JPH087682A - Nb3 Sn系化合物超電導線の製造方法 - Google Patents

Nb3 Sn系化合物超電導線の製造方法

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JPH087682A
JPH087682A JP6160690A JP16069094A JPH087682A JP H087682 A JPH087682 A JP H087682A JP 6160690 A JP6160690 A JP 6160690A JP 16069094 A JP16069094 A JP 16069094A JP H087682 A JPH087682 A JP H087682A
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metal material
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JP6160690A
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Tomonori Yamada
知礼 山田
Kinya Ogawa
欽也 小川
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 超電導特性に優れたNb3 Sn系化合物超電
導線を製造する。 【構成】 Cu−Sn系合金基体中にNbフィラメント
を多数本配列させた複合素線上に、Sn層5、及びSn
より高融点でSnと非反応性の金属材層を順次形成して
複合線材となし、この複合線材に熱拡散処理を施してC
u−Sn系合金基体中にNb3 Snフィラメントを生成
させる。 【効果】 高融点でSnと非反応性の金属材層6が、複
合素線上の溶融Snを保持するので、Snの熱拡散処理
を高温短時間で行うことができる。従って基体中に空孔
が生成したりせず、超電導特性に優れたNb3 Sn系化
合物超電導線が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導特性に優れた、
Nb3 Sn系化合物超電導線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化合物超電導線はCu又はCu合金基体
中にNb3 Sn、Nb3 Al、V3 Ga等の超電導フィ
ラメントが多数本複合された超電導線である。この化合
物超電導線はNb3 Sn等の超電導体相が脆い為、次の
ようにして製造される。即ち、Cu−Sn系合金基体中
にNb金属の棒材を多数本埋込んで一次ビレットを組立
て、これに中間焼鈍と縮径加工を施して所定形状の線状
体とし、この線状体をCu−Sn系合金パイプ内に多数
本整列充填して二次ビレットを組立て、これに中間焼鈍
と縮径加工を施してCu−Sn系合金基体中にNbフィ
ラメントが複合された複合素線を作製する。次に、この
複合素線に 700〜800 ℃の温度で熱拡散処理を施して、
前記Nbフィラメントを前記基体及びパイプ中のSnと
反応させてNb3 Snフィラメントに形成する。
【0003】前述の製造方法では、基体又はパイプを構
成するCu−Sn系合金のSn濃度が高い程、生成する
Nb3 Sn化合物は化学量論組成に近くなり、得られる
超電導線の超電導特性が向上する。しかし、前記Cu−
Sn系合金のSn濃度を高くするとビレットの加工硬化
が大きくなり、特にSnが固溶限を超えて含有される
と、中間焼鈍を多数回入れても伸線加工時に割れが生じ
た。この為Cu−Sn系合金中のSn量は固溶限以下に
抑えざるを得ず、従ってSnの量が不足して十分に高い
超電導特性が得られなかった。又中間焼鈍はNb3 Sn
相が生成しない低い温度で施す為長時間を要し、生産性
を著しく害した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、基体及びパイ
プに、加工性の良い低Sn濃度のCu−Sn系合金を用
いて中間焼鈍の回数を減らし、Snの不足分は、複合素
線上にSnをめっきして補給する外部拡散法が開発され
た。この外部拡散法では、熱拡散処理をいきなり700℃
以上の高温度で施すとSnめっき層やSnリッチのCu
−Sn系化合物が溶落し、不足して所望の超電導特性が
得られなかった。そこで、熱拡散処理を、先ずSnの融
点未満の温度でCu−Sn系合金基体中にSn層を拡散
させ、次いで 300℃前後の温度でSnの拡散を促進し、
最後に 700℃以上の高温でNb3 Sn相を反応生成させ
るという3段階に分けて施す方法(特公昭62-62003号)
が提案された。しかし、このように熱拡散処理を低温度
から徐々に行う方法では、CuとSn原子の拡散速度が
異なることから、Cu−Sn系合金基体中にカーケンダ
ル効果による空孔(以下カーケンダル空孔と略記する)
が生じた。この空孔は超電導線の歪み感受性を大きくし
て、超電導特性を低下させ又不安定にした。このカーケ
ンダル空孔の発生防止策として、複合線材を 0.3mmφ以
下に細くしてSnの拡散時間を短縮する方法が提案され
た。この方法では、二次ビレットの組立てに際し、細い
複合線材を整列充填するのに大変な手間を要した。
【0005】この他、カーケンダル空孔の発生防止策と
して、複合素線上にSn層とCu層を順次形成する方法
が提案された(特開平1-232613号)。この方法は、外周
のCu層に溶融Sn層を保持させて高温で熱拡散処理を
行い、熱拡散処理時間を短縮するものである。しかし、
この方法ではSnがCu層に固溶して消費される為、そ
の分Sn層を厚くめっきすることになり、その結果熱拡
散処理時間が長くなって、カーケンダル空孔が生じてし
まうという前述の場合と同じ問題が起きた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような状況
の中で鋭意研究を行いなされたもので、超電導特性に優
れたNb3 Sn系化合物超電導線の製造方法を提供する
ことを目的とする。即ち、本発明は、Cu−Sn系合金
基体中にNbフィラメントを多数本配列させた複合素線
上に、Sn層、及びSnより高融点でSnと非反応性の
金属材層を順次形成して複合線材となし、この複合線材
に熱拡散処理を施してCu−Sn系合金基体中にNb3
Snフィラメントを生成させることを特徴とする。
【0007】本発明において、Snより高融点でSnと
非反応性の金属材層とは、熱拡散処理をSnの融点(232
℃) より高温で行っても、内側の溶融Snを均一な形状
に保持し且つ固溶や化合物形成によりSnを消費しない
金属材層である。具体的には、Cr、Ni、Zn、A
g、Co、Fe、Pd、Pt、Au等の純金属材、Ag
−Pd系、Ag−Sb系、Ag−Se系、Au−Ni
系、Au−Co系、Cu−Zn系、Cu−Sn系、Zn
−Sn系、Ni−Sn系、Co−Sn系等の合金材であ
る。前記金属材層は、Sn層を挟んで、Nbフィラメン
トを配列したCu−Sn系合金基体と合体させたとき、
Sn層のSnがNbフィラメントを配列したCu−Sn
系合金基体の方へ優先的に拡散する金属材層である。金
属材層がCu−Sn系合金等の場合はSnを飽和状態又
は飽和状態に近い量含有させておく。前記金属材層は、
融点が高い為溶融Sn層を均一形状に保持でき且つSn
と非反応性の為Sn層を薄くでき、従って熱拡散処理時
間が短縮されてカーケンダル空孔が形成されない。本発
明において、Sn層と金属材層を複合素線上に形成する
には、電気めっき、無電解めっき、溶融めっき等の厚さ
を均一に形成できる任意の方法が適用できる。前記Sn
含有合金材は、Snが拡散通過可能な為、Sn層と交互
に多層に形成することもできる。金属材層にCrを用い
る場合、Cr層は電気絶縁性の為、絶縁被覆層としての
機能を併せ持つ。そこで、超電導線を、エナメル被覆等
の処理を省略して撚合わせることも可能となる。
【0008】以下に、本発明方法の途中工程で作製され
る複合線材の熱拡散処理前後の構成を図を参照して説明
する。図1イは金属材層にNiを用いた複合線材の熱拡
散処理前の横断面図である。安定化銅線1の周囲にNb
の拡散バリヤが配され、その周囲に、Nb/ブロンズ
(Cu−Sn系合金)複合層3、ブロンズシース(パイ
プ)層4、Sn層5、Niの金属材層6が順次形成され
ている。図1ロは前記複合線材の熱拡散処理後の横断面
図である。図で7は、Nb/ブロンズ複合層3のNbフ
ィラメントがNb3 Snフィラメントに形成されたNb
3 Sn含有ブロンズ層である。このNb3 Sn含有ブロ
ンズ層7の周囲に、低Sn化したブロンズシース層4と
Sn層5の合体層8が形成され、更にその周囲にNiの
金属材層6が位置している。
【0009】図2イは、金属材層にブロンズを用いた複
合線材の熱拡散処理前の横断面図である。最外層にブロ
ンズの金属材層9が形成されている他は、図1イに示し
たものと同じである。図2ロは熱拡散処理後の横断面図
である。最外層にブロンズの金属材層9が形成されてい
る他は、図1ロに示したものと同じである。
【0010】本発明において、複合線材全体に含有され
るSn量は、16wt%以上において十分なSn量が供給さ
れて超電導特性に優れた、ストイキオメトリ(Nb−25
at%Sn)に近いNb3 Sn相が形成される。従って、
複合線材全体に含有されるSnの量は16wt%以上である
ことが望ましい。
【0011】又複合素線上に形成するSn層の厚さtと
Snより高融点でSnと非反応性の金属材層の厚さTの
比〔t/T〕が1未満では金属材層が過剰に厚くなり不
経済である。又10を超えては前記金属材層の溶融Snの
保持効果が低下する。従って、複合線材のSn層の厚さ
tとSnより高融点でSnと非反応性の金属材層の厚さ
Tの比〔t/T〕は1以上、10以下であることが望まし
い。
【0012】本発明は、Cu−Sn系合金基体又はNb
フィラメントにTi、Ta、Ha、Ga等の元素を微量
含有させた場合にも同様の効果が得られる。又中心部に
Cu又はAl等の安定化材をNbやTa等のバリヤ層を
介在させて複合したNb3 Sn系化合物超電導線に適用
しても同様の効果が得られる。
【0013】本発明において、熱拡散処理は、通常、S
n層をCu−Sn系合金基体中に拡散させる低温処理と
前記基体中のSnをNbと反応させてNb3 Sn相を形
成する高温処理に分けて行われる。低温処理もSnの融
点以上の温度で短時間行うことにより、カーケンダル空
孔の発生を抑えることができる。もしカーケンダル空孔
が発生しても、その量は僅かであり、高温処理前に軽圧
延して消滅させることができる。
【0014】
【作用】本発明では、Nb3 Sn系化合物超電導線を外
部拡散法で製造する際に、複合素線上の溶融Snを、高
融点でSnと非反応性の金属材層で保持するので、Sn
の熱拡散処理を高温短時間で行うことができる。従って
基体中に空孔が生成したりせず、超電導特性に優れたN
3 Sn系化合物超電導線を製造できる。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)外径45.3mmφのブロンズ(Cu−14.3wt%
Sn−0.2 wt%Ti系合金)棒材に6.0 mmφの貫通孔を
等間隔に19本あけ、この貫通孔に外径5.8 mmφのNb線
材を挿入し、ブロンズ棒材の前後端にブロンズ製蓋を電
子ビーム溶接により真空封止して被せて1次ビレットを
作製した。次にこの1次ビレットを熱間押出しし、この
押出材に伸線加工と中間焼鈍を繰返し施して、対辺長さ
1mmの六角線を作製した。この六角線を1次ビレットと
同じ組成の外径45mmφ、内径38mmφのブロンズ製パイプ
に充填して2次ビレットを作製した。前記ブロンズ製パ
イプの中心部分には安定化材となす直径20mmφの無酸素
銅棒を外周にNb箔を巻いて配置した。この2次ビレッ
トを1次ビレットと同じ方法により 0.7mmφの複合素線
に加工した。次にこの複合素線上にSn層とNi層を順
次電気めっきして複合線材を作製した。Sn層とNi層
は厚さを種々に変化させた。次にこの複合線材に1回目
の熱拡散処理を 450℃で50時間施した。熱拡散処理後、
組織観察をした。Sn層のSnがブロンズ基体内に 100
μm程度均一に拡散していた。Sn層の溶落はなかっ
た。Nbフィラメントはブロンズ基体内に直線状に等間
隔に位置しており、乱れは見られなかった。ブロンズ基
体内にカーケンダル空孔が少量観察された。次にこの線
材に断面減少率5%の伸線加工を施して、線材の外径を
整え又線材内部のカーケンダル空孔を消滅させた。次い
で2回目の熱拡散処理を 695℃で40時間施してNb3
n系化合物超電導線を製造した。
【0016】(実施例2)実施例1において、複合素線
上にSn層及びCu−10wt%Sn合金層を順次電気めっ
きして複合線材とした他は、実施例1と同じ方法により
Nb3 Sn系化合物超電導線を製造した。
【0017】(比較例1)実施例1において、複合素線
にSn層を8μm厚さに、その上にCu層を 1.5μm厚
さにめっきした他は、実施例1と同じ方法によりNb3
Sn系化合物超電導線を製造した。
【0018】(比較例2)実施例1において、複合素線
にSn層を14μm厚さに、その上にCu層を 2.5μm厚
さにめっきし、1回目の熱拡散処理を 450℃で 100時間
施した他は、実施例1と同じ方法によりNb3 Sn系化
合物超電導線を製造した。
【0019】(比較例3)実施例1において、複合素線
にSn層のみを8μm厚さに形成した他は、実施例1と
同じ方法によりNb3 Sn系化合物超電導線を製造し
た。
【0020】(比較例4)実施例1において、複合素線
にSn層のみを8μm厚さに形成して複合線材となし、
この複合線材にSnの融点未満の 200℃の温度で60時
間、次に 300℃の温度で50時間、最後に 695℃の温度で
40時間の加熱条件で熱拡散処理を施した他は、実施例1
と同じ方法によりNb3 Sn系化合物超電導線を製造し
た。
【0021】得られた各々のNb3 Sn系化合物超電導
線について、臨界電流(Ic)を測定した。又断面を観
察してSnの溶落有無、カーケンダル空孔の有無を調べ
た。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1より明らかなように、本発明方法品
(No.1〜10) はいずれもIcが高く、Snの溶落がなく
断面形状に優れ、カーケンダル空孔は小さいか、又は少
なかった。尚、No.2はSnの平均濃度が16wt%を下回っ
た為Icが若干低下した。No.6はSn層の厚さに対して
金属材層(Ni層)がやや厚過ぎて不経済であったが、
特性上問題なかった。No.7は金属材層(Ni層)が薄く
Sn層の保持力が弱くなり断面がやや変形し、Icも幾
分低下した。但し、実用上問題ない程度であった。
【0024】これに対し、比較例品のNo.11 はSn層上
にCu層を形成した為、Sn層がCu層に消費されてS
nが不足し、Icが低下した。No.12 はSn層を厚く形
成したので、熱拡散処理時間が長くなり、カーケンダル
空孔が多量に発生し、軽圧下後も残存してIcを低下さ
せた。No.13 は高融点金属材層を用いず、しかも始めか
ら 450℃の温度で熱拡散処理を施した為、Sn層が溶落
しNb3 Snフィラメントが露出してIcが著しく低下
した。No.14 は熱拡散処理をSnの融点未満の低温から
始めたので、Sn層の溶落は防止できたが、カーケンダ
ル空孔が多量に発生し、軽圧下後も残存してIcが低下
した。
【0025】
【効果】以上述べたように、本発明によれば、高融点で
Snと非反応性の金属材層が、複合素線上の溶融Snを
保持するので、Snの熱拡散処理を高温短時間で行うこ
とができる。又熱拡散処理を高温短時間で行うので、基
体中の空孔の成長も抑えられて、超電導特性に優れたN
3 Sn系化合物超電導線が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における複合線材の熱拡散処理前後の態
様を示す横断面図である。
【図2】本発明における複合線材の熱拡散処理前後の他
の態様を示す横断面図である。
【符号の説明】
1──安定化銅線 2──Nb箔 3──Nb/ブロンズ複合層 4──ブロンズシース層 5──Sn層 6──Niの金属材層 7──Nb3 Sn含有ブロンズ層 8──ブロンズシース層とSn層の合体層 9──ブロンズの金属材層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 Nb3 Sn系化合物超電導線の製造方
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導特性に優れた、
Nb3 Sn系化合物超電導線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】化合物超電導線はCu又はCu合金基体
中にNb3 Sn、Nb3 Al、V3 Ga等の超電導フィ
ラメントが多数本複合された超電導線である。この化合
物超電導線はNb3 Sn等の超電導体相が脆い為、次の
ようにして製造される。即ち、Cu−Sn系合金基体中
にNb金属の棒材を多数本埋込んで一次ビレットを組立
て、これに中間焼鈍と縮径加工を施して所定形状の線状
体とし、この線状体をCu−Sn系合金パイプ内に多数
本整列充填して二次ビレットを組立て、これに中間焼鈍
と縮径加工を施してCu−Sn系合金基体中にNbフィ
ラメントが複合された複合素線を作製する。次に、この
複合素線に 700〜800 ℃の温度で熱拡散処理を施して、
前記Nbフィラメントを前記基体及びパイプ中のSnと
反応させてNb3 Snフィラメントに形成する。
【0003】前述の製造方法では、基体又はパイプを構
成するCu−Sn系合金のSn濃度が高い程、生成する
Nb3 Sn化合物は化学量論組成に近くなり、得られる
超電導線の超電導特性が向上する。しかし、前記Cu−
Sn系合金のSn濃度を高くするとビレットの加工硬化
が大きくなり、特にSnが固溶限を超えて含有される
と、中間焼鈍を多数回入れても伸線加工時に割れが生じ
た。この為Cu−Sn系合金中のSn量は固溶限以下に
抑えざるを得ず、従ってSnの量が不足して十分に高い
超電導特性が得られなかった。又中間焼鈍はNb3 Sn
相が生成しない低い温度で施す為長時間を要し、生産性
を著しく害した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、基体及びパイ
プに、加工性の良い低Sn濃度のCu−Sn系合金を用
いて中間焼鈍の回数を減らし、Snの不足分は、複合素
線上にSnをめっきして補給する外部拡散法が開発され
た。この外部拡散法では、熱拡散処理をいきなり700℃
以上の高温度で施すとSnめっき層やSnリッチのCu
−Sn系化合物が溶落し、不足して所望の超電導特性が
得られなかった。そこで、熱拡散処理を、先ずSnの融
点未満の温度でCu−Sn系合金基体中にSn層を拡散
させ、次いで 300℃前後の温度でSnの拡散を促進し、
最後に 700℃以上の高温でNb3 Sn相を反応生成させ
るという3段階に分けて施す方法(特公昭62-62003号)
が提案された。しかし、このように熱拡散処理を低温度
から徐々に行う方法では、CuとSn原子の拡散速度が
異なることから、Cu−Sn系合金基体中にカーケンダ
ル効果による空孔(以下カーケンダル空孔と略記する)
が生じた。この空孔は超電導線の歪み感受性を大きくし
て、超電導特性を低下させ又不安定にした。このカーケ
ンダル空孔の発生防止策として、複合線材を 0.3mmφ以
下に細くしてSnの拡散時間を短縮する方法が提案され
た。この方法では、二次ビレットの組立てに際し、細い
複合線材を整列充填するのに大変な手間を要した。
【0005】この他、カーケンダル空孔の発生防止策と
して、複合素線上にSn層とCu層を順次形成する方法
が提案された(特開平1-232613号)。この方法は、外周
のCu層に溶融Sn層を保持させて高温で熱拡散処理を
行い、熱拡散処理時間を短縮するものである。しかし、
この方法ではSnがCu層に固溶して消費される為、そ
の分Sn層を厚くめっきすることになり、その結果熱拡
散処理時間が長くなって、カーケンダル空孔が生じてし
まうという前述の場合と同じ問題が起きた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような状況
の中で鋭意研究を行いなされたもので、超電導特性に優
れたNb3 Sn系化合物超電導線の製造方法を提供する
ことを目的とする。即ち、本発明は、Cu−Sn系合金
基体中にNbフィラメントを多数本配列させた複合素線
上に、Sn層、及びSnより高融点の金属材層を順次形
成して複合線材となし、この複合線材に熱拡散処理を施
してCu−Sn系合金基体中にNb3 Snフィラメント
を生成させるNb3 Sn系化合物超電導線の製造方法で
あって、前記金属材層は、Sn層のSnがNbフィラメ
ントを配列したCu−Sn系合金基体の方へ優先的に拡
散する金属材層であることを特徴とするNb3 Sn系化
合物超電導線の製造方法である。
【0007】本発明において、金属材層とは、熱拡散処
理をSnの融点(232℃) より高温で行っても、内側の溶
融Snを均一な形状に保持し且つ固溶や化合物形成によ
りSnを消費しない金属材層である。具体的には、C
r、Ni、Zn、Ag、Co、Fe、Pd、Pt、Au
等の純金属材、Ag−Pd系、Ag−Sb系、Ag−S
e系、Au−Ni系、Au−Co系、Cu−Zn系、C
u−Sn系、Zn−Sn系、Ni−Sn系、Co−Sn
系等の合金材である。前記金属材層は、Sn層を挟ん
で、Nbフィラメントを配列したCu−Sn系合金基体
と合体させたとき、Sn層のSnがNbフィラメントを
配列したCu−Sn系合金基体の方へ優先的に拡散する
金属材層である。金属材層がCu−Sn系合金等の場合
はSnを飽和状態又は飽和状態に近い量含有させてお
く。前記金属材層は、融点が高い為溶融Sn層を均一形
状に保持でき、又Sn層を消費せず、更にSn層のSn
がNbフィラメントを配列したCu−Sn系合金基体の
方へ優先的に拡散するものなので、Sn層を薄くでき
る。従って熱拡散処理時間が短縮されてカーケンダル空
孔が形成されない。本発明において、Sn層と金属材層
を複合素線上に形成するには、電気めっき、無電解めっ
き、溶融めっき等の厚さを均一に形成できる任意の方法
が適用できる。前記Sn含有合金材は、Snが拡散通過
可能な為、Sn層と交互に多層に形成することもでき
る。金属材層にCrを用いる場合、Cr層は電気絶縁性
の為、絶縁被覆層としての機能を併せ持つ。そこで、超
電導線を、エナメル被覆等の処理を省略して撚合わせる
ことも可能となる。
【0008】以下に、本発明方法の途中工程で作製され
る複合線材の熱拡散処理前後の構成を図を参照して説明
する。図1イは金属材層にNiを用いた複合線材の熱拡
散処理前の横断面図である。安定化銅線1の周囲にNb
の拡散バリヤが配され、その周囲に、Nb/ブロンズ
(Cu−Sn系合金)複合層3、ブロンズシース(パイ
プ)層4、Sn層5、Niの金属材層6が順次形成され
ている。図1ロは前記複合線材の熱拡散処理後の横断面
図である。図で7は、Nb/ブロンズ複合層3のNbフ
ィラメントがNb3 Snフィラメントに形成されたNb
3 Sn含有ブロンズ層である。このNb3 Sn含有ブロ
ンズ層7の周囲に、低Sn化したブロンズシース層4と
Sn層5の合体層8が形成され、更にその周囲にNiの
金属材層6が位置している。
【0009】図2イは、金属材層にブロンズを用いた複
合線材の熱拡散処理前の横断面図である。最外層にブロ
ンズの金属材層9が形成されている他は、図1イに示し
たものと同じである。図2ロは熱拡散処理後の横断面図
である。最外層にブロンズの金属材層9が形成されてい
る他は、図1ロに示したものと同じである。
【0010】本発明において、複合線材全体に含有され
るSn量は、16wt%以上において十分なSn量が供給さ
れて超電導特性に優れた、ストイキオメトリ(Nb−25
at%Sn)に近いNb3 Sn相が形成される。従って、
複合線材全体に含有されるSnの量は16wt%以上である
ことが望ましい。
【0011】又複合素線上に形成するSn層の厚さtと
前記金属材層の厚さTの比〔t/T〕が1未満では金属
材層が過剰に厚くなり不経済である。又10を超えては前
記金属材層の溶融Snの保持効果が低下する。従って、
複合線材のSn層の厚さtと前記金属材層の厚さTの比
〔t/T〕は1以上、10以下であることが望ましい。
【0012】本発明は、Cu−Sn系合金基体又はNb
フィラメントにTi、Ta、Ha、Ga等の元素を微量
含有させた場合にも同様の効果が得られる。又中心部に
Cu又はAl等の安定化材をNbやTa等のバリヤ層を
介在させて複合したNb3 Sn系化合物超電導線に適用
しても同様の効果が得られる。
【0013】本発明において、熱拡散処理は、通常、S
n層をCu−Sn系合金基体中に拡散させる低温処理と
前記基体中のSnをNbと反応させてNb3 Sn相を形
成する高温処理に分けて行われる。低温処理もSnの融
点以上の温度で短時間行うことにより、カーケンダル空
孔の発生を抑えることができる。もしカーケンダル空孔
が発生しても、その量は僅かであり、高温処理前に軽圧
延して消滅させることができる。
【0014】
【作用】本発明では、Nb3 Sn系化合物超電導線を外
部拡散法で製造する際に、複合素線上の溶融Snを、S
nより高融点で、Snを消費せず、Sn層のSnがNb
フィラメントを配列したCu−Sn系合金基体の方へ優
先的に拡散する金属材層で保持するので、Snの熱拡散
処理を高温短時間で行うことができる。従って基体中に
空孔が生成したりせず、超電導特性に優れたNb3 Sn
系化合物超電導線を製造できる。
【0015】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)外径45.3mmφのブロンズ(Cu−14.3wt%
Sn−0.2 wt%Ti系合金)棒材に6.0 mmφの貫通孔を
等間隔に19本あけ、この貫通孔に外径5.8 mmφのNb線
材を挿入し、ブロンズ棒材の前後端にブロンズ製蓋を電
子ビーム溶接により真空封止して被せて1次ビレットを
作製した。次にこの1次ビレットを熱間押出しし、この
押出材に伸線加工と中間焼鈍を繰返し施して、対辺長さ
1mmの六角線を作製した。この六角線を1次ビレットと
同じ組成の外径45mmφ、内径38mmφのブロンズ製パイプ
に充填して2次ビレットを作製した。前記ブロンズ製パ
イプの中心部分には安定化材となす直径20mmφの無酸素
銅棒を外周にNb箔を巻いて配置した。この2次ビレッ
トを1次ビレットと同じ方法により 0.7mmφの複合素線
に加工した。次にこの複合素線上にSn層とNi層を順
次電気めっきして複合線材を作製した。Sn層とNi層
は厚さを種々に変化させた。次にこの複合線材に1回目
の熱拡散処理を 450℃で50時間施した。熱拡散処理後、
組織観察をした。Sn層のSnがブロンズ基体内に 100
μm程度均一に拡散していた。Sn層の溶落はなかっ
た。Nbフィラメントはブロンズ基体内に直線状に等間
隔に位置しており、乱れは見られなかった。ブロンズ基
体内にカーケンダル空孔が少量観察された。次にこの線
材に断面減少率5%の伸線加工を施して、線材の外径を
整え又線材内部のカーケンダル空孔を消滅させた。次い
で2回目の熱拡散処理を 695℃で40時間施してNb3
n系化合物超電導線を製造した。
【0016】(実施例2)実施例1において、複合素線
上にSn層及びCu−10wt%Sn合金層を順次電気めっ
きして複合線材とした他は、実施例1と同じ方法により
Nb3 Sn系化合物超電導線を製造した。
【0017】(比較例1)実施例1において、複合素線
にSn層を8μm厚さに、その上にCu層を 1.5μm厚
さにめっきした他は、実施例1と同じ方法によりNb3
Sn系化合物超電導線を製造した。
【0018】(比較例2)実施例1において、複合素線
にSn層を14μm厚さに、その上にCu層を 2.5μm厚
さにめっきし、1回目の熱拡散処理を 450℃で 100時間
施した他は、実施例1と同じ方法によりNb3 Sn系化
合物超電導線を製造した。
【0019】(比較例3)実施例1において、複合素線
にSn層のみを8μm厚さに形成した他は、実施例1と
同じ方法によりNb3 Sn系化合物超電導線を製造し
た。
【0020】(比較例4)実施例1において、複合素線
にSn層のみを8μm厚さに形成して複合線材となし、
この複合線材にSnの融点未満の 200℃の温度で60時
間、次に 300℃の温度で50時間、最後に 695℃の温度で
40時間の加熱条件で熱拡散処理を施した他は、実施例1
と同じ方法によりNb3 Sn系化合物超電導線を製造し
た。
【0021】得られた各々のNb3 Sn系化合物超電導
線について、臨界電流(Ic)を測定した。又断面を観
察してSnの溶落有無、カーケンダル空孔の有無を調べ
た。結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1より明らかなように、本発明方法品
(No.1〜10) はいずれもIcが高く、Snの溶落がなく
断面形状に優れ、カーケンダル空孔は小さいか、又は少
なかった。尚、No.2はSnの平均濃度が16wt%を下回っ
た為Icが若干低下した。No.6はSn層の厚さに対して
金属材層(Ni層)がやや厚過ぎて不経済であったが、
特性上問題なかった。No.7は金属材層(Ni層)が薄く
Sn層の保持力が弱くなり断面がやや変形し、Icも幾
分低下した。但し、実用上問題ない程度であった。
【0024】これに対し、比較例品のNo.11 はSn層上
にCu層を形成した為、Sn層がCu層に消費されてS
nが不足し、Icが低下した。No.12 はSn層を厚く形
成したので、熱拡散処理時間が長くなり、カーケンダル
空孔が多量に発生し、軽圧下後も残存してIcを低下さ
せた。No.13 は高融点金属材層を用いず、しかも始めか
ら 450℃の温度で熱拡散処理を施した為、Sn層が溶落
しNb3 Snフィラメントが露出してIcが著しく低下
した。No.14 は熱拡散処理をSnの融点未満の低温から
始めたので、Sn層の溶落は防止できたが、カーケンダ
ル空孔が多量に発生し、軽圧下後も残存してIcが低下
した。
【0025】
【効果】以上に述べたように、本発明によれば、Snよ
り高融点で、Snを消費せず、しかもSn層のSnがN
bフィラメントを配列したCu−Sn系合金基体の方へ
優先的に拡散する金属材層が、複合素線上の溶融Snを
保持するので、Snの熱拡散処理を高温短時間で行うこ
とができる。又熱拡散処理を高温短時間で行うので、基
体中の空孔の成長も抑えられて、超電導特性に優れたN
3 Sn系化合物超電導線が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における複合線材の熱拡散処理前後の態
様を示す横断面図である。
【図2】本発明における複合線材の熱拡散処理前後の他
の態様を示す横断面図である。
【符号の説明】 1──安定化銅線 2──Nb箔 3──Nb/ブロンズ複合層 4──ブロンズシース層 5──Sn層 6──Niの金属材層 7──Nb3 Sn含有ブロンズ層 8──ブロンズシース層とSn層の合体層 9──ブロンズの金属材層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cu−Sn系合金基体中にNbフィラメ
    ントを多数本配列させた複合素線上に、Sn層、及びS
    nより高融点でSnと非反応性の金属材層を順次形成し
    て複合線材となし、この複合線材に熱拡散処理を施して
    Cu−Sn系合金基体中にNb3 Snフィラメントを生
    成させることを特徴とするNb3 Sn系化合物超電導線
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 Snより高融点でSnと非反応性の金属
    材層がCr、Ni、Zn、Ag、Co、Fe、Pd、P
    t、Au等の純金属材、又はAg−Pd系、Ag−Sb
    系、Ag−Se系、Au−Ni系、Au−Co系、Cu
    −Zn系、Cu−Sn系、Zn−Sn系、Ni−Sn
    系、Co−Sn系等の合金材から構成されていることを
    特徴とする請求項1記載のNb3 Sn系化合物超電導線
    の製造方法。
JP6160690A 1994-06-20 1994-06-20 Nb3 Sn系化合物超電導線の製造方法 Pending JPH087682A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007165152A (ja) * 2005-12-14 2007-06-28 Hitachi Cable Ltd Nb3Sn超電導線用芯線、Nb3Sn超電導線及びその製造方法

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