JPH085706B2 - リン酸四カルシウム硬化体およびその製造方法 - Google Patents

リン酸四カルシウム硬化体およびその製造方法

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JPH085706B2 JP2264790A JP26479090A JPH085706B2 JP H085706 B2 JPH085706 B2 JP H085706B2 JP 2264790 A JP2264790 A JP 2264790A JP 26479090 A JP26479090 A JP 26479090A JP H085706 B2 JPH085706 B2 JP H085706B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、人工骨用材料、歯科材料などとして有用な
リン酸四カルシウム硬化体およびその製造法に関する。
なお、本明細書において、“溶融状態”とは、原料粉
末が加熱されることにより、全体として流動するに至っ
た状態をいい、また、“半溶融状態”とは、原料粉末が
加熱されて、流動するには至っていないものの、粉末粒
子が外見上消失して均一相を形成している状態をいう。
さらに、“ポーラスな状態”とは、原料粉末が加熱され
て各粉末粒子は互いに反応しているが、各粉末粒子はそ
の形態を完全に失なうことなく、ほぼそのまま存在して
いる状態をいう。
また、本明細書において、“部”および“%”とある
のは、それぞれ“重量部”および“重量%”を表わす。
従来技術とその問題点 リン酸四カルシウム{Ca4(PO42O}は、骨、歯など
の主要無機成分であるリン酸化合物の一種である。これ
は、化学的活性が高く、常温で無機酸、飽和および不飽
和有機酸、不飽和有機酸の単独重合体および共重合体、
これらの水溶液、生理食塩水などと容易に反応して、硬
化する性質を有している。そして、これらの硬化体は、
生体親和性があり、人工骨材料、歯科材料などとして有
用である。
従来、リン酸四カルシウムの製造原料としては、Ca源
としてCaCO3、CaO、Ca(OH2)などが使用され、またP
源としてP2O5、H3PO4、NH4H2PO4、(NH42HPO4などが
使用され、さらにCaおよびP源としてCaHPO4、Ca(H2PO
4などが使用されている。リン酸四カルシウムの製
造方法には、使用する原料の相違により、各種の方法が
存在するが、CaCO3粉末とCaHPO4粉末とを混合し、焼成
する下記の乾式製造法が最も一般的である。
2CaCO3+2CaHPO4→Ca4(PO42O+2CO2+H2O この方法では、原料粉末混合物を1300〜1600℃程度の
温度で焼成した後、約400℃まで急冷(冷却速度10℃/
分程度以上)することが必要であり、リン酸四カルシウ
ムを多量に含むリン酸化合物の混合物を得ている。この
方法では、焼成温度を1600℃以上とすると、生成物がポ
ーラスな部分と半溶融部分との混相を形成して、リン酸
四カルシウムの品質のバラツキが問題となる。また、焼
成温度が1300〜1600℃程度の温度範囲にあっても、得ら
れたリン酸四カルシウムは、反応性が高く、非常に不安
定である為、冷却速度が低い場合には、1200〜400℃の
温度域で大気中の水蒸気を吸収して、容易に水酸アパタ
イトが生成される。従って、この方法では、リン酸四カ
ルシウムの収率を高めるとともに、安定した品質の製品
を得るためには、焼成温度、冷却時の焼成炉内雰囲気中
の水分含有量、冷却速度などを厳重に管理する必要があ
る。
しかるに、焼成炉内雰囲気中の水分を除去すること
は、実際の操作上困難である。また、焼成炉内で生成物
を強制的に冷却することも、技術的に困難であるばかり
でなく、急冷に伴う炉壁耐火物の損傷の原因ともなる。
問題点を解決するための手段 本発明者は、上記の如き技術の現状に鑑みて鋭意研究
を重ねた結果、特定量のアルミニウム化合物を添加した
原料配合物を半溶融または溶融状態まで加熱する場合に
は、従来技術の問題点が大巾に軽減若しくは実質的に解
消されることを見出した。また、この様にして得られた
リン酸四カルシウムから得られる硬化体も、従来品に優
るとも劣らない物性を具備していることを見出した。
すなわち、本発明は、下記のリン酸四カルシウム硬化
体およびそれらの製造法を提供するものである: Ca/P=2(モル比)となる様にカルシウム源材料粉末
とリン源材料粉末を配合し、さらにリン酸四カルシウム
の理論生成量100部に対しアルミニウム化合物をAl2O3
して0.005〜5部添加し、1400℃以上の温度で半溶融も
しくは溶融させてリン酸四カルシウムの製造した後、得
られたリン酸四カルシウムの粉末100部とシリカ−アル
ミナ系非晶質ガラス粉末0.005〜50部とからなる粉末混
合物に該粉末混合物重量の30〜60%の体内酸または (nは、1000〜100000) で表されるポリアクリル酸を混和することを特徴とする
リン酸四カルシウム硬化体の製造方法。
上記項に記載の製造方法により得られたリン酸四カ
ルシウム硬化体。
本発明において、リン酸四カルシウムの製造原料は、
前記の従来法において使用されているものと同じであっ
て良い。しかしながら、生成したリン酸四カルシウムを
生体材料として使用する場合には、安全性などの観点か
ら食品添加剤として認められているもの、例えば、CaHP
O4、CaHPO4・2H2O、CaCO3、Ca3(PO4などを使用す
ることが好ましい。これらは、通常20μm以下、平均5
μm程度の粉末として使用する。
また、リン酸四カルシウムの製造原料に配合するアル
ミニウム化合物としては、Al2O3、Al(OH)、Al(P
O)、AlPO4、Al(H2PO4、AlB2、AlCl3、AlF3、Al
I3、Al2(SiO3、Al2(SO4、Al2TiO5などが例示
され、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用さ
れる。これらの内では、焼成物の均一性、焼成温度の調
整、生成物の色調などの観点からは、Al2O3がより好ま
しい。アルミニウム化合物も、通常20μm以下、平均5
μm程度の粉末として使用する。
本発明においては、この様な原料をCa/Pのモル比が2
となる様に配合し、さらにこの原料配合物から生成され
るリン酸四カルシウムの理論量100部に対しアルミニウ
ム化合物をAl2O3として0.005〜5部添加して、1400℃以
上の温度で焼成して、半溶融もしくは溶融させた後、炉
内で自然放冷する。冷却温度は、原料の使用量、炉の容
量および構造などにより、大巾に変わり得るが、いずれ
の場合にも、従来法における様な10℃/分以上という急
冷に比して、極めて緩やかな冷却である。焼成に際して
は、上記の全成分を含む原料粉末混合物を崩壊しない程
度に成形しておき、半溶融すれば、原料粉末混合物およ
び焼成物を収容するための容器も不要となり、取扱いも
容易であり、焼成炉内の容積を有効利用することが出来
るので、有利である。リン酸四カルシウムの理論生成量
100部に対するアルミニウム化合物のより好ましい添加
量は、Al2O3として1〜2部程度であり、またより好ま
しい焼成温度は、1500〜1550℃である。
第1図にCa/Pのモル比が2である原料配合物に対する
Al2O3の添加量(生成されるべきリン酸四カルシウムの
理論量100部に対する添加量)、焼成温度と半溶融およ
び溶融状態との関係を示す。第1図から、半溶融および
溶融状態は、Al2O3の配合量によって、かなり自由に調
整することが可能なることが明らかである。例えば、Al
2O3の配合量を5%とすれば、焼成温度を約1450℃とす
ることにより、半溶融状態の生成物が得られる。
また、第2図にCa/Pのモル比が2である原料配合物に
対するAl2O3の添加量(生成されるべきリン酸四カルシ
ウムの理論量100部に対する添加量)、焼成温度と生成
物中に占めるリン酸四カルシウムの割合との関係を模式
的に示す。
Al2O3の配合量が5%を超える場合には、水酸アパタ
イトのみが形成されるようになるので、Al2O3の配合量
は5%以下とすべきことが明らかである。
上記の様にして得られたリン酸四カルシウムは、非常
に固く焼き締まっており、水酸アパタイトへの転化もほ
とんど生じていない。また、従来の焼成法により得られ
るリン酸四カルシウムは、通常灰白色であるが、使用す
る原料の種類、微量不純物の影響などにより、焼成物が
部分的または全体的に濃暗色、灰緑色などに着色され
て、審美性の点から生体材料としての価値を失う場合も
少なくない。しかるに、Al2O3を配合する本発明方法に
より得られるリン酸四カルシウムは、使用する原料の種
類、微量不純物などに影響されず、全体として均一に淡
青色乃至水色に着色した美麗なものである。
なお、本発明によるリン酸四カルシウムは、原料配合
物にさらに他の添加物を併用することにより、その性質
を改善することが出来る。例えば、リン酸四カルシウム
にX線造影性、抗菌性などを付与するためには、BaS
O4、BaCO3、SrSO4、SrCO3などのアルカリ土類金属化合
物、BaSiF6、SnF2、CaF2、NaF、AlF3、Na2SiF6などの含
フッ素化合物などの一種または二種以上を添加すること
が出来る。これらの任意添加物は、Al2O3としてのアル
ミニウム化合物の最大60%程度までに代替して使用する
ことが出来る。これらの任意添加物も、通常20μm以
下、平均5μm程度の粉末として使用する。
本発明によるリン酸四カルシウム硬化体は、上記の方
法により製造されたリン酸四カルシウム粉末100部とシ
リカ−アルミナ系非晶質ガラス粉末0.005〜50部とから
なる粉末混合物に該粉末混合物重量の30〜60%の体内酸
または下記の式(a) (nは、1000〜100000)で表されるポリアクリル酸を混
和することにより得られる。
シリカ−アルミナ系非晶質ガラスとしては、シリカ及
びアルミナを主成分とし、他にカルシウム、フッ素、ナ
トリウム、リン、チタン、ストロンチウムなどを少量含
むことがある原料を溶融及び急冷して、ガラス化し、粉
砕したものが使用される。リン酸四カルシウム粉末100
部に対するシリカ−アルミナ系非晶質ガラス粉末の量が
0.005部未満の場合には、添加による効果が殆ど認めら
れない。一方、50部を上回る場合には、強度の改善が殆
ど認められないか、むしろ低下する傾向がある。シリカ
−アルミナ系非晶質ガラス粉末の量は、8〜15部とする
ことがより好ましい。シリカ−アルミナ系非晶質ガラス
粉末の粒度は、通常10μm以下、平均3μm程度であ
る。
本発明で使用する体内酸としては、クエン酸、マロン
酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、フマル酸、アスコル
ビン酸、コハク酸、グルコン酸、グルタル酸、ピルビン
酸などが挙げられ、これらと上記ポリアクリル酸の一種
または二種以上を、必要ならば、水溶液の形態で使用す
ることができる。これらの体内酸およびポリアクリル酸
の使用量(酸として)は、リン酸四カルシウム粉末とシ
リカ−アルミナ系非晶質ガラス粉末との合計重量の30〜
60%程度とする。
この様にして得られるリン酸四カルシウム硬化体は、
リン酸四カルシウム粉末のかさ比重が大きいので、従来
品に比して、それ自体のかさ比重が著しく大きくなり、
破砕強度も高くなっている。従って、この様な硬化体
は、人工骨用材料、歯科材料などの生体用材料として有
用である。
発明の効果 本発明によれば、下記の如き顕著な効果が得られる。
(1)原料粉末配合物の半溶融乃至溶融という操作によ
り、従来法とは異なって、急冷操作、焼成炉内の除湿乾
燥などを行う必要はなくなった。
従って、特殊な構造の焼成炉を必要とせず、通常の焼
成炉により製造を行なうことが出来るので、製造コスト
が低減される。
(2)リン酸四カルシウムの収率が高く、また得られる
リン酸四カルシウムは、高純度である。
(3)Ca源化合物とP源化合物とを焼成する場合には、
使用する化合物の純度にもよるが、1600℃程度以上でな
ければ、溶融しない。これに対し、Al2O3を併用する本
発明方法では、半溶融乃至溶融温度が大巾に低下するの
で、エネルギー的に有利である。
(4)Al2O3を併用することにより、半溶融温度範囲が
広がるので、製品のロットによるバラツキ、生成物内部
の成分組成の不均一などが大巾に減少して、均一で品質
の安定した製品が得られる。
(5)Ca源化合物とP源化合物とのみを焼成すれば、美
観に劣る製品となる場合でも、Al2O3を併用することに
より、淡青色乃至水色の均一に着色された美麗な製品が
得られる。
(6)本発明によるリン酸四カルシウム硬化体は、かさ
比重が大きく、破砕強度も高い。
実 施 例 以下に実施例および参考例を示し、本発明の特徴とす
るところをより一層明確にする。
参考例1 平均粒径5μm程度の粉末状のCaCO3とCaHPO4とを1:1
のモル比で混合し、さらにAl2O3を混合物重量の0.1%の
割合で添加して、大気中1600℃で2時間炉内焼成して、
半溶融した後、炉内で自然放冷し、400℃に下降した時
点で炉外に取出した。
生成物のX線回折結果を第3図上方に示す。
第3図の結果から、生成物が実質的にリン酸四カルシ
ウムのみからなっていることが明らかである。
比較参考例1 焼成温度を1500℃とする以外は実施例1と同様の操作
を行なった。生成物は、ポーラス状のものであった。
生成物のX線回折結果を第3図下方に示す。
第3図の結果から、生成物がリン酸四カルシウムの他
に大量の水酸アパタイトを含んでいることが明らかであ
る。
参考例2 Al2O3の添加量を0.005〜50%の範囲とし且つ焼成温度
を1350〜1600℃の範囲として、参考例1と同様の操作を
行なった。
生成物のX線回折結果を第4図A〜Fに示す。
第4図A〜FとAl2O3添加量および焼成温度との関係
は、以下の通りである。
I.第4図A Al2O3:50% 焼成温度:1350℃ II.第4図B Al2O3:20% 焼成温度:1400℃ III.第4図C Al2O3:10% 焼成温度:1450℃ IV.第4図D Al2O3:5% 焼成温度:1450℃ V.第4図E Al2O3:1.5% 焼成温度:1500℃ VI.第4図F Al2O3:0.005% 焼成温度:1600℃ 第4図A〜Fに示す結果から、Al2O3添加量が5%以
下であれば、溶融温度の効果も著るしく、リン酸四カル
シウムも良好に生成される。しかしながら、Al2O3を5
%を上回る量添加しても、溶融温度の著るしい降下は認
められなくなり、逆にリン酸四カルシウムの生成を阻害
するようになるので、Al2O3の添加量は、5%を上限と
する。
実施例1 参考例2で得られたリン酸四カルシウム(Al2O3添加
量:1.5%)の粉末(平均粒径5μm)100部にシリカ−
アルミナ系非晶質ガラス粉末(シリカ50%、アルミナ30
%、その他Sr、Ti、Caなどの微量成分20%)を10部、20
部または30部を加えた後、得られた混合粉末100部に対
し、クエン酸45%、リンゴ酸45%またはリンゴ酸30%と
ポリアクリル酸(前記の式(a)においてn=約1600
0)15%とを含む水溶液を酸として50部加えて、硬化体
を得た。
一方、比較として、Al2O3を含まない従来のリン酸四
カルシウムの粉末を使用する以外は、上記と同様にして
硬化体を得た。
各硬化体の24時間経過後の破砕強度は、第1表に示す
通りであった。
第1表において、各記号は、以下のことを表わす。
イ…シリカ−アルミナ系ガラス粉末の使用量=10部 ロ…シリカ−アルミナ系ガラス粉末の使用量=30部 ハ…シリカ−アルミナ系ガラス粉末の使用量=50部 ニ…クエン酸水溶液 ホ…リンゴ酸水溶液 ヘ…リンゴ酸+ポリアクリル酸 本発明により得られたリン酸四カルシウム硬化体の破
砕強度は、従来のリン酸四カルシウムを同様にして硬化
させたものに比して、約1.5倍にも達している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
Al2O3の添加量、焼成温度と半溶融および溶融状態との
関係を示すグラフである。 第2図は、Ca/Pのモル比が2である原料配合物に対する
Al2O3の添加量、焼成温度と生成物中のリン酸四カルシ
ウムの生成割合との関係を示すグラフである。 第3図は、参考例1および比較参考例1で得られた生成
物のX線回折測定結果を示すチャートである。 第4図は、参考例2で得られた各生成物のX線回折測定
結果を示すチャートである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ca/P=2(モル比)となる様にカルシウム
    源材料粉末とリン源材料粉末を配合し、さらにリン酸四
    カルシウムの理論生成量100部に対しアルミニウム化合
    物(Al2O3として)を0.005〜5部添加し、1400℃以上の
    温度で半溶融もしくは溶融させることによりリン酸四カ
    ルシウムを製造した後、得られたリン酸四カルシウムの
    粉末100部とシリカ−アルミナ系非晶質ガラス粉末0.005
    〜50部とからなる粉末混合物に該粉末混合物重量の30〜
    60%の体内酸または (nは、1000〜100000) で表されるポリアクリル酸を混和することを特徴とする
    リン酸四カルシウム硬化体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項に記載の製造方法により得られた
    リン酸四カルシウム硬化体。
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