JPH08512197A - 受容体アゴニストのスクリーニング方法 - Google Patents

受容体アゴニストのスクリーニング方法

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JPH08512197A JP6522489A JP52248994A JPH08512197A JP H08512197 A JPH08512197 A JP H08512197A JP 6522489 A JP6522489 A JP 6522489A JP 52248994 A JP52248994 A JP 52248994A JP H08512197 A JPH08512197 A JP H08512197A
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Abstract

(57)【要約】 レセプターアゴニストのアッセイ方法。その方法は、プロモーターからの転写を活性化することの出来る第一のTAF領域、およびそれ自身ではプロモーターの転写を活性化することは出来ないが第二のTAF領域の機能的状況を持つ変異した第二TAF領域、をもつレセプターをコードする核酸を提供する段階を含む。核酸は、第二のTAF領域のみの存在下ではプロモーターからの転写を示すことは出来ないが、第一のTAF領域存在化ではプロモーターからの転写を示すことのできる、細胞内に提供される。さらに、細胞はプロモーターを含むレポーター構築物を含む。レポーター構築物は、プロモーターが第一のTAF領域存在下で活性化された場合に、転写される。さらに、レセプターの既知のアゴニストと細胞との接触がプロモーターからの転写を引き起こし、レポーター構築物の生成物のレベルを増加させるような条件下で、可能性のあるアゴニストと細胞を接触させる方法を含む。最終的には、可能性のあるアゴニストのアゴニスト活性の指標として、レポーター構築物の生成物の増加のレベルを測定する方法を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 受容体アゴニストのスクリーニング方法 発明の背景 本発明はホルモン受容体(例えばエストロゲン受容体)のような細胞の受容体 に対して活性なアゴニストを同定またはスクリーニングするために有用な方法及 び構築物(construct)に関する。 以下は関連技術の議論であるが、いずれも本発明の請求の範囲の先行技術とな るものではない。 Evansらの米国特許5,071,773号(参考文献として本明細書中に取り込まれる) には、ホルモン受容体、このような受容体に対するリガンド、及びホルモン受容 体の転写活性化能を有するタンパク質を検出することができるアッセイについて 記載されている。一般に、アッセイには作動性リポーター遺伝子につながったホ ルモン応答の要素(例えばプロモーター)をコードするDNA、及び受容体タン パク質をコードするDNAの双方を含有する細胞の利用を含む。適当なホルモン またはリガンドが細胞に提供されると、ホルモン受容体とホルモンの複合体が形 成され、適当なDNA結合領域に運ばれ、それによってホルモン応答要素を活性 化し、リポーター遺伝子の発現を引き起こす。リポーター遺伝子の活性化は、リ ポーター遺伝子の産物を検出するために用いられる標準的な方法によって検出さ れる。 Pierre Chambonと彼のグループは、エストロゲン受容体の種々の性質、及びそ の細胞型やプロモーターに依存する活性について記載している。これらの実験は 、概してTAF1及びTAF2と呼ばれる2つのドメインの全て、または一部を 欠如した受容体を発現する1つまたは複数個の不完全な(truncated) エストロゲン受容体コード遺伝子を利用することによって行われた。これらのド メインはエストロゲンによって調節されていると考えられており、プロモーター の活性化を引き起こす。第3のドメインはこれら2つの間に位置し、受容体−ホ ルモン複合体によって活性化されるプロモーターの近くのDNAに結合すると考 え られている(Kumar et al.,51 Cell 941(1987))。 より具体的には、Webster et al.,54 Cell 199(1988)では、転写活性化機能 に関与する領域の位置を決めるのにキメラ受容体が利用されている。著者らは、 ホルモンは受容体がDNA応答要素を認識できるようにすること、及びホルモン がホルモン結合ドメインにおいて転写活性化機能を引き起こすことを提示してい る。 Tora et al.,59 Cell 477(1989)には、ヒトのエストロゲン受容体の不完全変 異体が分析され、TAF1及びTAF2が受容体における2つの転写活性化機能 として記載されている。これらの活性化因子は細胞型特異性及びプロモーター状 況(context)への依存性を示すと言われている。著者らはTAF2が上 流の要素と相乗的に働くことを示している。 Meyer et al.,57 Cell 433(1989)には、プロゲステロン受容体による転写刺 激がエストロゲン受容体の共発現によって阻害されることが記載されている。著 者らはこの観察が制限的転写因子の受容体による競合を反映していると述べてい る。 Berry et al.,9 EMBO Journal 2811(1990)には、エストロゲン応答性遺伝子 に対する、いわゆるプロモーター−及び細胞−特異的なアゴニストの効果につい て記載されている。同じ、または異なる起源のTAF1及び/またはTAF2領 域を含有する不完全でキメラなエストロゲン受容体が利用された。 Tassett et al.,62 Cell 177(1990)には、TAF領域の比活性の比較及び競 合性構築物によって、TAF1及びTAF2領域の相互作用及び制限因子による 競合(squelching)が記載されている。 Fawell et al.,60 Cell 953(1990)には、エストロゲン−受容体の二量体化及 び分子の変異によるその変化が記載されている。 Metzger et al.,20 Nucleic Acids Research 2813(1992)には、酵母サッカロ マイセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)のTAF1及びTAF2 領域のプロモーター−及び細胞−特異性について記載されている。不完全な(t runcated)受容体、またはこれらで削除された領域を有する受容体が分 析において用いられた。 Danielian et al.,11 EMBO Journal 1025(1992)には、エストロゲン受容体で 保存されている領域について記載され、以下のことが述べられている: “TAF1及びTAF2の活性は応答性プロモーター及び細胞の型に依存して変 化し、いくつかのケースでは完全な転写刺激のためには双方が必要とされる。” 著者らはホルモン依存性の転写刺激に必須といわれる、マウスのエストロゲン受 容体とグルココルチコイド受容体のC−末端近傍のアミノ酸を同定している。完 全な長さの受容体中、あるいはTAF1領域のなくなった内部欠失変異の中に点 突然変異を起こすことによって、著者らはTAF1の存在下または非存在下にお けるTAF2活性に対する変異の効果をつきとめることができた。発明の概要 本出願人は受容体におけるTAF1及びTAF2領域の活性は相互に依存しあ っていることを発見した。すなわち、一方の領域の活性は、使用し得る他方の領 域が機能的状況(functional context)を有することに依存 している。(“機能的状況”の語は、1方の領域で数個のアミノ酸(すなわち1 0個まで)、または好ましくは1−3個のアミノ酸のみが変化し、ホルモンまた は転写因子とその領域との相互作用の変化が最小限である(好ましくは相互作用 に変化がない)ことを意味する。こうした相互作用では、変化しない、または変 異していない領域の活性が完全に発現できるだろう。このように、一方のTAF 領域の機能的状況には、アゴニストの結合、二量体化、及び熱ショックタンパク 質の相互作用の点では他方のTAF領域の機能的な活性が含まれるが、転写活性 化能の点では含まれない。)本出願人の発見により、選択された受容体のアゴニ ストの検出のための適当なアッセイ法は、TAF1またはTAF2領域に、変異 していない他の領域の活性に明かな影響を与えることなくその領域を不活性化す る、すなわち機能をなくさせる最小限の変異を起こした受容体構築物を必要とす ることが示唆される。従って、一つの例として、TAF1はその機能的活性を示 すことができるようにしたままで、TAF2の機能をなくす変異をTAF2領域 に起こさせるものがある。 欠失領域のあるTAF1またはTAF2を用いる先行技術と異なり、本発明の アッセイでは容易に解釈できる再現性ある結果が得られる。これまでの構築物で は、選択した受容体における選ばれた分子のアゴニストまたはアンタゴニスト活 性を定量するために必要な情報を提供することができなかった。 詳細には、本出願人は、受容体のTAF1またはTAF2領域の一方のみと相 互作用する受容体のアゴニストをスクリーニングするアッセイ法を提供すること が可能であることを発見した。アゴニストに対するこうした特殊なアッセイ法は 、多数のアゴニストの中から特異的で望まれる性質を有するアゴニストを迅速に スクリーニングすることを可能にする。一例として、エストロゲン受容体に対す るアゴニストは、例えばエストロゲン、タモキシフェン(tamoxifen) 、あるいは他の既知のアゴニストに類似の活性を有するものとして速やかに同定 することができる。すなわち、このようなアッセイ法ではアゴニストが特異的に 同定できるだけでなく、アゴニストの型も決定することができる。 より詳細には、本出願人は、修飾した受容体を利用することによって、受容体 のTAF1またはTAF2活性のために必要なプロモーター−及び細胞型に特異 的な条件を同定するための方法を確立した。今ではプロモーター−及び細胞型に 特異的な活性の変化を決定するために実験を行うことができる。 特別な理論に拘束されることはないが、本出願人は、こうしたプロモーター− 及び細胞型特異性は、TAF1領域は優性な転写活性化因子として働き、TAF 2領域は転写促進因子として働くというモデルによって説明できると考える。す なわち、TAF2領域はTAF1活性のための転写機構を整えるために働く。こ の調整は基本的な転写因子の供給、染色体構造の改変、あるいは転写抑制因子の 除去であるかも知れない。あるいはまた、TAF2領域は他の転写活性化因子の ために転写機構を整えるかも知れないし、単独で本来の転写活性化作用をわずか ながら有しているかも知れない。このようなモデルにおいて、TAF1領域は、 TAF2領域がTAF1作用のために適当にそれを整えるために働くまで転写機 構に近づくことができない。 本出願人は、TAF1またはTAF2活性に対する細胞特異性は、TAF1ま たはTAF2の存在をそれぞれまねる細胞内のTAF1またはTAF2型の機能 の存在または非存在を反映していると考える。細胞内におけるこうした模倣によ っ て、変異した、また不活性化したTAF1またはTAF2領域を有する受容体構 築物が活性をもつことができるだろう。すなわち、受容体の不活性な部分を細胞 内に存在する活性のある機能で埋め合わせることができる。同様なモデルがプロ モーター特異性について存在するかも知れない。すなわち、選ばれたプロモータ ーのみがこれらのプロモーターにある機能に依存して、特定の細胞のTAF1ま たはTAF2によって活性化されるだろう。このモデルでは、種々のアゴニスト 間のアゴニスト活性の違いは、TAF1領域またはTAF2領域に対するそのア ゴニストの効果、及びTAF1またはTAF2領域と選ばれたプロモーターまた は一般的な転写機構との相互作用に依存する。 本出願人はこれらの知見を利用して、受容体のアゴニストが容易に同定できる アッセイ法を発展させた。この方法において、選択されたTAF1及び/または TAF2活性を有し、作動性(例えば速やかに検出し得る酵素活性をコードする )リポーター遺伝子につながった適当な(例えばプロモーター領域を含有する) 応答要素を有する特定の受容体構築物が細胞に提供される。応答要素は、アゴニ ストの活性が特定の条件下でのみ観察されるように、特定の細胞と関連して選択 される。従って、一つの例として、受容体は活性のあるTAF1領域と、TAF 2の機能的状況を提供する変異した(不活性な)TAF2領域を有し、細胞は選 ばれたプロモーターに対する受容体のTAF2領域の機能をまねる、または置き 換える成分を有するようなものが選ばれる。プロモーターまたはこの成分が目的 のTAF機能を示すことができるように適当な結合環境を提供する。このように して、TAF1領域に働くアゴニストは、受容体において活性のあるTAF2領 域を欠如していてもリポーター遺伝子の発現を引き起こすことができることで容 易に同定することができる。 このように、最初の側面として、本発明は選択された受容体に対するアゴニス トをスクリーニングまたはアッセイする方法に特徴がある。この方法はTAF1 及びTAF2領域を有する受容体をコードする核酸を含有する細胞を提供するこ とを含む。これらTAF1及びTAF2領域の一方は選ばれたプロモーターから の転写を活性化することができ、他方の領域は、その領域の機能的状況を提供し ながら、他方のTAF領域に非依存的なプロモーターの転写を活性化することが できないように変異している。 細胞は、上記の変異体に相当する変異していないTAF領域のみを有する(そ して他方のTAF領域を有さない)受容体の存在下で、プロモーターの転写がな いか、または最小限であるように選択される。細胞はまた、転写が上記の変異し ていない領域のみを有する受容体の存在下で生じるように選択される。例えば、 作動性TAF1領域及び変異した非作動性TAF2領域を有する受容体構築物に おいて、プロモーターの転写は作動性TAF2領域のみを有する受容体の存在下 では生じない(すなわち、有意な転写レベルは検出できない、通常、正常レベル の5−10%未満である)が、作動性TAF1領域のみを有する受容体の存在下 では生じるだろう。前に論じたように、本出願人は、こうした細胞は受容体のT AF2機能をまねる因子を含有していると仮定する。 細胞は更に、上記のように変異していない活性のあるTAF領域を有する受容 体の存在下でリポーター遺伝子の転写を引き起こすように活性化されるプロモー ター領域を有するリポーター構築物を含有する。プロモーターは上記の変異した TAF領域のみを含有する受容体の存在によっては活性化されない。 本発明の方法は更に、細胞の正常なアゴニスト(例えばエストロゲン受容体に 対するエストロゲン)との接触がプロモーターからの転写を引き起こし、その結 果リポーター遺伝子産物のレベルを増大させるような条件下で、細胞をアゴニス トになり得るものと接触させる段階を有する。この方法は、アゴニストの適用前 にはリポーター構築物は細胞内で基底(低い、または最小限の)レベルで転写さ れていることを含んでもよい。あるいはまた、この方法ではアゴニストを最初に 適用し、次いでリポーター構築物が転写されてもよい。受容体は2つのTAF領 域を有してもよい。本発明に用いることのできる受容体の制限的でない例として は、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、アンドロゲン受容体、または これらの受容体の変異体がある。 最後に、この方法にはアゴニストになり得る物質のアゴニスト活性の指標とし て、リポーター遺伝子産物の増加の度合を測定する段階が含まれる。 好ましい具体例において、アゴニストはヒトのホルモンアゴニストであり、核 の受容体、例えばヒトのホルモン受容体は細胞内の核酸によってコードされてい る。1つの例として、受容体は変異したTAF2領域を有し、細胞及びプロモー ターはTAF2の存在に対して応答を示さないか、または最小限の応答を示すよ うなものが選択される。こうした細胞の例の1つは、作動性TAF2領域を有す る受容体が活性をもたない肝細胞(特にHepG2細胞)である。すなわち、細 胞内にTAF2領域のみが存在してTAF1領域が存在しない受容体では本来の 転写活性はないが、利用できる作動性TAF1領域のみを有する受容体では転写 活性がある。最も好ましくは、プロモーターは選ばれた細胞内で提供されるTA F2機能を有する受容体を必要としないように選択され、従って受容体構築物内 の機能的なTAF1と関連して働くアゴニストはそのアゴニスト活性を示すこと ができる。 もう1つの側面として、本発明は、機能的なTAF1及びTAF2領域を有す る変異していない受容体を有する細胞の利用によるアゴニスト活性の検出方法に 特徴がある。細胞はTAF1またはTAF2疑似活性を欠いたものが選ばれる( すなわち、活性のあるTAF1またはTAF2領域のいずれかを有する受容体は 単独でこの細胞内の転写の活性化を引き起こさない)。プロモーターは、1方の TAF領域を通してのみ働き、双方を通しては働かない受容体に対するアゴニス トの存在下で、この細胞内でこのプロモーターから活性化が達成されるように選 ばれる。例えば、肝細胞(例えばHepG2)と複合化C3プロモーターによっ てTAF1領域のみで活性のあるアゴニストに対する有用なアッセイが提供され る。肝細胞及びC3プロモーターはTAF2活性を有するが、プロモーターは活 性のあるTAF2領域のみを有する受容体の存在下では活性化されない。しかし 、活性のあるTAF1領域の存在下ではプロモーターは活性がある。このように 、受容体のTAF1領域に働くアゴニストは、リポーター遺伝子の発現を引き起 こすものとして同定することができる。 好ましい態様において、この方法はTAF2領域が変異し、選ばれた細胞及び プロモーター状況の中で提供される受容体の利用に関する。この細胞によって、 試験したアゴニストの型を決定する有用なスクリーニング試験が提供される。観 察される転写レベルは以下に例示するようなアゴニストの型に関係する。(変異 した、また変異していない受容体構築物を用いた)上記の2つの方法は、選ばれ た受容体に対するアゴニストの検出、グレード分けまたはタイプ分けのために組 み合わせて利用することができる。 もう1つの側面として、本発明はエストロゲンの関連する疾患あるいは状態を 治療または予防する方法に関する。“エストロゲンの関連する疾患”の語は、ホ ルモンであるエストロゲンの量の増加または減少によって引き起こされる、ある いはこれに関連する疾患を意味する。“ホルモン”とは、受容体のアゴニストと して機能する自然に生じる生化学物質を意味する。合成ホルモンはより適切にア ゴニストとして呼ぶ。エストロゲンの関連する疾患の例としては、骨孔症、乳癌 、子宮癌、及び子宮内膜症がある。エストロゲンの関連する状態の例としては、 血管運動異常、熱閃光(hot flashes)、抑鬱症、他の精神医学的な異常、及び 子宮類線維腫がある。いくつかの疾患において、患者は体が必要とする量のエス トロゲンを産生することができない可能性がある。他の疾患ではエストロゲンは 過剰生産されている可能性がある。治療は腫瘍がそれ以上に成長するのを妨害す る効果及び/または存在する腫瘍を小さくさせる効果を有するものである。本発 明の方法はホルモン代替治療に関する。この方法において、患者は最初に標準的 な方法でこのような疾患にかかっている、または状態にあると決定され、次に以 下に記載するように治療する。 この方法はケオキシフェン様の転写能を有する(またはこのような化合物をイ ンビボで産生させる)ケオキシフェン(keoxifene)以外の化学物質を 患者に投与することを含む。“ケオキシフェン様の転写能”の語は、ケオキシフ ェンに類似する正常な応答をさせることを意味する。この能力は低濃度の化合物 に対して比較的低いTAF1応答を示すが、高濃度の化合物に対しては比較的高 い応答を示す。更に、全ての濃度においてTAF2応答はわずかであるか、応答 しないのが良い。また、より高濃度(約10-7M、図8A−Dと比較して図8E を参照)において、野生型の受容体よりも高い(約2倍またはそれ以上の)TA F1応答をすべきである。ケオキシフェン様転写能を有するこれらの化学物質の 投与は、骨を保護する活性及び子宮/乳房を助ける活性を示すことが予想される 。“骨を保護する活性”とは、標準的な技術で測定し得る骨吸収を阻害する活性 を意味する。骨吸収はエストロゲンの損失と典型的に関連する。骨吸収は典型的 に は骨孔症と関連し、カルシウムの損失に起因する骨溶解によってあらわれる。“ 子宮/乳房を助ける活性”とは、標準的な技術で測定し得る腫瘍細胞の増殖の阻 害または縮小を意味する。 ケオキシフェン様転写能を有するか否かを決定するためにスクリーニングでき る化合物の例は1983年11月29日に発行され、また本明細書中に参考文献 として取り込んだJonesの米国特許No.4,418,068号に記載されている。Jonesの特 許が明らかにしているように、スクリーニングできる他の化合物としてジヒドロ ナフタレン及びベンゾチオフェンがある。 スクリーニングできる他の化合物として、ケオキシフェンまたはケオキシフェ ン様の同族体に類似の化学構造を有する化合物がある。これらの化合物のいくつ かはケオキシフェンの窒素含有環の中で1−10個の炭素数の長鎖アルキル、ア ルケニル、または類似の型の炭素鎖で置換をさせて製造することができた。他の 変更としては、窒素含有環をケオキシフェン化合物の他の部分につなぐアルキル 鎖(例えば0−10個の炭素原子)の長さまたは飽和度を変えることが含まれる 。ケオキシフェン様の性質をスクリーニングできる他の化合物としては、タモキ シフィン(tamoxifine)またはタモキシフィン同族体に類似の化学構 造を有する化合物がある。この分野の熟練者であれば、ケオキシフェン様の性質 をスクリーニングできる化合物に対して行える他の修飾及び置換を容易に認識で きるであろう。 本発明はまた、薬理学的に有効な量の上記の物質を薬理学的に許容し得る担体 または希釈剤中に含有する、保存及びこれに続く投与のために調製される薬理学 的に許容し得る組成物を提供する。 本発明の他の特徴及び利点は、好ましい具体例についての以下の記載、及び請 求の範囲から明かとなるであろう。好ましい実施態様の説明 初めに、図面を簡単に説明する。図面 図1。ER−wt(野生型エストロゲン受容体)および切断されたER突然変 異体による転写活性化。 ER−wt、ERN282GおよびER179Cの模式構造(A)。CV1( B)、HepG2(C)およびHS578T(D)細胞を、増加濃度の指示され たような種々の受容体発現ベクターと、9.5μg/mlのERE−tk−LU Cリポータープラスミド、およびトランスフェクション効率の内部対照としての 5μg/mlのpRSV−β−gal発現ベクターとを一緒に用いて一時的に同 時トランスフェクトした。担体DNA(pGEM4)を加えて、DNAの総量を 20μg/mlに調整した(以下を参照されたい)。培養を指示されたように1 0-7M 17−β−エストラジオール(E2)を用いてまたは用いることなく3 6時間処理し、且つβ−ガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼ活性について検 定した(LUC活性はβ−gal活性に標準化される)。ルシフェラーゼ比活性 は、ある一定の点の標準化されたルシフェラーゼ値を、トランスフェクトされた 受容体またはリガンドの不存在下で得られた値で割ることによって計算される。 4回の独立した実験の典型的な1回の実験を前記に詳述している。示されたデー タは、三重反復試験推定値の平均±SE(m)を示す。 図2。TAF2活性欠損ER突然変異体による転写活性化。 この実験で用いられたER−wtおよび突然変異体ERsの模式構造(A)。 CV1(B)、HepG2(C)およびHS578T(D)細胞を、増加濃度の 指示されたような種々の受容体発現ベクターと、9.5μg/mlのERE−t k−LUCリポータープラスミド、5μg/mlのpRSV−β−gal発現ベ クターとを一緒に用いて一時的に同時トランスフェクトした。担体DNAを加え て、全DNA20μg/mlにした。培養を10-7M 17−β−エストラジオ ール(E2)を用いてまたは用いることなく36時間処理し、且つルシフェラー ゼおよびβ−gal活性について検定した。ルシフェラーゼ比活性は、ある一定 の点の標準化されたルシフェラーゼ値を、トランスフェクトされた受容体または リガンドの不存在下で得られた値で割ることによって計算される。4回の独立し た実験の典型的な1回の実験を前記に詳述している。示されたデータは、三重反 復試験推定値の平均±SE(m)を示す。 図3。ヒトC3遺伝子プロモーターに対するTAF1およびTAF2の活性。 CV1(A)、HepG2(B)およびHS578T(C)細胞を、0.5μ gの指示された受容体発現ベクター、9.5μgのC3−LUCリポータープラ スミド、5μgのpRSV−β−galおよびDNA総量20μgまでの担体D NAを用いて一時的に同時トランスフェクトした。更に、負の受容体対照を含ん だ。培養を10-7M 17−β−エストラジオール(E2)を用いてまたは用い ることなく36時間処理し、そしてルシフェラーゼ活性について検定した。示さ れたデータは、同様の結果を伴って6回反復された実験の典型的な曲線である。 曲線は、pRSV−β−gal転写活性の同時推定によってトランスフェクショ ン効率について平均化され且つ標準化された四重反復試験データポイントの平均 を示す。 図4。種々のプロモーター構築物に対するER−TAF1およびER179C の活性。 CV1(A)およびHepG2(B)細胞を、0.5μgの指示された受容体 発現ベクター、9.5μgのpA2−LUCリポータープラスミド、5μgのp RSV−β−galおよび総量20μgまでの担体DNAを用いて一時的に同時 トランスフェクトした。CV1(C)およびHepG2(D)細胞を、pERE MLT−LUCリポーターを用いて前記のように同時トランスフェクトした。培 養物を、10-7M β−エストラジオール(E2)を用いてまたは用いることな く36時間処理し、そしてルシフェラーゼ活性について検定した。示されたデー タを図1に記載する。 図5。トリフェニルエチレン由来エストロゲン部分的アゴニストによるER− TAF1およびER179Cの活性化。 HepG2細胞を、0.5μgの指示された受容体発現ベクター、9.5μg のC3−LUCリポーター、5μgのpRSV−β−galおよび総量20μg までの担体DNAを用いて同時トランスフェクトした。培養物を10-7M 17 −β−エストラジオール(A)、E2、タモキシフェン(B)、4−ヒドロキシ タモキシフェン(C)、ナフォキシジン(D)、クロミフェン(E)によって3 6時間処理し、そしてルシフェラーゼ活性について検定した。示されたデータを 図1に記載した。図5において、ERはEr−wtを表わし、ERmはEr−T AF1を表わし、TAF2はEr−179cを表わし、そしてTAF2mはEr −Nullを表わす。 図6。エストロゲンアゴニストによるER−wtおよびER−TAF1タンパ ク質に対するエストラジオール結合の置換。 ER−wt又はER−TAF1を発現する細胞から製造された酵母細胞質ゾル を、5nMの3H−17−β−エストラジオールを単独でか、または指示された 濃度の種々のエストロゲンアゴニスト存在下で4℃で一晩中インキュベートした 。リガンド結合は、ヒドロキシルアパタイトを用いる結合および遊離リガンドの 分離後に、シンンチレーション計数によって決定された。 図7。転写の機能的に依存性の活性化因子としてのTAF1およびTAF2の モデル。 この略図は、エストロゲン受容体の個々のトランスアクティベーターのプロモ ーターおよび細胞特異性の仮説を概説する。受容体とリガンドとの相互作用は、 受容体DNA結合性部分(DBD)を暴露し且つERとDNAとの会合を促進す る一連の事柄を開始する。「エストロゲン様化合物」のみが受容体のTAF2部 分を機能的に活性化することができる。活性化(B)により、受容体のTAF2 部分は転写リプレッサー(I)と相互作用し、それを置換しまたはその構造を変 化させて(C)、TAF1活性化配列を一般的な転写装置(GTA)に接近させ る。ある種細胞中およびある種のプロモーター上において、受容体のTAF2機 能は他の転写因子によって与えられることができ、受容体のTAF1部分をTA F2とは無関係に機能させることができる。したがって、DNAに対する受容体 の結合はトランスアクティベーションと同義であり、両方のエストロゲンアゴニ ストによって、更にはDNAに対する受容体の供給を可能にするアンタゴニスト によって達成されることができる。このモデルにおいて、トリフェニルエチレン 由来エストロゲンアゴニストの部分的アゴニスト活性は、リガンドによって誘導 されたコンホメーションおよび、転写装置に対してTAF1が与えるもの(pr esentation)に対してこのコンホメーションが有する作用に依る。 図8は、トリフェニルエチレン由来アンチエストロゲンの部分的アゴニスト活 性がTAF1機能に依ることを示す。HepG2細胞を0.5μgの指示された 受容体発現ベクター、9.5μgのC3−LUCリポーター、5μgのpRSV −β−galおよび総量20μgまでの担体DNAとしてのpGem4によって 同時トランスフェクトした。培養を、種々の濃度の17−β−エストラジオール (A)、クロミフェン(B)、ナフォキシジン(C)、4−OH−タモキシフェ ン(D)およびケオキシフェン(E)で36時間処理し、そしてルシフェラーゼ 活性について検定した。パネルEのデータは、他のパネルとは異なるエストラジ オール対照に相対して得られた。したがって、パネルEにおけるピークは、パネ ルAにおいて用いられたのと同様のエストラジオール対照に相対するデータが得 られた場合に考えられるよりも約5倍高いと考えられる。ルシフェラーゼ比活性 は、図1について記載のように計算された。6回の独立した実験の典型的な1回 の実験を詳述する。示されたデータは、三重反復試験推定値の平均±SE(m) を示す。 図9。模擬の骨髄(対照)、OVX(卵巣摘出されたラット)、OVX+エス トロゲン、並びにOVX+ケオキシフェンで処理されたラットの破骨可能性を共 培養検定において評価した。骨髄を、1,25−ジヒドロキシビタミンD3およ び上皮小体ホルモンの存在下において一次骨芽細胞と8時間混合し、そして酒石 酸ホスファターゼ耐性多核細胞(TRAP+MNC)の数を評点した。模擬操作 された動物におけるTRAP+MNCの数を100%に設定した。 図10。MCF−7細胞増殖に対するケオキシフェン(keox)のエストロ ゲンアゴニスト活性。この検定におけるエストロゲンの活性は10-10Mで最大で あり、対照の1500%までの増殖を誘導する。 図11は、pC3−LUCを示す略図である。方法 上記で簡単に論及された方法は、種々の受容体のアゴニストを識別するのに有 用である。例えば、骨粗鬆症の治療に有用であるエストロゲンアゴニストを識別 することができる。疾患状態においては、TAF1活性だけで骨損失の防止に十 分であるかのように見える。したがって、受容体のTAF1部分においてのみ活 性を有し、且つTAF2部分で活性がないアゴニストは疾患治療に有用である。 本明細書中に記載の方法は、有用なアゴニストを検出するのに困難な手順を必要 とする従来の方法とは異なり、可能性のあるアゴニストの迅速なスクリーニング を可能にする。この方法を用いることができる他の有用な受容体としては、ヒト 由来の細胞のみならず他の真核性細胞系、例えば、ニワトリおよび酵母(本発明 のスクリーニングに有用な生物である)におけるプロゲステロン、グルココルチ コイド、アンドロゲンおよびミネラルコルチコイド受容体がある。 以下は、本発明の方法の具体的な実施例である。これらの実施例はエストロゲ ン受容体を利用するが、本発明においてはこれに制限されない。当業者は、他の 均等な受容体、細胞およびプロモーターを、本請求の範囲の範囲内の均等な方法 で容易に用いることができることを理解する。エストロゲン受容体 エストロゲン受容体(ER)は、ステロイド類、ビタミン類または甲状腺ホル モンによってその機能が調節される転写因子のクラスである核受容体スーパーフ ァミリーのメンバーである(ビート(Beato)、56 Cell 335, 1989年)。このファミリーの調節タンパク質は、それらがホルモンに対して 暴露されるまでは細胞中において転写的に不活性であるという点で共通の機械的 特徴を有する。ホルモンによる占有は、受容体を活性化状態へと形態変換させ、 それによってそれと標的遺伝子の調節部分の特異的DNA配列とを生産的に相互 作用させる。特異的遺伝子転写に対して得られた結合受容体の正または負の作用 は、細胞種およびプロモーターの状況に依存性である。それにもかかわらず、相 対作用は何等かの特定の細胞/プロモーター構築物において測定することができ る。したがって、広範囲の種類の構築物において所望の作用を観察することがで きる。 ERのcDNAをクローン化し且つ用いて、異種哺乳動物細胞におけるエスト ロゲン応答性転写単位を再構築した(クマー(Kumar)ら、5 EMBO J. 2231,1986年およびグリーン(Green)ら、231Science 1150,1986年)。これは、タンパク質中の機能性ドメ インについての詳細な試験を可能にした(クマーら、51 Cell 941, 1987年)。いくつかの系におけるERのドメインの機能性試験は、種々のホ ルモン応答性終点を生じる臨界的細胞成分と相互作用することができる受容体中 の類似の構造的特徴を示した(ダニエリアン(Danielian)ら、11 EMBO J. 1025,1992年)。特に、2種類の別個のトランスアクテ ィベーションドメイン、すなわち、TFA1と称する受容体のアミノ末端の配列 およびTAF2と称するカルボキシル60アミノ酸に限定された配列は決定され ており(ダニエリアンら、上記;ベリー(Berry)ら、9 EMBO J. 2811,1990年;およびタセット(Tasset)ら、62 Cell 1177,1990年)、いずれも本明細書中に援用されている。最近、細胞内 受容体研究に携わる研究者らは、TATA結合性タンパク質関連因子(ダインラ クト(Dynlacht)ら、66 Cell,563,1991年)の発見お よびクローニングとの混同を避けるためのAFドメイン(例えば、カバイルズ( Cavailles)ら、J.of Cellular Bio.,341,1 994)としてTAFドメインを好んで論及している。 ホルモン結合性ドメインのアミノ末端部分の負荷残基の変化は、同族ホルモン の受容体親和性を変化させることなくER転写活性を増加させるまたは減少させ ることができると考えられる。したがって、残基530付近の領域(ダニエリア ンら、上記)およびシステイン381付近の領域(パクデル(Pakdel)ら 、7 Mol Endocrinol,1408,1993年)はそれ自体、T AF−2中のAFサブドメインを構成することができる。その結果、システイン 381領域の残基などのこのようなドメインの変化は、本明細書中に詳述された ように得られた結果と平行して、エストロゲンとアンチエストロゲンリガンドと を区別しうる突然変異受容体を生じることができるということになる。更に、E RのTAF−1部分の別個の残基に同様の状態が存在しうると考えられる。 ER−TAF1およびER−TAF2の細胞標的はまだ同定されていない。哺 乳動物細胞におけるER−TAF1およびER−TAF2機能の厳密な試験はま だ達成されていない。実施例 以下の実験は、哺乳動物細胞におけるER−TAF1およびER−TAF2活 性の、細胞−およびプロモーター−状況への依存性並びにこれらの相違の表現に おけるリガンド(アゴニスト)の役割を特性決定する。これらの実験のいくつか は、本明細書中に参考文献として取り込まれるツカーマン(Tzukerman )ら、8 Mol.Endocrin 21,1994年に記載されている。 以下の材料および方法を実施例において用いた。 受容体発現ベクター ER−wtおよびTAF1を欠失した受容体誘導体をコードしているcDNA 配列を、それぞれプラスミドYEpwtERおよびYEpER179CからBf rIおよびSacIを用いて切断した。TAF1受容体誘導体をコードしている DNAを、プラスミドYePERN282GからBfrIおよびKpnIを用い て切断した。ベクターYEpwtER、YEpER179CおよびYEpERN 282Gの構築は前に記載された(ファム(Pham)ら、6 Mol.End o. 1043,1992年)。切断されたDNAをT4 DNAポリメラーゼ( ベーリンガー・マンハイム・カンパニー(Boehringer Mannhe im Co.)で処理し、そして哺乳動物発現ベクターpRST7中の固有のE coRV部位中に連結させた(バーガー(Berger)ら、41 J.Ste roid Biochem.Mol.Biol. 733,1992年)。 受容体突然変異 野生型エステロゲン受容体cDNAを、pGEM−11Zf(+)(プロメガ (Promega)、ウィスコンシン)にクローン化した。部位特異的突然変異 誘発(クンケル(Kunkel)ら、154 Methods in Enzy mology 367,1987年)を用いて538位、542位および545 位に位置したアミノ酸の代わりにアラニンを置換することによって特異的突然変 異を受容体のホルモン結合性ドメイン中に導入して、プラスミドpGERmを生 成した。このベクターのBglII−SacI C末端フラグメントをpGER mからの同様の突然変異フラグメントと交換することによって突然変異 ホルモン結合性ドメインをER−wtおよびER179C中に導入した。 リポータープラスミド リポーターERE−tk−LUCは、ルシフェラーゼ(LUC)に結合した単 純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター配列の上流にビテロゲニンEREの単 一コピーを含む。1.8kbのヒトC3遺伝子プロモーター(−1807〜+5 8)(ヴィク(Vik)ら、30 Biochemistry 1080,19 91年)を含むC3−LUCリポーター。固有の制限部位Xho1およびBam H1をC3プロモーター中に導入した後、DNAをベクターp1−LUCの同族 部位中にクローン化し(バーガーら、41 J.Steroid Bioche m.Mol.Biol. 733,1992年)、そこにおいて多クローン性部位 はMMTV−LUCベクター中に挿入された(図11を参照されたい)。当業者 は、均等なベクターを容易に構築することができる。pA2−LUCは、アフリ カツメガエル(Xenopus)ビテロゲニンA2遺伝子プロモーター(ヴィク ら、30 Biochemistry 1080,1991年)の835bpフ ラグメント(−821〜+14)を含む。pEREMLT−LUCは、アデノウ イルス主要後期プロモーター配列(−44〜+11)上流に単一のEREを含む (フー(Hu)およびマンリー(Manly)、78 Proc.Natl.A cad.Sci.USA 820,1981年)。 細胞培養 CV1およびHS578T細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)(ハイクロ ーン・ラボラトリーズ(Hyclone Laboratories)、ユタ) を補足したダルベッコ修飾イーグル培地−DMEM(バイオウィッタカー(Bi owittaker)、メリーランド)中で通常通り維持された。HepG2細 胞は、10%FCS含有イーグル最少必須培地−MEM(バイオウィッタカー、 メリーランド)中で維持された。 一時的トランスフェクション検定 トランスフェクションの24時間前に、細胞を平底96ウェル組織培養プレー ト(細胞5x103個/ウェル)中の10%FBSを含むフェノールレッド不含 DMEM中に播種した。リン酸カルシウム沈殿を用いてDNAを細胞中に導入し た。プラスミドDNAを、1mlの1mMトリス、pH7.4、0.1mM E DTA、0.25M CaCl2中で希釈した。DNA溶液を、等容量の2X HBS pH6.9(280mM NaCl、50mM HEPES、1.5m M Na2HPO4)中に撹拌しながら滴加し、そして沈殿を20分間生成させた 。トランスフェクション(DNA混合物11μl/ウェル)をバイオメク(Bi omek)1000自動制御実験室ワークステーション(Automated Laboratory Workstation)(ベックマン(Beckma n)、カルフォルニア)で実施した。細胞を6時間トランスフェクトさせた後、 リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄して沈殿を除去した。細胞を、10%炭(ch arcoal)処理FBSを含むフェノールレッド不含培地中において、本文中に示さ れたようにホルモンを用いてまたは用いることなく更に36時間インキュベート した。細胞抽出物をバーガーら、41 J.Steroid Biochem. Mol.Biol. 733,1992年に記載のように製造し、そしてそのルシ フェラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ活性を検定した。測定は全て、少なくと も2種類の独立した実験の三重反復試験で行なわれ、内部対照としてのβ−ガラ クトシダーゼの発現を用いることによってトランスフェクション効率に対して標 準化された。 酵母受容体タンパク質の製造 ER−TAF1を生じる発現ベクターを、YEpE10(ファムら、88Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 3125,1991年)のBfr 1−Mlu1フラグメントをpRST7ER−TAF1の対応するフラグメント で置換することによって構築した。このベクターおよび野生型受容体を生じるベ クター(YEPE10)を酵母BJ2168系統(マクドネル(McDonne ll)ら、39 J.Steroid Biochem.Molec.Biol 291,1991年によって前に記載された)中に形質転換させた。個々の形 質転換細胞を採取し、且つOD600=1まで増殖させた。次に、培養を100μ M CuSO4および2mMクロロキンによって30℃で16時間誘導した。次 に、細胞をペレット化し且つ冷水で洗浄した。細胞を、2〜5Xペレット容量の 10mMトリス、0.4M KCl、2mM EDTA、 0.5mM PMSF、1μg/mlのアプロチニン、2mM DTT、pH7 .6中に再懸濁させ、そして断続的に氷上で冷却しながら0.45〜0.5mm ガラスビーズと一緒に、少なくとも90%の細胞が破裂していることが観察され るまで激しく撹拌すること(voltexing)によって溶解させた。抽出物 を13,000xgで遠心分離し、そして上澄みを回収した。タンパク質濃度を バイオ・ラド・プロテイン・アッセイ(Bio−Rad Protein As say)(バイオ・ラド、リッチモンド、CA)によって決定した。 β−エストラジオール結合競合検定 いずれの方法も、バイオメク1000自動制御ワークステーション(ベックマ ン・インスツルメント(Beckman Instrument)、フラートン 、CA)を用いて行なった。試験される化合物の10倍連続希釈を、10mMト リス、0.3M KCl、5mM DTT、pH7.6中で製造し、そして10 0μlの最終濃度10-4M〜10-11Mで希釈された化合物、5mM3H−β−エ ストラジオール(アマーシャム(Amersham)、UK)、およびERまた はER−TAF1を生産する系統に由来する総タンパク質22μgが入っている ポリスチレン試験管に移した。4℃で一晩中インキュベーション後、10mMト リス、5mM DTT、pH7.6中6%ヒドロキシアパタイトスラリー100 μlを加えた。試験管を4℃で更に30分間インキュベートし、最初の15分間 が過ぎたら混合した。ヒドロキシルアパタイトペレットを、10mMトリス、5 mM DTT、pH7.6中1%トリトンX−100の1mlで4回洗浄した。 最後に、ヒドロキシルアパタイトペレットを、エコシント(Ecoscint) Aシンチレーション液(ナショナル・ダイアグノスティクス(National Diagnostics)、マンビル、NJ)800μl中に再懸濁させた。 それぞれの試料中の活性をLS6000ICシンチレーション計数計(ベックマ ン・インスツルメンツ、フラートン、CA)を用いて測定した。実施例1:TAF1およびTAF2の切除されたレセプターによる転写活性化 図2に示すように、TAF1またはTAF2活性化配列のどちらかが欠損した ヒトのエストロゲンレセプターの切除形(truncated form)、そ れぞれER179CまたはERN282G(図2Aを参照のこと)、を調製した 。これらの構築物は、文献に記載された哺乳類細胞(Berryら、EMBO J. ,9,2811,1990)および酵母細胞(Phamら、Mol.End o. ,6,1043,1992)で用いられた物と構造的に類似したタンパク質 をコードしている。これらER誘導体の転写活性は、ビテロゲニン(vitel logenin)−エストロゲン応答エレメント(estrogen resp onse element)(ERE)(Klein−Hitpassら、Ce ll ,76,1053,1986)をチミジンキナーゼ(tk)プロモーターの 上流に挿入したコピー(ERE−tk−LUC)を一つ含むレポータープラスミ ドを用いて評価した。レポータープラスミド、および高濃度のERまたはER変 異体の発現ベクターは、一時的に、ER陰性細胞系CV−1(サル腎臓繊維芽細 胞)、HepG2(ヒト肝細胞カルシノーマ)およびHS578T(ヒト乳癌細 胞)にトランスフェクションされ、図2Bに示すように活性を評価した。すべて のトランスフェクションは、17−β−エストラジオールの非存在下、または存 在下(濃度範囲、10-5Mから10-11M)で行った。この方法で数多くのデー タ(>2,500)が得られたが、10-7Mの17−β−エストラジオールを用 いた場合のみ活性が得られたことにより、この濃度が試験したすべての細胞系で 最大の転写応答を引き出す濃度であることを示している。 ER−wtはすべての細胞系で活性であった。このプロトコールを用い、ER N282Gの欠損の状況(context)においてアッセイした場合、TAF 1−仲介転写活性は、CV−1、HepG2、HS578T(図2B,C,D) 並びにHeLaおよびU2OS(データは示していない)のいずれの細胞におい ても、はっきりとは検出できなかった。しかしながら、これに対して、TAF2 活性化機能(ER179C)は、これらの細胞(図2B、CおよびD)において 、実質的に活性を示した。ER179Cを用いたTAF2の転写活性の程度は細 胞の型に依存した。この分離した活性化因子は、飽和状態のレセプターを作り出 す DNA濃度でも、野性型のレセプターと比較して低い効力を示した。HepG2 細胞では、ER179CはER−wtの約35%ほどの活性であった(図2C) が、CV−1およびHS578Tでは、ER179Cは、ER−wtの活性のそ れぞれ70%および65%を示した(図2BおよびD)。トランスフェクション 効率および組換え体の発現程度は、蛍光顕微鏡およびフローサイトメトリー分析 による間接的評価と同様であった(データは示していない)。 この分析から得られた結果は、TAF1およびTAF2配列が、機能上、別個 の転写活性化因子に相当するという仮説と一致する。野性型のレセプターの活性 は、両活性化領域、または個々の活性化因子が最大転写活性を示す様な完全な( intact)レセプターの状況、のいずれかを必要とする。 上記のER変異株で認められる部分的活性に加えて、CV−1およびHS57 8T細胞にトランスフェクションするER−wt濃度を高くすると、ホルモン依 存性転写活性が累進的に減少した(図2BおよびD)。この様な現象は他でも認 められ、活性化されたレセプター機能が損なわれる程に過剰に発現したホルモン 活性化レセプターによって調節転写因子または標的が隔離されることから得られ る結果と類似している(Tassetら、Cell,62,1177,1990 )。この“スケルチング(squelching)”または“転写干渉”は、E Rが適切に機能するためにはさらに細胞内に調節転写因子を必要とするという見 解を支持する。HepG2細胞系ではER−wtによる“squelch”が認 められない(図2C)のは、必要とされる補助因子が多量に増加したこと、また はこの過程で他の細胞の特別な成分が関与していることを示唆している。実施例2:TAF2活性の不完全なER変異体による転写活性 以前は、TAF1およびTAF2の機能は、ER応答プロモーターの転写を補 助する能力を持つエストロゲンレセプター内の個々のドメインとして定義されて いた(Berryら、EMBO J.,9,2811,1990、およびTas setら、Cell,62,1177,1990)。この文献中で試験された哺 乳類の細胞を用い、ERN282Gの欠損の状況で分析した場合、本発明者らは 、TAF1配列に明確な活性を見いだせなかった。それ故、全長のレセプターの 状況以外でのこのトランス活性化因子の分析は、その真の生物学的活性を反映し て いないかもしれないと考えた。以前、Danielianら(上記)は、TAF 2の転写活性を含むマウスのエストロゲンレセプターのカルボキシ末端の535 から550の間の残基のうち3アミノ酸を変化させることができることを示した が、結果として得られたレセプターは、やはり、野性型の親和性を持ち、特異的 DNAおよび同種のリガンドの両方と結合する能力を持っており、このような変 化はタンパク質の全体的な構造異常を引き起こさなかったことを示唆している。 それ故、本発明者らは部位特異的突然変異誘発を用いて、ヒトERのカルボキシ 末端の538、542および549残基(Danielianら、上記)に同様 のアミノ酸変化を作り出した(図1のER−TAF1構築物を参照のこと)。ま た、この3か所の突然変異をER179Cに導入し、ヌル(null)エストロ ゲンレセプターを作成した(図1のER−Null構築物を参照のこと)。この 後者の構築物は、TAF2機能上でのこれらの変異の影響を明確に決定すること ができる。この様に、ER−NullおよびER−TAF1は両方共、試験され る機能を不活性化するので、優れた対照として供される。これらの構築物の内の 一つが、ここに示す全ての実験に用いられた。これらの3つのアミノ酸の変異は 、その領域を不活性化するがTAF領域の前後関係(context)を維持す ることの出来る唯一の例として提供される。当業者は、同じまたは他のアミノ酸 の同等の変異を標準的技術で容易に作り出すことができることを認識しているで あろう。 これらER変異体の転写活性は、ERE−tk−LUCレポーターと共に、C V−1細胞内に一過的にトランスフェクションすることによって評価した。ER 179Cの3か所への突然変異の導入は、TAF2活性を完全に破壊した(図1 B)。この様に、野生型ERへのこの様な変異の導入は、TAF2活性の干渉を 排除して、全長のレセプターの状況でTAF1活性を試験することを可能にする であろうと確信した。この方法でヒトエストロゲンレセプター内のTAF2活性 化因子を特異的に変異しうることは、マウスERで以前報告された結果と一致し 、同等の変異が他のレセプターのTAF領域にも作れることを示唆している。 3か所の変異を含む全長のレセプター(ER−TAF1)は、完全なレセプタ ーの状況において、TAF1の機能を分析するために用いられた。野生型のレセ プター、ER−TAF1、ER179Cまたはヌルエストロゲンレセプターをコ ードする構築物は、ERE−tk−LUCレポーターと共に、CV−1、Hep G2、またはHS578T細胞にトランスフェクションした。結果を図1に示す 。全ての細胞系で、ER179Cが転写活性をもつことは比較的早い時期に認め られた(図1B、CおよびD)が、ヌルレセプターは活性を示さなかった。興味 あることに、CV−1細胞では、機能的なTAF2活性化配列が存在しなくても 、ER−TAF1タンパク質は有意な転写活性を示した(図1B、CおよびD) 。この様に、全長のレセプター分子の状況において分析した場合、TAF1活性 化因子の活性は、ここに見られるように、欠失変異体(ERN282G、図2) を分析した場合の活性とは異なっていた。この事は、TAF1の活性は独立的に 機能せず、むしろ、適切に機能するために追加のカルボキシ末端配列を必要とす ることを示唆している。興味深いことに、トランスフェクションしたER−TA F1 DNAの濃度を高めても、その結果、レセプター依存性の転写活性の“ス ケルチング”を生じなかった。この所見は、TAF1およびTAF2の両活性化 因子、並びに、多分、全長のレセプターの状況が、このスケルチング機能を必要 としていることを示唆している。 これらのレセプターのそれぞれの発現レベルの比較は、発現ベクターをCV− 1細胞内へトランスフェクションし、さらに得られたサイトゾル抽出物中のホル モン結合活性を分析する、ことによって行った(データは示さず)。ER−wt 、ER−TAF1およびER179CのKdSは同じであった。ER−wtおよ びER−TAF1は、ホルモン結合活性によって測定した場合に、同等のレベル で合成されたが、これに対してアミノ末端の欠損したER179Cおよびヌルレ セプターは、ER−wtの約25%程度、発現していた。それぞれのレセプター で検出した転写応答は全て、到達しうる最大応答であるため、レセプターの発現 レベルが実験結果の重要な因子であるとは考えにくい。実施例3:ER−TAF1およびER179C活性はプロモーター特異的である ERE−tk−LUCレポーターを用いて得られた上記の結果から、エストロ ゲンレセプター機能のTAF1活性化因子は、弱くではあるが、完全なTAF2 機能が存在しなくても機能することが、示唆された。さらに、TAF1活性は、 細胞の型に依存して現れた。 他のエストロゲン応答プロモーターに対する個々の活性化因子機能の効率を試 験するために、研究を広げた。この目的のために、最近強いEREが同定された 、エストロゲン応答C3プロモーター(Zawaz)Gene Exp.,2、 39、1992)(Vikら、Biochemistry,30,1080,1 991)を選んだ。ER−wt,ER−TAF1およびER179C活性化因子 の活性は、図3に示すように、C3プロモーターの支配する転写を上昇させた。 HS578T細胞では、C3プロモータはER−wt、ER−TAF1およびE R179Cのいずれによっても等しく良く活性化された(図3C)。しかしなが ら、これに対して、HepG2細胞では、ER−TAF1活性化因子は、野性型 のERと同程度の転写活性を示したが、ER179C活性化因子は活性を示さな かった(図3B)。これらのデータは、C3プロモーターに関していえば、ER トランス活性化因子機能において、細胞の型による強い偏向性があることを示唆 している、CV−1細胞では、活性化配列の組み合わせが最大活性に必要である ことを示している(図3A)。累積すると、これらのデータは、ER内でのTA F1およびTAF2活性化因子は、細胞の型およびプロモーターに依存性を示し 、さらに、C3の発現において、ERが仲介する制御の優位の活性化因子はTA F1であることを、示唆している。 個々のER TAFドメインのER機能に関する寄与の相関性を分析するため に、さらに2つのプロモーター、エストロゲン応答エレメントを含むアデノウイ ルスの主要後期プロモーター(major late promoter)およ びビテロゲニンプロモーター、を用いた(図4)。これらの両プロモーターは、 ER−wt存在下ではエストロゲンに応答した。しかしながら、C3プロモータ ーとは異なり、ERの個々の活性化ドメインは、試験した両細胞系で極微の活性 を示した。この事は、むしろ、エストロゲンレセプター活性化ドメインのプロモ ーター特異性を目立たせる。上述の試験と同様の試験は、上記のアゴニストアッ セイに用いる有用なプロモーターおよび細胞の組み合わせを迅速に同定するため に用いることができる(実施例4を参照のこと)。実施例4:エストロゲンレセプターアゴニストによるER−TAF1およびER 179C活性の制御 ある種の、トリフェニルエチレン由来のエストロゲンレセプターアンタゴニス ト(すなわち、タモキシフェン、ナホキシジン(nafoxidine))は、部 分的にアゴニスト活性を示すことが報告されている。それ故、これらの化合物が TAF1またはTAF2のトランス活性化因子のどちらを優先的に活性化するか について試験した。一連のこれらの化合物は、ER−TAF特異的レセプター誘 導体およびC3プロモーターを用い、HepG2細胞で評価した。このプロモー ターを用いると、タモキシフェン、4−ヒドロキシ−タモキシフェン、ナホキシ ジンおよびクロミフェン(clomiphene)は、全て、ER−wtの仲介 するC3遺伝子の転写の有力な活性化因子であった(図5B−E)。しかしなが ら、この実験に関して言えば、これらの化合物はいずれも、エストロゲンほど効 果的ではなかった。(図5A)。さらに、エストロゲンはER−TAF1の優れ た活性化因子であったが、部分的なエストロゲンアゴニストはエストロゲンほど 有効ではなかった。この細胞とプロモーターの状況では、ER179Cはエスト ラジオールおよび部分的エストロゲンアゴニストのいずれによっても活性化され なかった。これらのデータは、たとえTAF1活性が必要であっても、それだけ では、トリフェニルエチレン誘導体の抗ホルモンによって、このプロモーターが 活性化されないことを暗示し、それらの作用機序はエストロゲンのそれとは機序 的に異なっているらしいと思われる(図5A−F)。これらのレセプター誘導体 のホルモン応答性の違いは、タンパク質のリガンドへの親和性の変化とは関係し ない。図6AおよびBに示すように、ER−wtとER−TAF1のリガンドへ の親和性および特異性は、識別できない。このシステムで試験した抗ホルモンの 全てが、同じ転写プロフィールを持つわけではないことは注目に値する(図5B −E)。それらのTAF1を活性化する能力が異なるために、個々の抗ホルモン の絶対的効力が異なり、これらのリガンドのアゴニストとしての性質に微妙な機 序的な違いが生ずると考えられる。 これらの例は、ヒトのエストロゲンレセプターへの部位特異的突然変異(sp ecific point mutation)の導入が、ERの転写活性化機 能に影響を与えることを示している。この方法でTAF2を変異させても、エス トロゲン、タモキシフェンおよび4−ヒドロキシ−タモキシフェンに関しては、 野性型の結合親和性と同じパターンである。意外にも、TAF1は、TAF2が 変異していても、少なからぬ転写活性を残していた。TAF2配列全体を欠損さ せた(ERN282G)場合、試験した全ての細胞系でTAF1の残存転写活性 を認めることは出来なかった。このことから、TAF2または全長のレセプター の状況のいずれかが、TAF1の活性を全て出現させるのに必要であると考えら れる。これに対して、Berryらは、ERN282Gと同一の構築物がトリC ER細胞でも活性であることを見出だした(Berryら、EMBO J.,9 ,2811,1990)。このことは、哺乳類とトリの細胞では、エストロゲン レセプター機能が異なることを示唆し、2組の結果の本質的な違いを反映してい るものではないと思われる。 修飾したレセプターを用いて、細胞およびプロモーターに特異的な差異をER −TAF1およびER179Cの活性の中に同定することができた。発現の程度 およびトランスフェクション効率の制御実験では、両活性化因子は、プローモー タおよび細胞の型に特異的な違いを、その活性で示すことが分かった。これの最 も印象的な例としては、ER179CがHepG2細胞内ではどのプロモーター を用いても良く機能しないことが上げられる。他方、ER−TAF1活性化因子 は、C3プロモーター複合体で非常に良く機能するが、試験したその他のプロモ ーターでは余り良く機能しなかった。ER−TAF1とER179Cの活性プロ フィールは明らかに別個のものであり、異なる作用機構を示唆している。C3プ ロモータ複合体では、TAF1とTAF2の間に明らかな相乗作用は認めらない が、他のプロモーターでは明らかに存在する。このことは、このプロモーターで は、ER活性化ドメインが異なる転写因子と相互に影響しあうであろうことを示 唆している。HepG2細胞中でC3プロモーターを用いて得られたデータは、 TAF1がER−wtと同様に良い転写活性化因子であるように、これらの細胞 ではTAF2に機能的にとって変わることのできる転写因子が存在することを示 唆している。しかしながら、TAF2単独では転写を活性化しないため、この特 定の細胞系では、このプロモーターの転写のためのTAF1の擬似体が存在しな いことを示唆している。 異なる作用機構ならびにプロモーターおよび細胞の型の特異性は、TAF1が 優性の転写活性化因子であり、且つTAF2が転写促進因子であるというモデル (図7のモデルを参照のこと)によって説明することができる.TAF2の機能 は、TAF1のために転写装置を“調製”することであると考えられる。この“ 調製”機能とは、基本的転写因子の補充、クロマチン構造の改造、または転写レ プレッサーの影響の克服、が出来ることである。他方、TAF2は、もう一つの 転写活性化因子のための転写装置を“調製”することができるが、それ自身では 、固有の転写活性をほとんど持たない。この仮説を支持するように、TAF2活 性化因子は、最小プロモーターでは活性に乏しい。 また、プロモーターに依存するこの複雑さは、ER−TAF1活性でも認めら れる。TAF2の促進因子としての役割を支持する他の証拠として、酵母では、 TAF1活性化因子は最小プロモーターでは不活性であるということがあげられ る。しかしながら、SSN6座(転写の細胞内レプレッサー)の変異(Kele herら、Cell,68,709,1992)は結果として、ER−TAF1 活性を(ER−wtと比較できる程度まで)100倍上昇させたが、ER179 C活性は影響を受けなかった(McDonnellら、Proc.Natl.A cad.Sci.USA ,89,10563,1992)。この細胞内変異はT AF2の機能を真似る効果を持ち、且つ哺乳類細胞内では、TAF2は同じ様な 役割を持っていると考えられる。このシステムでは、TAF1は、阻害因子によ る立体障害の結果として、転写装置に接近できない。TAF2が有効な場所では 、次に、阻害因子が置換され、TAF1が転写装置と相互に作用できる。実施例5:ケオキシフェン様転写プロフィールを持つ化合物のスクリーニングお よび使用 ヒトでは、トリフェニルエチレンから誘導した抗エストロゲンケオキシフェン は、子宮の増殖には明らかな影響を示さないが、骨のスペアリング(spari ng)活性を示す。対照的に、タモキシフェン、抗エストロゲン関連物質、は骨 スペアリングではあるが、子宮の望ましくない増殖効果を促進する点で、部分的 にエストロゲンアゴニストとして機能する。タモキシフェンおよびケオキシフェ ンの生体内(in vivo)での生物学的活性の相違を、転写を活性化するT AF1へのそれらの異なる能力によって一致させうるか決定するために、これら の化合物を、HepG2細胞内で、ER−TAF特異的レセプター誘導体をC3 プロモーター存在下で用いて、実験した。結果を図8Dおよび8Eに示す。 ケオキシフェンは、このプロモーターおよび細胞の状況では、独特の転写プロ フィールを持っていた。とくに、ケオキシフェンは、低濃度で、ER転写活性を 剌激した。より高い濃度では、ケオキシフェンはERの基礎的転写活性を阻害し 、さらなる転写活性化の原因とならなかった(図8Eを参照のこと)。ER−T AF1構築物ではケオキシフェンは、C3プロモーター転写をバックグラウンド の5倍以上に誘導することを含む部分的なアゴニスト活性を有意に示した。ケオ キシフェンが関連分子タモキシフェンとは性質のことなる転写プロフィールを示 す機構は明らかではない。しかしながら、これらの化合物は、一般的な転写装置 とER−TAFとの異なった相互作用を促進するように、レセプター構造に微妙 な変化を誘導するものと思われる。 この生体外(in vitro)アッセイでケオキシフェンによって示された 独特のプロフィールは、同様の転写プロフィールを演ずる他の化合物もまた、望 ましい骨保護/子宮スペアリング活性を示すであろう事を示唆した。この目的に ために、タモキシフェンから誘導した幾つかの化合物をこのアッセイシステムを 用いて研究し、TAF1活性を調節するこれらの化合物の能力に基づいて、これ らの化合物を3つの別個のグループに分けることができた。第一のカテゴリーは エストロゲン活性を類似する化合物を含み、第二のグループはタモキシフェンの 活性を類似し、第三のグループは、ケオキシフェンと同様のプロフィールを示す 。 ケオキシフェン様化合物を卵巣摘出したラットモデルでアッセイした場合、そ れらは、骨を保護し、子宮栄養(uterotrophic)活性を示さないと 予想される。ラットは以下の方法で背面子宮摘出をほどこされる。動物はケタミ ン:キシラジン(ketamine:xylazine)で麻酔され、手術が行 われる。麻酔されたラットの背中中央部を剃る。脊椎と平行に約1インチの長さ で皮膚を縦に切開する。鋏の先で、筋肉層から結合組織を離して開く。肋骨郭の 根元の部分、脊椎柱(spinal column)から約1インチのところを 、鋏で筋肉を小さく切る(1/4”)。小さな鉗子で、卵巣脂肪を引き出す。卵 巣は、子宮角の先端に付いた、クラスター様構造物として見ることができるであ ろう。それらをひとまとめに保っている結合組織を切断する。止血する。体腔に 脂肪を戻す。反対側で繰り返す。皮膚をまとめてクリップで留め、切開時にベタ ジン(batadine)を用いて感染を予防し、クリップの除去を減らす。次 の日から、注射を始める。注射は、臀部の皮下に毎日(通常は朝)行なう。ベヒ クル(vehicle)は10%エタノールであり、注入量は300μlである 。注射を始めてから28日後、動物は首を脱臼させることによって麻酔下で犠牲 にし、体重および子宮重量を測定する。後肢を組織学および組織形態計測のため に取り除く。 生体外でケオキシフェンによって示された転写のプロフィールは、骨に選択的 なエストロゲン活性を示す作用を予想させる。このように、これらのER−TA F構築物を用いて、このプロモーターおよび細胞内の状況において試験すること は、骨粗鬆症の治療に有用な化合物の有効なスクリーニング法を提供する。 生体内での研究では、ラットが模擬的にまたは真に卵巣摘出され、5日間回復 させる。次いで、ラット(1グループ当たり4−6匹)は、ベヒクル、またはエ ストロゲン、ケオキシフェンもしくは試験化合物を含むベヒクルを、毎日、最長 で28日の間、皮下注射される。動物は犠牲にされ、体重を測定し、子宮の湿潤 重量、全血清コレステロール、および骨のミネラル密度について評価する。末梢 大腿骨骨幹端の骨のミネラル密度をホロジック(Hologic)ミネラル密度 計を用いて測定することを除いて、確立された方法が用いられる。試験動物の骨 髄は、始原骨芽細胞を用いた共同培養アッセイで、破骨細胞の潜在性について評 価する。骨髄は、1,25−ジヒドロキシビタミンD3および副甲状腺ホルモン の存在下で、8日間、始原骨芽細胞と共に置かれ、酒石酸ホスファターゼ耐性の 多核化細胞(tartrate acid phosphatase resi stant multinucleated cell)(TRAP+MNC) の数を数える。模擬手術した動物のTRAP+MNCの数を、100%とする。 酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(+)の多核化細胞は、発生期の破骨細胞として 、 標準的な方法で数えられる。 生体外でのMCF−7乳細胞の増殖への化合物の影響に付いても研究すること ができる。MCF−7ヒト乳癌腫(カルシノーマ)細胞への、エストロゲン、ケ オキシフェン、および試験化合物の部分的アゴニスト活性は、7日間、化合物の 非存在下または存在下では化合物の濃度を上昇させて、細胞を処理することによ って評価する。細胞は0日目および4日目に化合物で処理する。7日で実験を終 了して、三組の穴で細胞数を評価する。このアッセイでのエストロゲン活性は、 10-10Mで最大になると予想され、対照の1500%の増殖が誘導される。 次いで、ケオキシフェンおよび試験化合物の生体外プロフィールを決定するこ とができた。HepG2細胞における、C3プロモーターのER、ER−TAF 1およびER−nullレセプターのトランス活性化に関係する高濃度化合物の 活性は、本書類に記載するような標準的方法で測定される。このようにして、与 えられた濃度で骨の保護および子宮/乳房のスペアリング活性の両方を示す化合 物を同定することができる。ケオキシフェンより高い有効性をもつ化合物が望ま しい。“有効性”とは、所望の効果を作り出すのに必要な化合物の量を意味する 。このように、有効性の高い化合物はケオキシフェンより大きい親和性でレセプ ターに結合するであろう。高い有効性を持つ化合物は最小の投薬量で最大の効果 を生み出す。図8に示すように、高い有効性を持つ化合物は、低い有効性を持つ 化合物のピークより、さらに右側にピークを持つ。使用法 アゴニストおよびそれらの形は、上記のシステムで迅速に同定されうる。具体 的には、実施例4に記載し、図5に示した実験は、アゴニストを同定し、次いで その活性の型を決めるのに有用である。例えば、このアッセイでは、野生型のレ セプター(ER−wt)を用いると、試験化合物がアゴニストであるか、即ち、 アッセイで活性を持つか、が示唆されるであろう。全機能的な状況を有する変異 させたレセプター(ERm)を用いると、アッセイでは、アゴニストの型、即ち 、どの様なレベルの活性が認められるか、が示唆されるであろう。様々な試験化 合物で予想される結果の範囲の例を図5に示し、実施例4で考察している。その 様なアッセイを用いると、所望のアゴニスト活性、例えば、エストロゲン活性を 擬 態し、骨粗鬆症の治療に有効なTAF1領域のみで活性なアゴニスト活性、につ いて容易にスクリーニングすることができる。薬剤組成物 また、本発明は、薬学上許容しうる担体または希釈剤中に上記の生成物を薬剤 として有効な量含む、貯蔵用、およびその後の投与用に調製した薬剤組成物をも 包含する。治療に使用するために許容しうる担体または希釈剤は、薬学の分野で は熟知されており、例えば、“Remington´s Pharmaceut ical Sciences ”,Mack Publishing Co.,( A.R.Gennaro編、1985)に記載されている。保存剤、安定化剤、 染料、および香味剤が、薬剤組成物中に提供されても良い。例えば、安息香酸ナ トリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルは、保存剤とし て加えられても良い。同上1449。さらに、抗酸化剤および懸濁剤が用いられ ても良い。同上 本発明の組成物は、経口投与のための、錠剤、カプセルまたはエレキシル;直 腸投与のための座剤;注入投与のための無菌溶液、懸濁液;およびその類似物な ど、として調合し用いても良い。注射可能物は、液体溶液または懸濁液のいずれ かの従来の形で、注入前に液体中に溶解または懸濁するのに適した固体の形で、 またはエマルジョンとして調製することができる。適当な賦形剤は、例えば、水 、食塩水、ブドウ糖、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グル タミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩、およびその類似物などである。さらに 、所望するならば、注射可能な薬剤組成物は、湿潤剤、pH緩衝剤、およびその 類似物のような、少量の毒性のない補助物質を含んで良い。所望するならば、吸 収増強調製物(例えば、リポソーム)を用いても良い。 一回の投与量として必要とされる、薬学上効果的な組成物量は、投与経路、治 療する動物のタイプ、考慮中の具体的な動物の身体的特徴に依存するであろう。 投与量は、最適の効力に達するように調整することができるが、重量(体重)、 日常の飲食物、併用している薬剤、および医療業者に認識されているであろう他 の因子に依存するであろう。 本発明の方法を実施するにあたって、生成物または組成物は、単独で、互いに 組み合わせて、または他の治療薬もしくは診断薬と組み合わせて、用いることが できる。これらの生成物は、生体内では、通常は哺乳類、望ましくはヒトで、ま たは生体外で用いることができる。それらを生体内で用いるに当たっては、生成 物または組成物は、非経口、静脈、皮下、筋肉内、結腸、直腸、鼻、または腹腔 内、を含む様々な方法で、様々な投薬の形を用いて、哺乳動物に投与することが できる。 当業者には容易に明らかなように、投与される有用な生体内への投薬量および 投与の個々の様式は、年齢、体重、および治療される哺乳類の種、用いられる個 々の化合物、およびこれらの化合物を用いる具体的な使用に依存して変化するで あろう。有効な投与量レベルの決定、即ち、所望する結果に到達するのに必要な 投与量レベルは、当業者の範囲の内にあるであろう。典型的には、生成物のヒト への医療的適用は、低い投薬量で開始し、所望の効果に達するまで投与量を増加 させる。ヒト以外の動物を用いた研究では、生成物の適用は、より高い投与量で 開始し、所望する効果にもはや到達しなくなる、または副作用が出なくなるまで 、投与量を減少させる。 本発明の生成物の投与量は、所望する影響および治療の指示に依存して、範囲 を広くとることができる。典型的には、投与量は約10μg/kgから100m g/kg体重の間、望ましくは、約100μg/kgから10mg/kg体重の 間であって良い。毎日を基本にした、経口投与が望ましい。 他の実施態様は以下の請求の範囲の内にある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV ,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SI,SK,TT,UA,U Z,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. プロモーターからの転写を活性化することの出来る第一のTAF領域、 および第二TAF領域の機能的状況をもつがプロモーターの転写を活性化できな い様に変異させた第二のTAF領域、を有するレセプターをコードする核酸を提 供し、ここにおいて、核酸は第二TAF領域のみを持つレセプターの存在下でプ ロモーターからの転写を示すことは出来ないが、第一TAF領域を持つレセプタ ーの存在下でプロモーターからの転写を示すことのできる細胞内に提供され、さ らに、細胞はプロモーターを含むレポーター構築物を含み、レポーター構築物は 、プロモーターが第一TAF領域をもつレセプター存在下で活性化される時に転 写される; レセプターの既知のアゴニストと細胞との接触がプロモーターからの転 写を引き起こし、且つレポーター構築物の生成のレベルが増加するような条件下 で、可能性のあるアゴニストと細胞とを接触させ;そして 可能性のあるアゴニストのアゴニスト活性の指標としてレポーター構築 物の生成物の増加レベルを測定する; ことからなる、レセプターアゴニストのアッセイ方法。 2. 該アゴニストがヒトのホルモンのアゴニストである、請求項1記載の方 法。 3. 該レセプターが変異させたTAF2領域を持つ、請求項1記載の方法。 4. 該細胞が肝細胞である、請求項3記載の方法。 5. 該プロモーターがC3プロモーターである、請求項4記載の方法。 6. 該アッセイがケオキシフェン様転写プロフィールを持つケオキシフェン 以外の化合物を提供する、請求項1記載の方法。 7. 細胞内に機能的な第一および第二のTAF領域をもつレセプターをコー ドする核酸を提供し、ここにおいて機能的なTAF1またはTAF2領域のみを 持つレセプターは細胞内でプロモーターからの転写を引き起こさず、さらに細胞 は一つのTAF領域を通してのみ作用し、両方の該TAF領域を通しては作用し ないアゴニストの存在下で活性化されるプロモーターを含むレポーター構築物を 含む; レセプターの既知のアゴニストと細胞との接触がプロモーターからの転 写を引き起こし、且つレポーター構築物の生成物のレベルを増加させるような条 件下で、細胞を可能性のあるアゴニストと接触させ;そして 可能性のあるアゴニストのアゴニスト活性の指標としてレポーター構築 物の生成物の増加レベルを測定する; ことからなる、レセプターアゴニストのアッセイ方法。 8. 該細胞が肝細胞であり、且つ該プロモーターがC3プロモーターである 、請求項7記載の方法。 9. 該アッセイがケオキシフェン様転写プロフィールをもつケオキシフェン 以外の化合物を提供する、請求項7記載の方法。 10. ケオキシフェン様転写プロフィールを持つケオキシフェン以外の化学的 化合物をエストロゲンに関係する病気に掛かった患者に投与することからなる、 該患者を治療する方法。 11. 該病気が骨粗鬆症である、請求項10記載の方法。 12. 該病気が子宮癌である、請求項10記載の方法。 13. 該病気が乳癌である、請求項10記載の方法。 14. 該治療が医薬として許容しうる量の該化合物を該患者に投与することか らなる、請求項10記載の方法。 15. 該投与が経口で行われる、請求項14記載の方法。 16. 該化合物がケオキシフェンより大きい効能を持つ、請求項10記載の方 法。
JP6522489A 1993-04-07 1994-04-06 受容体アゴニストのスクリーニング方法 Pending JPH08512197A (ja)

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