JPH089758B2 - アルミニウム合金硬質板の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金硬質板の製造方法

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JPH089758B2
JPH089758B2 JP3056196A JP5619691A JPH089758B2 JP H089758 B2 JPH089758 B2 JP H089758B2 JP 3056196 A JP3056196 A JP 3056196A JP 5619691 A JP5619691 A JP 5619691A JP H089758 B2 JPH089758 B2 JP H089758B2
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隆 稲葉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミニウム合金硬質板
に関し、更に詳しくは、特に飲料缶胴材として、しごき
加工性、塗装印刷(ベーキング)後の成形性(ネッキング
性・フランジング性)に優れるアルミニウム合金硬質板
とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ビール及び炭酸飲料用などの飲料缶体には、材料と
してはAl−Mn−Mg系の3004合金が用いられてい
る。
【0003】近年、缶の軽量化のために高強度高成形性
と低耳率化の要望が強くなっており、種々の提案(例え
ば、特公昭61−7465号、特願平1−226746
号など)がなされている。しかしながら、特公昭61−
7465号においては高強度化については満足し得るも
のの、成形性については特願平1−226746号に及
ばない難点がある。また、特願平1−226746号に
ついては、元板での変形抵抗力の上昇により、しごき加
工性の向上が必要とされる。このように、なお不充分な
点が多く残されている。
【0004】一方、缶体用材料の製造方法は、前述の3
004合金に均質化熱処理、熱間圧延、冷間圧延及び中
間焼鈍を組み合わせて行う方法である(例えば、特公昭
61−7465号、特公昭62−37705号等)。こ
れらの提案における冷間圧延率は、基本的には中間焼鈍
後から最終板厚に至るまでのトータルの圧延率を規制し
ている。この結果、通常数回の通板を行う現状では、パ
ス間で回復が生じ、次パスを行うと強度が非常に高くな
り、成形性を低下させる上、冷間圧延開始温度がばらつ
き、強度のばらつきを生じ、成形性を低下させるといっ
た問題点があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の欠点を解消し
て、しごき加工性、ベーキング後の成形性に優れるアル
ミニウム合金硬質板の製造方法を提供することを目的と
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者等は、化学成分並びに製造条件について鋭
意研究を重ねた結果、ここに本発明をなしたものであ
る。
【0007】即ち、本発明に係るアルミニウム合金硬質
板の製造方法は、Mn:0.5〜1.5%及びMg:
0.5〜1.5%を含有し、Fe:0.3〜0.7%、
Si:0.1〜0.5%をFe+Si=0.7〜1.0
%、Fe/Si=1.25〜2.5の関係を満足するよ
うに含有し、更にCu:0.05〜0.5%及びZn:
0.05〜1.0%のうちの1種又は2種を含有し、残
部がAlと不可避的不純物からなる組成のアルミニウム
合金鋳塊に500〜600℃の温度で1時間以上の均質
化熱処理を施した後、熱間圧延を終了板厚1.5〜3.
0mm、終了温度300〜360℃で行い、その直後又
は放冷後、加熱冷却速度100℃/min以上で、板温
度400〜600℃に10分以内で保持し、板温度が1
50℃以下に冷却する条件の連続焼鈍を施し、更にその
後、冷間圧延率が75%以上の冷間圧延を1回行うこと
を特徴とする。但し、本願明細書にて、組成を規定する
%は重量%である。
【0008】
【0009】以下に本発明を更に詳細に述べる。
【作用】まず、本発明における化学成分の限定理由につ
いては次のとおりである。
【0010】Mn:Mnは強度の向上及びAl−Fe−Mn
系晶出物の生成によるしごき加工性の向上、缶壁強度の
軟化に効果のある元素である。しかし、0.5%未満で
はいずれの効果もなく、また1.5%を超えると強度が
高くなりすぎて成形性(絞り性、しごき性、張出し性、
フランジ性)の低下を招く。したがって、Mn量は0.5
〜1.5%の範囲とする。
【0011】Mg:Mgは強度向上に効果のある元素であ
り、特にCuとの組合せにより、ベーキング時にAl−C
u−Mg系析出物による析出硬化を生じ、缶底部の高強度
化に有効である。しかし、0.5%未満ではその効果は
小さく、また1.5%を超えると強度が高くなりすぎて
成形性の低下を招く。以上の理由により、Mg量は0.5
〜1.5%の範囲とする。
【0012】Fe:FeはMnとの関係でAl−Fe−Mn系
晶出物を形成し、しごき加工性の向上、晶出物形成によ
る缶壁強度の軟化及びAl−Cu−Mg系析出物の形成に
よる高強度化に効果がある。しかし、0.3%未満では
このような効果が小さく、また0.7%を超えると巨大
晶出物を形成して成形性の低下を生じる。以上の理由に
より、Fe量は0.3〜0.7%の範囲とする。
【0013】Si:SiはAl−Fe−Mn系の晶出物に相
変態を生じさせ、いわゆるα相を形成させて晶出物の硬
度を上昇させ、しごき加工性の向上に効果がある。しか
し、0.1%未満ではこの効果は小さく、また0.5%を
超えると晶出物の巨大化及び晶出物の全面変態により、
逆にしごき加工性を低下させる。以上の理由より、Si
量は0.1〜0.5%の範囲とする。
【0014】但し、Fe及びSiについては、上述の範囲
内での含有量の合計並びに比を以下のように規定するこ
とが必要である。
【0015】Fe+Si:Fe+Si量は晶出物の量及びサ
イズの適正化によるしごき加工性の向上に効果がある。
しかし、Fe+Si量が0.7%未満では本発明品のしご
き加工に対しては不充分であり、また1.0%を超える
と晶出物の巨大化及びα相への全面変態によりしごき加
工性の低下を生じる。以上の理由により、Fe+Si量は
0.7〜1.0%の範囲とする。
【0016】Fe/Si:Fe/Si比はα相の最適形成に
よるしごき加工性の向上に効果がある。しかし、Fe/
Si比が1.25未満ではα相の形成量が少なく、しごき
加工性の向上に対しては不充分である。また、2.5を
超えると晶出物のα相への全面変態により加工時に割れ
の起点となる。以上の理由により、Fe/Si比は1.2
5〜2.5の範囲とする。
【0017】上述の元素の他、以下の成分の1種又は2
種を適量で含有させる必要がある。
【0018】Cu:CuはMgと同様の効果を示す元素で
あり、ベーキング時にAl−Cu−Mg系析出物による析
出硬化を生じ、缶底部の高強度化に有効である。しか
し、Cu量が0.05%未満ではその効果は小さく、また
0.5%を超えると強度が高くなりすぎて、成形性の低
下を招く。以上の理由により、Cu量は0.05〜0.5
%の範囲とする。
【0019】Zn:Znは晶出物の分散を適正にし、絞り
加工性、しごき加工性及びフランジ成形性の向上に効果
がある。しかし、Zn量が0.05%未満ではその効果が
小さい。またZn量は1.0%を超えて添加しても各種成
形性を向上させる効果は小さく、またその効果とコスト
を考慮すると1.0%が上限である。以上の理由によ
り、Zn量は0.05〜1.0%の範囲とする。
【0020】なお、不純物としては本発明の効果を損な
わない限度で許容される。例えば、 Cr≦0.20%、Ti≦0.20%である。
【0021】次に本発明の製造法について説明する。上
記化学成分を有するアルミニウム合金は、常法により溶
解、鋳造し、得られた鋳塊は熱間圧延前に均質化熱処理
を施される。この均質化熱処理は、その後の熱間圧延性
の向上や、前述のα相形成によるしごき加工性の向上及
び絞り加工時に形成される耳の抑制に効果がある。しか
し、加熱温度が500℃未満ではいずれの効果も小さ
く、また600℃を超えるとバーニング等による板表面
の性能低下を生じる。保持時間は温度により異なるが、
1時間以上が必要である。したがって、均質化熱処理は
500〜600℃の温度で1時間以上の条件とする。な
お、均質化熱処理は必要に応じて2回以上行っても良
い。
【0022】均質化熱処理後、引き続き熱間圧延を行う
が、熱間圧延の開始温度は特に制限されないが、450
℃以上が好ましい。鋳塊はこの熱間圧延によりコイル状
に巻き上げられるが、その際の終了板厚と終了温度は、
製品での絞り耳率、缶壁の強度に影響を及ぼす。すなわ
ち、終了板厚が1.5mm未満では耳率を抑制するには効
果があるが、缶壁の軟化に不足を生じる。一方、3.0m
mを超えると強度が高すぎることによる成形性の低下及
び耳率の上昇による加工不具合を招く。以上の理由によ
り熱間圧延の終了板厚は1.5〜3.0mmとする。更に、
終了温度は特に耳率に大きな影響を与え、300℃未満
では耳率の抑制に効果が小さく、また360℃を超える
場合にはその後の焼鈍においても再結晶に要する歪みエ
ネルギーが不足し、未再結晶が残存し、同じく耳率抑制
に効果がなくなる。以上の理由により終了温度は300
〜360℃の範囲とする。
【0023】次に焼鈍を行うが、焼鈍は熱間圧延直後又
は放冷後に行う。この焼鈍は所謂CALと呼ばれる連続
焼鈍炉にて行われ、その条件は強度及び成形性に大きな
影響を与える。すなわち、加熱及び冷却速度が100℃
/min未満では強度及び成形性の向上に対する効果が少
ないので、加熱及び冷却速度は100℃/min以上の範
囲とする。板温度は再結晶及びCu、Mgの強制固溶量に
影響を及ぼし、400℃未満では再結晶が完了せず、6
00℃を超えるとバーニングによる板の表面不良を生じ
る。したがって、板温度は400〜600℃の範囲とす
る。なお、高強度高成形性の面で450〜530℃の範
囲が好ましい。また、保持時間は再結晶及びCu、Mgの
強制固溶量に影響を及ぼし、板温度により異なるが、低
温(例、400℃)であれば10分程度、高温(例、60
0℃)であれば保持なしでもよい。したがって、保持時
間は10分以内とする。更に、冷却に関しては、150
℃を超えた温度で冷却が完了するとAl−Cu−Mg系の
析出物が生成し、製品板での加工時(ベーキング)に析出
硬化が得られない。したがって、冷却は板温度が150
℃以下となるようにする。
【0024】最後の工程である冷間圧延は、強度及び成
形性(缶壁のベーキング軟化)に影響を及ぼす工程であ
る。しかし、1回の通板による圧延率が75%未満であ
ると、強度及び成形性の向上の効果が得られない。ま
た、最終板厚まで数回の通板を行う必要があり、冷間圧
延時に発熱したままコイルに巻き取り、次回の冷間圧延
まで放置される間に回復が生じ、次回の冷間圧延では加
工硬化が大きくなり強度が高くなり、成形性に悪影響を
及ぼす。更に、冷間圧延開始温度のばらつきによる製品
強度のばらつきも生じ易くなり、成形性に悪影響を及ぼ
す。以上の理由により、冷間圧延は1回の通板時の圧延
率を75%以上とし、パス間での回復がないようにす
る。
【0025】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。実施例1 表1に示す化学成分のアルミニウム合金に580℃×4
hrの均質化熱処理を施した後、熱間圧延(終了板厚
2.0mm、終了温度320℃)を行い、直ちに加熱冷
却速度300℃/minにて板温度500℃×0mi
n、冷却完了温度80℃のCAL焼鈍を実施し、その後
0.30mm(圧延率85%)の製品板厚まで1回の通
板にて冷間圧延を行った。製品板の材料特性並びにDI
缶の缶強度を調べた結果を表2及び表3に示す。なお、
製品板の成形性は以下の要領にて評価した。
【表1】
【表2】
【表3】
【0026】限界絞り比(LDR)は、エリクセン試験機
を使用し、ブランク径を変化させ、成形できる絞り比
(ブランク径/ポンチ径)にて求めた。ポンチ径は33mm
φ、潤滑油はダイドローN、しわ押さえ力500kgfで
ある。
【0027】張出し性(エリクセン値)は、JISのエリ
クセン試験B法により評価した。限界しごき加工率(L
IR)は、ブランク径150mmφ、ポンチ径87mmφに
て作製した絞りカップを用い、実機レベルのDI加工機
で通常3伸でしごき加工するところを2伸で行い、その
しごきダイスの径を変化させることにより、成形できる
加工率(1伸と2伸の板厚変化)にて求めた。なお、缶サ
イズは350ccであり、潤滑油は水溶性潤滑油を用い
た。
【0028】次に得られたDI缶(66mmφ×122mm
h)に200℃のベーキングを施し、4段ネック加工を
実施した。加工配分は2mm/段である。4段ネックがで
きた成功率(ネック成功率)を評価した。更に交角90°
のポンチにて穴拡げを実施し、フランジ率12%(フラ
ンジ径65mmφ、ネック径58mmφ)における成功率(フ
ランジ成功率)を評価した。また缶強度である耐圧、座
屈強度は窒素封入及び軸圧縮にて求めた。
【0029】以上の評価基準としては、限界絞り比(L
DR)1.85以上、限界しごき加工率(LIR)52%以
上、エリクセン値4.3mm以上、ベーキング後耐力27k
gf/mm2以上、耳率3%以内、耐圧強度6.3kgf/cm2
上、座屈強度170kgf以上である。
【0030】表2及び表3より明らかなように、本発明
例No.1及びNo.2は、適正な化合物分布、並びに適正
な強度及び高ベーキング耐力を有しており、比較例に比
べ、明らかに成形性が優れている。なお、本製造工程で
製造された板の耳率は全て3%以内であり、充分満足し
得るものである。
【0031】実施例2 表1中の合金No.1のアルミニウム合金を用いて、表
4に示す製造条件にて製品板厚0.3mmの材料を作製
し、実施例1と同じく評価した。その結果を表5に示
す。表5に示すように、本発明範囲の製造条件以外で製
造された比較例D〜Oは、成形性又は缶強度が劣ってい
る。つまり、比較例E,J,Kは強度が不足しており、
その他の比較例は成形性が劣っている。また比較例Gは
耳率が3.5%あり、成形時の不具合につながる。比較
例D,N,Oは実際の通常生産工程で行われる冷間圧延
間でのコイルの放置時間を比較とした例であるが、何れ
も本発明例A〜Cに比べて成形性が劣っている。これは
パス間で回復が生じるため元板強度が適正強度より高く
なりすぎるためである。更に、比較例HとIはCAL温
度が低いものであり、比較例Hは一部未再結晶組織、比
較例Iは大部分が未再結晶組織であって、いずれも強度
が高すぎて成形性が低下する。また、比較例D,L,
M,N,Oはコイルの先後端での強度のバラツキが見ら
れた。これはコイルでの巻き芯、巻き外でパス間での回
復の度合いが異なるためである。
【表4】
【表5】
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により得ら
れるアルミニウム合金硬質板は、成形性に優れ、かつ品
質の安定した材料が得られるので、成形中の不具合等を
低減でき、生産性向上の効果は顕著である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mn:0.5〜1.5重量%及びMg:
    0.5〜1.5重量%を含有し、Fe:0.3〜0.7
    重量%、Si:0.1〜0.5重量%をFe+Si=
    0.7〜1.0重量%、Fe/Si:1.25〜2.5
    の関係を満足するように含有し、更にCu:0.05〜
    0.5重量%及びZn:0.05〜1.0重量%のうち
    の1種又は2種を含有し、残部がAlと不可避的不純物
    からなる組成のアルミニウム合金鋳塊に500〜600
    ℃の温度で1時間以上の均質化熱処理を施した後、熱間
    圧延を終了板厚1.5〜3.0mm、終了温度300〜
    360℃で行い、その直後又は放冷後、加熱冷却速度1
    00℃/min以上で、板温度400〜600℃に10
    分以内で保持し、板温度が150℃以下に冷却する条件
    の連続焼鈍を施し、更にその後、冷間圧延率が75%以
    上の冷間圧延を1回行うことを特徴とするアルミニウム
    合金硬質板の製造方法
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