JPH0892786A - 抵抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
抵抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法Info
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- JPH0892786A JPH0892786A JP16508595A JP16508595A JPH0892786A JP H0892786 A JPH0892786 A JP H0892786A JP 16508595 A JP16508595 A JP 16508595A JP 16508595 A JP16508595 A JP 16508595A JP H0892786 A JPH0892786 A JP H0892786A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は、溶接抵抗を大きくすることができ、
電極との溶着や経時劣化を極力抑えることにより溶接電
流の低減化および連続溶接打点時の電極の長寿命化を図
ることができる抵抗スポット溶接性に優れ、しかも成形
性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法を提
供することを目的とする。 【構成】アルミニウムもしくはアルミニウム合金からな
る基板と、前記基板の少なくとも片面に形成された厚さ
1〜150nmのバリア型陽極酸化皮膜とを具備すること
を特徴としている。また、アルミニウムもしくはアルミ
ニウム合金からなる基板をpHが4.5〜9.5である
電解液中に浸漬して陽極酸化することにより、前記基板
の少なくとも片面に厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸
化皮膜を形成することを特徴としている。
電極との溶着や経時劣化を極力抑えることにより溶接電
流の低減化および連続溶接打点時の電極の長寿命化を図
ることができる抵抗スポット溶接性に優れ、しかも成形
性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法を提
供することを目的とする。 【構成】アルミニウムもしくはアルミニウム合金からな
る基板と、前記基板の少なくとも片面に形成された厚さ
1〜150nmのバリア型陽極酸化皮膜とを具備すること
を特徴としている。また、アルミニウムもしくはアルミ
ニウム合金からなる基板をpHが4.5〜9.5である
電解液中に浸漬して陽極酸化することにより、前記基板
の少なくとも片面に厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸
化皮膜を形成することを特徴としている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接構造体、特に抵抗
スポット溶接される構造体や、自動車構造用部材、特に
自動車ボディーに用いられるアルミニウム板またはアル
ミニウム合金板(以下、アルミニウム合金板と省略す
る)およびその製造方法に関する。
スポット溶接される構造体や、自動車構造用部材、特に
自動車ボディーに用いられるアルミニウム板またはアル
ミニウム合金板(以下、アルミニウム合金板と省略す
る)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】抵抗スポット溶接は、溶接対象である板
状体を重ね合わせ、これを一対の電極間に配置し、板状
体に圧力を加えながら電極に通電することにより、部分
的に抵抗発熱を起こさせて溶融して、溶接ナゲットを形
成して接合するものである。
状体を重ね合わせ、これを一対の電極間に配置し、板状
体に圧力を加えながら電極に通電することにより、部分
的に抵抗発熱を起こさせて溶融して、溶接ナゲットを形
成して接合するものである。
【0003】しかしながら、抵抗スポット溶接の溶接対
象としてアルミニウム合金板を用いる場合、アルミニウ
ム合金は電気伝導率および熱伝導率が高く、固有抵抗が
小さいために、充分な接合強度を有する溶接ナゲットを
形成することができない。また、抵抗スポット溶接の際
に、短時間で電極に大電流を通電するので、大型の溶接
機が必要となりコスト高となる問題がある。このため、
アルミニウム合金板の抵抗スポット溶接性を向上させる
ために、まずアルミニウム合金板の固有抵抗値を増加さ
せる必要がある。
象としてアルミニウム合金板を用いる場合、アルミニウ
ム合金は電気伝導率および熱伝導率が高く、固有抵抗が
小さいために、充分な接合強度を有する溶接ナゲットを
形成することができない。また、抵抗スポット溶接の際
に、短時間で電極に大電流を通電するので、大型の溶接
機が必要となりコスト高となる問題がある。このため、
アルミニウム合金板の抵抗スポット溶接性を向上させる
ために、まずアルミニウム合金板の固有抵抗値を増加さ
せる必要がある。
【0004】アルミニウム合金板の固有抵抗値を増加さ
せる手段としては、例えば合金成分としてFe,Cu,
Mn等を微量添加する方法が特開昭61−550号公報
に開示されている。しかしながら、この方法でも溶接部
の発熱を促進する程度にまで固有抵抗を大きくすること
はできない。また、固有抵抗を大きくするためにこれら
の合金成分の添加量を多くすると、アルミニウム合金板
の諸性能を変えるだけでなく、溶接の際に電極とアルミ
ニウム合金板との間で溶着が起こり易くなり、いわゆる
ピックアップ現象により連続溶接打点においてアルミニ
ウム合金板間の接合強度が次第に低下する。さらに、ア
ルミニウム合金板との間の溶着により電極寿命が短くな
る。
せる手段としては、例えば合金成分としてFe,Cu,
Mn等を微量添加する方法が特開昭61−550号公報
に開示されている。しかしながら、この方法でも溶接部
の発熱を促進する程度にまで固有抵抗を大きくすること
はできない。また、固有抵抗を大きくするためにこれら
の合金成分の添加量を多くすると、アルミニウム合金板
の諸性能を変えるだけでなく、溶接の際に電極とアルミ
ニウム合金板との間で溶着が起こり易くなり、いわゆる
ピックアップ現象により連続溶接打点においてアルミニ
ウム合金板間の接合強度が次第に低下する。さらに、ア
ルミニウム合金板との間の溶着により電極寿命が短くな
る。
【0005】一方、アルミニウム合金板の表面に抵抗体
の皮膜を形成することにより、重ね合わされるべき材料
同士の接触面の電気抵抗値を高めて溶接部の発熱、溶融
を促進する方法がある。例えば、特開昭63−1059
98号公報には、封孔処理を施さない陽極酸化皮膜を形
成してなるアルミニウム合金展伸材が開示されている。
このアルミニウム合金展伸材は、陽極酸化皮膜の形成が
比較的容易であり、また陽極酸化皮膜の抵抗値もある程
度変えることができるので、溶接部の抵抗を高くするこ
とができ、通電量を低減させることができる材料であ
る。
の皮膜を形成することにより、重ね合わされるべき材料
同士の接触面の電気抵抗値を高めて溶接部の発熱、溶融
を促進する方法がある。例えば、特開昭63−1059
98号公報には、封孔処理を施さない陽極酸化皮膜を形
成してなるアルミニウム合金展伸材が開示されている。
このアルミニウム合金展伸材は、陽極酸化皮膜の形成が
比較的容易であり、また陽極酸化皮膜の抵抗値もある程
度変えることができるので、溶接部の抵抗を高くするこ
とができ、通電量を低減させることができる材料であ
る。
【0006】しかしながら、この陽極酸化皮膜はいわゆ
る多孔質型であり、多数の細孔を有するため、抵抗体と
しての単位厚さ当りの抵抗値が低い。このため、所望の
抵抗値を得るためには、膜厚を大きくしなければなら
ず、生産性および経済性に劣ることとなる。また、この
陽極酸化皮膜は封孔処理が施されていないので、吸湿に
より特性が変化する恐れがある。特に、陽極酸化皮膜を
形成した後溶接されるまでの時間が長い場合には、陽極
酸化皮膜に自然封孔や白錆等の発生による腐蝕が起こ
り、抵抗値が変化してしまい、溶接時に安定なナゲット
を形成することができなくなる。さらに、連続溶接打点
により電極寿命を短くする傾向がある。
る多孔質型であり、多数の細孔を有するため、抵抗体と
しての単位厚さ当りの抵抗値が低い。このため、所望の
抵抗値を得るためには、膜厚を大きくしなければなら
ず、生産性および経済性に劣ることとなる。また、この
陽極酸化皮膜は封孔処理が施されていないので、吸湿に
より特性が変化する恐れがある。特に、陽極酸化皮膜を
形成した後溶接されるまでの時間が長い場合には、陽極
酸化皮膜に自然封孔や白錆等の発生による腐蝕が起こ
り、抵抗値が変化してしまい、溶接時に安定なナゲット
を形成することができなくなる。さらに、連続溶接打点
により電極寿命を短くする傾向がある。
【0007】ところで、自動車の燃費向上、高性能化を
目的とした自動車ボディー重量の低減が望まれるなか、
従来自動車ボディーを構成している鉄鋼材料に代わり、
比重が鉄の1/3であるアルミニウム材料の使用が増え
つつある。
目的とした自動車ボディー重量の低減が望まれるなか、
従来自動車ボディーを構成している鉄鋼材料に代わり、
比重が鉄の1/3であるアルミニウム材料の使用が増え
つつある。
【0008】しかしながら、アルミニウム合金板の成形
性は鋼板の成形性に比べて極めて悪いため、自動車ボデ
ィーパネルへのアルミニウム合金板の適用としては、フ
ードのような軽加工で得られるものが主であり、複雑で
強加工を行う必要があるドア材等には困難である。
性は鋼板の成形性に比べて極めて悪いため、自動車ボデ
ィーパネルへのアルミニウム合金板の適用としては、フ
ードのような軽加工で得られるものが主であり、複雑で
強加工を行う必要があるドア材等には困難である。
【0009】アルミニウム合金板の成形性が悪いのは、
素材であるアルミニウム合金板自体の成形性が悪いこと
に加えて、アルミニウムの融点が低く、軟質であるた
め、プレス金型に凝着し易く、摺動性に劣るためである
と考えられる。
素材であるアルミニウム合金板自体の成形性が悪いこと
に加えて、アルミニウムの融点が低く、軟質であるた
め、プレス金型に凝着し易く、摺動性に劣るためである
と考えられる。
【0010】このようなアルミニウム合金板の成形性を
改善する方法として、特開昭61−130452号公報
には、アルミニウム合金の合金成分を調整することによ
り、素材自身の成形性を向上させる方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法では、高価である高純度の
アルミニウム地金を使用する必要があり、製品コストが
非常に高くなるという問題がある。
改善する方法として、特開昭61−130452号公報
には、アルミニウム合金の合金成分を調整することによ
り、素材自身の成形性を向上させる方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法では、高価である高純度の
アルミニウム地金を使用する必要があり、製品コストが
非常に高くなるという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる点に鑑
みてなされたものであり、溶接抵抗を大きくすることが
でき、電極との溶着や経時劣化を極力抑えることにより
溶接電流の低減化および連続溶接打点時の電極の長寿命
化を図ることができる抵抗スポット溶接性に優れ、しか
も成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方
法を提供することを目的とする。
みてなされたものであり、溶接抵抗を大きくすることが
でき、電極との溶着や経時劣化を極力抑えることにより
溶接電流の低減化および連続溶接打点時の電極の長寿命
化を図ることができる抵抗スポット溶接性に優れ、しか
も成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウム合金板の表面に単一層状構造を有するバリア型陽極
酸化皮膜を形成して、その表面接触抵抗を高めて溶接時
に大きな抵抗を得ることにより、安定な接合強度を有す
るナゲット接合が可能となり、しかも溶接電流の低減化
が図れることを見出だし本発明をするに至った。
ウム合金板の表面に単一層状構造を有するバリア型陽極
酸化皮膜を形成して、その表面接触抵抗を高めて溶接時
に大きな抵抗を得ることにより、安定な接合強度を有す
るナゲット接合が可能となり、しかも溶接電流の低減化
が図れることを見出だし本発明をするに至った。
【0013】また、本発明者らは、アルミニウム合金板
の表面にバリア型陽極酸化皮膜を形成して、金型とアル
ミニウム素材との金属接触を防止して凝着を抑制し、さ
らに摺動性を向上させることにより、アルミニウム素材
自身の成形性が改善され、アルミニウム合金板表面の摺
動性が向上して、結果として成形性が向上することを見
出だし本発明をするに至った。
の表面にバリア型陽極酸化皮膜を形成して、金型とアル
ミニウム素材との金属接触を防止して凝着を抑制し、さ
らに摺動性を向上させることにより、アルミニウム素材
自身の成形性が改善され、アルミニウム合金板表面の摺
動性が向上して、結果として成形性が向上することを見
出だし本発明をするに至った。
【0014】すなわち、本発明の第1の発明は、アルミ
ニウムもしくはアルミニウム合金からなる基板と、前記
基板の少なくとも片面に形成された厚さ1〜150nmの
バリア型陽極酸化皮膜とを具備することを特徴とする抵
抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合
金板を提供する。
ニウムもしくはアルミニウム合金からなる基板と、前記
基板の少なくとも片面に形成された厚さ1〜150nmの
バリア型陽極酸化皮膜とを具備することを特徴とする抵
抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合
金板を提供する。
【0015】また、本発明の第2の発明は、アルミニウ
ムもしくはアルミニウム合金からなる基板をpHが4.
5〜9.5である電解液中に浸漬して陽極酸化すること
により、前記基板の少なくとも片面に厚さ1〜150nm
のバリア型陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする抵
抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合
金板の製造方法を提供する。
ムもしくはアルミニウム合金からなる基板をpHが4.
5〜9.5である電解液中に浸漬して陽極酸化すること
により、前記基板の少なくとも片面に厚さ1〜150nm
のバリア型陽極酸化皮膜を形成することを特徴とする抵
抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合
金板の製造方法を提供する。
【0016】本発明の第1の発明において、バリア型陽
極酸化皮膜は、基本的には電気抵抗が高い皮膜であるの
で、あまりに厚く皮膜を形成して電気抵抗値を高くし過
ぎると通電を妨げることになり、適切なナゲット形成を
阻害して散り発生を促すことになる。このため、バリア
型陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜150nmに設定する。適
切なナゲット形成および連続打点性(電極寿命)の評価
から、皮膜厚さが1nm未満であると必要な電気抵抗値に
達せず、発熱不足となり溶接時に形成されるナゲットが
小さく、必要な強度が得られない。また、皮膜厚さが1
nm未満であると、アルミニウム合金板表面を均一に被覆
することが困難であり、プレス金型とアルミニウム素材
との間で金属接触が起こり易く、成形性改善の効果が発
揮されない。皮膜厚さが150nmを超えると電気抵抗が
高くなり過ぎて入熱過剰となり、接合部電極圧痕面での
散りの発生が次第に多くなり、接合強度も低くなってい
く。また、皮膜厚さが150nmを超えると成形性改善の
効果が飽和する。
極酸化皮膜は、基本的には電気抵抗が高い皮膜であるの
で、あまりに厚く皮膜を形成して電気抵抗値を高くし過
ぎると通電を妨げることになり、適切なナゲット形成を
阻害して散り発生を促すことになる。このため、バリア
型陽極酸化皮膜の膜厚は、1〜150nmに設定する。適
切なナゲット形成および連続打点性(電極寿命)の評価
から、皮膜厚さが1nm未満であると必要な電気抵抗値に
達せず、発熱不足となり溶接時に形成されるナゲットが
小さく、必要な強度が得られない。また、皮膜厚さが1
nm未満であると、アルミニウム合金板表面を均一に被覆
することが困難であり、プレス金型とアルミニウム素材
との間で金属接触が起こり易く、成形性改善の効果が発
揮されない。皮膜厚さが150nmを超えると電気抵抗が
高くなり過ぎて入熱過剰となり、接合部電極圧痕面での
散りの発生が次第に多くなり、接合強度も低くなってい
く。また、皮膜厚さが150nmを超えると成形性改善の
効果が飽和する。
【0017】アルミニウム合金板の溶接のために接触す
る側の面に形成される皮膜の電気抵抗は、その面に接合
ナゲットが形成されるので高い方が好ましい。一方、電
極と接触する面に形成される皮膜の電気抵抗は、電極と
の溶着、いわゆる電極のピックアップ現象が起こりにく
く、ドレッシングまでの電極寿命が長くなるので低い方
が好ましい。したがって、電極接触面側のバリア型陽極
酸化皮膜は、1〜50nmの厚さを有することが望まし
く、アルミニウム合金板同士の接触面のバリア型陽極酸
化皮膜は、電極接触面側のバリア型陽極酸化皮膜の厚さ
より大きい厚さを有することが好ましい。
る側の面に形成される皮膜の電気抵抗は、その面に接合
ナゲットが形成されるので高い方が好ましい。一方、電
極と接触する面に形成される皮膜の電気抵抗は、電極と
の溶着、いわゆる電極のピックアップ現象が起こりにく
く、ドレッシングまでの電極寿命が長くなるので低い方
が好ましい。したがって、電極接触面側のバリア型陽極
酸化皮膜は、1〜50nmの厚さを有することが望まし
く、アルミニウム合金板同士の接触面のバリア型陽極酸
化皮膜は、電極接触面側のバリア型陽極酸化皮膜の厚さ
より大きい厚さを有することが好ましい。
【0018】バリア型陽極酸化皮膜は耐食性は良好であ
るが、長期間空気中に放置されると吸湿により変質する
恐れがある。この吸湿による皮膜の変質を防止するため
に、バリア型陽極酸化皮膜上に防錆油を塗布したり、防
錆紙を配置してもよい。しかしながら、構造部材は溶接
接合後に塗装を施することが多いので、脱脂が容易であ
ることが必要がある。このため、防錆油を塗布する場合
には、その粘度が2〜25 cStであるものを使用するこ
とが好ましい。これは、粘度が2 cSt未満では流動性が
高く、アルミニウム合金板表面から流出し易くなり、防
錆上および取扱上から好ましくなく、粘度が25 cStを
超えると脱脂が困難となり、抵抗スポット溶接性が悪く
なるからである。また、防錆油の塗布量は、0.1〜
3.0 g/m2 であることが好ましい。これは、塗布量が
0.1 g/m2 未満では防錆機能が発揮されず、3.0 g
/m2 を超えて塗布しても防錆機能は向上せず、経済性、
取扱上および脱脂の観点からも好ましくないからであ
る。なお、防錆紙の場合には、溶接時にアルミニウム合
金板から剥離すれば良く、このような脱脂の問題はな
い。
るが、長期間空気中に放置されると吸湿により変質する
恐れがある。この吸湿による皮膜の変質を防止するため
に、バリア型陽極酸化皮膜上に防錆油を塗布したり、防
錆紙を配置してもよい。しかしながら、構造部材は溶接
接合後に塗装を施することが多いので、脱脂が容易であ
ることが必要がある。このため、防錆油を塗布する場合
には、その粘度が2〜25 cStであるものを使用するこ
とが好ましい。これは、粘度が2 cSt未満では流動性が
高く、アルミニウム合金板表面から流出し易くなり、防
錆上および取扱上から好ましくなく、粘度が25 cStを
超えると脱脂が困難となり、抵抗スポット溶接性が悪く
なるからである。また、防錆油の塗布量は、0.1〜
3.0 g/m2 であることが好ましい。これは、塗布量が
0.1 g/m2 未満では防錆機能が発揮されず、3.0 g
/m2 を超えて塗布しても防錆機能は向上せず、経済性、
取扱上および脱脂の観点からも好ましくないからであ
る。なお、防錆紙の場合には、溶接時にアルミニウム合
金板から剥離すれば良く、このような脱脂の問題はな
い。
【0019】本発明の第2の発明において、アルミニウ
ム合金板上にバリア型陽極酸化皮膜を形成する場合、中
性領域の電解液中においてアルミニウム合金板を陽極と
して電解する。その電解方法や前処理方法については特
に制限されない。
ム合金板上にバリア型陽極酸化皮膜を形成する場合、中
性領域の電解液中においてアルミニウム合金板を陽極と
して電解する。その電解方法や前処理方法については特
に制限されない。
【0020】ここで、中性領域の電解液とは、pHが
4.5〜9.5の範囲、さらに好ましくはpHが5.0
〜8.0の水溶液および非水溶液をいう。これは、この
範囲外のpHを有する電解液を使用すると、生成した陽
極酸化皮膜の再溶解による細孔(ポア)が発生し、後述
する多孔質型陽極酸化皮膜の抵抗スポット溶接上および
成形性上の問題が起こるからである。
4.5〜9.5の範囲、さらに好ましくはpHが5.0
〜8.0の水溶液および非水溶液をいう。これは、この
範囲外のpHを有する電解液を使用すると、生成した陽
極酸化皮膜の再溶解による細孔(ポア)が発生し、後述
する多孔質型陽極酸化皮膜の抵抗スポット溶接上および
成形性上の問題が起こるからである。
【0021】このような中性領域の電解液としては、例
えば、ホウ酸−ホウ酸ナトリウム系、ホウ酸−アンモニ
ア系、酒石酸アンモニウム、酒石酸−アンモニア系、酒
石酸−酒石酸ナトリウム系、およびリン酸系アンモニウ
ムの水溶液、酒石酸−エチルアルコール系の非水溶液、
並びに各種緩衝液を用いることができるが、とくにこれ
らに限定されるものではない。
えば、ホウ酸−ホウ酸ナトリウム系、ホウ酸−アンモニ
ア系、酒石酸アンモニウム、酒石酸−アンモニア系、酒
石酸−酒石酸ナトリウム系、およびリン酸系アンモニウ
ムの水溶液、酒石酸−エチルアルコール系の非水溶液、
並びに各種緩衝液を用いることができるが、とくにこれ
らに限定されるものではない。
【0022】本発明のアルミニウム合金板の用途として
は、溶接構造体、特に抵抗スポット溶接される構造体で
あり、例えば、航空機、鉄道車輌、自動車ボディー用途
等が挙げられる。したがって、対象となるアルミニウム
合金としては、2000系、5000系、6000系が
挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
は、溶接構造体、特に抵抗スポット溶接される構造体で
あり、例えば、航空機、鉄道車輌、自動車ボディー用途
等が挙げられる。したがって、対象となるアルミニウム
合金としては、2000系、5000系、6000系が
挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0023】
【作用】本発明は、アルミニウムもしくはアルミニウム
合金からなる基板と、前記基板の少なくとも片面に形成
された厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸化皮膜とを具
備することを特徴としている。
合金からなる基板と、前記基板の少なくとも片面に形成
された厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸化皮膜とを具
備することを特徴としている。
【0024】アルミニウムまたはアルミニウム合金を電
解液中で陽極として電解したときに表面に陽極酸化皮膜
が生成することはよく知られており、この陽極酸化皮膜
は、主に耐食性皮膜やコンデンサー用誘電体皮膜として
利用されている。
解液中で陽極として電解したときに表面に陽極酸化皮膜
が生成することはよく知られており、この陽極酸化皮膜
は、主に耐食性皮膜やコンデンサー用誘電体皮膜として
利用されている。
【0025】一般に、陽極酸化皮膜には、酸性またはア
ルカリ性溶液中での電解により形成される多孔質型皮膜
と、中性領域の溶液中での電解により形成されるバリア
型皮膜とがある。多孔質型皮膜は、図1(A)に示すよ
うに、アルミニウム基板10上に形成された通常数nm程
度ないしはそれ以下の厚さの層状の皮膜(バリア層1
1)上に多数の細孔(ポア12)を有する皮膜13が形
成された構造を有しており、バリア型皮膜は、アルミニ
ウム基板10上に単一の層状構造の皮膜14が形成され
てなるものである。なお、多孔質型皮膜は、厚さを10
0nm以下に制御することが難しく、また、厚く形成した
場合には成形時に剥離し易く、これにより、いわゆる型
かじりを起こして逆に成形性を低下させるので、成形性
の観点から見ると多孔質型皮膜は好ましくない。
ルカリ性溶液中での電解により形成される多孔質型皮膜
と、中性領域の溶液中での電解により形成されるバリア
型皮膜とがある。多孔質型皮膜は、図1(A)に示すよ
うに、アルミニウム基板10上に形成された通常数nm程
度ないしはそれ以下の厚さの層状の皮膜(バリア層1
1)上に多数の細孔(ポア12)を有する皮膜13が形
成された構造を有しており、バリア型皮膜は、アルミニ
ウム基板10上に単一の層状構造の皮膜14が形成され
てなるものである。なお、多孔質型皮膜は、厚さを10
0nm以下に制御することが難しく、また、厚く形成した
場合には成形時に剥離し易く、これにより、いわゆる型
かじりを起こして逆に成形性を低下させるので、成形性
の観点から見ると多孔質型皮膜は好ましくない。
【0026】アルミニウム合金板表面に形成する皮膜を
バリア型陽極酸化皮膜とすることにより、第1に、皮膜
構造が単一の層状であるので接触抵抗値がその皮膜厚さ
で可変することができ、その制御も容易である。第2
に、例えば多孔質型皮膜に比べ高抵抗であるので、皮膜
厚さを薄くすることができ、コスト上有利である。例え
ば、アルミニウム合金板をコイル状に巻く場合、1コイ
ル当たりに占めるアルミニウム合金板の重量が多くなり
経済的である。第3に、多孔質型皮膜と異なり、封孔処
理が不必要であり、生成した皮膜自体が高い耐食性能を
有するので、未封孔による白錆等の腐蝕や自然封孔によ
る酸化皮膜の膜質の変化が少なくなる。
バリア型陽極酸化皮膜とすることにより、第1に、皮膜
構造が単一の層状であるので接触抵抗値がその皮膜厚さ
で可変することができ、その制御も容易である。第2
に、例えば多孔質型皮膜に比べ高抵抗であるので、皮膜
厚さを薄くすることができ、コスト上有利である。例え
ば、アルミニウム合金板をコイル状に巻く場合、1コイ
ル当たりに占めるアルミニウム合金板の重量が多くなり
経済的である。第3に、多孔質型皮膜と異なり、封孔処
理が不必要であり、生成した皮膜自体が高い耐食性能を
有するので、未封孔による白錆等の腐蝕や自然封孔によ
る酸化皮膜の膜質の変化が少なくなる。
【0027】抵抗スポット溶接性は、アルミニウム合金
の種類にも影響を受けやすい。バリア型陽極酸化皮膜を
用いることにより、種類の異なるアルミニウム合金を用
いても皮膜厚さを制御することにより、電気抵抗値の制
御をすることができる。
の種類にも影響を受けやすい。バリア型陽極酸化皮膜を
用いることにより、種類の異なるアルミニウム合金を用
いても皮膜厚さを制御することにより、電気抵抗値の制
御をすることができる。
【0028】また、構造用アルミニウム合金板には、高
強度を有する5000系や6000系のアルミニウム合
金が用いられる場合が多いが、これらのアルミニウム合
金は、比較的多く含まれるMgが熱間圧延等により表面
に多く存在するようになる。この熱間圧延上がり品をそ
のまま抵抗スポット溶接に供すると、溶接電極との溶
着、ピックアップ現象により電極寿命が低下する。しか
して、バリア型陽極酸化皮膜を形成することにより、熱
間圧延を施してもアルミニウム合金板表面にMgが濃化
することを防止できる。このため、電極寿命の向上にも
寄与する。
強度を有する5000系や6000系のアルミニウム合
金が用いられる場合が多いが、これらのアルミニウム合
金は、比較的多く含まれるMgが熱間圧延等により表面
に多く存在するようになる。この熱間圧延上がり品をそ
のまま抵抗スポット溶接に供すると、溶接電極との溶
着、ピックアップ現象により電極寿命が低下する。しか
して、バリア型陽極酸化皮膜を形成することにより、熱
間圧延を施してもアルミニウム合金板表面にMgが濃化
することを防止できる。このため、電極寿命の向上にも
寄与する。
【0029】なお、アルミニウム合金板表面に多孔質型
陽極酸化皮膜を形成した後、これに封孔処理して耐食性
を高め、酸化皮膜の変質を防ぐ方法も考えられるが、こ
の方法では、2つの処理が必要となり、設備上および工
程上からコスト高となり望ましくない。また、多孔質型
陽極酸化皮膜の細孔の数や孔の大きさと、封孔処理の程
度により封孔度が異なる。しかも、陽極酸化皮膜は封孔
処理で水和酸化物に変質するため、封孔処理の程度によ
り陽極酸化皮膜の電気抵抗値が変化する。したがって、
抵抗スポット溶接性が不安定となる。
陽極酸化皮膜を形成した後、これに封孔処理して耐食性
を高め、酸化皮膜の変質を防ぐ方法も考えられるが、こ
の方法では、2つの処理が必要となり、設備上および工
程上からコスト高となり望ましくない。また、多孔質型
陽極酸化皮膜の細孔の数や孔の大きさと、封孔処理の程
度により封孔度が異なる。しかも、陽極酸化皮膜は封孔
処理で水和酸化物に変質するため、封孔処理の程度によ
り陽極酸化皮膜の電気抵抗値が変化する。したがって、
抵抗スポット溶接性が不安定となる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0031】(実施例1)供試材用アルミニウム合金板
として、JIS A 5182−0材(Al−4.0〜
5.0Mg)からなり、引張強さが28.0kgf/mm2 、
板厚1.0mmであるアルミニウム合金素板を用い、下記
第1表および第2表に示す各種電解液においてアルミニ
ウム合金素板を陽極として直流電解酸化することによ
り、アルミニウム合金素板の少なくとも片面に下記第1
表および第2表に示す種類および厚さの陽極酸化皮膜を
形成した。また、陽極酸化皮膜を形成しない、エッチン
グ処理を施したアルミニウム合金板と、圧延上がりのア
ルミニウム合金板を比較として用いた。なお、圧延上が
りのものを除いてアルミニウム合金板に前処理を施し
た。この前処理としては、溶剤脱脂、エッチング、水
洗、スマット除去、水洗を順次行った。
として、JIS A 5182−0材(Al−4.0〜
5.0Mg)からなり、引張強さが28.0kgf/mm2 、
板厚1.0mmであるアルミニウム合金素板を用い、下記
第1表および第2表に示す各種電解液においてアルミニ
ウム合金素板を陽極として直流電解酸化することによ
り、アルミニウム合金素板の少なくとも片面に下記第1
表および第2表に示す種類および厚さの陽極酸化皮膜を
形成した。また、陽極酸化皮膜を形成しない、エッチン
グ処理を施したアルミニウム合金板と、圧延上がりのア
ルミニウム合金板を比較として用いた。なお、圧延上が
りのものを除いてアルミニウム合金板に前処理を施し
た。この前処理としては、溶剤脱脂、エッチング、水
洗、スマット除去、水洗を順次行った。
【0032】
【表1】
【表2】 上記のようにして得られた供試材用アルミニウム合金板
(本発明例No. 1〜14、比較例No. 15〜23、従来
例No. 24〜25)について、抵抗スポット溶接性を調
べた。その結果を下記第3表および第4表に示す。
(本発明例No. 1〜14、比較例No. 15〜23、従来
例No. 24〜25)について、抵抗スポット溶接性を調
べた。その結果を下記第3表および第4表に示す。
【0033】なお、抵抗スポット溶接性は、連続打点試
験を2回実施した後、各々50打点毎に引張剪断荷重と
ナゲット径を測定し、JIS Z 3140に定めるA
級最小値である引張剪断荷重176kgf/スポットまたは
ナゲット径4mmのいずれかを満たさなくなったときの打
点数を求めた。また、接合部の電極圧痕部の外観も観察
し、2回の結果を総合評価した。圧延上がりのアルミニ
ウム合金板を基準(△)として、良好なものから◎、
○、△、×で評価した。なお、溶接機としては単相交流
式のものを用い、加圧力300 kgf、溶接電流20kAの
条件で溶接を行った。具体的には、2枚のアルミニウム
合金板23を重ね合わせ、これを上部電極21と下部電
極22との間に配置し、加圧しながら電極間に通電し
て、ナゲット24を形成した。
験を2回実施した後、各々50打点毎に引張剪断荷重と
ナゲット径を測定し、JIS Z 3140に定めるA
級最小値である引張剪断荷重176kgf/スポットまたは
ナゲット径4mmのいずれかを満たさなくなったときの打
点数を求めた。また、接合部の電極圧痕部の外観も観察
し、2回の結果を総合評価した。圧延上がりのアルミニ
ウム合金板を基準(△)として、良好なものから◎、
○、△、×で評価した。なお、溶接機としては単相交流
式のものを用い、加圧力300 kgf、溶接電流20kAの
条件で溶接を行った。具体的には、2枚のアルミニウム
合金板23を重ね合わせ、これを上部電極21と下部電
極22との間に配置し、加圧しながら電極間に通電し
て、ナゲット24を形成した。
【0034】
【表3】
【表4】 第3表および第4表から明らかなように、本発明例であ
るアルミニウム合金板表面にバリア型陽極酸化皮膜を形
成したもの(No. 1〜14)は、抵抗スポット溶接性が
優れるものであった。
るアルミニウム合金板表面にバリア型陽極酸化皮膜を形
成したもの(No. 1〜14)は、抵抗スポット溶接性が
優れるものであった。
【0035】これに対して、本発明の範囲よりも薄いバ
リア型陽極酸化皮膜を形成したもの(No. 15)は電気
抵抗が低過ぎて溶接時における発熱量が不足して接合強
度が不安定となり、これにより連続打点数が少なく、本
発明の範囲よりも厚いバリア型陽極酸化皮膜を形成した
もの(No. 16〜18)は電気抵抗が高くなり過ぎて電
極圧痕部で散りが発生し、特に厚さが300nmであるN
o. 18では爆飛により穴明きが発生して接合できなか
った。
リア型陽極酸化皮膜を形成したもの(No. 15)は電気
抵抗が低過ぎて溶接時における発熱量が不足して接合強
度が不安定となり、これにより連続打点数が少なく、本
発明の範囲よりも厚いバリア型陽極酸化皮膜を形成した
もの(No. 16〜18)は電気抵抗が高くなり過ぎて電
極圧痕部で散りが発生し、特に厚さが300nmであるN
o. 18では爆飛により穴明きが発生して接合できなか
った。
【0036】また、本発明の範囲外のpHを有する電解
液を用いて多孔質型の陽極酸化皮膜を形成したもの(N
o. 19〜23)は連続打点数が少なかった。特に、封
孔処理を施したもの(No. 20,22)は散りが発生し
た。
液を用いて多孔質型の陽極酸化皮膜を形成したもの(N
o. 19〜23)は連続打点数が少なかった。特に、封
孔処理を施したもの(No. 20,22)は散りが発生し
た。
【0037】また、従来のエッチング処理および圧延上
がりのもの(No. 24,25)は連続打点数が少なかっ
た。
がりのもの(No. 24,25)は連続打点数が少なかっ
た。
【0038】(実施例2)電極面側のバリア型陽極酸化
皮膜の厚さを1〜50nmとし、接触面側の厚さを電極面
側の厚さよりも大きく設定すること以外は実施例1と同
様にして、アルミニウム合金板を陽極として直流電解酸
化することにより、アルミニウム合金素板に下記第5表
に示す厚さのバリア型陽極酸化皮膜(No. 26〜28)
を形成した。その結果を下記第5表に示す。なお、電解
液としては、25℃でのpHが7.0である3%酒石酸
アンモニウムを用いた。
皮膜の厚さを1〜50nmとし、接触面側の厚さを電極面
側の厚さよりも大きく設定すること以外は実施例1と同
様にして、アルミニウム合金板を陽極として直流電解酸
化することにより、アルミニウム合金素板に下記第5表
に示す厚さのバリア型陽極酸化皮膜(No. 26〜28)
を形成した。その結果を下記第5表に示す。なお、電解
液としては、25℃でのpHが7.0である3%酒石酸
アンモニウムを用いた。
【0039】
【表5】 第5表から明らかなように、アルミニウム合金板同士の
接触面側はバリア型陽極酸化皮膜の厚さが大きいために
十分な発熱量が与えられ、接合強度が高く、一方、電極
面側はバリア型陽極酸化皮膜の厚さが1〜50nmである
ので、良好に通電され、これにより連続打点数が多かっ
た。
接触面側はバリア型陽極酸化皮膜の厚さが大きいために
十分な発熱量が与えられ、接合強度が高く、一方、電極
面側はバリア型陽極酸化皮膜の厚さが1〜50nmである
ので、良好に通電され、これにより連続打点数が多かっ
た。
【0040】(実施例3)実施例1におけるNo. 9のア
ルミニウム合金板(両面に厚さ100nmのバリア型陽極
酸化皮膜を形成したもの)について、陽極酸化皮膜の経
時変化と抵抗スポット溶接性を評価した。すなわち、N
o. 9のアルミニウム合金板上に下記第6表に示すよう
な種々の粘度および塗布量の防錆油を塗布、または両面
に防錆紙を配置し(No. 29〜37)、これらを1ヶ月
間空調のない室内に放置した後、実施例1と同様にして
連続打点試験に供した。また、比較例として、多孔質型
陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金板(No. 1
9)も連続打点試験に供した。
ルミニウム合金板(両面に厚さ100nmのバリア型陽極
酸化皮膜を形成したもの)について、陽極酸化皮膜の経
時変化と抵抗スポット溶接性を評価した。すなわち、N
o. 9のアルミニウム合金板上に下記第6表に示すよう
な種々の粘度および塗布量の防錆油を塗布、または両面
に防錆紙を配置し(No. 29〜37)、これらを1ヶ月
間空調のない室内に放置した後、実施例1と同様にして
連続打点試験に供した。また、比較例として、多孔質型
陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金板(No. 1
9)も連続打点試験に供した。
【0041】また、1ヶ月放置したこれらのアルミニウ
ム合金板を脱脂処理した後、水濡れ外観を観察すること
により脱脂性を評価した。なお、水濡れ外観は、はじき
の無い場合を○、はじきの有る場合を×とした。脱脂処
理は、脱脂液としてサーフクリーナーSD250(日本
ペイント株式会社製、商品名)を用い、42℃×3分浸
漬することにより行った。これらの結果を下記第6表に
併記した。
ム合金板を脱脂処理した後、水濡れ外観を観察すること
により脱脂性を評価した。なお、水濡れ外観は、はじき
の無い場合を○、はじきの有る場合を×とした。脱脂処
理は、脱脂液としてサーフクリーナーSD250(日本
ペイント株式会社製、商品名)を用い、42℃×3分浸
漬することにより行った。これらの結果を下記第6表に
併記した。
【0042】
【表6】 第6表から明らかなように、防錆処理をすることによ
り、アルミニウム合金板を長期間放置しておいても、そ
の表面に形成した陽極酸化皮膜の経時変化が防止されて
いる。これにより、安定した抵抗スポット溶接性が得ら
れることが分った。一方、未封孔の多孔質型陽極酸化皮
膜を1月放置すると白錆が発生し、連続打点も放置前よ
り少なくなった。
り、アルミニウム合金板を長期間放置しておいても、そ
の表面に形成した陽極酸化皮膜の経時変化が防止されて
いる。これにより、安定した抵抗スポット溶接性が得ら
れることが分った。一方、未封孔の多孔質型陽極酸化皮
膜を1月放置すると白錆が発生し、連続打点も放置前よ
り少なくなった。
【0043】(実施例4)供試材用アルミニウム合金板
として、JIS A 5182−0材(Al−4.0〜
5.0Mg)からなり、引張強さが28.0kgf/mm2 、
板厚1.0mmであるアルミニウム合金素板を用い、下記
第8表に示す各種電解液においてアルミニウム合金素板
を陽極として直流電解酸化することにより、アルミニウ
ム合金素板に下記第7表に示す種類および厚さの陽極酸
化皮膜を形成した。また、陽極酸化皮膜を形成しない、
未処理のアルミニウム合金板を比較として用いた。
として、JIS A 5182−0材(Al−4.0〜
5.0Mg)からなり、引張強さが28.0kgf/mm2 、
板厚1.0mmであるアルミニウム合金素板を用い、下記
第8表に示す各種電解液においてアルミニウム合金素板
を陽極として直流電解酸化することにより、アルミニウ
ム合金素板に下記第7表に示す種類および厚さの陽極酸
化皮膜を形成した。また、陽極酸化皮膜を形成しない、
未処理のアルミニウム合金板を比較として用いた。
【0044】
【表7】 上記のようにして得られた供試材用アルミニウム合金板
(本発明例No. 38〜45、比較例No. 46〜51、従
来例No. 52)について、成形性を調べた。その結果を
下記第7表に併記する。
(本発明例No. 38〜45、比較例No. 46〜51、従
来例No. 52)について、成形性を調べた。その結果を
下記第7表に併記する。
【0045】なお、成形性は、供試材表面に0.5g/
m2 で洗浄防錆油を塗布した後、供試材を70mmφに打
ち抜き、これに加工速度500mm/sec で径33mmφの
高速円筒絞り加工を行い、100個中の不良数を調べる
ことにより評価した。
m2 で洗浄防錆油を塗布した後、供試材を70mmφに打
ち抜き、これに加工速度500mm/sec で径33mmφの
高速円筒絞り加工を行い、100個中の不良数を調べる
ことにより評価した。
【0046】第8表から明らかなように、本発明のバリ
ア型陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金板(No.
38〜46)は、いずれも優れた成形性を示した。これ
に対して、本発明の範囲外の厚さのバリア型陽極酸化皮
膜を形成したアルミニウム合金板(No. 47〜49)は
成形性が悪く、また、多孔質型陽極酸化皮膜を形成した
アルミニウム合金板および未処理のアルミニウム合金板
(No. 50〜52)も成形性が悪かった。
ア型陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム合金板(No.
38〜46)は、いずれも優れた成形性を示した。これ
に対して、本発明の範囲外の厚さのバリア型陽極酸化皮
膜を形成したアルミニウム合金板(No. 47〜49)は
成形性が悪く、また、多孔質型陽極酸化皮膜を形成した
アルミニウム合金板および未処理のアルミニウム合金板
(No. 50〜52)も成形性が悪かった。
【0047】
【発明の効果】以上説明した如く本発明の抵抗スポット
溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板は、そ
の少なくとも片面に厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸
化皮膜を有するので、優れた抵抗スポット溶接性を有す
るアルミニウム合金板として溶接構造部材用に、また優
れた成形性を有するアルミニウム合金板として自動車ボ
ディーに用いることが可能となる。さらに、電極面側の
厚さを1〜50nmとし、接触面側の厚さを電極面側のバ
リア型陽極酸化皮膜の厚さより大きくすることにより、
電極面側では通電を良好にし、接触面側では発熱量を大
きくして抵抗スポット溶接性をより向上させることがで
きる。
溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板は、そ
の少なくとも片面に厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸
化皮膜を有するので、優れた抵抗スポット溶接性を有す
るアルミニウム合金板として溶接構造部材用に、また優
れた成形性を有するアルミニウム合金板として自動車ボ
ディーに用いることが可能となる。さらに、電極面側の
厚さを1〜50nmとし、接触面側の厚さを電極面側のバ
リア型陽極酸化皮膜の厚さより大きくすることにより、
電極面側では通電を良好にし、接触面側では発熱量を大
きくして抵抗スポット溶接性をより向上させることがで
きる。
【0048】また、本発明の抵抗スポット溶接性および
成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法は、pH
が4.5〜9.5である電解液中に浸漬してアルミニウ
ム合金板を陽極酸化するので、容易にバリア型陽極酸化
皮膜を形成することができる。これにより、形成する陽
極酸化皮膜厚さが薄くても、優れた抵抗スポット溶接性
および成形性を発揮するアルミニウム合金板を低価格で
安定して得ることができる。また、電解液の4.5〜
9.5であるので、取扱上安全である。
成形性に優れたアルミニウム合金板の製造方法は、pH
が4.5〜9.5である電解液中に浸漬してアルミニウ
ム合金板を陽極酸化するので、容易にバリア型陽極酸化
皮膜を形成することができる。これにより、形成する陽
極酸化皮膜厚さが薄くても、優れた抵抗スポット溶接性
および成形性を発揮するアルミニウム合金板を低価格で
安定して得ることができる。また、電解液の4.5〜
9.5であるので、取扱上安全である。
【図1】(A)は多孔質型陽極酸化皮膜の構造を示す断
面図。(B)はバリア型陽極酸化皮膜の構造を示す断面
図。
面図。(B)はバリア型陽極酸化皮膜の構造を示す断面
図。
【図2】抵抗スポット溶接を説明するための概略図。
10…アルミニウム基板、11…バリア層、12…ポ
ア、13…皮膜、14…層状構造の皮膜、21…上部電
極、22…下部電極、23…アルミニウム合金板、24
…ナゲット。
ア、13…皮膜、14…層状構造の皮膜、21…上部電
極、22…下部電極、23…アルミニウム合金板、24
…ナゲット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 難波江 元広 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 谷 俊夫 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 西山 直樹 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
からなる基板と、前記基板の少なくとも片面に形成され
た厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸化皮膜とを具備す
ることを特徴とする抵抗スポット溶接性および成形性に
優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項2】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
からなる基板と、前記基板の一方の面に形成された厚さ
1〜50nmの第1のバリア型陽極酸化皮膜と、前記基板
の他方の面に形成され、前記第1のバリア型陽極酸化皮
膜の厚さよりも大きい厚さを有する第2のバリア型陽極
酸化皮膜とを具備することを特徴とする抵抗スポット溶
接性および成形性に優れたアルミニウム合金板。 - 【請求項3】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
からなる基板をpHが4.5〜9.5である電解液中に
浸漬して陽極酸化することにより、前記基板の少なくと
も片面に厚さ1〜150nmのバリア型陽極酸化皮膜を形
成することを特徴とする抵抗スポット溶接性および成形
性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16508595A JPH0892786A (ja) | 1994-07-29 | 1995-06-30 | 抵抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP17901694 | 1994-07-29 | ||
| JP6-179016 | 1994-07-29 | ||
| JP16508595A JPH0892786A (ja) | 1994-07-29 | 1995-06-30 | 抵抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0892786A true JPH0892786A (ja) | 1996-04-09 |
Family
ID=26489952
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP16508595A Pending JPH0892786A (ja) | 1994-07-29 | 1995-06-30 | 抵抗スポット溶接性および成形性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0892786A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2014000594A (ja) * | 2012-06-20 | 2014-01-09 | Toyota Motor Corp | 積層アルミニウム材の製造方法及びそれを含む密閉型電池の製造方法、並びに、密閉型電池 |
-
1995
- 1995-06-30 JP JP16508595A patent/JPH0892786A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2014000594A (ja) * | 2012-06-20 | 2014-01-09 | Toyota Motor Corp | 積層アルミニウム材の製造方法及びそれを含む密閉型電池の製造方法、並びに、密閉型電池 |
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