JPH0877914A - 電子管用陰極 - Google Patents

電子管用陰極

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JPH0877914A
JPH0877914A JP17410995A JP17410995A JPH0877914A JP H0877914 A JPH0877914 A JP H0877914A JP 17410995 A JP17410995 A JP 17410995A JP 17410995 A JP17410995 A JP 17410995A JP H0877914 A JPH0877914 A JP H0877914A
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浩 櫻井
Yoshiki Hayashida
芳樹 林田
Masayuki Kubo
正幸 久保
Katsuyuki Yamashita
克之 山下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カットオフ変動とエミッション特性が共に改
善された電子管用陰極を提供する。 【構成】 アルカリ土類金属としてバリウムとストロン
チウムを1:1の組成比で含み、平均直径0.7μmの
球状の結晶粒子と平均長さ5μmの樹枝状の結晶粒子が
1:1の重量比で混合されアルカリ土類金属炭酸塩の結
晶粒子に更に3重量%の酸化スカンジウムを含有させた
混合物を電子管の陰極用基体の上に被着させ、真空中で
熱分解させて前記アルカリ土類金属の酸化物を主成分と
したエミッタを生成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CRT(陰極線管)な
どに用いられる電子管用陰極に関し、特にエミッタの改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より電子管用陰極は、例えば主成分
がニッケルからなり、シリコンやマグネシウムなどの還
元性元素を含有した基体上にアルカリ土類金属炭酸塩結
晶粒子を被着させ、真空中で熱分解させてアルカリ土類
金属酸化物を主成分としたエミッタを生成させたものが
多用されている。
【0003】従来、電子管用陰極のエミッタに使用する
アルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子の形状は、図8〜図
10にその代表的なアルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真を示したが、図8に
代表される球状、図9に代表される樹枝状、図10に代
表される棒状など種々のものが知られている。これらを
陰極基体上に被着する際には、球状は球状のみ、樹枝状
は樹枝状のみの同一形状の結晶粒子の集合体が使用され
ていた(特開平3−280322)。ここで言う同一形
状とは、同一合成条件によって得られた結晶粒子の形状
のことであり、個々の結晶粒子は厳密には大きさや形状
に多少のばらつきがあるが、幾何学的に分類するとすれ
ば形状としては一種類のものを言う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のアルカリ土
類金属炭酸塩を陰極基体上に被着させ、真空中で熱分解
させてアルカリ土類酸化物を主成分としたエミッタを生
成させて、CRT用の陰極として使用した場合、通常の
動作状態においてエミッタが700℃前後の温度に保た
れるため、エミッタ全体の体積が時間経過と共に徐々に
熱収縮を起こし、この熱収縮に起因してエミッションを
遮断するカットオフ電圧が徐々に変動する(以下、カッ
トオフ変動と呼ぶ)という問題が生じる。このカットオ
フ変動の量(以下、カットオフ変動量と呼ぶ)は、前記
アルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子の形状によって異な
り、この形状が棒状より樹枝状、樹枝状より球状の方が
前記カットオフ変動量が小さい。しかし、一方でエミッ
ション特性も前記形状によって異なり、この形状が球状
より樹枝状、樹枝状より棒状の方がエミッション特性が
良好である。
【0005】例として、ニッケルを主成分とし、還元性
元素としてマグネシウムおよびアルミニウムを含む陰極
基体を用い、また前記アルカリ土類金属炭酸塩にアルカ
リ土類金属成分としてバリウムとストロンチウムを1:
1の組成比で含むアルカリ土類金属炭酸塩を用い、この
アルカリ土類金属炭酸塩にエミッション特性を向上させ
るための稀土類金属酸化物として3重量%の酸化スカン
ジウムを含有させ、前記陰極基体上に約50μm程度の
厚さで被着させ、真空中(ここでは10-6Torr以上
の高真空)で約930℃で熱分解させてアルカリ土類酸
化物を主成分としたエミッタを生成させて、CRTの陰
極として使用した場合の動作時間に対する、カットオフ
変動の様子を図11に、エミッション特性の指標の一つ
である飽和電流残存率を図12に示す。この飽和電流残
存率とは、飽和電流の初期値を1として動作時間に対す
る飽和電流の値を正規化(飽和電流の初期値を1とした
場合の動作時間に対する飽和電流の値の割合)したもの
で、この飽和電流残存率が大きいほどエミッション特性
が良好であるといえる。図11および図12における動
作条件は、陰極を加熱するヒータの電圧を通常使用条件
の一割増の電圧で動作させて陰極の特性の経時変化を加
速する、いわゆる加速条件下での試験結果である。
【0006】図11および図12中のa、b、cはそれ
ぞれ図8、図9、図10に例を挙げた平均直径0.7μ
mの球状、平均長さ5μmの樹枝状、および平均長さ7
μmの棒状の結晶粒子をアルカリ土類金属炭酸塩として
用いた場合の結果である。尚、樹枝状結晶に於いて長さ
とは、幹の端からその反対側の最も遠い枝の先端までの
長さを言う。
【0007】これらの図から、カットオフ変動量が比較
的小さいものはエミッション特性があまり良くなく、エ
ミッション特性が比較的良いものはカットオフ変動量が
大きいという傾向が読み取られ、単に前記結晶粒子の形
状を工夫するだけでは、カットオフ変動とエミッション
特性の両者を同時に改善することは困難であることがわ
かる。
【0008】本発明は、前記従来例の問題点を解決し、
電子管用陰極のカットオフ変動とエミッション特性の両
者が共に改善された電子管用陰極を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の電子管用陰極は、電子管の陰極用の基体上
に、アルカリ土類金属として少なくともバリウムを含む
アルカリ土類金属炭酸塩を被着させ、真空中で熱分解さ
せてアルカリ土類金属酸化物を主成分としたエミッタを
生成させてなる電子管用陰極において、前記アルカリ土
類金属炭酸塩として2種類以上の異なる形状のアルカリ
土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物を用いたものである。
【0010】また、前記本発明の電子管用陰極において
は、アルカリ土類金属炭酸塩が、球状と枝を有する樹枝
状の2種類のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物
であることが好ましい。
【0011】また、前記本発明の電子管用陰極において
は、アルカリ土類金属炭酸塩が、球状と棒状の2種類の
アルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物であることが
好ましい。
【0012】更にまた、前記本発明の電子管用陰極にお
いては、アルカリ土類金属炭酸塩が、球状と樹枝状と棒
状の3種類のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物
であることが好ましい。
【0013】
【作用】かかる構成により、アルカリ土類金属炭酸塩結
晶粒子は、1種類の形状の結晶粒子を用いた場合に比べ
て、形状の相違により一方の結晶粒子が他方の結晶粒子
間の隙間に入り込んでエミッタ全体を崩れにくくするこ
とによって、エミッタの熱収縮の量を抑えているためカ
ットオフ変動とエミッション特性の両者が同時に改善さ
れた電子管用陰極が提供できるものと考えられる。
【0014】また、本発明の電子管用陰極において、ア
ルカリ土類金属炭酸塩が、球状と枝を有する樹枝状の2
種類のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物である
本発明の好ましい態様とすることにより、球状の結晶粒
子が樹枝状の結晶粒子同志のの隙間に入り込んでエミッ
タ全体を崩れにくくすることによって、エミッタの熱収
縮の量を抑えているためカットオフ変動とエミッション
特性の両者が同時に改善された電子管用陰極が提供でき
るものと考えられる。
【0015】また、本発明の電子管用陰極において、ア
ルカリ土類金属炭酸塩が、球状と棒状の2種類のアルカ
リ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物である本発明の好ま
しい態様とすることにより、球状の結晶粒子が棒状の結
晶粒子同志の隙間に入り込んで同様にエミッタ全体を崩
れにくくすることによって、エミッタの熱収縮の量を抑
えているためカットオフ変動とエミッション特性の両者
が同時に改善された電子管用陰極が提供できるものと考
えられる。
【0016】また、本発明の電子管用陰極において、ア
ルカリ土類金属炭酸塩が、球状と樹枝状と棒状の3種類
のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物である本発
明の好ましい態様とすることにより、前記3種類の形状
の結晶粒子が存在するので、これらの結晶粒子が適宜結
晶粒子間の隙間がより少なくなる様に混合され、エミッ
タ全体をより密度の高いものにすると推定され、エミッ
タ全体をより崩れにくくすることによって、エミッタの
熱収縮の量が一層少なくできるためカットオフ変動とエ
ミッション特性の両者が同時により一層改善された電子
管用陰極が提供できるものと考えられる。
【0017】
【実施例】本発明の電子管用陰極は、電子管の陰極用の
基体上に、アルカリ土類金属として少なくともバリウム
を含むアルカリ土類金属炭酸塩を被着させ、真空中で熱
分解させてアルカリ土類金属酸化物を主成分としたエミ
ッタを生成させてなる電子管用陰極において、前記アル
カリ土類金属炭酸塩として2種類以上の異なる形状のア
ルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物を用いたもので
ある。
【0018】本発明で用いられるバリウムを含むアルカ
リ土類金属炭酸塩としては特に限定するものではないが
アルカリ土類金属成分としてバリウムを40mol%以
上含むアルカリ土類金属炭酸塩が好ましく用いられる。
アルカリ土類金属成分としてバリウムと共にストロンチ
ウムやカルシウムなど他のアルカリ土類金属成分を含む
アルカリ土類金属炭酸塩も好ましく用い得る。特にバリ
ウムとストロンチウムを含有するアルカリ土類金属炭酸
塩は好ましく用いられ、例えば、炭酸バリウム・ストロ
ンチウムなどの二成分系の炭酸塩や炭酸バリウム・スト
ロンチウム・カルシウムなどの三成分系の炭酸塩なども
好適に用いられている。この場合特に限定するものでは
ないがアルカリ土類金属成分としてバリウムを40mo
l%以上、ストロンチウムを30mol%以上含むアル
カリ土類金属炭酸塩が好ましい。
【0019】本発明においては、前記アルカリ土類金属
炭酸塩として2種類以上の異なる形状のアルカリ土類金
属炭酸塩結晶粒子の混合物を用いる。異なる形状とはマ
クロ的に見て幾何学的に異なった系統に分類される形状
のことであり、例えば、球状の結晶粒子の場合を例にし
て説明するとすれば、結晶粒子の大きさや形状の多少の
バラツキがあってもいずれもほぼ球状の結晶粒子の場合
には異なる形状とは言わない。一般に同一合成条件で得
られたアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子は同一の形状に
なり、したがって、2種類以上の異なる形状のアルカリ
土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物を得るには、2種類以
上の異なる合成条件でそれぞれ得られた異なった形状の
アルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子を混合して用いる。
【0020】特に限定するものではないが、例えば球状
のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子は、アルカリ土類金
属硝酸塩水溶液に沈殿剤として炭酸ナトリウム水溶液を
加えアルカリ土類金属炭酸塩の結晶を沈殿させ、瀘過し
た後乾燥することによって得られる。また棒状のアルカ
リ土類金属炭酸塩結晶粒子を得るには上記合成方法にお
いて、沈殿剤として炭酸ナトリウムの代わりに炭酸水素
アンモニウムを用いることにより得ることができる。ま
た樹枝状のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子を得るには
上記合成方法において沈殿剤として炭酸ナトリウムの代
わりに炭酸アンモニウムを用いることにより得ることが
できる。
【0021】異なった形状のアルカリ土類金属炭酸塩結
晶粒子どうしを混合するには、例えば異なった2種類以
上の形状の結晶粒子を撹拌機で機械的に混合することに
より得られる。また、アルカリ土類金属炭酸塩に、例え
ば酸化ユーロピウム、酸化イットリウム、酸化ディスプ
ロシウム、酸化スカンジウム、酸化ランタン、酸化ガド
リニウムなどの稀土類金属酸化物を20重量%以下の範
囲で添加しておくと、本発明の陰極のエミッション特性
を更に向上させることができ好ましい。
【0022】異なった2種類以上の形状のアルカリ土類
金属炭酸塩結晶粒子の混合割合は特に限定されるもので
はなく、僅かでも他の形状の結晶粒子が混合されていれ
ば1種類の形状の結晶粒子のみの場合に比べてカットオ
フ変動とエミッション特性の改善がみられるが、好まし
くは各形状の結晶粒子がそれぞれ全体の重量比にして
0.2程度以上の割合で含有されていることが望まし
い。
【0023】電子管の陰極用の基体としては通常用いら
れている基体が使用でき、特に限定されるものではな
い。通常は主成分がニッケルからなり、シリコンやマグ
ネシウムなどの還元性元素を含有した基体が用いられ、
還元性元素としては、特に限定するものではないが、シ
リコン、マグネシウム、アルミニウム、タリウムなどの
少なくとも1種以上が用いられる。還元性元素の含有量
は特に限定するものではないが通常基体の重量に対して
合計約0.05〜0.8重量%である。
【0024】電子管の陰極用の基体上に、前記アルカリ
土類金属炭酸塩の結晶粒子の混合物を被着させるには、
例えば前記アルカリ土類金属炭酸塩を溶解せず且つ好ま
しくは比較的沸点の低い有機媒体に前記炭酸塩の結晶粒
子の混合物を分散させて分散液とし、この分散液をスプ
レーガンなどで陰極用基体に吹き付けて乾燥させるなど
の方法が通常採用されているが特にこの方法のみに限定
されるものではない。かかる分散液用の有機媒体として
は例えば硝酸エチル、酢酸エチル、シュウ酸ジエチルな
どが代表的なものとして挙げられるが特にこれらに限定
されるものではなく、炭酸塩を溶解したり、炭酸塩と反
応したりしない比較的沸点の低い有機溶媒であれば他の
ものでも良い。
【0025】電子管の陰極用の基体上に被着される前記
アルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子の混合物の厚さは、
電子管の種類などによって異なるので一概に規定できな
いが、例えば約30〜80μmである。
【0026】この様にして電子管の陰極用の基体上に被
着された前記アルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子は真空
中で熱分解させてアルカリ土類金属酸化物とされる。含
まれているアルカリ土類金属の種類にもよるが、一般に
10-6Torr以上の高真空下で900℃以上の高温で
熱分解される。しかし必ずしもこの条件に限定されるも
のではなく空気中の不純物が余り入り込まないようにし
て酸化物が生成する条件であれば他の条件を採用しても
良い。
【0027】本発明の第一の実施例として、アルカリ土
類金属炭酸塩がアルカリ土類金属としてバリウムとスト
ロンチウムを1:1の組成比で含み、かつ図8に示した
平均直径0.7μmの球状の結晶粒子と図9に示した平
均長径5μmの樹枝状の結晶粒子が1:1の重量比で混
合されたものについて説明する。
【0028】上記球状のアルカリ土類金属炭酸塩の結晶
粒子は、まず硝酸バリウムと硝酸ストロンチウムをモル
比1:1の割合で水に溶解し、これに沈殿剤として炭酸
ナトリウム水溶液を加え炭酸バリウム・ストロンチウム
の結晶を沈殿させ、瀘過した後乾燥することによって得
た。また、上記樹枝状のアルカリ土類金属炭酸塩の結晶
粒子は、沈殿剤として炭酸ナトリウム水溶液の代わりに
炭酸アンモニウム水溶液を用いることにより、他の条件
は前記方法と同様にして製造した。こうして得られた球
状と樹枝状のアルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子に更に
3重量%の酸化スカンジウムを含有させ混合物とし、こ
れを硝酸エチルに分散させ、この分散液をスプレーガン
で陰極基体上に約50μmの厚さに被着させ、10-6
orr以上の真空中で930℃で熱分解させてアルカリ
土類酸化物を主成分としたエミッタを生成させた。尚こ
こで陰極基体としては、マグネシウムおよびアルミニウ
ムを還元性元素として含有させたニッケルを用いた。
【0029】かくして得られた陰極をCRTの陰極とし
て使用した場合の動作時間に対する、カットオフ変動の
様子を図1に、エミッション特性の指標の一つである飽
和電流残存率を図2に示す。両図とも、動作条件は加速
条件下での試験とした。
【0030】図1および図2中のAで示す実線は本実施
例であり、a,bで示す点線は図11および図12で説
明した従来例の一部を比較のために記したものであり、
aは前記アルカリ土類金属炭酸塩として図8に示した平
均直径0.7μmの球状の結晶粒子のみを用いた場合、
bは前記アルカリ土類金属炭酸塩として図9に示した平
均長径5μmの樹枝状の結晶粒子のみを用いた場合であ
る。
【0031】図1を見ると、本実施例による球状の結晶
粒子と樹枝状の結晶粒子とを混合したAのカットオフ変
動量は、従来技術の樹枝状の結晶粒子のみを用いた場合
のbのカットオフ変動量より小さく、球状の結晶粒子の
みを用いた場合のaのカットオフ変動量とほぼ同等かや
や小さい値を示すことがわかる。すなわち、カットオフ
変動に関するAの特性は、他のa、bと同等か、それよ
りも優れていると言える。
【0032】一方、図2を見ると、本実施例による球状
の結晶粒子と樹枝状の結晶粒子とを混合して用いた場合
のAの飽和電流残存率は、従来技術の球状のみのaの飽
和電流残存率より大きく、樹枝状のみのbの飽和電流残
存率をやや上回る値を示すことがわかる。すなわち、A
のエミッション特性は、他のa、bよりも優れていると
言える。したがって、この実施例に示す本発明によっ
て、カットオフ変動とエミッション特性の両者を同時に
改善できることがわかる。
【0033】前記第一の実施例では、球状の結晶粒子の
平均直径が0.7μmであり、樹枝状の結晶粒子の平均
長さが5μmであり、球状の結晶粒子と樹枝状の結晶粒
子との混合比が重量比で1:1であったが、これらの数
値は代表的なものであり、これ以外にもさまざまな値の
組合せが可能であり、その実験結果を図3にまとめて示
す。
【0034】図3の横軸は球状の結晶粒子の樹枝状の結
晶粒子に対する重量比での比率Rを示し、縦軸は加速条
件で2000時間動作後のカットオフ変動量を示す。ま
た、球状の結晶粒子の平均直径に対する樹枝状の結晶粒
子の平均長さの比率をrで表し、図3中の3本の曲線は
上から順に、r=14.3、r=7.1、r=4.3の
場合を示している。この図によると、Rが0.5(混合
比1:1)付近においてカットオフ変動量が最小となる
傾向が見られ、この傾向はrが大きいほど強い。この原
因は、球状の結晶粒子が樹枝状の結晶粒子の隙間に入り
込んでエミッタ全体を崩れにくくすることによって、エ
ミッタの熱収縮の量を抑えているためと考えられる。い
ずれにしても、樹枝状の結晶粒子のみを用いた場合に対
しては、わずかでも球状の結晶粒子を混合することによ
ってカットオフ変動は改善される方向にある。また、特
にRが0.2〜0.8の範囲がカットオフ変動の改善が
優れている。このときエミッション特性は、混合比にか
かわらず常に飽和電流残存率の高い方の結晶粒子の特性
に近い特性が現れるが、その機構はまだ解明できていな
い。
【0035】本発明の第二の実施例として、アルカリ土
類金属炭酸塩がアルカリ土類金属としてバリウムとスト
ロンチウムを1:1の組成比で含み、かつ図8に示した
平均直径0.7μmの球状の結晶粒子と図10に示した
平均長さ7μmの棒状の結晶粒子が1:1の重量比で混
合されたものについて説明する。
【0036】棒状のアルカリ土類金属炭酸塩の結晶粒子
は、硝酸バリウムと硝酸ストロンチウムをモル比1:1
の割合で水に溶解し、これに沈殿剤として炭酸水素アン
モニウム水溶液を加え炭酸バリウム・ストロンチウムの
結晶を沈殿させ、瀘過した後乾燥することによって得
た。
【0037】その他の条件は第一の実施例と同様であ
り、以下同様にしてこのアルカリ土類金属炭酸塩の結晶
粒子混合物に3重量%の酸化スカンジウムを含有させ、
陰極基体上に被着させ、真空中で熱分解させてアルカリ
土類金属酸化物を主成分としたエミッタを生成させ、C
RTの陰極として使用した場合の動作時間に対する、カ
ットオフ変動の様子を図4に、飽和電流残存率を図5に
示す。動作条件は、第一の実施例と同様に加速条件とし
た。
【0038】図4および図5中のBで示す実線は本実施
例であり、a,cで示す点線は図11および図12で説
明した従来例の一部を比較のために記したものであり、
aは前記アルカリ土類金属炭酸塩として図8に示した平
均直径0.7μmの球状の結晶粒子のみを用いた場合、
cは前記アルカリ土類金属炭酸塩として図10に示した
平均長さ7μmの棒状の結晶粒子のみを用いた場合であ
る。
【0039】図4を見ると、本実施例による球状の結晶
粒子と棒状の結晶粒子とを混合して用いた場合のBのカ
ットオフ変動量は、従来技術の棒状の結晶粒子のみを用
いた場合のcのカットオフ変動量より小さく、球状の結
晶粒子のみを用いた場合のaのカットオフ変動量とほぼ
同等かやや小さい値を示すことがわかる。すなわち、カ
ットオフ変動に関するBの特性は、他のa、cと同等か
それよりも優れていると言える。
【0040】一方、図5を見ると、本実施例による球状
の結晶粒子と棒状の結晶粒子とを混合して用いた場合の
Bの飽和電流残存率は、従来技術の球状の結晶粒子のみ
を用いた場合のaの飽和電流残存率より大きく、棒状の
結晶粒子のみを用いた場合のcの飽和電流残存率をやや
上回る値を示すことがわかる。すなわち、Bのエミッシ
ョン特性は、他のa、cよりも優れていると言える。し
たがって、この実施例に示す本発明によって、第一の実
施例と同様にカットオフ変動とエミッション特性の両者
を同時に改善できることがわかる。
【0041】本発明の第三の実施例として、アルカリ土
類金属炭酸塩がアルカリ土類金属としてバリウムとスト
ロンチウムを1:1の組成比で含み、かつ図8に示した
平均直径0.7μmの球状の結晶粒子と図9に示した平
均長さ5μmの樹枝状の結晶粒子と図10に示した平均
長さ7μmの棒状の結晶粒子が1:1:1の重量比で混
合されたものについて説明する。各形状のアルカリ土類
金属炭酸塩の結晶粒子は、それぞれ先の実施例と同様の
方法で合成したものであり、その他の条件も先の実施例
と同様であり、以下同様にして、このアルカリ土類金属
炭酸塩の結晶粒子混合物に3重量%の酸化スカンジウム
を含有させ、陰極基体上に被着させ、真空中で熱分解さ
せてアルカリ土類金属酸化物を主成分としたエミッタを
生成させ、CRTの陰極として使用した場合の動作時間
に対する、カットオフ変動の様子を図6に、飽和電流残
存率を図7に示す。動作条件は、第一および第二の実施
例と同様に加速条件とした。
【0042】図6および図7中のCで示す実線は本実施
例であり、a,b,cで示す点線は図11および図12
で説明した従来例を比較のために記したものであり、a
は前記アルカリ土類金属炭酸塩として図8に示した平均
直径0.7μmの球状の結晶粒子のみを用いた場合、b
は前記アルカリ土類金属炭酸塩として図9に示した平均
長さ5μmの樹枝状の結晶粒子のみを用いた場合、cは
前記アルカリ土類金属炭酸塩として図10に示した平均
長さ7μmの棒状の結晶粒子のみを用いた場合である。
【0043】図6を見ると、本実施例による球状の結晶
粒子と樹枝状の結晶粒子と棒状の結晶粒子とを混合して
用いた場合Cのカットオフ変動量は、従来技術の樹枝状
の結晶粒子のみを用いた場合のbや棒状の結晶粒子のみ
を用いた場合のcのカットオフ変動量より小さく、球状
の結晶粒子のみを用いた場合のaのカットオフ変動量と
ほぼ同等かやや小さい値を示すことがわかる。すなわ
ち、カットオフ変動に関するCの特性は、他のa、b、
cと同等かそれより優れていると言える。
【0044】一方、図7を見ると、本実施例による球状
と樹枝状と棒状の結晶粒子とを混合したCの飽和電流残
存率は、従来技術の球状の結晶粒子のみを用いた場合の
aや樹枝状の結晶粒子のみを用いた場合のbの飽和電流
残存率より大きく、棒状の結晶粒子のみを用いた場合の
cの飽和電流残存率をやや上回る値を示し、さらに第一
および第二の実施例の飽和電流残存率と比較しても大き
いことがわかる。すなわち、Cのエミッション特性は、
他のa、b、cよりも優れているだけでなく、既に述べ
た第一および第二の実地例よりも優れていると言える。
したがって、この実施例に示す本発明によって、第一や
第二の実施例と同様かあるいはそれ以上の効果をもって
カットオフ変動とエミッション特性の両者を同時に改善
できることがわかる。球状と樹枝状と棒状の結晶粒子を
混合する場合の混合比は特に限定されるものではないが
各形状の結晶粒子がそれぞれ20重量%以上の割合で含
まれていることがより効果的である。
【0045】なお、以上に説明した実施例は代表的なも
のであり、結晶粒子の平均長径や形状については、上記
のもの以外にも適用できる。上記実施例では、アルカリ
土類金属炭酸塩がアルカリ土類金属としてバリウムとス
トロンチウムを1:1の組成比で含むものについて述べ
たが、前記組成比を1:1以外の比にしたり前記アルカ
リ土類金属としてバリウムとストロンチウム以外にカル
シウムを含ませても、本発明の効果に変わりはない。上
記実施例では、アルカリ土類金属炭酸塩に3重量%の酸
化スカンジウムを含有させて用いたが、この含有率は3
重量%以外でも良く、例えば含有率ゼロにした場合や酸
化スカンジウムの代わりに例えば酸化イットリウムや酸
化ディスプロシウムを用いても良い。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、アルカリ土類金属炭酸塩が2種類以上の異なる形状
の結晶粒子の混合物を用いることにより、カットオフ変
動とエミッション特性の両者を同時に改善された電子管
用陰極が提供できる。
【0047】また、本発明の電子管用陰極において、ア
ルカリ土類金属炭酸塩が、球状と樹枝状と棒状の3種類
のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物である本発
明の好ましい態様とすることにより、カットオフ変動と
エミッション特性の両者が同時により一層改善された電
子管用陰極が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例における、CRTの動作
時間とカットオフ変動量との関係を表す図。
【図2】本発明の第一の実施例における、CRTの動作
時間と飽和電流残存率との関係を表す図。
【図3】本発明の一実施例における、アルカリ土類金属
炭酸塩の球状と樹枝状の結晶粒子の混合率とカットオフ
変動量との関係を表す図。
【図4】本発明の第二の実施例における、CRTの動作
時間とカットオフ変動量との関係を表す図。
【図5】本発明の第二の実施例における、CRTの動作
時間と飽和電流残存率との関係を表す図。
【図6】本発明の第三の実施例における、CRTの動作
時間とカットオフ変動量との関係を表す図。
【図7】本発明の第三の実施例における、CRTの動作
時間と飽和電流残存率との関係を表す図。
【図8】従来のアルカリ土類金属炭酸塩の球状の結晶粒
子の走査型電子顕微鏡写真。
【図9】従来のアルカリ土類金属炭酸塩の樹枝状の結晶
粒子の走査型電子顕微鏡写真。
【図10】従来のアルカリ土類金属炭酸塩の棒状の結晶
粒子の走査型電子顕微鏡写真。
【図11】従来の各形状のアルカリ土類金属炭酸塩の結
晶粒子を用いた場合の、CRTの動作時間とカットオフ
変動量との関係を表す図。
【図12】従来の各形状のアルカリ土類金属炭酸塩の結
晶粒子を用いた場合のCRTの動作時間と飽和電流残存
率との関係を表す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 克之 大阪府高槻市幸町1番1号 松下電子工業 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子管の陰極用の基体上に、アルカリ土
    類金属として少なくともバリウムを含むアルカリ土類金
    属炭酸塩を被着させ、真空中で熱分解させてアルカリ土
    類金属酸化物を主成分としたエミッタを生成させてなる
    電子管用陰極において、前記アルカリ土類金属炭酸塩と
    して2種類以上の異なる形状のアルカリ土類金属炭酸塩
    結晶粒子の混合物を用いたことを特徴をする電子管用陰
    極。
  2. 【請求項2】 アルカリ土類金属炭酸塩が、球状と枝を
    有する樹枝状の2種類のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒
    子の混合物である請求項1記載の電子管用陰極。
  3. 【請求項3】 アルカリ土類金属炭酸塩が、球状と棒状
    の2種類のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の混合物で
    ある請求項1記載の電子管用陰極。
  4. 【請求項4】 アルカリ土類金属炭酸塩が、球状と樹枝
    状と棒状の3種類のアルカリ土類金属炭酸塩結晶粒子の
    混合物である請求項1記載の電子管用陰極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999059178A1 (en) * 1998-05-14 1999-11-18 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Cathode-ray tube having oxide cathode and method for producing the same

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