルスである。 本発明は、さらに具体的には、アデノウイルス型ウイルスが、眼に目的の遺伝 子を伝達し、そこで遺伝子を発現することができるという実証に基づく。後に示 される実施例は、アデノウイルスが、投与様式にしたがって、角膜内皮、光受容 器細胞、視神経細胞、二極細胞、およびそれに類するものに、かなりの期間、細 胞病理学的影響を受けることなく、効果的に、遺伝子を伝達することができるこ とを示す。さらに、顕微手術(マイクロインジェクション)による眼の異なる区 分への比較的容易なアクセス、ならびにこの器官(デスメー膜、ブルック膜、レ ンズ、およびそれに類するもの)における自然のバリヤーの存在のために、本発 明は、有利には、治療されるべき疾患にしたがって、著しく標的を絞った遺伝子 の伝達を可能にする。また、提示された結果は、目的の遺伝子の発現が、長期間 にわたって安定である(50日で活性の損失なし)ことを示す。 好適な実施の態様においては、本発明は、眼疾患の治療を意図した医薬組成物 の調製のための、挿入遺伝子を含む欠陥組み換えアデノウイルスの使用にある。 用語“欠陥ウイルスもしくはアデノウイルス”は、標的細胞中で自律的に複製で きないウイルスを示す。それゆえ、一般に、本発明の明細書に用いられる欠陥ウ イルスのゲノムは、少なくとも感染細胞における該ウイルスの複製に必要な塩基 配列を欠いている。これらの領域は、除去(全部もしくは一部)されていても、 非機能的にされていても、他の配列、特に挿入遺伝子によって置換されていても よい。それにもかかわらず、好ましくは、欠陥ウイルスは、ウイルス粒子の包膜 に必要なゲノムの配列は保持している。 より具体的には、アデノウイルスに関しては、ウイルス粒子は、異なる血清タ イプの形で存在し、その構造および性質は、いくらか変化している。それにもか かわらず、これらのウイルスは、ヒト、特に非免疫抑制被験者に対して病原性が ない。本発明に関し、これらの血清タイプのうち、アデノウイルスタイプ2もし くは5(Ad2もしくはAd5)を使用することが好ましい。アデノウイルスA d5の場合には、複製に必要な配列は、E1AおよびE1B領域である。レトロ ウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはHSVウイルス(単純ヘルペスウイルス )由来の欠陥組み換えウイルスは、既に文献に記載されている[Roemer and Fri edmann,Eur.J.Biochem.208(1992)211;Dobson et al.,Neuron 5(1990 )353;Chiocca et al.,New Biol.2(1990)739;Miyanohara et al.,New B iol.,4(1992)238;W091/18088]。 本発明の目的のために、用語“挿入遺伝子”は、組み換えウイルス中に導入さ れたいずれかのDNA配列をも表し、標的細胞におけるその発現が求められる。 特に、それは、タンパク質(単数または複数)またはタンパク質(単数または 複数)の一部分をコードしている1種または複数の構造遺伝子であり得る。この ようにコードされたタンパク質またはタンパク質の一部分は、標的細胞に関して 相同(すなわち、細胞が、いかなる疾患をも示さない場合、標的細胞で正常に発 現されるタンパク質)であるタンパク質でも、また該細胞に関して異種であるタ ンパク質でもよい。最初の場合には、そのタンパク質の発現は、例えば、細胞で の不十分な発現か、または不活性であったり活性の低いタンパク質の発現を矯正 するか、さ もなくば、該タンパク質を過剰に発現させることができる。第2の場合には、発 現されたタンパク質は、例えば、疾患を克服できるように、その細胞に欠失して いる活性を、補充するか、供給することができる。 本発明の目的のための挿入遺伝子には、より具体的には、次のものを挙げるこ とができる: − 眼の遺伝的病理に関与する遺伝子、 − 成長因子、サイトカインもしくは神経栄養因子をコードする遺伝子:すな わち、各種眼疾患におけるこれらの遺伝子の発現産物の予防的または治療的役割 が、特に光の影響下での光受容器細胞の劣化について証明されている(Lavai1 e t al.,PNAS 89(1992)11249)、 − 調節因子(転写因子、翻訳因子)に関する遺伝子、 − 酵素をコードする遺伝子、 − 抗がん性をもつタンパク質、例えば、インターフェロン、腫瘍壊死因子、 およびそれに類するものをコードする遺伝子、あるいはまた、 − 眼の感染に対して局所的なワクチン接種(予防)を可能にする抗原をコー ドする遺伝子。 具体的な、しかし限定しない例として、以下のものが挙げられる: * 旋回性萎縮に関与するオルニチン・アミノトランスフェラーゼ遺伝子(Ak aki et al.,J.Biol.Chem.267(18)(1992)12950)、 * 色素性網膜炎の形状に関与するロドプシン遺伝子(Dryja et al.,Nature 343(1990)364)、 * 色素性網膜炎の形状に関与するRDSペリフェリン遺伝子(Farrar et al .,Nature 354(1991)478)、 * B1型眼皮膚の白色症に関与するチロシナーゼ遺伝子(Giebel e t al.,Am.J.Hum.Genet.48(1991)1159)、 * レーベル病に関与するミトコンドリアNDI遺伝子(Howell et al.,Am .J.Hum.Genet.48(1991)935)、 * 網膜変性を緩和させるcGMPホスホジエステラーゼのβ−サブユニット の遺伝子(Lem et al.,PNAS 89(1992)4422)、 * rabゲラニルゲラニルトランスフェラーゼ遺伝子、その欠失は脈絡膜に おける網膜変性に関与していると思われる(Seabra et al.,Science 259(1993 )377)、 * ある種の遺伝性網膜ジストロフィーに観察される光受容器細胞の退化を妨 げることができる、ベーシック繊維芽細胞成長因子(bFGF)遺伝性(Faktor ovich et al.,Nature 347(1990)83)、 * インターロイキンー8遺伝子、それは角膜において血管新生を誘導させ得 る(Strieter et al.,Am.J.Pathol.141(6)(1992)1279)。 用語“挿入遺伝子”は、またアンチセンス配列を示しており、標的細胞中での その発現により、遺伝子の発現もしくは細胞mRNAの転写を制御することがで きる。そのような配列は、例えば、標的細胞において細胞mRNAに相補的なR NAに転写され、その結果、それらのタンパク質への翻訳を阻止することができ る。 一般に、挿入遺伝子は、また、感染細胞においてその発現を可能にする配列も 含む。問題の配列は、これらの配列が、感染細胞中で機能できる場合には、自然 に、該遺伝子の発現に係わっているものである。また、それらは、異なる起源の 配列であってもよい(他のタンパク質の発現に係わる配列か、または合成塩基配 列でさえもよい)。特に、それらは、感染が望まれる細胞のゲノム、または使用 されるウイルスのゲノムに由 来する配列であってもよい。アデノウイルスの場合には、例えば、E1A、ML P遺伝子、およびそれに類するもののプロモーターを挙げることができる。その うえ、これらの発現配列は、活性化、調節等の配列の付加によって修飾され得る 。さらに、挿入遺伝子が、発現配列を含まない場合には、それは、そのような配 列の下流で欠陥ウイルスのゲノム中に挿入されてもよい。 以下においては、欠陥組み換えアデノウイルスの構築および使用が、より詳細 に述べられる。それにもかかわらず、この記述は、当業者によって、前述のよう な本発明に関して使用され得る他のウイルスに応用できることが理解されている 。 欠陥組み換えアデノウイルスは、アデノウイルスと、中でも挿入が望まれる遺 伝子をもつプラスミドとの間の相同組み換えによって作製される。相同組み換え は、適切な細胞系への該アデノウイルスと該プラスミドのコ・トランスフェクシ ョン(cotransfection)の後に起きる。使用される細胞系は、好 ましくは、(i)該要素によって形質転換可能であり、そして(ii)欠陥アデ ノウイルスのゲノムの一定部分を相補できる配列を、好ましくは、組み換えのリ スクを避けるために組み込まれた形で、含むことが必要である。細胞系の例とし ては、ヒト胎児腎系293(Graham et al.,J.Gen.Virol.36(1977)59)を 挙げることができ、それは、特にそのゲノムに組み込まれた、アデノウイルスA d5のゲノムの左手部分(12%)を含む。 その後、増殖したベクターは、回収され、分子生物学の標準技術によって精製 される。 また、本発明は、眼への投与に好適な形態で、上記の欠陥組み換えウ イルスの十分量を含む医薬組成物にも関する。 特に、欠陥組み換えウイルスは、注射剤、点眼液、眼用軟膏、等の形で存在し てもよい。眼への投与に好適な剤形用として薬物学的に受容できる担体は、特に 、生理食塩液(リン酸モノナトリウムまたはジナトリウム、塩化ナトリウム、カ リウム、カルシウムもしくはマグネシウム、等、またはそのような塩の混合液) 、軟質パラフィン、液状パラフィンおよびそれに類するものである。 点眼液もしくは眼用軟膏の場合には、治療的適用は、欠陥組み換えウイルスの 比較的弱い拡散のために、より限定される可能性があるものと理解されている。 眼疾患の治療のためのそれらの使用においては、本発明による欠陥組み換えウ イルスは、種々の方法で、特に、場合により、硝子体手術後の網膜下注射による か、または硝子体内注射によって、単回もしくは複数回注射で投与されてもよい (図1、参照)。網膜下注射は、眼の異なる部位に選択的に行われ、特に、硝子 体、前眼房もしくは眼球後部の空間において実施され得る。本出願に示された結 果は、これらの異なる形式の注射が、眼の異なる組織、特に、角膜内皮、光受容 器細胞、二極細胞、神経節細胞、あるいはまた眼球運動筋の細胞に、目的に合っ た方法で感染させ得ることを示している。 注射に使用される用量は、種々のパラメーターに従って、特に、使用される投 与法、問題の疾患、発現される遺伝子あるいはまた必要な治療期間に従って適応 され得る。一般的に言えば、本発明による組み換えアデノウイルスは、104〜 1014pfu/ml、好ましくは、106〜1010pfu/mlの用量形式で製 剤化され、投与される。用語pfu(プ ラーク形成単位)は、ウイルス液の感染力に対応し、適切な細胞培養の感染と一 般に48時間後の感染細胞のプラーク数の測定によって決定される。ウイルス液 のpfuタイターの測定技術は、文献において良く報告されている。 標的細胞中での挿入遺伝子の発現安定性に関していえば、本発明は、数回の注 射により殆どの眼疾患を治療することを可能にした。 したがって、本発明は、眼疾患、特に、その機作が、分子レベルで解明されて いる疾患の治療についての非常に有効な方法を提供する。特に、遺伝子の関与は 、旋回性萎縮、ノリー病(Norrie’s disease)(Hum.Mol.Ge net.1(7)(1992)461)、網膜変性(Bowes et al.,PNAS 86(1989)9722) 、レーベル病、脈絡膜欠如(Cremers et al.,Nature 347(1990)674)、光受 容器細胞の変性、色素性網膜炎、白色症、キアンズ−サイレ(Kearns−S ayre)症候群(Shoffner et al.,PNAS 86(1989)7952)等において証明さ れている。また、本発明は、炎症性疾患に起因する角膜における後天性逆変性、 炎症後の網膜不調、等の治療のためにも役立つ。 本発明は、また、タンパク質またはペプチドによる治療を可能にするが、慣用 的投与ルー卜によるその使用は、身体で分解され除去されるメカニズムに非常に 敏感であること、そして細胞への侵入に関する問題があることのために、非常に 仮説的である。本発明によるウイルスの使用は、標的細胞の集団内で、目的のタ ンパク質またはペプチドの直接発現を可能にするので、上記メカニズムにもはや 影響されることはない。 より具体的には、本出願に示された全結果は、増殖に欠陥のある組み換えアデ ノウイルスが、眼の細胞へのイン・ビボの遺伝子伝達に特に有 利なベクターを構成することを証明する。実施された実験は、これらの細胞での 長期間安定な遺伝子発現の可能性を示す。特に、安定な発現は、注射後、50日 観察される。さらにまた、網膜のあらゆる障害(特に、色素性網膜炎)が、実際 に、広範囲の網膜に影響を与えるので、異なる眼細胞における発現の幅広いスペ クトルは、特に有利な結果をもたらす。 そのうえ、この治療は、ヒトならびに、ヒツジ、ウシ、家畜(イヌ、ネコ等) 、ウマ、サカナおよびそれに類するようなどんな動物にも関係する。 本発明は、次に示す実施例によって、より完全に述べられるが、これは例示で あり、限定されないものとして考慮されるべきである。 図の説明 図1:眼の図解表示。C=角膜;AC=前眼房;L=レンズ;V=硝子体;I =光彩;ON=視神経;R=眼球後部の空間。 欠陥組み換えアデノウイルス(Ad.RSVβGal)の構築: 組み換えアデノウイルスを調製し得る一般的操作は、本明細書の一般的部分に 記述されている。 アデノウイルスAd.RSVβGalは、変異株アデノウイルスAd−d13 24(Thimmappaya et al.,Cell 31(1982)543)とプラスミドpAd.RSV βGal(Ak1i et al.,1993)との間のイン・ビボでの相同組み換えによって 得られた欠陥組み換えアデノウイルス(E1およびE3領域が欠失されている) である。 プラスミドpAd.RSVβGalは、5’→3’方向に、次のものを含む、 − アデノウイルスAd5の左手末端に対応するPvuII断片:ITR配列 、複製起点、包膜シグナルおよびEIAアンプリファ イヤーを含む; − RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター制御下のβ−ガラクトシダー ゼをコードする遺伝子; − アデノウイルスAd5のゲノムの第2断片であって、それは、プラスミド pAd.RSVβGalとアデノウイルスd1324との相同組み換えを可能に する。 酵素C1aIによる直鎖化の後、プラスミドpAd.RSVβGalとアデノ ウイルスd1324が、リン酸カルシウム存在下で、系293中にコ・トランス フェクションされて、相同組み換えされる。このようにして創出された組み換え アデノウイルスは、プレー卜上での精製によって選択される。単離後、組み換え アデノウイルスのDNAが、細胞系293において増殖され、それによって約1 010pfu/mlのタイターをもつ未精製の組み換え欠陥アデノウイルスを含む 培養上澄液を得る。 ウイルス粒子は、一般に、既知の技術(特に、Graham et al.,Virology 52( 1973)456)にしたがって、塩化セシウム濃度勾配での遠心により精製される。 アデノウイルスAd.RSVβGalは、20%グリセロール中−80℃で貯蔵 される。注射前に、アデノウイルス懸濁液は、リン酸バッファーPBSで1/3 に希釈される。 イン・ビボの注射 −プロトコール 3〜7週齢のC57B1/6マウスを、アベルチンを用いて麻酔する。次いで 、組み換えアデノウイルスAd.RSVβGal107〜108pfuを、それぞ れの眼に、前眼房、または硝子体、または眼球後部空間のいずれか(図1参照) の中に注射する。動物を、注射後7〜50日に、 頸部脱臼によって屠殺し、眼を回収して、液体窒素で固定する。矢状および冠状 切片(10〜15μm)を、低温槽で作製し、次に、X−galの存在で染色し てβ−ガラクトシダーゼ活性を示すが、それは、感染細胞の核中の青いしみの出 現によって目視することができ、ヘマトキシリンとエオシンを用いて対向染色さ れる。 −前眼房への注射 前眼房の空間に、アデノウイルスAd.RSVβGal108pfuを注射し た後には、内皮層の細胞のみが、β−ガラクトシダーゼ活性を表す。一方、上皮 または間質細胞は、そのような注射に続いて、どんな着色をも表さない。さらに また、標識(感染)された細胞は、投与時間にかかわりなく内皮層に平均的に分 布している。この結果は、本発明が、眼の内皮細胞に遺伝子を伝達し、そこで発 現させ得ることを示している。 −硝子体内注射 また、硝子体内注射は、網膜の異なる細胞種を感染する目的をもって実施され た。前眼房空間に注射後の内皮細胞における均一な分布とは逆に、硝子体内注射 後の陽性(感染)細胞の分布は、注射点に対応する半網膜に限定される。レンズ の大きいサイズと硝子体液の粘稠特性が、この局限された発現を説明するであろ う。しかしながら、一時的な鼻内注射が、同時に行われる時には、両半網膜の細 胞が感染される。それゆえ、これらの結果は、遺伝子を網膜へ伝達し、そこで、 それを発現することができることを示している。また、それらは、治療されるべ き疾患に依存して、特に、その網膜での分布に依存して、一方の半網膜のみへの 伝達を狙うことも可能であることを示している。 神経節、二極細胞および光受容器細胞に対応する3種の核層が、また、 3週目(網膜の発生が完結する時)と、ならびに成熟マウスにおいて、強い着色 を表す。LacZタンパク質の核局在を可能にするシグナルの存在にもかかわら ず、注射部位の数種の細胞の標識(それゆえ感染)は、着色が、細胞質中へ拡散 するほど強く現れる。このために、標識された核の軸索(視神経を形成するため に一点に集まる)に対応する神経繊維の層が、均質に標識される。 網膜細胞の異なる層の注意深い解析では、それらの厚さにおいて、いかなる重 大な減少をも現さない。さらにまた、視神経のヘッド(head)は、アデノウ イルスの高投与量(107pfu)においてさえも悪い影響を受けない。 −眼球後部空間への注射 強膜を通してのウイルス拡散の可能性を評価するために、マウスは、眼球後部 空間に注射された。網膜染色とは逆に、4本の眼球運動筋の繊維のほとんど10 0%が、感染され、β−ガラクトシダーゼ活性を発現した。 これらの集積された結果は、複製に欠陥のある組み換えアデノウイルスが、イ ン・ビボで、眼の細胞へ遺伝子を伝達するための特に有利なベクターを構成する ことを明らかに証明する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペリコーデ,ミシエル フランス国エフ―28320エクロスヌ・リユ ドシヤルトル31

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 眼疾患の治療を意図した医薬組成物の調製のための、挿入遺伝子を含む 欠陥組み換えアデノウイルスの使用。 2. 欠陥組み換えアデノウイルスが、感染細胞におけるその複製に必要なゲ ノムの領域を欠如していることを特徴とする、請求の範囲1記載の使用。 3. 欠陥組み換えアデノウイルスが、タイプAd2アデノウイルスであるこ とを特徴とする、請求の範囲1または2記載の使用。 4. 欠陥組み換えアデノウイルスが、タイプAd5アデノウイルスであるこ とを特徴とする、請求の範囲1または2記載の使用。 5. 挿入遺伝子が、感染細胞における発現を可能にする塩基配列を含むこと を特徴とする、請求の範囲1〜4の1つに記載の使用。 6. 挿入遺伝子が、タンパク質またはタンパク質断片をコードしていること を特徴とする、請求の範囲1〜5の1つに記載の使用。 7. 挿入遺伝子が、アンチセンス配列であることを特徴とする、請求の範囲 1〜5の1つに記載の使用。 8. 色素性網膜炎のような遺伝性疾患の治療を意図した医薬組成物の調製の ための、請求の範囲1記載の使用。 9. 眼への投与に適切な形で、請求の範囲1記載の欠陥組み換えアデノウイ ルスの十分量を含む医薬組成物。 10.医薬組成物が、眼への投与に適切な注射剤形で、欠陥組み換えアデノウ イルスの十分量を含むことを特徴とする、請求の範囲9記載の医薬組成物。 11.医薬組成物が、眼への投与に適切な点眼液または眼用軟膏の形 で、欠陥組み換えアデノウイルスの十分量を含むことを特徴とする、請求の範囲 9記載の医薬組成物。 12.欠陥組み換えアデノウイルスが、欠陥組み換えタイプAd2またはAd 5アデノウイルスであることを特徴とする、請求の範囲9〜11の1つに記載の 医薬組成物。 13.医薬組成物が、欠陥組み換えアデノウイルスの104〜1014pfu/ ml、好ましくは、106〜1010pfu/mlを含むことを特徴とする、請求 の範囲12記載の医薬組成物。
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