JPH0897045A - 巻磁心およびこれを用いたパルストランス、ならびにインターフェース用pcカード - Google Patents

巻磁心およびこれを用いたパルストランス、ならびにインターフェース用pcカード

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JPH0897045A
JPH0897045A JP6226752A JP22675294A JPH0897045A JP H0897045 A JPH0897045 A JP H0897045A JP 6226752 A JP6226752 A JP 6226752A JP 22675294 A JP22675294 A JP 22675294A JP H0897045 A JPH0897045 A JP H0897045A
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μri
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晋 中島
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昌宏 岡田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 INSネット64用のICカードに使用で
き、安全規格も満足した小型で高性能なパルストランス
に用いる巻磁心及びパルストランスを得る。 【構成】 平均板厚tμm、幅Hが0.5mm≦H≦3
mm、λsの絶対値が1.0×10-6以下、結晶粒径5
0nm以下の軟磁性合金巻磁心の表面を絶縁コーティン
グし、絶縁コーティング部を除く見かけの磁心断面積A
と実効断面積Aeの比Ae/Aで表わされる占積率Kが
t/(t+5)≦K≦t/(t+2)、実効交流比初透
磁率K・μriが50000以上、かつ周囲温度−40
℃から85℃までの範囲においてK・μriの温度変化
が±20%以内である巻磁心。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄型巻磁心およびこれ
を用いたパルストランス、特にPCMCIA2.0対応
のISDN(Integrated Service Digital Network)イ
ンターフェース用PCカードなどのデジタル伝送システ
ム用の電子装置などに使用されるパルストランスに用い
る磁心およびこれを用いたパルストランス、ならびにこ
れらを使用したインターフェースPCカードに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ISDNのSインターフェース用パルス
トランスは、例えば日本電信電話株式会社 ISDN推
進部編集、社団法人 電気通信協会発行の技術参考資料
“INSネットサービスのインターフェース 第2分冊
(レイヤ1、レイヤ2編)第3版”(以下、資料1と称
す)等に記載されるCCITT(International Telegr
aph and Telephone Consultative Committee)が規定す
る電気的特性を満たすように設計製造されなくてはなら
ない。
【0003】前記資料1に記載される2つの64kb/
sの情報チャンネルと1つの16kb/s信号チャンネ
ルを利用できるSインターフェース用パルストランスで
は2kHz〜20kHzの周波数帯において、周波数を
fとしたときに1次巻線インピ−ダンスは上記資料1の
37ページから55ページに記載される規定により、
0.125・fなる式で与えられる値以上のインピーダ
ンス、即ち19.9mH以上のインダクタンスが必要で
ある。
【0004】よく知られるように、磁心の交流比初透磁
率μriは周波数fの増加にともない減少するため、前記
資料1で定められるパルストランスの1次巻線インピー
ダンスの下限値の規定が最も厳しくなるのは20kHz
のときであり、20kHzのときの1次巻線インピーダ
ンスの下限値は2500Ω、20kHzのときの1次巻
線インダクタンスの下限値は19.9mHである。
【0005】また、PCMCIA 2.0対応のPCカ
ードには、その高さが3.3mmのタイプI、5mmの
タイプII、10.5mmのタイプがあり、これらのPC
カードに用いられるパルストランスの高さは面実装対応
の端子を設けた上で、タイプIが2.8mm程度以下、
タイプIIが3.6mm程度以下およびタイプIIIが8.
9mm程度以下とする必要があり、実装面積は各タイプ
とも12.7mm×12.7mm以下にすることが望ま
れている。
【0006】前記ISDNインターフェース用パルスト
ランスは各国ごとに定められる安全規格を満足する必要
があり、1次巻線と2次巻線間ならびに各巻線と磁心間
の絶縁耐圧を例に取ると、例えば日本国内でAC0.5
kV、米国でAC1.5kV、欧州各国ではAC2kV
ないしAC4kVである。
【0007】特に、絶縁耐圧の高い米国あるいは欧州向
けの前記ISDNインターフェース用パルストランス
は、前記絶縁耐圧を余裕を持って満足できるように全体
を樹脂モールドすることが好ましい。
【0008】さらに、前記ISDNインターフェース用
パルストランスは、使用される地域ごとに決められる周
囲温度範囲の全範囲で、前記資料1で規定される電気的
特性を満足する必要がある。例えば、米国の最も厳しい
仕様では周囲温度−40℃〜85℃が要求される。
【0009】前記ISDNインターフェース用パルスト
ランスとしては、例えば、特開平2−235307等に
記載されるように交流比初透磁率μriの公称値が100
00以上のフェライトを用い磁心の結合面を鏡面研磨し
たEI型磁心やEE型磁心、あるいは切断面のない口の
字型や日の字型の磁心、あるいはトロイダル形状の磁心
が主に用いられている。
【0010】さらにパルストランスの小型化を図るた
め、特開平2−295101に記載される60原子%以
上のFeを含有し、50%以上の組織が100nm未満
の粒度を有する微結晶粒子からなる低磁歪Fe基合金
で、この合金の角形比Br/Bsが0.2未満かつ10k
Hzの交流比初透磁率μriが20000から50000
の範囲にある磁心を用いたパルストランスが提案されて
おり、外径14mm、内径7mm、高さ6mmの巻磁心
に40タ−ン程度の巻線を施せば前記ISDNのSイン
ターフェース用パルストランスが実現される旨の実施例
も記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする問題点】前記交流比初透磁率
μri公称値が10000以上のフェライト磁心として
は、μri公称値12000のトーキン製12001Hお
よび富士電気化学製H25Z、μri公称値10000の
TDK製H5C2および日立フェライト製GP−11な
どが知られている。
【0012】しかし、これらのフェライト磁心のμriは
周囲温度によって大きく変化することが知られており、
北米の通信機器で定められる使用温度の下限である−4
0℃では20℃のときの50%程度まで低下してしま
う。このため−40℃から85℃の動作範囲で前記資料
1の規格を満足するパルストランスを切断面のないトロ
イダル型や口の字型あるいは日の字型の磁心を用いて構
成する場合、周波数20kHzにおけるμriを6000
程度としてパルストランスを設計しなくてはならない。
【0013】さらに、前記のようにパルストランス全体
を樹脂モールドした場合、樹脂モールドによってフェラ
イト磁心に加えられる応力を緩和するため、例えばパル
ストランス全体を一旦シリコン樹脂で覆った後、エポキ
シ樹脂モールドを行う処理が実用上用いられているが、
この場合−40℃の周波数20kHzにおけるμriは6
000程度から5000程度まで劣化する。このためフ
ェライト磁心を用い動作範囲−40℃から85℃の樹脂
モールドしたパルストランスを製作する場合、周波数2
0kHzにおけるμriを5000程度として設計しなく
てはならない。
【0014】大きなインダクタンスを得るには磁心の有
効断面積Aeを大きくするか、巻数Nを多くするしかな
い。しかし、有効断面積Aeを大きくすることは磁心の
大型化を招き、巻数Nを多くすることは巻線による浮遊
容量Csの増加を招き伝送特性の劣化を引き起こす。
【0015】例えば、前記μriが5000のフェライト
磁心を用い、実装面積を12.7mm×12.7mmと
して、米国仕様のISDNのSインターフェース用パル
ストランスを構成した場合、伝送特性、温度特性および
信頼性などの実用上の問題があり、前記PCMCIA
2.0対応PCカードのタイプIあるいはタイプIIに実
装可能な高さ2.8mm以下および3.6mm以下とす
ることは困難である。
【0016】一方、前記特開平2−295101に記載
される60原子%以上のFeを含有し、50%以上の組
織が100nm未満の粒度を有する微結晶粒子からなる
磁歪の小さなFe基合金は、その詳細が特開 昭63−
239906に記載されるように、単ロ−ル法などによ
り製造され、生産効率と製造歩留りなどの点から、厚さ
10μmから30μm程度の薄帯として工業的に製造さ
れている。
【0017】このFe基合金薄帯を用いた磁心の場合、
一般に、巻磁心として構成し、フェノール樹脂などのケ
ースに挿入した状態で使用される。この場合、ケースを
除いたときの見かけの磁心断面積Aと実効断面積Aeの
比である占積率K=Ae/Aは、使用されるFe基合金
薄帯の板厚、表面粗さ、前記合金薄帯を磁心として構成
するときに加える張力などにより左右されるが、実用上
0.8程度以上となるように構成されている。さらに、
巻磁心はこれに巻線を設けたときに、同巻磁心と巻線間
の絶縁を確保するためと、巻磁心に外部から不可避的に
加えられる応力によりその特性が変化しないようにする
ため、前記のようにフェノール樹脂などのケースに挿入
した状態での磁心の占積率K'は0.5程度以下まで低
下してしまう。
【0018】このため特開平2−295101に記載さ
れるFe基ナノ結晶軟磁性合金磁心をケースに挿入した
巻磁心の場合、前記巻磁心の占積率K'と周波数10k
Hzにおける交流比初透磁率μriの積で表されるケース
に挿入した状態での実効交流比初透磁率K'・μriは、
K'を0.5とすれば10000≦K'・μri≦2500
0、となる。
【0019】一方、巻磁心を用いISDNのSインター
フェース用パルストランスを構成する場合、伝送特性の
劣化を招かないよう巻線による浮遊容量を抑え、小型で
安全規格を容易に満足し得るようにする意味から、1次
巻線の巻数は60タ−ン程度以下とする必要もある。
【0020】このため前記特開平2−295101に記
載される周波数10kHzの交流比初透磁率μriが50
000、かつ巻磁心をケースに挿入した状態での占積率
K'が0.5、すなわちケースに巻磁心を挿入したとき
の実効交流比初透磁率K'・μriが25000の巻磁心を
用い1次巻線の巻数を60タ−ンとして、温度範囲−4
0から85℃、実装面積を12.7mm×12.7mm
のISDNのSインターフェース用パルストランスを構
成した場合、同パルストランスをPCMCIA2.0対
応インターフェースPCカードのタイプIあるいはタイ
プIIに実装可能な高さ2.8mm以下および3.4mm
以下とするのは困難である。
【0021】さらに、前記特開平2−295101に記
載される磁心においては、特開平1−247557にそ
の詳細が記載されるように巻磁心の回転対象軸線に平行
な磁界を加えながら、角形比Br/Bsを0.2以下とす
るための熱処理を行わなくてはならず、熱処理する磁心
に上記のような磁界を加えるための磁気回路を持った特
殊な熱処理炉が必要であるという問題もあった。
【0022】
【問題を解決するための手段】本発明は、液体急冷法で
製造された平均板厚tμm、幅Hが0.5mm≦H≦3
mmの非晶質軟磁性合金薄帯を巻回した後、熱処理し結
晶粒径50nm以下の微細な結晶粒を組織の体積全体の
少なくとも50%以上占めるように熱処理したときの飽
和磁歪定数λsの絶対値が1.0×10-6以下となる巻
磁心の表面を絶縁コーティングした巻磁心において、絶
縁コーティング部を除く見かけの磁心断面積Aと実効断
面積Aeの比であるAe/Aで表される占積率Kがt/
(t+5)≦K≦t/(t+2)、周囲温度20℃、周
波数20kHz、磁界の強さ0.05A/mのときの交
流比初透磁率μriと占積率Kとの積で表される実効交流
比初透磁率K・μriが50000以上、かつ周囲温度−
40℃から85℃までの範囲において前記実効交流比初
透磁率K・μriの温度変化が±20%以内にある巻磁心
である。
【0023】このような特性の巻磁心を用いることによ
り、−40℃から85℃の周囲温度範囲において、“I
NSネット64”で規定されるインピ−ダンスの周波数
特性を満足するPCMCIA 2.0タイプIのPCカ
ードで要求される高さ2.8mm程度以下のパルストラ
ンスを実現することができる。
【0024】前記巻磁心において、特に、周囲温度20
℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.05A/mのと
きの占積率Kと交流比初透磁率μriの積で表される実効
交流比初透磁率K・μriが50000以上、かつ−40
℃から85℃までの周囲温度範囲において前記実効交流
比初透磁率K・μriの温度変化が±10%以内にある場
合には、温度範囲−40℃から85℃において、“IN
Sネット64”で規定されるインピ−ダンスの周波数特
性を満足し、PCMCIA 2.0タイプIのPCカー
ドで要求される高さ2.8mm程度以下とすることがで
き、欧州の安全規格で要求される絶縁耐圧AC4kVも
満足できる樹脂モールド型のパルストランスを実現でき
る。
【0025】上記巻磁心において、同巻磁心の表面にエ
ポキシ、ナイロン、ポリイミドもしくはパリレンのいづ
れかによる絶縁コーティング、あるいはこれらのうちの
少なくとも1種以上を含む多層絶縁コーティングがなさ
れている場合には、絶縁コーティングの厚みを薄くして
も巻線と巻磁心間の絶縁が確保できるためコーティング
後の占積率K'を大きくできるとともに、コーティング
によって巻磁心に加えられる応力も比較的小さいため磁
気特性の応力劣化も小さいから、周囲温度20℃、周波
数20kHz、磁界の強さ0.05A/mにおける交流
比初透磁率μriもコーティング前に比べて小さくなり難
く好ましい。
【0026】上記パルストランスにおいて、同パルスト
ランスの第1の巻線と第2の巻線間に絶縁層を介した場
合には、2つの巻線間の結合度を著しく低下させること
なしに2つの巻線間の絶縁耐圧を確保することが容易に
なり好ましい。
【0027】さらに上記パルストランスにおいて、同パ
ルストランスの第1の巻線と第2の巻線間にもうけられ
た絶縁層をエポキシ、ナイロン、ポリイミドもしくはパ
リレンのいづれかによる絶縁コーティング、あるいはこ
れらのうちの少なくとも1種以上を含む多層絶縁コーテ
ィングとした場合、パルストランスの大きさを著しく増
加させることなしに2つの巻線間の絶縁耐圧を容易にと
ることができて好ましい。
【0028】本発明によるパルストランスを用いた例え
ば、PCMCIA 2.0 タイプIあるいはタイプII対
応のISDN用インターフェースPCカードなどのよう
な薄型のインターフェースICカードにおいても、従来
品では対応できなかった周囲温度−40℃から85℃の
広い温度範囲で規格の厳しい海外の安全規格を容易に満
足できて好ましい。
【0029】
【実施例】以下本発明の実施例について詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限るものではない。 (実施例1)絶縁耐圧AC1.5kVを満足するISD
NのSインターフェースの規格を満足し、かつPCMC
IA 2.0 タイプI対応のインターフェースPCカー
ドで求められる高さ2.8mm以下も満足する実装面積
12.7mm×11mmと小型の全体が樹脂モールドさ
れていないパルストランスを以下のような手法により製
作した。
【0030】単ロ−ルによる液体急冷法により、組成が
Fe74Cu1Nb3Si17B5、厚さtが17μm、幅2
5.4mmの非晶質軟磁性合金薄帯を製作後、同非晶質
軟磁性合金薄帯をスリットして幅1mmの薄帯を得た。
この幅1mmの非晶質軟磁性合金薄帯を用い、巻磁心の
見かけの断面積Aと実効断面積Aeの比であるAe/Aで
表される占積率Kを変えた外径8mm、内径4mm、高
さ1mmのトロイダル形状の巻磁心を8ヶ製作した。
【0031】ここで、上記のように巻磁心の寸法を定め
たのは、パルストランスの完成品の寸法をPCMCIA
2.0 タイプI対応のインターフェースPCカードに
実装するのに必要な高さ2.8mm以下、かつ実装面積
12.7mm×12.7mmとするためである。
【0032】次に、これら8ヶの非晶質巻磁心を550
℃の窒素雰囲気中で1時間熱処理後徐冷し、同巻磁心の
温度が室温となるのを待って、同巻磁心の表面をエポキ
シ樹脂で絶縁コーテイングし、本発明1〜本発明4と比
較例1〜比較例4の巻磁心を得た。
【0033】なお、前記非晶質軟磁性合金薄帯を550
℃の窒素雰囲気中で1時間熱処理後、徐冷して得られる
軟磁性合金薄帯は、その組織全体の90%以上が結晶粒
径50nm以下の微細結晶が占める状態で、その飽和磁
歪定数λsは+0.3×10- 6であった。
【0034】前記本発明1から本発明4、および比較例
1から比較例4の巻磁心と外径9mm、内径4mm、高
さ1mmのトロイダル形状のMn−Znフェライト磁心
にエポキシ樹脂で絶縁コーティングした比較例5の9ヶ
の磁心の周囲温度20℃のときの直流磁気特性における
飽和磁束密度Bs、角型比Br/Bs、周波数20kH
z、磁界の強さ0.05A/mのときの交流比初透磁率
μri、およびこのμriと前記絶縁コーテイング部を除く
磁心の占積率Kの積である実効交流比初透磁率K・μr
i、ならびに周囲温度を−40℃から85℃まで変化さ
せたときの前記実効交流比初透磁率K・μriの変化率Δ
K・μriの測定結果を表1に示す。なお、絶縁コーティ
ング後の各磁心の寸法は、外径8.5mm、内径3.5
mm、高さ1.5mmである。
【0035】
【表1】
【0036】前記9ヶの磁心のを用い、以下にその詳細
を示す同一の方法によりパルストランスを製作した。図
1(a)に示す表面にエポキシによる絶縁コーティング
された磁心1に、線径0.05mmのポリウレタン被覆
電線(第1種UEW)による巻線2と巻線3を各磁心ご
とに表2に記載された巻数だけバイファイラ巻きし、図
1(b)のようなパルストランスを構成する。
【0037】なお、表2の各トランスの巻数は、周囲温
度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.05A/
mのときのインダクタンスが、23.9mH以上となる
最小の整数値に選定した。このインダクタンスの値は、
前記資料1の図8.6のDSUインピーダンステンプレ
ート、および図8.7にTEインピーダンステンプレー
トで示されるインピーダンスに対応するインダクタンス
値19.9mHの1.2倍である。
【0038】前記図1(b)に示すパルストランス4の
巻線2と3の両端を所定の長さで切断した後、半田上げ
を行い、面実装用リード端子4を具備した12.7mm
×11mm×2.8mmのフェノール樹脂製ケース5に
挿入し、前記巻線2と3の両端を各々前記面実装リード
端子4の所定の位置に図1(c)のように半田付けす
る。
【0039】図1(c)に示すパルストランスが挿入さ
れたフェノール樹脂製ケース5の上面にフェノール樹脂
製のプレート6を挿入接着し、図1(d)のようなパル
ストランスを構成する。
【0040】本パルストランスの実装面積は12.7m
m×11mm、高さは2.8mmである。パルストラン
スの評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2において、インピーダンス特性は前記
資料1の図8.6のDSUインピーダンステンプレート
および図8.7にTEインピーダンステンプレートで示
されるインピーダンスより大きな値の場合に○とした。
【0043】伝送特性はモトローラ製のISDN端末装
置用IC、MC145474を用い前記資料1の37ペ
ージから55ページに記載される電気的特性を満足する
場合に○とした。
【0044】絶縁特性は、各巻線間および、巻線とケー
ス間にAC1.5kVの電圧を1分間印加して絶縁破壊
が生じないかどうかを検査し、絶縁破壊が生じなかった
ものを○、絶縁破壊したものを×とした。
【0045】表2からもわかるように、本実施例の構造
でPCMCIA 2.0 タイプI対応の各巻線の巻数が
60ターンを越えると絶縁耐圧AC1.5kVを満足す
ることができなくなることがわかった。
【0046】ここで巻線を60ターン以下とするには、
表1と表2の関係からパルストランスを構成する磁心の
周囲温度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.0
5A/mのときの実効交流比初透磁率K・μriが500
00以上必要であることが判明した。
【0047】また、絶縁コーティングした後の巻磁心の
周囲温度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.0
5A/mのときの実効交流比初透磁率K・μriを500
00以上とするためには、巻磁心を構成する結晶粒径5
0nm以下の微細な結晶粒を組織の体積全体の少なくと
も50%以上を占める軟磁性合金薄帯の飽和磁歪定数λ
sの絶対値が1.0×10-6以下、かつ同軟磁性合金薄
帯の平均板厚tと絶縁コーティング部を除く見かけの磁
心断面積Aと実効断面積Aeの比である占積率Kがt/
(t+5)≦K≦t/(t+2)の範囲になければなら
ないこともわかった。
【0048】前記本発明AからD、および比較例Aから
Eのトランスの前記インピーダンス特性の−40℃から
85℃の範囲における温度特性を測定した結果、比較例
Eを除くすべてのパルストランスが、ISDNのSイン
ターフェースで定められるインピーダンス特性を満足す
ることがわかった。
【0049】また、伝送特性の評価に用いたISDN端
末装置用IC、MC145474の動作温度範囲が拡大
されれば、−40℃から85℃の広い温度範囲でも十分
伝送特性を満足できることも確認できた。
【0050】さらに詳細な検討を進めた結果、全体が樹
脂モールドされていない構造のパルストランスが−40
℃から85℃の範囲において、ISDNのSインターフ
ェースで定められる特性を満足するためには、前記巻磁
心の実効交流比初透磁率K・μriの−40℃から85℃
の範囲における温度変化が±20%以内になくてはなら
ないこともわかった。
【0051】(実施例2)絶縁耐圧AC4kVを満足す
るISDNのSインターフェースの規格を満足するPC
MCIA 2.0 タイプI対応のインターフェースPC
カードで求められる高さ2.8mm以下を満足し、実装
面積12.7mm×11mmと小型で全体が樹脂モール
ドされたパルストランスを以下のような手法により製作
した。
【0052】単ロ−ルによる液体急冷法により、組成が
Fe74Cu1Nb3Si17B5、厚さtが17μm、幅2
5.4mmの非晶質軟磁性合金薄帯を製作後、同非晶質
軟磁性合金薄帯をスリットして幅1mmの薄帯を得た。
この幅1mmの非晶質軟磁性合金薄帯を用い、巻磁心の
見かけの断面積Aと実効断面積Aeの比であるAe/Aで
表される占積率Kを変えた外径8mm、内径4mm、高
さ1mmのトロイダル形状の巻磁心を8ヶ製作した。
【0053】ここで、上記のように巻磁心の寸法を定め
たのは、パルストランスの完成品の寸法をPCMCIA
2.0 タイプI対応のインターフェースPCカードに
実装するのに必要な高さ2.8mm以下、かつ実装面積
12.7mm×11mmとするためである。
【0054】次に、これら8ヶの非晶質巻磁心を550
℃の窒素雰囲気中で1時間熱処理後徐冷し、同巻磁心の
温度が室温となってから同巻磁心の表面をエポキシ樹脂
で絶縁コーテイングし、本発明5〜本発明8と比較例6
〜比較例9の巻磁心を得た。
【0055】なお、前記非晶質軟磁性合金薄帯を550
℃の窒素雰囲気中で1時間熱処理後、徐冷して得られる
軟磁性合金薄帯の組織全体の90%以上が結晶粒径50
nm以下の微細結晶が占める状態で、その飽和磁歪定数
λsは+0.3×10-6であった。
【0056】前記本発明5から本発明8、および比較例
6から比較例9の巻磁心と、外径9mm、内径4mm、
高さ1mmのトロイダル形状のMn−Znフェライト磁
心にエポキシ樹脂で絶縁コーティングした比較例10の
9ヶの磁心の周囲温度20℃のときの直流磁気特性にお
ける飽和磁束密度Bs、角型比Br/Bs、周波数20k
Hz、磁界の強さ0.05A/mのときの交流比初透磁
率μriおよびこのμriと前記絶縁コーテイング部を除く
磁心の占積率Kの積で表される実効交流比初透磁率K・
μri、および周囲温度を−40℃から85℃まで変化さ
せたときの前記実効交流比初透磁率K・μriの変化量Δ
K・μriの測定結果を表3に示す。なお、絶縁コーティ
ング後の各磁心の寸法は、外径8.5mm、内径3.5m
m、高さ1.5mmである。
【0057】
【表3】
【0058】前記9ヶの磁心のを用い、以下にその詳細
を示す同一の方法によりパルストランスを製作した。図
2(a)に示す表面にエポキシによる絶縁コーティング
された磁心11に、線径0.05mmのポリウレタン被
覆電線(第1種UEW)による巻線12を各磁心ごとに
表4に記載された巻数だけ均等に巻き、図2(b)のよ
うなコイルを構成する。
【0059】なお、表4の各トランスの巻数は、周囲温
度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.05A/
mのときのインダクタンスが23.9mH以上となる最
小の整数値に選定した。このインダクタンスの値は前記
資料1の図8.6のDSUインピーダンステンプレート
および図8.7にTEインピーダンステンプレートで示
されるインピーダンスに対応するインダクタンス値1
9.9mHの1.2倍である。
【0060】図2(b)に示すコイルの巻線12の両端
に所定の長さのシリコン・ガラス・チューブ13を挿入し
た後、同コイルの表面を図2(c)に示すようにエポキ
シで絶縁コーティングする。
【0061】図2(c)に示す表面にエポキシによる絶
縁コーティングされたコイルに、線径0.05mmのポ
リウレタン被覆電線(第1種UEW)による巻線14を
各磁心ごとに表4に記載された巻数だけ均等に巻き、図
2(d)のようなパルストランスを構成する。
【0062】前記図2(d)に示す巻線12と14の両
端を所定の長さで切断した後、半田上げを行い、面実装
リード端子15を具備したフェノール樹脂製ケース16
に挿入し、前記巻線12と14の両端を各々前記面実装
リード端子15の所定の位置に図2(e)のように半田
付けする。
【0063】図2(e)に示すパルストランスが挿入さ
れたフェノール樹脂製ケース16の内側にウレタン樹脂
を充填後硬化させ、図2(f)のような樹脂モールド型
のパルストランスを構成する。
【0064】本パルストランスの実装面積は12.7m
m×11mm、高さは2.8mmである。パルストラン
スの評価結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】表4において、インピーダンス特性は前記
資料1の図8.6のDSUインピーダンステンプレート
および図8.7にTEインピーダンステンプレートで示
されるインピーダンスより大きな値の場合に○とした。
【0067】伝送特性はモトローラ製のISDN端末装
置用IC、MC145474を用い前記資料1の37ペ
ージから55ページに記載される電気的特性を満足する
場合に○とした。
【0068】絶縁特性は、各巻線間および、磁心と巻線
間で所定の電圧を1分間印加して絶縁破壊が生じないか
どうかを検査した。AC4kVの絶縁耐圧を有するもの
を○、AC1.5kVの絶縁耐圧を満足するがAC4k
Vの絶縁耐圧を満足しないものを△、AC0.5kVの
絶縁耐圧を満足するがAC1.5kVの絶縁耐圧を満足
しないものを×とした。
【0069】表4からもわかるように、本実施例の構造
でPCMCIA 2.0 タイプI対応の各巻線の巻数が
60ターンを越えると絶縁耐圧AC4kVを満足するこ
とができなくなることがわかった。
【0070】ここで巻線を60ターン以下とするには、
表3と表4の関係からパルストランスを構成する磁心の
周囲温度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.0
5A/mのときの実効交流比初透磁率K・μriが500
00以上必要であることが判明した。
【0071】また、絶縁コーティングした後の巻磁心の
周囲温度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.0
5A/mのときの実効交流比初透磁率K・μriを500
00以上とするためには、巻磁心を構成する結晶粒径5
0nm以下の微細な結晶粒を組織の体積全体の少なくと
も50%以上を占める軟磁性合金薄帯の飽和磁歪定数λ
sの絶対値が1.0×10-6以下、かつ同軟磁性合金薄帯
の平均板厚tと絶縁コーティング部を除く見かけの磁心
断面積Aと実効断面積Aeの比である占積率Kがt/
(t+5)≦K≦t/(t+2)の範囲になければなら
ないこともわかった。
【0072】前記本発明EからH、および比較例Fから
Jのトランスの前記インピーダンス特性の−40℃から
85℃の範囲における温度特性を測定した結果、比較例
Jを除くすべてのパルストランスが、ISDNのSイン
ターフェースで定められるインピーダンス特性を満足す
ることがわかった。
【0073】また、伝送特性の評価に用いたISDN端
末装置用IC、MC145474の動作温度範囲が拡大
されれば、−40℃から85℃の広い温度範囲でも十分
伝送特性を満足できることも確認できた。
【0074】さらに詳細な検討を進めた結果、全体が樹
脂モールドされた構造のパルストランスが−40℃から
85℃の範囲において、ISDNのSインターフェース
で定められる特性を満足するためには、前記巻磁心の実
効交流比初透磁率K・μriの−40℃から85℃の範囲
における温度変化が±20%以内になくてはならないこ
ともわかった。
【0075】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば“I
NSネット64”用のICカードに使用される実装面積
12.7mm×12.7mm以下、高さ2.8mm以下か
つ安全規格中最も厳しい欧州の安全規格も満足できる小
型で高性能のパルストランスを得ることができる。
【0076】なお、以上の説明では“INSネット6
4”用のなかでも最も実装面積が小さく、薄型が要求さ
れるICカード用などのパルストランスを例に本発明の
有効性を説明したが、交換器用や電話用などのパルスト
ランス、あるいは前記“INSネット64”用パルスト
ランスと同様の周波数帯で使用されるこの用途以外のパ
ルストランスの小型化と高性能化を両立する上で有効な
ことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による全体が樹脂モールドされていない
パルストランスの一実施例の製造工程の説明図。
【図2】本発明による全体が樹脂モールドされているパ
ルストランスの一実施例の製造工程の説明図。
【符号の説明】
1、11 絶縁コーティングされた巻磁心 2、3、12、14 ポリウレタン被覆電線 4、15 面実装リード端子 5、16 フェノール樹脂製ケース 6 フェノール樹脂製プレート 13 シリコン・ガラス・チューブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 4230−5E H01F 19/04 U (72)発明者 三木 裕彦 鳥取県鳥取市桂木244番地9トップ電子株 式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体急冷法で製造された平均板厚tμ
    m、幅Hが0.5mm≦H≦3mmの非晶質軟磁性合金
    薄帯を巻回した後、結晶粒径50nm以下の微細な結晶
    粒を組織の体積全体の少なくとも50%以上占めるよう
    に熱処理したときの飽和磁歪定数λsの絶対値が1.0
    ×10-6以下となる巻磁心の表面を絶縁コーティングし
    た巻磁心において、絶縁コーティング部を除く見かけの
    磁心断面積Aと実効断面積Aeの比であるAe/Aで表さ
    れる占積率Kがt/(t+5)≦K≦t/(t+2)、
    周囲温度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.0
    5A/mのときの交流比初透磁率μriと前記占積率Kと
    の積で表される実効交流比初透磁率K・μriが5000
    0以上、かつ周囲温度−40℃から85℃までの範囲に
    おいて前記実効交流比初透磁率K・μriの温度変化が±
    20%以内にある巻磁心。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の巻磁心において、周囲
    温度20℃、周波数20kHz、磁界の強さ0.05A
    /mのときの交流比初透磁率μriと前記占積率Kとの積
    で表される実効交流比初透磁率K・μriが50000以
    上、かつ周囲温度−40℃から85℃までの範囲におい
    て、前記実効交流比初透磁率K・μriの温度変化が±1
    0%以内にある巻磁心。
  3. 【請求項3】 請求項1あるいは請求項2に記載の巻磁
    心において、同巻磁心の表面にはエポキシ、ナイロン、
    ポリイミドもしくはパリレンのうちのいづれかによる絶
    縁コーティング、あるいはこれらのうちの少なくとも1
    種以上を含む多層絶縁コーティングがなされていること
    を特徴とする巻磁心。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3に記載の巻磁心を
    用いて構成したことを特徴とするパルストランス。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のパルストランスにおい
    て、同パルストランスの第1の巻線と第2の巻線間には
    絶縁層が介されていることを特徴とするパルストラン
    ス。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のパルストランスにおい
    て、同パルストランスの第1の巻線と第2の巻線間にも
    うけられた絶縁層はエポキシ、ナイロン、ポリイミドも
    しくはパリレンのうちのいづれかによる絶縁コーテイン
    グ、あるいはこれらのうちの少なくとも1種以上を含む
    多層絶縁コーティングであることを特徴とするパルスト
    ランス。
  7. 【請求項7】 請求項4から請求項6に記載のパルスト
    ランスを用いたことを特徴とするインターフェース用P
    Cカード。
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